JPH1036391A - 新規なペプチドおよびアンジオテンシン変換酵素阻害剤 - Google Patents

新規なペプチドおよびアンジオテンシン変換酵素阻害剤

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JPH1036391A
JPH1036391A JP8221634A JP22163496A JPH1036391A JP H1036391 A JPH1036391 A JP H1036391A JP 8221634 A JP8221634 A JP 8221634A JP 22163496 A JP22163496 A JP 22163496A JP H1036391 A JPH1036391 A JP H1036391A
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peptide
tyr
amino acid
acid sequence
angiotensin converting
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Kunio Suetsuna
邦男 末綱
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 海苔の蛋白質分解酵素分解液から、アンジ
オテンシン変換酵素阻害作用を有する新規なペンタペブ
チド、及び、ヒジキの蛋白質分解酵素分解液から、アン
ジオテンシン変換酵素阻害作用を有する新規なテトラペ
プチドを提供する。 【構成】 海苔を蛋白質分解酵素等で処理し、新規な
アンジオテンシン変換酵素阻害作用を有するペンタペプ
チドはAla−Lys−Tyr−Cys−Tyrであ
り、血圧降下作用を有し、毒性も極めて低い。又、ヒジ
キを蛋白質分解酵素等で処理し、新規なアンジオテンシ
ン変換酵素阻害作用を有するテトラペブチドはCys−
Lys−Thr−Tyrであり、血圧降下作用を有し、
毒性も極めて低い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬品として有用性を
有する下記のアミノ酸配列のペプチド構造を有するペプ
チドならびにそのペプチドを有効成分とするアンジオテ
ンシン変換酵素阻害剤に関する。 Ala−Lys−Tyr−Cys−Tyr Cys−Lys−Thr−Tyr (式中、アミノ酸残基を表わす各記号は、アミノ酸化学
において慣用の表示法によるものである。)
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】高血圧
は、病因的に血圧上昇の明らかなもの(病候性高血圧)
と不明なもの(本態性高血圧)とに大別されている。病
候性高血圧は原因となる疾患を治癒させることで高血圧
を治癒させることができるが、本態性高血圧では原因に
対する直接的な治療法は困難である。従来、レニンーア
ンジオテンシン系(以下、R・A系と略す)は、本態性
高血圧の重要な要因の一つであると考えられており、こ
こ20年来、R・A系で中心的な役割を果たしているア
ンジオテンシン変換酵素(以下、ACEと略す)の活性
を阻害することによって、R・A系を調節して本態性高
血圧を調節する試みが行われてきた。即ち、ACEの活
性を阻害することによって血圧を降下させることが可能
であり、又、このことは臨床的に高血圧の予防、治療に
有効であると考えられている。この目的のためプロリン
の誘導体であるカプトリルが合成され、その降圧作用が
確認されて以来、カプトリルの構造研究に基づく種々の
ACE阻害物質の合成研究が盛んに行われ、最近ではマ
レイン酸エナラブリルやアラセブリル等の物質が、次々
と臨床の場に供されている。一方、ACE阻害物質とし
ては、上記の合成品の他に天然物又は天然物由来のペプ
チドとして蛇毒由来のブラジキニン増強因子(C末端が
Pro)[S.H.Ferreia et al:Bi
ochemistry,9,3583(1970)]、
ゼラチンのコラゲナーゼ消化由来の6種類のペプチド
