JPH1044300A - 合成樹脂成形物 - Google Patents

合成樹脂成形物

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JPH1044300A
JPH1044300A JP8216907A JP21690796A JPH1044300A JP H1044300 A JPH1044300 A JP H1044300A JP 8216907 A JP8216907 A JP 8216907A JP 21690796 A JP21690796 A JP 21690796A JP H1044300 A JPH1044300 A JP H1044300A
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篤 林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた初期流滴性を有し、且つ優れた流滴性
が長期間持続される合成樹脂成形物。 【解決手段】 珪素酸化物系薄膜が乾式法により形成さ
れ、さらに該薄膜表面に水溶性塩が塗布されてなる合成
樹脂成形物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面親水性を有する合
成樹脂成形物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、疎水性を有する合成樹脂基体は、
その疎水性に起因して不具合を生ずる場合があった。例
えば、疎水性を有する合成樹脂基体の代表例である含フ
ッ素樹脂フィルムは、透明性、耐久性、耐候性、防汚性
などに優れており、その特性から塩化ビニル樹脂に替わ
り、農園芸ハウス用フィルムとしても使用され始めてい
る。しかしながら、含フッ素樹脂フィルムを農園芸ハウ
ス用に使用した場合、含フッ素樹脂フィルムは親水性に
乏しいため、ハウス内の水分がフィルム表面に結露し、
その曇りにより太陽光が遮断されたり、ハウス屋根部の
室内フィルム表面に付着した水滴が、フィルムに沿って
流れずに作物の上に落ち、作物に悪影響を与えるといっ
た問題が生じたりする。
【0003】このような問題を解決するために、従来、
フィルムのような合成樹脂基体表面への親水性を付与す
る方法として、シリカ系の界面活性剤を合成樹脂基体表
面に塗布し、乾燥させることで該基体表面を親水性化さ
せる塗膜式の方法が報告されている(例えば、特開昭6
2−179938号公報、特開平5−59202号公
報、特開平5−59203号公報)。しかしながら、こ
れらの方法で得られた親水性の膜では、フッ素樹脂フィ
ルムのような耐用年数の長い合成樹脂基体に用いる場
合、表面の親水性が長期間持続せず、そのために定期的
に塗り直す必要があるなど、コストや手間がかかるとい
う問題があった。
【0004】また、上記シリカ系の界面活性剤に代え
て、水溶性且つ親水性樹脂であるポリビニルアルコール
などの水溶性且つ親水性樹脂の薄膜を、合成樹脂基体表
面に形成する方法も提案されている(例えば、特公昭5
9−51867号公報、特公平1−37268号公報な
ど)が、これらの方法では、農業用フィルムの場合、展
張直後や2年目以降夏季を経て一旦乾燥した後は、ポリ
ビニルアルコール層表面に汚れなどが付着しているため
に、流滴性能の発現が遅れるという問題がある。そのた
めにフィルムの使用前にフィルム表面にポリビニルアル
コールを再塗布してフィルム表面の親水性を向上される
ことも考えられている。
【0005】しかしながら、この方法ではポリビニルア
ルコールは水溶性且つ親水性が高いものの、基体に対し
てもある程度の密着性を有しているために、最表面のポ
リビニルアルコールが水分によって流出しても、フィル
ム表面には不規則にポリビニルアルコールが残存し、そ
のためにフィルム表面が荒れていることから、その荒れ
によって逆に流滴性が低下するという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
前記問題点を解決するものであり、展張直後や基体の表
面に汚れなどが付着している状態でも短時間で流滴性が
発現するという優れた初期流滴性を有し、且つ優れた流
滴性が長期間持続される合成樹脂成形物の提供を目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、疎水性を有す
る合成樹脂基体上に、少なくともSiを含む金属の酸化
物からなる薄膜(以下珪素酸化物系薄膜という)が乾式
法により形成され、さらに該薄膜表面に水溶性塩が塗布
されてなることを特徴とする合成樹脂成形物を提供す
る。
