JP3108920B1 - 新規なテトラペプチドおよびアンジオテンシン変換酵素阻害剤 - Google Patents

新規なテトラペプチドおよびアンジオテンシン変換酵素阻害剤

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Abstract

【要約】 【目的】ワカメの蛋白質分解酵素分解液から、アンジオ
テンシン変換酵素阻害作用をを有する新規なテトラペプ
チドを提供する。 【構成】ワカメを蛋白質分解酵素等で処理し、新規なア
ンジオテンシン変換酵素阻害作用を有する4種類のテト
ラペプチドは(1)Tyr−Asn−Lys−Leu、
(2)Tyr−Lys−Tyr−Tyr、(3)Lys
−Phe−Tyr−Gly、(4)Ala−Ile−T
yr−Lysであり、生体内での血圧降下作用を有し、
毒性も極めて低い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬品として有用性を
有する下記アミノ酸の配列のペプチド構造を有するテト
ラペプチドならびにそのペプチドを有効成分とするアン
ジオテンシン変換酵素阻害剤に関する。 Tyr−Asn−Lys−Leu Tyr−Lys−Tyr−Tyr Ala−Ile−Tyr−Lys (式中、アミノ酸残基を表す各記号は、アミノ酸化学に
おいて慣用の表示法によるものである。)
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】レニン
−アンジオテンシン系が生体の水・電解質及び血液の調
節に重要な役割を果たしていることはよく知られてい
る。このレニン−アンジオテンシン系にはアンジオテン
シン変換酵素(以下ACEと略記する。)が存在し、ア
ンジオテンシンIはACEによってアンジオテンシンI
Iに変換される。アンジオテンシンIIは強力な昇圧物
質で、血管、副腎皮質のみならず中枢神経系ならびに末
梢神経系に働いて血圧上昇を促す。又、ACEは生体内
降圧物質であるブラジキニンを分解し、不活性化する作
用を有し、昇圧系に関与している。従って、ACEの活
性を阻害することによって血圧を降下させることが可能
であり、又、そのことは臨床的に高血圧の予防、治療に
有効であると考えられている。この目的のためプロリン
誘導体であるカプトリルが合成され、その降圧作用が確
認されて以来、カプトリルの構造研究に基づく種々のA
CE阻害物質の合成研究が盛んに行われ、最近ではマレ
イン酸エナラブリルやアラセブリル等の物質が、次々と
臨床の場に供されている。現在、ACE阻害剤は本態性
高血圧症、病候性高血圧症を問わず、又、軽症、重症を
問わず、幅広く用いられ、高血圧症の第一次選択の治療
薬中に加えられ、多く優れた点を有することが見出され
ている。一方、ACE阻害物質の作用機序としては、ア
ンジオテンシンIIの産生抑制によるアルドステロンや
バソプレッシンの分泌抑制、又、腎動脈収縮の解除によ
るナトリウムや水の排泄促進が考えられている。更に、
ACE阻害物質については、それがカリクレン−キニン
系の不活性化を抑制し、プロスタグランジン系を賦活さ
せることにより末梢血管拡張やナトリウム及び水の排泄
を更に促進させると考えられており、心不全の悪循環を
断つ上で合目的な治療薬として期待されている。ところ
で、ACE阻害物質としては、上記の合成品の他に天然
物又は天然物由来の物質として蛇毒由来のブラディキニ
ン増強因子(C末端がPro)[S.H.Ferrei
a et al:Biochemistry,9,35
83(1970)]、ゼラチンのコラゲナーゼ消化物由
来の6種類のペプチド(いずれもC末端がAla−Hy
p)[G.Oshimaet al:Biochim.
