JPH10338972A - 膨張アンカーおよびその設置方法 - Google Patents
膨張アンカーおよびその設置方法Info
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Abstract
引張性能および剪断性能を高めることを含めた固定性能
を高めること。 【解決手段】 膨張アンカーのボルトのシャフトにおい
て頭部と先端部の間に、膨出可能な上方部と、膨出可能
な下方部とを有する膨張スリーブを設け、実質的に円錐
状の表面を有するナットをボルトのネジ部と係合させ、
ボルトを締め込むことにより、ナットの円錐面が膨張ス
リーブの下方部と係合して、上方部が外方に膨出する前
に下方部が外方へ膨出し、以て、下孔の側面に膨張スリ
ーブの下方部と上方部が係合するようにした。
Description
張アンカーに関し、特に、膨張アンカーをベース材料に
予め形成された下孔に保持するために、下孔内で膨張可
能で、かつ、下孔の側壁に係合可能な膨張スリーブを備
えた膨張アンカーに関する。
り、かつ、ベース材料に予め形成された下孔に膨張アン
カーを設置することにより、目的物すなわち造作をベー
ス材料に固定するためにしばしば用いられる。ベース材
料は、膨張アンカーを設置するのに適したコンクリー
ト、ブロック、モルタル等の材料である。例えばRowl-B
olt anchor(商標名)として一般的に周知のアンカーは
一般的に、六角形の頭部を有する延長スリーブを備えた
ボルトと、ナイロン製の圧縮リングにより分離された膨
張スリーブとを有している。これらは、エキスパンダー
コーンすなわちナットによりボルトのシャフトの周囲に
配置されている。エキスパンダーコーンはボルトのシャ
フトのネジ部の周囲に部分的に配置されており、かつ、
このアンアーが下孔に押し込まれるとき、エキスパンダ
ーコーンの大きなスロットが形成された端部がベース材
料により圧縮され、ボルトを締結する間、ナットの回転
を防止するようになっている。アンカーを締結するため
にトルクが付与されると、エキスパンダーコーンがボル
トの頭部の方へボルトシャフトと膨張スリーブの間に引
き寄せられて膨張スリーブが下孔内で膨出し下孔の側壁
に係合する。アンカーを更に締めつけると、ボルトシャ
フトのネジ部がエキスパンダーコーンの圧縮された端部
に前進して、圧縮されたエキスパンダーコーンを外方へ
膨出させる。膨張スリーブが膨張した後ナイロン製の圧
縮リングが潰れることによりアンカーを更に締結するこ
とが可能となり、造作に対してボルトを引きつけること
が可能となる。
たナットは、然しながら、それ以上の固定性能を発揮し
ない。と言うのは、ボルトシャフトがナットを通して完
全に押し込められた後には、ナットの圧縮された部分が
更に膨張することができないからである。上記アンカー
の固定効果の大部分は膨張スリーブが膨張することによ
り得られる。更に、ナイロン製の圧縮リングのために、
膨張スリーブが膨出した後にはボルトは下孔内で更に前
進することができない。そのために、造作をベース材料
に挟持、固定する能力が制限されてしまう。シャフトの
周囲にナイロン製の圧縮リングが配設されているので、
アンカーの剪断性能が悪影響を受ける。つまり、ナイロ
ン製の圧縮リングのためにボルトシャフトは該圧縮リン
グを配設した部分で金属製のスリーブにより補強されて
いないことになるので、圧縮リングの部分が剪断を受け
やすくなる。
他のカップ状の部材により、ボルトシャフトのネジの形
成された先端部に部分的に配設されたエキスパンダーコ
ーンの露出した先端を覆い、設置前および下孔に押し込
み設置する際ににエキスパンダーコーンのネジ孔が損傷
することを防止しなければならない。前記アンカーは、
また、運搬および設置前の取扱において膨張スリーブが
膨張することを防止するために、膨張スリーブとエキス
パンダーコーンにテープを部分的に適用しなければなら
ない。前記アンカーは、従って、エキスパンダーコーン
