JPH1139633A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH1139633A
JPH1139633A JP18955797A JP18955797A JPH1139633A JP H1139633 A JPH1139633 A JP H1139633A JP 18955797 A JP18955797 A JP 18955797A JP 18955797 A JP18955797 A JP 18955797A JP H1139633 A JPH1139633 A JP H1139633A
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Japan
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magnetic
magnetic recording
film
resin substrate
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Application number
JP18955797A
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English (en)
Inventor
Fumiyoshi Kirino
文良 桐野
Nobuyuki Inaba
信幸 稲葉
Kyo Akagi
協 赤城
Yoshitsugu Koiso
良嗣 小礒
Masaaki Futamoto
正昭 二本
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Hitachi Ltd
Maxell Holdings Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Hitachi Maxell Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面に凹凸を有する樹脂基板を用い、サーボ
トラックライターを用いることなく磁気ヘッドの位置決
め信号として利用できる不均一磁場を発生することがで
きるとともに、表面が平坦で磁気ヘッド浮上量を小さく
することができる磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 凹凸ピット12を有する樹脂基板11上
に、表面エネルギーがガラス基板と等しい腐食成分遮断
層13を形成した後、配向性制御層15及び磁性膜16
を形成する。磁性膜16の形成は、Arイオンなどのイ
オンビームを照射しながら、あるいはマイクロ波を用い
たECRスパッタ法により形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大量の情報を迅速
かつ正確に格納するための情報記憶装置に係り、特に高
性能でかつ高信頼性を有する磁気記録装置、その磁気記
憶装置に用いられる磁気記憶媒体及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年の高度情報化社会の進展にはめざま
しいものがあり、各種形態の情報を統合したマルチメデ
ィアが急速に普及してきている。これを支える情報記録
装置の1つに磁気記憶装置がある。磁気記憶装置は、情
報記録媒体として磁気記録媒体を用い、記録密度を向上
させつつ小型化が図られている。それと並行して、磁気
記憶装置の低価格化が急速に進められている。
【0003】現在の磁気記録媒体用の基板には、表面に
NiPを形成したAl円板やガラス円板が用いられてい
る。しかし、将来の低価格の磁気記録媒体用の基板材と
しては樹脂が有望である。樹脂基板は成型性に優れ、予
めピットなどの凹凸を形成しておき、その上に磁気記録
用の磁性膜を形成すると、基板の凹凸付近に磁場の不均
一な部分が生じる。この基板上の凹凸を予め一定のパタ
ーンで形成しておき、その凹凸に起因して生じる磁場を
検出することにより、位置決め信号に代表される各種の
信号を得ることができる。
【0004】従来は、完成した磁気記録媒体に、一枚一
枚サーボトラックライターを用いて位置決め信号を記録
しており、この位置決め信号の記録工程が磁気記憶装置
を量産する際の障害となる場合があった。しかし、基板
として樹脂基板を用い、予め基板に凹凸を形成しておく
ことにより、この問題を解決することができる。
【0005】ここで、磁気記録媒体の高密度化を達成す
るためには、(1)磁気記録媒体と磁気ヘッドとの距離
をつめること、(2)媒体の保磁力を増大させること、
(3)信号処理方法を工夫することなどが必須の技術で
ある。前記した凹凸を有する樹脂基板を用いる場合、先
の高密度化技術の中の(1)の項目に対しては不利であ
った。これは、このような基板上に媒体を形成すると、
基板上の凹凸を反映して、媒体表面に凹凸を生じるため
に、ヘッド−媒体間の距離を短くするには限界があるた
めである。
【0006】これに加えて、ガラス基板やAl基板と樹
脂基板とでは、基板の有する表面エネルギーが異なる。
その結果、樹脂基板上に形成される磁性膜が、エピタキ
シャル成長しないで、異常成長した結果、表面の凹凸を
助長する場合があった。このような異常成長が磁気記録
媒体の所々で生じると、ヘッドと磁気記録膜の間の距離
を長くしなければならない。もし高密度記録のために磁
気記録媒体と磁気ヘッドとの距離を詰めると、ヘッドク
ラッシュを生じてしまい、安定して記録再生を行うこと
ができない。なお、磁気記録膜の結晶性を制御して形成
する従来の方法としては、特開昭63−187414号
公報がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】表面に予め凹凸を形成
