JPH1046318A - シェル型針状ころ軸受 - Google Patents
シェル型針状ころ軸受Info
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- JPH1046318A JPH1046318A JP19819496A JP19819496A JPH1046318A JP H1046318 A JPH1046318 A JP H1046318A JP 19819496 A JP19819496 A JP 19819496A JP 19819496 A JP19819496 A JP 19819496A JP H1046318 A JPH1046318 A JP H1046318A
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Abstract
入り込む環境においても長寿命が実現でき、またシェル
型外輪における真円度が良好なシェル型針状ころ軸受を
提供する。 【解決手段】 円筒状体の軸心方向両縁を半径方向内方
に折り曲げて鍔としたシェル型外輪の内周に複数の針状
ころを配置したシェル型針状ころ軸受において、少なく
とも前記針状ころは、その表層部に窒素富化層が形成さ
れており、且つ該窒素富化層の残留オーステナイト量が
20容量%以上である。
Description
軸受に関し、殊に該軸受を構成する各要素の強度を向上
することによって、全体としての寿命の向上を図ったシ
ェル型針状ころ軸受に関するものである。
な形状を示す概略断面図であり、図中1はシェル型外
輪、2は針状ころ(ニードル)、3は保持器を夫々示
す。図示する様にシェル型外輪1は、円筒状体の軸方向
両端縁1a,1bを半径方向内方に折り曲げて鍔とさ
れ、このシェル型外輪1の内側には、全周に亘って針状
ころ2が複数配置される。また保持器3は円筒状に形成
されてシェル型外輪1の内側に挿入される。この保持器
3には円周方向に等間隔を置いて軸方向に延びる窓孔4
が複数穿設されており、この窓孔4の夫々に前記針状こ
ろ2が嵌挿されて回転自在に支持されるように構成され
ている。尚図1では、保持器3によって針状ころ2を支
持する構成を示したけれども、保持器3を設けずに、シ
ェル型外輪1の両端縁1a,1bを軸心方向の内方側に
更に折り曲げた状態で針状ころ2を支持する総ころタイ
プのシェル型針状ころ軸受も知られている。
2が線接触によって荷重を受ける構成であるので、衝撃
や高荷重に耐えることができる。こうしたシェル型針状
ころ軸受は、具体的には、トランスミッションやABS
ポンプ等、様々な用途の軸受として有用である。
ついて、図面を用いて説明する。まず図2(a)に示す
様に、シェル型外輪1の一端側の縁1aだけを半径方向
内方に折り曲げ、他端側の縁1bは折り曲げずに解放し
た形状に成形した後、浸炭処理後焼入れ・焼戻しし、所
定の硬度を付与する。その後、他端側の縁1bの近傍
は、後工程での折り曲げ加工の為に焼鈍処理によって軟
化させておく。
の窓孔4の夫々に針状ころ2を組込んだ状態でシェル型
外輪1の一端側の縁1aの内側に保持器3が挿入され
る。そして最終的に、図2(c)に示す様に、シェル型
外輪1の前記縁1bを半径方向内方に折り曲げてシェル
型針状ころ軸受の完成品とする。
は標準的な焼き入れ・焼き戻しが予め施されており、組
立られるときに既に所定の強度が付与された状態になっ
ている。またこの針状ころ2の素材としては、例えば高
炭素クロム軸受鋼の1種であるSUJ軸受鋼が一般的に
用いられ、最終的に表面から内部にかけて漸減する傾向
で残留オーステナイトが形成されており、その量は最大
でも15容量%であるのが一般的である。その結果、針
状ころ2の表面硬さは、ビッカス硬度(Hv)で700
〜750程度である。
CM415等の肌焼鋼が用いられる。また保持器3の素
材としては、通常の冷延鋼板(例えば、SPCC)が用
いられ、軟窒化して強度を向上させている。
シェル型針状ころ軸受においては、次に示すような問題
があった。シェル型針状ころ軸受は、硬質の異物が入り
込む環境で使用されることが多く、異物を噛み込んで長
