JPH1036624A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物

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JPH1036624A
JPH1036624A JP21063496A JP21063496A JPH1036624A JP H1036624 A JPH1036624 A JP H1036624A JP 21063496 A JP21063496 A JP 21063496A JP 21063496 A JP21063496 A JP 21063496A JP H1036624 A JPH1036624 A JP H1036624A
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JP
Japan
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weight
copolymer
diene
polymer
block
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Pending
Application number
JP21063496A
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English (en)
Inventor
Hiroki Nakajima
弘樹 中島
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH1036624A publication Critical patent/JPH1036624A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐スクラッチ性、柔軟性、成形加工性に優れ
た耐候性良好な軟質熱可塑性エラストマー組成物を提供
すること。 【構成】(イ)1,4−結合を70重量%以上含む共役
ジエンを主体とする重合体ブロック(A)〔以下「ブロ
ック(A)」ともいう〕と、1,2−および3,4−ビ
ニル結合を50重量%以上含む共役ジエンを主体とする
重合体ブロック(B)〔以下「ブロック(B)」ともい
う〕とからなる重合体であって、ブロック共重合体のポ
リスチレン換算数平均分子量が4〜70万であり、共役
ジエン部分の二重結合残基の80%以上が水素添加され
た水添ジエン系共重合体と、(ロ)メルトフローレート
(230℃、2.16kg荷重)が15g/10分以上
であるポリオレフィン系重合体〔ただし、(イ)+
(ロ)=100重量%〕とからなる耐候性良好な軟質熱
可塑性エラストマー組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐表面傷つき性
(耐スクラッチ性)、柔軟性、成形加工性に優れ、自動
車内装材、モーターサイクルのグリップ材やシート材、
土木・建築内外装材に好適な耐候性良好な軟質熱可塑性
エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、耐候性、耐スクラッチ性や柔軟性
の要求される自動車内装用のインナーパネルやハンド
ル、レバーなどの表皮材や成形品では軟質ポリ塩化ビニ
ル樹脂が使用されてきた。しかしながらこの軟質ポリ塩
化ビニル樹脂は、通常多量の可塑剤を含有しているた
め、可塑剤の移行、可塑剤の特有の臭気などの問題があ
る。また軟質ポリ塩化ビニル樹脂は通常のオレフィン系
樹脂に比べ比重が大きく、製品の軽量化において問題と
なる場合があった。さらに、製品を焼却処理する場合に
有害なガスが発生する可能性がある、リサイクル性に問
題があるなどの地球環境の面からも代替材料の出現が強
く望まれていた。これに対しオレフィン系樹脂に種々の
エラストマーを配合し柔軟でエラストマー弾性に優れた
素材が、熱可塑性オレフィン(TPO)という一般名称
で市販されている。しかしながら軟質ポリ塩化ビニル樹
脂に比較した場合、耐スクラッチ性や流動性を満足させ
るものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術の課題を背景になされたもので、耐スクラッチ
性、柔軟性、成形加工性に優れた性能を示す、新規な耐
候性良好な軟質熱可塑性エラストマー組成物を提供する
ことを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、水添ジエン系共重合体とポリオレフィン系重合
体、さらに必要に応じ、エチレン−α−オレフィン系共
重合ゴム、ノニオン系帯電防止剤、シリコンオイル、有
機脂肪酸アミド、粘着付与樹脂を組み合わせる事で、耐
スクラッチ性、柔軟性、成形加工性に優れた性能を示
す、耐候性良好な軟質熱可塑性エラストマー組成物が得
られるという驚くべき事実を見いだし、本発明を完成さ
せたものである。
【0005】
【発明の実施の形態】すなわち本発明は、(イ)1,4
−結合を70重量%以上含む共役ジエンを主体とする重
合体ブロック(A)〔以下「ブロック(A)」ともい
う〕と、1,2−および3,4−結合を有する共役ジエ
ン[以下「ビニル結合」ともいう]を50重量%以上含
む重合体ブロック(B)〔以下「ブロック(B)」とも
いう〕とからなる重合体であって、ブロック共重合体の
ポリスチレン換算の数平均分子量(以下、単に「数平均
分子量」という)が4万〜70万であり、共役ジエン部
分の二重結合残基の80%以上が水素添加された水添ジ
エン系共重合体と、(ロ)メルトフローレート(230
℃、2.16kg荷重)が15g/10分以上であるポ
リオレフィン系重合体〔ただし、(イ)+(ロ)=10
0重量%〕からなる耐候性良好な軟質熱可塑性エラスト
マー組成物を提供するものである。
【0006】本発明の(イ)水添ジエン系共重合体は、
共役ジエン化合物を主体とする重合体を水素添加したも
のである。該重合体は、共役ジエン部分の二重結合残基
が好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上水