Biophs.Acta,566,128(197
9)]、牛カゼインのトリプシン消化物由来のペプチド
(C末端がGly−Lys)[S.Maruyama
et al.:Agric.Biol.Chem.,4
6,1393(1983)]等に始まり本発明者等のイ
ワシ筋肉由来の5種のヘクサペウチド(いずれもC末端
から2番目又は3番目がPro、N末端がLeu)[特
許第2046483号]、海苔由来のテトラペプチド
(N末端がPro)[特許第2678180号]が挙げ
られ、いずれもACE阻害剤となり得ることが開示され
ている。更に、合成法により得た鎖長の短いジ、トリペ
プチド[特開平6−87886号][特開平6−165
68号]についての提案は行われているが、規則性を持
ったアミノ酸配列を有する鎖長の長いジ、トリペプチド
以上のペプチドのACE阻害作用並びに経口投与による
降圧効果(薬理効果)は不明であり、発見されてから長
時間経過しているが、未だ医薬品としての開発が進んで
いるとの報告はない。食品の場合には鈴木らが大豆、茶
類、貝類、果実類などでACE阻害活性を認めている
[鈴木健夫、石川宣子ら;農化,57巻,1143頁
(1983年)]が、これまでに健康食品として広く利
用されているワカメにACE阻害物質があることは知ら
れていない。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者は、褐藻コンブ
目(Laminariales)の海藻種に属するワカ
メの蛋白質分解酵素の分解液から薬理作用を有する物質
を検索し、新規な3種類のテトラペプチドが強いアンジ
オテンシン変換酵素阻害作用を有することを見出した。
そして、これら3種類のテトラペプチドを医薬として実
用化するための研究を鋭意行った。その結果、この3種
類のテトラペプチドが血圧降下作用を有し、天然物由来
のアンジオテンシン変換酵素阻害剤としての有用性を見
出した。本発明は係る知見に基づくものである。本発明
に係る新規なペプチドは、次式(1)、(2)及び
(3) (1)Tyr−Asn−Lys−Leu (2)Tyr−Lys−Tyr−Tyr (3)Ala−Ile−Tyr−Lys の式で示されるL体のアミノ酸の配列を有する新規なテ
トラペプチドであり、常温における性状は白色の粉末で
ある。
【0004】前記の3種類のテトラペプチドは、化学的
に合成する方法またはワカメの蛋白質分解酵素の分解液
から分離精製する方法を挙げることができる。本発明に
係る新規なペプチドを化学的に合成する場合には、液相
法または固相法等の通常のペプチド合成方法によって行
うことができるが、好ましくは、固相法によってポリマ
ー性の固相支持体へ前記ペプチドのC末端(カルボキシ
ル末端側)からそのアミノ酸残基に対応したL体のアミ
ノ酸を順次ペプチド結合によって結合して行くのが良
い。そして、そのようにして得られた合成ペプチドは、
トリフルオロメタンスルホン酸、フッ化水素等を用いて
ポロマー性の固相支持体から切断した後、アミノ酸側鎖
の保護基を除去し、逆相系のカラムを用いた高速液体ク
ロマトグラフィー(以下、HPLCと略記する。)など
を用いた通常の方法で精製することができる。
【0005】上記したように、本発明に係る新規なペプ
チドは、ワカメの蛋白質分解酵素の分解液から分離精製
することができるが、その場合には、例えば以下のよう
にして行うことができる。上記の新規なペプチドを含有
しているワカメのタンパク質部分を用いて加水分解す
る。加水分解は常法に従って行う。例えば、ペプシン等
のタンパク質分解酵素で加水分解する場合は、ワカメを
必要とあれば更に加水分解した後、酵素の至適温度まで
加温しpHを至適値に調整し酵素を加えてインキュベー
トする。次いで必要に応じ中和した後、酵素を失活させ
て加水分解液を得る。その加水分解物を濾紙及び/又は
セライト等を用いて濾過することによって不溶性成分を
除去し、その得られた濾液をセロファンなどの半透膜を
用いて適当な溶媒(例えば、水、トリス−塩酸緩衝液、
