JP2000075104A - 防曇光学物品およびその製造方法 - Google Patents

防曇光学物品およびその製造方法

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JP2000075104A
JP2000075104A JP10248329A JP24832998A JP2000075104A JP 2000075104 A JP2000075104 A JP 2000075104A JP 10248329 A JP10248329 A JP 10248329A JP 24832998 A JP24832998 A JP 24832998A JP 2000075104 A JP2000075104 A JP 2000075104A
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water
absorbing
optical article
film
water absorptive
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Hideyuki Hatakeyama
英之 畠山
Hideo Ukuta
秀雄 宇久田
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種レンズ、ミラー等、光学物品の表面結露
によるくもりを防止し、かつ面精度および耐久性を兼ね
備えた防曇光学物品を提供する。 【解決手段】 光学物品基材上に吸水性膜を形成した防
曇光学物品において、前記吸水性膜が2層以上の多層構
成からなり、各層が以下の1〜6のいずれかの吸水性膜
からなる、防曇光学物品。 1.吸水性高分子からなる吸水性膜 2.吸水性高分子の架橋物からなる吸水性膜 3.2種以上の吸水性高分子の混合物からなる吸水性膜 4.2種以上の吸水性高分子の架橋物からなる吸水性膜 5.吸水性高分子と無機物との混合物からなる吸水性膜 6.吸水性高分子と無機物との架橋物からなる吸水性膜

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカメラレンズ、レン
ズフィルター、接眼レンズ、ミラー等の光学物品に関
し、特に光学物品の表面結露によるくもりを防止した防
曇光学物品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、レンズ、レンズフィルター、ミラ
ー等のくもり防止といえば、表面に界面活性剤を塗布す
るのが一般的である。
【0003】しかしながら、前記従来のくもり防止手法
には次のような問題点がある。
【0004】まず、くもり防止として界面活性剤を用い
た場合、その効果の持続力は極めて短く、数時間、もし
くは数日で、再び界面活性剤を塗布しなければ、その効
果を持続することができない。また水等で光学物品の汚
れを拭いた場合、界面活性剤の膜がとれてしまい、その
効果がなくなってしまう。
【0005】そのため、最近では、界面活性剤に代わっ
て、吸水性の物質を光学物品基材上に塗布成膜すること
により、くもり防止を行うことも知られている。
【0006】従来、吸水性物質といえば、天然高分子の
誘導体としては、デンプン-アクリロニトリルグラフト
重合体加水分解物のようなデンプン系、セルロース-ア
クリロニトリルグラフト重合体のようなセルロース系、
また合成高分子類としては、ポリビニルアルコール架橋
重合体のようなポリビニルアルコール系、ポリアクリル
酸ナトリウム架橋体にようなアクリル系、ポリエチレン
グリコール・ジアクリレート架橋重合体のようなポリエ
ーテル系等が知られている。
【0007】本発明者等は、前記吸水性高分子、吸水性
高分子架橋物、2種以上の吸水性高分子の混合物、2種
以上の吸水性高分子の架橋物、吸水性高分子と無機物と
の混合物、吸水性高分子と無機物との架橋物のいずれか
からなる吸水性膜を光学物品基材上に形成することによ
り耐久性に優れた防曇光学物品が得られることをすでに
見出している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記吸
水性高分子、吸水性高分子架橋物、2種以上の吸水性高
分子の混合物、2種以上の吸水性高分子の架橋物、吸水