にスロットを形成することを含めて、これらの構成要素
のために製造、組立コストが比較的高くなる。これは、
また、特に操作のための費用を高くする。
その設置方法を改良する必要性がある。本発明の目的
は、従来技術の問題を克服した新規な膨張アンカーおよ
びその設置方法を提供することである。
善した新規な膨張アンカーおよびその設置方法を提供す
ることである。本発明の他の目的は、ベース材料に予め
形成した下孔の側壁に係合可能な上方部と下方部とを有
した膨張スリーブを設けることにより、固定性能を高め
た新規な膨張アンカーおよびその設置方法を提供するこ
とである。
ボルトの頭部とナットの間のシャフトの軸方向全長にわ
たって1または複数のスリーブを配設し、シャフトの周
囲に配設され剪断性能を低下させる圧縮リングまたは他
の部材を排除することにより、剪断性能を高めた新規な
膨張アンカーおよびその設置方法を提供することであ
る。
め形成した下孔の側壁に係合可能な上方部と下方部とを
有した膨張スリーブを設け、上方部が外方に膨出して下
孔の側壁に係合する前に、下方部が外方に膨出して下孔
の側壁に係合するように形成することにより、固定性能
を高めた新規な膨張アンカーおよびその設置方法を提供
することである。
るズレを低減することを含む引張性能および剪断性能を
高めることを含めた固定性能を高めた新規な膨張アンカ
ーおよびその設置方法を提供すると共に、剪断および引
張に関する工業規格に準拠した、或いは、同工業規格を
越えた性能を有する膨張アンカーを提供することであ
る。
側壁を有する下孔に設置可能な膨張アンカーにおいて、
頭部と、該頭部の反対側の端部と、ネジ部とを備えたシ
ャフトを有するボルトと、前記シャフトにおいて前記頭
部と端部の間に設けられた肩部と、前記肩部と前記シャ
フトの端部との間で前記シャフトの周囲に配設され、膨
出可能な上方部と、膨出可能な下方部とを有し、前記下
方部が前記上方部が外方へ膨出する前に外方へ膨出可能
となっている膨張スリーブと、第1の直径を有する第1
の端部と第2の直径を有する第2の端部の間に実質的に
円錐状の表面が形成され、かつ、前記シャフトのネジ部
と係合可能なネジ孔を有するナットとを具備し、前記シ
ャフトのネジ部が前記ナットのネジ孔に対して前進する
とき、前記ナットの円錐面が前記膨張スリーブの下方部
と係合して、前記上方部が外方に膨出する前に前記下方
部が外方へ膨出し、以て、前記下孔の側面に前記膨張ス
リーブの下方部と上方部が係合するようにした膨張アン
カーを要旨とする。
ンカーを設置する方法において、前記膨張アンアーが部
と、該頭部の反対側の端部と、ネジ部とを備えたシャフ
トを有するボルトと、前記シャフトの周囲に配設された
膨張スリーブと、前記シャフトのネジ部の周囲に配設さ
れたネジ孔を有するナットとを具備しており、前記方法
が、前記ナットを前記下孔の側壁に係合させることによ
り前記ナットを前記下孔に実質的に回転しないように固
定し、前記ボルトに締付トルクを付与して前記ボルトを
前記ナットに対して前進させ、前記ボルトを前記ナット
に対して前進させることにより、前記ナットの円錐面を
前記膨張スリーブの下方部に係合させて該下方部を外方
へ膨出させ、前記ボルトを前記ナットに対して前進させ
ることにより、前記シャフトの肩部を前記膨張スリーブ
の上方部に係合させて前記上方部を外方へ膨出させ、前
記膨張スリーブの下方部を前記上方部が外方に膨出する
前に膨出させることを含む膨張アンカーの設置方法が提
供される。
100に予め穿設された下孔101へ設置する前の膨張
可能なアンカー(以下、膨張アンカーと記載する)10
の部分断面図である。下孔101は所定の内径を有し、
概ね円筒形の側壁103を有している。図4は、ベース
材料100に形成された下孔101に設置された膨張ア
ンカー10を示している。図1を参照すると、膨張アン
カー10はボルト20と、ナット40によいりシャフト
