JPH10337800A - 透明断熱積層体及びそれを用いた透明断熱体及びその製造方法 - Google Patents

透明断熱積層体及びそれを用いた透明断熱体及びその製造方法

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JPH10337800A
JPH10337800A JP10014366A JP1436698A JPH10337800A JP H10337800 A JPH10337800 A JP H10337800A JP 10014366 A JP10014366 A JP 10014366A JP 1436698 A JP1436698 A JP 1436698A JP H10337800 A JPH10337800 A JP H10337800A
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JP
Japan
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transparent
film
transparent heat
polycarbonate
insulating laminate
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JP10014366A
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English (en)
Inventor
Fumiharu Yamazaki
文晴 山崎
Shin Fukuda
福田  伸
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
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Publication of JPH10337800A publication Critical patent/JPH10337800A/ja
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/14Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor incorporating preformed parts or layers, e.g. injection moulding around inserts or for coating articles
    • B29C45/14778Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor incorporating preformed parts or layers, e.g. injection moulding around inserts or for coating articles the article consisting of a material with particular properties, e.g. porous, brittle
    • B29C45/14811Multilayered articles
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29KINDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASSES B29B, B29C OR B29D, RELATING TO MOULDING MATERIALS OR TO MATERIALS FOR MOULDS, REINFORCEMENTS, FILLERS OR PREFORMED PARTS, e.g. INSERTS
    • B29K2715/00Condition, form or state of preformed parts, e.g. inserts
    • B29K2715/006Glues or adhesives, e.g. hot melts or thermofusible adhesives

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 透明断熱積層体の基材にポリカーボネー
トを用い、その上に透明赤外反射膜を形成し、さらにそ
の上にポリウレタン系またはポリエステルウレタン系接
着剤層を形成する。この透明断熱積層体を金型の壁面近
傍に設置してポリカーボネートを射出成形する。 【効果】 透明断熱積層体と成形体とが射出成形時に接
着した透明断熱体が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透明断熱積層体及び
それを用いた透明断熱体及びその製造方法に関する。詳