(いずれもC末端がAla−Hyp)[G.Oshim
a et al:Biochim.Biophys.A
cta.,556,128(1979)]、牛カゼイン
のトリプシン消化物由来のペプチド(C末端がGly−
Lys)[S.Maruyama et al:Agr
ic.Biol.Chem.,46,1393(198
2)]等に始まり本発明者等のイワシ筋肉由来の5種の
ヘクサペプチド(いずれもC末端から2番目または3番
目がPro、N末端がLeu)[特公平7−07423
6号]が挙げられ、いずれもACE阻害剤となり得るこ
とが開示されている。更に、合成法により得た鎖長の短
いジ、トリペプチド[特開平6−87886号、特開平
6−16568号公報]についての提案は行なわれてい
るが、規則性を持ったアミノ酸配列を有する鎖長の長い
ペプチドのACE阻害作用並びに経口投与による降圧効
果(薬理効果)は不明であり、発見されてから長期間経
過しているが、未だ医薬品としての開発が進んでいると
の報告はない。食品の場合には、鈴木等[農化,57,
1143(1983)]が大豆、茶類、果実類などでA
CE阻害活性を認めているが、しかし、これまでに海藻
類(褐藻、緑藻類)にACE阻害物質があることは知ら
れていない。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記の課題
を解決するために鋭意研究した結果、海藻類(褐藻、緑
藻類)から得られた本発明の新規なペプチドが、血圧降
下作用を有することを見出し、本発明を完成するに至っ
た。即ち、海苔(褐藻)の蛋白質分解酵素の分解液から
及びヒジキ(緑藻)の蛋白質分解酵素の分解液から薬理
作用を有する物質を検索し、新規なペンタペプチドとテ
トラペプチドに強いアンジオテンシン変換酵素(AC
E)阻害作用を有することを見出した。そして、これら
ペプチドを医薬品として実用化するための研究を鋭意行
い、その結果、これらペプチドが血圧降下作用を有し、
天然物由来のACE阻害剤としての有用性を見出した。
本発明は係る知見に基づくものである。本発明に係る新
規なペプチドは、次式、(1)及び(2) (1) Ala−Lys−Tyr−Cys−Tyr (2) Cys−Lys−Thr−Tyr の式で示されるL体のアミノ酸の配列を有する新規なペ
ンタペプチド及びテトラペプチドであり、常温における
性状は白色の粉末である。
【0004】前記の本発明に係る新規なペンタペプチド
及びテトラペプチドは、化学的に合成する方法又は海草
類(褐藻、緑藻類)の蛋白質分解酵素の分解液から分離
精製する方法を挙げることができる。これらペプチドを
化学的に合成する場合には、液相法又は固相法等の通常
のペプチド合成法によって行なうことができるが、好ま
しくは、固相法によってポリマー性の固相支持体へ前記
ペプチドのC末端(カルボキシル末端側)から、そのア
ミノ酸残基に対応したL体のアミノ酸を順次ペプチド結
合によって結合していくのが良い。そして、そのように
して得られた合成ペプチドは、トリフルオロメタンスル
ホン酸、フッ化水素等を用いてポリマー性の固相支持体
から切断した後、アミノ酸側鎖の保護基を除去し、逆相
系のカラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(以
下、HPLCと略す)等を用いた通常の方法で精製する
ことができる。
【0005】上記したように、本発明に係る新規なペン
タペプチド及びテトラペプチドは、海藻類(褐藻、緑藻
類)即ち、海苔及びヒジキの蛋白質分解酵素の分解液か
ら分離精製することができるが、その場合には、例え
ば、以下のようにして行なうことができる。上記の新規
なペンタペプチドを含有している海苔(褐藻)蛋白質部
分、及び新規なテトラペプチドを含有しているヒジキ
(緑藻)蛋白質部分を取り出し加水分解する。加水分解
は常法に従って行なう。例えば、ペプシン等の蛋白分解
酵素で加水分解する場合には、海苔蛋白質部分及びヒジ
キ蛋白質部分を必要とあれば更に加水分解した後、酵素
の至適値に調整し、酵素を加えてインキュベートする。
