JP3520681B2 - 合成樹脂成形物 - Google Patents
合成樹脂成形物Info
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Description
成樹脂成形物に関する。
その疎水性に起因して不具合を生ずる場合があった。例
えば、疎水性を有する合成樹脂基体の代表例である含フ
ッ素樹脂フィルムは、透明性、耐久性、耐候性、防汚性
などに優れており、その特性から塩化ビニル樹脂の代わ
りに農園芸ハウス用フィルムとしても使用され始めてい
る。しかしながら、含フッ素樹脂フィルムを農園芸ハウ
ス用に使用した場合、含フッ素樹脂フィルムは親水性に
乏しいため、ハウス内の水分がフィルム表面に結露し、
その曇りにより太陽光が遮断されたり、ハウス屋根部の
室内フィルム表面に付着した水滴が、フィルムに沿って
流れずに作物の上に落ち、作物に悪影響を与えるといっ
た問題が生じたりする。
フィルムのような合成樹脂基体表面に親水性を付与する
方法として、シリカ系の界面活性剤を合成樹脂基体表面
に塗布し、乾燥させることで該基体表面を親水性化させ
る塗膜式の方法が報告されている(例えば、特開昭62
−179938号公報、特開平5−59202号公報、
特開平5−59203号公報)。しかしながら、これら
の方法で得られた親水性の膜では、フッ素樹脂フィルム
のような耐用年数の長い合成樹脂基体に用いる場合、表
面の親水性が長期間持続せず、そのために定期的に塗り
直す必要があるなど、コストや手間がかかるという問題
があった。
て、水溶性かつ親水性樹脂であるポリビニルアルコール
などの水溶性かつ親水性樹脂の薄膜を、合成樹脂基体表
面に形成する方法も提案されている(例えば、特公昭5
9−51867号公報、特公平1−37268号公報な
ど)が、これらの方法では、農業用フィルムの場合、展
張直後や2年目以降夏季を経て一旦乾燥した後は、ポリ
ビニルアルコール層表面に汚れなどが付着しているため
に、流滴性能の発現が遅れるという問題がある。そのた
めにフィルムの使用前にフィルム表面にポリビニルアル
コールを再塗布してフィルム表面の親水性を向上させる
ことも考えられている。
ルコールは水溶性かつ親水性が高いものの、基体に対し
てもある程度の密着性を有しているために、最表面のポ
リビニルアルコールが水分によって流出しても、フィル
ム表面には不規則にポリビニルアルコールが残存し、そ
のためにフィルム表面が荒れていることから、その荒れ
によって逆に流滴性が低下するという問題がある。
前記問題点を解決するものであり、展張直後や基体の表
面に汚れなどが付着している状態でも短時間で流滴性が
発現するという優れた初期流滴性を有し、かつ優れた流
滴性が長期間持続する合成樹脂成形物の提供を目的とす
る。
る合成樹脂基体上に、全金属に対してSiの含有割合が
30〜70原子%であるSiとSnとの酸化物からなる
薄膜(以下ケイ素酸化物系薄膜という)が乾式法により
形成され、さらに該薄膜表面に水溶性塩が塗布されてな
ることを特徴とする合成樹脂成形物を提供する。
酸化物系薄膜の表面に、水溶性が高くかつ洗浄能力のあ
る水溶性塩が塗布されているので、本発明の成形物が湿
度の高い雰囲気に置かれると、直ちに最表面の水溶性塩
が吸湿し、吸湿水に水溶性塩が溶解しかつ表面の汚れ
(存在する場合)とともに、水溶性塩がフィルムに沿っ
て流下し、これにより初期流滴性が発現する。その後は
親水性に優れたケイ素酸化物系薄膜が持続的な流滴性を
発揮する。
本発明をさらに詳しく説明する。本発明で用いる疎水性
を有する合成樹脂基体としては、特に限定されず、疎水
性を有する熱可塑性合成樹脂でも疎水性を有する熱硬化
性合成樹脂でも用いうる。
ッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ
エステル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、オレ