した樹脂基板上に、下地膜を介してCo系磁性膜を形成
すると、磁性膜表面には基板表面の形状を反映した凹凸
が生じる。さらに、樹脂とガラスやAlとの材質の違い
に起因する基板表面の濡れ性の違いにより、形成される
膜のモフォロジーが異なる場合があった。特に、樹脂基
板上に成膜すると、結晶成長する際に、形成される膜が
異常成長を起こすために、磁性膜表面の凹凸がさらに助
長される。この濡れ性の違いは、樹脂基板とガラス基板
やAl基板とでは表面エネルギーが異なることに起因す
る。これに加えて、基板表面を鏡面仕上げすることが困
難で、凹凸が形成されているので、異常成長を助長する
ことが考えられる。その結果として、この磁気記録媒体
を用いて記録再生を行うと、サーマルアスペリティやヘ
ッドクラッシュを生じるために、安定した記録再生を行
うことができなかった。
【0008】これを回避するために、磁気ヘッドの浮上
量を大きくして磁気ヘッドと磁気記録媒体との距離を離
すと、記録密度の低下をきたしてしまう。このように、
樹脂基板上に磁気記録用の磁性膜を形成すると、磁性膜
が異常成長することにより、磁気記録媒体の性能の劣化
や信頼性の低下をきたしていた。上記の公知例には、樹
脂基板に固有のこのような課題については記載されてい
ない。
【0009】本発明は、このような従来技術の問題点に
鑑みてなされたもので、表面に凹凸を有する樹脂基板を
用い、サーボトラックライターを用いることなく磁気ヘ
ッドの位置決め信号として利用できる不均一磁場を発生
することができるとともに、表面(磁気ヘッドの接触
面)が平坦で磁気ヘッドとの距離(ヘッド浮上量)を小
さくすることができる磁気記録媒体を提供することを目
的とする。
【0010】また、本発明は、表面に凹凸を有する樹脂
基板上に、その樹脂基板の表面凹凸を反映した位置決め
用の不均一磁場を発生することができ、かつ表面平坦性
に優れた磁性膜を成膜して、磁気記録媒体を製造する方
法を提供することを目的とする。
【0011】また、本発明は、前記磁気記録媒体を組み
込むことでヘッドクラッシュやサーマルアスペリティを
抑制して、高信頼性を有し、かつ高密度記録が可能な高
性能な磁気記憶装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
には、表面に凹凸を有する樹脂基板の上に情報記録用の
磁性膜を成膜した磁気記録媒体において、磁性膜の下面
形状を樹脂基板の凹凸を反映した凹凸形状とするととも
に、磁性膜の表面、特に磁気記録媒体の最表面の凹凸を
樹脂基板の表面凹凸の大小に関わらず、基板垂直方向に
5nmp−p以下、基板面に水平な方向の周期が1μm
以上になるようにすればよい。本発明は、そのような磁
性膜の成膜方法を確立することにより完成されたもので
ある。
【0013】すなわち、本発明による磁気記録媒体は、
表面に凹凸を有する樹脂基板と、その上に形成された磁
性膜とを含み、磁性膜の樹脂基板に近い側の面は樹脂基
板表面の凹凸を反映した凹凸形状を有し、磁気記録媒体
の最表面は凹凸の垂直方向段差が5nm以下、水平方向
周期が1μm以上の平坦な形状を有することを特徴とす
る。
【0014】また、本発明による磁気記録媒体は、表面
に凹凸を有する樹脂基板と、その上に形成された磁性膜
とを含み、磁性膜の樹脂基板に近い側の面は樹脂基板表
面の凹凸を反映した凹凸形状を有し、磁性膜の樹脂基板
から遠い側の面は凹凸の垂直方向段差が5nm以下、水
平方向周期が1μm以上の平坦な形状を有することを特
徴とする。
【0015】そして、本発明による磁気記録媒体は、サ
ーボトラックライターを用いて位置決め信号を記録しな
くとも、樹脂基板の表面凹凸に倣った磁性膜底面の凹凸
形状に起因して、位置決め信号として利用される不均一
磁場を発生することができるものである。磁気記録媒体
は、樹脂基板上に腐食成分遮断層と、配向性制御層と、
磁性膜と、保護膜とが、この順序で形成されていること
が好ましい。
【0016】腐食成分遮断層は非晶質材料からなり、樹
脂基板からの腐食成分が磁性膜中に拡散するのを防ぐと
ともに、その表面エネルギーがガラス基板の表面エネル
ギーと略等しいことが好ましい。腐食成分遮断層は、窒
化シリコン、窒化アルミニウム、酸化シリコン、酸化ア
ルミニウム、窒化チタン、酸化クロムのうちより選ばれ
る少なくとも1種類の化合物から構成することができ
る。
【0017】配向性制御層は、CrにTi,Ta,M
o,W,Al,V,Zr,Nb,Ni,Mnのうちより
選ばれる少なくとも1種類の元素を添加した格子面間隔
がCrより大きく磁性膜より小さい1層の合金層、又は
Cr層とCrにTi,Ta,Mo,W,Al,V,Z
r,Nb,Ni,Mnのうちより選ばれる少なくとも1
種類の元素を添加した格子面間隔がCrより大きく磁性
膜より小さい合金層との2層からなり、隣接する層との
格子面間隔の変化が10%以内であることが好ましい。
【0018】例えば、配向性制御層としてCrTi合金
層を用い、配向性制御層とその下の腐食成分遮断層との
格子面間隔の変化が10%以内となり、配向性制御層と
その上の磁性膜との格子面間隔の変化が10%以内とな
るように配向性制御層の合金組成を定める。また例え
ば、配向性制御層として、純Crを第1層とし、CrT
iを第2層とする2層膜を用いて段階的に格子面間隔を
変化させ、第1層の配向性制御層とその下の腐食成分遮
断層との格子面間隔の変化、第1層の配向性制御層と第
2層の配向性制御層との格子面間隔の変化、第2層の配
向性制御層とその上の磁性膜との格子面間隔の変化が全
て10%以内となるように配向性制御層の合金組成を決
定する。
【0019】磁気記録用の磁性膜は、Coを主体とし、
これに非磁性の金属元素であるTa,Pt,Cr,T
i,Ni,Nbのうちより選ばれる少なくとも2種類の