しくは本発明はポリカーボネートからなる窓を射出成形
する時に、透明断熱積層体を用いて一体成形が可能な透
明断熱積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年省エネルギーの要請が高まり、例え
ば建造物の窓、自動車の窓、列車の窓等から散逸する熱
エネルギー等を遮断するための工夫が数多く考案され、
実用化されている。それらの中には二枚の硝子板の間に
空隙を設けて二重構造としたものがあり、これは寒冷地
における建造物の室内の保温のために広く利用されてい
る。また、可視光は透過するが赤外光は反射する機能を
有する薄膜を硝子表面に形成した断熱硝子も考案され、
実用化されている。しかし、これらは取扱いに注意を
要する、破損の際に硝子が飛散し危険である、といっ
た欠点を有していた。
【0003】それらの問題を解決するために考案された
のが、透明高分子シートまたはフィルムの表面に前述し
た機能を有する薄膜を形成した透明断熱積層体を硝子に
貼り合わせた透明断熱窓である。これは透明断熱シート
またはフィルムを硝子に貼り合わせることによって、硝
子が破損したときの飛散を防止する機能を有するもので
ある。高分子は摩耗によって傷が付き易く、実際には透
明断熱積層体の両側から二枚の硝子板を貼り合わせ、外
部と接触する機会を除いた透明断熱窓が開発された。ま
た特に、高分子フィルムの表面に薄膜を形成すること
は、ロール・ツ・ロールで生産が行われるので生産性が
良いばかりでなく、硝子板の表面に直接薄膜を形成する
よりも大面積化が容易となった。
【0004】また、窓材としては硝子板に限定されるも
のではなく、透明なプラスチック板、例えばアクリル板
やポリカーボネート板を使用しても軽量かつ割れにくい
断熱窓を製造することができる。
【0005】可視光は透過させるが赤外光は反射させて
透過させない機能を有する薄膜としては、広い光学的バ
ンドギャップと高い自由電子密度を有する半導体薄膜が
知られている。具体的にはアンチモンを含有した酸化錫
や、錫を含有したインジウムが代表例として知られてい
る。他には、金属の厚みを可視光に対して透明性を維持
できる程度にした薄膜もある。具体的には金、銀、銅、
アルミニウム、ニッケル、タングステン等が知られてい
るが、可視光領域に吸収のない銀が最も最適な材料であ
る。これらの技術の詳細については、例えば、食品流通
技術(第17巻、第3号、11頁〜14頁)や表面科学
(第16巻、第1号、73頁〜77頁)に記載されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】透明断熱積層体を硝子
板やプラスチック板等の支持板に貼り合わせて断熱窓を
形成する方法には、効率的にしかも大面積の窓が生産で
きるが、貼り合わせる加工が必須であるため、積層体と
支持板との間に空泡やゴミが混入する恐れがある。空泡
やゴミの混入は窓としての透明性を落とす重大な欠陥と
なる。
【0007】さらに問題となっているのは、この手法は
ローラーを用いて高分子シートと板とを貼り合わせるた
め曲面を持った断熱窓の製造が困難なことである。自動
車の前部及び後部の窓や屋根部分の窓に断熱効果を付与
することは、夏期における自動車内の温度上昇を抑制す
るのみならず、温度調節効果を高めるためエネルギーの
節約にもなる。しかしながらこれらの部位には曲面を持
った窓が要求されるため工業的に断熱効果をもった窓を
製造するのが困難であった。
【0008】その問題点を解決するためには透明断熱積
層体と支持板とを貼り合わせる加工作業をなくすことが
必要である。そのためには支持板を成形加工する際に透
明断熱積層体をも組み込んで成形し、同時に接着を行っ
てしまう手法が考えられる。その手法では窓材としては
プラスチックを使用し、プラスチック支持板を射出成形
する際に透明断熱積層体を成形用金型の中に組み込んで
おき、そこへ支持板材料となるプラスチックを射出する
のが簡便である。透明なプラスチックの窓材としては、
ポリカーボネート樹脂が硬度、透明性において優れてお
り、ポリカーボネート樹脂を支持板材料として曲面を有
する透明断熱窓が製造できれば、割れない断熱窓として
自動車用、建築用に使用できる。
【0009】しかしながら、従来の透明断熱積層体を金
型の中に組み込んでポリカーボネートを射出成形する
と、十分な密着性が得られず、積層体と射出成形体が簡
単に剥離してしまう。
【0010】本発明の目的は、ポリカーボネートを射出
成形して得られる窓材の射出成形時に、成形と同時に接
着させることのできる透明断熱積層体を提供することで
あり、さらには曲面を有する断熱窓を工業的に有利に製
造する方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに本発明者等が鋭意調査したところ、基材にポリカー