性高分子と無機物との混合物、吸水性高分子と無機物と
の架橋物のいずれかを含む溶液を塗工液として用いて耐
久性に優れた前記吸水性膜を光学物品基材上に形成する
場合、より高度な面精度に対する要求を満たすための技
術の提供が未解決の課題として残されていた。
【0009】本発明者等の検討によれば、従来公知の成
膜方法では、前記課題を解決して防曇性と耐久性を兼ね
備えつつ、より高度な面精度を達成した防曇光学物品を
得ることは困難な場合が多い。
【0010】すなわち、前記吸水性膜を成膜するための
塗工液の粘度が高いと、ディップコート法により吸水性
膜を形成する際、膜厚は厚くなり防曇性に優れた吸水性
膜を得ることができる反面、より高度な面精度を得るに
は限界がある場合が多い。
【0011】また、逆に前記吸水性膜を成膜するための
塗工液の粘度が低いと、ディップコート法により形成し
た吸水性膜の面精度は光学物品として使用するのに十分
であるが、吸水性膜の膜厚は薄くなり、より良い防曇性
が得られない場合がある。
【0012】本発明の課題は、製造方法に工夫を加える
ことで防曇性と面精度および耐久性を兼ね備えた、防曇
光学物品を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の前記課題は以下
の手段によって達成される。
【0014】すなわち、光学物品基材上に吸水性膜を形
成した防曇光学物品において、前記吸水性膜が2層以上
の多層構成からなり、各層が以下の1〜6のいずれかの
吸水性膜からなる、防曇光学物品を提供することであ
る。 1.吸水性高分子からなる吸水性膜 2.吸水性高分子の架橋物からなる吸水性膜 3.2種以上の吸水性高分子の混合物からなる吸水性膜 4.2種以上の吸水性高分子の架橋物からなる吸水性膜 5.吸水性高分子と無機物との混合物からなる吸水性膜 6.吸水性高分子と無機物との架橋物からなる吸水性膜 また、前記の防曇光学物品を用いた、カメラレンズ、レ
ンズフィルター、接眼レンズ、ミラー等の光学物品を提
供することである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の吸水性膜の原料となる吸
水性高分子としては、以下に示す従来公知の各種高分子
が利用可能である。すなわち、天然高分子の誘導体とし
ては、デンプン-アクリロニトリルグラフト重合体加水
分解物のようなデンプン系、セルロース-アクリロニト
リルグラフト重合体のようなセルロース系があり、また
合成高分子類としては、ポリビニルアルコール架橋重合
体のようなポリビニルアルコール系、ポリアクリル酸ナ
トリウム架橋体のようなアクリル系、ポリエチレングリ
コール・ジアクリレート架橋重合体のようなポリエーテ
ル系等がある。中でもポリアクリル酸類やポリビニルア
ルコール等の高吸水性物質が好適に用いられる。
【0016】本発明に用いられるポリアクリル酸類とし
ては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリ
ルアミド、これらの塩類(ポリアクリル酸カリウム、ポ
リアクリル酸ナトリウムなど)が挙げられ、好ましく
は、ポリアクリル酸、およびポリメタクリル酸が用いら
れる。
【0017】ポリアクリル酸類の平均分子量は数平均分
子量3,000〜1,500,000、特には50,000
〜750,000が好ましい。
【0018】また、吸水性高分子として、無機アルコキ
シドの加水分解物の重縮合反応を少なくともポリアクリ
ル酸類の存在下で生じさせて得られるものも好適であ
る。
【0019】防曇性の反射防止膜を形成するに用いられ
る無機アルコキシドの好適な化合物としては、次式(I)
および(II)で示される化合物が挙げられる。
【0020】 M(OR)a・・・(I) および M(OR)n(X)a-n・・・(II) ここでMは、Si、Al、Ti、Zr、Ca、Fe、V、S
n、Li、Be、BおよびPからなる群から選択される原
子であり、Rは、アルキル基であり、Xは、アルキル
基、官能基を有するアルキル基、またはハロゲンであ
り、aは、Mの原子価であり、そしてnは、1からaまでの
整数である。
【0021】上記Xとしては、カルボニル基、カルボキ
シル基、アミノ基、ビニル基、またはエポキシ基を有す
るアルキル基が好適である。
