JP2003054997A - 調理器用トッププレート - Google Patents

調理器用トッププレート

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JP2003054997A
JP2003054997A JP2001251214A JP2001251214A JP2003054997A JP 2003054997 A JP2003054997 A JP 2003054997A JP 2001251214 A JP2001251214 A JP 2001251214A JP 2001251214 A JP2001251214 A JP 2001251214A JP 2003054997 A JP2003054997 A JP 2003054997A
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Japan
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fluorine
group
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metal oxide
top plate
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Application number
JP2001251214A
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English (en)
Inventor
Naoko Ubukawa
直子 生川
Shigeki Kawase
茂樹 河瀬
Akihiro Umeda
章広 梅田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、汚れがこびりつかず、かつ耐久性
に優れた防汚性トッププレートを持つ調理器および調理
器用トッププレートを提供することを目的とする。 【解決手段】 ヒドロキシル基、カルボキシル基、カル
ボン酸塩およびカルボキシエステル基のうちの少なくと
も1種を有している官能基含有含フッ素エチレン性単量
体と官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体を共重
合して得られる官能基含有含フッ素エチレン性重合体
(A)の微粒子が、金属酸化物(B)層中に分散してい
る被膜を表面に有することによりトッププレートは優れ
た防汚性を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、調理器用トッププ
レートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】電磁誘導加熱式調理器や、発熱体から放
射される赤外線によって過熱する電熱式調理器、ガステ
ーブルなどの加熱調理器のトッププレートとして、結晶
化ガラスが広く用いられている。例えば電磁誘導加熱式
調理器は、図1に示すようにトッププレート2上に設置
した金属なべ3を電磁誘導加熱で加熱して調理する調理
機器である。このような食材の加工や加熱を行う調理器
では食材の油の付着により、本来の機能や美観が損なわ
れてしまうため、耐熱性、油、焦げ付きや水垢に対する
非粘着性および防汚性の材料をトッププレートに使用す
ることが要請されている。
【0003】そこで、耐熱性、耐薬品性、耐触性、耐候
性、表面特性(非粘着性、低摩擦性など)にすぐれてい
る含フッ素系重合体が基材の表面などに適用されてい
る。しかし含フッ素重合体はその優れた非粘着性に起因
して、基材の表面との接着性が充分ではなく、(1)接
着剤を用いるか、(2)基材表面にサンドブラストや電
気化学的な方法でエッチングを行い、表面に凹凸を設
け、投錨(アンカー)効果で接着を行う必要がある。
【0004】しかし、(1)のように接着剤を用いる方
法では、耐熱性があり透明性があり高い接着力を有する
接着剤はなく、また、(2)のように基材表面に凹凸を
設ける方法では凹凸の生成により表面を著しく荒らすこ
とになり、ガラス基材の透明性や光沢などの色調を活か
すことが出来ないという問題がある。さらに、含フッ素
重合体は一般にやわらかいため、例えば長期間使用した
り、タワシなどを用いた洗浄したりすることによって表
面の被膜に傷がついて透明性や意匠性が低下し、また磨
耗することにより、含フッ素重合体本来の耐候性、防汚
性、撥水性、非粘着性が低下したりする。
【0005】これらを解決する試みとして、含フッ素重
合体からなる被膜にガラス系やアルミニウム系などの無
機充填材を添加して硬さを付与することが行われている
が、被膜がもろくなったり、透明性や意匠性などを低下
してしまうと言う問題があった。
【0006】また、基材に撥水性を付与することにより
非粘着性を高めることが考えられる。例えば、特開平4
−124047号公報、特開平4−325446号公
報、特開平5−24885号公報には、ガラスなどの基
材上にフルオロアルキル基(R f基)を含有するシラン
化合物を塗布することが記載されている。また、特開平
4−359086号公報、特開平5−170486号公
報、特開平5−170486、特開平5−213633
号には、フルオロアルキル基含有シラン化合物またはフ
ルオロアルキル基含有シラン化合物を混合した金属アル
コキシドを酸などにより部分加水分解、重縮合(ゾル
化)させ、ガラス基材上に塗布し、焼成して撥水性酸化
被膜を形成(ゲル化)することが記載されている。
【0007】しかし、これらの処理法で得られた撥水性
ガラスは、撥水性基が被膜の最表面に分布しやすく、摩
擦によって非粘着性や撥水性が低下するといった問題が
ある。また、フルオロアルキル基含有シラン化合物やそ
の縮合体自体は、耐熱性が不充分で、長期間にわたって
使用すると劣化して非粘着性や撥水性能が維持できない
という問題がある。
【0008】これに対し、撥水性成分として官能基を有
していない含フッ素樹脂粒子を用い、いわゆるゾル−ゲ
ル法でえられる金属酸化物層中に含フッ素樹脂粒子を分