フィン系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルイミ
ド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケト
ン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン
樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレンナフタレート
樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ABS樹脂、酢酸ビニ
ル樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリア
ミド樹脂、塩化ビニル樹脂、及びオレフィン系樹脂は、
透明性や成形性の点から好ましく、特に含フッ素樹脂、
アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂及びポリエステル
樹脂が好ましい。さらに、含フッ素樹脂は、透明性、耐
久性、耐候性、防汚性などに優れ、また、酸素含有雰囲
気中での成膜においても変性しないことから特に好まし
い。ここで、含フッ素樹脂とは、樹脂の分子構造式中に
フッ素を含む熱可塑性樹脂を指す。具体的には、例え
ば、テトラフルオロエチレン系樹脂、クロロトリフルオ
ロエチレン系樹脂、フッ化ビニリデン系樹脂、フッ化ビ
ニル系樹脂、これら樹脂の複合物などである。特に疎水
性の点からはテトラフルオロエチレン系樹脂が好まし
い。
具体的には、例えば、テトラフルオロエチレン樹脂(P
TFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロ(ア
ルコキシエチレン)共重合体(PFA)、テトラフルオ
ロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・パーフルオロ
(アルコキシエチレン)共重合体(EPE)、テトラフ
ルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体
(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合
体(ETFE)などが挙げられる。これらのうち、PF
A、ETFE、FEP及びEPEが成形性の点から好ま
しく、特にETFEが好ましい。ETFEは、エチレン
単位及びテトラフルオロエチレン単位を主体とするもの
であって、必要に応じて少量の他のコモノマー成分を共
重合させたものであってもよい。
オロエチレン及びエチレンと共重合可能なモノマー、例
えば、次記の化合物が挙げられる。CF2=CFCl、
CF2=CH2などのフルオロエチレン類、CF2=CF
CF3、CF2=CHCF3などのフルオロプロピレン
類、CH2=CHC2F5、CH2=CHC4F9、CH2=
CFC4F9、CH2=CF(CF2)3Hなどのフルオロア
ルキル基の炭素数が2〜10のフルオロアルキルエチレ
ン類、CF2=CFO(CF2CFXO)mRf(式中Rf
は炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基、Xはフッ素
原子又はトリフルオロメチル基、mは1〜5の整数を示
す)などのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)
類、CF2=CFOCF2CF2CF2COOCH3やCF2
=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2Fなどの
容易にカルボン酸基やスルホン酸基に変換可能な基を有
するビニルエーテル類など。
ロエチレン単位のモル比は、40/60〜70/30、
特に40/60〜60/40が好ましい。また、他のコ
モノマー単位の含有量は、全モノマー単位に対して0.
