JPH10340451A - 磁気ディスクの作製方法及びそれを用いた磁気記録装置 - Google Patents

磁気ディスクの作製方法及びそれを用いた磁気記録装置

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JPH10340451A
JPH10340451A JP14893197A JP14893197A JPH10340451A JP H10340451 A JPH10340451 A JP H10340451A JP 14893197 A JP14893197 A JP 14893197A JP 14893197 A JP14893197 A JP 14893197A JP H10340451 A JPH10340451 A JP H10340451A
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resin
magnetic
film
substrate
magnetic disk
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JP14893197A
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English (en)
Inventor
Fumiyoshi Kirino
文良 桐野
Nobuyuki Inaba
信幸 稲葉
Kyo Akagi
協 赤城
Yoshitsugu Koiso
良嗣 小礒
Masaaki Futamoto
正昭 二本
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Hitachi Ltd
Maxell Holdings Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Hitachi Maxell Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】樹脂を基板に用いた磁気ディスクのヘッドクラ
ッシュやサーマルアスペリティの発生を抑制する。 【解決手段】ディスク基板表面に記録膜形成に先立って
樹脂薄膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高性能でかつ高信頼
性を有する磁気ディスクおよびそれを安価に製造する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の高度情報化社会の進展にはめざま
しいものがあり、各種形態の情報を統合したマルチメデ
ィアが急速に普及してきている。これを支える情報記録
装置の1つに磁気ディスク装置がある。磁気ディスク装
置は、記録密度を向上させつつ小型化が図られている。
それと並行して、ディスク装置の低価格化が急速に進め
られている。現在の磁気ディスク用の基板には、表面に
NiPを形成したAl円板やガラス円板が用いられてい
る。
【0003】しかし、将来の低価格の磁気ディスク用の
基板材として樹脂が有望である。樹脂基板は成型性に優
れ、あらかじめ、ピットなどを形成しておき、そのうえ
に媒体を形成すると、基板の凹凸付近に磁場の不均一な
部分が生じる。この基板上の凹凸をあらかじめ一定のパ
ターンで形成しておき、これを検出することにより、位
置決め信号に代表される各種の信号を得ることができ
る。従来は、完成した磁気ディスクに、一枚一枚サーボ
トラックライターを用いて位置決め信号を記録してお
り、ディスク装置の量産の障害となる場合があった。
【0004】しかし、凹凸をあらかじめ基板に形成して
おくことにより、この課題が解決できることを見出し
た。ここで、磁気ディスクの高密度化を達成するために
は、 1)ディスクと磁気ヘッドとの距離をつめること、 2)媒体の保磁力を増大させること、 3)信号処理方法を工夫すること、 などが必須の技術である。
【0005】先の凹凸を有する基板を用いる場合、上記
1)の項目に対しては不利であった。これは、このよう
な基板上に媒体を形成すると、基板上の凹凸を反映し
て、媒体表面に凹凸を生じるために、ヘッド−媒体間の
距離を一定間隔以下にするには限界があった。これに加
えて、ガラス基板やAl基板と樹脂基板とでは、基板の
有する表面エネルギーが異なる。その結果、形成される
磁性膜が、エピタキシャル成長しないで、異常成長する
結果、表面の凹凸を助長する場合があった。このような
