JPH1044718A - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ

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JPH1044718A
JPH1044718A JP8206101A JP20610196A JPH1044718A JP H1044718 A JPH1044718 A JP H1044718A JP 8206101 A JP8206101 A JP 8206101A JP 20610196 A JP20610196 A JP 20610196A JP H1044718 A JPH1044718 A JP H1044718A
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利夫 小山
Masaru Araki
勝 荒木
Mitsuharu Koya
光晴 小矢
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C11/00Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts
    • B60C11/03Tread patterns
    • B60C11/12Tread patterns characterised by the use of narrow slits or incisions, e.g. sipes
    • B60C11/1204Tread patterns characterised by the use of narrow slits or incisions, e.g. sipes with special shape of the sipe
    • B60C2011/1213Tread patterns characterised by the use of narrow slits or incisions, e.g. sipes with special shape of the sipe sinusoidal or zigzag at the tread surface

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】氷上性能と乾燥舗装路操縦性能とを向上しうる
空気入りタイヤの提供。 【解決手段】トレッド面2に、縦溝3と横溝4とからな
るトレッド溝TGを設けることによりブロック7を形成
し、7は、第1の開口9と第2の開口10とを連ねての
びるサイピング11が形成されたサイピング入りブロッ
ク7aを含む空気入りタイヤで、11は、9からブロッ
ク内にのびる第1のサイピング片S1と、第2の開口1
0からブロック内にのびる第2のサイピング片S2と、
第1、第2のサイピング片の内端S1i、S2i間をS
1、S2とは屈曲してかつ9と10とを結ぶ仮想の基準
直線VLに対して傾いて継ぐ中央傾斜部SCとからな
り、11は、S1、S2のVLと平行な平行成分の長さ
W1、W2の和(W1+W2)が、VLの長さWよりも
大で、S1、S2前記平行成分が重なる重なり部12を
有することで略Z字状をなす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、氷上性能と乾燥舗
装路操縦性能とを向上しうる空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】スパイクタイヤが、路面の損傷及び粉塵
公害を防止するために使用が禁止されて以来、積雪地帯
などにおいては、いわゆるスタッドレスタイヤと称され
る空気入りタイヤが広く普及しつつある。このような空
気入りタイヤは、近年、低温環境下においても柔軟性を
保ちうるトレッドゴム材料などの開発に加え、トレッド
面に多数のブロックを形成したブロックパターンを採用
し、また、ブロックには多数のサイピングなどが設けら
れることによって、雪上での走行性能が格段に向上して
いる。