【0022】特に好適な無機アルコキシドとしては、S
i(OC25)4、Al(O-iso-C37) 3、Ti(O-iso-C3
7)4、Zr(O-t-C49)4、Zr(O-n-C49)4、Ca
(OC25)2、Fe(OC25)3、V(O-iso-C37)4
Sn(O-t-C49)4、Li(OC25)、Be(OC25)2
B(OC25)3、P(OC25)2、およびP(OCH3)3
どが挙げられる。
【0023】本発明の吸水性膜を形成する対象となる光
学物品としては、各種レンズやミラーが挙げられる。す
なわち、十分な強度をもち、表面に十分な平滑性と面精
度をもち、かつ十分な透光性を有していればいかなる材
質のものでもよい。具体的にはソーダガラス、カリガラ
ス、フリントガラスなどの各種ガラス、石英などの透光
性結晶、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(P
C)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アモルフ
ァスポリオレフィン(APO)などの透明なプラスチック
スなどが挙げられる。 前記のように吸水性膜を面精度
を満足する程度の膜厚で塗布成膜し、それを積層してい
くことにより、吸水性膜の膜厚は十分な防曇性を示すま
で厚くなる。その際光学物品の面精度は損なわれること
はない。
【0024】例えば、光学物品表面に積層形成された多
層構造の吸水性膜の総膜厚は、3μm〜20μmの範囲
内であることが好ましい。
【0025】吸水量を多くし、防曇性を高める点で、吸
水性膜は3μm以上の膜厚が好ましい。また、過度の吸
水で、吸水性膜の膨張が大きくなり過ぎないよう、20
μm以下の膜厚が好ましい。
【0026】一方、多層構造からなる吸水性膜を構成す
る層数としては、2〜8層が好ましく、各単位膜の膜厚
は1〜3μmが好ましい。
【0027】なお、前記のように吸水性膜を積層する際
に、第1の塗布終了後、吸水性膜を加熱成膜してもよ
い。
【0028】したがって、各吸水性膜の形成条件は最終
的に得られる多層構造において所望とする防曇性、耐久
性および面精度のいずれをも満足できるように設定され
る。
【0029】例えば、前記のように吸水性膜を2層以上
に積層する際の、吸水性膜を含む塗工液をコートする際
のコート方法としては、ディップコート法が好ましい。
ディップコート法を用いることにより、膜厚の制御が塗
工液の粘度、光学物品の引上げ速度により容易に行うこ
とができる。また、光学物品表面に塗工された吸水性膜
の膜厚のむらを低く抑えることができる。
【0030】また、吸水性膜を構成する前記吸水性高分
子、吸水性高分子架橋物、2種以上の吸水性高分子の混
合物、2種以上の吸水性高分子の架橋物、吸水性高分子
と無機物との混合物、吸水性高分子と無機物との架橋物
のいずれかを含む塗工液の粘度が、100mPa・s〜2
30mPa・sの範囲内であることが好ましい。
【0031】塗工液の粘度を100mPa・s以上にする
ことにより、所望の膜厚の吸水性膜を1回のコートで形
成する上で好適である。また、光学物品として要求され
る面精度を有する吸水性膜を形成する上で、塗工液の粘
度は230mPa・s以下が好ましい。
【0032】また、ディップコート法により透明基材に
塗工する際、透明基材の前記塗工液からの引上げ速度
は、10mm/分〜80mm/分の範囲であることが好ま
しい。
【0033】コート引上げ速度を10mm/分以上とする
ことにより、1回のコートで形成される膜厚を厚くする
ことができ、1回のコートで所望の厚さの吸水性膜を形
成する上で好ましい。また、均一な膜厚の吸水性膜を形
成する上で、80mm/分以下が好ましい。
【0034】また、前記2層以上に積層された吸水性膜
上には、吸水性膜表面における光の反射を抑えるための
反射防止膜を形成してもよい。
【0035】光学物品としては、ゴーストやフレアー等
の画像不良の防止、また複数の光学物品を連続して光が
通過する場合の光の透過量の減少防止のため、その表面
に反射防止膜を形成する。
【0036】吸水性膜の防曇性を損なうことなく、その
表面に反射防止膜を形成する手法としては、例えば、真
空蒸着法によりポーラスな反射防止膜を形成し、吸水性
膜と大気との間を水分が自由に行き来できるような構