元素を含むX線的に結晶質の膜であることが好ましい。
このような膜の例として、CoCrPt,CoCrT
a,CoCrNb,CoCrPtTa,CoCrPtN
b,CoCrPtNi,CoCrPtTi等をあげるこ
とができる。SEMにより磁性膜の結晶組織を観察する
とき、Coの結晶粒子が物理的に孤立した構造を有する
ことにより磁気的結合を切断している場合と、結晶粒子
の粒界に添加した前記非磁性金属元素が偏析して結晶粒
子間の磁気的結合を切断している場合とがあるが、得ら
れる磁気的効果は同じである。
【0020】また、磁性膜は、Coを主体とし、これに
窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化シリコン、酸化
アルミニウム、窒化チタン等の無機化合物のうちより選
ばれる少なくとも1種類の化合物を分散させたものとす
ることもできる。こられの無機化合物は、Co円板上に
無機化合物ペレットを均一に配置して同時スパッタした
り、異なるソース源より同時にスパッタして混合する等
の方法によってCo中に分散させることができ、これら
の無機化合物を分散させることにより前記非磁性の金属
元素を分散させたのと同様の効果が得られる。
【0021】保護膜としては、C,WC,TiC,Ta
C,NbCのうちより選ばれる少なくとも1種類の化合
物を用いることができる。前記した磁気記録媒体を製造
するには、磁性膜をスパッタ法で成膜する時にスパッタ
粒子が凸部に被着するのを抑制すればよい。
【0022】すなわち、本発明による磁気記録媒体の製
造方法は、表面に凹凸を有する樹脂基板と、その上に形
成された磁性膜とを含み、磁性膜の樹脂基板に近い側の
面は樹脂基板表面の凹凸を反映した凹凸形状を有し、最
表面は凹凸の垂直方向段差が5nm以下、水平方向周期
が1μm以上の平坦な形状を有する磁気記録媒体の製造
方法であって、磁性膜はスパッタ粒子が凸部に被着する
のを抑制しながらスパッタ法により成膜することを特徴
とする。
【0023】また、本発明による磁気記録媒体の製造方
法は、表面に凹凸を有する樹脂基板と、その上に形成さ
れた磁性膜とを含み、磁性膜の前記樹脂基板に近い側の
面は樹脂基板表面の凹凸を反映した凹凸形状を有し、磁
性膜の前記樹脂基板から遠い側の面は凹凸の垂直方向段
差が5nm以下、水平方向周期が1μm以上の平坦な形
状を有する磁気記録媒体の製造方法であって、磁性膜は
スパッタ粒子が凸部に被着するのを抑制しながらスパッ
タ法により成膜することを特徴とする。
【0024】スパッタ法としては、マイクロ波を用いた
ECRスパッタ法、RF高周波を用いたRFスパッタ
法、あるいは直流スパッタ法のいずれも用いることがで
きる。スパッタリングの放電ガスとしては、Ar,H
e,Kr,Xe,Neのうちより選ばれる少なくとも1
種類のガスを用いるのが好ましい。
【0025】磁性膜の成膜時にスパッタ粒子が凸部に被
着するのを抑制するための方法としては、スパッタと同
時にAr,He,Kr,Xe,Neのうちより選ばれる
少なくとも1種類の元素をイオンガンによりイオン化し
て照射する方法を採用することができる。このときのス
パッタ法は、RFスパッタ法あるいは直流スパッタ法が
好ましい。このとき、基板の導電性が十分でないと、チ
ャージアップしてしまい、イオン照射の効果を十分に発
揮することができないので、ニュートライザから基板に
蓄積した電荷と逆極性の電荷を有するイオンビームを照
射して基板に蓄積したチャージを中和してもよい。イオ
ン化して照射する元素を希ガスとしたのは、希ガスは磁
性膜と反応することがなく、たとえ磁性膜中に残留した
としても磁性膜の磁気特性に悪影響を与えることが著し
く小さいからである。
【0026】また、磁性膜の成膜時にスパッタ粒子が凸
部に被着するのを抑制するための方法としては、磁性膜
の表面凹凸の凸部に電荷が集中した状態を作り、凸部で
はミリングが加速され、凹部ではミリング速度が減速さ
れることにより表面形状を平坦にする方法を採用するこ
とができる。磁性膜の成膜時にスパッタ粒子が凸部に被
着するのを抑制するための方法として、磁性膜をECR
スパッタ法を用いて成膜する方法を採用することもでき
る。
【0027】樹脂基板上への成膜は樹脂基板の軟化温度
以下の温度で行う必要がある。なお、スパッタ法による
磁性膜の成膜のときに、基板に例えば100〜200V
程度のバイアス電圧を印加すると、樹脂基板を軟化温度
より高い温度に加熱したのと同様の効果を得ることがで
きる。
【0028】本発明による磁気記憶装置は、磁気記録媒
体と、磁気記録媒体を記録方向に駆動する駆動手段と、
記録部と再生部とを備える磁気ヘッドと、磁気ヘッドを
磁気記録媒体に対して相対運動させる手段と、記録再生
信号処理手段とを含む磁気記憶装置において、磁気記録
媒体として前記のような表面が平坦で裏面が樹脂基板の
凹凸を反映した凹凸形状を有する磁性膜を有する磁気記
録媒体を用い、磁気ヘッドを磁気記録媒体に対して位置
決めするための位置決め信号を磁気記録媒体の磁性膜の
凹凸形状に起因して生じる不均一磁場から得ることを特
徴とする。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。 〔実施の形態1〕図1は、本実施の形態で作製した磁気
記録媒体の断面構造を示す模式図である。磁気記録媒体
用の基板として、アモルファスポリオレフィン(AP
O)樹脂基板11を用いた。APO基板11のサイズは
直径3.5インチであり、基板表面にはスタンパ法によ
って長さ1〜2μm、幅0.5μm、深さ80nmの凹
凸ピット12が形成されている。APO基板11上に
は、腐食成分遮断層13,配向性制御層15,磁性膜1
6,保護膜17がそれぞれRFスパッタ法によって積層
して成膜されている。
【0030】図2は、本実施の形態で用いたRFスパッ