【0003】しかしながら、スパイクを打ち込んでいな
い空気入りタイヤでは、つるつるとした氷路の走行性能
に関しては、やはり、スパイクタイヤに劣るため、従来
より、この種の空気入りタイヤにおいて氷上での性能を
向上するための数多くの提案がなされている。
【0004】たとえば、特開昭59−199306号公
報は、トレッド面に多数のブロックを区画形成するとと
もに、各ブロックには、図12(A)に示すように、波
打ち状で略タイヤ軸方向にのびるサイピングbを形成す
ることにより、サイピングのエッジ成分を増加させて氷
上性能の向上を図ることを提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図12
(A)に示したようなサイピングbでは、接地時、同図
(B)に示すようにブロックaはタイヤ周方向のせん断
力Fを受けると、サイピングbは容易に開いてしまい、
ブロック欠けなどの損傷が生じるほか、ブロックの剛性
低下、接地面積の減少などにより満足のゆく氷上性能の
向上は得られず、また乾燥舗装道路においても操縦性能
が低下する。
【0006】本発明は、以上のような問題点に鑑み案出
されたもので、サイピングのエッジ成分を増加させて氷
上性能の向上を図りつつも、サイピングの開きを抑制す
ることによって、氷上性能と乾燥舗装道路の操縦性能と
を向上しうる空気入りタイヤの提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のうち、請求項1
記載の発明は、トレッド縁E、E間のトレッド面に、タ
イヤ周方向にのびる縦溝と、この縦溝に交わる向きにの
びる横溝とからなるトレッド溝を設けることにより、こ
のトレッド溝の溝壁又は前記トレッド縁がなす側壁によ
り囲まれるブロックを形成するとともに、前記ブロック
は、一つの側壁で開口する第1の開口と、他の側壁で開
口する第2の開口とを連ねてのびるサイピングが形成さ
れたサイピング入りブロックを含む空気入りタイヤであ
って、前記サイピングは、前記第1の開口からブロック
内にのびる第1のサイピング片と、第2の開口からブロ
ック内にのびる第2のサイピング片と、第1、第2のサ
イピング片の内端間を第1、第2のサイピング片とは屈
曲してかつ第1の開口と第2の開口とを結ぶ仮想の基準
直線に対して傾いて継ぐ中央傾斜部とからなるととも
に、このサイピングは、第1、第2のサイピング片の前
記基準直線と平行な平行成分の長さW1、W2の和(W
1+W2)が、基準直線の長さWよりも大であり、前記
第1、第2のサイピング片の前記平行成分が重なる重な
り部を有することにより略Z字状をなすことを特徴とす
る空気入りタイヤである。
【0008】また、請求項2記載の発明では、前記サイ
ピングは、前記重なり部の長さVと、第1、第2のサイ
ピング片の前記平行成分の長さ長さW1、W2との各比
(V/W1)、(V/W2)が、0.1以上かつ0.6
7以下であることを特徴としている。
【0009】また、請求項3記載の発明では、前記サイ
ピングは、前記中央傾斜部の傾きの角度θが、0°より
も大かつ83°以下であり、しかも前記基準直線がタイ
ヤ軸方向に対して±15°の角度でのびることを特徴と
している。
【0010】また、請求項4記載の発明では、前記サイ
ピングは、第1のサイピング片の内端から前記基準直線
の長さWの0.1倍の長さを第1のサイピング片および
中央傾斜部側に隔てる範囲の第1屈曲部の平均深さD1
Bは、この第1屈曲部を除いた前記第1サイピング片の
平均深さD1Aよりも小、かつ、第2のサイピング片の
内端から前記基準直線の長さWの0.1倍の長さを第2
のサイピング片および中央傾斜部側に隔てる範囲の第2
屈曲部の平均深さD2Bは、この第2屈曲部を除いた前
記第2サイピング片の平均深さD2Aよりも小とすると
ともに、前記第1屈曲部、第2屈曲部を除いた前記中央
傾斜部の平均深さDTは、第1のサイピング片、第2の
サイピング片の前記平均深さD1A、D2Aよりも小で
あることを特徴としている。
【0011】また、請求項5記載の発明では、前記サイ
