JPH1040597A - メモリー装置 - Google Patents

メモリー装置

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JPH1040597A
JPH1040597A JP19633996A JP19633996A JPH1040597A JP H1040597 A JPH1040597 A JP H1040597A JP 19633996 A JP19633996 A JP 19633996A JP 19633996 A JP19633996 A JP 19633996A JP H1040597 A JPH1040597 A JP H1040597A
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electrode
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単純な構成で高精度且つ高信頼性のマルチプ
ローブメモリー装置を構成し、生産性が良く、低コスト
のメモリー装置を提供すること。 【解決手段】 スペーサを介して接合された第1の基
板、第2の基板及び第3の基板を有し、前記第1の基板
の第2の基板側の面には、基板に垂直な方向に弾性を有
する支持部材と該支持部材の上に設けらているプローブ
とからなるプローブユニットが複数形成されており、前
記第2の基板の周辺部と中央部との間には、基板の一部
を除去した弾性部が有り、該第2の基板の中央部の第1
の基板側の面には記録膜が形成されており、該第2の基
板の中央部の第3の基板側の面には移動子側電極が形成
されており、前記第3の基板の第2の基板側の面には固
定子側電極が形成されており、前記第3の基板と第2の
基板とが静電アクチュエータを構成し、前記プローブユ
ニットのプローブと、前記記録膜とが接触した状態で情
報の記録再生を行うことを特徴とするメモリー装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数のプローブを
用いて記録媒体に記録再生を行うメモリー装置に係り、
特に、製造が容易で信頼性が高いマルチプローブメモリ
ー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、複数の微小なプローブを用い
て情報を記録再生する情報処理装置としては、走査トン
ネル電子顕微鏡の原理を応用したマルチプローブに関す
るもの(特願平4ー98633号)や、プローブを記録
媒体に接触させた状態で情報の記録再生を行うマルチプ
ローブメモリー装置(特願平8ー115600号)等が
知られている。
【0003】特願平4ー98633号に示された情報処
理装置では、プローブに電圧を印加した状態でプローブ
と記録媒体とを接触させることなく近接させ、この際に
プローブに流れるトンネル電流量により記録情報を読み
出している。かかる、トンネル電流量は、プローブと記
録媒体との距離に著しく依存するため、トンネル電流量
を検出することにより、記録情報を読み出す装置では、
プローブと記録媒体との距離を厳密に制御する必要があ
る。特に、複数のプローブを用いたマルチプローブで
は、全てのプローブと記録媒体との距離を厳密に制御す
る必要があるため、プローブの高さ方向の位置制御にか
かる負担が大きかった。
【0004】例えば、図1に示したマルチプローブ(断
面図)では、カンチレバー22上にプローブ21が設け
られており、電極23、24に電圧を印加することによ
り、このカンチレバー22を上下方向に駆動させ、プロ
ーブの高さ方向の位置制御を行っていた。従って、プロ
ーブの高さ方向の位置制御、つまりカンチレバー22の
駆動制御を各プローブごとに行う必要があった。
【0005】又、このような装置では、マルチプローブ
と記録媒体との平行度を検知するために、例えば、3個
のプローブに流れるトンネル電流量をモニターし、その
