JP3801634B2 - 合成樹脂成形物とその製造方法 - Google Patents

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Description

[技術分野]
本発明は、合成樹脂成形物とその製造方法に関する。
[背景技術]
従来、疎水性を有する合成樹脂基体は、その疎水性に起因して不具合を生ずる場合があった。例えば、疎水性を有する合成樹脂基体の代表例である含フッ素樹脂フィルムは、透明性、耐久性、耐候性、防汚性などに優れており、その特性から塩化ビニル樹脂に代わり、農園芸ハウス用フィルムとしても使用され始めている。しかし、含フッ素樹脂フィルムを農園芸ハウス用に使用した場合、親水性がないために、フィルムの室内側表面に結露が生じ、それにより作物生育に必要な太陽光が遮断されたり、また、付着した水滴がフィルム表面を水膜となって流れずに、直接作物の上に落ち、悪影響を与えるといった問題が生じたりする。
このような問題を解決するために、従来、合成樹脂基体表面への親水性能付与の方法として、シリカ系ゾルと界面活性剤の混合物を樹脂表面に塗布し、乾燥させることで親水性化させる塗膜式の方法が報告されている(例えば、特開昭62−179938号公報、特開平5−59202号公報、特開平5−59203号公報)。
しかし、この方法で得られた親水性の膜では、親水性が長期間持続せず、フッ素樹脂フィルムのような耐用年数の長い合成樹脂に用いる場合、定期的に塗り直す必要があるなど、コストや手間がかかるという問題があった。
本発明は、従来技術の前記問題点を解決するものであり、充分な親水性を有し、かつ、親水性が長期間持続する合成樹脂成形物の提供を目的とする。
[発明の開示]
本発明は、疎水性を有する合成樹脂基体上に、SiとSnとの酸化物、SiとTiとの酸化物、またはSiとSnとTiとの酸化物を主成分とする薄膜が、乾式法により形成されてなり、該薄膜の膜厚が3nm以上100nm以下であり、酸化物薄膜のSiの含有割合は、全金属に対してSiが30〜70原子%であることを特徴とする合成樹脂成形物およびその製造方法を提供する。
本発明においては、SiとSnとの酸化物、SiとTiとの酸化物、またはSiとSnとTiとの酸化物からなる薄膜を乾式法により形成することが重要であり、所望の疎水性を有する合成樹脂基体を効果的に親水性化しうるものである。
上記の親水性化とは、疎水性であった合成樹脂表面を親水性に改質することである。その結果、合成樹脂成形物の流滴性(表面に付着した水滴を流す性質)、防曇性(結露による曇りを防ぐ性質)、防霧性(フィルム表面に付着した水滴に起因する霧を防ぐ性質)、帯電防止性(静電気の帯電を防ぐ性質)、または湿潤性(濡れやすさ)などが向上する。
本発明で用いる酸化物薄膜は、SiとSnとの酸化物、SiとTiとの酸化物、またはSiとSnとTiとの酸化物である。
iを含む金属の酸化物からなる薄膜であることにより、より高い親水性が得られる。これは、薄膜層最表面に存在するSiと大気中に存在する水分とが結合し、親水性の高いSiOHの状態にあることに起因すると考えられる
iを含む金属の酸化物の具体例としては、SiとZrとの酸化物、SiとTiとの酸化物、SiとTaとの酸化物、SiとNbとの酸化物、SiとSnとの酸化物、SiとZnとの酸化物あるいはSiとSnとTiとの酸化物、を主成分とする酸化物などが挙げられる。
なお、初期の親水性、親水性の長期持続性、材料コストなどの観点から、SiO2を主成分とする酸化物が好ましい。
また、初期の親水性、親水性の長期持続性、基体との密着性、および生産性の観点から、SiとSnとの酸化物、SiとZrとの酸化物、SiとTiとの酸化物、を主成分とする酸化物が好ましく、特に、SiとSnとの酸化物を主成分とする酸化物が好ましい。
また、親水性の長期持続性を妨げる要因のひとつと考えられる汚れの付着に対して、太陽光照射により分解、付着抑制作用を発現させる光触媒機能を有する点から、SiとSnとの酸化物、SiとTiとの酸化物、SiとSnとTiとの酸化物、を主成分とする酸化物が好ましい。
本発明における酸化物薄膜の膜厚は、3nm以上100nm以下である。前記の流滴性をはじめとする各種性能発現の観点から、3nm以上であることが好ましい。また、可視光透過性の維持、合成樹脂基体の可撓性の維持および基体との密着性の観点から、100nm以下、特に、30nm以下であることが好ましい。