次いで必要に応じ中和した後、酵素を失活させて加水分
解液を得る。その加水分解液を濾紙及び/又はセライト
等を用いて濾過することによって不溶性成分を除去し、
得られた濾液をセロファン等の半透膜を用いて適当な溶
媒(例えば、トリスー塩酸緩衝液、リン酸緩衝液の中性
緩衝液)中で十分に透析し、その濾液中の成分で半透膜
を通過した成分を含む溶液を強酸性陽イオン交換樹脂
(例えば、ダウケミカル社製のDowex 50W等)
にかけ、その吸着溶出成分からACE(アンジオテンシ
ン変換酵素)阻害活性を含有する画分を得、得られたA
CE阻害活性画分をゲル濾過(例えば、ファルマシア社
製のSephadex G−25等)によって分画し、
得られたACE阻害活性画分を陽イオン交換ゲル濾過
(例えば、ファルマシア社製のSP−Sephadex
C−25等)によって分画し、得られたACE阻害活
性画分を更に逆相HPLCによって分画する。
【0006】本発明に係る新規なペンタペプチド及びテ
トラペプチドは、静脈内への繰り返し投与を行った場
合、抗体産生を惹起せず、アナフィラキシーショックを
起こさない。又、これらペプチドはL−アミノ酸のみの
配列構造からなり、投与後、生体内のプロテアーゼによ
り徐々に分解される為、毒性は極めて低く安全性は極め
て高い(LD50>5000mg/kg:ラット経口投
与)。これらペプチドは、通常用いられる賦形剤等の添
加物を用いて注射剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤
等に調製することができる。投与法としては、通常は、
アンジオテンシン変換酵素を有している咄乳類(例え
ば、ヒト、イヌ、ラット等)に注射すること、あるいは
経口投与することが挙げられる。投与量は、例えば、動
物体重1kg当たりこれらペプチドを0.01〜10m
gの量である。投与回数は、通常1日1〜4回程度であ
るが、投与経路によって、適宜、調製することができ
る。上記の各種製剤において用いられる賦形剤、結合
剤、滑沢剤の種類は、特に限定されず、通常の注射剤、
散剤、顆粒剤、錠剤あるいはカプセル剤に用いられるも
のを使用することができる。
【0007】錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤に用いる
添加剤としては、下記のものを挙げることができる。賦
形剤としては、結晶セルロース等の糖類、マンニトール
等の糖アルコール類、でんぷん類、無水リン酸カルシウ
ム等;結合剤としてはでんぷん類、ヒドロキシプロピル
メチルセルロース等;崩壊剤としてはカルボキシメチル
セルロース及びそのカリウム塩類;滑沢剤としてはステ
アリン酸及びその塩類、タルク、ワックス類を挙げるこ
とができる。又、製剤の調製にあたっては必要に応じメ
ントール、クエン酸及びその塩類、香料等の矯臭剤を用
いることができる。注射用の無菌組成物は、常法によ
り、これらペプチドを、注射用水、生理食塩水及びキシ
リトールやマンニトールなどの糖アルコール注射液、プ
ロピレングリコールやポリエチレングリコール等のグリ
コールに溶解又は懸濁させて注射剤とすることができ
る。この際、緩衝液、防腐剤、酸化防止剤等を必要に応
じて添加することができる。これらペプチドを含有する
製剤は凍結乾燥品又は凍結粉末の形とし、用時、通常の
溶解剤、例えば水又は生理食塩水にて溶解して用いるこ
ともできる。
【0008】本発明に係る新規なペンタペプチドとテト
ラペプチドは、優れたアンジオテンシン変換酵素阻害作
用を有し、血圧降下作用、ブラジキニン不活性化抑制作
用を示す。従って、本態性高血圧、腎性高血圧、副腎性
高血圧等の高血圧症の予防、治療剤、これらの疾患の診
断剤や各種の病態において用いられる血圧降下剤として
有用であり、更にうっ血性心不全に対する臓器循環の正
常化と長期予後の改善(延命効果)作用を有し、心不全
の治療剤として有用である。
【0009】
【実施例】以下に実施例として、製造例及び試験例を記
載し、本発明を更に詳細に説明する。 製造例1 (海苔由来ACE阻害ペプチドの製造)風乾した新鮮海
