JP5416964B2 - 新規トリペプチドおよびそれらトリペプチドの製造法、ならびにアンジオテンシン変換酵素阻害物質の製造方法 - Google Patents

新規トリペプチドおよびそれらトリペプチドの製造法、ならびにアンジオテンシン変換酵素阻害物質の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はアンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害する活性をもち、このことにより、血圧降下作用を示す新規で有用な5種類のトリペプチドに関するものである。本発明の新規なペプチドは、魚肉性タンパク質、特に鰹節を熱水抽出した時の残渣として残る不溶性タンパク質をヒイロタケ(Trametes saguinea)の産生酵素により加水分解して得られる新規トリペプチドであり、アンジオテンシン変換酵素阻害剤及び血圧降下剤の有効成分として利用できる。本発明の新規なトリペプチドは高血圧症の治療または予防に有用であると期待される。
高血圧症は代表的な生活習慣病であり、その患者数は予備軍を含め、5490万人といわれている(厚生労働省:平成18年国民健康・栄養調査結果)。高血圧症は脳出血、クモ膜下出血、脳梗塞、心筋梗塞、狭心症、腎硬化症等種々の合併症を引き起こすことが知れており、高血圧症の発症メカニズムについて様々な研究が行われてきている。
血圧の調節系として、昇圧に関与するレニン・アンジオテンシン系と降圧に関与するカリクレイン・キニン系が重要な役割を果たしている。レニン・アンジオテンシン系では肝臓から分泌されるアンジオシノーゲンが腎臓で生産されるレニンによってアンジオテンシンIとなり、更にアンジオテンシン変換酵素(ACE)によってアンジオテンシンIIに変換される。このアンジオテンシンIIは血管平滑筋を収縮させ、血圧を上昇させる。一方、降圧系のカリクレインはキニノーゲンに作用してブラジキニンを産生する。このブラジキニンには血管を拡張して血圧を下げる効果があるが、ACEにはこのブラジキニンを分解してしまう作用がある。このように、ACEは昇圧ペプチドであるアンジオテンシンIIの産生と降圧ペプチドであるブラジキニンの不活化という二つの作用によって血圧の上昇に関与していることが知られている。
従って、このACEの酵素活性を抑制することにより血圧の上昇を抑制することが可能となる。このACE阻害活性物質として開発されたプロリン誘導体であるカプトプリル(D-2- メチル-3- メルカプトプロパノイルーL-プロリン)やエナラプリル等は高血圧症の治療に広く用いられている。
また、最近では食品素材タンパク質の酵素分解物であるペプチドにACE阻害活性のあることが報告されている。例えば、ゼラチンのコラーギナーゼ分解物(特開昭52−148631)、カゼインのトリプシン分解物(特開昭58−109425、特開昭61−36226および特開昭61−36227)、イワシ筋肉のペプシン分解物(特開平3−11097)、かつお節のサーモライシン分解物(特開平4−144696)、ゴマ蛋白のサーモライシン分解物(特開平8−231588)、κ−カゼインのペプシン等の分解物(特開平8−269088)等多数の報告がなされている。天然物由来のアンギオテンシン変換酵素阻害剤は食品あるいは食品原料から得られるので低毒性で安全性の高い降圧剤となることが期待されるからである。
微生物あるいは種々の食品中にもACE阻害物質が見い出され、降圧剤としての実用化が検討されている(末網邦男、発酵と工業、46巻(No.3)、179〜182頁(1988))。
他方、動物性タンパク質含有原料、特にカツオ節のだし抽出粕(残渣)をヒイロタケ産生酵素で分解し、エキス化してなる酵素分解型調味料が提案されており、この調味料には遊離アミノ酸とペプチドが豊富に含有されるとされる(特開2006−94756号公報)。
ヒイロタケは、広葉樹の枯れ木、倒木に自然に群生する木材腐朽菌の一種である。ヒイロタケは、セルラーゼ、キシラーゼ、ペクチナーゼ、酸性カルボキシペプチダーゼ、酸性プロテイアーゼを産生し、これらの酵素の混合物がヒイロタケ産生酵素である。ヒイロタケ産生酵素の製法は、前記の特開2000−94756号公報に記載され、該公報の参考例1に具体的に説明されてある。
特開昭52−148631号公報 特開昭58−109425号公報 特開昭61−36226号公報 特開昭61−36227号公報 特開平3−11097号公報 特開平4−144696号公報 特開平8−231588号公報 特開平8−269088号公報 特開2006−94756号公報 末網邦男、「発酵と工業」46巻(No.3)、179〜182頁(1988年)
食品素材由来のACE阻害活性を有するペプチドは副作用、毒性等の安全性の点でも問題が少なく、通常の食品として摂取することが可能であることが大きな利点となっている。
しかし、上記報告のペプチドの多くのものは、その構成アミノ酸数が5以上のものである(特開昭52−148631、特開昭58−109425、特開昭61−36226、特開昭61−36227、特開平3−11097、特開平8−269088)。これらアミノ酸残基数の多いペプチドは摂取後にペプシン、トリプシン、キモトリプシン等の消化酵素により分解され易く、それらのACE阻害活性が生体中で消失したり、また、分解されない場合でもその分子構造が大きいために吸収され難いといわれている。
したがって、本発明の課題は、経口摂取したとき消化酵素により分解されにくく、体内でのACE阻害活性が失われにくい、そのままで小腸粘膜吸収可能な、ACE阻害活性を有する新規なトリペプチドを提供することであり、またかかる新規トリペプチドを含有する粉末品を提供することである。
さらに、本発明は上記の新規なトリペプチドを一種以上含有してなるアンジオテンシン変換酵素阻害剤あるいは血圧降下剤あるいは飲食用組成物(飲食料)を提供する。
上記のように、天然有機物および食品由来のアンジオテンシン変換酵素阻害物質は、人体に対する安全性をもつことから重要性が高く、生活習慣病予防のためにも大きな研究課題である。
本発明は、この課題を解決するためになされたものであって、アンジオテンシン変換酵素を有効に阻害することにより、血圧上昇を抑制する新規で安全な物質を、食品素材から見出し、その阻害物質の構造を明らかにするとともに、品質および価格面から適度な濃縮法を開発し、アンジオテンシン変換酵素阻害物質を含む食品素材を提供することを目的とする。
鰹節を熱水抽出した後に残渣として残る水不溶性タンパク質をヒイロタケ産生酵素で加水分解して得られた生成分解物中に、上記問題を解決するペプチドが存在するのではないかと考え、該生成分解物の中にアミノ酸数が3以下でACE阻害活性を有するペプチドが含有されるか、探索を行った。
その結果、下記のアミノ酸配列をもち且つACE阻害活性を有する5種のトリペプチドを、鰹節熱水抽出残渣である水不溶性タンパク質のヒイロタケ産生酵素による加水分解生成物中に見出し、それらトリペプチドを単離することに成功して本発明を完成するに至った。