ピングは、第1のサイピング片又は第2のサイピング片
が、ジグザグ又は波状に折れ曲がるとともに、前記第1
のサイピング片が内方端で前記中央傾斜部と交わる鋭角
側の交差角α1、前記第2のサイピング片が内方端で前
記中央傾斜部と交わる鋭角側の交差角α2、前記第1の
サイピング片の第1の開口と内端とを結ぶ仮想の第1直
線が前記中央傾斜部と交わる仮想の鋭角側の交差角β
1、および第2のサイピング片の第2の開口と内端とを
結ぶ仮想の第2直線が前記中央傾斜部と交わる仮想の鋭
角側の交差角β2とにおいて、 α1−β1≧10° α2−β2≧10° の関係を満足することを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を図
面に基づき説明する。図1には、本発明の空気入りタイ
ヤが、トラック、バスなどに好ましく用いられる重荷重
用のタイヤとして採用された場合のトレッドパターンを
例示している。また、図2にはその部分的な内部構造を
示し、スチールコードよりなるラジアル構造プライのカ
ーカス14と、このカーカスにタガ効果を与えて締め付
ける4枚のプライからなるベルト層15とを有してい
る。
【0013】図において、空気入りタイヤは、トレッド
縁E、E間のトレッド面2に、タイヤ周方向にのびる縦
溝3と、この縦溝3に交わる向きにのびる横溝4とから
なるトレッド溝TGを設けることにより、このトレッド
溝TGの溝壁5又は前記トレッド縁Eがなす側壁6によ
り囲まれるブロック7を形成している。そして、本例で
は、全トレッド面の表面積に対する全ブロック表面積
が、60〜67%とした冬用タイヤの構成をなす。
【0014】前記縦溝3は、本例では、いずれもストレ
ートにのびる直線溝で形成され、トレッド面2に7本設
けられたものを例示する。同様に、横溝4は、本例で
は、トレッド縁E、E間をタイヤ軸方向に連続してのび
る直線溝として形成されており、その結果、ブロック7
は、縦長の長方形状で形成されるものを例示する。
【0015】これらの縦溝3、横溝4は、波状或いはジ
グザグ状に屈曲するものなど図示以外の種々の形状にて
構成でき、タイヤに正規内圧を充填した時に、トレッド
表面にて測定した溝巾が、好ましくは5〜20mmとする
のが望ましく、また、溝深さは例えば従前の例に従い7
〜20mmとすることが望ましい。
【0016】次に、前記ブロック7は、一つの前記側壁
5又は6で開口する第1の開口9と、他の側壁5又は6
で開口する第2の開口10とを連ねてのびるサイピング
11が形成されたサイピング入りブロック7aを含み、
本例ではすべてのブロックをサイピング入りブロック7
aとしている。
【0017】なお、サイピング11は、重荷重用、乗用
車用など各タイヤにおいて、溝巾が0.3〜2.0mmの
ものを好ましく採用しうる。特にサイピング11が、金
型で加硫成形される場合、金型のナイフブレードの厚さ
を考慮して0.5〜2.0mmとするのが望ましく、さら
に、乾燥舗装路での操縦性能に重点をおく場合には、ブ
ロック剛性を低下させないようにサイピングの溝巾を
0.5〜1.5mm、さらに好ましくは0.5〜1.0mm
とするのが望ましい。
【0018】前記サイピング11は、ブロックを拡大し
て示す図3から明らかな如く、前記第1の開口9からブ
ロック内にのびる第1のサイピング片S1と、第2の開
口10からブロック内にのびる第2のサイピング片S2
と、第1、第2のサイピング片S1、S2の内端S1
i、S2i間を結ぶ中央傾斜部SCとからなり、本例で
は、これら第1、第2のサイピング片S1、S2及び中
央傾斜部SCは、いずれも1本の直線で構成されたもの
が例示されている。
【0019】また、前記中央傾斜部SCは、第1、第2
のサイピング片S1、S2とは屈曲して、かつ前記第1
の開口9と第2の開口10とを結ぶ仮想の基準直線VL
に対して傾き角度θで傾いて配されている。そして、本
実施形態では、前記基準直線VLの長さWは、ブロック
7aの巾と等しく設定されている。
【0020】さらにサイピング11は、第1、第2のサ