結果に応じてマルチプローブが設けられている基材の傾
きを制御している。
【0006】このような制御を行うメモリー装置では、
メモリー装置の構造が複雑となり、装置の信頼性の向上
や低コスト化が困難であった。
【0007】一方、特願平8ー115600号に示され
たマルチプローブメモリー装置では、プローブを記録媒
体に接触させた状態で情報の記録再生を行うため、トン
ネル電流量を検出する場合に比べ、プローブの高さ方向
の位置制御が容易になる。しかし、この場合も、各プロ
ーブごとにプローブと記録媒体との接触状態を制御する
必要があり、メモリー装置の構造を単純化することがで
きなかった。
【0008】又、このメモリー装置では、プローブ等の
駆動力として圧電材料が用いられているが、圧電材料に
はクリープ現象と呼ばれる使用時に動作点がドリフトす
る現象があり、この問題を回避するためには、複雑な駆
動制御が必要となる。更に、圧電材料は単位体積当たり
の変位量が小さいため、必要な変位量を確保するために
は形状の大きな圧電材料を用いなければならない。
【0009】又、上記メモリー装置では、位置決め等に
関して高精度が要求されるが、振動や衝撃による位置づ
れ、又は、熱膨張歪みによる位置ずれが生じやすく、位
置決め精度の維持が容易でなかった。この位置決め精度
の低下は、記録再生時のエラーに結びつくため、位置決
め精度が低下した場合、メモリー装置の信頼性が著しく
低下する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように特願平4
ー98633号や特願平8ー115600号に示されて
いるようなマルチプローブを用いた装置では、装置の信
頼性を確保するためにプローブの位置決め等に高い精度
が要求され、その確保が容易でなかった。又、信頼性の
高い記録再生を行うためには、各プローブ毎にその高さ
を制御する手段を設ける必要があり、その作製や制御も
容易でなっかた。
【0011】そこで、本発明は、各プローブ毎の駆動手
段を不要とし、単純な構成で高精度且つ高信頼性のマル
チプローブメモリー装置を構成し、生産性が良く、低コ
ストのメモリー装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のメモリー
装置は、スペーサを介して接合された第1の基板、第2
の基板及び第3の基板を有し、前記第1の基板の第2の
基板側の面には、基板に垂直な方向に弾性を有する支持
部材と該支持部材の上に設けらているプローブとからな
るプローブユニットが複数形成されており、前記第2の
基板の周辺部と中央部との間には、基板の一部を除去し
た弾性部が有り、該第2の基板の中央部の第1の基板側
の面には記録膜が形成されており、該第2の基板の中央
部の第3の基板側の面には移動子側電極が形成されてお
り、前記第3の基板の第2の基板側の面には固定子側電
極が形成されており、前記第3の基板と第2の基板とが
静電アクチュエータを構成し、前記プローブユニットの
プローブと、前記記録膜とが接触した状態で情報の記録
再生を行うことを特徴とするものである。
【0013】請求項2記載のメモリー装置は、スペーサ
を介して接合された第1の基板、第2の基板及び第3の
基板を有し、前記第1の基板の第2の基板側の面には、
記録膜が形成されており、前記第2の基板の周辺部と中
央部との間には、基板の一部を除去した弾性部が有り、
該第2の基板の中央部の第1の基板側の面には、基板に
垂直な方向に弾性を有する支持部材と該支持部材の上に
設けらているプローブとからなるプローブユニットが複
数形成されており、該第2の基板の中央部の第3の基板
側の面には移動子側電極が形成されており、前記第3の
基板の第2の基板側の面には固定子側電極が形成されて
おり、前記第3の基板と第2の基板とが静電アクチュエ
ータを構成し、前記プローブユニットのプローブと、前
記記録膜とが接触した状態で情報の記録再生を行うこと
を特徴とするものである。
【0014】請求項3記載のメモリー装置は、請求項1