第1の本発明では、Val−Ile−Pro、Phe−Ile−Tyr、Leu−Pro−Tyr、Phe−Ile−PheまたはLeu−Val−Trpでそれぞれ表されるアミノ酸配列を有するトリペプチドであって、しかもアンジオテンシン変換酵素阻害活性を有するトリペプチドを提供する。
また、本発明は上記トリペプチドを一種以上含有してなる飲食用組成物、アンジオテンシン変換酵素阻害剤および血圧降下剤を提供する。
本発明者らが種々研究を行い、その結果として、鰹タンパク質の中に、アンジオテンシン変換酵素阻害物質の存在が推測され、そして、この鰹節タンパク質中のアンジオテンシン変換酵素阻害物質が、逆相分配系樹脂に吸着される性質のものであることが判ってきた。さらに、この阻害物質が、鰹節を原料とし熱水抽出により得られた不溶性タンパク質残渣をヒイロタケ産生酵素で分解して、疎水性吸着樹脂に吸着させ、含水有機溶媒により溶出することで、高収量に得られ且つ簡単に濃縮することができる結果が得られたこと、そして、得られた阻害物質中の各成分について、クロマトグラフィーを用いて、ACE阻害活性の強い成分を単離し、その成分の阻害活性値(IC50値)の測定および構造解析を行ったところ、この成分がVal−Ile−Pro、Phe−Ile−Tyr、Leu−Pro−Tyr、Phe−Ile−PheまたはLeu−Val−Trpで表されるアミノ酸配列をもち且つアンジオテンシン変換酵素阻害活性をもつトリペプチドであることが判ってきたことによるものである。
上述の目的を達成するための手段として、Val−Ile−Pro、Phe−Ile−Tyr、Leu−Pro−Tyr、Phe−Ile−PheおよびLeu−Val−Trpよりなるアンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドを主体とするアンジオテンシン変換酵素阻害物質を提供し、また、鰹節熱水抽出残渣タンパク質をヒイロタケ産生酵素で分解後、直ちに疎水性吸着樹脂に吸着し、含水有機溶媒で溶出することを特徴とするアンジオテンシン変換酵素阻害物質の製造法を提供するものである。
疎水性吸着樹脂すなわち芳香族系修飾型樹脂(三菱化学製:セパビーズSP207)は、芳香環に臭素を化学的に導入した芳香族系(スチレン−ジビニルベンゼン系)合成吸着剤で、細孔表面の疎水吸着性が強いことから親水性の高い有機物(疎水性が低い物質)に対しても優れた吸着性能を発揮すると思われ、アミノ酸分離精製、タンパク質除去、天然抽出物精製、発酵液前処理等に用いられてよい。
第2の本発明は、Val−Ile−Pro、Phe−Ile−Tyr、Leu−Pro−Tyr、Phe−Ile−PheまたはLeu−Val−Trpで表されるアミノ酸配列をもつトリペプチドまたはその薬理上許容される酸付加塩の少なくとも1つを有効成分として含有するアンジオテンシン変換酵素阻害剤である。
第3の本発明は、Val−Ile−Pro、Phe−Ile−Tyr、Leu−Pro−Tyr、Phe−Ile−PheまたはLeu−Val−Trpで表されるアミノ酸配列をもつトリペプチドまたはその薬理上許容される酸付加塩の少なくとも1つを有効成分として含有する血圧降下剤である。
上記でトリペプチドの酸付加塩とは、製薬上許容される酸(無機酸及び有機酸)との付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素、酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等を包含する。
本発明で用いるトリペプチドは鰹節熱水抽出残渣タンパク質の酵素分解法、有機化学的な合成方法によりアミノ酸を段階的に導入する方法、加水分解酵素の逆反応を利用したペプチド合成法、遺伝子工学的方法等によって製造することができる。
鰹節熱水抽出残渣である水不溶性タンパク質の酵素分解法により前記の新規な5種のトリペプチドを製造する方法について説明する。原料の鰹節タンパク質として、それをさらに精製した熱水抽出不溶性画分を用いる場合について説明する。
作用酵素としてはエンド型プロテアーゼと、カルボキシペプチダーゼを含むヒイロタケ産生酵素を用いることができる。ヒイロタケ産生酵素は高純度(製薬グレード)のものでも、工業用グレードのもの(例えばHP酵素(キリンフードテック社製品))でもよい。基質濃度は反応時に攪拌混合ができる範囲内であればいずれでもよいが、攪拌が容易なタンパク質濃度2〜30%(w/v) の範囲で行うのが好ましい。ヒイロタケ産生酵素の添加量は力価により異なるが通常はタンパク質あたり0.01重量%以上、好ましくは0.1 〜10重量%が適当である。反応のpH、温度は至適pH、至適温度付近を用いればよく、pH2.0〜6.0、好ましくは3.0〜5.0、温度30〜70℃好ましくは40〜60℃が適当である。反応中のpHの調整は必要に応じ水酸化ナトリウム水溶液、塩酸等により行う。
酵素反応時間は酵素の添加量、反応温度、反応pHによって異なるため一定ではないが、通常は0.5〜50時間程度である。
酵素分解反応の停止は、加水分解物の加熱、pHの変化による酵素の失活など公知の方法に従って行うことができる。ついで加水分解液を固液分離(例えば遠心分離、濾過等) し、分離液を限外濾過、ゲル濾過等により分別して例えば分子量が 10000以下の画分を含有する液を得る。この液中には本発明のトリペプチドが含有されており、以下この液またはその濃縮物(例えばスプレードライ) をさらに分別して目的のトリペプチドを得ることが出来る。
本トリペプチドの酸付加塩は常法により製造することができる。例えば本トリペプチド(塩基性アミノ酸残基を含むもの)とそれに対し1当量の適当な酸とを水中で反応させて凍結乾燥することにより得ることができる。
本トリペプチドおよびその酸付加塩はACE阻害作用ひいては血圧降下作用を有しヒトをはじめとする哺乳動物の高血圧症の治療、予防に有効であると期待される。
本トリペプチドおよびその酸付加塩はそのまま、または通常少なくとも1つの製薬補助剤と製薬組成物にして使用する。
本トリペプチドおよびその酸付加塩は非経口的(すなわち、静脈注射、直腸投与等)または経口的に投与し、各投与方法に適した形態に製剤することができる。
注射剤としての製剤形態は、通常滅菌水溶液を包含する。上記形態の製剤はまた緩衝剤pH調節剤(リン酸水素ナトリウム、クエン酸等)、等張化剤(塩化ナトリウム、グルコース等)、保存剤(パラオキシ安息香酸メチル、P-ヒドロキシ安息香酸プロピル等)等の水以外の他の製薬補助剤を含有することができる。該製剤は細菌保持フィルターを通す濾過、組成物への殺菌剤の混入、組成物の照射や加熱によって滅菌することができる。該製剤はまた殺菌固体組成物として製造し、用時滅菌水等に溶解して使用することもできる。