ボネートを使用し、その上に透明断熱機能を有する透明
赤外反射膜を形成し、さらにその上にポリウレタン系樹
脂層、またはポリエステルウレタン系樹脂層を形成して
透明断熱積層体を得て、この透明断熱積層体を金型の中
に設置してポリカーボネートを射出成形することで、十
分な密着力をもつ透明断熱体が得られることを見いだし
本発明に到達した。
【0012】即ち本発明は、(1) シート状またはフ
ィルム状のポリカーボネート(A)の片面または両面に
少なくとも透明赤外反射膜(B)を形成されてなり、か
つ日射透過率が70%以下である積層体の透明赤外反射
膜(B)の上にポリウレタン系またはポリエステルウレ
タン系樹脂層(C)が形成された透明断熱積層体、
(2) 積層体の可視光透過率が50%以上であること
を特徴とする(1)に記載の透明断熱積層体、(3)
積層体の可視光透過率が20%以上、50%未満である
ことを特徴とする(1)に記載の透明断熱積層体、
(4) 透明赤外反射膜(B)が銀を主成分とする金属
薄膜であることを特徴とする(1)乃至(3)に記載の
透明断熱積層体、(5) 銀を主成分とする金属薄膜
に、銅、パラジウム、金のうち少なくとも一種を含むこ
とを特徴とする(4)に記載の透明断熱積層体、(6)
透明赤外反射膜(B)が、高屈折率薄膜と金属薄膜と
が繰り返して形成された積層構成を有することを特徴と
する(1)乃至(5)に記載の透明断熱積層体、(7)
高屈折率薄膜が酸化インジウム、酸化錫、または酸化
亜鉛を主成分とすることを特徴とする(6)に記載の透
明断熱積層体、(8) ポリカーボネート(A)が、波
長300nm〜350nmの紫外光を遮断する機能を有
することを特徴とする(1)乃至(7)に記載の透明断
熱積層体、(9) (1)乃至(8)のいずれかに記載
の透明断熱積層体の接着剤層(C)の上に、ポリカーボ
ネート樹脂を射出成形して得られることを特徴とする透
明断熱体、(10) 射出成形して得られるポリカーボ
ネート成形体が曲面を有することを特徴とする透明断熱
体、(11) (1)乃至(8)のいずれかに記載の透
明断熱積層体の接着剤層(C)の上に、ポリカーボネー
ト樹脂を射出成形し、ポリカーボネート成形体と透明断
熱積層体とを接着させることを特徴とする透明断熱体の
製造方法に関するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の透明断熱積層体は、シー
ト状またはフィルム状の透明なポリカーボネート(A)
の片面または両面に少なくとも透明赤外反射膜(B)を
形成されてなり、かつ日射透過率が70%以下である積
層体の一方の該透明赤外反射膜(B)の上に、ポリウレ
タン系またはポリエステルウレタン系接着剤(C)が形
成されてなるものである。
【0014】図1は本発明の透明断熱積層体の最も基本
的な構成を断面から示したものである。シート状または
フィルム状のポリカーボネート(A)11の上に、透明
赤外反射膜12、ポリウレタン系またはポリエステルウ
レタン系接着剤層13が形成されて、本発明の透明断熱
積層体10が得られる。
【0015】本発明ではシート状またはフィルム状のポ
リカーボネートを使用する。透明赤外反射膜を形成する
面がある程度平滑であり、可視光透過率が75%以上、
好ましくは80%以上であれば市販されているものを使
用できる。透明赤外反射膜を形成する面が平滑でない
と、凹凸によって膜状の透明赤外反射層が形成できな
い。可視光透過率が低いと透明赤外反射膜を形成した後
の積層体が透明でなくなる。
【0016】本発明ではシート状またはフィルム状のポ
リカーボネートを使用する。ロール状に巻くことができ
るものをフィルム、巻くことができないものをシートと
いう。従って厚さによってシート状とフィルム状とに区
別され明確な境界厚さがあるわけではない。一般的には
200μm以下の厚さのポリカーボネートはロール状に
巻くことができるためフィルムといい、200μmより
厚いものはシートという。本発明では平面状のポリカー
ボネートであればシート状、フィルム状のいずれも使用
できる。ロール状であるものがロール・ツ・ロールによ
る連続大量生産に適しており、経済的に透明断熱積層体
を製造することができる。
【0017】従来、高分子フィルムを基材とする透明断
熱積層体には高透明であり耐衝撃性にも優れた性能を有
するポリエチレンテレフタレートが多く用いられ、実際
に実用化され市販されているのもポリエチレンテレフタ
レートを使用したものである。しかしながら、ポリエチ
レンテレフタレートは熱衝撃性に弱い。これを基材に用
いた透明断熱積層体を金型の壁面近傍に設置してポリカ
ーボネートを射出成形すると、ポリエチレンテレフタレ
ートが熱により構造破壊を起こしポリカーボネートと接
着しない。破壊した射出成形後の試料を詳細に調査して
みると、ポリエチレンテレフタレートの透明赤外反射膜