成長がディスクの所々で生じると、ヘッドクラッシュを
防止する上でヘッドと磁気記録膜の間の所要距離はます
ます長くなり、そのために、高密度で、記録再生を行う
ことができない。磁気記録膜の結晶性を制御して形成す
る方法として、特開昭63−187414号をその例として挙げ
ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】樹脂を基板に用いた磁
気ディスクを作製する場合、基板上に形成する磁気記録
媒体の有する内部応力により基板表面にしわがより、基
板から磁気記録媒体が剥離したり、磁気録媒体の表面に
凹凸が生じて磁気ヘッドが安定に浮上できないばかり
か、ヘッドクラッシュを生じるために、安定に記録再生
ができない場合があり、信頼性の低下をきたすために、
実用化の障害になっていた。
【0007】さらに、樹脂基板は帯電しやすいので、基
板に帯電した静電気により成膜装置内に存在するスパッ
タのフレイク等を吸着するために、作製したディスク表
面に凹凸を形成するので、ヘッドクラッシュを生じる場
合があり、安定した記録や再生ができない場合があっ
た。このようなフレイクの存在により、結晶成長する際
に、形成する膜が異常成長を起こすために、媒体表面の
凹凸がさらに助長される。これに加えて、基板表面を鏡
面仕上げすることが困難で、凹凸が形成されているの
で、異常成長を助長することが考えられる。その結果と
して、この磁気記録媒体を用いて、記録再生を行うと、
サーマルアスペリティやヘッドクラッシュを生じるため
に、安定した記録再生を行うことができなかった。
【0008】これを回避するために、磁気ヘッドと磁気
記録媒体との距離を離すと、記録密度の低下をきたし
た。このように、樹脂基板上に磁気記録媒体を形成する
と、薄膜が異常成長をするので、性能の劣化や信頼性の
低下をきたしていた。上記の公知例では、樹脂基板に固
有な課題については、開示されていなかった。
【0009】そこで、本発明の第1の目的は、磁気記録
媒体が有する内部応力を吸収するために樹脂層を設ける
ことにより、安定した記録再生が行える高信頼性を有す
る磁気ディスクを提供することにある。
【0010】さらに、本発明の第2の目的は、樹脂基板
表面に磁気記録媒体を形成する場合に、装置内のスパッ
タのフレイク等の異物が基板表面に付着するために生じ
るヘッドクラッシュを抑制し、安定した記録再生を行え
る高信頼性の磁気ディスクを提供することにある。
【0011】さらに本発明の第3の目的は、媒体表面
(磁気ヘッドの接触面)の平坦性に優れた磁気ディスク
基板を提供することにより、媒体とヘッド間の距離(ヘ
ッド浮上量)を小さくできるので、高密度記録が可能に
なる。その結果、高性能な磁気記録装置を提供すること
が可能になる。
【0012】そして、本発明の第4の目的は、媒体表面
を平坦化することにより、ヘッドクラッシュやサーマル
アスペリティを抑制できるので、高信頼性を有する磁気
ディスク装置を提供することにある。
【0013】さらに、本発明の第5の目的は、樹脂基板
上に樹脂を設けることにより、樹脂基板を介して浸入し
てくる水などの腐食成分が磁気記録媒体を腐食するのを
防止し、磁気ディスクの情報保存寿命を伸ばす一方、エ
ラーの発生を抑制して高信頼性の磁気ディスクを提供す
ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を実現するた
めに、本発明においては少なくとも樹脂基板と情報を記
録する金属の磁気記録膜とからなる磁気ディスクの作製
において、樹脂基板上に樹脂の薄膜を形成した後に、磁
気記録媒体を作製する。樹脂の薄膜を形成することによ
り、基板上に形成した磁気記録媒体の有する内部応力を
この樹脂層が吸収することができるので、基板表面が媒
体の応力により凹凸を生じることがないので、安定した
記録再生ができる。
【0015】この樹脂の薄膜に導電性を有する材料を用
いると、表面の帯電を抑制でき、静電気によるごみなど
の異物の付着を防止できる。
【0016】また、樹脂基板上に異物が付着していて
も、樹脂層中に取り込まれるので、成膜時の障害にはな
らない。樹脂膜の形成を樹脂基板の表面に直接行い、基
板表面の凹凸を反映させる必要がある。磁気ディスク表
面の凹凸を反映していないと、ディスク上のヘッドの位
置決めのための信号を検出することができなくなるから
である。
【0017】ところで、この導電膜を形成した後に、該