イピング片S1、S2の前記基準直線VLと平行な平行
成分の長さW1、W2の和(W1+W2)が、基準直線
VLの長さWよりも大としている。
【0021】これによって、サイピング11は、前記第
1、第2のサイピング片S1、S2の前記平行成分が重
なる重なり部12を有することにより略Z字状をなすこ
とを特徴とする。
【0022】このような略Z字状のサイピング11は、
サイピングのエッジ成分、特に軸方向エッジ成分を実質
的に増加させることにより氷上性能を向上しうるのに役
立つ。
【0023】また、サイピング11は、ブロック7aに
サイピング11と直交する方向のせん断力が作用して
も、前記の如く略Z字状をなすことによって、サイピン
グ11で分断されたブロック小片7F、7Rが相互にか
み合い、図4に示す如くサイピング11の開きを抑制す
ることができるから、ブロック欠けなどの損傷を防止し
うるとともに、ブロック剛性の低下や接地面積の減少な
どを防止でき、氷上性能と乾燥舗装道路での操縦安定性
能を向上しうる。
【0024】ここで、本発明者らは、サイピング11の
開きが抑制されていることを確認するべく、図5(A)
に示す如く、ブロックの倒れ角度δを測定した。この倒
れ角度δは、ブロックの周方向長さに等間隔で14ヶ所
の測定ポジションを設け、各ポジションにおける法線方
向に対する傾き角度を測定している。なお、横力の大き
さは、60(kgf)とし、サイピングはブロックの周
方向長さの中間に1本設けている。
【0025】図5(B)にはその結果を示し、●は、本
実施形態のサイピング、○はタイヤ軸方向にのびる1本
の直線(図10に示す)からなる従来のサイピングの結
果である。本実施形態のサイピングを設けた場合では、
サイピングを境として先着側の平均倒れ角度は23.3
6°、後着側のそれは、21.78°、両者の差は1.
58°である。しかしながら、従来のサイピングでは、
先着側の平均倒れ角度は24.64°、後着側のそれ
は、21.42°、両者の差は3.22°と著しく大き
い。
【0026】このように、本発明のサイピング11は、
ブロックの先着側と後着側の各位置における倒れ角度δ
の差が、従来のサイピングよりも小さく、ほぼ均一に倒
れ込んでいることが確認できる。したがって、サイピン
グ11の開き量も、当然従来のものより小さくなるので
ある。
【0027】これに関連して、本発明のサイピング11
は、ブロックが全体としてほぼ均一に倒れ込むことによ
り、ブロックの接地圧を均一となしうる。したがって、
ブロックパターンのタイヤにおいて、接地圧の不均一が
原因で生じるヒールアンドトウ摩耗などの偏摩耗を抑制
でき、対摩耗性能をも向上しうる。
【0028】また車両が旋回する際には、タイヤにスリ
ップ角が与えられるが、このスリップ角が、前記中央傾
斜部SCと交差する方向に与えられた場合には、とりわ
け、ブロック7aの一体化がさらに強まることによりブ
ロック剛性が高められる結果、ブロックの滑りが抑制さ
れて操縦安定性能をさらに向上しうる。
【0029】次に、前記サイピング11は、前記重なり
部12の長さVと、第1、第2のサイピング片の前記平
行成分の長さW1、W2との各比(V/W1)、(V/
W2)が、好ましくは0.1〜0.9、より好ましくは
0.1〜0.82、さらに好ましくは0.1〜0.6
7、さらに好ましくは0.18〜0.67とするのが望
ましい。
【0030】前記各比(V/W1)、(V/W2)が、
0.1以上の場合には、サイピング11を略Z字状とし
てサイピングの開きを防止する効果がより高まるが、
0.1を下回ると、サイピングの開きを防止する効果が
低下する傾向にあり、又各第1、第2のサイピング片S
1、S2が、前記基準直線VLと平行に近づく傾向にあ
り、サイピング底に亀裂が生じ易くなる。
【0031】逆に、前記各比(V/W1)、(V/W
2)が、0.9を上回ると、前記重なり部が大きくなっ
てサイピングの開きは抑制しうるものの、前記第1のサ
イピング片S1が内方端S1iで前記中央傾斜部SCと
交わる鋭角側の交差角α1や、前記第2のサイピング片
S2が内方端S2iで前記中央傾斜部SCと交わる鋭角