素添加されており、数平均分子量が4万〜70万である
ものが好ましい。二重結合残基の水素添加率が80%未
満であると耐スクラッチ性、透明性、機械的強度、耐熱
性、耐候性が十分でないものとなる。数平均分子量が4
万未満では得られる水添ジエン系共重合体をペレット化
した場合ブロッキングしやすくなるほか、他の樹脂とブ
レンドした場合、十分な機械的強度、成形外観が得にく
く、70万を越えると良好な成形加工性が得難い。
【0007】(イ)水添ジエン系共重合体としては、例
えば共役ジエンの単独重合体、共役ジエンと芳香族ビニ
ル化合物のランダム共重合体、芳香族ビニル化合物の重
合体ブロックと共役ジエン化合物の重合体ブロックから
なるブロック共重合体、芳香族ビニル化合物の重合体ブ
ロックと共役ジエン/芳香族ビニル化合物の共重合体ブ
ロックからなるブロック共重合体、共役ジエン化合物の
重合体ブロックと共役ジエン/芳香族ビニル化合物の共
重合体ブロックからなるブロック共重合体もしくはこれ
らの官能基変性体などのジエン系重合体の水素添加物が
あげられる。
【0008】(イ)水添ジエン系共重合体は、下記から
選ばれた少なくとも1種の水添ジエン系共重合体を用い
ることが好ましく、これを用いると耐候性、耐スクラッ
チ性、柔軟性、成形加工性に一段と優れた軟質組成物が
得られる。
【0009】本発明の(イ)水添ジエン系共重合体は、
1,4−結合を70重量%以上含む共役ジエンを主体と
する重合体ブロック(A)〔以下「ブロック(A)」と
もいう〕と、1,2−および3,4−ビニル結合を有す
る共役ジエンを50重量%以上含む重合体ブロック
(B)〔以下「ブロック(B)」ともいう〕とからなる
重合体(以下、「水添前重合体」ともいう)であって、
ブロック共重合体の数平均分子量が4〜70万であり、
共役ジエン部分の二重結合残基の80%以上が水素添加
された水添ジエン系共重合体である。
【0010】本発明に使用される(イ)水添ジエン系共
重合体は、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物によ
り構成される。ここで用いられる共役ジエン化合物とし
ては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメ
チル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2
−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエ
ン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブ
チル−1,3−オクタジエン、クロロプレンなどが挙げ
られるが、工業的に利用でき、また物性の優れた水添ジ
エン系重合体を得るには、1,3−ブタジエン、イソプ
レン、1,3−ペンタジエンが好ましく、1,3−ブタ
ジエン、イソプレンが特に好ましい。また芳香族ビニル
化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−
メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼ
ン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、
N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニル
ピリジンなどが挙げられ、スチレン、α−メチルスチレ
ンが好ましい。
【0011】(イ)水添ジエン系共重合体を構成するブ
ロック(A)は1,4−結合を70重量%以上含む共役
ジエンを主体とする重合体を水素添加したものであり、
例えば共役ジエンの単独重合体、共役ジエンと芳香族ビ
ニル化合物のランダム共重合体、共役ジエン化合物の重
合体ブロックと共役ジエン/芳香族ビニル化合物の共重
合体ブロックからなるブロック共重合体もしくはこれら
の官能基変性体などのジエン系重合体の水素添加物があ
げられる。該共役ジエン重合体に含まれる好ましい1,
4−結合量は70重量%以上、より好ましくは80重量
%以上である。1,4−結合量が70重量%以下では、
水素添加された後に樹脂的性質が低下し、またブロック
共重合体としての熱可塑性エラストマーの性質が十分で
ないものとなる。また、ブロック(A)に使用される芳
香族ビニル化合物の好ましい使用量は、ブロック(A)
を構成するモノマーの35重量%以下、より好ましくは
30重量%以下、もっとも好ましくは25重量%以下で
あり、35重量%を超えるとブロック(A)のガラス転
移温度が上昇し、十分な低温特性、柔軟性が得られな
い。
【0012】ブロック(A)の好ましい含量は、1〜9
9重量%、より好ましくは5〜65重量%、さらに好ま
しくは5〜50重量%である。ブロック(A)の含量が
1重量%未満では、機械的強度が低下し、一方99重量
%を超えると十分な柔軟性が得られない。
【0013】また、(イ)水添ジエン系共重合体を構成
するブロック(B)は1,2−および3,4−ビニル結
合を有する共役ジエンを50重量%以上含む重合体を水
素添加したものであり、例えば共役ジエンの単独重合
体、共役ジエンと芳香族ビニル化合物のランダム共重合
体、共役ジエン化合物の重合体ブロックと共役ジエン/
芳香族ビニル化合物の共重合体ブロックからなるブロッ
ク共重合体もしくはこれらの官能基変性体などのジエン
系重合体の水素添加物があげられる。該共役ジエン重合
体の好ましい1,2−および3,4−ビニル結合を有す
る共役ジエンの含量は50重量%以上、より好ましくは
60重量%以上である。1,2−および3,4−ビニル
結合量が50重量%未満では、例えば共役ジエンがブタ
ジエンの場合、水素添加されるとポリエチレン連鎖が多
く生成し、ゴム的性質が失われて好ましくない。
【0014】また、ブロック(B)に使用される芳香族
ビニル化合物の好ましい使用量は、ブロック(B)を構
成するモノマーの35重量%以下、より好ましくは30