散させることによって、充分な硬さを有し、かつ撥水性
被膜およびそれを施した撥水ガラスが開示されている例
えば特開平5−51238、特開平6−329442、
特開平6−340451、特開平7−102207、特
開平7−157335各公報等には、金属アルコキシド
系化合物をアルコールなどの溶媒中で加水分解および脱
水縮合させたゾル溶液にポリテトラフルオロエチレン、
テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共
重合体、含フッ素アクリル樹脂などの撥水性を有する含
フッ素樹脂粒子(粉末またはディスパージョン)を混合
することによってコーティング液を作製し、塗布、焼成
(ゲル化)することによって、撥水性粒子がゾル−ゲル
膜中に分布した撥水性被膜をガラスなどの基材上に形成
されることが記載されている。
【0009】しかし、これらの方法では耐熱性において
は改善が期待できるが、次のような問題がある。
【0010】ゾル溶液に含フッ素樹脂粒子を混合して
作製したコーティング液中の含フッ素樹脂粒子の分散安
定性が悪く、含フッ素樹脂粒子が沈降しやすく、塗布後
の被膜が白濁したり透明性が著しく低下する。
【0011】見た目ではコーティング液が分散してい
ても、塗布し、焼成行程で塗膜が濃縮されるにしたがっ
て分散安定性が不充分なため、含フッ素樹脂粒子が凝集
し、白濁したり透明性の悪い被膜となる。
【0012】金属酸化物と含フッ素樹脂粒子との界面
親和性は元来低いため、得られた被膜中の含フッ素樹脂
粒子の分散性が悪く、被膜自体が強度的にもろくなり、
耐磨耗性が悪い被膜となる。
【0013】得られた被膜中の金属酸化物と含フッ素
樹脂粒子との界面接着力が弱く、耐摩耗性試験で含フッ
素樹脂粒子の脱落が起き、非粘着性が低下する。
【0014】すなわち、従来のゾル−ゲル法によって
も、透明性に優れ、かつ耐摩耗性、耐熱性、撥水撥油
性、耐傷つき性が共に優れた防汚性の被膜は得難い。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の課題
を解決するもので、基本的にゾル−ゲル法を採用し、特
定の官能基含有含フッ素重合体を用いることにより、そ
の微粒子が均一に分散している金属酸化物層からなる防
汚性被膜を基材表面に有する調理器用トッププレートを
提供することにある。
【0016】さらに本発明の目的は、特に耐摩耗性、耐
傷つき製、透明性(意匠性)に優れ、充分な硬さをもつ
防汚性被膜を基材表面に有する調理器用トッププレート
を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の調理器用トップ
プレートは、表面に、含フッ素エチレン性重合体の微粒
子が、金属酸化物層中に分散している防汚性被膜を有す
る結晶化ガラスを備えたものである。
【0018】これによって、トッププレート表面に油な
どの汚れがこびりつくことを防止できるだけではなく、
耐摩耗性、耐傷つき製、透明性(意匠性)に優れ、充分
な硬さをもつ防汚性被膜を提供することが出来る。
【0019】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の発明は、表面
に、含フッ素エチレン性重合体の微粒子が、金属酸化物
層中に分散している防汚性被膜有する結晶化ガラスを備
えたことによって、優れた防汚性、耐焦げ付き性、撥水
・撥油性を発揮する。
【0020】請求項2に記載の発明は、特に請求項1に
記載の含フッ素エチレン性重合体の微粒子が、ヒドロキ
シル基、カルボキシル基、カルボン酸塩、カルボキシエ
ルテル基またはエポキシ基から選ばれた少なくとも1種
の官能基を有する官能基含有含フッ素エチレン性単量体
の0.05〜50モル%と前記の官能基を有さない含フ
ッ素エチレン性単量体の50〜99.95モル%とを共
重合してなり、前記官能基を有する含フッ素エチレン性
重合体の微粒子がマトリクスである金属酸化物層中に分
散してなる被膜を基材上面に形成することによって従来
の含フッ素重合体接着が不充分または不可能であったマ
トリクスである金属酸化物中での含フッ素重合体の分散
性、含フッ素重合体を金属酸化物の界面接着性を改善
し、被膜および該被膜を施したトッププレートに優れた
透明性、耐久性(耐摩耗性、耐傷つき性)を与えること
が出来る。つまり、官能基含有含フッ素重合体であって
も非フッ素系の官能基含有単量体を共重合したものに比
べ、耐熱性に優れており、高温(例えば200〜400
℃など)での加工時の熱分解などがより少なく抑えら
れ、着色や発泡、それによるピンホール、レベリング不
良などのない透明性、意匠性に優れた被膜を基材上に形
成することが出来る。また、複合材を高温で使用する場
合も、着色、白化、発泡、ピンホールなどの被膜の欠陥
が生じにくい。
【0021】請求項3に記載の発明は、特に請求項2記
載の官能基含有含フッ素エチレン性単量体が式(1): CX2=CX1−Rf−Y (1) (式中、Yは−CH2OH、−COOH、カルボン酸
塩、カルボキシエステル基またはエポキシ基、Xおよび
1はいずれも水素原子またはフッ素原子、Rfは炭素数
1〜40の2価の含フッ素アルキレン基、炭素数1〜4
0の含フッ素オキシアルキレン基、炭素数1〜40のエ
ーテル基を含む含フッ素オキシアルキレン基を表す)で
示される少なくとも1種の官能基含有含フッ素エチレン
性単量体とすることによって、耐熱性、撥水性の優れた
トッププレートを提供することが出来る。
【0022】請求項4に記載の発明は、特に請求項2記
載の官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体がテト
ラフルオロエチレンとすることにより、含フッ素重合体
がもつ防汚性、耐薬品性、非粘着性、低摩擦性、耐候
性、撥水撥油性などの優れた特性を低下させずに与えう
る。
【0023】請求項5に記載の発明は、官能基を有さな
い含フッ素エチレン性単量体が、テトラフルオロエチレ
ン85〜99.7モル%と式(2): CF2=CF−Rf 1 (2) (式中、Rf 1はCF3またはORf 2(Rf 2は炭素数1〜
5のパーフルオロアルキル基))で示される単量体0.