タ装置の概略図である。スパッタターゲット21は電磁
コイル22の作る磁場中に配置され、周波数13.56
MHzの高周波電源23に接続されている。基板24は
ターゲット21に対向して配置され、ターゲット21か
ら飛来するスパッタ粒子26が基板24の表面に堆積し
て膜を形成する。また、このRFスパッタ装置はイオン
ガン27を備え、基板24に向けてイオンビーム28を
照射することができるようになっている。RFスパッタ
装置にバイアス電源25を備え、基板24にバイアス電
源15から100〜200Vの直流電圧を印加してもよ
い。また、イオン照射により基板24がチャージアップ
するような場合には、基板24の表面にニュートライザ
30から負に帯電したイオンビーム29を照射して電荷
を中和するようにしてもよい。
【0031】次に、磁気記録媒体の作製方法について説
明する。成膜に先立って、表面に凹凸ピット12が形成
されたAPO基板11を70℃で3時間、真空中でベー
キングした。これは、樹脂基板11中に含まれる水分を
除去し、樹脂基板11上に形成される膜の諸特性を安定
化するためである。
【0032】ベーキングしたAPO基板11上に、腐食
成分遮断層13として、窒化シリコン層をRFスパッタ
法により作製した。このとき、ターゲットには純Siを
使用し、放電ガスにはAr/N2 混合ガス(混合比:9
0/10)を使用した。投入RF電力密度は1000W
/150mmφ、放電ガス圧力は10mTorrであ
る。腐食成分遮断層13の膜厚は30nmである。この
膜の結晶構造をX線回折法により調べたところ、2Θ=
44°付近に非常にブロードなピークが観測されただけ
であり、この膜はX線的には非晶質であることがわか
る。
【0033】窒化シリコン層は、Si34をターゲット
に用いて成膜する方法もあるが、この方法より、上述の
ようにSiをターゲットに用いて反応性スパッタ法によ
り成膜する方が、膜の内部応力がストレスフリーに近
く、かつ、欠陥密度が小さいので好ましい。
【0034】腐食成分遮断層13は、樹脂基板11を介
して侵入してくる水や、その水がキャリアとなって運ん
でくる樹脂基板11中に残留している重合開始剤等の腐
食成分を遮断する作用をする。また、この腐食成分遮断
層13の表面エネルギーを、表面の濡れ角を測定するこ
とにより評価したところ、ガラスの表面の濡れ角と同じ
であった。
【0035】次に、ターゲットにCrを使用し、放電ガ
スに純Arガスを使用したRFスパッタ法により、磁性
膜の配向性制御層15の第1層として、Cr膜を30n
mの膜厚に形成した。スパッタの条件は、投入RF電力
密度が1000W/150mmφ、放電ガス圧力が30
mTorrである。次に、配向性制御層15の第2層と
して、Cr80Ti20合金膜を25nmの膜厚に形成し
た。Cr80Ti20合金膜は、ターゲットにCr80Ti20
合金を用い、放電ガスに純Arガスを用いたRFスパッ
タ法により形成した。スパッタの条件は、投入RF電力
密度が1000W/150mmφ、放電ガス圧力が30
mTorrであり、第1層と同一条件で成膜した。
【0036】その上に、磁性膜16としてCo69Cr19
Pt12合金膜を20nmの膜厚に形成した。スパッタ中
は基板を、APO樹脂基板の軟化温度より低い80℃に
加熱した。ターゲットにはCo69Cr19Pt12合金を使
用し、放電ガスには純Arガスを使用した。磁性膜16
のスパッタと同時に、イオンガン27からArイオンを
500Vの電圧で加速して基板表面に照射した。
【0037】最後に、保護膜17として、カーボン膜を
10nmの膜厚に形成した。スパッタの条件は、投入R
F電力密度が1000W/150mmφ、放電ガス圧力
が30mTorrである。
【0038】このようにして作製した磁気記録媒体の断
面をSEMにより観察したところ、Arイオンを照射し
ながら磁性膜を成膜した磁気記録媒体では、APO基板
11の表面凹凸12には関係なく磁性膜16の表面は、
凹凸の垂直方向段差が3〜4nm程度、水平方向周期が
2〜3μm程度と、ほぼ平坦になっていた。一方、磁性
膜の底面は、APO基板11の表面凹凸12の上方では
凹凸の垂直方向段差が40〜50nm程度、ヘッドの走
行方向に沿った水平方向周期が1〜2μm程度と、AP
O基板11の凹凸形状に倣った凹凸形状を有していた。
【0039】このように、Arイオンの照射により基板
11の表面凹凸形状に関係なく磁性膜16の表面が平坦
になるのは、図3に略示するように、イオンビーム28
の電荷が凹凸の凸部31に集中し、スパッタ粒子26が
破線27で示すように再スパッタされて凸部31が集中
的にエッチングされ、また、凹部32は逆にエッチング
を受けにくいためと考えられる。
【0040】ここでは、腐食成分遮断層13として窒化
シリコンを用いたが、窒化シリコンの以外にも、酸化ク
ロム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化マグ
ネシウム等の化合物を用いても同様の効果が得られる。
【0041】このようにして作製した磁気記録媒体上に
潤滑剤を塗布した後に、図4に示す磁気記憶装置に組み
込んでその特性を評価した。磁気記憶装置は、図4
(a)に平面模式図を、図4(b)に断面模式図を示す
ように、磁気記録媒体41と、これを回転駆動する駆動
部42と、磁気ヘッド43及びその駆動手段44と、磁
気ヘッド43に接続された記録再生信号処理手段45を
有して成る周知の構成の磁気記憶装置である。磁気記録
媒体41には、その半径方向に基板上の凹凸を反映した
サーボパターン領域46がある。記録再生信号処理手段
45は、磁気記録媒体41のサーボパターン領域46上
の磁性膜の凹凸形状に起因して生じる不均一磁場を検出
し、その検出信号を用いて磁気ヘッド43の位置決め信
号を発生する。