との界面近傍付近で層状に破壊が生じて、射出成形した
ポリカーボネートと透明断熱積層体とが剥離してしまう
ことが判明した。
【0018】そこで我々は、様々な材料の基材について
検討を行った結果、(1)透明赤外反射膜がその面上に
形成できる、(2)金型の中に設置してポリカーボネー
トを射出成形しても破壊しない、という2つの条件をポ
リカーボネートが満たすことを見いだしたのである。
【0019】基材となるポリカーボネートシートまたは
フィルムにあらかじめ紫外線吸収剤等を混入させ、紫外
線を遮断する機能を付与させてもよい。紫外線を遮断す
る機能を有するものとして、波長300nm〜350n
mの紫外光に対する光線透過率が20%以下のものが好
ましく、より好ましくは10%以下のものである。
【0020】近年、人の肌の健康と美容の点から紫外線
を遮断する製品の需要が増しているが、本発明品なる透
明断熱積層体にも基材に紫外線を遮断する機能を有する
ものを使用すれば、断熱効果だけでなく紫外線遮断をも
兼ね備えた透明断熱積層体が得られるのである。特に本
発明品を、自動車の窓に使用する場合には自動車に乗る
人が日光に曝される機会が多いため、紫外線遮断の機能
が付与されればその効果は大きい。
【0021】本発明においては、かかるシート状または
フィルム状のポリカーボネートの片面または両面に透明
赤外反射膜を形成する。ここでいう透明赤外反射膜とは
可視光(波長が400nm〜800nmの光)に対して
は透明で、赤外光(波長が780nm〜1800nmの
光)は反射して透過させない機能を有する薄膜である。
さらに具体的に説明すれば、基材となるポリカーボネー
トの面上に該薄膜を形成した積層体の日射透過率が70
%以下となる薄膜である。
【0022】可視光透過率については透明断熱体の用途
に応じて設計すれば良い。なるべく透明断熱体の向こう
側をはっきりと見たいという場合には可視光透過率は5
0%以上とするのが好ましく、逆に透明断熱体の向こう
側からあまりはっきりとは見られたくないという場合に
は可視光透過率は20%以上、50未満が好ましい。な
お、本発明でいう可視光透過率、及び日射透過率とはJ
IS−R−3106において光学的に求める試験方法が
規定されている光学的特性値である。
【0023】可視光透過率が20%より低いとこれを窓
材として使用したときに室内に取り込まれる光の量が少
なくなり室内が暗くなってしまう。日射透過率が高いと
室温上昇をまねく赤外光成分が室内に透過してしまうた
め断熱効果が失われる。すなわち日射透過率は低く、可
視光透過率は50%以上、若しくは20%以上50%未
満のものが透明断熱積層体として使用できるのである。
上記の光学特性を満たす積層体ができれば透明赤外反射
膜は片面のみに形成しても両面に形成されていても構わ
ない。通常片面の形成で光学特性を満足する透明断熱積
層体が得られるので、いたずらに加工工程を増やして両
面に形成する必要はない。
【0024】上記のような光学的特性を有する薄膜材料
としては金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、タング
ステン等の金属が知られており、これらを高分子シート
やフィルムの面上に可視光を透過させるほどの厚さに形
成した透明断熱シートや透明断熱フィルムはすでに実用
化され多くの特許出願がなされている(例えば、特開昭
54−85282、特開昭54−85283、特開昭6
3−134232、特開昭63−239044、特開平
02−289339、特開平03−178430等)。
本発明における透明赤外反射膜もこれらの先行技術を利
用することができるが、なかでも可視光領域に吸収のな
い銀は最も好適に使用できる。
【0025】銀薄膜は光学特性に優れており透明反射膜
として使用できる。耐候性があまりよくなく高湿度雰囲
気に暴露されたり強い光があてられると、銀薄膜が凝集
をおこし所々に直径1μm〜50μm程度の銀粒子を形
成する。遂にその部分が白っぽく見えるようになってし
まい、美観が著しく損なわれる。このように窓としては
重大な欠陥が生じることがある。そこで、銀薄膜の耐候
性を向上させるには、銅、パラジウム、金、またはこれ
らの二種類以上を銀薄膜に混入させる方法がある。混入
させる量は銀薄膜の光学特性を損なわない程度であれば
よいが、1重量%〜50重量%が適当である。混入量が
少なすぎると銀薄膜の耐候性を向上させるのに寄与しな
い。逆に多すぎると銀薄膜の可視光透過率が低下し光学
的特性が損なわれる。
【0026】基材の面上に1層の金属薄膜が形成されて
いると、本来高い光線透過率の要求される可視光までも
反射してしまい、結果的に可視光反射率を低減させるこ
とになる。透明赤外反射膜はその光学的特性を向上させ
る目的で金属薄膜と高屈折率薄膜との繰り返し積層構成
を有するものとしてもかまわない。