成、また吸水性膜上に高屈折率の薄膜を形成し、その上
層に再び吸水性膜の薄膜を形成し反射防止膜とする構成
等がその代表的なものとしてあげられる。
【0037】このような手法を用いて、本発明による手
法により2層以上に形成された吸水性膜上に反射防止膜
を形成することにより、防曇性を有し、かつ面精度にす
ぐれ、かつゴースト、フレアー等の画像不良、透過率の
低下等のない防曇光学物品を提供することができる。
【0038】また、本発明における防曇光学物品は防曇
性と面精度を兼ね備えたものであり、水分の結露により
くもりの発生する様々な光学物品に対してその適用が可
能なものである。
【0039】
【実施例】以下本発明における防曇光学物品について図
を参照しながら、本発明者等の実施例について説明す
る。
【0040】(実施例1)図1〜図5を用いて説明す
る。
【0041】ポリアクリル酸(数平均分子量30万)の2
5%水溶液24gと、ポリビニルアルコール(けん化重合
度2000)の10%水溶液150gを混合した後、メタノ
ール200gで希釈した吸水性高分子溶液に、アルミニ
ウムイソポロポキシド0.5gとテトラエトキシシラン
0.5gを添加し、溶液Aを作成した。溶液Aの粘度は4
50mPa・sであった。上記溶液Aに水-メタノール(混
合比1:1)溶液を添加し溶液の粘度を調整した。その際
の粘度と混合比の関係は以下の通りである。
【0042】
【表1】 表面を洗浄した白板ガラスを、前記、粘度調整を行った
5種の溶液それぞれに対し、溶液中に浸漬し、その後溶
液から引上げること(ディップコート法)により、白板ガ
ラス表面にコート、さらに積層し、それぞれの積層回
数、膜厚、面精度、防曇性について考察した。ここで、
吸水性膜の積層条件は図6に示すように行った。
【0043】ここで、図1〜5に示す実験結果について
それぞれ考察を行う。
【0044】図1は、前記吸水性膜を主成分とする溶液
を80mPa・sに粘度調整した場合の実験結果である。
ディップコートの引上げ速度を80mm/minに設定
し、コートを繰り返した結果、吸水性膜を6層積層した
状態でも、ガラス基材と同様の面精度を保ち、吸水性膜
を形成することが可能であった。また、防曇性につい
て、6層積層時の吸水性膜の総膜厚は3μmの方が2μ
mよりも優れていた。
【0045】図2は、前記吸水性膜の主成分とする溶液
を120mPa・sに粘度調整した場合の実験結果であ
る。ディップコートの引上げ速度を80mm/minに設
定しコートを繰り返していくと2層の積層を行った時点
で、総膜厚が約5μmとなり、最低膜厚の3μmを上回
り、25℃、50%環境下で吹きかけてもくもりが発生
しない程度の防曇性を得ることができた。また、さらに
コートを繰り返すことにより5層積層時点で、総膜厚が
13μmに達し、−10℃環境下において息を吹きかけて
もくもりが発生しない程度の防曇性を得ることができ
た。また、6層積層時点においてもガラス基材と同様の
面精度を保ち、吸水性膜を形成することが可能であっ
た。また、ディップコートの引上げ速度を10mm/min
に設定しコートを繰り返していくと3層の積層を行った
時点で、総膜厚が最低膜厚の3μmを上回り、約4μm
となり、25℃、50%環境下で息を吹きかけてもくも
りが発生しない程度の防曇性を得ることができた。ま
た、6層積層時点においてもガラス基材と同様の面精度
を保ち、吸水性膜を形成することが可能であった。
【0046】図3は、前記吸水性膜を主成分とする溶液
を200mPa・sに粘度調整した場合の実験結果であ
る。ディップコートの引上げ速度を80mm/minに設
定しコートを繰り返していくと2層の積層を行った時点
で、総膜厚が最低膜厚の3μmを上回り、約6μmとな
り、25℃、50%環境下で息を吹きかけてもくもりが
発生しない程度の防曇性を得ることができた。また、さ
らにコートを繰り返すことにより4層積層時点で、総膜
厚が12μmに達し、−10℃環境下において息を吹きか
けてもくもりが発生しない程度の防曇性を得ることがで
きた。また、6層積層時点においてもガラス基材と同様
の面精度を持ち、吸水性膜を形成することが可能であっ
た。また、ディップコートの引上げ速度を10mm/min
に設定しコートを繰り返していくと3層の積層を行った
時点で、総膜厚が最低膜厚の3μmを上回り、約4μm