【0042】図5は、樹脂基板11に形成された凹凸ピ
ット12の形状を反映した下面形状を有する磁性膜から
発生される漏洩磁束の様子を模式的に示したものであ
る。図5に示すように、磁性膜16の下面に凹凸が存在
すると、磁性膜16表面の漏洩磁束48,49に揺らぎ
が生じる。この揺らぎは磁性膜16の凹凸のエッジ部分
に形成されるため、それを磁気ヘッド43で検出するこ
とで位置決め用のサーボ信号を発生することができる。
この磁性膜16の下面に凹凸を形成するために基板11
に凹凸ピット12を予め形成しておくわけである。その
上に磁性膜16を形成すると、基板11の凹凸12を反
映して磁性膜16に凹凸が生じる。ここに予め記録して
おく信号は、位置決め信号に限らず、ユーザデータ等を
予め記録しておいてもよい。
【0043】作製された磁気記録媒体の磁性膜16の磁
気特性は、保磁力が2.5kOe、熱安定性を表す指標
であるIsvが2.5×10-16 emu、角形比の指標
であるM−HヒステリシスにおけるSが0.8、S†が
0.9であり、良好な磁気特性を有していた。また、X
線回折によると、Coの(210)面が強く配向してい
た。
【0044】比較のために、配向性制御層15の無い磁
気記録媒体を作製した。磁性膜16の成膜の際には、イ
オンガン27からArイオンを500Vの電圧で加速し
て基板表面に照射した。こうして作製された磁気記録媒
体は、保磁力が1.5kOeと著しく小さく、配向性も
Coの(210)面の優先配向性が配向性制御層15を
有する磁気記録媒体より低下していた。
【0045】また、ガラスとAPOとでは濡れ角が異な
っているために、APO基板11の表面に直接配向性制
御層15を成膜すると、配向性制御膜15及び磁性膜1
6が異常成長する部分が存在することが考えられる。実
際に、腐食成分遮断層13を設けずに、APO基板11
上に配向性制御層15及び磁性膜16などを成膜して磁
気記録媒体を作製したところ、磁気記録媒体表面の凹凸
が大きくなり、基板表面に凹凸が存在していない平坦な
部分の上方でも磁性膜表面には垂直方向に平均で50n
mp−pの凹凸が存在しており、その水平方向の周期も
100nmであった。この磁気記録媒体に潤滑剤を塗布
し、磁気記憶装置として組み立てて動作させたところ、
動作とほぼ同時にヘッドクラッシュを生じ、記録や再生
ができなくなった。
【0046】このような異常成長の現象は、ガラス基板
を用いた場合には見られないものである。APO基板を
用いて、腐食成分遮断層を設けることなく、直接磁性膜
を成膜した場合に磁性膜に異常成長が生じるのは、基板
表面の濡れ角がガラス基板と異なるためである。この場
合には、磁性膜の成膜時にイオンガン27からArイオ
ンビーム28を照射しても、イオン照射の効果は十分に
発揮できなかった。
【0047】さらに、比較例として表面に長さ1μm、
幅0.5μm、深さ80nmの長円形ピットを1μm周
期で規則的に配置したAPO基板11に、磁性膜16の
成膜時にArイオン照射を行わないこと以外は同一の条
件で、腐食成分遮断層13、配向性制御層15、磁性膜
16を順に成膜した磁気記録媒体を作製した。この比較
例の磁気記録媒体は、APO基板11の平坦部の上方で
は異常成長が見られなかったが、APO基板11の凹凸
部の上方では垂直方向に平均で150nmp−pの凹凸
が存在しており、その水平方向の周期も50nmであ
り、1Gb/in2 以上の高密度記録に適した磁気記録
媒体ではなかった。
【0048】磁性膜16の成膜時にArイオンを照射し
ながら成膜した本実施の形態による磁気記録媒体と、磁
性膜の成膜時にArイオンを照射をしなかった比較例の
磁気記録媒体との信頼性比較を行った。ここでは、直径
3.5インチのディスク状の磁気記録媒体を用い、これ
を3600rpmで回転させた。磁気ヘッドには記録再
生分離型のヘッドを用い、薄膜磁気ヘッドを用いて記録
を行い、記録されたデータを磁気抵抗効果型(MR)ヘ
ッドを用いて再生した。記録ヘッドに用いた軟磁性材料
のBsは1.8Tである。
【0049】その結果、本実施の形態の磁気記録媒体
は、ヘッド−媒体間の距離40nm(浮上量)で、クラ
ッシュを生じること無く安定した記録再生を行うことが
できた。この磁気記録媒体のS/Nを評価したところ、
38dBであった。位置決め信号は、セクタ毎にユーザ
データとユーザデータの間に設けた基板上のピットに起
因して磁性膜から発生される不均一磁場から検出した信
号を原信号と比較して再生したところ、±0.5μm以
下の位置決め精度を達成することができ、磁気信号で記
録したサーボパターンで位置決めを行う場合と同等以上
の精度を有していた。また、位置決め信号のS/N比は
35dBであり、特に問題はなかった。このように、予
め磁性膜の底面の凹凸として磁気記録媒体にサーボ信号
を記録しておくことにより、サーボトラックライタを使
用しなくとも、それと同等以上のサーボ信号を得ること
ができた。
【0050】一方、比較例の磁気記録媒体では、ヘッド
−媒体間の距離(磁気ヘッドの浮上量)を40nmまで
下げると、ただちにヘッドクラッシュを生じるために、
記録再生を行うことができなかった。磁気ヘッドの浮上
量を60nmにすると、クラッシュを生じる場合は減少
するが、記録媒体に磁気ヘッドが瞬間的に触れるために
サーマルアスペリティが発生して、安定した記録再生を
行うことができなかった。また、100時間ディスクを
回転させると再生ができなくなり、十分な信頼性を有し
ているとはいえなかった。結局、比較例の磁気記録媒体
を安定に記録再生できる磁気ヘッドの浮上量としては、
100nm以上必要であった。そのため、本実施の形態
の磁気記録媒体と比較して、安定した記録再生ができる
浮上量では、記録密度に大きな違いが見られた。さら
に、比較例の磁気記録媒体をテープクリーニングしてみ