本発明における酸化物薄膜のSiの含有割合は、全金属に対してSiが30〜70原子%である。
Siの含有割合を前記した範囲とすることで、1)含有Siの作用により、酸化物膜の屈折率が適当に小さくでき、所望の色調を有する合成樹脂成形物が得られる、2)Si以外の金属成分の作用により、酸化物膜を薄くしても前記した流滴性をはじめとする各種性能が発現される、3)成膜法として直流スパッタリング法を用いた場合に、酸化物膜と同様の前記組成範囲の合金ターゲットを用いることで、アーキングが防止される、などの効果が得られる。
酸化物膜の対水接触角は、成膜直後から時間が経るにつれ増大する傾向にあるが、Siの含有割合が大きい(例えばSiが50原子%以上)ほど前記対水接触角の経時変化量は小さい。
一方、合金ターゲットを用いる場合に、Siの含有割合が大きくなると、成膜速度が低下する傾向にあるので、生産性の観点からは、Siは70原子%以下であることが好ましい。
本発明において、酸化物薄膜を得る方法としては、乾式法であれば特に限定されない。乾式法は、湿式法に比べ、膜が均一にでき、成膜された膜は基体との密着性が高いので、本発明の目的達成のための重要な構成要件のひとつである。乾式法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法などが挙げられる。特に、スパッタリング法は、生産性に優れ、工業的に幅広く使われているとともに、該方法により、非常に緻密で、かつ、基体との密着性が高い膜が均一な膜厚で得られるので好ましい。
スパッタリング法としては、直流スパッタリング法、高周波スパッタリング法のいずれでも使用できる。大面積の基体に、大きな成膜速度で、効率よく成膜できることから、直流スパッタリング法が好ましい。
スパッタリング時のターゲットに対する電力密度は、1〜20W/cm2程度で用いられ、ガス圧力は、1〜10mTorr、好ましくは、2〜6mTorr程度で用いられる。
SiとSnとの酸化物を主成分とする酸化物の膜の例として、SiとSnとの酸化物からなる薄膜が挙げられる。SiとSnとの酸化物からなる薄膜については、SiとSnとの混合物ターゲットを用い、酸素含有雰囲気中での反応性スパッタリング法により成膜して得られる。
SiとSnと混合物ターゲットを用いた場合では、ターゲットの導電性の向上等の理由から通常の直流スパッタリング法の使用が可能となり、成膜速度を大きくすることができる。この際、間欠的な負の直流電圧をターゲットに印加する方法により、成膜時のアーキング発生を効果的に抑制し、投入電力を増大させ、さらに大きな成膜速度を長時間維持することが可能である。また、樹脂基体表面上への被覆率が向上する結果、流滴性を発現する最小膜厚が小さくなることも生産性、経済性の面で有利である。
Zr、Ti、Ta、Hf、Mo、W、Nb、In、Al、CrおよびZnからなる群から選ばれる一種以上の金属とSiとからなるターゲットを用いた場合でも同様の効果が得られるが、特にSi−Sn系の金属ターゲットを用いた場合は、成膜速度が大きく、生産性に優れる。
前記SiとSnとからなるターゲットは、混合物の状態のものでも、合金の状態のものでも用いうる。例えば、SiとSnと混合物ターゲットは、SiとSnとの混合物をCIP法(冷間等方プレス法)あるいは温間プレス(Snの融点直下の温度で金型成形プレス)で成形して得ることができる。
本発明で用いる疎水性を有する合成樹脂基体としては、特に限定されず、疎水性を有する熱可塑性合成樹脂または疎水性を有する熱硬化性合成樹脂のいずれでも用いうる。
熱可塑性合成樹脂としては、例えば、含フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ABS樹脂、酢酸ビニル樹脂、またはポリスチレン樹脂などが挙げられる。
これらのうち、含フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、およびオレフィン系樹脂は、透明性、成形性の点から好ましく、特に含フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂が好ましい。