経口投与剤は胃腸器官による吸収に適した形に製剤する。錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、粉末剤は常用の製薬補助剤、例えば結合剤(シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、トラガカント、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース等)、賦形剤(ラクトース、シュガー、コーンスターチ、リン酸カルシウム、ソルビット、グリシン等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ等)、崩壊剤(ポテトスターチ、カルボキシメチルセルロース等)、湿潤剤(ラウリル硫酸ナトリウム等)を包含することができる。錠剤は常法によりコーティングすることができる。経口液剤は水溶液等に、ドライプロダクトにすることができる。そのような経口液剤は常用の添加剤例えば保存剤(p−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピル、ソルビン酸等)を包含していてもよい。
本ACE阻害剤あるいは血圧降下剤中の本トリペプチドまたはその酸付加塩の量は種々かえることができるが、通常5〜100%(w/w) 、特に10〜60%(w/w)が適当である。本ACE阻害剤あるいは血圧降下剤の投与量はヒトに対して投与する場合、有効成分として0.1〜500mg/kg/dayが適当である。
また、本トリペプチドは多量に摂取しても生体に悪影響を与えない利点を有することから、そのまま、または種々の栄養分等を加えて、もしくは飲食品中に含有させて血圧降下作用、高血圧予防の機能をもたせた機能性食品、健康食品として食してもよい。すなわち、例えば各種ビタミン類、ミネラル類等の栄養分を加えて、例えば栄養ドリンク、豆乳、スープ等の液状の食品や各種形状の固形食品、さらには粉末状としてそのままあるいは各種食品へ添加して用いることもできる。機能性食品、健康食品としての本ACE阻害剤あるいは血圧降下剤中の有効成分の含有量、摂取量はそれぞれ上記製薬における含有量、投与量と同様でよい。
前記の新規トリペプチドの有機化学的合成法としては液相法、固相法の2種があり、いずれも常法、例えば泉屋信夫、加藤哲夫、青柳東彦及び脇道典著、「ペプチド合成の基礎と実験」、丸善株式会社、1985、に従って行うことができる。液相法では、例えば、本トリペプチドのC末端に位置すべきアミノ酸であってそのカルボキシル基をベンジル基(Bzl )、t-ブチル基( t-Bu )等で保護したアミノ酸と、該C末端アミノ酸の隣に位置すべきアミノ酸であってそのα−アミノ基をt-ブチルオキシカルボニル基 ( Boc )、ベンジルオキシカルボニル基(Z)等で保護したアミノ酸をジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド等に溶解し、それらをジシクロヘキシルカルボジイミド ( DCC )及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール( HOBT )の存在下通常室温で一夜反応させる。ついで生成物のアミノ保護基を常法によって除去した後のジペプチド誘導体を必要に応じ、アミノ基を保護した第3のアミノ酸と同様に反応させ、アミノ保護基を除去し、必要に応じ同じ手順を繰り返して本トリペプチド誘導体を得る。反応させるアミノ酸がヒドロキシル基、グアニジノ基またはイミダゾリル基を有する場合には、これらの基は一般に上記反応に先立って保護すべきである。アルコール性ヒドロキシル基の保護基はBzl 、t-Bu等、フェノール性ヒドロキシル基の保護基はBzl等、グアニジノ基の保護基はトシル基 ( Tos )等、イミダゾリル基の保護基は Tos等を包含する。最終反応の終了後、すべての保護基を除去して本トリペプチドを得る。これらの保護基の導入及び除去は常法により行うことができる。
他方、固相法に関してはペプチドシンセサイザーを用いる方法が近年広く用いられており、例えばアプライドバイオシステムズ社製の430A型ペプチドシンセサイザーを用いて本トリペプチドを製造することができる。すなわち、基本的には、本トリペプチドのC末端に位置するアミノ酸が結合したフェニルアセトアミドメチル( PAM )樹脂 L-Xaa-O-CH2-PAM( Xaa はアミノ酸残基) ( アプライドバイオシステムズ社から入手し得る) のN側から、Bocでアミノ基を保護したα−アミノ酸(Boc-アミノ酸) をペプチド結合と Bocの除去の繰り返しによって段階的に延長する。Boc-アミノ酸は DCCの使用によるその対称的無水物を中間体として経由する延長反応に付す。上記 Boc-アミノ酸またはL-Xaa-O-CH2-PAM において、反応に関与すべきでない反応性官能基がある場合には一般に適当な保護基によって保護すべきである。430A型ペプチドシンセサイザーを用いる合成系においてはアミノ酸原料に加え以下の試薬及び溶媒を用いる:N,N-ジイソプロピルエチルアミン( TFA中和剤 )、TFA ( Boc切断 )、MeOH (生成尿素系化合物の溶解及び除去) 、HOBT ( 0.5M HOBT/DMF )、DCC( 0.5M DCC/ジクロロメタン( DCM) 、DCM 及び DMF (溶媒) 、中和剤( 70% エタノールアミン、29.5% メタノール) ( 廃液の中和) 。アミノ酸原料及びこれらの試薬及び溶媒は所定の場所に装填する。これらの使用はペプチドシンセサイザーが自動的に行う。反応温度及び時間の調整も自動的に行われるが、反応温度は通常室温である。上記手順によってトリペプチド中の反応性基が保護されたトリペプチド-O-CH2-PAMが得られる。上記固相ペプチド合成の実際の操作はアプライドバイオシステムズ社による430A型ペプチドシンセサイザーユーザーズマニュアルによって行う。
得られた、反応性官能基が保護されたトリペプチド-O-CH2-PAMを常法、例えば前記「ペプチド合成の基礎と実験」または430A型ペプチドシンセサイザーユーザーズマニュアルに記載された方法、例えば、保護基の切断によって生成するカチオンを捕獲するスカベンジャーとしてチオアニソール及び/またはエタンジチオールの存在下 TFAと共のトリフルオロメタンスルホン酸( TFMSA )( TFAはTFMSA の希釈剤) によって処理して、樹脂及び保護基を切断し、それによって目的とするトリペプチドを得る。
本発明トリペプチドは、上記のとおり有機合成によって製造してもよい。けれども、経口摂取する飲食品または医薬品に添加してACE阻害活性を発揮させる目的のためには、鰹節等に由来するタンパク質をヒイロタケ産生酵素で分解しさらには、単離精製して得られるところの、上記5種のトリペプチドの少なくとも一種を含む経口摂取可能な組成物として製造することが好ましい。
原料としては、鰹、鰹荒節、鰹枯節、宗田鰹、宗田鰹節、鰯、鰯節、鯵、鯵節、鯖、鯖節、煮干他雑節等の魚肉、およびそれらの熱水抽出物残渣が使用できる。