20の周囲に配設、保持された膨張可能なスリーブ30
とを具備している。膨張アンカー10は、代替的にシャ
フト22に通す穴52を有するワッシャ50を含んでい
てもよい。図4を参照すると、膨張アンカー10は、ワ
ッシャ50とベース材料100の表面102の間に造作
Fを挟持している。造作Fは、例えば、金属プレート部
材や、電気箱の金属パネル部材、より一般的に表面10
2に取付可能な他の造作部材とすることができる。
側の端部26、ネジ部27を含んでいる。本実施形態に
おいて頭部24は拡大した六角形であるが、より一般的
には、後述するように、アイフックや他の部材を含むボ
ルト20を緊結するための工具と係合可能な如何なる形
状とすることもできる。ボルト20は、また、頭部24
と端部26の間または中間に配設された肩部22を含ん
でいる。図1に示す実施形態では、肩部28は、いわゆ
る段付ボルトと称される単一のボルトの大きな直径を有
するシャフトの上方部と、小さな直径を有するシャフト
の下方部の間の遷移部を形成している。図示しない代替
実施形態では、肩部28は、ユニタリボルトの環状の或
いは部分的に環状の突起部により形成される。肩部28
は面取りされた或いは傾斜した表面23を有している。
表面23はシャフト22の中心軸線に関して第1の角度
を以て傾斜しており、後述するように、膨張可能なスリ
ーブ30の膨張を制御すると共にその膨張を容易にす
る。
1、4に部分的に図示するボルトのシャフト22に配設
可能な独立した上部スリーブ部材29により形成され
る。この実施形態では、上部スリーブ部材29の下端お
よび上端の両者には、斜面23、25が形成されてい
る。ワッシャ50は、シャフト22の外径に対して大き
な直径の開口部53を有している。上部スリーブ部材2
9の上端の斜面25は、膨張アンカー10が図4に示す
ようにワッシャ50の開口部53とシャフト22の間に
楔状に進入することができ、これにより造作Fが、好ま
しくは造作Fが薄い場合に、上部スリーブ部材29の上
端とワッシャ50の間に挟持(クランプ)されることを
防止している。そして、これは、造作Fの開口部が下孔
101に対してオフセットされ、特に造作Fが薄い場合
に生じやすい。上部スリーブ部材29の上端とワッシャ
50の間への造作Fの挟持は絶対に避けるべきものであ
る。と言うのは、この場合、アンカーの一部に沿った剪
断力に耐えるのは、シャフト22と上部スリーブ部材2
9の合計の直径ではなくシャフト22となるのでアンカ
ー10の剪断性能が低下するからである。本発明の関連
する特徴によれば、上部スリーブ部材29の下端および
上端の斜面23、25は同じ角度を有しているので、膨
張アンカー10を組み立てる際に不適切に組み立てられ
る可能性がない。
端部26の間においてシャフト22の周囲に配設されて
いる。図1において、膨張スリーブ30は、膨張可能な
上方部32と膨張可能な下方部34とを含んでいる。後
述するように、ベース材料の下穴101に膨張アンカー
10を係合保持するために、上方部32が膨張する前
に、下方部34が外方へ膨張することができる。図2を
参照すると、上方部32には少なくとも2つの複数の上
指部33が配設されており、下方部34には少なくとも
2つの複数の下指部35が配設されている。これらの指
部は、膨張スリーブ30に設けられた長手方向に延びる
スロット36により形成されている。本実施形態による
膨張スリーブ30は、4つの上指部33と、3つの下指
部35を含んでいる。他の実施形態では、3つの上指部
と3つの下指部とを含むことができる。図1に示す構成
では、膨張スリーブ30は、その両端に傾斜した内側エ
ッジ38を有している。内側エッジ38は後述するよう
に、上方部32および下方部34が膨出することを容易
にする。図2を参照すると、下指部35は上指部33よ
りも長く形成されており、シャフト22のネジ部27が
ナット40に関して前進したときに、上指部33が外方
へ膨出するよりも早く下指部35が外方へ膨出し易くな