樹脂基板表面に設けた磁気記録媒体層の表面の凹凸は、
膜面に垂直方向に5nm p-p以下、凹凸の周期が1μm以
上に抑制することが好ましい。そして、この樹脂膜上に
形成する磁気記録媒体の構造は、配向性制御層,磁性
膜,保護膜の3つの部分をこの順序に樹脂層上に順次形
成したものである。
【0018】このように形成した磁気記録媒体におい
て、樹脂層に樹脂基板からの腐食成分が磁気記録媒体中
に拡散するのを防ぐ役割も持たせることができる。例え
ば基板上に形成した樹脂層において、基板側あるいはそ
の反対側に樹脂を構成する化学構造の中で親油基を配向
させることによりこれを実現できる。この樹脂層に用い
る材料として、エポキシ系樹脂,熱硬化性樹脂,紫外線
硬化型樹脂の内より選ばれる少なくとも1種類の材料を
用いる。
【0019】この層を樹脂基板と磁気記録媒体との間に
設けることにより、基板と磁気記録媒体との接着強度を
高めることができる。
【0020】この樹脂層を凹凸を有する樹脂基板上に形
成するのに、樹脂の粘度を制御することにより、該樹脂
表面が樹脂基板の凹凸を反映した表面とすることが必要
である。
【0021】この樹脂層の上に形成する記録媒体とし
て、最も好ましいのは、配向性制御膜,磁気記録膜,保
護膜の3つの層からなるものである。前記の配向性制御
層として、Crを主体とする合金を用い、Crに固溶
し、かつ、Crとイオン半径の異なる金属元素を添加
し、さらに優位には、その添加する元素がTi,Ta,
Mo,W,Al,V,Zr,Nb,Ni,Mnの内より
選ばれる少なくとも1種類の元素であることが好まし
い。これらの元素を添加するのは、格子面間隔を磁性膜
のCoに近い値にすることにより、磁性層の配向性を制
御し、良好な磁気特性を得るためである。
【0022】さらに、この配向性制御層として、1層も
しくは2層から構成され、段階的に格子面間隔を変化さ
せ、最も記録膜に近い層の格子面間隔が磁性膜の格子面
間隔に最も近い値となるように合金組成を制御し、さら
に優位には、格子面間隔の変化が、10%以内であるよ
うに変化させたことが最も好ましい。
【0023】磁気記録用の磁性膜として、Coを主体と
し、これに、Ta,Pt,Cr,Ti,Ni,Nbの内
より選ばれる少なくとも2種類あるいは3種類の元素を
含み、さらに優位には、該磁性膜がX線的に結晶質であ
ることが好ましい。そして、結晶粒子は、Coを主体と
する粒子からなる。この他に、磁気記録用の磁性膜とし
て、Coを主体とし、これに、窒化シリコン,窒化アル
ミニウム,酸化シリコン,酸化アルミニウム,窒化チタ
ンの内より選ばれる少なくとも1種類の化合物を分散さ
せた材料を用いても良い。この粒子分散型の材料にT
a,Pt,Cr,Ti,Ni,Nbの内より選ばれる少
なくとも2種類あるいは3種類の元素を含ませても良
い。
【0024】最後に、保護膜として、C,WC,Ti
C,TaC,NbCの内より選ばれる少なくとも1種類
の化合物を用いることが好ましい。この上に、潤滑剤な
どの材料を塗布しても良い。これら導電性膜及び磁気記
録媒体の作製は、樹脂基板の軟化温度以下で行う必要が
ある。
【0025】磁気記録膜の作製において、成膜時に、磁
気ディスク基板に対して、バイアス電圧を印加して作製
しても良い。樹脂基板上に磁気記録媒体の作製を行うス
パッタリング法として、マイクロ波,高周波、あるい
は、直流の内より選ばれる少なくとも1種類のエネルギ
ーにより、放電ガスを加速し、さらに優位には該放電ガ
スがAr,He,Kr,Xe,Neの内より選ばれる少
なくとも1種類の元素を用いてスパッタして作製しても
良い。これは、基板加熱以外の方法でプラズマ粒子のエ
ネルギーを制御することにより、ディスク基板上に磁性
膜をエピタキシャル成長させることができ、樹脂基板に
とって有効な成膜方法である。
【0026】そして、このようにして作製した磁気ディ
スク円板を用いて、少なくとも磁気ディスク円板,磁気
ヘッド、あるいは電気回路からなる磁気ディスク装置を
構成しても良い。
【0027】
【発明の実施の形態】
(実施例1)作製した磁気ディスクの断面構造を示す模
式図を図1に示す。まず、磁気ディスク用の樹脂基板と
して、アモルファスポリオレフィン(APO)基板を用
いた場合である。ディスクのサイズは、直径3.5″ 、
基板表面には凹凸のピットが形成されている。このピッ
トの存在の有無は本発明により得られる効果には変化を
生じない。成膜に先立って、基板を70℃で3時間、真
空中でベーキングした。これは、樹脂中に含まれる水分