3〜15モル%との混合単量体とすることにより、優れ
た耐熱性、撥水性を発揮することが出来る。
【0024】請求項6に記載の発明は、特に請求項2記
載の官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体が、テ
トラフルオロエチレン40〜80モル%とエチレン20
〜60モル%とその他の共重合可能な単量体0〜15モ
ル%との混合単量体とすることにより、防汚性に優れ、
さらに透明性、機械的特性に優れた被膜を形成すること
が出来る。またこれらの官能基含有含フッ素エチレン性
重合体は、200℃以上の高い融点を持つため、高温で
の焼成においても溶融せず、被膜中で微粒子の形態を保
持することが出来る。
【0025】請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の
いずれか1項に記載の金属酸化物をケイ素の酸化物と
し、請求項8に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか
1項に記載の金属酸化物をアルミニウムの酸化物とし、
請求項9に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項
に記載の金属酸化物をチタニウムの酸化物とし、請求項
10に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記
載の金属酸化物をジルコニウムの酸化物とすることによ
り、透明で硬度が高く、耐久性に富んだを形成すること
ができる。
【0026】
【実施例】本発明の官能基含有含フッ素エチレン性共重
合体(A)の官能基は、ヒドロキシル基、カルボキシル
基、カルボン酸塩、カルボキシエステル基およびエポキ
シ基から選ばれる少なくとも一種であり、官能基の効果
により含フッ素重合体(A)が金属酸化物(B)からな
るマトリクス中に良好な分散性を与え、さらに含フッ素
重合体(A)と金属酸化物の間に良好な界面接着性、親
和性を与えうるものである。官能基の種類や組合わせは
マトリクスである金属酸化物(B)の種類、目的や用途
により適宜選択されるが、耐熱性の面でヒドロキシル基
を有するものがもっとも好ましい。
【0027】また、本発明の官能基含有含フッ素エチレ
ン性単量体(a)は、具体的には式(3): CF2=CF−Rf 3−Y (3) 〔式中、Yは式(1)のYと同じ、Rf 3は炭素数1〜4
0の2価の含フッ素アルキレン基またはORf 4(Rf 4
炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基または炭
素数1〜40のエーテル結合を含む2価の含フッ素アル
キレン基)を表す〕、式(4): CF3=CFCF2−ORf 5−Y (4) 〔式中、Yは式(1)のYと同じ、Rf 5は炭素数1〜3
9の2価の含フッ素アルキレン基または炭素数1〜39
のエーテル結合を含む2価の含フッ素アルキレン基を表
す〕、式(5): CH2=CFCF2−ORf 6−Y (5) 〔式中、Yは式(1)のYと同じ、ORf 6は炭素数1〜
39の2価の含フッ素アルキレン基、またはORf 7(R
f 7は炭素数1〜39の2価の含フッ素アルキレン基また
は炭素数1〜39のエーテル結合を含む2価の含フッ素
アルキレン基)を表す〕または式(6): CH2=CH−Rf 8−Y (6) 〔式中、Yは式(1)のYと同じ、Rf 8は炭素数1〜4
0の2価の含フッ素アルキレン基〕で示される単量体な
どが上げられる。式(3)〜式(6)で示される官能基
含有含フッ素エチレン性単量体が、含フッ素エチレン性
単量体(b)との共重合性が比較的良好な点で、また、
共重合して得られた共重合体の耐熱性、撥水性を著しく
低下させない理由で好ましい。
【0028】これらの中でも、他の含フッ素エチレン性
単量体との共重合性や、えられた共重合体の耐熱性の面
から、式(3)、式(5)で示される単量体が好まし
く、特に式(2)で示される単量体が好ましい。
【0029】式(3)で示される官能基含有含フッ素エ
チレン性単量体さらに詳しくは(化1)などが例示され
る。
【0030】
【化1】
【0031】式(4)で示される官能基含有含フッ素エ
チレン性単量体としては、(化2)などが例示される。
【0032】
【化2】
【0033】式(5)で示される官能基含有含フッ素エ
チレン性単量体としては、(化3)などが例示される。
【0034】
【化3】
【0035】式(6)で示される官能基含有含フッ素エ
チレン性単量体としては、(化4)などが例示される。
【0036】
【化4】
【0037】その他の単量体としては、(化5)なども
あげられる。
【0038】
【化5】
【0039】官能基含有含フッ素エチレン性単量体
(a)と共重合可能なエチレン性単量体は、既知の単量
体より適宜選択することが出来るが、防汚性のほか耐熱
性、撥水性、耐薬品性、低摩擦性を共重合体に与えるた
めには、含フッ素エチレン性単量体(b)から選ばれ
る。
【0040】具体的な含フッ素エチレン性単量体として
は、テトラフルオロエチレン、式(2): CF2=CF−Rf 1−Y (2) 〔式中、Rf 1はCF3またはORf 2(Rf 2は炭素数1〜
5のパーフルオロアルキル基)を表す〕、ヘキサフルオ
ロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデ
ンフルオロライド、フッ化ビニル、パーフルオロ(アル
キルビニルエーテル)類、ヘキサフルオロイソブテン、
(化6)
【0041】
【化6】
【0042】(式中、X2は共に水素原子、フッ素原
子、塩素原子から選ばれる、nは共に1〜5の整数)な
どがあげられる。
【0043】また、官能基含有含フッ素エチレン性単量
体(a)と前記含フッ素エチレン性単量体(b)に加え
て、非粘着性や耐熱性、撥水性を低下させない範囲でフ
ッ素原子を有さないエチレン性単量体を共重合してもよ
い。その場合、フッ素原子を有さないエチレン性単量体
は、非粘着性、耐熱性、撥水性を低下させないためにも
炭素数5以下のエチレン性単量体から選ばれることが好