【0008】本発明においては、親水性に優れた珪素酸
化物系薄膜の表面に、水溶性が高く且つ洗浄能力のある
水溶性塩が塗布されているので、本発明の成形物が湿度
の高い雰囲気に置かれると、直ちに最表面の水溶性塩が
吸湿し、吸湿水に水溶性塩が溶解し且つ表面の汚れ(存
在する場合)とともに、水溶性塩がフィルムに沿って流
下し、これにより初期流滴性が発現する。その後は親水
性に優れた珪素酸化物系薄膜が持続的な流滴性を発揮す
る。
【0009】
【発明の実施の形態】次に好ましい実施の形態を挙げて
本発明をさらに詳しく説明する。本発明で用いる疎水性
を有する合成樹脂基体としては、特に限定されず、疎水
性を有する熱可塑性合成樹脂または疎水性を有する熱硬
化性合成樹脂のいずれでも用いうる。
【0010】熱可塑性合成樹脂としては、例えば、含フ
ッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ
エステル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、オレ
フィン系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルイミ
ド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケト
ン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン
樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレンナフタレート
樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ABS樹脂、酢酸ビニ
ル樹脂、またはポリスチレン樹脂などが挙げられる。
【0011】これらのうち、含フッ素樹脂、アクリル樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリア
ミド樹脂、塩化ビニル樹脂、およびオレフィン系樹脂
は、透明性や成形性の点から好ましく、特に含フッ素樹
脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリエ
ステル樹脂が好ましい。さらに、含フッ素樹脂は、透明
性、耐久性、耐候性、防汚性などに優れ、また、酸素含
有雰囲気中での成膜においても変性しないことから特に
好ましい。ここで、含フッ素樹脂とは、樹脂の分子構造
式中にフッ素を含む熱可塑性樹脂を指す。具体的には、
例えば、テトラフルオロエチレン系樹脂、クロロトリフ
ルオロエチレン系樹脂、フッ化ビニリデン系樹脂、フッ
化ビニル系樹脂、またはこれら樹脂の複合物などであ
る。特に疎水性の点からはテトラフルオロエチレン系樹
脂が好ましい。
【0012】テトラフルオロエチレン系樹脂としては、
具体的には、例えば、テトラフルオロエチレン樹脂(P
TFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロ(ア
ルコキシエチレン)共重合体(PFA)、テトラフルオ
ロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・パーフルオロ
(アルコキシエチレン)共重合体(EPE)、テトラフ
ルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体
(FEP)、またはテトラフルオロエチレン・エチレン
共重合体(ETFE)などが挙げられる。これらのう
ち、PFA、ETFE、FEPまたはEPEが成形性の
点から好ましく、特にETFEが好ましい。ETFE
は、エチレンおよびテトラフルオロエチレンを主体とす
るものであって、必要に応じて少量のコモノマー成分を
共重合させたものであってもよい。
【0013】コモノマー成分としては、テトラフルオロ
エチレンおよびエチレンと共重合可能なモノマー、例え
ば、次記の化合物が挙げられる。CF2=CFCl、C
2=CH2などのフルオロエチレン類、CF2=CFC
3 、CF2=CHCF3などのフルオロプロピレン類、
CH2=CHC25、CH2=CHC49、CH2=CF
49、CH2=CF(CF23Hなどのフルオロアル
キル基の炭素数が2〜10のフルオロアルキルエチレン
類、CF2=CFO(CF2CFXO)mRf(式中Rfは
炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基、Xはフッ素原
子またはトリフルオロメチル基、mは1〜5の整数を示
す)などのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)