や空気を除去することにより、基板上に形成される膜の
諸特性が安定に得られるようになる。ベーキングしたA
PO基板1上に、樹脂薄膜層2として、アクリル系の紫
外線硬化型樹脂を用いた。
【0028】樹脂層の作製にはスピン塗布法を用いた。
また、樹脂の粘度は、小さければ小さいほど好適であ
り、スピンナーの回転数,塗布時の温度との組み合わせ
により膜厚を最適化できる。樹脂層の膜厚は、形成する
樹脂基板の表面の凹凸が反映されていれば良いが、10
0nm以下が好ましい。また、樹脂に導電性を付与する
ために、有機電解質物質を添加した。無機の電解質を添
加しなかったのは、これらの物質は磁気記録膜を腐食す
る可能性があるからである。
【0029】また、樹脂のモノマーの末端基(重合に寄
与しない部分)もしくは側鎖に親油基を設けた。塗布し
た後に、水銀ランプを用いて樹脂を硬化させた。その場
合、塗布した基板ごと真空槽に入れて真空排気した後に
行った。このようにすると、樹脂中に存在する空気成分
が除去できる。
【0030】次に、磁気記録媒体の作製方法について説
明する。樹脂膜2上に、下地膜3として、Cr膜を30
nmの膜厚に形成した。ターゲットにCrを、放電ガス
に純Arガスを使用した。また、スパッタの条件は、投
入RF電力密度が1000W/150mmφ,放電ガス圧
力が30mTorrである。次に、磁性膜の配向性制御膜4
として、Cr80Ti20合金膜を25nmの膜厚に形成し
た。ターゲットにCr80Ti20合金を、放電ガスに純A
rガスを使用した。スパッタの条件は、投入RF電力密
度が1000W/150mmφ,放電ガス圧力が30mTo
rrであり、下地膜3から磁性膜5まで同一条件で作製し
た。その上に、磁性膜5としてCo69Cr19Pt12合金
膜を20nmの膜厚に形成した。ここで、スパッタ中は
基板を80℃に加熱した。この温度は、基板の軟化温度
により決定されるものであり、基板の材質が変われば変
化するので絶対的な値ではない。ターゲットにCo69
19Pt12合金を、放電ガスに純Arガスを使用した。
最後に、保護膜6として、C膜を10nmの膜厚に形成
した。スパッタの条件は、投入RF電力密度が1000
W/150mmφ,放電ガス圧力が30mTorrである。
【0031】このようにして作製した磁気ディスク上に
潤滑剤(図示せず)を塗布した後に、磁性膜の磁気的な
特性及びディスクの特性を評価した。
【0032】まず、作製した磁性膜の磁気特性は、保磁
力が2.5kOe,Isvが2.5×10-16emu ,M
−Hヒステリシスにおけるヒステリシスの角型性の指標
のSが0.8,S†が0.9であり、良好な磁気特性を有
していた。また、X線回折によると、Coの(210)
面が強く配向していることがわかる。また、下地膜3及
び配向性制御膜4のない磁気記録媒体では、保磁力が
1.5kOe と著しく小さく、配向性もCoの(21
0)面の優先配向性が下地膜を有するディスクより低下
していた。このディスクのS/Nを評価したところ、3
8dBであった。このS/Nは、記録面密度:3GB/
inch2 に相当する信号を記録した場合である。
【0033】このディスクの欠陥レートを測定したとこ
ろ、信号処理を行わない場合の値で、2×10-7以下で
あった。これに対して、本発明の樹脂膜を用いないで作
製したディスクの欠陥レートは6×10-6と1桁以上大
きかった。このように、記録できない部分は、微小な異
物が付着していることがSEM観察より明らかになっ
た。また、この効果は、樹脂基板の他にガラスのような
導電性を有していない基板に対して有効であり、特に帯
電しやすい樹脂基板に対して最も効果が大きい。
【0034】上記樹脂層を設けないで作製したディスク
と設けたディスクとの間には、記録,再生特性の違いは
見られなかった。しかし、磁気ヘッドの浮上量を30n
mにしてディスクを回転させたところ、本発明のディス
クは3600rpm で1000時間以上回転させてもヘッ
ドクラッシュを生じることなく、安定に記録再生を行う
ことができたが、本発明を用いないで作製したディスク
では、5〜20時間でヘッドクラッシュが発生した。
【0035】この原因をSEM観察により調べたとこ
ろ、樹脂層2が磁気記録媒体の有する内部応力を吸収し
たため、基板表面は平坦であった。これに対して、樹脂
基板上に直接磁気記録媒体を形成した場合は、基板表面
に凹凸や静電気により付着した異物によりクラッシュが