ましく、具体的にはエチレン、プロピレン、1−ブテ
ン、2−ブテンなどがあげられる。
【0044】本発明における被膜において、官能基含有
含フッ素エチレン性重合体(A)中の官能基含有含フッ
素エチレン性単量体(a)の含有率は、金属酸化物
(B)の種類、官能基含有含フッ素エチレン性重合体
(A)と金属酸化物(B)との組成比率、固形分濃度、
さらに目的や用途によって適宜選択されうるが、好まし
くは0.05〜50モル%、さらに好ましくは、0.1
〜10モル%である。
【0045】前記官能基含有含フッ素エチレン性単量体
(a)の含有率が、0.05%未満であると、被膜中で
の分散が不均一となり、被膜が白化したりする。また、
被膜中の金属酸化物と皮膜中に分散している官能基含有
含フッ素エチレン性重合体(A)との界面接着性が不充
分となり、摩擦などにより官能基含有含フッ素エチレン
性重合体(A)が脱落し、非粘着性や撥水性などを低下
させることがある。
【0046】逆に、前記官能基含有含フッ素エチレン性
重合体(a)の含有率が、50モル%を超えると、官能
基含有含フッ素エチレン性重合体(A)が有している本
来の非粘着性、撥水性が失われたり、耐熱性が低下し、
高温での焼成時に熱分解し、着色、発泡、ピンホールな
どの塗膜不良や撥水性能の低下などを起こしやすい。本
発明で用いる非粘着性を付与する官能基含有含フッ素エ
チレン性重合体(A)の好ましいものを他の特性と共に
次に例示する。
【0047】(I)官能基含有含フッ素エチレン性単量
体(a)0.05〜50モル%とテトラフルオロエチレ
ン50〜99.95モル%との重合体(I)(反応性P
TFE)。
【0048】この重合体は耐熱性、耐薬品性に最も優
れ、さらに低摩擦性に優れている。
【0049】(II)官能基含有含フッ素エチレン性単量
体(a)を単量体の全量に対して0.05〜50モル%
含み、さらに該単量体(a)を除く単量体の全量に対し
て、テトラフルオロエチレン85〜99.7モル%と前
記式(2): CF2=CF−Rf 1 (2) 〔Rf 1はCF3またはORf 2(Rf 2は炭素数1〜5のパ
ーフルオロアルキル基)から選ばれる〕で示される単量
体0.3〜15モル%との重合体(II)。例えば官能基
を有するテトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アル
キルビニルエーテル)共重合体(反応性PFA)または
官能基を有するテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオ
ロプロピレン重合体(反応性FEP)。
【0050】この重合体は耐熱性、耐薬品性に優れ、撥
水性が良好である。
【0051】(III)官能基含有含フッ素エチレン性単
量体(a)を単量体の全量に対して0.05〜50モル
%含み、さらに該単量体(a)を除く単量体の全量に対
して、テトラフルオロエチレン40〜80モル%、エチ
レン20〜60モル%、その他の共重合可能な前記単量
体0〜15モル%との重合体(官能基を有するエチレン
−テトラフルオロエチレン重合体(III)(反応性ET
FE))。
【0052】この重合体は防汚性に優れ、さらに透明
性、機械的特性に優れている。
【0053】またこれらの具体例としてあげた官能基含
有含フッ素エチレン性重合体は、200℃以上の高い融
点を持ち、官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)
の微粒子が分散された金属酸化物(B)からなる被膜を
作成する際、高温での焼成においても溶融せず、被膜中
で微粒子の形態を保持することが出来る。
【0054】本発明に用いることが出来る官能基含有含
フッ素エチレン性重合体(A)は、前述の官能基含有含
フッ素エチレン性単量体(a)と、エチレン性単量体
(b)を周知の重合方法で共重合することによってうる
ことが出来るが、主としてラジカル共重合による方法が
用いられる。すなわち重合を開始するには、ラジカル的
に進行するものであれば手段は制限されないが、例えば
有機、無機ラジカル重合開始剤、熱、光あるいは電離放
射線などによって開始される。重合の種類も溶液重合、
バルク重合、懸濁重合、乳化重合などを用いることが出
来る。また、分子量は、重合に用いるモノマーの濃度、
重合開始剤の濃度、連鎖移動剤の濃度、温度によって制
御される。生成する共重合体の組成は、仕込みモノマー
の組成によって制御可能である。
【0055】本発明において被膜のマトリクスを形成す
ることが出来る金属酸化物(B)は、例えば金属の有機
化合物や金属の無機化合物を出発原料とし、後述する被
覆組成物中の溶剤(C)により加水分解、重縮合によっ
てえられるものなどが好ましい。
【0056】このようにしてえられる金属酸化物(B)
としては、目的や用途により種々のものを用いることが
出来るが、例えば元素周期表におけるIa族:Li,N
a、Ib族:Cu,IIa族:Ca,Sr,Ba、IIb
族:Zn、IIIa族:Y、IIIb族:B、Al,Ga、IV
a族:Ti,Zr,IVb族:Si,Ge,Va族:V,
Ta,Vb族:P、Sb、VIa族:W、ランタノイド
族:La,Ndなどの金属(M)の酸化物があげられ、
また、2価以上の金属であって、アルキル基、含フッ素
アルキル基、アミノ基やエポキシ基、ヒドロキシル基な
どの官能基を有しているアルキレン基などの有機基
(R)が金属(M)に直接結合した金属酸化物(R−M
O)も用いることが出来る。より具体的な金属酸化物
(B)としては、後記するものがあげられる。
【0057】前記金属(M)は、目的、用途により種々
選択できるが、透明で硬度が高く、耐久性に富んだ被膜
を形成できる点からSi,Al,TiまたはZrから選
ばれるものが特に好ましい。
【0058】本発明における基材表面上の被膜中の官能
基含有含フッ素エチレン性重合体(A)と金属酸化物
(B)の割合(体積比)は、(A)/(B)が1〜85
/99〜15、特に透明性、被膜強度の点から5〜75
/25〜95であるのが好ましい。該重合体(A)が多
すぎると被膜の透明性が低下したり被膜がもろくなった