類、CF2=CFOCF2CF2CF2COOCH3やCF2
=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2Fなど
の容易にカルボン酸基やスルホン酸基に変換可能な基を
有するビニルエーテル類など。
【0014】ETFE中のエチレン/テトラフルオロエ
チレンのモル比は、40/60〜70/30、特に40
/60〜60/40が好ましい。また、コモノマー成分
の含有量は、全モノマーに対して0.3〜10モル%、
特に0.3〜5モル%が好ましい。クロロトリフルオロ
エチレン系樹脂としては、具体的には、例えば、クロロ
トリフルオロエチレンホモポリマー(CTFE)、また
はエチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(E
CTFE)などが挙げられる。本発明においては、上記
の含フッ素樹脂を主成分とし、他の熱可塑性樹脂を含有
した混合系の樹脂も好ましく用いられる。
【0015】熱硬化性合成樹脂としては、例えば、メラ
ミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、フラン樹脂、
アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフ
タレート樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、ポリイミド樹脂、またはポリパラバン酸樹脂な
どが挙げられる。本発明において用いられる合成樹脂基
体の状態は、特に限定されない。フィルム状、シート状
または板状のものが好ましい。本発明で用いる疎水性を
有する合成樹脂基体の厚みは、可視光透過率の観点から
は薄くする程好ましい一方、強度の観点からは厚くする
程好ましいことから、10〜300μm、特に30〜2
00μmの厚みとすることが好ましい。
【0016】本発明において疎水性の合成樹脂基体の表
面に珪素酸化物系薄膜を形成することにより、該薄膜の
親水性により、疎水性であった合成樹脂表面を親水性に
改質することでができる。その結果、合成樹脂成形物の
流滴性(表面に付着した水滴を流す性質)、防曇性(結
露による曇りを防ぐ性質)、防霧性(フィルム表面に付
着した水滴に起因する霧を防ぐ性質)、帯電防止性(静
電気の帯電を防ぐ性質)、または湿潤性(濡れやすさ)
などが向上する。
【0017】本発明で用いる珪素酸化物系薄膜は、高い
親水性を有しているが、これは、該薄膜層最表面に存在
するSiと大気中に存在する水分とが結合し、Siが親
水性の高いSiOHの状態にあることに起因すると考え
られる。少なくともSiを含む金属の酸化物の具体例と
しては、Siの酸化物(SiOx、x=1.5〜2.
0)、SiとZrとの複合酸化物、SiとTiとの複合
酸化物、SiとTaとの複合酸化物、SiとNbとの複
合酸化物、SiとSnとの複合酸化物、SiとZnとの
複合酸化物などが挙げられ、親水性の長期持続性、材料
コストなどの観点からSiの酸化物が好ましい。また、
親水性の長期持続性、基体との密着性、および生産性の
観点から、SiとSnとの複合酸化物、ZrとSiとの
複合酸化物、SiとTiとの複合酸化物が好ましく、特
にSiとSnとの複合酸化物が好ましい。
【0018】本発明における珪素酸化物系薄膜が、Si
以外の金属を含有する場合には、そのSiの含有割合は
全金属に対してSiが20〜80原子%であることが好
ましく、特に30〜70原子%が好ましい。Siの含有
割合を前記した範囲とすることで、1)含有Siの作用
により、珪素酸化物系薄膜の屈折率が適当に小さくする
ことができ、所望の色調を有する合成樹脂成型物が得ら
れる、2)また、Si以外の金属成分の作用により、珪
素酸化物系薄膜を薄くしても前記した流滴性をはじめと
する各種性能が発現される、3)成膜法として直流スパ
ッタリング法を用いた場合に、形成される珪素酸化物系
薄膜と同様の前記組成範囲の合金ターゲットを用いるこ
とで、アーキングが防止される、などの効果が得られ
る。珪素酸化物系薄膜の対水接触角は、成膜直後から時
間が経るにつれ増大する傾向にあるが、Siの含有割合
が大きい(例えばSiが50原子%以上)ほど前記対水
接触角の経時変化量は小さい。一方、合金ターゲットを
用いる場合に、Siの含有割合が大きくなると、成膜速
度が低下する傾向にあるので、生産性の観点からは、S
iは70原子%以下であることが好ましい。
【0019】本発明において、上記珪素酸化物系薄膜を
得る方法としては、乾式法であれば特に限定されない。
乾式法は、湿式法に比べ、膜が均一に形成でき、成膜さ