なかでも、含フッ素樹脂は、透明性、耐久性、耐候性、防汚性などに優れ、酸素含有雰囲気中での成膜においても変性しないことから、特に好ましい。また、樹脂自体が高価であることから、比較的処理コストが高い乾式表面処理を施す価値があると考えられる。
ここで、含フッ素樹脂とは、樹脂の分子構造式中にフッ素を含む熱可塑性樹脂を指す。具体的には、例えば、テトラフルオロエチレン系樹脂、クロロトリフルオロエチレン系樹脂、フッ化ビニリデン系樹脂、フッ化ビニル系樹脂、またはこれら樹脂の複合物などである。特に疎水性の点から、テトラフルオロエチレン系樹脂が好ましい。
テトラフルオロエチレン系樹脂としては、具体的には、例えば、テトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロ(アルコキシエチレン)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・パーフルオロ(アルコキシエチレン)共重合体(EPE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、またはテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)などが挙げられる。
これらのうち、PFA、ETFE、FEPまたはEPEが成形性の点から好ましく、特に屋外で長時間使用に耐え得る機械的強度を有していること等によりETFEが好ましい。ETFEは、エチレンおよびテトラフルオロエチレンを主体とするものであって、必要に応じ、少量のコモノマー成分を共重合させたものであってもよい。
コモノマー成分としては、テトラフルオロエチレンおよびエチレンと共重合可能なモノマー、例えば、次記の化合物が挙げられる。
CF2=CFCl、CF2=CH2などの含フッ素エチレン類、
CF2=CFCF3、CF2=CHCF3などの含フッ素プロピレン類、
CH2=CHC25、CH2=CHC49、CH2=CFC49、CH2=CF(CF23Hなどのフルオロアルキル基の炭素数が2〜10の含フッ素アルキルエチレン類、
CF2=CFO(CF2CFXO)mf(式中Rfは炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基、Xはフッ素原子またはトリフルオロメチル基、mは1〜5の整数を示す)などのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類、
CF2=CFOCF2CF2CF2COOCH3やCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2Fなどの容易にカルボン酸基やスルホン酸基に変換可能な基を有するビニルエーテル類などが挙げられる。
ETFE中のエチレン/テトラフルオロエチレンのモル比は、40/60〜70/30、特に40/60〜60/40、が好ましい。また、コモノマー成分の含有量は、全モノマーに対して0.3〜10モル%、特に0.3〜5モル%、が好ましい。
クロロトリフルオロエチレン系樹脂としては、具体的には、例えばクロロトリフルオロエチレンホモポリマー(CTFE)、またはエチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)などが挙げられる。
本発明においては、上記の含フッ素樹脂を主成分とし、他の熱可塑性樹脂を含有した混合系の樹脂も好ましく用いられる。
熱硬化性合成樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、フラン樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、またはポリパラバン酸樹脂などが挙げられる。
本発明において用いられる合成樹脂基体の状態は、特に限定されない。フィルム状、シート状または板状のものが好ましい。
本発明で用いる疎水性を有する合成樹脂基体の厚みは、可視光透過率の観点からは薄くする程好ましい一方、強度の観点からは厚くする程好ましいことから、10〜300μm、特に30〜200μmの厚みとすることが好ましい。