重量%以下、さらに好ましくは25重量%以下であり、
35重量%を超えるとブロック(B)のガラス転移温度
が上昇し、低温特性、柔軟性が劣る。
【0015】ブロック(B)の好ましい含量は、1〜9
9重量%、より好ましくは30〜90重量%、さらに好
ましくは35〜90重量%である。ブロック(B)の含
量が1重量%未満では、柔軟性が低下し、一方99重量
%を超えると機械的強度、成形加工性が低下する。
【0016】本発明の(イ)水添ジエン系共重合体は、
上述のように1,4−結合を70重量%以上含む共役ジ
エンを主体とする重合体ブロック(A)と、1,2−お
よび3,4−ビニル結合を有する共役ジエンを50重量
%以上含む重合体ブロック(B)とからなる重合体を水
素添加することによって得られるが、(イ)水添ジエン
系共重合体中に、ブロック(A)、(B)はそれぞれの
少なくとも一つずつあれば良く、複数存在していても良
い。この水添前重合体の分子鎖中には、必要に応じて、
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック〔以下
「ブロック(C)」ともいう〕が構成される。
【0017】ブロック(C)は、芳香族ビニル化合物の
単独重合体、あるいは芳香族ビニル化合物をブロック
(C)中に90重量%以上有する共役ジエンとの共重合
体であって、共役ジエン部分の80%以上が水素添加さ
れた重合体ブロックが好ましい。ブロック(C)中の芳
香族ビニル化合物含量が90重量%未満では、強度、耐
候性が十分でないものとなる。
【0018】(イ)水添ジエン系共重合体中のブロック
(C)の好ましい含量は0〜98重量%、より好ましく
は5〜60重量%である。ブロック(C)が、1重量%
以上では、芳香族ビニル化合物を有する他の重合体との
ブレンドした場合、相溶性が向上するほか、耐熱性、機
械的強度が優れたものとなり、一方98重量%を越える
と、耐スクラッチ性、柔軟性が低下する。
【0019】(イ)水添ジエン系共重合体の前記水添前
重合体は、カップリング剤の使用により重合体分子鎖が
カップリング剤残基を介して延長または分岐された重合
体であってもよい。この際用いられるカップリング剤と
しては、例えばアジピン酸ジエチル、ジビニルベンゼ
ン、メチルジクロロシラン、四塩化ケイ素、ブチルトリ
クロロケイ素、テトラクロロ錫、ブチルトリクロロ錫、
ジメチルクロロケイ素、テトラクロロゲルマニウム、
1,2−ジブロモエタン、1,4−クロロメチルベンゼ
ン、ビス(トリクロロシリル)エタン、エポキシ化アマ
ニ油、トリレンジイソシアネート、1,2,4−ベンゼ
ントリイソシアネートなどが挙げられる。
【0020】なお本発明の(イ)水添ジエン系共重合体
としては、2種またはそれ以上の水添前重合体のブレン
ド物を水添したものも好適に用いられる。さらに、2種
またはそれ以上の水添ジエン系共重合体同士のブレンド
物も、本発明の(イ)水添ジエン系共重合体として好適
である。
【0021】本発明の(イ)水添ジエン系共重合体にお
いて、分子鎖中の共役ジエン部分の二重結合の水素添加
率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以
上、さらに好ましくは90%以上である。80%未満で
は、耐スクラッチ性、透明性、機械的強度、耐熱性、耐
候性が不十分となる。
【0022】さらに、本発明の(イ)水添ジエン系共重
合体は、数平均分子量が好ましくは4万〜70万、より
好ましくは5万〜60万であり、4万未満では得られる
水添ジエン系共重合体をペレット化した場合ブロッキン
グしやすくなるほか、他の樹脂とブレンドした場合、十
分な機械的強度、成形外観が得にくく、一方70万を越
えると良好な成形加工性が得難い。
【0023】本発明の(イ)水添ジエン系共重合体は、
例えば特開平3−128957号公報第4頁右上欄第8
行〜第6頁左下欄第7行に開示されている方法、特開平
2−133406号公報第4頁左下欄第13行〜第5頁
左下欄第10行に開示されている方法などによって得る
ことができる。
【0024】本発明で使用される(イ)水添ジエン系共
重合体は、官能基で変性してもよく、酸無水物基、カル
ボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、イソシアネー
ト基およびエポキシ基から選ばれた少なくとも1種の官
能基を有する不飽和化合物を用いて、ニーダー、ミキサ
ー、押出機などで変性することができる。
【0025】本発明の軟質熱可塑性エラストマー組成物
中の(イ)水添ジエン系共重合体の配合量は本発明にお
いて特に限定するものではないが、好ましくは1〜99
重量%、より好ましくは10〜90重量%〔ただし
(イ)+(ロ)=100重量%〕である。(イ)水添ジ
エン系共重合体を多く含む場合は、機械的強度、透明
性、耐スクラッチ性に特に優れたものとなる。
【0026】次に本発明の組成物に使用される(ロ)メ
ルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が1
5g/10分以上であるポリオレフィン系重合体(以
下、「(ロ)ポリオレフィン系重合体」ともいう。)
は、1種または2種以上のモノオレフィンを高圧法また
は低圧法のいずれかによる重合から得られる結晶性樹脂
であり、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリブテン−1ある。該ポリオレフィン樹脂は単独重合
体であってもよく、次に示すような他のモノマーを共重
合してある共重合体であってもよい。
【0027】ポリオレフィン系重合体を構成する好まし
いモノマーとしては、例えばエチレン(主たる重合体が
ポリエチレンの場合は除く)をはじめ、プロピレン(主
たる重合体がポリプロピレンの場合は除く)、ブテン−
1(主たる重合体がポリブテン−1である場合は除
く)、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オ
クテン−1などの直鎖状α−オレフィン、4−メチルペ