寿命が得られない場合がある。またシェル型外輪1にお
ける縁1b側は、前記図2(c)の工程で焼鈍されるも
のであるので、シェル型外輪1の硬度が部分的に低下
し、硬度の不均一が発生することになる。こうした諸般
の事情から、過酷な条件下で使用される軸受としての寿
命を更に高めることが望まれていた。
ル型外輪1、針状ころ2および保持器3の夫々の要素
は、軸受に組立てる前に予め別々に熱処理が施されてお
り、それだけ工程数が多くなるので、その工程数をより
簡略化することが望まれている。また従来の方法では、
シェル型外輪1の鍔における硬度の不均一が発生するの
で、シェル型針状ころ軸受の装置への方向性(即ち、シ
ェル型外輪1の方向性)をも考慮する必要がある。更
に、上記した製造手順で製造すると、シェル型外輪1に
おける熱履歴が多くなって、このシェル型外輪1の両端
縁1a,1bおよび中央部の夫々の外径がばらつき、或
はこれらの外径の真円度が悪くなるという問題も生じ
る。
たものであって、その目的は、従来のものよりも強度の
向上を図り、異物が入り込む環境においても長寿命が実
現でき、またシェル型外輪外径における真円度が良好な
シェル型針状ころ軸受を提供することにある。
のできた本発明に係るシェル型針状ころ軸受は、円筒状
体の軸方向両端縁を半径方向内方に折り曲げて鍔とした
シェル型外輪の内周に、複数の針状ころを配置したシェ
ル型針状ころ軸受において、少なくとも前記針状ころ
は、その表層部に窒素富化層が形成されており、且つ該
窒素富化層の残留オーステナイト量が20容量%以上で
ある点に要旨を有するものである。
られる他の具体的な性能としては、下記(a)〜(c)
の要件が挙げられ、これらの要件の少なくともいずれか
を満足することによって、シェル型針状ころ軸受の性能
を更に向上させることができる。 (a)針状ころの前記窒素富化層は、その厚みが0.1
mm以上である。 (b)針状ころの表面硬さがビッカース硬度(Hv)で
750以上である。 (c)シェル型外輪は、その外周に窒素富化層が形成さ
れており、且つ該窒素富化層の残留オーステナイト量が
25容量%以上である。 (d)シェル型外輪の窒素富化層は、その厚みが0.0
5mm以上である。 (e)シェル型外輪における前記両縁部分の硬度が均一
なものである。 (f)前記針状ころが保持器によって回転自在に支持さ
れる構成の場合には、該保持器はその全表面に窒素富化
層が形成されており、且つ表面硬さがビッカース硬度
(Hv)で700以上である。
るべく、様々な角度から検討した。その結果、簡略化し
た工程で長寿命且つ真円度を良好にしたシェル型針状こ
ろ軸受が実現できることを見出し、本発明を完成した。
方の端縁部のみを半径方向内方に折り曲げて鍔としたシ
ェル型外輪を未焼入れの状態で、組立ての際の所定形状
に成形した後、焼入れ・焼戻しをしたまたは未焼入れの
針状ころを保持器3の窓孔4に嵌挿しつつシェル型外輪
1に組み付け、しかる後シェル型外輪1の他方の端縁部
を半径方向内方に折り曲げて鍔とし、引き続き該組立て
た軸受に対して浸炭窒化処理後焼入れ・後焼戻しを施し
て製造される。
を製造するに当たっては、一方の端縁部のみを半径方向
内方に折り曲げて鍔とした段階では、シェル型外輪、針
状ころおよび保持器のいずれも焼入れ・焼戻し等の熱処
理を施さないことを基本的な構成とするものであり、そ
の後これらの要素によって軸受を組立ててから、浸炭窒
化処理し、その後焼入れ・焼戻しを施すものである。尚
この製造手順では、保持器を組み込むタイプのシェル型
針状ころ軸受について説明したが、保持器を持たない総
ころタイプのシェル型針状ころ軸受にも、本発明は有用
である。
とも前記シェル型外輪および保持器を一斉にしかも一度
の熱処理を施すだけで所定の強度を付与することができ
るので、強度付与の為の熱処理工程が簡略化されること
になる。またシェル型外輪に対して部分的な焼なまし処
理を施さなくても軸受の組立てが達成できるので、シェ
ル型外輪における前記縁部分の硬度が均一なものとな
る。更に、シェル型針状ころ軸受の装置への方向性をも
考慮する必要もない。
すれば、針状ころは組立ての際に予め熱処理を施さない