又は2記載のメモリー装置に於いて、第1の基板、第2
の基板及び第3の基板がSi単結晶基板であることを特
徴とするものである。
【0015】請求項4記載のメモリー装置は、請求項1
乃至3記載のいずれかのメモリー装置に於いて、上記弾
性部の基板に垂直な方向の剛性が、基板に平行な方向の
剛性より大きいことを特徴とするものである。
【0016】請求項5記載のメモリー装置は、請求項1
乃至4記載のいずれかのメモリー装置に於いて、上記プ
ローブユニットのプローブと上記記録膜との間隔又は接
触圧力を調整するための吸引電極を設けたことを特徴と
するものである。
【0017】つまり、上記吸引電極は、プローブユニッ
トのプローブと記録膜との間隔が狭まる方向に吸引力を
発生させる電極である。
【0018】
【発明の実施の形態】
[メモリー装置の構成及び動作について]本発明のメモ
リー装置の構成及び動作について図面を参照して説明す
る。
【0019】図1は本発明のメモリー装置を構成する3
枚の基板を示した斜視図であり、図2は図1のAA’断
面を示したメモリー装置の断面図である。
【0020】第1の基板1は、プローブユニット11が
設けられた基板である。又、この基板には、静電アクチ
ュエータ制御回路4とメモリー制御回路5が設けられて
いる。この静電アクチュエータ制御回路4は、プローブ
ユニット11と記録膜15との相対位置をアクセスする
メモリーアドレスに応じて制御する回路である。一方、
メモリー制御回路5は、プローブユニット11のプロー
ブに印可する電圧を制御する機能や、プローブで検出し
た記録情報を保持する機能や、プローブで検出した記録
情報を外部に出力する電気信号に変換する機能等を備え
た回路である。
【0021】第2の基板2は、第1の基板1側の面に記
録膜15が設けられた基板であり、記録膜15が設けら
れている中央部(移動子)2cと設けられていない周辺
部2aとの間には弾性部2bがある。又、この中央部
(移動子)2cの第3の基板3側の面には移動子側電極
8が設けられている。
【0022】第3の基板3は、移動子2cの移動子側電
極8と対向する固定子側電極9が設けられている基板で
ある。
【0023】ここで、第2の基板2と第3の基板3は、
静電アクチュエータを構成し、第2の基板2の中央部2
cは移動子となり、第3の基板3は固定子となる。又、
移動子2cの第1の基板1側の面には記録膜15が設け
られているので、移動子2cの移動に伴い、記録膜とプ
ローブユニット11との相対位置が変化する。従って、
各プローブユニット11に設けられたプローブにより、
その移動範囲内の任意の部分の記録膜15に対して、情
報の記録と再生を行うことができる。
【0024】尚、プローブと記録膜15が接触しないよ
うに両者の間隔を設定した場合には、移動子を所望の位
置に移動させた後、吸引電極10により移動子を第1の
基板1側に吸引して、プローブと記録膜15を接触させ
てから記録再生を行う。
【0025】又、第1の基板1と第2の基板2は、スペ
ーサ6を介して接合されており、両者の間隔は、第1の
基板1に設けられたプローブユニット11のプローブ
と、第2の基板2に設けられた記録膜15とが、接触又
はわずかに離れる程度に設定する。一方、第2の基板2
と第3の基板3についても、スペーサ7を介して接合さ
れており、両者の間隔は、静電アクチュエータの移動子
2cが正常に動作(移動)できる程度に設定する。
【0026】ここで、各基板間の間隔を高精度で設定す
るためには、各基板の表面がより平坦であることが望ま
しい。例えば、鏡面研磨したSi単結晶基板を用い、フ
ォトリソグラフィー技術を用いて加工されたSiO2
の薄膜(Si単結晶基板上に形成された薄膜)をスペー
サとすれば、サブμm以下の高精度で基板間の間隔を設
定することができる。
【0027】又、各基板がスペーサを介して接合されて
いるため、機械的信頼性が高く、外部から衝撃が与えら
れた時に、各基板間に位置ずれが生じて精度が低下する