ンテン−1、2−メチルプロペン−1、3−メチルペン
テン−1、5−メチルヘキセン−1、4−メチルヘキセ
ン−1、4,4−ジメチルペンテン−1などの分岐状α
−オレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル
酸、クロトン酸などのモノカルボン酸、マレイン酸、フ
マル酸、イタコン酸、シトラコン酸などのジカルボン酸
やそのモノエステル、メチルメタクリレート、メチルア
クリレート、エチルアクリレートなどのアクリル酸また
はメタクリル酸エステル、酢酸ビニルや、プロピオン酸
ビニルなどの飽和カルボン酸のビニルエステル、スチレ
ン、α−スチレン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビ
ニル化合物、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シ
トラコン酸、無水アコニット酸などの酸無水物、アクリ
ロニトリルやメタクリロニトリルなどのα,β−不飽和
ニトリル、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエ
ン、エチリデンノルボルネンなどのジエンモノマーさら
にアクリルアミド、メタクリルアミド、マレイミドなど
が使用することができる。これらの共重合可能なモノマ
ーは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いても
よい。これら共重合成分の量としては好ましくは20重
量%以下、より好ましくは10重量%以下である。これ
らを共重合した場合の共重合体の様式については特に制
限はなく、例えばランダム型、ブロック型、グラフト
型、これらの混合型などいずれであってもよい。
【0028】ポリオレフィン系重合体として使用される
好ましい共重合体としては、プロピレン−エチレン共重
合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、ブテン−1−
エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−
エチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルメタク
リレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重
合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチ
レン−nブチルアクリレート共重合体が挙げられる。こ
れらポリオレフィン系重合体は単独であるいは2種以上
を併用して用いることができる。
【0029】なお、本発明に使用されるポリオレフィン
系重合体のメルトフローレート(以下「MFR」ともい
う)(ASTM D1238、230℃、2.16Kg
荷重)は、15g/10分以上である必要があり、好ま
しくは20g/10分以上である。MFRが15g/1
0分未満である場合には良好な成形加工性が得難い。
【0030】本発明の軟質熱可塑性エラストマー組成物
中の(ロ)ポリオレフィン系重合体の配合量は、目的と
される用途によって異なる為、特に限定されるものでは
ないが、好ましい配合量としては、1〜99重量%、よ
り好ましくは10〜90重量%〔ただし(イ)+(ロ)
=100重量%〕である。1重量%以上添加すること
で、機械的強度、耐熱性、成形加工性がより優れたもの
となる。一方99重量%を超えると柔軟性、耐スクラッ
チ性が低下する。
【0031】本発明の軟質熱可塑性エラストマー組成物
は、以上のように、(イ)水添ジエン系共重合体および
(ロ)ポリオレフィン系重合体からなるが、さらに必要
に応じ、(ハ)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴ
ム、(ニ)ノニオン系帯電防止剤、(ホ)シリコンオイ
ル、(ヘ)有機脂肪酸アミド、(ト)粘着付与樹脂を配
合することができる。
【0032】これらのうち(ハ)成分のエチレン/α−
オレフィン系共重合ゴム(以下、「(ハ)共重合ゴム」
ともいう。)としては、エチレンと炭素数3以上のα−
オレフィンを必須成分とするゴム状の共重合体であり、
無定型のランダム共重合体、ブロック共重合体、変性共
重合体を総称するものである。(ハ)共重合ゴムとして
は、好ましくはα−オレフィンが炭素数3〜12、ムー
ニー粘度ML1+4 100℃が3〜120、エチレン/α
−オレフィン/非共役ジエンの割合が重量比で30〜9
5/5〜70/0〜8のものである。
【0033】(ハ)共重合ゴムに使用されるα−オレフ
ィンとしては、炭素数が3〜12のものであり、具体的
にはプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン
−1、ヘプテン−1、オクテン−1などの直鎖状α−オ
レフィン、4−メチルペンテン−1、2−メチルプロペ
ン−1、3−メチルペンテン−1、5−メチルヘキセン
−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペン
テン−1などの分岐状α−オレフィンが挙げられる。好
ましくはプロピレン、ブテン−1である。これらは1種
単独で、あるいは2種以上を併用して使用することがで
きる。
【0034】また、(ハ)共重合ゴムに使用されること
のある非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、
トリシクロペンタジエン、5−メチル−2,5−ノルボ
ナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチ
リデン−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−
ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネ
ン、5−(1−ブテニル)−2−ノルボルネン、シクロ
オクタジエン、ビニルシクロヘキセン、1,5,9−シ