リン酸緩衝液の中性の緩衝液等)中で十分に透析し、そ
の濾液中の成分で半透膜を通過した成分を含む溶液を強
酸性陽イオン交換樹脂(例えば、ダウケミカル社製のD
owex 50W等)にかけ、その吸着溶出分画からア
ンジオテンシン変換酵素(以下、ACEと略記する。)
阻害活性を有する成分を含有する分画を得、得られたA
CE阻害活性分画をゲル濾過(例えば、ファルマシア社
製のSephadex G−25等)によって分画し、
得られたACE阻害活性分画を陽イオン交換ゲル濾過
(例えば、ファルマシア社製のSP−Sephadex
C−25等)によって分画し、その得られたACE阻
害活性画分を更に逆相HPLCによって分画する。
【0006】本発明に係る新規なペプチドの製法におい
て用いる褐藻類としては、本発明の目的を達成できる限
りいかなる褐藻類を用いても良いが、好ましくはワカメ
を用いるのが良い。以上のようにして得られた本発明に
係る新規なペプチドは、静脈内へ繰り返し投与を行った
場合、抗体産生を惹起せず、アナフィラキシーショック
を起こさせない。又、本発明に係る新規なペプチドはL
−アミノ酸のみの配列構造からなり、投与後、生体内の
プロテアーゼにより徐々に分解される為、毒性は極めて
低く、安全性は極めて高い(LD50>5000mg/
kg;ラット経口投与)。本発明に係る新規なペプチド
は、通常用いられる賦形剤等の添加物を用いて注射剤、
錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等に調製することがで
きる。投与方法としては、通常は、ACEを有している
哺乳類(例えば、ヒト、イヌ、ラット等)に注射するこ
と、あるいは経口投与することがあげられる。投与量
は、例えば、動物体1kg当りこのペプチドを0.01
〜10mgの量である。投与回数は、通常1日1〜4回
程度であるが、投与経路によって、適宜、調製すること
ができる。
【0007】上記の各種製剤において用いられる賦形
剤、結合剤、潤沢剤の種類は、特に限定されず、通常の
注射剤、散剤、顆粒剤、錠剤あるいはカプセル剤に用い
られるものを使用することができる。錠剤、カプセル
剤、顆粒剤、散剤に用いる添加物としては、下記のもの
をあげることができる。賦形剤としては、結晶セルロー
ス等の糖類、マンニトール等の糖アルコール類、デンプ
ン類、無水リン酸カルシウム等;結合剤としては澱粉
類、ヒドロキシプロピルメチルセルローズ等;崩壊剤と
してはカルボキシメチルセルロース及びそのカリウム塩
類;潤滑剤としてはステアリン酸及びその塩類、タル
ク、ワックス類を挙げることができる。又、製剤の調整
にあたっては必要に応じメントール、クエン酸及びその
塩類、香料等の矯臭剤を用いることができる。注射用の
無菌組成物は、常法により、本発明に係る新規なペプチ
ドを、注射用水、生理食塩水及びキシリトールやマンニ
トール等の糖アルコール注射液、プロピレングリコール
やポリエチレングリコール等のグリコールに溶解または
懸濁させて注射剤とすることができる。この際、緩衝
液、防腐剤、酸化防止剤等を必要に応じて添加すること
ができる。本発明に係る新規なペプチドを含有する製剤
は凍結乾燥品又は乾燥粉末の形とし、用時、通常の溶解
剤、例えば水又は生理食塩液に溶解して用いることもで
きる。
【0008】本発明に係る新規なペプチドは優れたアン
ジオテンシン変換酵素阻害作用を有し、血圧降下作用、
ブラジキニン不活化抑制作用を示す。従って、本態性高
血圧、腎性高血圧、副腎性高血圧等の高血圧症の予防、
治療剤、これらうっ血性心不全に対する臓器循環の正常
化と長期予後の改善(延命効果)作用を有し、心不全の
治療剤として有用である。
【0009】
【実施例】以下に実施例として、製造例および試験例を
記載し、本発明を更に詳細に説明する。 製造例1 ワカメ粉末23.6gに脱イオン水708mιを加えホ
モジナイズしたワカメホモジネイトを用いた。透析チュ
ーブ(内径36インチ,和光純薬工業社製)に詰め、流
水に対して3日間透析を行い透析内液を得た。この内液