ことがない。
【0028】又、上記第1の基板1、第2の基板2及び
第3の基板3に用いる材料としては、同一の物性を備え
た材料を用いることが望ましく、例えば、Si、Ge、
GaAs等の半導体基板や、ガラス、石英、セラミック
ス等の薄膜形成用絶縁性基板等を用いることができる。
このように第1の基板1、第2の基板2及び第3の基板
3に、同一の物性を備えた材料を用いることにより、温
度変化等によって生じる歪み(熱膨張率の差異による歪
み)で各基板間の相対位置が変化し、そのために、プロ
ーブと記録膜の接触位置精度が低下することを抑制する
ことができる。又、これらの基板上には半導体回路(制
御回路等)が同時に形成されることがあり、その場合に
は、Si半導体単結晶基板が最も好適となる。
【0029】尚、図1、図2に示したメモリー装置に於
いては、移動子(第2の基板の中央部)に記録膜を設
け、第1の基板にプローブユニットを設けたが、移動子
(第2の基板の中央部)にプローブユニットを設け、第
1の基板に記録膜を設けてもよい。
【0030】[プローブユニットについて]図3は、プ
ローブユニットの(a)平面図と(b)断面図(BB’
断面を示した断面図)である。このプローブユニット
は、複数の梁を組み合わせた複合梁(マイクロサスペン
ション)13及び記録膜に対して情報の書き込みと読み
出しを行うプローブ12からなる。
【0031】このプローブユニットを構成する複合梁
(マイクロサスペンション)13は、Z軸方向の剛性
(バネ定数)が小さく、更に、後述するように各プロー
ブユニットのZ軸方向の高さのばらつきも小さいため、
図2に示した吸引電極10により記録膜16が形成され
ている移動子2cを第1の基板1側に吸引すれば、全て
のプローブ12を記録膜に接触させることができる。従
って、各プローブユニット毎にZ軸方向の位置調整機構
を設ける必要がない。
【0032】尚、上記複合梁(マイクロサスペンショ
ン)13は、いわゆるマイクロマシーニング技術(例え
ば、基板の異方性エッチングや犠牲層エッチングによる
空隙構造作製技術)を用いれば容易に作製することがで
きる。
【0033】又、上記複合梁(マイクロサスペンショ
ン)13の上に設けられているプローブ12や、プロー
ブ12と電気的に接続するプローブ選択トランジスタ1
4についても、マイクロマシーニング技術や半導体回路
作製技術を用いれば容易に作製することができる。
【0034】ところで、本発明のメモリー装置では、複
合梁(マイクロサスペンション)13及びプローブ12
からなるプローブユニットを可能な限り均一に作製する
必要がある(プローブユニットのZ方向の高さ精度を高
精度化する必要がある)が、上記マイクロマシーニング
技術等を用いれば、サブμmオーダーの高さ精度でプロ
ーブユニットを作製することができる(各プローブ間の
Z方向の高さのばらつきを、サブμmオーダー程度に抑
えることができる)。更に、CPM(化学機械研磨)技
術を用いてプローブ12の端面を一括研磨すれば、各プ
ローブ間のZ方向の高さのばらつきを、サブμmオーダ
ー以下に抑えることができる。
【0035】又、上述のように各基板間の間隔について
も、フォトリソグラフィー技術を用いて加工した薄膜を
スペーサとすることにより高精度で設定することができ
るので、プローブと記録膜との間隔を高精度で調整する
ことができる。
【0036】[静電アクチュエータについて]図4は静
電アクチュエータの移動子側となる第2の基板の1例を
示した平面図である。 この第2の基板は、第1の基板
及び第3の基板に固定されている周辺部2a、静電駆動
力により移動する中央部(移動子)2c、及び周辺部2
aと中央部(移動子)2cを弾性接続する弾性部2bで
構成されている。ここで、周辺部2a、弾性部2b及び
中央部(移動子)2cは同一材料の基板からなり、弾性
部2bは基板の一部が弾性特性を示すように除去されて
いる。
【0037】図4に示された弾性部2bは、U字形状を