側の交差角α2が小さくなりがちとなり、この交わり位
置のサイピング底などにクラックが生じ易くなる。
【0032】なお、このような観点から、前記交差角α
1、α2については、好ましくは16°以上、より好ま
しくは24°以上、さらに好ましくは36°〜70°、
さらに好ましくは36°〜56°として前記交わり位置
でのクラックの発生を防止することが望ましい。
【0033】また、本実施形態では、前記比(V/W
1)と、(V/W2)とを等しくすることによって、中
央傾斜部SCをサイピング11の中間位置に設けたもの
を例示している。この場合には、サイピングの開きを防
止する効果がより高く、しかもサイピングの意匠として
の見映えを向上するなどの点で好ましい。
【0034】また、前記サイピングの基準直線VLは、
サイピングの第1の開口9と第2の開口10と結ぶこと
によりサイピング11の延在方向を特定するが、サイピ
ング11の中央傾斜部SCの基準直線Vに対する傾き角
度θは、好ましくは0°よりも大かつ83°以下、より
好ましくは、30°以上かつ83°以下、さらに好まし
くは、30°以上かつ76°以下、より好ましくは30
°以上かつ63°以下とするのが望ましい。
【0035】また、サイピング11による氷上性能をさ
らに高めるべく、本実施形態では、サイピング11の基
準直線VLが、タイヤ軸方向にのびるものを例示してい
る。すなわち、このような場合には、車両の急制動時な
ど、サイピング11を押し開げようとするタイヤ周方向
の大きなせん断力が作用するため、本発明の効果がより
顕著となるからである。
【0036】なお、このような効果は、サイピングの前
記基準直線VLが、実質的にタイヤ軸方向にのびる場
合、すなわちタイヤ軸方向に対して±15°の角度範囲
内でのびる場合でも同様に奏しうる。
【0037】さらに、前記基準直線VLは、タイヤ軸方
向に対して±15°の角度以外としても良い。この場合
には、車両の旋回時などにおいてサイピングの開きを防
止しうる点で好ましいものとなる。
【0038】また、このような略Z字状をなすサイピン
グ11は、図6に示す如く、第1のサイピング片S1の
内端S1iから前記基準直線VLの長さWの0.1倍の
長さtを第1のサイピング片S1および中央傾斜部SC
側に隔てる範囲の第1屈曲部12、および、第2のサイ
ピング片S2の内端から前記長さtを第2のサイピング
片S2および中央傾斜部SC側に隔てる範囲の第2屈曲
部13には、応力が集中しやすいために底部分で亀裂が
生じやすくなる場合がある。
【0039】このような観点より、本実施形態では、サ
イピング11における第1屈曲部12の平均深さD1B
は、この第1屈曲部12を除いた前記第1サイピング片
S1の平均深さD1Aよりも小としている。
【0040】同様に、前記第2屈曲部13の平均深さD
2Bは、この第2屈曲部13を除いた前記第2サイピン
グ片S2の平均深さD2Aよりも小としている。
【0041】このように、第1、第2屈曲部12、13
の平均深さD1B、D2Bを相対的に浅くしたときに
は、前記各屈曲部の底部分を有効に補強できるから、亀
裂などの損傷を防止しうる点でより好ましい。
【0042】なお、前記平均深さの比(D1B/D1
A)、(D2B/D2A)は、0.6〜0.9、好まし
くは0.6〜0.8程度とし、さらに両者を等しくする
のが好ましい。
【0043】また、車両の旋回中おいては、接地してい
るブロックはねじり力を受ける。この場合、サイピング
11の中央傾斜部SCは、大きな応力が集中し、底部分
での亀裂が生じやすくなる場合がある。
【0044】このような観点より、図6に示す如く、本
実施形態では、前記第1、第2屈曲部12、13を除い
た前記中央傾斜部SCの平均深さDTは、前記第1のサ
イピング片S1、第2のサイピング片S2の平均深さD
1A、D2Aよりも小とすることによって補強し、中央
傾斜部SCの底部分での亀裂を防止している好ましい態
様を示している。この場合(DT/D1A)又は(DT
/D2A)は、例えば0.6〜0.9、好ましくは0.