【0027】本手法は反射防止膜の技術を応用したもの
で詳細は「光学薄膜ユーザーズハンドブック:Jame
s D.Rancourt著(日刊工業新聞社、199
1年)」の101頁〜111頁に記載されており、適当
な厚さに設定した高屈折率薄膜と金属薄膜とを繰り返し
積層することにより特定の波長(例えば可視光領域の5
50nm)の反射を選択的に低減させることができる。
本手法に従えば結果的に日射透過率を低減させることな
く、可視光透過率を選択的に高めることができるのであ
る。
【0028】高屈折率薄膜の高屈折率とは、可視光領域
である550nmの光に対して1.6以上、好ましくは
1.7以上の屈折率をいう。高屈折率薄膜の材料として
は屈折率が高いこと以外に、(1)金属薄膜との密着性
が良いこと、(2)可視光に対して透明であること、
(3)薄膜形成が可能なこと、等が挙げられる。代表的
な材料としては酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸
化チタン等が挙げられる。
【0029】透明赤外反射膜の形成方法の詳細を以下に
記述する。ここでは該膜に最も適している材料である銀
薄膜の形成方法について記述する。他の金属材料であっ
ても基本的に原料を変更すれば銀薄膜の形成方法と同じ
手法によって透明赤外反射膜を形成することができる。
【0030】銀薄膜の形成法は、湿式法及び乾式法があ
る。湿式法とはいわゆるメッキ法の総称であり、溶液か
ら銀を析出させ膜を形成する方法であり、銀鏡反応等が
ある。一方、乾式法とは、真空成膜法の総称であり、抵
抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イ
オンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着
法、スパッタ法等がある。とりわけ、本発明には連続的
に成膜するロール・ツ・ロール方式が可能な真空成膜法
が好ましく用いられる。
【0031】真空蒸着法とは真空容器の中で金属の原材
料を電子ビーム、抵抗加熱、誘導加熱等で溶融させ蒸気
圧を上昇させて蒸発させ、基材上に付着させる手法をい
う。なお必要に応じて蒸着時にアルゴン、窒素等のガス
を、好ましくは10mPa以上、真空容器内に導入して
プラズマを形成させても良い。
【0032】スパッタ法では、DCマグネトロンスパッ
タ法、RFマグネトロンスパッタ法、イオンビームスパ
ッタ法、ECRスパッタ法、コンベンショナルRFスパ
ッタ法、コンベンショナルDCスパッタ法等を使用し得
る。スパッタ法においては、原材料は銀の板状のターゲ
ットを用いればよい。スパッタガスにはヘリウム、ネオ
ン、アルゴン、クリプトン、キセノン等を使用し得る
が、好ましくはアルゴンが用いられる。ガスの純度は9
9.0%以上が好ましいが、より好ましくは99.5%
以上である。
【0033】本発明では基材にシート状またはフィルム
状のポリカーボネートを使用する。真空成膜法を採用す
る場合には、ポリカーボネートは比較的吸水率の高い材
料であることに注意しなければならない。ポリカーボネ
ートを容器の中にいれて真空にすると、吸水していた水
分が徐々に放出されて、真空排気の時間が長くなった
り、形成された透明赤外反射膜に水分が不純物として取
り込まれ、基材との密着性が低下したり、膜そのものの
耐候性や光学特性を落とすことになるからである。その
ため、真空成膜法により透明赤外反射膜を形成する際に
は熱処理等で十分に乾燥させたポリカーボネートシート
またはフィルムを使用しなければならない。
【0034】銀薄膜の厚さは5nm〜50nmが好まし
く、より好ましくは7nm〜40nmである。銀薄膜は
透明赤外反射膜として形成し、赤外光を反射させ日射透
過率を低くするために設ける膜である。その厚みは前記
要求を満たす厚みとしなければならない。他の材料につ
いても同じことである。金属薄膜の厚さを厚くしていけ
ば日射透過率は低下する。該膜が薄すぎると十分な赤外
光反射が得られず日射透過率が高くなってしまう。逆に
該層が厚すぎると可視光を透過しなくなるのでこれもま
た好ましくない。銀薄膜の場合は、日射透過率70%以
下の光学特性を得られる厚さは5nm以上としなければ
ならなくなる。逆に50nmより厚いと透明性が損なわ
れるので好ましくない。従って銀薄膜の厚さは5nm〜
50nmの範囲で目標とする可視光透過率が得られる値
にすればよい。
【0035】具体的には可視光透過率を50%以上とし
たい時には7nm以上、15nm以下の厚さが、20%
以上、50%未満としたい時には15nmを越え、40
nm以下の厚みが好ましい範囲である。もちろん他の材
料を透明赤外反射膜として使用する場合にも、70%以
下の日射透過率が得られる範囲内の任意の厚さにすれば
よいのである。
【0036】銀薄膜の耐候性の向上を目的として銅、パ