組み合わせた複合U字形状になっている。この弾性部2
bは、一方が周辺部2aに、他方が中央部に接続する4
つの複合U字形状部からなり、1つの複合U字形状部
は、X方向にU字形状が連続する部分とY方向にU字形
状が連続する部分とで構成されている。このような構成
としたことにより、中央部(移動子)2cは、X方向及
びY方向に移動することができる。
【0038】又、上記複合U字形状部(除去されずに残
された部分)の線幅Wは基板の厚みよりも小さくなって
いるため、Z軸方向(第2の基板に垂直な方向)の剛性
はXY方向の剛性よりも大きくなっている。
【0039】尚、弾性部2bは、中央部(移動子)2c
がX方向及びY方向に移動することができ、Z軸方向
(第2の基板に垂直な方向)の剛性がXY方向の剛性よ
りも大きければ、他の形状であってもよい。又、X方向
とY方向の剛性は等しくなくてもよい。
【0040】又、図2に示したように第2の基板の移動
子2cと第3の基板3の互いに対向する面には、移動子
側電極8と固定子側電極9がそれぞれ設けられており、
これらの電極に電圧を印可することにより、X方向やY
方向の静電駆動力が発生し、その静電駆動力に応じて移
動子2cが移動する。
【0041】図5は、移動子側電極8と固定子側電極9
の一例を示した説明図である。ここで、固定子側電極9
はオフセット間隔Wsで配列された複数の電極で構成さ
れており、その内の1個の電極に選択的に電圧を印可す
れば、電圧を印可した固定子側電極と移動子側電極8と
が重なる方向に静電駆動力が発生する。
【0042】尚、図5では、移動子側電極8と固定子側
電極9がX軸方向に配列されているため、X軸方向に静
電駆動力が発生するが、移動子2cの移動子側電極と第
3の基板の固定子側電極を、X軸方向及びY軸方向に配
列すれば、X軸方向とY軸方向に静電駆動力を発生させ
ることができる。従って、移動子2cの第1の基板側の
面に形成されている記録膜の任意の位置(移動範囲内の
任意の位置)に各プローブを接触させることができる。
【0043】又、本発明のメモリー装置で用いたような
静電アクチュエータでは、XY軸方向の駆動力以外にZ
軸方向の吸引力が発生する。従って、第2の基板の弾性
部のZ軸方向の剛性が低すぎると、Z軸方向の吸引力に
より移動子(第2の基板の中央部)と固定子(第3の基
板)が密着して、静電アクチュエータを駆動させること
ができなくなる。このような場合、通常は、移動子と固
定子の間にころ等の機械的間隔制御手段を挿入するが、
機械的間隔制御手段は必然的に摩擦抵抗があり、又、X
Y軸方向の静電駆動力の損失が大きく、更に、移動子と
固定子との間隔を、μmオーダーで設定するこどが困難
である。
【0044】しかし、本発明に於いては移動子(第2の
基板の中央部)を保持する弾性部のZ軸方向の剛性を高
めることが可能なので、機械的間隔制御手段を用いて移
動子(第2の基板の中央部)と固定子(第3の基板)が
密着することを回避する必要がない。又、XY軸方向の
静電駆動力の損失もほとんどない。
【0045】又、Z軸方向の剛性を高めても吸引力によ
り移動子(第2の基板の中央部)が固定子(第3の基
板)の方向に多少変位するので、記録再生時に第1の基
板に設けた吸引電極10により第1の基板の方向に吸引
力を発生させ、プローブと記録膜との接触状態を調整し
てもよい。
【0046】又、移動子に静電駆動力を与えない状態で
プローブと記録膜が接触しないように第1の基板と第2
の基板の間隔を設定し、記録再生時に吸引電極10によ
り、移動子に対して第1の基板の方向に吸引力を与え、
プローブと記録膜とを接触させてもよい。
【0047】又、移動子に静電駆動力を与えない状態で
プローブと記録膜が接触するように第1の基板と第2の
基板の間隔を設定した場合であっても、移動子に静電駆
動力を与えたときに発生するZ軸方向の吸引力より、移
動時にプローブと記録膜を離れた状態にすることや、両
者の摩擦力を小さくすることができる。
【0048】このように移動時のプローブと記録膜との