れた膜は基体との密着性が高いので、本発明の目的達成
のための重要な構成要件のひとつである。乾式法として
は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD
法、イオンプレーティング法などが挙げられる。特に、
スパッタリング法は、生産性に優れ、工業的に幅広く使
われているとともに、該方法により得られる膜は非常に
緻密で、かつ基体との密着性が高いので好ましい。スパ
ッタリング法としては、直流スパッタリング法、高周波
スパッタリング法のいずれでも使用できる。大面積の基
体に速い成膜速度で効率よく成膜できることから、直流
スパッタリング法が好ましい。
【0020】前記したSiの酸化物からなる薄膜は、S
iターゲットを用い、酸素含有雰囲気中での高周波スパ
ッタリング法により成膜して得られる。また、Siの酸
化物ターゲットを用い、無酸素雰囲気中での高周波スパ
ッタリング法により成膜しても得られる。なお、高周波
スパッタリング法に代えて、間欠的な負の直流電圧をタ
ーゲットに印加するような直流スパッタリング法によっ
ても得られる。また、前記したSiと他の金属との複合
酸化物からなる薄膜については、例えば、SiとSnと
の複合酸化物については、SiとSnとの混合物ターゲ
ットを用い、酸素含有雰囲気中での反応性スパッタリン
グ法により成膜して得られる。
【0021】SiとSnと混合物ターゲットを用いた場
合では、前記のSiターゲットとは異なり、通常の直流
スパッタリング法の使用が可能となり、成膜速度を速く
することができるので、生産性の面で有利である。該タ
ーゲットは、混合物の状態のものでも、合金の状態のも
のでも用いうる。例えば、SiとSnと混合物ターゲッ
トは、SiとSnとの混合物をCIP法(冷間等方プレ
ス法)あるいは温間プレスで成形して得ることができ
る。以上の如く形成される珪素酸化物系薄膜の膜厚は、
前記の流滴性をはじめとする各種性能発現の観点から、
3nm以上であることが好ましい。また、可視光透過性
の維持、合成樹脂基体の可撓性の維持および基体との密
着性の観点から100nm以下、更には30nm以下で
あることが好ましく、特に5〜15nmの範囲が好まし
い。
【0022】本発明では、上記の珪素酸化物系薄膜の表
面に水溶性塩を塗布する。かかる水溶性塩の塗布は、合
成樹脂基体表面における親水性発現に要する時間の短縮
を図るために行う。この水溶性塩の塗布によって形成さ
れる薄膜は、上記珪素酸化物系薄膜よりも一層親水性、
水溶性及び吸湿性に優れ、湿度の高い雰囲気において直
ちに吸湿が始まり、それ自体が吸湿水に溶解し、流滴性
を速やかに発現する。従ってフィルムの展張直後におい
ても流滴性が発現する。また、水溶性塩層に埃などの汚
染物が付着していても、該汚染物よりも水溶性塩が吸湿
性が高いために、汚染物が核となって水滴が発生するこ
ともなく、埃などの汚染物も同様に流出除去される。以
後珪素酸化物系薄膜により継続的な流滴性が維持され
る。
【0023】上記水溶性塩としては、特に限定されない
が、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのハロゲン化
物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、有
機酸塩、ホウ酸塩などの水溶性塩が好ましく用いられ
る。これらの水溶性塩のなかでは、トリポリリン酸ナト
リウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、
炭酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸カリウ
ムなどのアルカリ性塩が、合成樹脂基体に付着した汚染
物に対する洗浄性をも有するとの理由から望ましい。
【0024】上記水溶性塩を前記珪素酸化物系薄膜表面
に塗布するにあたっては、必要であれば該薄膜表面を予
め洗浄し、前記水溶性塩を水溶液としてスプレイ、ディ
ップ、またはロール状の布やスポンジにしみ込ませて前
記薄膜表面に付与するなどの方法がとりうる。上記水溶
性塩の水溶液濃度は0.01モル/リットル前後が塗布
の容易さ、コスト、廃液処理の面で望ましいが、前記薄
膜の種類、用途、汚染の状態により最適値が異なる。
【0025】また、工程上の制約から塗布後の塗布液の
乾燥時間を短くする必要がある場合には1〜10容量%
のエチルアルコールなどの有機溶媒を塗布液に加え、塗
布物を強制的に風乾することにより、乾燥時間を10分
の1以下に短縮することができる。以上の如く形成され
る水溶性塩の被膜の膜厚は、通常固形分塗布量で約0.