方が良いが、組立ての際に予め熱処理(即ち、ずぶ焼入
れ)を施しておいても良い。こうした構成を採用すれ
ば、製造工程がそれだけ増加することになるが、その後
実施される浸炭窒化処理によって更なる強度向上を達成
することができる。但し、針状ころに対して予め熱処理
を施したとしても、シェル型外輪および保持器を別々に
熱処理していた従来の方法と比べてに製造工程は簡略さ
れたものとなる。
造することによって、該軸受に下記に示す様な具体的な
特性を付与することができる。次に、これらの特性につ
いて更に詳細に説明する。
よる窒素富化層が形成され、且つ該窒素富化層の残留オ
ーステナイト量が20容量%以上と多く形成することが
できる。これによって異物混入潤滑条件下においてもシ
ェル型針状ころ軸受を長寿命とすることが可能である。
これは、転送面に高硬度の異物を噛み込むと、従来の針
状ころ軸受であれば、圧痕周辺で応力集中源となるので
あるが、多量に存在する残留オーステナイトの塑性変形
によってこうした応力集中が緩和され、長寿命にできる
からである。
成されているので、表層の硬度は従来品と比べて高くな
っており、高硬度の異物を噛み込みによっても圧痕が生
成しにくく、前記残留オーステナイトの効果と共にシェ
ル型針状ころ軸受の長寿命化に寄与する。これらの効果
を得る為には、少なくとも表層部の残留オーステナイト
量は20容量%以上である必要があるが、本発明のシェ
ル型針状ころ軸受はこうした要件を満足するものとな
る。尚窒素富化層は、具体的には厚みを0.1mm以上
のものとすることができる。また針状ころの表面硬さ
は、Hv750以上とすることができる。
ころの内部硬さも表面硬さと同程度に高めることがで
き、針状ころ全体の強度を向上させることができる。従
って、過酷な使用条件、例えば高荷重の条件で使用され
る場合であっても十分にその高荷重を支持し、所定の寿
命を満足することができる。
の様に局部的に硬度が低下した部分が存在せず、その表
層部には浸炭窒化処理による窒素富化層が形成されたも
のとなり、且つ該窒素富化層の残留オーステナイト量を
25容量%以上のものとすることができ、針状ころの場
合と同様の理由によってシェル型外輪としての強度を高
めて長寿命とすることができる。またシェル型外輪の窒
素富化層は、具体的には厚みが0.05mm以上とする
ことができる。ところでシェル型外輪は、材料の厚みが
薄く、異物を噛み込んだ際の影響が大きいので、生成さ
れた残留オーステナイトがその効果を発揮する為には、
針状ころに比べて残留オーステナイトをより多く形成す
る必要があり、その量は少なくとも25容量%以上であ
るが、本発明のシェル型針状ころ軸受によれば、こうし
た要求をも満足させることができる。
この保持器についても、その表層部に窒素富化層が形成
されたものとすることができ、その結果、該表面硬さを
Hv750以上と、従来の軟窒化品に比べて高くできる
ので、耐摩耗性を向上させことができる。
輪、針状ころおよび保持器等の軸受を構成する各構成要
素における強度を高めることができるので、軸受全体に
おける強度の向上が図れ、軸受けとしての長寿命化が実
現できるのである。
成要素の素材については得に限定されるものではなく、
上記した様なこれまで用いられている素材から適宜選択
して用いれば良い。
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
品を作成した。 (A)本発明品 軸受構成各要素の作成条件を下記に示す。 〈針状ころ〉 線材(SUJ2鋼)切断→落下式端面成形→タンブラー
→焼入れ・焼き戻し(*1)→外形研削→外形スーパー
→寸法選別 *1:840℃×30分で油焼入れ、次いで180℃×
90分で焼戻し 〈保持器〉 帯鋼(SPC)→断面形状成形→ポケット抜き→切断→
曲げ・溶接 〈シェル型外輪〉 帯鋼(SCM415)→深絞り成形(片縁のみ折り曲
げ) 上記条件にて作成されたシェル型外輪に、針状ころと保
持器を組み込み、シェル型外輪の残りの縁を折り曲げ、
軸受を組立てた。こうして組立てた軸受を下記の条件で
浸炭窒化処理し、焼入れ・焼戻し後本発明のシェル型針