ラジウム、金等を含有させる場合には、予め銀原料の中
に所定の量の銅、パラジウム、金を含有させておき、上
記に記述した手法と同様の手法で膜を形成することがで
きる。なお、膜厚の測定は、触針粗さ計、繰り返し反射
干渉計、マイクロバランス、水晶振動子法等がある。水
晶振動子法では成膜中に膜厚の測定が可能なので所望の
膜厚を得るのに適している。また、前もって成膜条件を
定めておき、試料基材上に成膜を行い、成膜時間と膜厚
の関係を調べた上で、成膜時間により膜厚を制御する方
法もある。
【0037】また光学特性の低下、特に可視光反射率の
著しい低下を及ぼさない程度のニッケル、鉄、コバル
ト、タングステン、モリブデン、タンタル、クロム、イ
ンジュウム、マンガン、チタン等の金属不純物が混入し
ていてもよい。
【0038】光学特性の向上を目的とした高屈折率薄膜
も、前述した薄膜形成技術である湿式法や乾式法を用い
て形成することができる。原料に所望の材料を用れば金
属薄膜を形成するのと同様の手法を用いることができ
る。例えば、酸化インジウム薄膜を形成する場合には酸
化インジウムを原料とした抵抗加熱式真空蒸着法、電子
ビーム加熱式真空蒸着法、スパッタ法等が使用できる。
酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛は可視光に対して透
明であるのに加え、導電性を有する。原料に導電性を必
要とされる手法である直流スパッタ法でもこれらを成膜
することができるため量産に適している。さらにこれら
の材料は金属薄膜と同じ手法により形成することができ
るので、連続的に積層体を形成することができる。また
別の成膜手法としては、インジウムを原料とし、真空容
器内に酸素また酸化性のガスを導入し膜を酸化させなが
ら形成するイオンプレーティング法や反応性スパッタ法
も使用できる。
【0039】光学特性を向上させるためには金属薄膜と
高屈折率薄膜との繰り返し積層数を増加させるのが好ま
しい。あまりにも積層数が多いと製造するのに多大な労
力をを要することになる。繰り返し積層数は7層程度で
十分な効果が得られる。
【0040】透明赤外反射膜をポリカーボネートの面上
に設ける際に、表面をコロナ放電処理、グロー放電処
理、表面化学処理、粗面化処理等で前処理することによ
り薄膜と高分子との密着性を向上させる上で効果があ
る。
【0041】本発明では透明赤外反射膜の上にさらにポ
リウレタン系接着剤層またはポリエステルウレタン系接
着剤層を形成する。これらの接着剤を透明赤外反射膜の
上に形成させるのは、射出成形させたポリカーボネート
と透明断熱積層体とを射出成形時に接着させるためであ
る。こららの接着剤を形成せずにポリカーボネートを射
出成形しても、射出成形されたポリカーボネート成形品
は、透明断熱積層体とは密着せず容易に分離してしまう
のである。
【0042】ポリウレタン系接着剤とはポリマー中にウ
レタン結合(−OCONH−)を含むポリウレタンの硬
化を利用した接着剤であり、ウレタン特有の柔軟性と優
れた接着性を有していることから、振動吸収性を要求さ
れる靴底等に利用されてきた。さらに、ポリウレタン系
接着剤は本発明に使用する接着剤として重要な特性とな
る熱衝撃性にも優れている。すなわち、ポリカーボネー
トを射出成形する際に、溶融したポリカーボネートが金
型に侵入して透明断熱積層体と接触した後の数秒間は、
溶融ポリカーボネートの温度である200℃〜300℃
に曝されることになる。ポリウレタン系接着剤はこの熱
衝撃に耐えるものである。しかも、ポリウレタン系接着
剤はウレタン特有の優れた柔軟性も有しているため、ポ
リカーボネートを射出成形した際に生じるストレスを緩
和し、クラック等の構造的欠陥が発生することもない。
【0043】ポリウレタン系接着剤の硬化反応のメカニ
ズムはすでによく知られたものであり、例えば「構造用
接着剤:中村考一編著(シーエムシー、1984年)」
の220頁〜234頁に詳細に記載されている。本発明
には、ポリウレタン系接着剤と同様の性能を有するポリ
エステルウレタン系接着剤も使用できる。
【0044】接着剤層を透明赤外反射膜上に形成する手
法としては従来公知の塗布法が採用でき、ブレードコー
タ、ロッドコータ、ナイフコータ、スクイズコータ、リ
バースロールコータ、トランスファロールコータ、グラ
ビアコータ、キスコータ等のコータを使用して塗布すれ
ばよい。これらの手法によればロール状のフィルムにも
連続的に接着剤を塗布することができるので生産性に優
れている。そのような場合には繰り出しロールから繰り
出したフィルムに接着剤を塗布して再び巻き取りロール
でフィルムを巻き取ることになる。巻き取ったフィルム
の重なりによってフィルム同士が接着してしまわないよ
うに、接着剤を塗布した面に離型紙やマスキングフィル
ムを挿入しておく必要がある。なかでもリバースロール