生じたと考えられる。特に、50nm以下の微少な異物
は帯電しており、それが、樹脂基板表面に発生した静電
気により吸着したと考えられる。これに対して本実施例
のように導電性の樹脂層を設けることにより、常に大地
と同じ電位になっているために、基板が帯電されるのを
抑制できるので、静電気による異物の基板への吸着を抑
制できる。
【0036】この吸着抑制作用以外に、この層には、構
造中に親油基を有しており、樹脂基板表面に塗布する
と、この親油基が基板と化学吸着するので基板側に親油
基が配向させることができる。その結果、基板を介して
浸入してくる水や、その水がキャリアとなって運んでく
る樹脂基板中に残留している重合開始剤等の腐食成分を
遮断する効果が得られる。
【0037】(実施例2)作製した磁気ディスクの断面
構造は、実施例1と同様であり、その模式図を図1に示
す。まず、磁気ディスク用の樹脂基板として、アモルフ
ァスポリオレフィン(APO)基板を用いた。サイズ
は、直径3.5″、基板表面には凹凸部が存在してい
る。成膜に先立って、基板を70℃で3時間、真空中で
ベーキングした。これは、樹脂中に含まれる水分を除去
することにより、基板上に形成される膜の諸特性を安定
化させることができる。
【0038】本実施例では、媒体の形成にマイクロ波を
用いたECRスパッタ法を用いた。これは、基板上に形
成する第1層目をECRスパッタ法を用いると、基板の
表面の凹凸状態によらずに、平坦な膜が得られるからで
ある。
【0039】まず、成形したAPO基板1上に、樹脂膜
層2として、エポキシ樹脂を溶剤中に溶かしたものを用
いた。
【0040】有機電解質成分の添加及び構造中に親油基
を形成した点は、実施例1と同様である。塗布した後
に、基板全体を真空中で60℃でベーキングして樹脂を
硬化させた。これに引き続き、下地膜3として、Cr膜
を30nmの膜厚に形成した。ターゲットにCrを、放
電ガスに純Arガスを使用した。また、スパッタの条件
は、投入マイクロ波の電力密度が1000W/150mm
φ,放電ガス圧力が30mTorrである。次に、磁性膜の
配向性制御膜4として、Cr80Ti20合金膜を25nm
の膜厚に形成した。ターゲットにCr80Ti20合金を、
放電ガスに純Arガスを使用した。投入マイクロ波電力
密度(周波数:2.45GHz)は1000W/150mmφ、
放電ガス圧力は30mTorrであり、下地膜3から磁性膜
5までを同一条件で作製した。
【0041】その上に、磁性膜5としてCo69Cr19
12合金膜を20nmの膜厚に形成した。ここで、スパ
ッタ中は基板を80℃に加熱した。この温度は、基板の
軟化温度により決定されるものであり、基板の材質や成
型方法が異なれば変化するものであり、絶対的なもので
はない。ターゲットにCo69Cr19Pt12合金を、放電
ガスに純Arガスを使用した。
【0042】最後に、保護膜6として、C膜を10nm
の膜厚に形成した。スパッタの条件は、投入マイクロ波
電力密度(周波数:2.45GHz)は1000W/15
0mmφ、放電ガス圧力は30mTorrである。このように
して作製した磁気ディスク基板上に潤滑剤を塗布した。
【0043】このディスクの断面をSEMにより観察し
たところ、基板表面の凹凸には関係なく磁性層を形成し
た後の膜の表面がほぼ平坦になっていた。
【0044】本実施例では、磁性層及び保護層をECR
スパッタ法により作製したが、磁性層を形成した時点で
十分な平坦性が確保できたので、保護層はRFスパッタ
法により作製しても良い。
【0045】まず、作製した磁性膜の磁気特性は、保磁
力が2.5kOe ,熱安定性を表す指標であるIsvが
2.5×10-16emu,角形比の指標であるSが0.8
,S†が0.9 であり、良好である。X線回折による
と、Coの(210)面が強く配向している。また、下
地膜3及び配向性制御膜4のない磁気記録媒体では、保
磁力が1.5kOe と著しく小さかった。このディスク
のS/Nを評価したところ、38dBであった。
【0046】上記の磁気ディスクを実施例1と同様のデ
ィスクドライブにセットして、評価したところ、実施例
1の場合とほぼ同様で、35nmまで磁気ヘッドを下げ
ても、ヘッドクラッシュを生じることなく、1000時
間以上安定に記録再生できた。この例は、導電性薄膜の
膜厚が30nmの場合であるが、この膜厚を3nm,5
nm,50nm,55nmと変化させてディスクを作製
した。その結果、3nmの膜厚の場合は、樹脂基板と大