ヒイロタケ産生酵素による分解で、本発明のトリペプチドを得る場合、原料となる鰹節タンパク質を、まず前処理として、加熱処理によるアミノ酸、水溶性タンパク質の除去を行うことが好ましい。また、ヒイロタケ産生酵素分解を効率よくするために、原料となる素材は細かく粉砕してから水に攪拌・懸濁することが好ましい。また、得られたタンパク質は難溶性であるが、酵素反応の為に最適なpHになるように塩酸を加え、均一に分散・懸濁・溶解させる。これにタンパク質100gあたり、0.1〜10重量%のヒイロタケ産生酵素を加え、pH3.5〜4.5、温度40〜55℃で0.5〜30時間、攪拌操作を加えながらタンパク質分解を行った後、苛性ソーダでpH6.0〜7.5に調整する。および加熱処理(98℃、15分間)によって、ヒイロタケ産生酵素の活性を失活させる。分解液はバイブスクリーンで未分解タンパク質を除去後、デカンタ、デラバル、超高速遠心分離機(15000回転/分)や濾過処理(セライト濾過:Hyflo Super Cellなど)等で未分解物、沈殿物を除き、得られた濾液を苛性ソーダもしくは塩酸を用いて中和後、濃縮する。さらに香味上の問題、例えば苦味やえぐ味、異臭等の活性炭処理(精製白鷺:キリンフードテック社製品等)を行って改善することもできる。このようにして得られた鰹節ペプチドにはVal−Ile−Pro、Phe−Ile−Tyr、Leu−Pro−Tyr、Phe−Ile−PheおよびLeu−Val−Trpがそれぞれ0.0005重量%から0.5重量%含まれる。
本発明のトリペプチドとして、上記の得られたヒイロタケ産生酵素分解物やこれをさらにハイポーラスポリマー樹脂(疎水性吸着樹脂)やイオン交換樹脂等で処理して高分子のタンパク質や、モノマーなアミノ酸、さらに塩類を除去し、本発明のトリペプチドを豊富に含有する粗精製品を得、これをそのまま用いることが出来る。以下、このような分解物および粗精製物を総称して、トリペプチドを豊富に含有する組成物と呼ぶ。
精製によって本発明のペプチドを得る場合には、上記濃縮物をゲル濾過カラムクロマトグラフィー、イオン交換樹脂やハイポーラスポリマー樹脂を用いたクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等で、ACE阻害活性を有する本発明のペプチド分画を集め、さらに、この活性画分をODSカラム等の逆相カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー等を用いた通常のペプチド精製法で、ほぼ純粋な各ペプチドに精製することができる。なお、本発明のトリペプチドは鰹節および鰹節熱水抽出残渣物に限らず、鰹、鰹熱水抽出残渣物、宗田鰹節、宗田鰹節熱水抽出残渣物、宗田鰹、宗田鰹熱水抽出残渣物他、魚肉タンパク質からも上記に示した方法で得ることができる。トリペプチドまたはそれを豊富に含む組成物のACE阻害活性は、例えば実施例に記載した方法で測定できる。
化学合成によって本発明のペプチドを得る場合には、通常のペプチド合成に用いられる固相法あるいは液相法のいずれの方法でも合成ができる。合成によって得られた本発明のペプチドは逆相高速液体クロマトグラフィー、イオン交換樹脂やハイポーラスポリマー樹脂を用いたクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を用いた通常の精製法で精製することができる。
このようにして得られたトリペプチドまたはそれを豊富に含む組成物のACE阻害作用の比活性は強いことから極めて有用なACE阻害剤として用いることができる。さらに胃腸管からの吸収もよく熱に対しても比較的安定であることから、各種飲食物の形態および医薬品製剤のいずれに応用することも可能である。
したがって、本発明では上記トリペプチドを一種以上添加配合してなるところの、アンジオテンシン変換酵素阻害作用の発揮を期待しうる飲食用組成物(飲食料)が提供される。また、および上記トリペプチドを一種以上含有してなるアンジオテンシン変換酵素阻害剤と血圧降下剤とを提供するものである。
本発明のトリペプチドを飲食品、医薬品等に使用、配合する場合、鰹節熱水抽出残渣タンパク質のヒイロタケ産生酵素による分解物からトリペプチドを十分に精製したものを用いても良く、あるいは化学合成により得られた合成品を用いても良い。しかし、本発明のペプチドは安定且つACE阻害活性が強いので、上記のとおり粗精製品あるいはヒイロタケ産生酵素分解物をそのままトリペプチドを豊富に含む組成物として用いて十分なACE阻害活性を得ることが出来る。
本発明の飲食用組成物(飲食料)は、上記トリペプチドの一種以上を、1回の摂取量として0.001mg〜100mg、好ましくは0.01mg〜20mg添加して製造される。本発明のトリペプチド含有組成物は、取り扱いが容易で安定な固体あるいは粉末であり、水への溶解性もよい。また、胃腸管からの吸収もよい。したがって、食品への添加の時期、及び方法に特別の制限はなく、粉末状、溶液状、懸濁液状等として、食品製造の原料段階、中間工程、最終工程に、食品分野で慣用の方法で添加することが可能である。本発明のトリペプチドを含有する飲食用組成物を、一時的、断続的、継続的または日常的に摂取することにより、アンジオテンシン変換酵素を阻害し、例えば血圧降下作用が可能である。飲食品の形態としては、固形状、半流動状、流動状などを挙げることができる。固形状食品としては、シート状、タブレットやカプセルなどの錠剤、顆粒粉末などの形態の一般食品および健康食品が挙げられる。半流動状食品としては、ペースト状、ゼリー状、ゲル状などの、また、流動状食品としては、ジュース、清涼飲料、茶飲料、ドリンク剤などの形態の一般食品および健康食品が挙げられる。飲食物を栄養ドリンクや調味料として、本発明のトリペプチドを継続して摂取することにより、血圧の上昇を抑制することも可能である。
本発明によるACE阻害剤または降圧剤である形の医薬組成物は、本発明のトリペプチドを、上記飲食用組成物と同様の量で含有する。本発明の医薬組成物は、患者のアンジオテンシン変換酵素を阻害し、例えば血圧降下作用を発揮させるために、高血圧症状の患者に一時的に投与してもよく、あるいは本発明の医薬組成物の有効成分は天然物由来であることから、継続して安全に使用することもできる。本発明の医薬組成物により高血圧を治療または予防することができる。医薬組成物の形態は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、シロップ等の経口投与剤が好ましい。非経口投与用の製剤としては、静脈、動脈、皮下、筋肉を通して投与するため、あるいは鼻腔から吸入するための、無菌の液剤が挙げられる。液剤は、用時溶解できる乾燥固体であってもよい。注射用製剤は有効成分のトリペプチドを生理食塩水に溶解し、通常の無菌操作により注射用製剤に製造することができる。本発明のトリペプチドの一つLeu-Val-TrpのACE阻害活性値(IC50)は、0.14μM(0.06μg/ml)、ACE阻害降圧薬カプトプリルが5×10−3μM(1.1×10−3μg/ml)であることから、約30分の1の薬価(力価)であり、一般にこれまでに報告されているACE阻害ペプチドの力価がカプトプリルの数百分の1から数十万分の1以上(ACE阻害ペプチドの活性値1μg/ml〜1000μg/ml)であることからも、さらにACE阻害作用および降圧作用の効果が期待され得る。
本発明手段においては、原料として鰹節を用い、その熱水抽出処理により、アミノ酸および水溶性タンパク質を除き、不溶性タンパク質残渣を得る。この鰹節熱水抽出残渣タンパク質をヒイロタケ産生酵素により酵素分解処理する。
次いで、この酵素分解後の液を、吸着能力を効率的にする上において有効である、バイブスクリーン、デラバル、シャープレス、セライトろ過処理を行った後に、疎水性吸着樹脂を充填したカラムに負荷し、そのカラム内を流過させることで吸着を行なう。