クロドデカトリエン、1,4−ヘキサジエン、1,6−
オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジ
エン、1,9−デカジエン、3,6−ジメチル−1,7
−オクタジエンなどである。好ましくは5−エチリデン
−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンである。こ
れらは1種単独で、あるいは2種以上を併用して使用す
ることができる。
【0035】(ハ)共重合ゴムは、中・低圧法による通
常の重合方法、例えば、適当な溶媒中、遷移金属化合物
と有機金属化合物とからなるチーグラー・ナッタ触媒、
例えば少なくとも1種の溶媒可溶性バナジウム化合物と
少なくとも1種の有機アルミニウム化合物とからなる触
媒の存在下で、エチレン、α−オレフィンおよび非共役
ジエンを、必要に応じて分子量調節剤として水素を供給
しつつ重合する方法により製造することができる。その
際の重合は、気相法(流動床あるいは攪拌床)でも液相
法(スラリー法あるいは溶液法)でも実施することがで
きる。前記溶媒可溶性バナジウム化合物としては、VCl3
、VCl4 、VOCl3 あるいはVOCl4 の少なくとも1種とア
ルコールとの反応生成物が好ましい。この場合、前記ア
ルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、n
−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、
sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノー
ル、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、n−
デカノール、n−ドデカノール等を挙げることができ、
これらのうち炭素数3〜8のアルコールが好ましい。ま
た、前記有機アルミニウム化合物としては、例えばトリ
エチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ト
リ−n−ヘキシルアルミニウム、ジエチルアルミニウム
モノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリ
ド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミ
ニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリ
ド、ブチルアルミニウムジクロリド、トリメチルアルミ
ニウムと水との反応生成物であるメチルアルミノキサン
等を挙げることができ、特にエチルアルミニウムセスキ
クロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチル
アルミニウムセスキクロリドとトリイソブチルアルミニ
ウムとの混合物、トリイソブチルアルミニウムとブチル
アルミニウムセスキクロリドとの混合物が好ましい。ま
た、前記溶媒としては、通常、炭化水素溶媒が使用され
る。好ましい炭化水素溶媒は、n−ペンタン、n−ヘキ
サン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、シ
クロヘキサン等である。これらの炭化水素溶媒は、単独
でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0036】本発明の軟質熱可塑性エラストマー組成物
中の(ハ)共重合ゴムの配合量は0〜50重量%であ
り、好ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは5〜
30重量%〔ただし(イ)+(ロ)+(ハ)=100重
量%〕である。1重量%以上使用すると、高価な水添ジ
エン系重合体の使用量を下げることができ経済的に有利
であるが、50重量%を越えると耐スクラッチ性、成形
加工性が低下する。
【0037】また(二)ノニオン系帯電防止剤としては
グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエーテル、N,N−ビス(2
−ヒドロキシエチル)アルキルアミン、N−2−ヒドロ
キシエチル−N−2−ヒドロキシアルキルアミン、ポリ
オキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンア
ルキルアミン脂肪酸エステル、アルキルジエタノールア
マイドであり、好ましくはグリセリン脂肪酸エステル、
ソルビタン脂肪酸エステルである。これらノニオン系帯
電防止剤は1種単独で、あるいは2種以上を併用して使
用することができる。
【0038】また、グリセリン脂肪酸エステルとは炭素
数8〜22の脂肪酸とグリセリンとのエステルであり、
好ましい脂肪酸の例としてはカプリン酸、ラウリン酸、
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン
酸、リノール酸、ベヘニン酸およびこれらの混合酸など
が挙げられ、特にステアリン酸が好ましい。一般に脂肪
酸とグリセリンのエステル化反応ではモノエステル以外
に、ジエステル、トリエステルなどの混合物として得ら
れるが、本発明においてはモノエステル含量ができるだ
け多い方が好ましい。
【0039】またソルビタン脂肪酸エステルとはソルビ
トールと炭素数8〜22の脂肪酸との環化/エステル化
反応によって得られるものであり、好ましい脂肪酸の例
としてはカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベ
ヘニン酸およびこれらの混合酸などが挙げられ、特にラ
ウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸が好ましい。
【0040】本発明の(二)ノニオン系帯電防止剤の配
合量は、(イ)〜(ハ)成分の合計量100重量部に対
し、0〜5重量部、好ましくは0.01〜4重量部、よ