きな違いは見られなかった。そして、ディスクの記録再
生特性を評価したところ、10時間程度でヘッドクラッ
シュし、記録再生できなくなった。これらのディスクを
評価したところ、上記膜厚を5nmとしたものはヘッド
クラッシュまでの時間に改善効果が見られた。
【0047】このようにして作製した磁気ディスクの断
面をSEMにより観察したところ、導電膜層を有してい
ない磁気ディスク基板の表面にはスパッタのフレーク等
の異物が付着していることを見出した。これに対して、
本発明を用いて作製した磁気ディスクではこのような異
物はほとんど観察されなかった。このように、本発明に
は樹脂基板表面に異物が付着するのを抑制する効果があ
ることがわかる。さらに、この効果に加えて、マイクロ
波を用いたスパッタ法を用いて成膜することにより、基
板の表面形態を反映することなく形成される膜が平坦化
されるので、磁気ヘッドが安定して飛行できるので、高
信頼性の記録再生を行うことができる。
【0048】
【発明の効果】本発明を用いると、基板にかかる磁気記
録媒体の内部応力を吸収できるので、媒体表面の凹凸を
確保できるので、ヘッドクラッシュやサーマルアスペリ
ティを抑制できるので高信頼性を確保できる。また、樹
脂などの非導電性基板が帯電するのを防止できるので、
静電気による異物の付着が抑制できる。その結果、ディ
スクに記録できない欠陥領域の低減やヘッドクラッシュ
の発生を抑制できる。さらに、これら異物を核とした磁
性膜の異常成長や基板の表面形状を反映した凹凸が形成
されるのを抑制できる。
【0049】また、磁気ヘッドと磁気記録媒体間の距離
をガラスやAlの基板等と同様の40nm以下の浮上量
が得られるので、高密度磁気記録が可能な記録媒体を安
価に供給できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の磁気ディスクの構造を示す
断面図。
【符号の説明】
1…樹脂基板、2…樹脂薄膜層、3…下地膜、4…配向
性制御膜、5…磁性膜、6…保護膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤城 協 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 小礒 良嗣 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 二本 正昭 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも樹脂基板と情報を記録する金属
    の磁気記録膜とからなる磁気ディスクの作製において、
    樹脂基板上に樹脂の薄膜を形成した後に、磁気記録媒体
    を作製したことを特徴とする磁気ディスクの作製方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の樹脂の薄膜を形成すること
    により、基板上に形成した磁気記録媒体の有する内部応
    力を吸収したことを特徴とする磁気ディスクの作製方
    法。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2記載の樹脂の薄膜
    が導電性であることを特徴とする磁気ディスクの作製方
    法。
  4. 【請求項4】請求項1から請求項3のいずれか記載の樹
    脂膜の形成を樹脂基板の表面に直接行い、基板表面の凹
    凸を反映させたことを特徴とする磁気ディスクの作製方
    法。
  5. 【請求項5】請求項1から請求項4のいずれか記載の樹
    脂膜を形成した後に、該樹脂基板表面に設けた磁気記録
    媒体層の表面の凹凸を膜面に垂直方向に5nm p-p以下で
    あり、凹凸の周期が1μm以上に抑制したことを特徴と
    する磁気ディスクの作製方法。
  6. 【請求項6】請求項1から請求項4のいずれか記載の樹
    脂層を表面に形成した樹脂基板上に、磁気記録媒体の構
    造が配向性制御層,磁性膜,保護膜の3つの部分からな
    り、この順序に該樹脂基板上に樹脂層を介して順次形成
    したことを特徴とする磁気ディスクの作製方法。
  7. 【請求項7】請求項1から請求項6のいずれか記載の樹
    脂層に樹脂基板からの腐食成分の磁気記録媒体中への拡
    散を防止する役割を持たせたことを特徴とする磁気ディ
    スクの作製方法。
  8. 【請求項8】請求項7記載の基板上に形成した樹脂層に