を1規定の塩酸にてpHを2.0に調整し、ペプシン
(メルク社製、酵素番号EC3.4.23.1)708
mgを添加し、45℃で5時間撹拌しながら加水分解を
行った。分解反応液を直ちに限外濾過膜(アミコン社
製、YM10型;分画分子量約1万)に通過させた通過
液を、Dowex50W×4[H]カラム(φ4.0
×55cm)に加えた。そのカラムを脱イオン水で十分
洗滌した後、2規定の水酸化アンモニウム液2ιを用い
て溶出した。減圧濃縮によりアンモニアを除去し濃縮液
を予め脱イオン水で緩衝化したSephadexG−2
5(φ1.6×113cm)に負荷し、流速12mι/
hr、各分画量5.7mιでゲル濾過を行った。その結
果は図1のとおりである。ゲル濾過を繰り返して大量分
取したACE阻害活性の高い画分を集め凍結乾燥してペ
プチド粉末とした。このペプチド粉末1.55gを20
mlの脱イオン水に溶解後、予め、脱イオン水で緩衝化
したSP−SephadexC−25[H]カラム
(φ1.8×40cm)に負荷し、脱イオン水500m
ιから1.5%塩化ナトリウム500mιの濃度勾配法
を行い、流速70mι/hr、各分画量10mιでクロ
マトグラフィーを行った。その結果は図2のとおりであ
る。上記クロマトグラフ中、ACE阻害活性の高かった
分画番号14〜22の画分を集めて凍結乾燥して精製ペ
プチド粉末(SP−I分画)を得た。この精製ペプチド
粉末20mgを60μιの脱イオン水に溶解した後、高
速液体クロマトグラフィー(HPLC)を行った。カラ
ムとしては野村化学社製Develosil ODS−
5(4.5mmID×25cmL)を使用し、移動相と
しては0.05%トリフルオロ酢酸(以下、TFAと略
記する。)から25%アセトニトリル/0.05%TF
Aの濃度勾配法を行い、流速1.0mι/min、検出
波長220nmでHPLCを行い、ACE阻害活性の高
いペプチドフラグメントを得た。その結果は図3に示す
とおりである。{溶出時間;(1)のペプチド99.6
25分、(2)のペプチド80.724分及び(3)の
ペプチド32.033分}このようにして得られたAC
E阻害作用を有するペプチドのアミノ酸配列は、アプラ
イドバイオシステム(ABI)社製のプロテインシーク
エンサー477A型を用いて決定された。その結果、3
種類のペプチドは、それぞれ、次式、 (1)Tyr−Asn−Lys−Leu (2)Tyr−Lys−Tyr−Tyr (3)Ala−Ile−Tyr−Lys で示されるL体のアミノ酸配列で表される新規なテトラ
ペプチドであることが確認された。常温における性状は
白色の粉末である。尚、本発明に係る新規なテトラペプ
チドをACE阻害剤として、例えば錠剤に製剤する場合
には、常法に従って、例えば次のように処理すればよ
い:ペプチド10g、乳糖68g、コーンスター
チ39g、ステアリン酸マグネシウム1.2gを原料
とし、先ず、及び20gのコーンスターチを混和
し、11gのコーンスターチから作ったペーストととも
に顆粒化し、この顆粒に9gのコーンスターチととを
加え、得られた混合物を圧縮錠剤機で打錠し、錠剤10
00個を製造する。
【0010】製造例2 本例は、合成法による製造例である。 Tyr−Asn−Lys−Leuの合成法 アプライドバイオシステム社製のペプチド自動合成装置
430A型を用いた固相法によって当該ペプチドを合成
した。固相担体としては、スチレンジビニルベンゼン共
重合体(ポリスチレン樹脂)をクロロメチル化した樹脂
を使用した。まず、当該テトラペプチドのアミノ酸配列
に従って、常法どおり、そのC末端側のロイシンからク
ロロメチル樹脂に反応させペプチド結合樹脂を得た。こ
の時のアミノ酸は、t−ブトキシカルボニル(以下、t
−Bocと略記する。)基で保護されたt−Bocアミ
ノ酸を使用した。次にこのペプチド結合樹脂をエタンジ
チオールとチオアニソールからなる混合液に懸濁し、室
温で10分間撹拌後、氷冷下でトリフルオロ酢酸を加
え、更に10分間撹拌した。この混合液にトリフルオロ