本発明の合成樹脂成形物は、特定の酸化物薄膜が乾式法により形成され、優れた親水性が付与されるとともに、基体との密着性が良好であるため、各種接着剤との親和性が向上し、該接着剤を介し他の合成樹脂または金属などと積層した場合に、強力な接着力を有する積層体が得られる。
あるいは、本発明の合成樹脂成形物上に、従来合成樹脂基体直接への塗布が困難であった各種処理剤の塗布が可能となるため、各種機能膜を形成でき、各種機能を有しかつ密着耐久性良好な合成樹脂成形物も得られる。各種機能としては、流滴性、紫外線遮断性、帯電防止性、抗菌性などが挙げられる。
また、光触媒機能に代表される各種触媒機能により、防汚性、抗菌性を付与することが可能である。
本発明の合成樹脂成形物は、例えば、ショーケース、計器、車両、一般家庭、またはビル、に使用される窓、ブラインド、壁紙、浴漕、浴室内壁、厨房内壁、ガスコンロ天板などの用途として、あるいは、包装資材、ゴーグル、眼鏡レンズ、鏡、カーブミラー、パラボラアンテナなどの用途として用いられるが、特に、農園芸ハウス(フィルム被覆型ハウスや硬質板被覆型ハウス)の被覆材用途に好適である。
[発明を実施するための最良の形態]
[実施例]
[例1]
合成樹脂基体としてETFEのフィルム(厚さ60μm)を用意した。スパッタリング装置内で、10cm角のガラス板に10cm角の上記フィルム片を固定した基板を陽極側にセットし、SiとSnとの混合物(原子比50:50)のターゲット(以下、ターゲットAという)を陰極側にセットした。
装置内を10-6Torr台まで真空排気した後、アルゴンと酸素を流量比1:4で装置内に導入し、スパッタリングガス圧が5×10-3Torrになるように調節した。
直流電源を用いて電力密度2.75W/cm2でスパッタリングを行い、SiとSnとの酸化物薄膜(膜厚約30nm)をフィルム表面に形成し、合成樹脂成形物を得た。
得られた合成樹脂成形物の表面層の親水性の度合いをみるために、膜面の水に対する接触角(以下、単に接触角という)を測定した結果(初期接触角)を表1に示す。
さらに成膜速度を測定するために陽極側にガラスだけをセットし、電力密度5.5W/cm2とした以外は上記成膜条件と同様にして成膜を行った。測定された酸化物薄膜成膜速度を表1に示す。
また、各種膜厚で酸化物薄膜の成膜を行い、30nmの膜厚の対水接触角が保たれる最小膜厚を調べた結果を表1に示す。
[例2]
例1における直流電源を高周波電源に変えた以外は例1と同様に行った。得られた合成樹脂成形物について、例1と同様に測定した結果を表1に示す。
[例3](比較例)
例2におけるターゲットをSiターゲット(以下、ターゲットBという)に変えた以外は例2と同様に行った。得られた合成樹脂成形物について、例1と同様に測定した結果を表1に示す。
[例4]
例1におけるターゲットをSiとSnとの混合物(原子比65:35)のターゲット(以下、ターゲットCという)に変えた以外は例1と同様に行った。得られた合成樹脂成形物について、例1と同様に測定した結果を表1に示す。
[例5]
例1におけるターゲットをSiとTiとの混合物(原子比50:50)のターゲット(以下、ターゲットDという)に変えた以外は例1と同様に行った。得られた合成樹脂成形物について、例1と同様に測定した結果を表1に示す。
[例6]
例1におけるターゲットをSiとSnとTiの混合物(原子比50:35:15)のターゲット(以下、ターゲットEという)に変えた以外は例1と同様に行った。得られた合成樹脂成形物について、例1と同様に測定した結果を表1に示す。
表1に示されるように、例1〜6の初期接触角は同等であり、いずれも同等の親水性を有することが確認された。また、成膜速度は、例3(比較例)のターゲットBを用いた場合と比べて、例1のターゲットAを用いて直流スパッタリング法で行った場合で5倍、例2のターゲットAを用いて高周波スパッタリング法で行った場合で2倍であった。
[例7]
本発明の酸化物薄膜層をもつ合成樹脂成形物の表面層の親水性の持続性、すなわち流滴性、膜の耐久性、密着性、耐候性をみるために以下の実験を行った。例7においては、ターゲットAを用い、スパッタリング装置内を3×10-5Torrまで真空排気後、アルゴンと酸素を流量比で1:4容器内に導入し、スパッタリングガス圧を2.4×10-3Torr、電力密度2.2W/cm2とし、SiとSnとの酸化物薄膜(膜厚約6nm)を成膜した以外は例1と同様に行い、合成樹脂成形物を得た。