っている。然しながら、上下指部33、35は実質的に
同じ長さに形成して、上指部33が外方へ膨出するより
も早く下指部35が外方へ膨出し易くする他の手段を採
用しても良い。
いる。円錐面42は第1と第2の端部43、44の間に
広がっている。第1の端部43は第1の直径を有し、第
2の端部44は第2の直径を有している。ここで、第1
の直径は第2の直径よりも小さくなっている。ナット4
0の円錐面42は、一般的に、下指部34を拡げるのに
適した楔状の表面であればよく、従って「円錐面」との
用語は、上記の目的に用いることのできるナット40の
平坦な楔状の断面部分を含んでいる。円錐面42はシャ
フト22の中心軸線に関して第2の角度を有している。
この角度は、後述するように、膨張スリーブ30の膨出
または膨張を容易にし、かつ、制御する。ナット40
は、また、シャフト22のネジ部27と係合可能な内ネ
ジの形成されたネジ孔45を有している。ネジ部27が
前記内ネジと係合することにより、ネジ部27がナット
40に対して前進可能となる。ナット40の第2の端部
44はテーパ部46を有している。テーパ部46によ
り、後述するように、下孔に膨張アンカー10を押し込
むのが容易になる。ナット40は、図示する実施形態に
おいて第2の端部44により形成される大径部を有して
いる。この大径部は上部スリーブ29および膨張スリー
ブ30を含めたボルト20の外径よりも大きくなってお
り、ナット40が下孔と係合して、シャフト22のネジ
部27がナット40と係合して、該ナット40を貫通し
て前進する際ナット40の回転が防止される。実際上、
然しながら、ナット40は下孔101内において無視し
得る程度回転することもある。従って、ナット40は下
孔内において実質的に回転が防止されるのみである。ナ
ット40は、エッジ49を形成する少なくとも1つの平
面48を前記大径部に含んでいる。エッジ49は下孔の
側壁103に係合することができる。図3に示す実施形
態では、ナット40は4つの平面48と対応するエッジ
49とを有しており、エッジ49は下孔101の側壁1
03と係合して、ボルト20を締結する間ナット40の
回転を防止する。
ベース材料100に予め形成された下孔101に装着す
る前の形状を示している。この特徴によれば、シャフト
22のネジ部27はナット40のネジ孔45に係合して
おり、ナット40はボルト20のシャフト22に膨張ス
リーブ30および上部スリーブ29を保持している。既
述したように、ナット40の外径は上部スリーブ29の
外径および膨張スリーブ30の外径よりも大きく、ナッ
ト40は、膨張スリーブ30がナット40の外径よりも
外側に膨出することなく、下孔101の側壁103に膨
張スリーブ30が実質的に係合しないように、シャフト
22のネジ部28に沿って配置されている。膨張スリー
ブの上方部32および下方部34を僅かに膨出させて、
上方部32が肩部28と、そして下方部34がナット4
0の円錐面42と重なり合うようにしてもよい。然しな
がら、この場合でも、上方部32と下方部34が外方へ
膨出して下孔101の側壁103と係合し、下孔への膨
張アンカー10の設置を阻害してはならない。
30の下方部34はナット40と重なり合うように係合
して、膨張アンカー10を設置する前の組立、搬送、取
扱に際して、ナット40がシャフト22のネジ部27に
対して緩むことを防止し、従来技術において該目的のた
めに要するテープその他の固定手段の必要性がなくな
る。ナット40をシャフト22に係合、保持することに
より、ナットその他の要素が分離して紛失することが防
止され、更に、ナット40のシャフト22からの部分的
な分離が防止される。シャフト22からのナット40の
部分的な分離によりナット40のネジ孔45が周囲の元
素に曝されることが防止され、かつ、ネジ孔45に堆積
物が集まることが防止される。これらは、膨張アンカー
10の作用および設置に悪影響を与える。従って、膨張