り好ましくは0.1〜3重量部である。0.01以上使
用すると、良好な耐スクラッチ性が得られるが、5重量
部を超えると成型品の表面状態が悪化して好ましくな
い。
【0041】つぎに(ホ)成分として使用されるシリコ
ンオイルとしては、25℃における粘度が100万cs
t以下、好ましくは10万cst以下のシリコンオイル
である。使用するシリコンオイルに特に限定はないが、
ジメチルポリシロキサンやジメチルポリシロキサンの一
部が置換されたもの、側鎖・末端に導入したものでも良
い。好ましい置換基としてはフェニル基が挙げられる。
【0042】本発明の(ホ)シリコンオイルの配合量
は、(イ)〜(ハ)成分の合計量100重量部に対し、
0〜5重量部、好ましくは0.01〜4重量部、より好
ましくは0.03〜3重量部である。0.01重量部以
上用いると耐スクラッチ性、成形加工性の改良に優れた
効果を示すが、5重量部を超えると成形加工性が劣るも
のとなる。
【0043】さらに(へ)成分として使用される有機脂
肪酸アミドとしては、例えばエルカ酸アミド、ステアリ
ン酸アミド、オレイン酸アミド、ベヘニン酸アミド、N
−ステアリル酪酸アミド、N−ステアリルカプリル酸ア
ミド、N−ステアリルラウリン酸アミド、N−ステアリ
ルステアリン酸アミド、N−ステアリルベヘニン酸アミ
ド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−オレイルベヘ
ニン酸アミド、N−ブチルエルカ酸アミド、N−オクチ
ルエルカ酸アミド、N−ラウリルエルカ酸アミド、エチ
レンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸
アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,
N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレ
イルセバシン酸アミドなどが挙げられる。これらの中で
好ましいものとしては、エルカ酸アミド、ステアリン酸
アミド、オレイン酸アミド、ベヘニン酸アミドが挙げら
れる。これらの(ト)有機脂肪酸アミドは単独で、ある
いは2種以上を併用して用いることができる。
【0044】本発明の(ヘ)有機脂肪酸アミドの配合量
は、(イ)〜(ハ)成分の合計量100重量部に対し、
0〜5重量部、好ましくは0.01〜3重量部である。
0.01重量部以上用いると耐スクラッチ性、成形加工
性の改良に優れた効果を示すが、5重量部を超えると成
型品の表面状態が悪化して好ましくない。
【0045】つぎに(ト)成分として使用される粘着付
与樹脂としては、ロジン系樹脂、ポリテルペン系樹脂、
合成石油系樹脂、クマロン樹脂、フェノール系樹脂、キ
シレン系樹脂、スチレン系樹脂、イソプレン系樹脂など
が挙げられ、好ましくはロジン系樹脂、ポリテルペン系
樹脂、合成石油系樹脂であり、特に脂肪族および/また
は脂環族構造を有するものが好ましい。ここで、脂肪族
および/または脂環族構造を有する粘着付与樹脂として
は、ロジン系樹脂では部分および完全水添ロジンとこれ
らの誘導体、ポリテルペン系樹脂では環状テルペンの単
独重合体あるいは共重合体およびこれらの水素添加物、
合成石油系樹脂では脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹
脂、脂肪族−脂環族共重合樹脂、ナフサ分解油と各種テ
ルペンとの共重合体の水素添加物が挙げられる。これら
の(チ)粘着付与樹脂は、1種単独であるいは2種以上
併用して使用することができる。
【0046】本発明の(ト)粘着付与樹脂の配合量は、
(イ)〜(ハ)成分の合計量100重量部に対し、0〜
40重量部、好ましくは1〜30重量部、さらに好まし
くは3〜30重量部である。1重量部以上用いると、流
動性、柔軟性の改良に優れた効果を示すが、40重量部
を超えると、成形品の表面状態が悪化して好ましくな
い。
【0047】本発明の耐候性良好な軟質熱可塑性エラス
トマー組成物は、必要に応じて従来公知の方法により、
硫黄架橋、過酸化物架橋、金属イオン架橋、シラン架
橋、樹脂架橋などの架橋を行うこともできる。
【0048】また、本発明の耐候性良好な軟質熱可塑性
エラストマー組成物は、以上の(イ)、(ロ)および必
要に応じて組み合わされる(ハ)、(ニ)、(ホ)、
(ヘ)、(ト)成分のほかに、用途に応じて耐スクラッ
チ性、柔軟性、成形加工性を阻害しない程度の量の酸化
防止剤、耐候剤、金属不活性化剤、紫外線吸収剤、光安
定化剤、ブリード・ブルーム防止剤、シール性改良剤、
結晶核剤、難燃化剤、架橋剤、共架橋剤、加硫剤、加硫
助剤、防菌・防かび剤、分散剤、軟化剤、可塑剤、粘度
調整剤、着色防止剤、発泡剤、発砲助剤、酸化チタン、
カーボンブラックなどの着色剤、フェライトなどの金属
粉末、ガラス繊維、金属繊維などの無機繊維、炭素繊
維、アラミド繊維などの有機繊維、複合繊維、チタン酸
カリウムウィスカーなどの無機ウィスカー、ガラスビー
ズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、アスベスト、マ
イカ、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、ケイ酸カルシ
ウム、ハイドロタルサイト、カオリン、けい藻土、グラ
ファイト、軽石、エボ粉、コットンフロック、コルク
粉、硫酸バリウム、フッ素樹脂、ポリマービーズなどの
充填剤またはこれらの混合物、ポリオレフィンワック
ス、あるいは他のゴム質重合体、例えばSBR、NB
R、BR、NR、IR、1,2−ポリブタジエン、A
R、CR、IIRなどを適宜配合することができる。
【0049】本発明の組成物は、押出機、ニーダー、バ
ンバリーミキサーなどの従来公知の混練機、およびそれ
らを組み合わせた混練り機により溶融混練りすることに
よって、また射出成形機でドライブレンドすることによ
り得ることができる。本発明の組成物を製造するには、
各成分を一括で混合してもよく、任意の成分をあらかじ
め予備混合したのち、残りの成分を添加して混合しても