疎水性吸着樹脂に吸着したアンジオテンシン変換酵素阻害物質は、含水エタノール等の含水有機溶媒を用いて溶出させる。
この溶媒により溶出を行なう際も、吸着させた前述の阻害物質の前記溶媒による溶出を効果的に行わせるために、その溶媒を供給する前に、水の供給により、水に溶解する物質を溶出させる処理を行なうことが有効である。すなわち、酵素分解物水溶液は、カラムの約3〜10倍容量が望ましく、カラムに負荷した後に、次に、水をカラムの約3〜10倍量を通過させる。非吸着画分を全て、溶出させる。さらに、エタノールの10%、25%、50%、99.5%濃度のステップワイズグラジエントを行い、目的の吸着画分を得る。
エタノール溶液により溶出したアンジオテンシン変換酵素阻害物質を含む画分は、その溶出液を、減圧濃縮し、噴霧乾燥(スプレードライ)することで、粉剤の、アンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドを主体とする食品素材の製品が粉末の形態で得られる。
このアンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドを主体とする食品素材は、前述の溶出液を、高速液体クロマトグラフィーを用いて成分の単離を行ない、アセトニトリル・トリフルオロ酢酸でグラジエント溶出することにより、アンジオテンシン変換酵素阻害活性の強い成分に精製・単離された形態のものが得られる。
試験例1
ACE阻害活性測定は次のように行った。すなわち、以上のようにして得た本トリペプチドのACE阻害活性は、Cheung and Cushmanの方法(Biochemical Pharamacology,20,1637(1971))の緩衝液をリン酸緩衝液からホウ酸緩衝液に変えた方法に準じて測定した。
すなわち、ラビットラングアセトンパウダー5gを0.1Mホウ酸ナトリウム緩衝液(pH 8.3 ) 50mlに溶かし、40000G 、40分の条件で遠心分離し、その上清液をさらにハイドロキシアパタイトで精製し、1unit/mg タンパク質のアンジオテンシン変換酵素液を得た。あるいは、ラビットラング由来精製ACE(Sigma社、0.25ユニット)を用いた。
本トリペプチドの各濃度の溶液をそれぞれ試験管に0.030ml入れ、次に上記アンジオテンシン変換酵素液 0.1mlを加え、37℃、5分間反応させる。次に、基質として、ヒプリルヒスチジルロイシン( ペプチド研究所、Bz−Gly−His−Leu・H2O、最終濃度5mM 、NaC1300mM を含む)0.25mlを添加し、37℃で30分間反応させた。その後、IN塩酸0.25mlを添加して反応を停止させた後、1.5 mlの酢酸エチルを加え、ボルテックスミキサーで20秒攪拌した後、遠心分離(3000回転、5分間)を行い、酢酸エチル層1mlを分取した。加熱105℃、30分間(アルミブロック)後、蒸留水3mlに溶解して、酢酸エチル中に抽出された馬尿酸の228nmでの吸収値を測定し、これを酵素活性とした。
阻害率を次の式より算出した。A:阻害剤を含まない場合の228nm吸収値 B:阻害剤添加の場合の228nm吸収値 また阻害率50%のときの本トリペプチドの濃度をIC50値とした。阻害率=[1−(A−a)/(B−b) ] × 100
A:試料添加
a:試料添加、酵素のかわりに緩衝液添加
B:試料のかわりに蒸留水添加
b:試料のかわりに蒸留水添加、酵素のかわりに緩衝液添加
今回、鰹節熱水抽出残渣のヒイロタケ産生酵素分解物中の単離した5トリペプチドのACE阻害活性値を後記の表に示す。
実施例1
(a) ペプチドの調製・精製:
鰹節タンパク質160gに水2000mLを加え、加熱処理(95℃、35分間)後、アミノ酸、水溶性タンパク質を除き、得られた熱水抽出残渣120gに水1200mLを加え、6NHClでpH 4に調整後、ヒイロタケ産生酵素1.0wt%(酵素量:タンパク質当り、キリンフードテック社製品)を添加して、攪拌を行いながら、50℃、17時間反応させた。反応後に苛性ソーダを加えてpHを6.8に調整し、98℃、15分間加熱してヒイロタケ産生酵素を失活させた。その後、未分解タンパク質をバイブスクリーン、デラバル、遠心分離機により除去し、上清をセライトでろ過した。ろ過液をスプレイドライ(噴霧乾燥機にて)してペプチド粉末73gを得た。
このペプチド粉末25gを2500mlの水に溶解し、疎水性クロマトグラフィーに負荷した。
以下に疎水性クロマトグラフィーの実施条件を記す。
カラム:SP-207(50mm ID×255mm L、日本錬水製)
溶出液:0, 10%, 25%, 50%, 99.5%濃度のエタノール溶液のステップワイズグラジエント
流速:16.6ml/min
疎水性吸着樹脂を充填したカラムからの溶出液は、アルコール濃度のステップワイズグラジエントにより5分画し、2500mlずつの5つの画分を分取した。各画分はACE阻害活性を試験例1の方法で測定した結果、上記条件で得られたACE阻害活性画分は10%、25%または50%エタノールでの溶出画分であり、ACE阻害活性値IC50はそれぞれ、0.030mg/ml、0.038 mg/ml、 0.017 mg/mlであった。これらの画分を噴霧乾燥を行い、それぞれ5.3g, 3.4g, 1.8gの各量で白色粉末を得た。水での溶出画分にACE阻害活性は認められなかった。
次に疎水性クロマトグラフィーで得られた50%エタノール溶出画分のACE阻害活性ペプチド50mgを3mlの精製水に溶解し、ODSカートリッジカラムを用いて、さらに分画した。
以下にクロマトグラフィーの実施条件を記す。
カラム:Sep-Pak Plus C-18カラム(Waters)
移動層:0, 10,25, 30, 50, 99.5%エタノール溶液
流速:減圧滴下
上記条件で各エタノール濃度溶液3mlの溶出を行い、活性画分を得た。
画分は減圧下蒸発乾固後、ACE阻害活性測定用試料に供した。その結果、25% エタノール溶出画分には、強いACE阻害活性8.9μg/mlが認められた。凍結乾燥を行い、粉末18.4mg量が得られた。また、水溶出画分、10%,30%,50%エタノールでの溶出画分の活性値(IC50)は、それぞれ64.9, 13.3, 50.7, 86.9μg/mlであり、それの各分画からは粉末はそれぞれ、5.79、6.20,15.80、3.77mgの量で得られた。結果を後記の表1に示す。
Figure 0005416964
25%エタノール溶出液中のACE阻害ペプチド8000μgを100μlの精製水に溶解し、C-18カラムを用いた高速液体クロマトグラフに2000μg/25μl負荷し、ペプチドを分画した。以下にクロマトグラフィーの実施条件を記す。
カラム:Cosmosil 5C-18 ARII(4.6mm ID × 250mm L、ナカライ化学)
移動層:5-35%CH3CN in 0.1%TFA(10-40分)
流速:0.4ml/min
温度:35℃
検出:UV 210nm