アンカー10の設置に先立って、ナット40を下方部3
4に係合、保持させることにより、ナット40の周囲元
素への暴露が防止され、かつ、更に、代替的にナット4
0のネジ孔45に同じ目的を有するプラグその他の部材
を配置する必要が無くなるとの有利な効果を奏する。
位の外径が膨張スリーブ30の外径以上となっていても
よい。然しながら、ナット40の最大外径より小さく、
膨張アンカー10を下孔101内に押し込む際に膨張ス
リーブ30が早期に膨出することを防止する。然しなが
ら、上部スリーブ29と下孔101の側壁103との間
の空間が充分に狭く、膨張スリーブ39が単に上部スリ
ーブ29の上にせりあがり重なり合うことを防止するた
めに、上部スリーブ29の外径は充分に大きくなければ
ならない。本発明の他の特徴によれば、シャフト22の
端部26が少なくともナット40の先端まで達し、膨張
アンカー10を下孔内に押し込む際、シャフト22のネ
ジ部およびナット40のネジ孔45を保護できるように
ナット40をシャフト22のネジ部27に沿って位置決
めしなければならない。これにより、また、ナット40
のネジ孔45に破片が堆積、集積することが防止され、
かつ、膨張アンカー10を下孔101内に押し込む際に
ネジ孔45が変形することが防止される。
例えば5/8inchのドリルにより形成され約16.5m
mから16.8mmの内径を有する下孔101に設置す
るように構成される。この寸法は、ドリルのタイプ、ベ
ース材料、穿設条件などの要因により変化する。この実
施形態では、肩部28および上部スリーブの他の部位の
外径は約16.1mmから16.3mm、膨張スリーブ
30の外径は約15.5mmから15.6mm、ナット
40の最大外径は約17mmから17.1mmとするこ
とができる。上部スリーブ29の外径を大きくすること
により剪断性能を高めることができる。然しながら、既
述したように、上部スリーブ29の外径を含めた肩部2
8と下孔101の側壁103の間の隙間が大き過ぎて、
ボルト20を締結する際に膨張スリーブ30が下孔10
1の側壁103と係合することなく自由に移動可能とな
ってはならない。
は外力により下孔101に軸方向に押し込められる。こ
のとき、ナット40のテーパ部46により、アンカー1
0の下孔101への挿入が容易になる。頭部24または
ワッシャ50の下面がベース材料100の表面102に
着座するまで膨張アンカー10を下孔101内へ押し込
む設置形態がある。また、図4に示すように、膨張アン
カー10の頭部24またはワッシャ50とベース材料1
00の表面102の間に造作Fを挟持するために、膨張
アンカー10を下孔101内に軸方向に押し込む設置形
態がある。何れの設置形態でも、ボルト20にトルクを
与えて締結することにより、膨張アンカー10および造
作Fは最終的にベース材料100の表面102に固定さ
れる。上部スリーブ29およいワッシャ開口部53を含
む実施形態では、上部スリーブ29の上端の斜面25が
ワッシャ50とシャフト22の間に楔状に進入し、造作
Fが上部スリーブ29とワッシャ50の間に挟持される
ことが防止される。
に挿入された後、ボルト20にトルクを適用してボルト
20を締めつけ、下穴101に対して回転しないように
固定されているナット40に対して前進させる。ボルト
20がナット40に対して締めつけられると、ナット4
0はボルト20の方へ軸方向に引き込まれ、シャフト2
0と膨張スリーブ30の間に進入し、ナット40の実質
的な円錐形の表面42が膨張スリーブの下方部34に係
合すると共に、肩部28が膨張スリーブの上方部32に
係合する。本発明の1つの特徴によれば、膨張スリーブ
の下方部34は、上方部32が外方へ膨出する前に先に
膨出する。下方部34は、該下方部が下穴101の側壁
103に係合して、ナット40が更に軸方向に移動でき
なくなり、これによりナット40が下穴101内に固定
されるまで、ナット40が上方に移動するにつれ外方へ