苔を高速粉砕機にて35メッシュに微粉化したもの50
gに脱イオン水2ιを加えてホモジナイズした。得られ
た海苔ホモジネイトにペプシン1.5gを加え、HCl
−KCl緩衝液にてpH2.0に調整した後、攪拌下3
7℃で20時間、酵素分解反応した。得られた酵素分解
液をDiaflow膜(アミコン社製、YN10型膜、
分画分子量1万)を用いて限外濾過した。得られた濾過
液をDowex50W×4(H)を充填したカラムを
用いてクロマトグラム処理した。脱イオン水で水洗し、
溶出は2N−NHOHで行い、溶出液を濃縮した。こ
の濃縮液をSephadexG−25を充填したカラム
を用いてクロマトグラム処理した。ゲル濾過操作(遊離
アミノ酸と未分解の蛋白質を除く操作)によりペプチド
画分を集め濃縮して海苔ペプチド液とした。更にこの海
苔ペプチド液をSP−Sephadex C−25(H
)カラムによりクロマトグラム処理してACE阻害活
性の強い精製ペプチド画分(分画番号10〜28)を分
離した。そのカラムクロマトグラフを図1に示した。こ
のようにして得た精製ペプチド画分を凍結乾燥して海苔
ペプチドパウダーとし、更に脱イオン水に溶解した後、
HPLCを行なった。条件はカラムとして野村化学社製
のDevelosilODS−5(φ4.6mmID×
25cmL)を使用し、移動相として0.05%トリフ
ルオロ酢酸(以下、TFAと略す)から25%アセトニ
トリル/0.05%TFAの濃度勾配法により、流速
1.0ml/min、検出波長220nmでクロマトグ
ラム処理し、溶出時間54.73分に強いACE阻害作
用を有するペプチドフラグメントを得た。その結果は図
2に示すとおりである。このようにして得られたACE
阻害作用を有するペプチドのアミノ酸配列は、アプライ
ドバイオシステム(ABI)社製のプロティンシーケン
サー477A型を用いて決定された。その結果、次式 Ala−Lys−Tyr−Cys−Tyr で示されるL体のアミノ酸残基からなる配列を有する新
規なペンタペプチドであることが確認された。本発明に
係わる新規なペンタペプチドをACE阻害剤として例え
ば錠剤に製剤する場合には、常法に従って例えば次のよ
うに処理すればよい:(1)ペンタペプチド13g、
(2)乳糖87g、(3)コーンスターチ29g、
(4)ステアリン酸マグネシウム1gを原料とし、先ず
(1)、(2)及び17gのコーンスターチを混和し、
7gのコーンスターチから作ったペーストとともに顆粒
化し、この顆粒に5gのコーンスターチと(4)とを加
え、得られた混合物を圧縮錠剤機で打錠し、錠剤100
0個を製造する。
【0010】製造例2 (ヒジキ由来ACE阻害ペプチドの製造)風乾した新鮮
ヒジキを高速粉砕機にて35メッシュに微粉化したもの
50gに脱イオン水2ιを加えてホモジナイズした。得
られたヒジキホモジネイトにペプシン1.5gを加え、
HCl−KCl緩衝液にてpH2.0に調整した後、攪
拌下37℃で20時間、酵素分解反応した。得られた酵
素分解液をDiaflow膜(アミコン社製、YN10
型膜、分画分子量1万)を用いて限外濾過した。得られ
た濾過液をDowex50W×4(H)を充填したカ
ラムを用いてクロマトグラム処理した。脱イオン水で水
洗し、溶出は2N−NHOHで行い、溶出液を濃縮し
た。この濃縮液をSephadexG−25を充填した
カラムを用いてクロマトグラム処理した。ゲル濾過操作
(遊離アミノ酸と末分解の蛋白質を除く操作)によりペ
プチド画分を集め濃縮して海苔ペプチド液とした。更に
このヒジキペプチド液をSP−Sephadex C−
25(H)カラムによりクロマトグラム処理してAC
E阻害活性の強い精製ペプチド画分(分画番号15〜2
5)を分離した。そのカラムクロマトグラフを図3に示
した。このようにして得た精製ペプチド画分を凍結乾燥
してヒジキペプチドパウダーとし、更に脱イオン水に溶
解した後、HPLCを行なった。条件はカラムとして野
村化学社製のDevelosil ODS−5(φ4.
6mmID×25cmL)を使用し、移動相として0.