上記条件で1分間毎に1フラクションずつ分取した。各フラクションから、減圧下蒸発乾固後、ACE阻害活性測定用試料とし、上記の方法に従い、ACE阻害活性を測定した。その結果、フラクション43、44、46、47、48、49、52、53、55、56中に強いACE阻害活性が認められた。これら10フラクションはそれぞれに凍結乾燥を行い、各々微量のペプチドが得られた。
(a) 上記で得たフラクション43、44中のACE阻害活性ペプチドの精製
フラクショ43、44中の凍結乾燥ペプチドを30μlの精製水に溶解し、ODSカラムを用いた超高速液体クロマトグラフに負荷し、ペプチドを分画した。以下に実施条件を記す。
カラム:Acquity UPLC BEH C18(2.1mm ID ×100mm L、1.7μm)
移動層:5-35%CH3CN in 0.1%TFA(10-40分)
流速:0.2ml/min
温度:40℃
検出:UV 210nm
上記条件で、30秒毎に1フラクションずつ分取した。各フラクションから、減圧下蒸発乾固後、ACE阻害活性測定用試料とし、上記の方法に従い、ACE阻害活性を測定した。その結果、ペプチドのフラクション39,40に強いACE阻害活性が認められた。フラクションはそれぞれ凍結乾燥を行い、微量のペプチドが得られた。フラクション39、40について、アミノ酸分析およびTOF MS解析を行い、各フラクションのペプチドは、Leu−Pro−Tyrのトリペプチドであることが判明した。
(b) 上記で得たフラクション48、49中のACE阻害活性ペプチドの精製
フラクション48、49中の凍結乾燥ペプチドを30μlの精製水に溶解し、ODSカラムを用いた超高速液体クロマトグラフに負荷し、ペプチドを分画した。以下に条件を記す。
カラム:Acquity UPLC BEH C18(2.1mm ID ×100mm L、1.7μm)
移動層:5-35%CH3CN in 0.1%TFA(10-40分)
流速:0.2ml/min
温度:40℃
検出:UV 210nm
上記条件で、30秒毎に1フラクションずつ分取した。各フラクションから、減圧下蒸発乾固後、ACE阻害活性測定用試料とし、上記の方法に従い、ACE阻害活性を測定した。その結果、ペプチドのフラクション57、58に強いACE阻害活性が認められた。フラクションはそれぞれ凍結乾燥を行い、各々、微量のペプチドが得られた。フラクション57、58について、アミノ酸分析およびTOF MS解析を行い、各フラクションのペプチドはVal−Ile−ProのトリペプチドとPhe−Ile−Tyrのトリペプチドであることが判明した。
(c) 上記で得たフラクション52、53中のACE阻害活性ペプチドの精製
フラクション52、53中の凍結乾燥ペプチドを30μlの精製水に溶解し、ODSカラムを用いた超高速液体クロマトグラフに負荷し、ペプチドを分画した。以下に実施条件を記す。
カラム:Acquity UPLC BEH C18(2.1mm ID ×100mm L、1.7μm)
移動層:5-35%CH3CN in 0.1%TFA(10-40分)
流速:0.2ml/min
温度:40℃
検出:UV 210nm
上記条件で、30秒毎に1フラクションずつ分取した。各フラクションから、減圧下蒸発乾固後、ACE阻害活性測定用試料とし、上記の方法に従い、ACE阻害活性を測定した。その結果、ペプチドのフラクション70、71に強いACE阻害活性が認められた。これら2つのフラクションはそれぞれ凍結乾燥を行い、各々、微量のペプチドが得られた。フラクション70、71について、アミノ酸分析およびTOF MS解析を行い、各フラクションのペプチドはLeu−Val−Trpのトリペプチドであることが判明した。
(d) 上記で得たフラクション55、56中のACE阻害活性ペプチドの精製
フラクション55、56中の凍結乾燥ペプチドを30μlの精製水に溶解し、ODSカラムを用いた超高速液体クロマトグラフに負荷し、ペプチドを分画した。以下に実施条件を記す。
カラム:Acquity UPLC BEH C18(2.1mm ID ×100mm L、1.7μm)
移動層:5-35%CH3CN in 0.1%TFA(10-40分)
流速:0.2ml/min
温度:40℃
検出:UV 210nm
上記条件で、30秒毎に1フラクションずつ分取した。各フラクションから、減圧下蒸発乾固後、ACE阻害活性測定用試料とし、上記の方法に従い、ACE阻害活性を測定した。その結果、ペプチドのフラクション86、87に強いACE阻害活性が認められた。これら2つのフラクションはそれぞれ凍結乾燥を行い、各々、微量のペプチドが得られた。フラクション86、87について、アミノ酸分析およびTOF MS解析を行い、各フラクションのペプチドはPhe−Ile−Pheのトリペプチドであることが判明した。
実施例2
合成法によるペプチドの合成:
アプライドバイオシステムズ社のペプチド自動合成機(ABI 430モデル)を使用し、プログラムに従ってC端より逐次BOC法によりペプチド鎖を延長し目的の保護ペプチド樹脂の合成を行った。
樹脂上へのペプチドの構築が終了した後、保護ペプチド樹脂を乾燥した。得られた保護ペプチドの脱保護基とペプチドの樹脂担体からの切り離しは無水フッ化水素処理(HF/p-Creso18:2 v/v,60分)によって行った。得られた粗ペプチドは90%酢酸によって抽出し、凍結乾燥により粉末固体として得た。さらに得られた粗ペプチドをODSカラムを用いた高速液体クロマトグラフに負荷し精製を行い、目的のペプチドを得た。
カラム:YMC-Pack ODS-A(30mm ID × 250mm L、ワイエムシィ)
移動層:Buffer A:5%CH3CN、0.1%TFA
Buffer B:40%CH3CN、0.1%TFA
勾配:0〜10min:0%Buffer B 10〜90min:0〜100 %Buffer B
流速:20ml/min
検出:UV 220nm
精製ペプチドの純度はODSカラムを用いた高速液体クロマトグラフィーで検定した。
カラム:Zorbax 300SB-C18(4.6mm ID × 150mm L、Agilent Technologies)
移動層:Buffer A:1%CH3CN、0.1%TFA
Buffer B:60%CH3CN、0.1%TFA
勾配: 0〜25min:0〜100%Buffer B
流速:1ml/min
検出:UV 220nm
(a) Val−Ile−Proのトリペプチドの合成:
出発アミノ酸樹脂担体はBoc-Pro(BrZ)樹脂(0.5mmol)を使用し、アミノ酸誘導体Boc-Ile、Boc-Valを各2mMを用いてペプチド鎖を伸長した。上記の方法で精製を行い、Val−Ile−Pro精製物を得た。上記の方法で精製物の純度を測定した結果、97.69%であった。
(b) Phe−Ile−Tyrのトリペプチドの合成:
出発アミノ酸樹脂担体はBoc-Tyr(BrZ)樹脂(0.5mmol)を使用し、アミノ酸誘導体Boc-Ile、 Boc-Pheを各2mMを用いてペプチド鎖を伸長した。上記の方法で精製を行い、Phel−Ile−Tyrを精製物を得た。上記の方法で精製物の純度を測定した結果、98.54%であった。
(c) Leu−Pro−Tyrのトリペプチドの合成:
出発アミノ酸樹脂担体はBoc-Tyr(BrZ)樹脂(0.5mmol)を使用し、アミノ酸誘導体Boc-Pro、Boc-Leuを各2mMを用いてペプチド鎖を伸長した。上記の方法で精製を行い、Leu−Pro−Tyrの精製物を得た。上記の方法で精製物の純度を測定した結果、97.95%であった。
(d) Phe−Ile−Pheのトリペプチドの合成:
出発アミノ酸樹脂担体はBoc-Phe(BrZ)樹脂(0.5mmol)を使用し、アミノ酸誘導体Boc-Ile、Boc-Pheを各2mMを用いてペプチド鎖を伸長した。上記の方法で精製を行い、Phe−Ile−Pheの精製物を得た。上記の方法で精製物の純度を測定した結果、96.73%であった。
(e) Leu−Val−Trpのトリペプチドの合成:
出発アミノ酸樹脂担体はBoc-Trp(BrZ)樹脂(0.5mmol)を使用し、アミノ酸誘導体Boc-Val、Boc-Leuを各2mMを用いてペプチド鎖を伸長した。上記の方法で精製を行い、精製物を得た。上記の方法で精製物の純度を測定した結果、96.30%であった。
得られた5種のトリペプチドについて、上記の試験例1の方法に従って、ACE阻害活性を測定し、IC50を求めた。なお、対象として得られた鰹節熱水抽出残渣由来ヒイロタケ産生酵素分解物のACE阻害活性を測定した。その結果を後記の表2に示す。
Figure 0005416964
実施例3
実施例2で得たトリペプチド合成品を用いて、下記の組成のだし飲料を製造した。
(a) 素材および配合量:
鰹節熱水抽出液(めんつゆ)500mlと、実施例2で合成し、単離した5種類の合成トリペプチドの混合品(Val−Ile−Proのトリペプチド230mg、Phe−Ile−Tyrのトリペプチドの215mg、Leu−Pro−Tyrのトリペプチド115mg、Phe−Ile−Pheのトリペプチド55mg、Leu−Val−Trpのトリペプチド75mgを含有した混合物)とを用いた。
(b) 製造方法:
鰹節の熱水抽出(95℃、35分開)後、セライト濾過を行い、そのろ液を常温に冷却した。得られた冷却後の、抽出液に、上記5種のトリペプチドの混合物を加えて攪拌、溶解させた。これによりだし飲料を製造した。
実施例4
(a) 鰹節タンパク質熱水抽出残渣をヒイロタケ産生酵素で分解した反応混合物からのLeu−Val−Trpのトリペプチドの単離・定量
鰹節タンパク質160gに水2000mlを加え、熱水抽出(95℃、35分間)を行った。得られた残渣(不溶性タンパク質)に10倍量加水後、pH4に調整、ヒイロタケ産生酵素分解後、pH6.8に調整し、加熱(98℃、15分間)後、バイブスクリーン、デカンタ、デラバル、シャープレス処理、セライトろ過を行い、減圧濃縮、スプレードライにより、粉末73gを得る。
上記の粉末25gを疎水性クロマトグラフに負荷し、アルコール濃度0、10,25,50,99.5%/250mlのステップワイズグラジエントにより、50%エタノール溶出に高活性な画分を得る。溶出液を固形40%まで減圧濃縮(40℃)後、スプレードライ(入口温度150〜200℃、出口温度50〜90℃)に掛けて、高活性な粉末品を500mg得る。
上記粉末品を原料として用い、これの500mgを配合した機能性食品を得る。その加工食品は、飲料、錠剤、スープ等にも用いられる。
実施例5
Leu−Val−Trpの単離および定量を次のように行った。すなわち、粉末品あるいは、その加工品から、本発明トリペプチドの一つであるLeu−Val−Trpの単離および定量を、以下のように実施した。
Sep-PakC18前処理:
鰹節抽出残渣酵素分解物、およびその加工食品を、それぞれ、25mg、加工食品5g秤量し、Sep-Pak C18カートリッジに負荷し、水溶性画分を除去後、吸着画分を50%エタノール溶液で溶出した液を試料とする。
上記のようにSep-PakC18処理して得られた試料から回収したACE阻害精製ペプチド8000μgを、100μlの精製水に溶解し、C-18カラムを用いた高速液体クロマトグラフに2000μg/25μl負荷し、ペプチドを分画した。以下に条件を記す。
カラム:Cosmosil 5C-18 ARII (4.6mm ID × 250mm L、ナカライ化学製)
移動層:5-35%CH3CN in0.1%TFA(10-40分)
流速:0.4ml/min
温度:35℃
検出:UV 210nm
合成品のLeu−Val−Trpを標品として1μg/μl負荷した。Leu−Val−Trpの溶出時間は、51.50分であった。
上記の条件で得られた画分(1分間隔)フラクション52,53を分取し、減圧乾固後、蒸留水100μlに溶解して、下記のUPLCに供した。
フラクション52,53の減圧乾固後、100μlの精製水に溶解し、20μl をODSカラムを用いた超高速液体クロマトグラフに負荷し、ペプチドを分離した。以下にクロマトグラフィの実施条件を記す。
カラム:Acquity UPLC BEH C18(2.1mm ID ×100mm L、1.7μm)
移動層:5-35%CH3CN in0.1%TFA(10-40分)
流速:0.2ml/min
温度:40℃
検出:UV 210nm
フラクション70,71の画分を分取して、アミノ酸分析、TOF MS解析(Waters)、アミノ酸シーケンサー(Applied Biosystems Procise492cLC)により、上記の分離したペプチドは、Leu−Val−Trpであることが判った。
標準品Leu−Val−Trpを上述と同じ条件下でAcquity UPLC BEH C18に負荷し、ピーク面積を負荷量に対してプロットすることにより、検量線を作成した。
Acquity UPLC BEH C18カラムクロマトグラフィーからのLeu−Val−Trp画分のピーク面積を、この検量線へ適用した。結果、鰹節熱水抽出残渣タンパク質由来ヒイロタケ産生酵素分解物100g中のLeu−Val−Trpのトリペプチドの量は、15mgであった。
実施例6
ACE阻害ペプチドのプラント製造:
鰹節タンパク質21.9kgを95℃、35分間熱水抽出して、可溶性タンパク質5.5kgを出汁(めんつゆ)に使用する。副産物として得た鰹節熱水抽出残渣としての水不溶性タンパク質16.4Kgを原料として用い、これをヒイロタケ産生タンパク質分解酵素により分解した。酵素分解反応混合物を、スクリーン(100メッシュ)、デラバル(3層連続排出遠心分離機)、シャープレス(超遠心分離機15000回転/分)、セライトろ過(ハイフロスーパーセライト:Hyflo Super Cell 0.4%)後、ろ過液を得た。このろ過液をスプレードライ(噴霧乾燥機、入口温度150〜200℃、出口温度90℃以下)することにより、粉末品(10kg)を得ることが出来た。また、この粉末品について、アンジオテンシン変換酵素阻害活性のIC50は65.0μg/mlであった。
上記のろ過液(タンパク質10kg) を600リットルの水に溶解し、疎水性吸着樹脂(セパビーズSP-207、三菱化学)を充填して予め水で平衡化したカラム(φ45cm×150cm)に負荷し、吸着を行なわせ、次に600Lの水で溶出した後、10%、25%、50%、99.5%エタノール液600Lにてステップワイズグラジエント溶出を行った。