よい。最も好ましい混合装置は、一軸あるいは二軸押出
機であり、これにより連続的に効率よく混練りし、ペレ
ット化することができる。
【0050】本発明の組成物は、従来公知の方法、例え
ば押出成形、射出成形、二色射出成形、サンドイッチ成
形、中空成形、圧縮成形、真空成形、パウダースラッシ
ュ成形、蒸気発泡成形、積層成形、カレンダー成形など
により、実用上有用な成形品に加工する事ができ、好ま
しい成形方法は、射出成形、二色射出成形、サンドイッ
チ成形、パウダースラッシュ成形である。また、必要に
応じて、発泡、粉末、延伸、接着、印刷、塗装、メッキ
などの加工を施すこともできる。本発明の組成物は、耐
候性、耐スクラッチ性、柔軟性、成形加工性の要求され
る用途、例えば、ハンドル、レバーなどの表皮材、イン
ストゥルメントパネル表皮、ピラーガーニッシュなどの
自動車内装用途、ドアモールなどの自動車外装用途、三
輪車、自転車、オートバイ、ベビーカー、シルバーカー
などのグリップ材やシート材、土木シート、防水シー
ト、床材や壁材などの土木・建築用途に好適である。そ
のほかにも、種々の用途、例えば、単層・多層のシー
ト、フィルム、チューブ、異形品、ネット、ブロック、
キャップライナーなどの食品用途、日用雑貨用途、スキ
ー用具、ゴルフボールコア材などの運動用具・玩具用
途、デスクマット、手帳表皮材などの文具用途、掃除機
用コーナーバンパー、冷蔵庫用ドアシールなどの家電機
器用、AV機器用途、O.A・事務機器用途、靴底など
の履き物・衣料用品用途、ホース・チューブ材、テキス
タイル用途、医療用機器用途、化学・鉱工業用資材、包
装輸送用資材、農・畜・水産資材などに使用することが
できる。
【0051】本発明の軟質熱可塑性エラストマー組成物
の好ましい実施様態は、次のとおりである。 (イ)水添ジエン系重合体を構成する共役ジエンが、
1,3−ブタジエンである軟質熱可塑性エラストマー組
成物。 (ロ)ポリオレフィン系重合体が、ポリプロピレンで
ある軟質熱可塑性エラストマー組成物。 (ハ)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムが、エ
チレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−エチ
リデンノルボルネンゴムである軟質熱可塑性エラストマ
ー組成物。 (ニ)ノニオン系帯電防止剤が、グリセリン脂肪酸エ
ステルまたは、ソルビタン脂肪酸エステルである軟質熱
可塑性エラストマー組成物。 (ホ)シリコンオイルが、ポリジメチルシロキサンで
ある軟質熱可塑性エラストマー組成物。 (ヘ)有機脂肪酸エステルが、エルカ酸アミド、ステ
アリン酸アミド、オレイン酸アミド、またはベヘニン酸
アミドである軟質熱可塑性エラストマー組成物。 (ト)粘着付与樹脂が、ロジン系樹脂、ポリテルペン
系樹脂、または合成石油系樹脂である軟質熱可塑性エラ
ストマー組成物。
【0052】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に
説明するが、発明の主旨を越えない限り、本発明は、か
かる実施例により限定されるものではない。なお、実施
例中において、部および%は、特に断らない限り重量基
準である。また、実施例中の各種の測定は、下記の方法
に拠った。
【0053】 水添ジエン系重合体の芳香族ビニル化
合物結合量 679cm-1のフェニル基の吸収を基に、赤外分析法によ
り分析した。 水添ジエン系重合体の共役ジエン部分のビニル結合
量 赤外分析法を用い、ハンプトン法により算出した。 水添ジエン系重合体の水素添加率(水添率) 四塩化エチレンを溶媒に用い、100MHz、1 H―N
MRスペクトルから算出した。 水添ジエン系重合体の数平均分子量 トリクロルベンゼンを溶媒に用い、135℃におけるゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用
いてポリスチレン換算で求めた。 耐スクラッチ性 (株)東洋精機製作所製のテーバースクラッチテスター
試験機を用い、荷重を変えながら引っ掻き試験を実施し
た。試料の表面が艶消し状態に傷ついたときの荷重を傷
つき荷重とし、以下の基準で判定した。 ◎:耐スクラッチ性に優れる:傷つき荷重が120g以
上 ○:耐スクラッチ性がよい :傷つき荷重が70〜12
0g △:耐スクラッチ性がある :傷つき荷重が30〜70
g ×:耐スクラッチ性に劣る :傷つき荷重が30g未
満。 柔軟性 JIS K6310に準拠し、JIS A硬度を測定
し、以下の基準で判定した。 ○:柔軟性が優れる:硬度が80未満 △:柔軟性がある :硬度が80〜90 ×:柔軟性に劣る :硬度が90を超える 成形加工性 下記の基準に従って、フィルムゲートの15×15×2
mmシートの金型を用いて射出成形を行い、得られた成
形品の外観から成形性を評価した。 ○:幅広い成形条件で、外観が良好な成形品が得られ
る。 △:限られた成形条件下で、外観の良好な成形品が得ら
れる。 ×:パール光沢を有す、フローマークを有す、ブリード
・ブルームがある表面が荒れている、表面の粘着性が激
しいなど外観不良現象が見られ成形条件によって修正が
困難である。 耐候性 フィルムゲートの15×15×2mmシートの金型を用
いて射出成形を行い、得られた成型品をカーボンアーク
を光源とするフェードメーターに1,000時間曝露し
た後の表面を観察し、下記の基準に従って評価した。 ○:表面変化無し。 △:表面に艶が発生するが、べたつき感がない。 ×:表面に艶が発生し、べたつき感がある。
【0054】参考例 実施例および比較例の配合処方に使用される各種の成分
は、以下の通りである。
【0055】水添ジエン系共重合体 P−1〜7 水添ジエン系共重合体(P―1〜7)は、日本合成ゴム
(株)製の試作ポリマーであり、これらP―1〜7のミ
クロ構造、数平均分子量、水添率は表1に示すとおりで
ある。
【0056】ポリオレフィン系重合体 Q−1〜3 Q−1(ポリプロピレン);日本ポリオレフィン(株)
製、プロピレン−エチレンランダムコポリマー、MD7