膨出する。ナット40が下穴101内において軸方向に
移動できなくなる位置へ接近すると、ボルト20は下穴
101内に進入を開始し、上方部32が外方へ膨出し出
して、ベース材料100の表面102に膨張アンカー1
0および造作が固定される。本発明のこの特徴によれ
ば、膨張アンカー10の締付け作用は、従来技術のアン
カーのように圧縮部材の寸法により制限されず、ただ、
膨張スリーブ30の膨出作用により許容される軸方向の
変位の(より大きな)範囲により制限される。これによ
り締付け性能が改善される。また、ボルト20の締結を
続けると、膨張スリーブ30が外方に広がり続け、膨張
スリーブ30の膨出により下穴101の側壁103には
より大きな横断方向の力が作用する。これにより膨張ス
リーブ10の固定(anchoring) 作用が改善される。上部
スリーブ29および膨張スリーブ30が、ボルト20の
頭部24とナット40の間においてシャフト部分の全体
に渡って配設されているので、膨張アンカー10の全直
径が大きくなり、膨張アンカー10の剪断性能が強化さ
れ改善される。
部35が上指部33よりも長くなっているので、上指部
33が外方へ広がって下穴の側壁103に係合する前
に、下指部35が外方に広がって下穴の側壁103に係
合する。然しながら、他の形態では、肩部28の斜面2
3の第1の角度が、シャフト22の中心軸線に関してナ
ット40の円錐面42の第2の角度よりも大きく傾斜し
ているので、上指部33が外方へ広がって下穴101の
側壁103に係合する前に、下指部35が外方に広がっ
て下穴の側壁103に係合するようになっている。本発
明の後者の実施形態では、膨張スリーブ30の上方部3
3および下方部35は同じ長さを有していてもよい。と
言うのは、肩部28の斜面23の第1の角度と円錐面4
2の第2の角度により制御されるからである。他の形態
では、膨張スリーブの上方部と下方部の膨出作用は、既
述した特徴、構成の組合せにより制御される。作用にお
いて、下方部34と上方部32の膨出動作に重なり合い
があるかもしれないが、一般的に、下方部34は、上方
部32が外方への膨出を開始する前に膨出を開始し、そ
して、下方部34は下穴101の側壁103に係合して
ナット40の軸方向の位置を固定し、以て、ボルト20
が下穴内に軸方向に移動可能となり、上方部32が外方
へ完全に膨出して、膨張アンカー10および造作がベー
ス材料100に効果的に固定される。
ンカーと、既述したタイプの従来技術のアンカー(Rawl-
Bolt anchor 商標名)の性能曲線である。本発明の膨張
アンカーは従来のアンカーと比較して極限荷重により特
徴づけられるように比較的高い軸方向の引張荷重の下で
作用し続ける。極限荷重は膨張アンカーが破損する、つ
まり、下孔から膨張アンカーが引き抜かれる前に測定さ
れた平均軸方向引張荷重である。この性能曲線からは、
本発明の膨張アンカーの極限荷重の約25%に相当する
設計荷重が従来のアンカーと比べて相対的に高いことが
分かる。
および従来のアンカーの軸方向の引張荷重に対する軸方
向のズレまたは変位(slippage or deflection)を示して
いる。性能曲線は、非線形であるが、従来のアンカーが
本発明の膨張アンカーと比較して、設計荷重および極限
荷重において、軸方向のズレまたは変位が約3倍となっ
ていることを示している。従って、本発明の膨張アンカ
ーが従来の膨張アンカーに比べて著しくその保持性能が
改善されている。
nternational Conference of Building Officials ICB
O) の定める工業規格(ICBO Standard) の軸方向引張荷
重に対する許容設計荷重限界が示されている。この工業
規格は、設計荷重および極限荷重における許容変位限界
を定める。これらは、ある膨張アンカーに負荷されるIC
BO定格荷重を定める。図5を参照すると従来のアンカー
における極限荷重の25%の荷重における軸方向の変位