6〜0.8程度としうる。
【0045】なお、前記第1、第2サイピング片S1、
S2の平均深さD1A、D2Aは、縦溝3の溝深さの4
0〜100%、より好ましくは、40〜70%とするの
が望ましい。
【0046】図7(A)、(B)には、本発明の他の実
施形態を示している。この実施形態では、サイピング1
1は、第1のサイピング片S1と第2のサイピング片S
2とがともに、ジグザグ状に折れ曲がってのびるものを
示している。この例では、サイピング11のエッジ成分
が、前記実施形態よりも増し、さらに氷上性能の向上を
図りうる点で好ましい。
【0047】なおこの場合、サイピング10の前記交差
角α1、α2、前記第1のサイピング片S1の第1の開
口9と内端S1iとを結ぶ仮想の第1直線VL1が前記
中央傾斜部SCと交わる仮想の鋭角側の交差角β1、お
よび第2のサイピング片の第2の開口と内端とを結ぶ仮
想の第2直線が前記中央傾斜部と交わる仮想の鋭角側の
交差角β2とにおいて、 α1−β1≧10° α2−β2≧10° の関係を満足することが好ましい。
【0048】この場合には、第1、第2サイピング片S
1、S2の各内端S1i、S2iと中央傾斜部SCとの
交差角α1、α2の著しい鋭角化を防ぐことにより、サ
イピング底部分に生じがちな亀裂を効果的に防止し得る
点で好ましいものとなる。
【0049】図8(A)〜(E)には、さらに他の実施
形態を示している。この実施形態では、第1、第2サイ
ピング片S1、S2は直線と、滑らかな曲線又は円弧と
の複合で形成されている。また、同図(B)、(C)、
(D)及び(E)は、第1、第2の開口9、10の位置
を、ブロックの長さ方向に位置ずれさせたものを示して
いる。
【0050】以上、詳述したが、前記第1、第2サイピ
ング片S1、S2のいずれか一方のみをジグザグとして
もよく、さらにはこれらの一方又は両方を波状としても
よく、さらには、波状、ジグザグを組み合わせて用いる
など適宜変更しうる。また、上記の例ではサイピングの
本数は、好ましいものとして、1ブロック当たり1本の
ものを例示したがこれに限定するものではない。
【0051】さらに、図1のパターンにおいて、タイヤ
赤道Cを中心としてトレッド面の左、右に配されるサイ
ピングが、線対称をなすものなど、本発明は種々の態様
に変形しうる。
【0052】
【実施例】タイヤサイズが11R22.5であり、かつ
図1、図2の構成を有し、サイピングの形状(図7、図
9に示す。)を種々異ならせた本発明のタイヤ(実施例
1〜10)を試作するとともに、実車を使用した各種の
テストを行った。また、サイピング(図10、11に示
す。)が本発明の要件を充足しないタイヤ(比較例1、
2)についても併せて試作し性能を比較した。タイヤ構
造などの詳細は次の通りである。
【0053】・タイヤ構造など ベルト層 スチールコード(3+6)の4プライ、 スチールコードのタイヤ赤道Cに対する角度(タイヤ半
径方向内側から)50°R、18°R、18°L、18
°L カーカス スチールコード(3+7)の1プライ、 スチールコードのタイヤ赤道Cに対する角度:90° トレッド巾(接地巾)TW=230mm ブロックの大きさ タイヤ周方向の長さ30mm、タイヤ軸方向の巾20mm
【0054】テストは、試供タイヤを7.50×22.