メタンスルホン酸を滴下し、室温で30分間撹拌した
後、無水エーテルを加えてその生成物を沈澱させて分離
し、その沈澱物を無水エーテルで数回洗浄した後、減圧
下で乾燥した。このようにして得られた未精製の合成ペ
プチドは蒸留水又はメタノールに溶解した後、逆相系の
カラムC18(5μm)を用いたHPLCにより精製し
た。移動相として(A)0.1%TFA含有蒸留水、
(B)0.1%TFA含有アセトニトリル溶液を使用
し、(A)液が40分間で83%→53%の濃度勾配法
により流速1.3ml/minでクロマトグラフィーを
行った。紫外部波長218nmで検出し、最大の吸収を
示した溶出画分を分取し、これを凍結乾燥することによ
って目的とする合成ペプチオドを得た。
【0011】この合成ペプチドをマススペクトルにより
分析した結果、アミノ酸配列及びアミノ酸組成が前記で
示したアミノ酸配列構造を有するテトラペプチドである
ことが確認された。このマススペクトルの結果は図4に
示す通りである。 Tyr−Lys−Tyr−Tyrの合成法 アプライドバイオシステム社製のペプチド自動合成装置
430A型を用いた固相法によって当該ペプチドを合成
した。固相担体としては、スチレンジビニルベンゼン共
重合体(ポリスチレン樹脂)をクロロメチル化した樹脂
を使用した。まず、当該テトラペプチドのアミノ酸配列
に従って、常法どおり、そのC末端側のチロシンからク
ロロメチル樹脂に反応させペプチド結合樹脂を得た。こ
の時のアミノ酸は、t−ブトキシカルボニル(以下、t
−Bocと略記する)基で保護されたt−Bocアミノ
酸を使用した。次にこのペプチド結合樹脂をエタンジチ
オールとチオアニソールからなる混合液に懸濁し、室温
で10分間撹拌後、氷冷下でトリフルオロ酢酸を加え、
更に10分間撹拌した。この混合液にトリフルオロメタ
ンスルホン酸を滴下し、室温で30分間撹拌した後、無
水エーテルを加えてその生成物を沈澱させて分離し、そ
の沈澱物を無水エーテルで数回洗浄した後、減圧下で乾
燥した。このようにして得られた未精製の合成ペプチド
は蒸留水又はメタノールに溶解した後、逆相系のカラム
18(5μm)を用いたHPLCにより精製した。移
動相として(A)0.1%TFA含有蒸留水、(B)
0.1%TFA含有アセトニトリル溶液を使用し、
(A)液が40分間で83%→53%の濃度勾配法によ
り流速1.3ml/minでクロマトグラフィーを行っ
た。紫外部波長218nmで検出し、最大の吸収を示し
た溶出画分を分取し、これを凍結乾燥することによって
目的とする合成ペプチオドを得た。この合成ペプチドを
マススペクトルにより分析した結果、アミノ酸配列及び
アミノ酸組成が前記で示したアミノ酸配列構造を有する
テトラペプチドであることが確認された。このマススペ
クトルの結果は図5に示す通りである。 Ala−Ile−Tyr−Lysの合成法 アプライドバイオシステム社製のペプチド自動合成装置
430A型を用いた固相法によって当該ペプチドを合成
した。固相担体としては、スチレンジビニルベンゼン共
重合体(ポリスチレン樹脂)をクロロメチル化した樹脂
を使用した。まず、当該テトラペプチドのアミノ酸配列
に従って、常法どおり、そのC末端側のリシンからクロ
ロメチル樹脂に反応させペプチド結合樹脂を得た。この
時のアミノ酸は、t−ブトキシカルボニル(以下、t−
Bocと略記する)基で保護されたt−Bocアミノ酸
を使用した。次にこのペプチド結合樹脂をエタンジチオ
ールとチオアニソールからなる混合液に懸濁し、室温で
10分間撹拌後、氷冷下でトリフルオロ酢酸を加え、更
に10分間撹拌した。この混合液にトリフルオロメタン
スルホン酸を滴下し、室温で30分間撹拌した後、無水
エーテルを加えてその生成物を沈澱させて分離し、その
沈澱物を無水エーテルで数回洗浄した後、減圧下で乾燥
した。このようにして得られた未精製の合成ペプチドは
蒸留水又はメタノールに溶解した後、逆相系のカラムC
18(5μm)を用いたHPLCにより精製した。移動
相として(A)0.1%TFA含有蒸留水、(B)0.