3〜10モル%、特に0.3〜5モル%が好ましい。ク
ロロトリフルオロエチレン系樹脂としては、具体的に
は、例えば、クロロトリフルオロエチレンホモポリマー
(CTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン
共重合体(ECTFE)などが挙げられる。本発明にお
いては、上記の含フッ素樹脂を主成分とし、他の熱可塑
性樹脂を含有した混合系の樹脂も好ましく用いられる。
ミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、フラン樹脂、
アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフ
タレート樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリパラバン酸樹脂などが挙
げられる。本発明において用いられる合成樹脂基体の形
状は、特に限定されない。フィルム状、シート状又は板
状のものが好ましい。本発明で用いる疎水性を有する合
成樹脂基体の厚さは、可視光透過率の観点からは薄くす
る程好ましい一方、強度の観点からは厚くする程好まし
いことから、10〜300μm、特に30〜200μm
の厚さとすることが好ましい。
面にケイ素酸化物系薄膜を形成することにより、該薄膜
の親水性により、疎水性であった合成樹脂表面を親水性
に改質することができる。その結果、合成樹脂成形物の
流滴性(表面に付着した水滴を流す性質)、防曇性(結
露による曇りを防ぐ性質)、防霧性(フィルム表面に付
着した水滴に起因する霧を防ぐ性質)、帯電防止性(静
電気の帯電を防ぐ性質)、湿潤性(濡れやすさ)などが
向上する。
い親水性を有しているが、これは、該薄膜層最表面に存
在するSiと大気中に存在する水分とが結合し、Siが
親水性の高いSiOHの状態にあることに起因すると考
えられる。少なくともSiを含む金属の酸化物は、Si
とSnとの複合酸化物である。また、親水性の長期持続
性、基体との密着性、及び生産性の観点からSiとSn
との複合酸化物が好ましい。
そのSiの含有割合は全金属に対してSiが30〜70
原子%である。Siの含有割合を前記した範囲とするこ
とで、1)含有Siの作用により、ケイ素酸化物系薄膜
の屈折率を適当に小さくすることができ、所望の色調を
有する合成樹脂成形物が得られる、2)また、Si以外
の金属成分の作用により、ケイ素酸化物系薄膜を薄くし
ても前記した流滴性をはじめとする各種性能が発現され
る、3)成膜法として直流スパッタリング法を用いた場
合に、形成されるケイ素酸化物系薄膜と同様の前記組成
範囲の合金ターゲットを用いることで、アーキングが防
止される、などの効果が得られる。ケイ素酸化物系薄膜
の対水接触角は、成膜直後から時間が経るにつれ増大す
る傾向にあるが、Siの含有割合が大きい(例えばSi
が50原子%以上)程前記対水接触角の経時変化量は小
さい。一方、合金ターゲットを用いる場合に、Siの含
有割合が大きくなると、成膜速度が低下する傾向にある
ので、生産性の観点からは、Siは70原子%以下であ
ることが好ましい。
を得る方法としては、乾式法であれば特に限定されな
い。乾式法は、湿式法に比べ、膜が均一に形成でき、成
膜された膜は基体との密着性が高いので、本発明の目的
達成のための重要な構成要件のひとつである。乾式法と
しては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、CV
D法、イオンプレーティング法などが挙げられる。特
に、スパッタリング法は、生産性に優れ、工業的に幅広
く使われているとともに、該方法により得られる膜は非
常に緻密で、かつ基体との密着性が高いので好ましい。
スパッタリング法としては、直流スパッタリング法、高
周波スパッタリング法のいずれでも使用できる。大面積
の基体に速い成膜速度で効率よく成膜できることから、
直流スパッタリング法が好ましい。
る薄膜については、SiとSnとの混合物ターゲットを
用い、酸素含有雰囲気中での反応性スパッタリング法に
より成膜して得られる。
場合では、Siターゲットとは異なり、通常の直流スパ
ッタリング法の使用が可能となり、成膜速度を速くする
ことができるので、生産性の面で有利である。該ターゲ
ットは、混合物の状態のものでも、合金の状態のもので
も用いうる。例えば、SiとSnとの混合物ターゲット
は、SiとSnとの混合物をCIP法(冷間等方プレス
法)又は温間プレスで成形して得ることができる。以上
のごとく形成されるケイ素酸化物系薄膜の膜厚は、前記
の流滴性をはじめとする各種性能発現の観点から、3n
m以上であることが好ましい。また、可視光透過性の維