コータは広い粘度範囲にわったて均一な厚さの塗膜が形
成できるので広く用いられている方法である。これら接
着剤層を形成する手法の詳細は「コーティング方式:原
崎勇次著(槙書店、1979年)」に記載されている。
【0045】可視光に対する透明性を損なわない範囲で
均一に塗布できれば、接着剤層の厚さは特に制限されな
い。通常は0.1μm〜20μm程度である。該層が薄
すぎると接着剤が均一に形成されず、部分的に密着力が
低下する。逆に厚すぎると可撓性が低下する。接着剤層
の厚さは、接着剤の粘度を調節するかコーターの幅や塗
布速度を制御することで変えることができる。
【0046】接着剤層を形成したのとは反対側の面には
必要に応じて光学特性を損なわない範囲で、ハードコー
ト層、防汚層、紫外線吸収層等を形成しても構わない。
【0047】以上の如く作製された本発明の透明断熱積
層体は接着剤層側を表側に出して金型に設置して、ポリ
カーボネートを射出成形する。これによりそのポリカー
ボネートと密着して一体化するため、それをそのまま透
明断熱窓として使用することができる。従来は、透明断
熱積層体を支持体に貼り合わせる方法で透明断熱窓を製
造していた。この手法では、(1)透明断熱積層体の製
造、(2)支持体の成形、(3)透明断熱積層体と支持
体との貼り合わせ、の三工程を必要とした。本発明は上
記の(2)と(3)の工程を一工程で済ませてしまう画
期的な方法である。この発明がさらに画期的なのは、射
出成形に用いる金型に曲面を有しているものを使用すれ
ば、曲面を有する透明断熱窓を容易に得ることができる
点である。従来の貼り合わせる方法では、曲面を有する
支持体に透明断熱積層体を貼り合わせることが困難であ
った。とりわけ三次元的な曲面を有する支持体の場合に
は貼り合わせ加工は不可能であった。しかし、本発明の
手法によれば容易に曲面を有する透明断熱体を工業的に
生産することができる。
【0048】なお、今までに透明赤外反射膜の表面上に
樹脂層を形成する技術が既に考案されている(例えば、
特開昭57−107834や特開昭57−110443
等)。しかしながら、これら先行技術は反射膜の保護を
目的として樹脂層を形成させるものであり、接着剤とし
ての機能を持たせるために形成しているものではない。
ましてや射出成形時に成形品と接着し一体化してしまう
ことを想定しているものではない。本発明の、高分子を
基材に用いた透明断熱積層体を成形時に同時に成形品と
接着してしまうことは全く新しい方法を提供するもので
ある。
【0049】ポリカーボネートの射出成形は、従来公知
の成形機、例えば、スクリュー式射出成形機やプランジ
ャ式射出成形機やプリプラ式射出成形機等を用いること
ができる。金型の中に透明断熱積層体を設置させて成形
するため成形収縮率の小さくなるような条件を設定す
る。ポリカーボネートの成形収縮率は0.6%〜0.8
%である。成形収縮率が大きい場合には反りが生じた
り、さらには剥離が生じたりする恐れがある。成形収縮
率を小さくするための対策としては、シリンダ温度及び
金型温度を高めに設定することが有効である。
【0050】さらに本発明の製造方法に関する説明を図
2に従って記述する。図2は本発明に使用することので
きる射出成形機の一例を示すもので、スクリュー式射出
成形機である。ここで、51はスクリュー、52はホッ
パ、53は射出シリンダ、54はシフトシリンダ、55
はヒーター、56はノズル、57は金型であり、10は
金型内に設置された透明断熱積層体、30は射出成形に
よって得られる成形品を示す。本発明ではこの金型の内
部の壁面に透明断熱積層体を、接着剤層を形成した面が
金型に接するように設置し、ここへポリカーボネートを
射出成形する。
【0051】射出成形はポリカーボネートのペレットを
ホッパ(52)に投入し、ヒーター(55)で加熱させ
ながらスクリュー(51)を通して、溶融したポリカー
ボネートをノズル(56)で流量を調整して金型(5
7)に射出し成形品を得る。そのようにして取りだした
成形品は透明断熱積層体と一体となった透明断熱体であ
る。図2に示したように金型の形状によっては曲面を有
する透明断熱体が得られる。このようにして得られた透
明断熱体の断面図を図3に示した。ここで10は透明断
熱積層体、30は射出成形によって得られたポリカーボ
ネート成形体であり、40は本発明による手法で成形時
に透明断熱積層体が成形体に密着して得られた透明断熱
体である。
【0052】なお、ポリカーボネートを射出成形する際
の注意事項を以下に述べる。 (1)成形流動性が低いので、樹脂温度と射出圧力は高
めにする。ただし前述したように温度が高すぎると、成
形収縮によりクラックが入る恐れがある。 (2)ポリカーボネートは吸水率が高く、吸湿したまま
成形すると、加水分解を起こして脆くなるので、成形前
に樹脂を十分乾燥させる。
【0053】特に(2)に関してはポリカーボネートを