05%TFAから25%アセトニトリル/0.05%T
FAの濃度勾配法により、流速1.0ml/min)検
出波長220nmでクロマトグラム処理し、溶出時間6
3.55分に強いACE阻害作用を有するペプチドフラ
グメントを得た。その結果は図4に示すとおりである。
このようにして得られたACE阻害作用を有するペプチ
ドのアミノ酸配列は、ABI社製のプロティンシーケン
サー477A型を用いて決定された。その結果、次式 Cys−Lys−Thr−Tyr で示されるL体のアミノ酸残基からなる配列を有する新
規なテトラペプチドであることが確認された。本発明に
係わる新規なテトラペプチドをACE阻害剤として例え
ば錠剤に製剤する場合には、常法に従って例えば次のよ
うに処理すればよい:(1)テトラペプチド13g、
(2)乳糖87g、(3)コーンスターチ29g、
(4)ステアリン酸マグネシウム1gを原料とし、先ず
(1)、(2)及び17gのコーンスターチを混和し、
7gのコーンスターチから作ったペーストとともに顆粒
化し、この顆粒に5gのコーンスターチと(4)とを加
え、得られた混合物を圧縮錠剤機で打錠し、錠剤100
0個を製造する。
【0011】製造例3 本例は、合成法による製造例である。 Ala−Lys−Tyr−Cys−Tyrの合成法 ABI社製のペプチド自動合成装置430A型を用いた
固相法によって当該ペンタペプチドを合成した。固相担
体としては、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体(ポ
リスチレン樹脂)をクロロメチル化した樹脂を使用し
た。先ず、当該ペンタペプチドのアミノ酸配列に従っ
て、常法どおり、そのC末端側のTyrからクロロメチ
ル樹脂に反応させペプチド結合樹脂を得た。このときの
アミノ酸はt−ブトキシカルボニル基(以下、t−Bo
cと略す)で保護されたt−Bocアミノ酸を使用し
た。次にこのペプチド結合樹脂をエタンジチオールとチ
オアニソールからなる混合液に懸濁し、室温で10分間
攪拌後、氷冷下でトリフルオロ酢酸を加え、更に10分
間攪拌した。この混合液にトリフルオロメタンスルホン
酸を滴下し、室温で30分間攪拌した後、無水エーテル
を加えてその生成物を沈澱させて分離し、その沈澱物を
無水エーテルで数回洗浄した後、減圧下で乾燥した。こ
のようにして得られた未精製の合成ペンタペプチドは蒸
留水に溶解した後、逆相系のカラムC18(5μ)を用
いたHPLCにより精製した。移動相として(A)0.
1%TFA含有蒸留水、(B)0.1%TFA含有アセ
トニトリル溶液を使用し、(A)液が20分間で98%
から75%の濃度勾配法により流速1.1ml/min
でクロマトグラフィーを行った。紫外部波長212nm
で検出し、最大の波長を示した溶出画分を分取し、これ
を凍結乾燥することによって目的とする合成ペンタペプ
チドを得た。
【0012】この合成ペンタペプチドをマススペクトル
により分析した結果、アミノ酸配列構造を有するペンタ
ペプチドであることが確認された。このマススペクトル
の結果は図5に示すとおりである。もう一つのテトラペ
プチドについても上記合成方法に準じ固相法によりそれ
ぞれ末端側から反応させ合成した。未精製の合成テトラ
ペプチドは以下に示すとおり精製した。 Cys−Lys−Thr−Tyrの精製法 逆相系のカラムC18(5μ)を用いたHPLCにより
精製した。移動相として(A)0.1%TFA含有蒸留
水、(B)0.1%TFA含有アセトニトリル溶液を使
用し、(A)液が20分間で96%から72%の濃度勾
配法により流速1.3ml/minでクロマトグラフィ
ーを行なった。紫外部波長214nmで検出し、最大の
波長を示した溶出画分を分取し、これを凍結乾燥するこ
とによって目的とする合成テトラペプチドを得た。この
合成テトラペプチドをマススペクトルにより分析した結
果、アミノ酸配列構造を有するテトラペプチドであるこ
とが確認された。このマススペクトルの結果は図6に示
すとおりである。合成によって得られた本発明のペンタ
ペプチド及びテトラペプチドは、以下に示す試験によっ
て薬理効果が確認された。
【0013】試験例1 (アンジオテンシン変換酵素阻害活性)ACE(シグマ
社製、酵素番号EC3.4.15.1)2.5mU、合
成基質Hippuryl−L−histidyl−L−
leucine(ペプチド研究所製)12.5mMを用
いLiebermanの測定方法を改良した山本等の方
法[日胸疾会誌,18,297(1989)]に準じて
測定した。即ち、生成した馬尿酸を酢酸エチルにて抽出
し225nmの吸光度で測定した。被検液での吸光度を
Es、被検液の代わりに緩衝液を加えた時の値をEc、
予め反応停止液を加えて反応させた時の値をEbとして
次式から阻害率を求めた。阻害率(%)=(Ec−E
s)/(Ec−Eb)×100ACE阻害剤の阻害活性
IC50値は、ACEの酵素活性を50%(阻害率)阻
害するために必要な試料の濃度(M)で示した。本発明