得られた合成樹脂成形物について、親水性の長期持続性の試験を行った。試験装置は80℃の恒温水槽の開口部を、樹脂成形物の酸化物薄膜面が水槽側になる様に樹脂成形物で密閉し、さらに外気温度を23℃に制御した。本装置で80℃の飽和水蒸気にさらされた酸化物薄膜面の親水性が失われ、結露が生ずるまでの時間を観察した。
また、酸化物薄膜と基体との密着耐久性をみるために、ワイピング試験を行った。ワイピング試験とは、薄膜面をガーゼで擦るもので、親水性が失われ、薄膜面上に結露が生じるまでの回数を測定し、膜の状態を観察した。
また、合成樹脂成形物の耐熱性を観るためにヒートサイクル試験を行った。条件は80℃2時間→20℃1時間→−30℃2時間→20℃1時間を1サイクルとして、評価は酸化物薄膜面の親水性が失われるまでのサイクル数を測定した。さらに、酸化物薄膜の耐候性をみるために、500時間の紫外線照射および2年間の屋外暴露試験を行い、親水性の有無を観察した。
以上の結果を表2に示す。
[例8]
例7における酸化物薄膜に代えて、コロイダルシリカ(触媒化成工業(株)製OSCAL)と、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランと、ポリオキシエチレン−ラウリルエーテルとからなる混合物(固形分重量比=80:10:10)のエタノール分散溶液(固形分濃度=15重量%)を塗布して形成したシリカ薄膜を用いて、例7と同様の測定、観察を行った。結果を表2に示す。
表2に示されるように、比較例である例8は、例7に比べ、親水性の長期持続性、密着耐久性および耐候性において劣るものであった。
【表1】
Figure 0003801634
【表2】
Figure 0003801634
[例9〜11]
例7におけるターゲットをC、D、Eに変えた以外は例7と同様の評価を行った場合も、表2の例7と同様の結果が得られた。
[産業上の利用の可能性]
本発明の合成樹脂成形物は、充分な親水性を有し、かつ、親水性が長期間持続するとともに、生産性において優れる。また、膜と基体との密着耐久性に優れ、耐候性にも優れることから、耐久性の要求される用途には好適である。
また、本発明の合成樹脂成形物は、結露を効果的に防止できるので、例えば、農業用ビニルハウスとして用いた場合、結露により日光の入射が妨げられる、または、樹脂表面についた水滴が流れずに作物の上に落ちる、ことなどを防止できる。
さらに、本発明の合成樹脂成形物は、優れた親水性が付与され各種接着剤との親和性が向上するとともに、基体との密着性が良好であるため、従来接着が困難であった疎水性を有する樹脂などの基体との接着を可能ならしめ、強力な接着力を有する積層体を提供できる。
そして、従来法の皮膜と比較して一桁以上小さい膜厚で機能を発現できるため、樹脂自体の透明性や可撓性も損なわれることなく、必要とする機能を付与することができる。

Claims (6)

  1. 疎水性を有する合成樹脂基体上に、SiとSnとの酸化物、SiとTiとの酸化物、またはSiとSnとTiとの酸化物を主成分とする薄膜が、乾式法により形成されてなり、該薄膜の膜厚が3nm以上100nm以下であり、酸化物薄膜のSiの含有割合は、全金属に対してSiが30〜70原子%であることを特徴とする合成樹脂成形物。
  2. 前記乾式法が、スパッタリング法である請求項1に記載の合成樹脂成形物。
  3. 前記合成樹脂基体が、含フッ素樹脂である請求項1または2に記載の合成樹脂成形物。
  4. 前記合成樹脂基体が、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体である請求項1または2に記載の合成樹脂成形物。
  5. 前記合成樹脂成形物が、農園芸ハウス用被覆材である請求項1〜のいずれかに記載の合成樹脂成形物。
  6. 疎水性を有する合成樹脂基体上に、SiとSnとの酸化物、SiとTiとの酸化物、またはSiとSnとTiとの酸化物を、乾式法により形成することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の合成樹脂成形物の製造方法。
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