1%TFA含有アセトニトリル溶液を使用し、(A)液
が40分間で83%→53%の濃度勾配法により流速
1.3ml/minでクロマトグラフィーを行った。紫
外部波長218nmで検出し、最大の吸収を示した溶出
画分を分取し、これを凍結乾燥することによって目的と
する合成ペプチオドを得た。この合成ペプチドをマスス
ペクトルにより分析した結果、アミノ酸配列及びアミノ
酸組成が前記で示したアミノ酸配列構造を有するテトラ
ペプチドであることが確認された。このマススペクトル
の結果は図6に示す通りである。合成によって得られた
本発明の3種類のテトラペプチドは、以下に示す試験に
よって薬理効果が確認された。
【0012】試験例1 (アンジオテンシン変換酵素阻害活性測定法)ACE
(シグマ社製、酵素番号EC3.4.15.1)2.5
mU、合成基質Hippuryl−L−histidy
l−L−leucine(ペプチド研究所製)12.5
mMを用いLiebermanの測定法を改良した山本
等の方法[日胸疾会誌,18巻,297−302頁(1
989年)]に準じて測定した。すなわち、生成した馬
尿酸を酢酸エチルにて抽出し225nmの吸光度で測定
した。被検液での吸光度をEs、被検液の代わりに緩衝
液を加えた時の値をEc、予め反応停止液を加えて反応
させた時の値をEbとして次式から阻害率を求めた。 阻害率(%)=(Ec−Es)/(Ec−Eb)× 1
00 ACE阻害剤の阻害活性IC50値は、ACEの酵素活
性を50%(阻害率)阻害するために必要な試料の濃度
(M)で示した。本発明に係る3種類のテトラペプチド
の牛肺血清のアンジオテンシン変換酵素に対する阻害活
性(IC50値);(1)のテトラペプチド21.0μ
M、(2)のテトラペプチド64.2μM及び(3)の
テトラペプチド213μMである。
【0013】試験例2 (高血圧自然発症ラットへ投与時の降圧効果)実験動物
は日本チャールズ・リバー社より15週齢雄性高血圧自
然発症ラット(以下、SHRと略記する。)を購入し、
1週間の予備飼育後、収縮期血圧が160mmHg以上
(体重280〜330g)の動物6匹1群として用い
た。ラットは、室温23±2℃、湿度55±10%およ
び12時間明暗(午前6時〜午後6時点灯)に調整され
た飼育室でステンレスワイヤー製ラット用個別ゲージに
1匹ずつ収容し飼育した。飼料はオリエンタル酵母社製
MF粉末飼料を、飲水は自家揚水(水道水質基準適合)
をそれぞれ自由に摂取させた。血圧は非観血的尾動脈血
圧測定装置(理研開発社製、PS−100型)を用いt
ail−cuff法により、投与前、投与後1時間、2
時間、3時間、4時間及び6時間のSHR尾動脈の収縮
期血圧値(mmHg)の測定を測定時間毎に5回行い、
得られた測定値の最高値と最低値を棄却し、3回の平均
値をもって各時間の測定値とした。3種類の合成テトラ
ペプチド50mg/kgをSHRに経口投与した時の収
縮期血圧値(mmHg)への作用についての結果は、図
7、図8及び図9に示すとおりである。以上の試験の結
果、本発明に係る3種類のテトラペプチドは、アンジオ
テンシン変換酵素阻害活性を有し、in vivo(生
体内)においても有意な血圧降下作用を示すことが確認
された。従って、本発明に係る3種類のテトラペプチド
は高血圧症の治療又は予防薬として有用である。尚、本
発明に係る3種類のテトラペプチドは、構造的にそのア
ミノ酸配列を部分構造とするペプチドにおいて、構造中
に採用することもできる。
【0014】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るワカメの蛋白質分解液の、製造例