となり、25℃、50%環境下で息を吹きかけてもくも
りが発生しない程度の防曇性を得ることができた。ま
た、6層積層時点においてもガラス基材と同様の面精度
を保ち、吸水性膜を形成することが可能であった。
【0047】図4は、前記吸水性膜を主成分とする溶液
を230mPa・sに粘度調整した場合の実験結果であ
る。ディップコートの引上げ速度を80mm/minに設
定しコートを繰り返していくと2層の積層を行った時点
で、総膜厚が最低膜厚の3μmを上回り、約7μmとな
り、25℃、50%環境下で息を吹きかけてもくもりが
発生しない程度の防曇性を得ることができた。また、さ
らにコートを繰り返すことにより4層積層時点で、総膜
厚が14μmに達し、−10℃環境下において息を吹きか
けてもくもりが発生しない程度の防曇性を得ることがで
きた。また、6層積層時点においてもガラス基材と同様
の面精度を保ち、吸水膜を形成することが可能であっ
た。またディップコートに引上げ速度を10mm/minに
設定しコートを繰り返していくと3層の積層を行った時
点で、総膜厚が最低膜厚の3μmを上回り、約5μmと
なり、25℃、50%環境下で息を吹きかけてもくもり
が発生しない程度の防曇性を得ることができた。また、
6層積層時点においてもガラス基材と同様の面精度を保
ち、吸水性膜を形成することが可能であった。
【0048】図5は、前記吸水膜を主成分とする溶液を
250mPa・sに粘度調整した実験結果である。ディッ
プコート法引上げ速度を10mm/min設定しコートを繰
り返していくと1層の積層を行った時点で、総膜厚が約
3μmとなり最低膜厚に達し、25℃、50%環境下で
息を吹きかけてもくもりが発生しない程度の防曇性を得
ることができた。しかしながら、コート液の粘度が高い
ため、コート時に引上げ方向に筋のような膜むらが発生
し、光学物品として十分な面精度を得ることができなっ
た。
【0049】以上の結果から、コート液の粘度としては
100mPa・s〜230mPa・sの範囲内で、ディップ
コート引上げ速度としてはは10mm/min〜80mm/
minの範囲で吸水性膜をコートすることにより防曇性に
すぐれ、かつ面精度に優れた光学物品を得ることが確認
された。
【0050】(実施例2)図7を参照して説明する。
【0051】ポリアクリル酸(数平均分子量30万)の2
5%水溶液24gと、ポリビニルアルコール(けん化重合
度2000)の10%水溶液150gを混合した後、メタノ
ール200gで希釈した吸水性高分子溶液に、アルミニ
ウムイソプロポキシド0.5gとテトラエトキシシラン
0.5gを添加し、溶液Aを作成した。溶液Aの粘度は4
50mPa・sであった。上記溶液Aが4に対して、水-
メタノール(混合比1:1)溶液を1添加し溶液の粘度を調
整した。
【0052】光学物品基材である白板ガラス71を洗浄
し、図6に示す工程に従い、前記吸水性膜を構成する吸
水性材料を主成分とする溶液中に浸漬し、その後溶液か
ら引上げること(ディップコート法)により、白板ガラス
表面にコート、さらに積層し、吸水性膜72を形成し
た。その際積層回数は5回、積層膜厚は15μmであっ
た。
【0053】前記、吸水性膜72を積層した光学物品基
材71を、チタンテトライソプロポキシドの2%酢酸を
イソブチル溶液に浸漬し、引上げ速度80mm/minで
ディップコートを行い150℃で5分間加熱焼成し、高
屈折率層73を形成した。
【0054】前記、高屈折率層73を形成した光学物品
基材を、あらかじめ所定の濃度の設定した吸水性物質を
主成分とする溶液中に浸漬し、引上げ速度80mm/mi
nでディップコートをおこない150℃で15分間加熱焼
成し、吸水性反射防止膜74を形成した。前記方法によ
り、防曇光学物品7を得た。
【0055】防曇光学物品7は、−10℃環境下で息を
吹きかけてもくもりが発生することがなく、かつ光学物
品基材と同様の面精度を有するものであった。
【0056】
【発明の効果】以上述べたように、光学物品基材上に少
なくとも吸水性高分子単体、吸水性高分子単体の3次元
架橋物、複数の吸水性高分子の混合物、複数の吸水性高
分子の3次元架橋物、吸水性高分子と無機物との混合
物、吸水性高分子と無機物との3次元架橋物のいずれか
からなる吸水性膜を形成した防曇光学物品において、前