りする。逆に少なすぎると撥水性、非粘着性、防汚性と
いったフッ素樹脂本来の優れた性能が低下する。
【0059】前記金属酸化物の被膜の膜厚は、適用する
機器や器具の種類や部位により異なるが、0.01〜1
00μmであり、好ましくは0.01〜70μmであ
り、特に好ましくは0.02〜50μmである。
【0060】本発明における被膜は、いわゆるゾル−ゲ
ル法で作製した金属酸化物被膜であって、前記官能基含
有含フッ素エチレン性重合体(A)の微粒子と前記金属
酸化物(B)の前駆体である金属酸化物ゾル(B−1)
(ゲル化前の低分子縮合体)と溶剤(C)とからなる被
覆用組成物を基材に適用することにより形成できる。
【0061】この被覆用組成物に用いることができる溶
剤(C)は、種々のものがあげられるが、金属酸化物ゾ
ル(B−1)を均質に調製することができる点から、主
としてメタノール、エタノール、プロパノール、イソプ
ロパノール、ブタノール、イソブタノールなどのアルコ
ール類、また加水分解を促進するための水などから選ば
れる。
【0062】なお、これらの溶剤(C)に不溶な金属化
合物を金属酸化物ゾル(B−1)(つまり金属酸化物被
膜)の出発原料として用いる場合、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、トリエタノールアミン、キ
シレンなどを用いてもよい。また、被膜のき裂などを防
ぐためなどにホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジ
オキサン、シュウ酸などを使用してもよい。
【0063】これらの被覆用組成物において、官能基含
有含フッ素エチレン性重合体(A)、金属酸化物ゾル
(B−1)、溶剤(C)の各成分の組成比率は、調理器
の種類や部位により適宜選択されうるが、官能基含有含
フッ素エチレン性重合体(A)と金属酸化物ゾル(B−
1)の合計量に対し、該重合体(A)1〜85容量%、
金属酸化物ゾル(B−1)15〜99容量%であり、該
重合体(A)5〜75容量%、金属酸化物ゾル(B−
1)25〜95容量%であることがさらに好ましい。
【0064】また、組成物全体に占める官能基含有含フ
ッ素エチレン性重合体(A)と金属酸化物(B)の合計
量は、0.1〜70重量%であり、好ましくは0.5〜
50重量%である。
【0065】本発明の官能基含有含フッ素エチレン性重
合体(A)は、微粒子であることが好ましく、塗布後の
金属酸化物被膜中に微粒子の形態で、分散しており、と
くに防汚性、耐摩耗性、接水性に優れた被膜を与えるこ
とができる。
【0066】官能基含有含フッ素エチレン性重合体
(A)の微粒子の平均粒子径は、0.01〜1.0μm
程度であり、好ましくは0.6μm以下であり、この範
囲内においてとくに透明性を必要とする場合0.4μm
以下であることが好ましく、また、被覆用組成物の分散
安定性、貯蔵安定性、さらに被膜の透明性を必要とする
場合0.2μm以下であることがもっとも好ましい。
【0067】これらの官能基含有含フッ素エチレン性重
合体(A)の微粒子は、種々の方法で製造されるが、粒
子径を細かく、また均一に制御できることから、乳化重
含法によって製造することが好ましい。この場合、乳化
重合によってえられた官能基含有含フッ素エチレン性重
合体(A)の水性ディスパージョンを、予め作成してお
いた金属酸化物ゾル(B−1)の溶液に直接混合する
か、または官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)
の水性ディスパージョンを含む溶剤中で出発原料の金属
化合物の加水分解、重縮合を行なうことにより、被覆用
組成物をうることができる。
【0068】なお、被覆用組成物には、たとえば界面活
性剤、顔料、染料、増粘剤などの添加剤を加えてもよ
い。
【0069】本発明において基材上に形成される被膜
は、前記官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)の
微粒子および金属酸化物ゾル(B−1)を含む被覆用組
成物(ゾル溶液)を、基材に塗布し、焼成(ゲル化)す
ること(すなわち、ゾル−ゲル法)により、金属酸化物
ゾル(B−1)の重縮合がさらに進み、硬質で高強度の
金属酸化物(B)の被膜が形成され、その被膜中に含フ
ッ素共重合体(A)が粒子状で均一に分散した金属酸化
物被膜となったものである。
【0070】本発明の金属酸化物被膜は、官能基含有含
フッ素エチレン性重合体(A)の微粒子が該被膜内部ま
で均一に分布しているため、該被膜表面が摩耗され、削
れたとしても、該被膜内部までフッ素樹脂の優れた防汚
性、接水性などを発揮し、この特性が低下しないもので
ある。
【0071】前記焼成は、前記金属酸化物被膜中に粒子
状で均一に分散させるために、官能基含有含フッ素エチ
レン性重合体(A)の融点以下で行なうことが好まし
い。しかしながら、溶融粘度が高く溶融しないもの(た
とえばPTFEなど)を微粒子として用いる場合、官能
基含有含フッ素エチレン性重合体(A)の分解温度を超
えない限り、融点以上でも焼成することができる。
【0072】このような金属酸化物被膜は、たとえば金
属アルコキシド、金属アセチルアセテート、金属カルボ
キシレート、金属硝酸塩、金属塩化物よりなる群から選
ばれた少なくとも1種を出発原料とし、加水分解および
縮合反応によりえられる金属酸化物ゾル(B−1)と乳
化重合法によりえられる前記官能基含有含フッ素エチレ
ン性重合体(A)の微粒子を含む水性ディスパージョン
を用いることによって製造でき、(1)該金属酸化物
(B−1)ゾルと該水性デイスパージョンを混合してコ
ーティング液を調製するコーティング液調製工程、
(2)該コーティング液を基板に塗布して塗膜を形成す
る塗膜形成工程、および(3)該塗膜を焼成して該官能
基含有含フッ素エチレン性重合体(A)の微粒子が分散
してなる被膜を形成する被膜形成工程を経て得られる。
【0073】(金属酸化物ゾル溶液の調製)前記金属酸
化物ゾルは、相当する金属アルコキシド、金属アセチル
アセテート、金属カルボキシレート、金属硝酸塩、金属