5のリムにリム組みし(内圧8.0kgf/cm2 )、2/2
−D車両(積載荷重10トン積み)の全輪に装着すると
ともに、次の内容で行った。
【0055】イ)氷上制動性能 つるつるの氷路において、速度30km/hからロック急
制動をかけて制動距離を調べるとともに、比較例1を1
00とする指数で表示している。数値が大きいほど制動
距離が短く氷上制動性能に優れる。
【0056】ロ)氷上コーナリング性能 つるつるの氷路において、テストコースを周回させると
ともに、テストドライバーのフィーリングにより、比較
例1を100とする指数でに評価した。数値が大きいほ
ど氷上でのコーナリング性能に優れる。
【0057】ハ)実車操縦安定性能 乾燥した舗装路を走行させ、テストドライバーのフィー
リングにより、比較例1を100とする指数でに評価し
た。数値が大きいほど乾燥路での操縦安定性能に優れ
る。
【0058】ニ)実車耐久性能 走行距離10000km(内訳:約5000kmが乾燥
舗装路、2500kmが湿潤舗装路、2500kmがダ
ート路面)を完走後、トレッド面の損傷具合をチェック
し、装着車輪の中で最も損傷箇所が多いタイヤの損傷具
合い、損傷の大きさを記載した。テストの結果を表1に
示す。
【0059】
【表1】
【0060】テストの結果、実施例のものは、比較例の
ものに比べて氷上性能、乾燥舗装路での操縦性能が向上
していることが確認できた。
【0061】
【発明の効果】本発明の空気入りタイヤは、略Z字状の
サイピングが、サイピングのエッジ成分を実質的に増加
させることにより氷上性能を向上しうる。
【0062】また、ブロックにせん断力が作用しても、
サイピングが略Z字状をなすことによって、サイピング
の開きを抑制することができるから、ブロック欠けなど
の損傷を防止しうるとともに、ブロック剛性の低下や接
地面積の減少などを防止でき、氷上性能と乾燥舗装道路
での操縦安定性能を向上しうる。
【0063】さらに、前記略Z字状のサイピングを設け
たことによって、ブロックが全体としてほぼ均一に倒れ
込むことができ、ブロックの接地圧を均一とすることが
できるからヒールアンドトウ摩耗などの偏摩耗をも抑制
しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すトレッドパターンの展
開図である。
【図2】タイヤの内部構造を示す部分断面図である。
【図3】ブロックの詳細を示す拡大平面図である。
【図4】接地時のブロックの挙動を示す模式図である。
【図5】(A)は測定ポジションを説明する側面図、
(B)は、本発明のテスト結果を示すグラフである。
【図6】サイピングの深さを説明するブロックの斜視図
である。
【図7】(A)、(B)は、本発明の他の実施形態を示
すブロックの平面図である。
【図8】(A)〜(E)は、本発明の他の実施形態を示
すブロックの平面図である。
【図9】本発明の他の実施形態を示すブロックの平面図
である。
【図10】比較例のブロックの平面図である。
【図11】比較例のブロックの平面図である。
【図12】(A)は、従来のサイピングを説明する平面
図、(B)はその挙動を示す概念図である。
【符号の説明】
2 トレッド面 3 縦溝 4 横溝 5、6 側壁 7 ブロック 9 第1の開口 10 第2の開口 11 サイピング 12 重なり部 S1 第1のサイピング片 S2 第2のサイピング片 SC 中央傾斜部 S1i 第1サイピング片の内端 S2i 第2サイピング片の内端 VL 基準直線 W 基準直線の長さ W1 第1サイピング片の基準直線と平行な平行成分の
長さ W2 第2サイピング片の基準直線と平行な平行成分の
長さ θ 中央傾斜部の基準直線に対する傾き角度 V 重なり部の長さV D1B 第1屈曲部の平均深さ D2B 第2屈曲部の平均深さ D1A 第1サイピング片の平均深さ D2A 第1サイピング片の平均深さ DT 中央傾斜部の平均深さ α1 第1サイピング片が内端で前記中央傾斜部と交わ
る鋭角側の交差角 α2 第2サイピング片が内端で前記中央傾斜部と交わ
る鋭角側の交差角 β1 第1サイピング片の第1の開口と内端とを結ぶ仮
想の第1直線が前記中央傾斜部と交わる仮想の鋭角側の