状ころ軸受を得た。 (浸炭窒化処理条件)浸炭窒化雰囲気(RXガスに容積
比で1〜3%のアンモニア添加)で、840〜850℃
×35分間保持して浸炭窒化した後、直ちに油中に急冷
した。
保持器を組み込んだ後、シェル型外輪の焼鈍された一方
の端部半径方向内方に折り曲げ、完成品とした。 〈針状ころ〉線材(SUJ2鋼)切断→落下式端面成形
→タンブラー→焼入れ・焼き戻し(*2)→外形研削→
外形スーパー→寸法選別 *2:840℃×30分で油焼入れ、次いで180℃×
90分で焼戻し 〈保持器〉 帯鋼(SPC)→断面形状成形→ポケット抜き→切断→
曲げ・溶接 〈シェル型外輪〉 帯鋼(SCM415)→プレス絞り成形→浸炭焼入れ・
焼戻し→高周波焼鈍→タンブラー 従来品における各熱処理条件を以下に示す。 (1) 保持器 :570〜580℃×35分で軟窒化
処理 (2) 針状ころ :840℃×30分でオーステナイト
化し、油中に焼入れ、次いで180℃×90分で焼戻し (3) シェル型外輪:840〜890℃で60分保持して
浸炭し(RXガス雰囲気中)、油中に焼入れ、次いで1
65℃×60分で焼戻し(一方の端部の焼鈍は、高周波
加熱によった)
真円度や寿命L10と共に、下記表1に示す。尚真円度や
寿命L10との評価基準は下記の通りである。また試験に
供した軸受は、オープンエンドシェル型針状ころ軸受で
あり、内径:15mm、外径:23mm、幅:16mm
のサイズのものを使用した(本発明品と従来品は同一寸
法)。
折り曲げ成形により形成させた鍔側外周面(最初にプレ
ス成形した鍔の端面を基準にして12.7mmの位置を
測定)の真円度をタリロンドを用いて測定し、従来品を
1としたときの比率を求めた。
行ない、従来品との比較を行なった。 回転速度:5000rpm ラジアル荷重:572kgf
来品に比べて強度の向上が図れ、長寿命は達成されてい
ることがわかる。またその工程数においても、各要素の
夫々を熱処理する工程が省略され、製造工程の簡略化が
達成されている。
来のものよりも強度の向上を図り、異物が入り込む環境
においても長寿命が実現でき、またシェル型外輪外径に
おける真円度が良好なシェル型針状ころ軸受が実現でき
た。
略断面図である。
概略説明図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 円筒状体の軸方向両端縁を半径方向内方
に折り曲げて鍔としたシェル型外輪の内周に、複数の針
状ころを配置したシェル型針状ころ軸受において、少な
くとも前記針状ころは、その表層部に窒素富化層が形成
されており、且つ該窒素富化層の残留オーステナイト量
が20容量%以上であることを特徴とするシェル型針状
ころ軸受。 - 【請求項2】 前記針状ころの前記窒素富化層は、その
厚みが0.1mm以上である請求項1に記載のシェル型
針状ころ軸受。 - 【請求項3】 前記針状ころの表面硬さがビッカース硬
度(Hv)で750以上である請求項1または2に記載
のシェル型針状ころ軸受。 - 【請求項4】 前記シェル型外輪は、その外周に窒素富
化層が形成されており、且つ該窒素富化層の残留オース
テナイト量が25容量%以上である請求項1〜3のいず
れかに記載のシェル型針状ころ軸受。 - 【請求項5】 前記シェル型外輪の窒素富化層は、その
厚みが0.05mm以上である請求項1〜4のいずれか
に記載のシェル型針状ころ軸受。 - 【請求項6】 シェル型外輪における前記両縁部分の硬
度が均一である請求項1〜5のいずれかに記載のシェル
型針状ころ軸受。 - 【請求項7】 前記針状ころは保持器によって回転自在
に支持されるものであり、該保持器はその全表面に窒素
富化層が形成されており、且つ表面硬さがビッカース硬
度(Hv)で750以上である請求項1〜6のいずれか
に記載のシェル型針状ころ軸受。
Priority Applications (3)
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Family Applications (1)
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