1におけるSephadexG−25カラムクロマトグ
ラフィーによるACE阻害ペプチドの分離精製の結果を
示す図である。尚、図中マーカーとして分子量6千のイ
ンスリン、分子量3,500のインスリンB鎖、分子量
2,500のインスリンA鎖、分子量1,052のブラ
ジキニン及び分子量75のグリシンを用いた。
【図2】本発明に係るワカメの蛋白質分解液の、製造例
1におけるSP−Sephadex C−25(H
カラムクロマトグラフィーによるACE阻害ペプチドの
分離精製の結果を示す図である。
【図3】本発明に係る3種類のテトラペプチドの、製造
例1における逆相HPLCによるACE阻害ペプチドの
分離精製の結果を示す図である。
【図4、図5、図6】本発明に係る3種類のテトラペプ
チドの、製造例2で得られた3種類の合成テトラペプチ
ドのマススペクトルを示す図である。
【図7、図8、図9】製造例2で得られた3種類の合成
テトラペプチド50mg/kgを、それぞれSHRに経
口投与した場合の収縮期血圧値(mmHg)の経時的変
化を示す図である。尚、図中、対照降圧剤としてカプト
プリル(10mg/kg)を、又、コントロールとして
0.9%の生理食塩水3mlを用いた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07K 5/103 C12N 9/99 C12N 9/99 A61K 37/64 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 5/10 - 5/117 C12N 9/99 CA(STN) REGISTRY(STN) WPI(DIALOG) BIOSIS(DIALOG)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式;Tyr−Asn−Lys−L
    eu で示されるL体のアミノ酸の配列によるペプチド構造を
    有する新規なテトラペプチド。
  2. 【請求項2】 次式;Tyr−Asn−Lys−L
    eu で示されるL体のアミノ酸の配列によるペプチド構造を
    有する新規なテトラペプチドを有効成分として含有する
    ことを特徴とするアンジオテンシン変換酵素阻害剤。
  3. 【請求項3】 次式;Tyr−Lys−Tyr−T
    yr で示されるL体のアミノ酸の配列によるペプチド構造を
    有する新規なテトラペプチド。
  4. 【請求項4】 次式;Tyr−Lys−Tyr−T
    yr で示されるL体のアミノ酸の配列によるペプチド構造を
    有する新規なテトラペプチドを有効成分として含有する
    ことを特徴とするアンジオテンシン変換酵素阻害剤。
  5. 【請求項5】 次式;Ala−Ile−Tyr−L
    ys で示されるL体のアミノ酸の配列によるペプチド構造を
    有する新規なテトラペプチド。
  6. 【請求項6】 次式;Ala−Ile−Tyr−L
    ys で示されるL体のアミノ酸の配列によるペプチド構造を
    有する新規なテトラペプチドを有効成分として含有する
    ことを特徴とするアンジオテンシン変換酵素阻害剤。
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Biochem.J.,Vol.167,No.2,p.377−382(1977)

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