が、5/8inchの膨張アンカーに対する許容設計荷重限
界での軸方向の変位1.4mm(0.065inch)を超
過している。これは、上記工業規格の下では従来技術の
アンカーに負荷できる定格荷重が低くなることを示して
いる。つまり、極限荷重の25%における軸方向の変位
が上記工業規格の設計荷重限界における変位よりも大き
い場合、上記工業規格の下での定格引張荷重は、上記工
業規格の設計荷重限界と性能曲線の交点により決定され
る。これに対して本発明による膨張アンカーは、極限荷
重の25%における軸方向の変位は、5/8inchの膨張
アンカーに対する許容設計荷重限界での軸方向の変位
1.4mm(0.065inch)以内に充分に収まってい
る。従って、本発明による膨張アンカーの定格引張荷重
は極限荷重の25%となる。
本発明がこの実施形態に限定されず本発明の精神と範囲
内で種々の変形と改良が可能であることは当業者の当然
とするところである。
図であり、ベース材料に形成された下孔に設置する前の
状態を示す図である。
部分断面図である。
ーの性能曲線である。
Claims (15)
- 【請求項1】 概ね円筒状の側壁を有する下孔に設置可
能な膨張アンカーにおいて、 頭部と、該頭部の反対側の端部と、ネジ部とを備えたシ
ャフトを有するボルトと、 前記シャフトにおいて前記頭部と端部の間に設けられた
肩部と、 前記肩部と前記シャフトの端部との間で前記シャフトの
周囲に配設され、膨出可能な上方部と、膨出可能な下方
部とを有し、前記下方部が前記上方部が外方へ膨出する
前に外方へ膨出可能となっている膨張スリーブと、 第1の直径を有する第1の端部と第2の直径を有する第
2の端部の間に実質的に円錐状の表面が形成され、か
つ、前記シャフトのネジ部と係合可能なネジ孔を有する
ナットとを具備し、 前記シャフトのネジ部が前記ナットのネジ孔に対して前
進するとき、前記ナットの円錐面が前記膨張スリーブの
下方部と係合して、前記上方部が外方に膨出する前に前
記下方部が外方へ膨出し、以て、前記下孔の側面に前記
膨張スリーブの下方部と上方部が係合するようにした膨
張アンカー。 - 【請求項2】 前記膨張スリーブの上方部が少なくとも
2つの複数の上指部を有し、前記下方部が少なくとも2
つの複数の下指部を有しており、前記下指部が前記上指
部よりも長くなっており、これにより前記シャフトのネ
ジ部が前記ナットのネジ孔に対して前進するとき、前記
上指部が外方へ膨出する前に前記下指部が外方へ膨出す
るようになっている請求項1に記載の膨張アンカー。 - 【請求項3】 前記肩部が前記シャフトの中心軸線に関
して第1の角度を以て傾斜し、前記ナットの円錐面が前
記シャフトの中心軸線に関して第2の角度を以て傾斜し
ており、これにより、前記ナットのネジ孔に対して前記
シャフトのネジ部が前進するとき、前記膨張スリーブの
上方部が外方へ膨出する前に前記下方部が外方へ膨出す
る請求項1に記載の膨張アンカー。 - 【請求項4】 前記膨張スリーブの上方部が少なくとも
2つの複数の上指部を有し、前記下方部が少なくとも2
つの複数の下指部を有しており、前記下指部が前記上指
部よりも長くなっている請求項3に記載の膨張アンカ
ー。 - 【請求項5】 前記ナットが、前記シャフトの外径およ
び前記膨張スリーブの外径よりも大きな外径を有してお
り、前記ナットが前記下孔の側壁に係合して、前記ナッ
トのネジ孔に対して前記シャフトのネジ部が前進すると
き、前記ナットの回転が防止される請求項1に記載の膨
張アンカー。 - 【請求項6】 前記ナットが、前記下孔の側壁に係合可
能な少なくとも1 つのエッジを有しており、前記ナット
のネジ孔に対して前記シャフトのネジ部が前進すると
き、前記ナットの回転が防止される請求項5に記載の膨
張アンカー。 - 【請求項7】 前記肩部の外径が前記膨張スリーブの外
径よりも大きくなっている請求項5に記載の膨張アンカ
ー。 - 【請求項8】 前記シャフトのネジ部が前記ナットのネ