関係を、離れた状態、又は、接触しているが摩擦力が小
さい状態にすれば、プローブと記録膜との摩擦によりプ
ローブや記録膜に損傷、磨耗等の問題が発生する頻度を
低く抑えることができる。
【0049】又、移動子をXY軸方向に移動させている
ときに、吸引電極10により第1の基板の方向に小さな
吸引力を与え、移動子に静電駆動力を与えたときに発生
するZ軸方向の吸引力を打ち消すようにしてもよい。こ
のようにすれば、移動子(第2の基板の中央部)を保持
する弾性部のZ軸方向の剛性が低い場合であって、移動
子(第2の基板の中央部)と固定子(第3の基板)が接
触することがない。
【0050】以上のように、この静電アクチュエータで
は、移動子側電極と固定子側電極に印可する電圧により
XY軸方向の移動を制御することができ、吸引電極に印
可する電圧によりZ軸方向の変位を制御することができ
る。
【0051】[記録膜に対する情報の書き込みと読み出
しについて]本発明のメモリー装置の記録膜としては、
プローブを電気的に接触させ記録再生を行うことができ
るメモリー媒体、例えば、強誘電体薄膜等を用いること
ができる。
【0052】記録膜として強誘電体薄膜を用いた場合に
は、図3に示したプローブユニットのプローブ12を強
誘電体薄膜に接触させ、強誘電体薄膜の下層に設けられ
ている下部電極とプローブ12との間に所定の電圧を印
可して強誘電体薄膜を分極させることにより情報を書き
込むことができる。又、読み出す場合には、プローブ1
2を強誘電体薄膜に接触させ、所定の電圧を印可して強
誘電体薄膜の残留分極電荷を検出することにより記録情
報を読み出すことができる。
【0053】尚、このようにして強誘電体薄膜の記録情
報を読み出した場合には、読み出しの際に記録情報が破
壊されるため、読み出した記録情報を再度書き込んでお
く必要がある。
【0054】
【実施例】次に、本発明のメモリー装置の構成例につい
て具体的に説明する。
【0055】本実施例では、第1の基板、第2の基板及
び第3の基板としてSi単結晶基板を用い、特に、第2
の基板には両面研磨基板を用いた。又、基板のサイズ
は、12mm角程度にした。
【0056】ここで、第1の基板には、予めSi半導体
プロセスを用いて、静電アクチュエータ制御回路とメモ
リー制御回路を形成しておいた。尚、本実施例では、静
電アクチュエータ制御回路とメモリー制御回路を第1の
基板上に形成したが、その一部を、第3の基板上やメモ
リー装置の外部に設けてもよい。
【0057】次に、第1の基板上にプローブユニットを
200×200(縦横200個づつ)でマトリックス状
に形成した。
【0058】このプローブユニットのプローブには、直
径0.18μm、高さ0.4μmの円柱状の白金を用い
た。ここで、プローブの直径を小さく(面積を小さく)
すれば、記録密度を高密度化することができる。尚、こ
のプローブに用いる材料は、導電性で微細加工が可能な
材料であればよく、例えば、不純物を高濃度で拡散させ
たSi、SiC等の半導体材料、TiN等の導電性化合
物、タングステン、ニッケル、アルミニウム、白金、金
等の金属、ZnO、ITO、YBCO等の酸化物導電体
を用いることができる。
【0059】このプローブを支持するマイクロサスペン
ションには、縦20μm、横40μm、高さ3μm、梁
幅2μm、膜厚0.2μmのボロンを高濃度で拡散した
多結晶シリコン薄膜を用いた。又、このマイクロサスペ
ンションは、プローブとプローブ選択トランジスタ(M
OSFET)とを電気的に接続する導体線の役割も果た
しており、このプローブ選択トランジスタをON、OF
Fすることにより、プローブとプローブ制御回路とを接
続したり、切り離したりすることができる。又、このマ
イクロサスペンションのZ軸方向のバネ定数は0.1N
/m程度であった。尚、このマイクロサスペンションに
は、多結晶シリコン薄膜より弾性特性が優れた導電性窒
化チタン薄膜や、絶縁性の窒化シリコン薄膜に導電性薄