持、合成樹脂基体の可撓性の維持及び基体との密着性の
観点から100nm以下、更には30nm以下であるこ
とが好ましく、特に5〜15nmの範囲が好ましい。
表面に水溶性塩を塗布する。かかる水溶性塩の塗布は、
合成樹脂基体表面における親水性発現に要する時間の短
縮を図るために行う。この水溶性塩の塗布によって形成
される薄膜は、上記ケイ素酸化物系薄膜よりも一層親水
性、水溶性及び吸湿性に優れ、湿度の高い雰囲気におい
て直ちに吸湿が始まり、それ自体が吸湿水に溶解し、流
滴性を速やかに発現する。したがってフィルムの展張直
後においても流滴性が発現する。また、水溶性塩層に埃
などの汚染物が付着していても、該汚染物よりも水溶性
塩が吸湿性が高いために、汚染物が核となって水滴が発
生することもなく、埃などの汚染物も同様に流出除去さ
れる。以後ケイ素酸化物系薄膜により継続的な流滴性が
維持される。
が、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのハロゲン化
物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、有
機酸塩、ホウ酸塩などの水溶性塩が好ましく用いられ
る。これらの水溶性塩のなかでは、トリポリリン酸ナト
リウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、
炭酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸カリウ
ムなどのアルカリ性塩が、合成樹脂基体に付着した汚染
物に対する洗浄性をも有するとの理由から望ましい。
面に塗布するにあたっては、必要であれば該薄膜表面を
あらかじめ洗浄し、前記水溶性塩を水溶液としてスプレ
イ、ディップ、又はロール状の布やスポンジにしみ込ま
せて前記薄膜表面に付与するなどの方法がとりうる。上
記水溶性塩の水溶液濃度は0.01モル/リットル前後
が塗布の容易さ、コスト、廃液処理の面で望ましいが、
前記薄膜の種類、用途、汚染の状態により最適値が異な
る。
乾燥時間を短くする必要がある場合には1〜10容量%
のエチルアルコールなどの有機溶媒を塗布液に加え、塗
布物を強制的に風乾することにより、乾燥時間を10分
の1以下に短縮することができる。以上のごとく形成さ
れる水溶性塩の被膜の膜厚は、通常固形分塗布量で約
0.01〜100μg/cm2、好ましくは約0.1〜
20μg/cm2である。塗布量が少なすぎると、本発
明の目的達成が不十分となり、一方、塗布量が多すぎる
と、不経済であるばかりでなく、可視光透過率の低下や
塗布物からの粉落ちなどの問題が生じるおそれがある。
塗布にあたり、塗布液の塗布適性の向上、形成される塗
膜の密着性、膜の形状保持性などのために、塗布液に増
粘剤(又はバインダー)を添加させうる。増粘剤として
は、水溶性で粘性を適正化できる水溶性高分子、例え
ば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、カルボキシメチルセルロースなどの多糖
類、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウムな
どの有機酸塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレング
リコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリ
ウムなどが使用できる。特にアルギン酸ナトリウム、ア
ルギン酸アンモニウムで良好な結果が得られる。
樹脂成形物は、例えば、ショーケース、計器、車両、一
般家庭、若しくはビルに使用される窓、ブラインド、壁
紙、浴槽、浴室内壁、厨房内壁、ガスコンロ天板などの
用途として、又は、包装資材、ゴーグル、眼鏡レンズ、
鏡、カーブミラー、パラボラアンテナなどの用途として
用いられる。特に農業用施設や農園芸ハウス(フィルム
被覆型ハウスや硬質板被覆型ハウス)の被覆材などの用
途として有効に用いられる。
m)を用意した。スパッタリング装置内で、10cm角
のガラス板に10cm角の上記フィルム片を固定した基
板を陽極側にセットし、SiとSnとの混合物(原子比
50:50)のターゲットを陰極側にセットした。装置
内を10-6Torr台まで真空排気した後、アルゴンと
酸素を流量比1:4で装置内に導入し、スパッタリング
ガス圧が5×10-3Torrになるように調節した。直
流電源を用い、電力密度を2.75W/cm2、基板回
転を2rpmとしてスパッタリングを行い、SiとSn
との酸化物薄膜(膜厚約15nm)をフィルム表面に形
成した。
ン酸ナトリウムの水溶液(濃度0.01モル/リット