たが、目だった効果は見られなかった。
【0051】〔実施の形態2〕図1断面構造を模式的に
示す磁気記録媒体を作製した。磁気記録媒体用の基板と
して、APO基板11を用いた。APO基板11のサイ
ズは直径3.5インチであり、基板表面にはスタンパ法
によって長さ1〜2μm、幅0.5μm、深さ80nm
の凹凸ピット12が形成されている。APO基板11上
には、腐食成分遮断層13、配向性制御層15,磁性膜
16,保護膜17が順に成膜されている。腐食成分遮断
層13、配向性制御層15はRFスパッタ法によって成
膜し、磁性膜16及び保護膜17はECRスパッタ法に
よって成膜した。
【0052】図6は、本実施の形態で用いたECRスパ
ッタ装置の概略図である。導波管51によって導かれた
周波数2.45GHzのマイクロ波は電磁コイル52の
作る磁場中で放電ガス(Arガス)をサイクロトロン共
鳴によって電離し、Arプラズマ53を生成する。Ar
プラズマ53は筒状ターゲット54をスパッタし、スパ
ッタ粒子は基板55の表面に堆積して膜を形成する。基
板55には、バイアス電源から100〜200Vの直流
バイアス電圧を印加するようにしてもよい。
【0053】次に、磁気記録媒体の製造方法について説
明する。成膜に先立って、表面に凹凸ピット12が形成
された樹脂基板11を70℃で3時間、真空中でベーキ
ングした。これは、樹脂基板11中に含まれる水分を除
去して、樹脂基板11上に形成される膜の諸特性を安定
化させるためである。
【0054】図2に示したRFスパッタ装置を用いRF
スパッタ法により、ベーキングしたAPO基板11上に
腐食成分遮断層13として窒化シリコン層を形成した。
ターゲットには窒化シリコンを、放電ガスには純Arガ
スを使用した。投入RF電力は1kW、放電ガス圧力は
10mTorrである。腐食成分遮断層13の膜厚は3
0nmである。この膜の結晶構造をX線回折法により調
べたところ、2Θ=44°付近に非常にブロードなピー
クが観測されただけであり、この膜はX線的には非晶質
であることがわかる。
【0055】これに引き続き、磁性膜の配向性制御層1
5の第1層として、Cr膜をRFスパッタ法により30
nmの膜厚に形成した。ターゲットにはCrを、放電ガ
スには純Arガスを使用した。また、スパッタの条件
は、投入RF電力密度が1000W/150mmφ、放
電ガス圧力が30mTorrである。次に、RFスパッ
タ法により、配向性制御層15の第2層としてCr80
20合金膜を25nmの膜厚に形成した。ターゲットに
はCr80Ti20合金を、放電ガスには純Arガスを使用
した。スパッタの条件は、投入RF電力密度が1000
W/150mmφ、放電ガス圧力が30mTorrであ
り、第1層と第2層は同一条件で成膜した。
【0056】その上に、ECRスパッタ法により、磁性
膜16としてCo69Cr19Pt12合金膜を20nmの膜
厚に形成した。ここで、スパッタ中は基板を、APO樹
脂基板の軟化温度より低い80℃に加熱した。ターゲッ
トにCo69Cr19Pt12合金を、放電ガスに純Arガス
を使用した。投入マイクロ波電力密度(周波数:2.4
5GHz)は1000W/150mmφ、放電ガス圧力
は30mTorrである。
【0057】最後に、ECRスパッタ法により、保護膜
17としてカーボン膜を10nmの膜厚に形成した。ス
パッタの条件は、投入マイクロ波電力密度(周波数:
2.45GHz)を1000W/150mmφ、放電ガ
ス圧力を30mTorrとした。このようにして作製し
た磁気記録媒体基板上に潤滑剤を塗布した。
【0058】また、この磁気記録媒体の断面をSEMに
より観察したところ、基板表面の凹凸には関係なく磁性
膜を形成した後の膜の表面は、凹凸の垂直方向段差が約
3nm、水平方向周期が5〜7μmと、ほぼ平坦になっ
ていた。一方、磁性膜の底面は、APO基板11の凹凸
12の上方では凹凸の垂直方向段差が約50nm、ヘッ
ドの走行方向に沿った水平方向周期が1〜2μmと、A
PO基板11の凹凸形状に倣った凹凸形状を有してい
た。
【0059】この例では、磁性膜16及び保護膜17を
ECRスパッタ法により作製したが、磁性膜を形成した
時点で十分な表面平坦性が確保できているので、保護膜
17はRFスパッタ法により作製してもよい。
【0060】作製した磁性膜の磁気特性を測定したとこ
ろ、保磁力が2.5kOe、熱安定性を表す指標である
Isvが2.5×10-16 emu、角形比の指標である
M−HヒステリシスにおけるSが0.8、S†が0.9
であり、良好であった。X線回折によると、Coの(2
10)面が強く配向している。また、配向性制御膜15
の無い磁気記録媒体では、保磁力が1.5kOeと著し
く小さかった。
【0061】上記の磁気記録媒体を実施の形態1と同様
の磁気記憶装置にセットして、評価したところ、実施の
形態1の場合とほぼ同様で、35nmまで磁気ヘッドを
下げても、ヘッドクラッシュを生じること無く、100
0時間以上安定に記録再生できた。この磁気記録媒体の
S/Nを評価したところ、38dBであった。位置決め
信号は、セクタ毎にユーザデータとユーザデータの間に
設けた基板上のピットに起因して磁性膜から発生される
不均一磁場から検出した信号を原信号と比較して再生し
たところ、±0.5μm以下の位置決め精度を達成する
ことができ、磁気信号で記録したサーボパターンで位置
決めを行う場合と同等以上の精度を有していた。また、
位置決め信号のS/N比は35dBであり、特に問題は
なかった。
【0062】この例は、腐食成分遮断層13の膜厚が3
0nmの場合であるが、腐食成分遮断層13の膜厚を3
nm、5nm、50nm、55nmと変化させた磁気記
録媒体を作製した。その結果、腐食成分遮断層の膜厚が
5nm以下の場合には、ピンホールが多数存在して腐食
成分を遮断する効果が見られず、腐食成分遮断層を設け