に係る新規なペンタペプチドのACEに対する阻害活性
(IC50値)は2.32μMであり、テトラペプチド
のIC50値は4.78μMである。
【0014】試験例2 (ラットへ投与時の降圧効果)実験動物は日本チャール
ズ・リバー(株)より15週齢雄性の高血圧自然発症ラ
ット(SHR)を購入し、1週間の予備飼育後、収縮期
血圧が160mmHg以上(体重280〜330g)の
動物3匹1群として用いた。血圧は非観血的尾動脈血圧
測定装置((株)理研開発製、PS−100型)を用
い、Tail−cuff法により、投与前、投与後1時
間、2時間、3時間、4時間、5時間のSHRの尾動脈
の収縮期血圧(SBP)、平均血圧(MBP)及び拡張
期血圧(DBP)の測定を測定時間毎に5回行い、得ら
れた測定値の最高値と最低値を棄却し、3回の平均値を
もって各時間の測定値とした。本発明に係るぺンタペプ
チド及びテトラペプチドの合成品各々50mg/kgを
蒸留水10mlに溶解し、SHRに経口投与した時の血
圧値(SBP,MBP,DBP)への作用についての結
果は、図7及び図8に示すとおりである。以上の試験の
結果、本発明に係る新規なぺンタペプチド及びテトラペ
プチドはアンジオテンシン変換酵素阻害活性を有し、動
物実験においても有意な血圧降下作用を示すことが確認
された。従って、本発明に係る新規なペンタペプチド及
びテトラペプチドは、高血圧症の治療又は予防薬として
有用である。尚、本発明に係る新規なペンタペプチド及
びテトラペプチドは、構造的にそのアミノ酸配列を部分
構造とするペプチドにおいて、構造中に採用することも
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例1における海苔ぺプシン分解液の、SP
−Sephadex C−25(H+)カラムクロマト
グラフィーによるACE阻害ペプチドの分離精製の結果
を示す図である。
【図2】製造例1における海苔由来ペンタペプチドの、
逆相HPLCによるACE阻害ペプチドフラグメントの
分離精製の結果を示す図である。
【図3】製造例2におけるヒジキペプシン分解液の、S
P−SephadexC−25(H+)カラムクロマト
グラフィーによるACE阻害ペプチドの分離精製の結果
を示す図である。
【図4】製造例2におけるヒジキ由来テトラペプチド
の、逆相HPLCによるACE阻害ペプチドフラグメン
トの分離精製の結果を示す図である。
【図5】本発明に係る海苔由来ペンタペプチドの、製造
例3で得られた合成ペンタペプチドのマススペクトルを
示す図である。
【図6】本発明に係るヒジキ由来テトラペプチドの、製
造例3で得られた合成テトラペプチドのマススペクトル
を示す図である。
【図7】製造例3で得られた合成ぺンタペプチド50m
g/kgを、SHRに経口投与した場合の血圧値(収縮
期血圧、平均血圧及び拡張期血圧)の経時的変化を示す
図である。
【図8】製造例3で得られた合成テトラペプチド50m
g/kgを、SHRに経口投与した場合の血圧値(収縮
期血圧、平均血圧及び拡張期血圧)の経時的変化を示す
図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07K 123:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式;Ala−Lys−Tyr−Cys
    −Tyrで示されるL体のアミノ酸の配列によるペプチ
    ド構造を有する新規なペンタペプチド。
  2. 【請求項2】 次式;Ala−Lys−Tyr−Cys
    −Tyrで示されるL体のアミノ酸の配列によるペプチ
    ド構造を有する新規なペンタペプチドを有効成分として
    含有することを特徴とするアンジオテンシン変換酵素阻
    害剤。
  3. 【請求項3】 次式;Cys−Lys−Thr−Tyr
    で示されるL体のアミノ酸の配列によるペプチド構造を
    有する新規なテトラペプチド。
  4. 【請求項4】 次式;Cys−Lys−Thr−Tyr
    で示されるL体のアミノ酸の配列によるペプチド構造を
    有する新規なテトラペプチドを有効成分として含有する
    ことを特徴とするアンジオテンシン変換酵素阻害剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004244359A (ja) * 2003-02-13 2004-09-02 Shirako:Kk 血管拡張性医薬及び健康食品組成物
CN102495169A (zh) * 2011-11-16 2012-06-13 江南大学 一种紫菜可控酶解后的抗氧化活性肽的纯化及分析鉴定方法
CN110655553A (zh) * 2019-10-10 2020-01-07 河南省农业科学院 一种芝麻来源的ace抑制肽、制备方法及其在制备降血压药物方面的应用

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