01〜100μg/cm、好ましくは約0.1〜20
μg/cmである。塗布量が少なすぎると、本発明の
目的達成が不十分となり、一方、塗布量が多すぎると、
不経済であるばかりでなく、可視光透過率の低下や塗布
物からの粉落ちなどの問題が生じる虞がある。
【0026】尚、本発明においては、上記水溶性塩の塗
布にあたり、塗布液の塗布適性の向上或いは形成される
塗膜の密着性、膜の形状保持性などのために、塗布液に
増粘剤(若しくはバインダー)を添加させうる。増粘剤
としては、水溶性で粘性を適正化できる水溶性高分子、
例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの多
糖類、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム
などの有機酸塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレン
グリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナト
リウムなどが使用できる。特にアルギン酸ナトリウム、
アルギン酸アンモニウムで良好な結果が得られる。
【0027】以上の如くして形成される本発明の合成樹
脂成形物は、例えば、ショーケース、計器、車両、一般
家庭、またはビルに使用される窓、ブラインド、壁紙、
浴漕、浴室内壁、厨房内壁、ガスコンロ天板などの用途
として、あるいは、包装資材、ゴーグル、眼鏡レンズ、
鏡、カーブミラー、パラボラアンテナなどの用途として
用いられる。特に農業用施設や農園芸ハウス(フィルム
被覆型ハウスや硬質板被覆型ハウス)の被覆材などの用
途として有効に用いられる。
【0028】
【実施例】
[例1]合成樹脂基体としてETFEのフィルム(厚さ
60μm)を用意した。スパッタリング装置内で、10
cm角のガラス板に10cm角の上記フィルム片を固定
した基板を陽極側にセットし、SiとSnとの混合物
(原子比50:50)のターゲットを陰極側にセットす
る。装置内を10-6Torr台まで真空排気した後、ア
ルゴンと酸素を流量比1:4で装置内に導入し、スパッ
タリングガス圧が5×10-3Torrになるように調節
する。直流電源を用いて電力密度2.75W/cm
基板回転を2rpmとし、スパッタリングを行い、Si
とSnとの酸化物薄膜(膜厚約15nm)をフィルム表
面に形成した。
【0029】次に上記酸化物薄膜の全面に、トリポリリ
ン酸ナトリウムの水溶液(濃度0.01モル/リット
ル)を固形分で約0.2μg/mになる割合で塗布及
び乾燥した。得られた合成樹脂成形物の表面層の親水性
の度合いをみるために、膜面の水に対する接触角(以
下、単に接触角という)を測定した結果(初期接触角)
と、湿度10%温度30℃に24時間保存後の接触角を
測定した結果を表1に示す。 [例2]例1における水溶性塩を四ホウ酸ナトリウムに
代えた以外は例1と同様に行った。得られた合成樹脂成
形物について、例1と同様に測定した結果を表1に示
す。
【0030】[例3]例1における直流電源を高周波電
源に代え、ターゲットをSiターゲットに代えた以外は
例1と同様に行った。得られた合成樹脂成形物につい
て、例1と同様に測定した結果を表1に示す。 [例4]例1において水溶性塩の塗布を行わなかった以
外は例1と同様にして同様に接触角を測定した結果を表
1に示す。
【0031】
【表1】 表1に示されるように、例4に比べて例1〜3の初期接
触角及び24時間後の接触角はいずれも著しく優れてお
り、得られたフィルムの表面が優れた親水性を有するこ
とが確認された。