72H、MFR 30g/10分 Q−2(ポリエチレン);三菱化学(株)製、低密度ポ
リエチレン LJ800、MFR 18g/10分(1
90℃、2.16kg荷重) Q−3(ポリプロピレン);三菱化学(株)製、プロピ
レン−エチレンブロックコポリマー、BC5C、MFR
3.0g/10分
【0057】エチレン−α−オレフィン系共重合ゴム
R−1〜2 R−1(エチレン−プロピレンゴム);日本合成ゴム
(株)製、EP07P、ML1+4100℃ 70、エチ
レン含量27 R−2(伸展油含有エチレン−プロピレン−エチリデン
ノルボルネンゴム);日本合成ゴム(株)製、EP98
A、パラフィン系オイル=ゴム100部に対して75部
含有、ベースゴムのML1+8120℃ 62、エチレン
含量28
【0058】ノニオン系帯電防止剤 S−1 S−1(グリセリンモノステアレート);理研ビタミン
(株)製、リケマールS−100P
【0059】シリコンオイル T−1 T−1(ポリジメチルシロキサン);信越化学工業
(株)製、KF96A−500
【0060】有機脂肪酸アミド U−1 U−1(エルカ酸アミド);ライオン(株)製、アーモ
スリップE
【0061】粘着付与樹脂 V−1 V−1(石油樹脂系粘着付与樹脂);荒川化学工業
(株)製、アルコンP−110
【0062】架橋剤 W−1〜2 W−1(有機過酸化物);日本油脂(株)製、パーヘキ
シン25B−40〔2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3〕 W−2(樹脂架橋剤);住友化学(株)製、タッキロー
ル250I(臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデ
ヒド樹脂)プロセスオイル パラフィン系オイル;出光興産(株)製、ダイアナプロ
セスオイルPW380架橋助剤 ジビニルベンゼン;三共化成(株)製、ジビニルベンゼ
その他の成分 ZnO ステアリン酸
【0063】熱可塑性オレフィン(TPO) 表5に示す処方により、以下の手順に従い、熱可塑性オ
レフィン(TPO−1〜3)を作製した。すなわち、1
60℃に予熱したBRバンバリー型ラボプラストミル
〔(株)東洋精機製作所製、容量250cc〕に表5に
示すエチレン−α−オレフィン系共重合ゴムR−2、及
びポリオレフィン系重合体Q−3を入れ1分間混練りし
た。次いで、プロセスオイルを加え、ポリオレフィン系
重合体が溶融し、かつ添加成分が均一に混合されたの
ち、架橋剤、架橋助剤およびその他の成分を添加して、
190℃まで昇温させながら約10分間混練りを続け
た。添加した架橋剤がほぼ100%作用したところで熱
可塑性オレフィンを得た。混練り時のローターの回転数
は60rpmであった。また熱可塑性オレフィンの架橋
の程度はエチレン−α−オレフィン系共重合ゴムR−2
の23℃、48時間でのシクロヘキサンに不溶なゲル含
量(重量%)で示した。
【0064】実施例1〜15、比較例1〜6 表2、3、4、5に示す組成のエラストマー組成物の性
能を評価し、同表に結果を示した。表2、3に示す実施
例1〜15の結果から、本発明のエラストマー組成物
は、表4、5に示す比較例1〜6に比べて柔軟性、耐ス
クラッチ性、成形加工性に優れることがわかる。
【0065】これに対し、比較例1、2、3は配合比率
が本発明の範囲外であるため、柔軟性、耐スクラッチ
性、成形加工性のバランスが劣る。さらに比較例4〜6
は、熱可塑性オレフィン(TPO)であり、柔軟性、耐
スクラッチ性、成形加工性のバランスが劣る。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
【表5】
【0071】
【発明の効果】本発明の軟質熱可塑性エラストマー組成
物は、本質的に優れた軟質熱可塑性エラストマー組成物
の物性を有し、耐候性、耐スクラッチ性、柔軟性、成形
加工性に優れている。本発明の軟質熱可塑性エラストマ
ー組成物は、上記のような優れた特性を有する材料であ
り、ハンドル、レバーなどの表皮材、インストゥルメン
トパネル表皮、ピラーガーニッシュなどの自動車内装用
途、ドアモールなどの自動車外装用途、三輪車、自転
車、オートバイ、ベビーカー、シルバーカーなどのグリ
ップ材やシート材、土木シート、防水シート、床材や壁
材などの土木・建築用途、単層・多層のシート、フィル
ム、チューブ、異形品、ネット、ブロック、キャップラ
イナーなどの食品用途、日用雑貨用途、スキー用具、ゴ
ルフボールコア材などの運動用具・玩具用途、デスクマ
ット、手帳表皮材などの文具用途、掃除機用コーナーバ
ンパー、冷蔵庫用ドアシールなどの家電機器用、AV機
器用途、O.A・事務機器用途、靴底などの履き物・衣
料用品用途、ホース・チューブ材、テキスタイル用途、
医療用機器用途、化学・鉱工業用資材、包装輸送用資
材、農・畜・水産資材などに利用可能であり、 工業的
に価値の高い材料である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)1,4−結合を70重量%以上含
    む共役ジエンを主体とする重合体ブロック(A)と、
    1,2−および3,4−ビニル結合を50重量%以上含
    む共役ジエンを主体とする重合体ブロック(B)とから
    なる重合体であって、ブロック共重合体のポリスチレン
    換算数平均分子量が4万〜70万であり、共役ジエン部
    分の二重結合残基の80%以上が水素添加された水添ジ
    エン系共重合体と、(ロ)メルトフローレート(230
    ℃、2.16kg荷重)が15g/10分以上であるポ
    リオレフィン系重合体とからなる熱可塑性エラストマー
    組成物。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007231280A (ja) * 2007-03-26 2007-09-13 Riken Technos Corp グリップ材用樹脂組成物

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