    おいて、基板側あるいはその反対側に樹脂を構成する化
    学構造の中で親油基を配向させたことを特徴とする磁気
    ディスクの作製方法。
  9. 【請求項9】請求項1から8のいずれか記載の樹脂層に
    用いる材料として、エポキシ系樹脂,熱硬化性樹脂,紫
    外線硬化型樹脂の内より選ばれる少なくとも1種類の材
    料を用いたことを特徴とする磁気ディスクの作製方法。
  10. 【請求項10】請求項1から請求項9のいずれか記載の
    樹脂層を凹凸を有する樹脂基板上に形成するのに、樹脂
    層の粘度を制御することにより、該樹脂表面が樹脂基板
    の凹凸を反映した表面としたことを特徴とする磁気ディ
    スクの作製方法。
  11. 【請求項11】請求項1から請求項10のいずれか記載
    の樹脂層を樹脂基板と磁気記録媒体との間に形成するこ
    とにより、基板と磁気記録媒体との接着強度を樹脂基板
    に直接樹脂層を形成した場合より高めたことを特徴とす
    る磁気ディスクの作製方法。
  12. 【請求項12】請求項1から請求項11のいずれか記載
    の樹脂層を形成するのに、樹脂の粘度を制御したことを
    特徴とする磁気ディスクの作製方法。
  13. 【請求項13】請求項6記載の配向性制御層として、C
    rを主体とする合金を用い、Crに固溶し、かつ、Cr
    とイオン半径の異なる金属元素を添加し、さらに優位に
    は、その添加する元素がTi,Ta,Mo,W,Al,
    V,Zr,Nb,Ni,Mnの内より選ばれる少なくと
    も1種類の元素であることを特徴とする磁気ディスクの
    作製方法。
  14. 【請求項14】請求項6記載の配向性制御層として、1
    層もしくは2層から構成され、段階的に格子面間隔を変
    化させ、最も記録膜に近い層の格子面間隔が磁性膜の格
    子面間隔に最も近い値となるように合金組成を制御し、
    さらに優位には、格子面間隔の変化が、10%以内であ
    るように変化させたことを特徴とする磁気ディスクの作
    製方法。
  15. 【請求項15】請求項6に記載の磁気記録用の磁性膜と
    して、Coを主体とし、これに、Ta,Pt,Cr,T
    i,Ni,Nbの内より選ばれる少なくとも2種類ある
    いは3種類の元素を含み、さらに優位には、該磁性膜が
    X線的に結晶質であることを特徴とする磁気ディスクの
    作製方法。
  16. 【請求項16】請求項6に記載の磁気記録用の磁性膜と
    して、Coを主体とし、これに、窒化シリコン,窒化ア
    ルミニウム,酸化シリコン,酸化アルミニウム,窒化チ
    タンの内より選ばれる少なくとも1種類の化合物を分散
    させたことを特徴とする磁気ディスクの作製方法。
  17. 【請求項17】請求項6に記載の保護膜として、C,W
    C,TiC,TaC,NbCの内より選ばれる少なくと
    も1種類の化合物を用いたことを特徴とする磁気ディス
    クの製造方法。
  18. 【請求項18】請求項1から請求項17のいずれか記載
    の磁気ディスクの作製を樹脂基板の軟化温度以下で行っ
    たことを特徴とする磁気ディスクの作製方法。
  19. 【請求項19】請求項15または請求項16に記載の磁
    気記録用の磁性膜を作製するのに、成膜時に、磁気ディ
    スク基板に対して、バイアス電圧を印加して作製したこ
    とを特徴とする磁気ディスクの作製方法。
  20. 【請求項20】樹脂基板上に磁気記録媒体の作製を行う
    スパッタリング法として、マイクロ波,高周波、あるい
    は、直流の内より選ばれる少なくとも1種類のエネルギ
    ーにより、放電ガスを加速し、さらに優位には該放電ガ
    スがAr,He,Kr,Xe,Neの内より選ばれる少
    なくとも1種類の元素を用いてスパッタして作製したこ
    とを特徴とする磁気ディスク。
  21. 【請求項21】少なくとも磁気ディスク円板,磁気ヘッ
    ド、あるいは電気回路からなる磁気ディスク装置におい
    て、該磁気ディスク円板として請求項1から請求項20
    のいずれか記載の磁気ディスクを用いて構成したことを
    特徴とする磁気ディスク装置。
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