交差角 β2 第2サイピング片の第2の開口と内端とを結ぶ仮
想の第2直線が前記中央傾斜部と交わる仮想の鋭角側の
交差角

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トレッド縁E、E間のトレッド面に、タイ
    ヤ周方向にのびる縦溝と、この縦溝に交わる向きにのび
    る横溝とからなるトレッド溝を設けることにより、この
    トレッド溝の溝壁又は前記トレッド縁がなす側壁により
    囲まれるブロックを形成するとともに、 前記ブロックは、一つの側壁で開口する第1の開口と、
    他の側壁で開口する第2の開口とを連ねてのびるサイピ
    ングが形成されたサイピング入りブロックを含む空気入
    りタイヤであって、 前記サイピングは、前記第1の開口からブロック内にの
    びる第1のサイピング片と、 第2の開口からブロック内にのびる第2のサイピング片
    と、 第1、第2のサイピング片の内端間を第1、第2のサイ
    ピング片とは屈曲してかつ第1の開口と第2の開口とを
    結ぶ仮想の基準直線に対して傾いて継ぐ中央傾斜部とか
    らなるとともに、 このサイピングは、第1、第2のサイピング片の前記基
    準直線と平行な平行成分の長さW1、W2の和(W1+
    W2)が、基準直線の長さWよりも大であり、前記第
    1、第2のサイピング片の前記平行成分が重なる重なり
    部を有することにより略Z字状をなすことを特徴とする
    空気入りタイヤ。
  2. 【請求項2】前記サイピングは、前記重なり部の長さV
    と、第1、第2のサイピング片の前記平行成分の長さ長
    さW1、W2との各比(V/W1)、(V/W2)が、
    0.1以上かつ0.67以下であることを特徴とする請
    求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 【請求項3】前記サイピングは、前記中央傾斜部の傾き
    の角度θが、0°よりも大かつ83°以下であり、しか
    も前記基準直線がタイヤ軸方向に対して±15°の角度
    でのびることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイ
    ヤ。
  4. 【請求項4】前記サイピングは、第1のサイピング片の
    内端から前記基準直線の長さWの0.1倍の長さを第1
    のサイピング片および中央傾斜部側に隔てる範囲の第1
    屈曲部の平均深さD1Bは、この第1屈曲部を除いた前
    記第1サイピング片の平均深さD1Aよりも小、 かつ、第2のサイピング片の内端から前記基準直線の長
    さWの0.1倍の長さを第2のサイピング片および中央
    傾斜部側に隔てる範囲の第2屈曲部の平均深さD2B
    は、この第2屈曲部を除いた前記第2サイピング片の平
    均深さD2Aよりも小とするとともに、 前記第1屈曲部、第2屈曲部を除いた前記中央傾斜部の
    平均深さDTは、第1のサイピング片、第2のサイピン
    グ片の前記平均深さD1A、D2Aよりも小であること
    を特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
  5. 【請求項5】前記サイピングは、第1のサイピング片又
    は第2のサイピング片が、ジグザグ又は波状に折れ曲が
    るとともに、 前記第1のサイピング片が内方端で前記中央傾斜部と交
    わる鋭角側の交差角α1、 前記第2のサイピング片が内方端で前記中央傾斜部と交
    わる鋭角側の交差角α2、 前記第1のサイピング片の第1の開口と内端とを結ぶ仮
    想の第1直線が前記中央傾斜部と交わる仮想の鋭角側の
    交差角β1、 および第2のサイピング片の第2の開口と内端とを結ぶ
    仮想の第2直線が前記中央傾斜部と交わる仮想の鋭角側
    の交差角β2とにおいて、 α1−β1≧10° α2−β2≧10° の関係を満足することを特徴とする請求項1記載の空気
    入りタイヤ。
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