ここで用いた疎水性吸着樹脂は、スチレン−ジビニルベンゼン系樹脂を用いたが、逆相分配系樹脂は、オクタデシルシリカ(株式会社ワイエムシー)他、何れの逆相分配系樹脂、疎水性吸着樹脂も使用できる。また、溶出にエタノールを用いたがこれにかぎるものではない。
更に、上記のグラジエント溶出で得られた各溶出画分を減圧濃縮(固形量40%)後、スプレードライ(噴霧乾燥機)して、収量とアンジオテンシン変換酵素阻害活性を測定した。その結果を後記の表3に示す。表3で示されるように、水(0%エタノール)溶出画分、即ち非吸着成分にはアンジオテンシン変換酵素阻害活性は認められなかった。
Figure 0005416964
また、10%、25%、50%エタノール溶出画分に高活性が認められた。このことからアンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドは、疎水性吸着樹脂に吸着する性質を有していると思われる。また、この結果から明らかなように一回の操作によりアンジオテンシン変換酵素阻害活性の高い物質を高収量で得ることができる。その活性本体の単離・精製を行った。また、単離した成分の各トリペプチドのACE阻害活性IC50および構造解析の結果は、前出の表に示したものと同様の結果が得られた。
以上説明したように、本発明によれば、長い食経験から安全性が立証されている食材である鰹節を原料として、ヒイロタケが産生するタンパク質分解酵素との反応により、アンジオテンシン変換酵素阻害活性をもつ新しい5種類のトリペプチドを得ることが出来た。また、酵素分解物を疎水性吸着樹脂に吸着させ、含水有機溶媒で溶出することにより、さらに、高活性なペプチド画分を生産できることも判った。本発明の新規トリペプチドは日常摂取する食品として安全で有効性の高い素材であることが明らかであり、今後の高齢化社会にとって非常に意義の有る食品素材であり、特定保健用食品、機能性食品等への利用が期待される。

Claims (13)

  1. he−Ile−Tyrのアミノ酸配列を有するトリペプチドあって、アンジオテンシン変換酵素阻害活性をもつトリペプチド、あるいはその酸付加塩。
  2. 鰹、鰹荒節、鰹枯節、宗田鰹、又は宗田鰹節熱水で抽出し、その熱水抽出後に残留する水不溶性タンパク質を粉砕し、得られた粉砕物を水分に分散して該水不溶性タンパク質の水分散液を作り、該水分散液中で、分散された水不溶性タンパク質の粒子に、ヒイロタケ産生酵素をpH2.0〜6.0酸性条件下に30〜70℃温度で反応させ、これにより該水不溶性タンパク質の酵素的加水分解を行い、その後、酵素反応を停止させ、そして得られた含水の加水分解反応混合物から水不溶性の粒子を除去し、これにより、水溶性ポリペプチドおよび水溶性アミノ酸を含む水溶液を収得し、該水溶液から逆相クロマトグラフィー法により、al−Ile−ProまたはPhe−Ile−TyrまたはLeu−Pro−TyrまたはPhe−Ile−PheまたはLeu−Val−Trpで表されるアミノ酸配列を有するトリペプチドの少なくとも1つを分離することから成る、リペプチドの製造法。
  3. al−Ile−Pro、Phe−Ile−Tyr、Leu−Pro−TyrたはLeu−Val−Trpでそれぞれ表されるアミノ酸配列を有するトリペプチドまたは該トリペプチドの酸付加塩の少なくとも1つを有効成分として含有するアンジオテンシン変換酵素阻害剤。
  4. 経口投与のための1回の投与単位中0.001mg〜100mgの量で請求項に記載のトリペプチドを含む、請求項3に記載のアンジオテンシン変換酵素阻害剤。
  5. al−Ile−Pro、Phe−Ile−Tyr、Leu−Pro−TyrたはLeu−Val−Trpでそれぞれ表されるアミノ酸配列を有するトリペプチドまたは該トリペプチドの酸付加塩の少なくとも1つを有効成分として含有する血圧降下剤。
  6. 経口投与のための1回の投与単位体中に0.001mg〜100mgの量で請求項に記載のトリペプチドを含む、請求項5に記載の血圧降下剤。
  7. 鰹、鰹荒節、鰹枯節、宗田鰹、又は宗田鰹節熱水で抽出し、その熱水抽出後に熱水抽出残渣として残留する不溶性タンパク質をヒイロタケ産生酵素で加水分解して得られたところの、Val−Ile−Pro、Phe−Ile−Tyr、Leu−Pro−TyrまたはLeu−Val−Trpまたはその酸付加塩の少なくとも1つを含有するアンジオテンシン変換酵素阻害剤。
  8. 鰹、鰹荒節、鰹枯節、宗田鰹、又は宗田鰹節熱水で抽出し、その後に熱水抽出残渣として残留する不溶性タンパク質をヒイロタケ産生酵素で分解して得られたところの、Val−Ile−Pro、Phe−Ile−Tyr、Leu−Pro−TyrまたはLeu−Val−Trpまたはその酸付加塩の少なくとも1つを含有する血圧降下剤。
  9. 鰹節タンパク質を、熱水で抽出し、その熱水抽出後に残る残渣としての不溶性タンパク質をヒイロタケ産生酵素で分解後、得られた酵素加水分解反応混合物から不溶性粒子を除去し、これにより水溶性ペプチドとアミノ酸を含む水溶液を収得し、この水溶液を直ちに疎水性吸着樹脂に吸着させ、その吸着成分を、該樹脂から含水有機溶媒で溶出することを特徴とする、Val−Ile−Pro、Phe−Ile−Tyr、Leu−Pro−Tyr、Phe−Ile−PheおよびLeu−Val−Trpでそれぞれ表されるアミノ酸配列をもつトリペプチドの5種よりなるアンジオテンシン変換酵素阻害物質の製造法。
  10. 鰹節タンパク質を熱水抽出処理して残渣として得られた不溶性なタンパク質を、ヒイロタケ産生酵素により加水分解して、得られた酵素加水分解反応混合物を直ちに疎水性吸着樹脂に負荷し、この疎水性吸着樹脂に吸着した成分を、含水有機溶媒により樹脂から溶出して、その溶出した吸着成分であるトリペプチドを主要成分として含有するアンジオテンシン変換酵素阻害物質を作ることを特徴とする、アンジオテンシン変換酵素阻害物質の製造方法。
  11. 鰹節タンパク質を熱水抽出処理して残渣として得られた不溶性なタンパク質を、ヒイロタケ産生酵素により加水分解し、得られた酵素分解反応混合物を、疎水性吸着樹脂に負荷し、その疎水性吸着樹脂から含水有機溶媒により溶出したVal−Ile−Pro、Phe−Ile−Tyr、Leu−Pro−Tyr、Phe−Ile−PheおよびLeu−Val−Trpでそれぞれ表されるアミノ酸配列をもつトリペプチドの5種を、阻害物質の主要成分として含有するアンジオテンシン変換酵素阻害物質。
  12. 鰹節タンパク質を熱水抽出処理して残渣として得られた不溶性タンパク質を、ヒイロタケ産生酵素により分解して得られた酵素分解反応混合物を、疎水性吸着樹脂に負荷し、含水有機溶媒により溶出させ、その溶出した吸着成分を含む溶出液から、アンジオテンシン変換酵素阻害活性のあるトリペプチドを単離し、精製することを特徴とする、アンジオテンシン変換酵素阻害物質の製造方法。
  13. al−Ile−ProまたはPhe−Ile−TyrまたはLeu−Pro−TyrたはLeu−Val−Trpで表されるアミノ酸配列をもち且つアンジオテンシン変換酵素への阻害活性をもつトリペプチドあるいは該トリペプチドの酸付加塩が配合されてあることを特徴とする、飲食料。
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