塩化物またはこれらのうちの、2種以上の加水分解、重
縮合により調製することができる。
【0074】これらのうちでも金属アルコキシドが、反
応性に富み、加水分解と重縮合反応を受けて、金属−酸
素結合を有している重合体(金属酸化物)を生成しやす
いため好ましい。
【0075】金属アルコキシドの合成が困難であった
り、金属アルコキシドが一般的に使用する水、アルコー
ルなどの溶剤に不溶な場合(たとえば銅のアルコキシド
など)、金属アセチルアセテートや金属酢酸塩などのカ
ルボン酸塩、オキシ酸塩などを使用することができる。
【0076】さらに適当な金属アルコキシドやその他の
有機金属化合物がない場合、金属硝酸塩や金属塩化物、
金属酸化物などの無機金属化合物を用いることができ
る。
【0077】金属アルコキシドは、M(OR)n(式
中、Mは金属、Rはアルキル、nは該金属の原子価に相
当する数値)で示される化合物であり、一般に金属M
は、最終的にえられる金属酸化物を含む被膜の目的、用
途により適宜選択することができ、アルキル基Rは、溶
剤に可溶であるかないか、加水分解反応性、重縮合反応
性などを左右するため、目的に応じて選択することがで
きる。
【0078】金属アルコキシドは、具体的にはLiOC
H、NaOCH3、Cu(OCH3)、Ca(OC
3)、Sr(OC252、Ba(OC252、Zn
(OC262、Y(OC493などがあげられる。
【0079】さらに金属アルコキシドとしては、金属に
アルコキシル基のみが結合した化合物のみならず、アル
コキシル基の一部をメチル基、エチル基などのアルキル
基で置換した化合物、含フッ素アルキル基で置換した化
合物、アミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、メルカ
プト基などの官能基を有しているアルキレン基で置換し
た化合物も用いることができる。
【0080】これらの具体例として、(化7)などがあ
げられる。
【0081】
【化7】
【0082】その他、有機金属化合物としては、金属ア
セチルアセトネートたとえばZr(COCH2
34、In(COCH2COCH33、Zn(COC
2COCH32、金属カルボキシレートたとえばPb
(CH3COO)2、Y(C1735COO)3、Ba(H
COO)2などがあげられる。
【0083】また、無機金属化合物としては、金属硝酸
塩たとえばY(NO33・6H20、Ni(NO32
3H20、金属オキシ塩化物たとえばZrOC12、Al
OCl、金属塩化物たとえばTiCl4などがあげられ
る。また、フュームドシリカなどの金属酸化物を用い
て、再びゾル化して、ゾル−ゲル法を適用することもで
きる。
【0084】金属酸化物ゾル溶液の調製は、まず目的の
金属酸化物の金属に相当する金属化含物を前記にあげた
化合物のうちから選択し、アルコール系の溶剤に溶解す
る。この場合、金属化合物は前記溶剤に均一に溶解する
ことが望ましく、溶解する金属化含物を選択することが
好ましい。
【0085】この金属化合物溶液に、水および酸または
アルカリを触媒として加えることにより、加水分解、重
縮合がおこり、金属酸化物の粒子が生成し、金属酸化物
ゾル(B−1)の溶液がえられる。
【0086】前記触媒としての酸は、たとえば塩酸、硫
酸、硝酸、酢酸、フッ酸などが一般的に用いられ、前記
触媒としてのアルカリは、たとえば処理後揮発によって
除去できるアンモニアが好ましく用いられる。
【0087】金属酸化物ゾル溶液を調製するときの反応
温度は、金属の種類、用いる金属化合物の種類、目標と
するゾルの重合度などによって異なるが、一般的に室温
〜100℃、好ましくは室温〜80℃程度であり、固形
分含量は0.5〜50重量%であることが望ましい。
【0088】また、場合によっては、水や触媒を加えな
いで、空気中の水分で除々に加水分解、重縮合させ、金
属酸化物ゾル(B−1)を調製することも可能である。
【0089】(官能基含有含フッ素エチレン性重合体水
性ディスパージョンの調製)金属酸化物ゾル(B−1)
と混合する官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)
の微粒子は、種々の方法で製造できる。
【0090】具体的には、(イ)懸濁重合法などでえら
れた官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)の粉末
を微粉砕し、金属酸化物ゾル(B−1)溶液ヘ、界面活
性剤などとともに加えて均一に混合する方法(この場
合、ディスパージョンと同時に後記コーティン液ができ
る)、(ロ)乳化重合法により重合と同時に官能基含有
含フッ素エチレン性重合体の水性ディスパージョンを製
造する(この場合、直接、金属酸化物ゾル(B−1)溶
液と混合することができる)方法などがあげられるが、
生産性や品質面(小粒径化や、均一粒径化)から、乳化
重合法により水性ディスパージョンを調製し、水性ディ
スパージョンの状態で直接、金属酸化物ゾル(B−1)
溶液に混合することが好ましい。混合する官能基含有含
フッ素エチレン性重合体(A)の微粒子の水性ディスパ
ージョンは、通常1〜70重量%の固形分含量を有し、
好ましくは5〜50重量%である。
【0091】(コーティング液の調製)官能基含有含フ
ッ素エチレン性重合体(A)の微粒子を含む金属酸化物
ゾル(B−1)溶液(コーティング液)を調製する方法
として、(ハ)官能基含有含フッ素エチレン性重合体
(A)の微粒子を含む水性ディスパージョンを含むアル
コール溶液中で金属化合物を加水分解および重縮合さ
せ、金属酸化物ゾル(B−l)を形成し、コーティング
液を調製する方法、(二)予め加水分解、重縮合により
調製した金属酸化物ゾル(B−1)溶液と官能基含有含
フッ素エチレン性重合体(A)の微粒子を含む水性ディ
スパージョンを混合し、コーティング液を調製する方法
のいずれかを採用することができる。
【0092】前記官能基含有含フッ素工チレン性重合体
(A)の微粒子を含むディスパージョンは、この重合体
が有している官能基の効果により、アルコール系や他の
非水系溶剤に対し、高い分散安定性を有し、前記いずれ