ジ孔を貫通して延設されている請求項1に記載の膨張ア
ンカー。 - 【請求項9】 前記膨張アンカーが、更に、 前記ボルトの頭部と前記膨張スリーブの間に配設された
上部スリーブを具備しており、前記頭部と前記ナットの
間の前記ボルトのシャフト部分が前記上部スリーブと前
記膨張スリーブの一方により覆われ、膨張アンカーの剪
断性能が高められている請求項1に記載の膨張アンカ
ー。 - 【請求項10】 前記膨張アンカーが、更に、 前記ボルトの頭部と前記膨張スリーブの間に配設された
独立の上部スリーブと、前記ボルトの頭部と前記上部ス
リーブの間に配設されたワッシャとを具備しており、 前記スリーブが面取りされた上端と下端とを有し、前記
ワッシャが前記ボルトのシャフトの直径よりも大きな内
径を有する孔を有しており、前記上部スリーブの面取り
された上端が前記ワッシャと前記ボルトのシャフトとの
間に楔状に進入するようになっている請求項1に記載の
膨張アンカー。 - 【請求項11】 下孔に膨張アンカーを設置する方法に
おいて、 前記膨張アンアーが部と、該頭部の反対側の端部と、ネ
ジ部とを備えたシャフトを有するボルトと、 前記シャフトの周囲に配設された膨張スリーブと、 前記シャフトのネジ部の周囲に配設されたネジ孔を有す
るナットとを具備しており、 前記方法が、 前記ナットを前記下孔の側壁に係合させることにより前
記ナットを前記下孔に実質的に回転しないように固定
し、 前記ボルトに締付トルクを付与して前記ボルトを前記ナ
ットに対して前進させ、 前記ボルトを前記ナットに対して前進させることによ
り、前記ナットの円錐面を前記膨張スリーブの下方部に
係合させて該下方部を外方へ膨出させ、 前記ボルトを前記ナットに対して前進させることによ
り、前記シャフトの肩部を前記膨張スリーブの上方部に
係合させて前記上方部を外方へ膨出させ、 前記膨張スリーブの下方部を前記上方部が外方に膨出す
る前に膨出させることを含む膨張アンカーの設置方法。 - 【請求項12】 前記方法が、更に、 前記ナットが前記下孔内において軸方向に固定されるま
で、前記シャフトのネジ部に沿って移動させることによ
り、前記膨張スリーブの下方部を外方に膨出させ、 前記膨張スリーブの上方部を外方へ膨出させることによ
り前記ボルトを前記下孔内に前進させ、以て、前記ナッ
トが前記下孔内において軸方向に固定された後に膨張ア
ンカーがベース材料に固定されることを含む請求項11
に記載の方法。 - 【請求項13】 膨張スリーブの上方部が少なくとも2
つの複数の上指部を有し、前記下方部が少なくとも2つ
の複数の下指部を有しており、前記下指部が前記上指部
よりも長くなっており、 前記方法が、更に、 前記ボルトが前記ナットに対して前進するとき、前記ナ
ットの円錐面を前記下指部に係合させることにより前記
下指部を外方に膨出させ、 前記ボルトが前記ナットに対して前進するとき、前記シ
ャフトの肩部を前記上指部に係合させることにより前記
上指部を外方に膨出させ、 前記前記上指部が前記下孔の側壁に係合する前に、前記
下指部を前記下孔の側壁に係合させることを含む請求項
11に記載の方法。 - 【請求項14】 前記方法が、更に、 前記前記ボルトが前記ナットに対して前進するとき、前
記膨張スリーブの上方部を前記シャフトの中心軸線に対
して第1の角度を以て傾斜した前記シャフトの肩部に係
合させ、前記下方部を前記シャフトの中心軸線に対して
前記第1の角度よりも小さな第2の角度を以て傾斜した
前記ナットの円錐面に係合させることにより、前記上方
部が外方へ膨出する前に前記下方部を外方へ膨出させる
ことを含む請求項11に記載の方法。 - 【請求項15】 前記方法が、更に、 前記ナットを下孔の側壁に係合させることにより、前記
ボルトが前記ナットに対して前進するとき、前記ナット
の回転を防止することを含む請求項12に記載の方法。
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