膜からなる電気配線を施したもの等を用いることもでき
る。
【0060】又、プローブ選択トランジスタを介してプ
ローブと接続するメモリー制御回路は、センスアンプや
電圧源等を備え、再生時には、センスアンプによりプロ
ーブからの電流(電荷)を検出し、記録時には、電圧源
によりプローブに電圧を印可する。
【0061】尚、上記の場合には、各プローブがメモリ
ー制御回路のセンスアンプと電圧源を共用しているが、
各プローブ毎にセンスアンプと電圧源を個別に設けても
よい。この場合、半導体回路を構成する素子数が増加す
るが、センスアンプと電圧源を各プローブの近傍に設け
ることができるので浮遊容量等に起因するノイズの影響
が少なくなり、記録再生の信頼性が向上する。
【0062】又、第1の基板上には縦10μm、横20
μm、高さ3.3μmの吸着電極も、20×20(縦横
20個づつ)でマトリックス状に形成した。
【0063】次に、第2の基板の周辺部と中央部の間に
設けられた弾性部について説明する。本実施例では、線
幅25μmでX軸方向に5回行き戻りするU字状のパタ
ーンと、Y軸方向に5回行き戻りするU字状のパターン
とで構成された複合U字形状部が4つ設けられている。
ここでは、前記のように複合U字形状部の線幅は25μ
mと第2の基板の厚み450μmよりも非常に狭く設定
されているので、XY軸方向のバネ定数が20N/m程
度であるのに対して、Z方向のバネ定数は4000N/
m程度という大きな値になっている。
【0064】尚、本実施例では、マグネトロン・リアク
ティブ・イオン・エッチング装置で、SF6エッチング
ガスとNiマスクを用いたエッチング処理(反応性ドラ
イエッチング法によるエッチング処理)を施すことによ
り基板の一部を除去し、上記弾性部(4つの複合U字形
状部)を形成した。
【0065】次に、第2の基板の中央部(移動子)の第
1の基板側に形成されている記録膜とその下層に形成さ
れている下部電極について説明する。本実施例では、S
i単結晶基板上にスパッタリング法により膜厚200n
mの白金からなる下部電極を形成し、更にその上層にス
パッタリング法により膜厚300nmのチタン酸ジルコ
ン酸鉛からなる強誘電体膜(記録膜)を形成した。尚、
下部電極は接続配線によりメモリー制御回路に接続され
ている。
【0066】次に、第2の基板の中央部(移動子)の第
3の基板側に形成されている移動子側電極と、第3の基
板の第2の基板側の面に形成されている固定子側電極に
ついて説明する。本実施例では、第2の基板に用いたS
i単結晶基板上にスパッタリング法により200nmの
アルミニウム薄膜を成膜し、エッチング処理を施すこと
により長さ2μm、幅1μm、電極間隔2μmの移動子
側電極を形成した。
【0067】又、第3の基板に用いたSi単結晶基板上
にもスパッタリング法により200nmのアルミニウム
薄膜を成膜し、エッチング処理を施すことにより長さ1
00μm、幅1μm、オフセット間隔0.2μmで形成
した。
【0068】尚、移動子側電極と固定子側電極は静電ア
クチュエータ制御回路に接続されており、XY方向に
0.2μmでステップ駆動することができる。ここで、
XY軸方向の駆動力は最大で2×10ー3Nとし、XY軸
方向の移動範囲はー100μm〜+100μmとした。
又、移動子側電極と固定子側電極とが振動、衝撃等によ
る誤動作で接触し、両者が短絡することを回避するた
め、いずれか一方の電極の表面にSiO2からなる10
nm程度の絶縁層を形成してもよい。
【0069】又、本実施例に於いては、アクチュエータ
を駆動していないときにプローブと記録膜が接触するよ
うに設定されているが、移動子をXY軸方向に駆動させ
るときには、移動子が固定子側(第3の基板側)に0.
4μm程度吸引されるため、プローブと記録膜は非接触
状態になる。
【0070】尚、移動子を、所望の位置に移動させた後
に、吸引電極により移動子を第1の基板側に吸引すれ
ば、吸引電極の高さはプローブユニットの高さより0.