かの方法によるコーティング液の調製工程においても、
微粒子の沈降や凝析などを起こさない。また、塗布に先
立ち、目標の膜厚、基材の種類や形状により、コーティ
ング液の固形分濃度を調整したり、増粘剤の添加などに
よるコーティング液の粘度の調整を行なってもよい。
【0093】(塗布)調理器のトッププレートへの塗布
法としては、ディッピング、スピンコート、スプレー、
ハケ塗り、ロールコートなど公知の塗布法が採用でき
る。
【0094】(焼成)塗膜を焼成して官能基含有含フッ
素エチレン性重合体(A)の微粒子が分散してなる被膜
を基材表面に形成する。通常、焼成に先立って水や溶剤
を除去する乾燥工程が行なわれる。乾燥は、通常室温〜
100℃、好ましくは室温〜80℃程度で行なう。
【0095】焼成は、目的、用途、官能基含有含フッ素
エチレン性重合体(A)の種類によって異なるが、10
0℃以上、官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)
の分解温度未満、好ましくは150℃以上、官能基含有
含フッ素エチレン性重合体(A)の融点未満で行なわれ
る。100℃以下で行なうと、金属酸化物の縮重合(ゲ
ル化)が充分に進行しないため、架橋が不充分であり、
高硬度、高強度の被膜がえられにくい。
【0096】また、官能基含有含フッ素エチレン性重合
体(A)の分解温度を超えると、発泡や着色のみでな
く、接水性などのフッ素樹脂の優れた特性が失なわれ
る。
【0097】また、被膜中に、官能基含有含フッ素エチ
レン性重合体(A)を粒子状で分散させるために、焼成
は官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)の融点以
下で行なうことが好ましい。しかしながら、溶融粘度が
高く、溶融しないもの(たとえばPTFEなどのような
もの)を微粒子として用いる場合、官能基含有含フッ素
エチレン性重合体(A)の分解温度を超えない限り、融
点以上でも焼成することができる。
【0098】このようにして本発明の防汚性被膜を製造
することができる。
【0099】なお、防汚性被膜はさらに撥水性が要求さ
れることが多く、そのため官能基含有含フッ素エチレン
性重合体(A)の微粒子として、官能基含有含フッ素エ
チレン性重合体(A)自体の水に対する接触角が80度
以上、とくに95度以上のものを含む撥水性を併せもつ
被覆用組成物を用いるのが好ましい。また、被膜中で、
該撥水性微粒子の形状を保持するためには、高温での焼
成工程において、熱分解や溶融しない含フッ素共重合体
が好ましく、詳しくは融点が150℃以上、好ましくは
200℃以上、とくに好ましくは250℃以上のものが
用いられる。
【0100】特に防汚性、撥水性に優れた被膜を与える
官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)としては、
具体的には前述のいわゆる反応性PTFE、反応性PF
A、反応性FEP、反応性ETFEなどが好ましくあげ
られる。
【0101】また、これらの官能基含有含フッ素エチレ
ン性重含体(A)中の官能基の含有率は、0.1〜10
モル%であることがとくに好ましい。
【0102】前述のようにしてえられる本発明の撥水性
被膜は、第1に優れた防汚性を長期間維持でき、第2に
官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)の微粒子が
良好な界面接着性をもって金属酸化物(B)からなる被
膜中で均一に分散し該被膜が充分な硬さ、透明性および
接着性を有し、第3に官能基含有含フッ素エチレン性重
合体(A)の微粒子(B)からなる被膜が良好な耐熱
性、耐侯性、耐摩耗性、耐傷付き性、非粘着性、撥水性
などを有する。
【0103】つぎに、本発明の防汚性被膜をコーティン
グしたトッププレートについて、実施例に基づいてさら
に具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定され
るものではない。
【0104】(実施例l) (1)金属酸化物ゾルの調製 テトラエトキシシラン54g、トリエトキシメチルシラ
ン46g、工タノール200gを500mlのビーカー
に入れ室温で1時間撹拌した。つぎに、0.1N塩酸水
溶液50gを加え50℃で3時間撹枠し、シリカゾル溶
液をえた。
【0105】(2)コーティング液の調製 ヒドロキシル基を有するPFAのデイスパージョン45
gのなかに前記(1)でえられたシリカゾル溶液90g
を加え室温で1時間撹枠し、コーティング液をえた。
【0106】(3)塗布 前記(2)でえられたコーティング液を10milアプ
リケーターを用いて電磁調理器のトッププレート(強化
ガラス板)上に塗布した。
【0107】(4)焼成 前記(3)でえられた塗膜を室温にて風乾し、基板上の
水やエタノールを乾燥させた後、大気下250℃にて6
0分間焼成し、約6μmの被膜を有する試験板をえた。
【0108】(比較例1) 官能基を有していない含フッ素共重合体の水性ディスパ
ージョンを用い、実施例1と同様にしてコーティング液
の調製、塗布、焼成を行ない、試験板を作成した。
【0109】(比較例2)含フッ素共重合体の水性ディ
スパージョンを添加していないシリカゾル溶液のみを用
いて、実施例1と同様にして塗布、焼成を行い、試験片
を作成した。
【0110】実施例1および比較例1、2でえられたコ
ーティング液および被膜についてつぎの試験を行なっ
た。
【0111】コーティング液の分散安定性 前記(2)でえられたコーティング液を室温で3時間静
置し、分散性を観察し、液全体が透明〜半透明のときを
「○」、液全体が白濁しているときを「△」、部分的に
含フッ素共重合体が沈降しているかまたは液全体が凝析
しているときを「×」として評価した。
【0112】被膜の透明性 前記(4)でえられた焼成後の被膜の透明性をへイズー
メーターによりヘイズ値を測定した。
【0113】被膜の硬さ JlS K5401にしたがい、鉛筆引っかき試験によ
り室温での鉛筆硬度を測定した。
【0114】密着性 JlS K5400にしたがって、被膜上にクロスカッ