記特徴を有する吸水性膜が2層以上積層されていること
により、防曇性、面精度に優れた防曇光学物品を提供す
ることができる。
【0057】また前記のように積層された吸水性膜上に
反射防止膜を形成することにより、防曇性、面精度、反
射防止性に優れた防曇光学物品を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の結果を示す図(コート液粘度80m
Pa・s)
【図2】実施例1の結果を示す図(コート液粘度120m
Pa・s)
【図3】実施例1の結果を示す図(コート液粘度200
mPa・s)
【図4】実施例1の結果を示す図(コート液粘度230
mPa・s)
【図5】実施例1の結果を示す図(コート液粘度250
mPa・s)
【図6】吸水性膜積層工程
【図7】反射防止膜付き防曇光学物品の構成図
【符号の説明】
7 防曇光学物品 71 光学物品基材 72 吸水性膜 73 高屈折率膜 74 吸水性反射防止膜
フロントページの続き Fターム(参考) 2K009 AA02 DD02 EE02 4F100 AA00B AA00C AK01B AK01C AK21B AK21C AK25B AK25C AL05B AL05C BA03 BA04 BA07 BA10A BA10C BA10D CC00B CC00C GB90 GB90A JA06B JA06C JB12B JB12C JD15B JD15C JL07 JM02B JM02C JN01A JN06D YY00B YY00C 4G059 AA11 AC04 AC21 FA15 FA22 FB05 GA01 GA02 GA04 GA11 GA16 4J002 AA03W AA03X GH01 GP01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学物品基材上に吸水性膜を形成した防
    曇光学物品において、前記吸水性膜が2層以上の多層構
    成からなり、各層が以下の1〜6のいずれかの吸水性膜
    からなる、防曇光学物品。 1.吸水性高分子からなる吸水性膜 2.吸水性高分子の架橋物からなる吸水性膜 3.2種以上の吸水性高分子の混合物からなる吸水性膜 4.2種以上の吸水性高分子の架橋物からなる吸水性膜 5.吸水性高分子と無機物との混合物からなる吸水性膜 6.吸水性高分子と無機物との架橋物からなる吸水性膜
  2. 【請求項2】 前記吸水性膜がディップコート法により
    形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の防
    曇光学物品。
  3. 【請求項3】 前記吸水性高分子、吸水性高分子架橋
    物、2種以上の吸水性高分子の混合物、2種以上の吸水
    性高分子の架橋物、吸水性高分子と無機物との混合物、
    吸水性高分子と無機物との架橋物のいずれかを含む塗工
    液の粘度が、100mPa・s〜230mPa・sの範囲内
    であり、かつ前記ディップコート法により2層以上に積
    層されていることを特徴とする、請求項2に記載の防曇
    光学物品。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の塗工液を、請求項2に
    記載のディップコート法により透明基材に塗工する際、
    透明基材の前記塗工液からの引上げ速度が、10mm/分
    〜80mm/分の範囲であることを特徴とした、請求項
    2または3のいずれか1項に記載の防曇光学物品。
  5. 【請求項5】 前記、2層以上に積層された吸水性膜の
    総厚が3μm〜20μmであることを特徴とする、請求
    項1ないし4のいずれか1項に記載の防曇光学物品。
  6. 【請求項6】 前記防曇光学物品において、前記吸水性
    膜上に反射防止膜を形成することを特徴とする、請求項
    1ないし5のいずれか1項に記載の防曇光学物品。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6に記載の防曇光学物品を用
    いた、カメラレンズ、レンズフィルター、接眼レンズ、
    ミラー等の光学物品。
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