【0032】[例5]本発明の合成樹脂成形物の表面層
の親水性の持続性、すなわち流滴性をみるために以下の
実験を行った。例1においては、スパッタリング装置内
を3×10-5Torrまで真空排気後、アルゴンと酸素
とを流量比1:4で容器内に導入し、スパッタリングガ
ス圧を2.4×10-3Torr、電力密度2.2W/c
とし、SiとSnとの酸化物薄膜(膜厚約6nm)
を成膜した以外は例1と同様に行い、合成樹脂成形物を
得た。
【0033】得られた合成樹脂成形物について、親水性
の長期持続性をみるために、加速試験として80℃ビー
カー試験を行った。80℃ビーカー試験とは、水溶性塩
層を有する酸化物薄膜面をビーカーの内側に向けて、8
0℃の湯の入ったビーカーの口に張り付け、該ビーカー
を温度80℃の定温湯浴に浸すものである。親水性が失
われ、薄膜面上に結露が生じるまでの期間を測定し、膜
の状態を観察した。以上の結果を表2に示す。
【0034】[例6]例5における酸化物薄膜に代え
て、コロイダルシリカ(触媒化成工業(株)製OSCA
L)と、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチ
ルトリメトキシシランと、ポリオキシエチレン−ラウリ
ルエーテルとからなる混合物(固形分重量比=80:1
0:10)のエタノール分散溶液(固形分濃度=15重
量%)を塗布して形成したシリカ薄膜を用いて、例5と
同様の測定及び観察を行った。結果を表2に示す。表2
に示されるように、比較例である例6は、例5に比べ、
親水性の長期持続性おいて劣るものであった。
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、親水性に優れた珪素酸
化物系薄膜の表面に、水溶性が高く且つ洗浄能力のある
水溶性塩が塗布されているので、本発明の成形物が湿度
の高い雰囲気に置かれると、直ちに最表面の水溶性塩が
吸湿し、吸湿水に水溶性塩が溶解し且つ表面の汚れ(存
在する場合)とともに、水溶性塩がフィルムに沿って流
下し、これにより初期流滴性が発現する。その後は親水
性に優れた珪素酸化物系薄膜が持続的な流滴性を発揮す
るという優れた効果が奏される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/30 B32B 27/30 D C08J 7/06 CEW C08J 7/06 CEWD C23C 14/08 C23C 14/08 K

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】疎水性を有する合成樹脂基体上に、少なく
    ともSiを含む金属の酸化物からなる薄膜が乾式法によ
    り形成され、さらに該薄膜表面に水溶性塩が塗布されて
    なることを特徴とする合成樹脂成形物。
  2. 【請求項2】前記薄膜が、Siの酸化物からなる薄膜で
    ある請求項1記載の合成樹脂成形物。
  3. 【請求項3】前記薄膜が、SiとSnとの酸化物からな
    る薄膜である請求項1記載の合成樹脂成形物。
  4. 【請求項4】前記乾式法が、スパッタリング法である請
    求項1〜3いずれか1項記載の合成樹脂成形物。
  5. 【請求項5】前記合成樹脂基体が、含フッ素樹脂である
    請求項1〜4いずれか1項記載の合成樹脂成形物。
  6. 【請求項6】前記合成樹脂成形物が、農園芸ハウス用被
    覆材である請求項1〜5いずれか1項記載の合成樹脂成
    形物。
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