ル)を固形分が約0.2μg/m2になる割合で塗布及
び乾燥した。得られた合成樹脂成形物の表面層の親水性
の度合いをみるために、膜面の水に対する接触角(以
下、単に接触角という)を測定した結果(初期接触角)
と、湿度10%・温度30℃に24時間保存後の接触角
を測定した結果を表1に示す。 [例2] 例1における水溶性塩を四ホウ酸ナトリウムに変えた以
外は例1と同様に行った。得られた合成樹脂成形物につ
いて、例1と同様に測定した結果を表1に示す。
と同様にして同様に接触角を測定した結果を表1に示
す。
〜2の初期接触角及び24時間後の接触角はいずれも著
しく優れており、得られたフィルムの表面が優れた親水
性を有することが確認された。
なわち流滴性をみるために以下の実験を行った。例1に
おいて、スパッタリング装置内を3×10-5Torrま
で真空排気後、アルゴンと酸素を流量比1:4で容器内
に導入し、スパッタリングガス圧を2.4×10-3To
rr、電力密度を2.2W/cm2とし、SiとSnと
の酸化物薄膜(膜厚約6nm)を成膜した以外は例1と
同様に行い、合成樹脂成形物を得た。
の長期持続性をみるために、加速試験として80℃ビー
カー試験を行った。80℃ビーカー試験とは、水溶性塩
層を有する酸化物薄膜面をビーカーの内側に向けて、8
0℃の湯の入ったビーカーの口に張り付け、該ビーカー
を温度80℃の定温湯浴に浸すものである。親水性が失
われ、薄膜面上に結露が生じるまでの期間を測定し、膜
の状態を観察した。以上の結果を表2に示す。
(触媒化成工業(株)製OSCAL)と、β−(3,4
−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
と、ポリオキシエチレン−ラウリルエーテルとからなる
混合物(固形分重量比=80:10:10)のエタノー
ル分散溶液(固形分濃度=15重量%)を塗布して形成
したシリカ薄膜を用いて、例4と同様の測定及び観察を
行った。結果を表2に示す。表2に示されるように、比
較例である例5は、例4に比べ、親水性の長期持続性に
おいて劣るものであった。
酸化物系薄膜の表面に、水溶性が高くかつ洗浄能力のあ
る水溶性塩が塗布されているので、本発明の成形物が湿
度の高い雰囲気に置かれると、直ちに最表面の水溶性塩
が吸湿し、吸湿水に水溶性塩が溶解しかつ表面の汚れ
(存在する場合)とともに、水溶性塩がフィルムに沿っ
て流下し、これにより初期流滴性が発現する。その後は
親水性に優れたケイ素酸化物系薄膜が持続的な流滴性を
発揮するという優れた効果が奏される。
Claims (4)
- 【請求項1】疎水性を有する合成樹脂基体上に、全金属
に対してSiの含有割合が30〜70原子%であるSi
とSnとの酸化物からなる薄膜が乾式法により形成さ
れ、さらに該薄膜表面に水溶性塩が塗布されてなること
を特徴とする合成樹脂成形物。 - 【請求項2】前記乾式法が、スパッタリング法である請
求項1記載の合成樹脂成形物。 - 【請求項3】前記合成樹脂基体が、含フッ素樹脂である
請求項1または2記載の合成樹脂成形物。 - 【請求項4】前記合成樹脂成形物が、農園芸ハウス用被
覆材である請求項1〜3いずれか1項記載の合成樹脂成
形物。
Priority Applications (1)
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JP21690796A JP3520681B2 (ja) | 1996-07-31 | 1996-07-31 | 合成樹脂成形物 |
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JPH1044300A JPH1044300A (ja) | 1998-02-17 |
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JP21690796A Expired - Fee Related JP3520681B2 (ja) | 1996-07-31 | 1996-07-31 | 合成樹脂成形物 |
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JP4581650B2 (ja) * | 2004-11-26 | 2010-11-17 | 旭硝子株式会社 | 合成樹脂成形物の製造方法 |
-
1996
- 1996-07-31 JP JP21690796A patent/JP3520681B2/ja not_active Expired - Fee Related
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