ない場合と大きな違いは見られなかった。また、腐食成
分遮断層の膜厚を50nm以上とすると、基板表面の凹
凸の転写精度が低下するために位置決め精度が低下す
る。それと同時に、内部応力により磁気記録媒体表面に
凹凸が生じ、ヘッドクラッシュが起きた。そして、これ
らの磁気記録媒体の記録再生特性を評価したところ、1
0時間程度でヘッドクラッシュを生じ、記録再生できな
くなった。
【0063】このようにして、マイクロ波を用いたEC
Rスパッタ法を用いて磁性膜を成膜することにより、磁
性膜の底面は樹脂基板の凹凸ピットを反映した凹凸形状
を有し、磁性膜の表面は樹脂基板の凹凸ピットの形状を
反映することなく平坦化される。したがって、磁性膜底
面の凹凸形状に起因して発生する不均一磁場を利用する
ことで、サーボトラックライターを用いることなく位置
決め信号を得ることができるとともに、磁性膜の表面平
坦性が良好であるため磁気ヘッドがクラッシュを生じる
ことなく安定して飛行でき、高い信頼性をもって記録再
生を行うことができる。
【0064】
【発明の効果】本発明によると、凹凸ピットを有する樹
脂基板上に平坦な表面を有する磁性膜を形成することが
でき、サーマルアスペリティやヘッドクラッシュを抑制
できるので、高信頼性を有し、しかも安価な磁気記録媒
体を得ることができる。また、磁気ヘッドの浮上量をガ
ラス基板やAl基板等と同様の40nm以下とすること
ができるので、高密度磁気記録が可能な記録媒体を安価
に供給できる。さらに、磁性膜から樹脂基板に形成した
凹凸ピットに基づく不均一磁場が発生するため、それを
利用して位置決め信号を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気記録媒体の断面構造を示す模式図。
【図2】本発明で用いたRFスパッタ装置の概略図。
【図3】イオンビーム照射の効果を説明する図。
【図4】磁気記憶装置の概略図であり、(a)は平面模
式図、(b)は断面模式図。
【図5】凹凸形状を有する磁性膜から発生される漏洩磁
束を模式的に示した図。
【図6】ECRスパッタ装置の概略図。
【符号の説明】
11…樹脂基板、12…凹凸ピット、13…腐食成分遮
断層、15…配向性制御層、16…磁性膜、17…保護
膜、21…ターゲット、22…電磁コイル、23…高周
波電源、24…基板、25…バイアス電源、26…スパ
ッタ粒子、27…イオンガン、28…イオンビーム、2
9…イオンビーム、30…ニュートライザ、31…凸
部、32…凹部、41…磁気記録媒体、42…駆動部4
2、43…磁気ヘッド43、44…磁気ヘッド駆動手段
44、45…記録再生信号処理手段45、46…サーボ
パターン領域、48,49…漏洩磁束、51…導波管、
52…電磁コイル、53…プラズマ、54…筒状ターゲ
ット、55…基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤城 協 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 小礒 良嗣 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 二本 正昭 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に凹凸を有する樹脂基板と、その上
    に形成された磁性膜とを含む磁気記録媒体において、 前記磁性膜の前記樹脂基板に近い側の面は前記樹脂基板
    表面の凹凸を反映した凹凸形状を有し、磁気記録媒体の
    最表面は凹凸の垂直方向段差が5nm以下、水平方向周
    期が1μm以上の平坦な形状を有することを特徴とする
    磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 表面に凹凸を有する樹脂基板と、その上
    に形成された磁性膜とを含む磁気記録媒体において、 前記磁性膜の前記樹脂基板に近い側の面は前記樹脂基板
    表面の凹凸を反映した凹凸形状を有し、前記磁性膜の前
    記樹脂基板から遠い側の面は凹凸の垂直方向段差が5n
    m以下、水平方向周期が1μm以上の平坦な形状を有す
    ることを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の磁気記録媒体にお
    いて、 前記磁性膜の凹凸形状に起因して、位置決め信号として
    利用される不均一磁場が発生されることを特徴とする磁
    気記録媒体。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の磁気記録媒体
    において、 前記樹脂基板上に腐食成分遮断層と、配向性制御層と、
    前記磁性膜と、保護膜とが、この順序で形成されている
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の磁気記録媒体において、 前記腐食成分遮断層は非晶質材料からなり、前記樹脂基
    板からの腐食成分が前記磁性膜中に拡散するのを防ぐと
    ともに、その表面エネルギーがガラス基板の表面エネル
    ギーと略等しいことを特徴とする磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の磁気記録媒体において、 前記腐食成分遮断層は、窒化シリコン、窒化アルミニウ
    ム、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化チタン、酸
    化クロムのうちより選ばれる少なくとも1種類の化合物
    からなることを特徴とする磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 請求項4記載の磁気記録媒体において、 前記配向性制御層は、CrにTi,Ta,Mo,W,A