1μm低いため、プローブと記録膜とを接触状態にする
ことができる。又、吸引電極とプローブユニットの高さ
の差は、マイクロサスペンションによって弾性的に吸収
される。
【0071】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれば
単純な構成で高精度且つ高信頼性のマルチプローブメモ
リー装置を構成することができる。
【0072】又、構成が単純で、高精度が容易なので、
高信頼性のメモリー装置を低価格で提供することができ
る。
【0073】又、プローブユニットの高さを制御する必
要がないので、その制御回路が不要となり、プローブニ
ットの制御にかかる負担を軽減することができる。
【0074】又、メモリー装置を構成する各基板が、ス
ペーサを介して接合されているため、振動、衝撃により
装置に不具合が発生することがほとんどない。
【0075】又、移動時のプローブと記録膜との関係
を、離れた状態、又は、接触しているが摩擦力が小さい
状態にすれば、プローブと記録膜との摩擦によりプロー
ブや記録膜に損傷、磨耗等の問題が発生する頻度を低く
抑えることができる。
【0076】又、メモリー装置を構成する各基板に、同
一物性を備えた材料を用いれば、温度変化時にメモリー
装置が動作不良を起こすことがほとんどない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のメモリー装置の構成を示した斜視図で
ある。
【図2】本発明のメモリー装置の構成を示した断面図で
ある。
【図3】本発明のメモリー装置のプローブユニットを示
した平面図と断面図である。
【図4】本発明のメモリー装置における移動子を示した
平面図である。
【図5】本発明のメモリー装置における移動子側電極と
固定子側電極の関係を示した説明図である。
【図6】従来のメモリー装置におけるプローブ部分を示
した断面図である。
【符号の説明】
1 第1の基板 2 第2の基板 2a 周辺部 2b 弾性部 2c 中央部(移動子) 3 第3の基板 4 静電アクチュエータ制御回路 5 メモリー制御回路 6、7 スペーサ 8 移動子側電極 9 固定子側電極 10 吸引電極 11 プローブユニット 12 プローブ 13 複合梁(マイクロサスペンション) 14 プローブ選択トランジスタ 15 記録膜 16 下部電極

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スペーサを介して接合された第1の基
    板、第2の基板及び第3の基板を有し、前記第1の基板
    の第2の基板側の面には、基板に垂直な方向に弾性を有
    する支持部材と該支持部材の上に設けらているプローブ
    とからなるプローブユニットが複数形成されており、前
    記第2の基板の周辺部と中央部との間には、基板の一部
    を除去した弾性部が有り、該第2の基板の中央部の第1
    の基板側の面には記録膜が形成されており、該第2の基
    板の中央部の第3の基板側の面には移動子側電極が形成
    されており、前記第3の基板の第2の基板側の面には固
    定子側電極が形成されており、前記第3の基板と第2の
    基板とが静電アクチュエータを構成し、前記プローブユ
    ニットのプローブと、前記記録膜とが接触した状態で情
    報の記録再生を行うことを特徴とするメモリー装置。
  2. 【請求項2】 スペーサを介して接合された第1の基
    板、第2の基板及び第3の基板を有し、前記第1の基板
    の第2の基板側の面には、記録膜が形成されており、前
    記第2の基板の周辺部と中央部との間には、基板の一部
    を除去した弾性部が有り、該第2の基板の中央部の第1
    の基板側の面には、基板に垂直な方向に弾性を有する支
    持部材と該支持部材の上に設けらているプローブとから
    なるプローブユニットが複数形成されており、該第2の
    基板の中央部の第3の基板側の面には移動子側電極が形
    成されており、前記第3の基板の第2の基板側の面には
    固定子側電極が形成されており、前記第3の基板と第2
    の基板とが静電アクチュエータを構成し、前記プローブ
    ユニットのプローブと、前記記録膜とが接触した状態で
    情報の記録再生を行うことを特徴とするメモリー装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のメモリー装置に於
    いて、第1の基板、第2の基板及び第3の基板がSi単
    結晶基板であることを特徴とするメモリー装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3記載のいずれかのメモリ
    ー装置に於いて、上記弾性部の基板に垂直な方向の剛性
    が、基板に平行な方向の剛性より大きいことを特徴とす
    るメモリー装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4記載のいずれかのメモリ
    ー装置に於いて、上記プローブユニットのプローブと上
    記記録膜との間隔又は接触圧力を調整するための吸引電
    極を設けたことを特徴とするメモリー装置。
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