ト100目を作りクロスカット面にセロハン粘着テープ
を貼りつけ、これを被膜に対して垂直方向に強く引っぱ
り、被膜の剥離状態を観察し、被膜の残り数/100で
表示した。
【0115】非粘着性試験 試験板の表面をエタノールで洗浄した後、サラダ油を
0.02gスポイトで滴下する。これをφ1.5cmに
広げる。サラダ油を付着させた試験板を300℃の電気
炉内に20分間放置して取出し、室温にまで冷ました後
キムワイプでふき取る。乾拭きで完全にふき取れた場合
を『○』、水拭きでわずかに力を入れてふき取れた場合
を『△』、力を入れても跡が残る場合を『×』として汚
れのふき取り性を評価した。
【0116】被膜の撥水性 接触角計(協和界面科学(株)製)により水の接触角を
測定した。
【0117】耐摩耗試験 ネル布(綿300番)を用い80gf/cm2の荷重に
て、前記被膜を5000回摩擦した後の水の接触角を前
記と同様にして測定した。
【0118】前記試験の結果を(表1)に示す。
【0119】
【表1】
【0120】表1の結果から明らかなように、本発明の
被覆用組成物は分散安定性に優れ、該組成物からえられ
る被膜は硬く透明性、非粘着性、接水性、耐磨耗性に優
れていることがわかる。
【0121】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、含フッ
素共重合体に特定の官能基を導入し、金属酸化物および
溶剤と組み合せることによってえられる組成物は、硬
く、透明性、非粘着性、接水性、耐磨耗性に優れている
ため、これを用いた防汚性被膜を形成した調理器用トッ
ププレートは、優れた防汚性、撥水性、耐熱性、耐薬品
性、耐傷付き性、低摩擦性、低屈折性、反射防止性など
の性能をもつことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の調理器における実施例を示す外観斜視
【符号の説明】
1 電磁調理器本体 2 トッププレート 3 鍋
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梅田 章広 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 3K051 AB02 CD44 4G059 AA15 AC22 FA11 FA28 FB06

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に、含フッ素エチレン性重合体の微
    粒子が、金属酸化物層中に分散している防汚性被膜を有
    する結晶化ガラスを備えた調理器用トッププレート。
  2. 【請求項2】 含フッ素エチレン性重合体の微粒子が、
    ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボン酸塩、カル
    ボキシエルテル基またはエポキシ基から選ばれた少なく
    とも1種の官能基を有する官能基含有含フッ素エチレン
    性単量体の0.05〜50モル%と前記の官能基を有さ
    ない含フッ素エチレン性単量体の50〜99.95モル
    %とを共重合してなる請求項1に記載の調理器用トップ
    プレート。
  3. 【請求項3】 官能基含有含フッ素エチレン性単量体が
    式(1): CX2=CX1−Rf−Y (1) (式中、Yは−CH2OH、−COOH、カルボン酸
    塩、カルボキシエステル基またはエポキシ基、Xおよび
    1はいずれも水素原子またはフッ素原子、Rfは炭素数
    1〜40の2価の含フッ素アルキレン基、炭素数1〜4
    0の含フッ素オキシアルキレン基、炭素数1〜40のエ
    ーテル基を含む含フッ素オキシアルキレン基を表す)で
    示される少なくとも1種の官能基含有含フッ素エチレン
    性単量体である請求項2に記載の調理器用トッププレー
    ト。
  4. 【請求項4】 官能基を有さない含フッ素エチレン性単
    量体が、テトラフルオロエチレンである請求項2記載の
    調理器用トッププレート。
  5. 【請求項5】 官能基を有さない含フッ素エチレン性単
    量体が、テトラフルオロエチレン85〜99.7モル%
    と式(2): CF2=CF−Rf 1 (2) (式中、Rf 1はCF3またはORf 2(Rf 2は炭素数1〜
    5のパーフルオロアルキル基))で示される単量体0.
    3〜15モル%との混合単量体である請求項2に記載の
    調理器用トッププレート。
  6. 【請求項6】 官能基を有さない含フッ素エチレン性単
    量体が、テトラフルオロエチレン40〜80モル%とエ
    チレン20〜60モル%とその他の共重合可能な単量体
    0〜15モル%との混合単量体である請求項2記載の調
    理器用トッププレート。
  7. 【請求項7】 金属酸化物がケイ素の酸化物である請求
    項1〜6のいずれかに記載の調理器用トッププレート。
  8. 【請求項8】 金属酸化物がアルミニウムの酸化物であ
    る請求項1〜6のいずれかに記載の調理器用トッププレ
    ート。
  9. 【請求項9】 金属酸化物がチタニウムの酸化物である
    請求項1〜6のいずれかに記載の調理器用トッププレー
    ト。
  10. 【請求項10】 金属酸化物がジルコニウムの酸化物で
    ある請求項1〜6のいずれかに記載の調理器用トッププ
    レート。
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JP2008192455A (ja) * 2007-02-05 2008-08-21 Narumi China Corp 加熱調理器用ガラストッププレート
JP2008190846A (ja) * 2007-01-12 2008-08-21 Narumi China Corp 加熱調理器用ガラストッププレート及びその製造方法
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