    l,V,Zr,Nb,Ni,Mnのうちより選ばれる少
    なくとも1種類の元素を添加した格子面間隔がCrより
    大きく磁性膜より小さい1層の合金層、又はCr層とC
    rにTi,Ta,Mo,W,Al,V,Zr,Nb,N
    i,Mnのうちより選ばれる少なくとも1種類の元素を
    添加した格子面間隔がCrより大きく磁性膜より小さい
    合金層との2層からなり、隣接する層との格子面間隔の
    変化が10%以内であることを特徴とする磁気記録媒
    体。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項記載の磁気
    記録媒体において、 前記磁性膜は、Coを主体とし、これにTa,Pt,C
    r,Ti,Ni,Nbのうちより選ばれる少なくとも2
    種類の元素を含むX線的に結晶質の膜であることを特徴
    とする磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7のいずれか1項記載の磁気
    記録媒体において、 前記磁性膜は、Coを主体とし、これに窒化シリコン、
    窒化アルミニウム、酸化シリコン、酸化アルミニウム、
    窒化チタンのうちより選ばれる少なくとも1種類の化合
    物を分散させたことを特徴とする磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項記載の磁
    気記録媒体において、 保護膜としてC,WC,TiC,TaC,NbCのうち
    より選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いたことを
    特徴とする磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 表面に凹凸を有する樹脂基板と、その
    上に形成された磁性膜とを含み、前記磁性膜の前記樹脂
    基板に近い側の面は前記樹脂基板表面の凹凸を反映した
    凹凸形状を有し、最表面は凹凸の垂直方向段差が5nm
    以下、水平方向周期が1μm以上の平坦な形状を有する
    磁気記録媒体の製造方法であって、 前記磁性膜はスパッタ粒子が凸部に被着するのを抑制し
    ながらスパッタ法により成膜することを特徴とする磁気
    記録媒体の製造方法。
  12. 【請求項12】 表面に凹凸を有する樹脂基板と、その
    上に形成された磁性膜とを含み、前記磁性膜の前記樹脂
    基板に近い側の面は前記樹脂基板表面の凹凸を反映した
    凹凸形状を有し、前記磁性膜の前記樹脂基板から遠い側
    の面は凹凸の垂直方向段差が5nm以下、水平方向周期
    が1μm以上の平坦な形状を有する磁気記録媒体の磁気
    記録媒体の製造方法であって、 前記磁性膜はスパッタ粒子が凸部に被着するのを抑制し
    ながらスパッタ法により成膜することを特徴とする磁気
    記録媒体の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項11又は12記載の磁気記録媒
    体の製造方法において、 スパッタと同時にAr,He,Kr,Xe,Neのうち
    より選ばれる少なくとも1種類の元素をイオン化して照
    射することによりスパッタ粒子が凸部に被着するのを抑
    制することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法
  14. 【請求項14】 請求項11又は12記載の磁気記録媒
    体の製造方法において、 前記磁性膜の表面凹凸の凸部に電荷が集中した状態を作
    り、凸部ではミリングが加速され、凹部ではミリング速
    度が減速されることにより表面形状を平坦にすることを
    特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  15. 【請求項15】請求項11又は12記載の磁気記録媒体
    の製造方法において、前記磁性膜をECRスパッタ法を
    用いて成膜することを特徴とする磁気記録媒体の製造方
    法。
  16. 【請求項16】 請求項11〜15記載の磁気記録媒体
    の製造方法において、 前記樹脂基板上への成膜を前記樹脂基板の軟化温度以下
    の温度で行うことを特徴とする磁気記録媒体の製造方
    法。
  17. 【請求項17】 請求項11〜16記載の磁気記録媒体
    の製造方法において、 スパッタ法による成膜のとき前記基板にバイアス電圧を
    印加することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  18. 【請求項18】 磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体を
    記録方向に駆動する駆動手段と、記録部と再生部とを備
    える磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体
    に対して相対運動させる手段と、記録再生信号処理手段
    とを含む磁気記憶装置において、 前記磁気記録媒体として請求項1〜10のいずれか1項
    記載の磁気記録媒体を用い、前記磁気ヘッドを前記磁気
    記録媒体に対して位置決めするための位置決め信号を前
    記磁気記録媒体の磁性膜の凹凸形状に起因して生じる不
    均一磁場から得ることを特徴とする磁気記憶装置。
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