射出成形する際に特に重要であるので十分な配慮が必要
である。予め乾燥した容器に入れられた樹脂材料を用
い、さらにホッパでドライヤーにより乾燥させるか赤外
線加熱により乾燥させることが望ましい。
【0054】本発明品である透明断熱積層体の構成の分
析方法を以下に説明する。ポリカーボネートシートまた
はフィルム、透明赤外反射膜、接着剤層の各部の厚さ
は、その断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で測定でき
る。また、比較的厚いポリカーボネートまたはフィルム
の厚さはマイクロゲージにより測定できる。ポリカーボ
ネートシートまたはフィルムと接着剤層材料分析は、赤
外分光(IR)により行う。透明赤外反射膜の材料分析
は、蛍光X線分光(XRF)により行う。さらに、X線
マイクロアナライザ(EPMA)では蛍光X線分光より
微細な部分の元素分析を行う。また、透明赤外反射膜の
形成された透明断熱積層体を、その膜面からイオンビー
ムによりエッチングしながらオージェ電子分光(AE
S)をとることにより深さ方向の組成分析を行い、積層
構成の分析を行うことができる。
【0055】
【実施例】以下、実施例により本発明の実施の態様の一
例を説明する。
【0056】なお、実施例に記載された可視光透過率、
日射透過率はJIS−R−3106に準拠し、分光光度
計(日立製作所(株)製:U−3400)により波長3
40nm〜1800nmの光線に対する透過率を測定
し、その値から算出した。
【0057】(実施例1)ポリカーボネートフィルム
(厚さ200μm、可視光透過率=87%)の一方の面
に、アルゴン・酸素(酸素の分圧は全圧力の10%)混
合ガスをスパッタガスとした直流マグネトロンスパッタ
リング法で、純度99.9%の酸化インジウムをスパッ
タし、厚さ40nmの高屈折率薄膜層を得た。さらにそ
の上にアルゴンをスパッタガスとした直流マグネトロン
スパッタリング法で、純度99.9%の銀をスパッタ
し、厚さ10nmの金属薄膜層を得た。さらにその上に
前と同様の手法で、厚さ40nmの高屈折率薄膜層を
得、三層構成の透明赤外反射膜を得た。その、可視光透
過率、日射透過率を測定した。透明赤外反射膜の上にポ
リエステルウレタン系接着剤(東洋紡績(株)製:バイ
ロンUR1200)をリバースロールコータにより塗布
し100℃で乾燥させることにより、厚さ1μmの接着
剤層を形成し透明断熱積層体を得た。
【0058】(実施例2)接着剤をウレタン系接着剤
(積水化学(株)製:エスダインUX−10)に変更し
厚さを0.5μmとしたこと以外は、実施例1と同じ手
法により透明断熱積層体を得た。
【0059】(実施例3〜5)金属薄膜層の銀にパラジ
ウムを10重量%(実施例3)、銅を10重量%(実施
例4)、または金を10重量%(実施例5)含有させた
こと以外は、実施例1と同じ手法で透明断熱積層体を得
た。
【0060】(実施例6)高屈折率薄膜層を形成せず
に、金属薄膜層一層のみで透明断熱積層体を形成したこ
と以外は、実施例1と同じ手法で透明断熱積層体を得
た。
【0061】(実施例7)ポリカーボネートフィルム
(厚さ200μm、可視光透過率=87%)の一方の面
にアルゴン・酸素(酸素の分圧は全圧力の10%)混合
ガスをスパッタガスとした直流マグネトロンスパッタリ
ング法で、純度99.9%の酸化インジウムをスパッタ
し、厚さ50nmの高屈折率薄膜層を得た。さらにその
上にアルゴンをスパッタガスとした直流マグネトロンス
パッタリング法で、純度99.9%の銀をスパッタし、
厚さ22nmの金属薄膜層を得た。さらにその上に前と
同様の手法で、厚さ50nmの高屈折率薄膜層を得、三
層構成の透明赤外反射膜を得た。その、可視光透過率、
日射透過率を測定した後、透明赤外反射膜の上にポリエ
ステルウレタン系接着剤(東洋紡績(株)製:バイロン
UR1200)をリバースロールコータにより塗布し1
00℃で乾燥させることにより、厚さ1μmの接着剤層
を形成し透明断熱積層体を得た。
【0062】(実施例8〜10)金属薄膜層の銀にパラ
ジウムを10重量%(実施例8)、銅を10重量%(実
施例9)、または金を10重量%(実施例10)含有さ
せたこと以外は、実施例7と同じ手法で透明断熱積層体
を得た。
【0063】(比較例1)実施例1と同じ手法で透明赤
外反射膜を形成したが、接着剤層を形成しなかった。
【0064】(比較例2)実施例6と同じ手法で透明赤
外反射膜を形成したが、接着剤層を形成しなかった。
【0065】(比較例3)ポリカーボネートフィルムの
替わりにポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:
188μm)を使用したこと以外は、実施例1と同じ手
法により透明断熱積層体を得た。
【0066】以上の如く得られた透明断熱積層体の透明
赤外反射膜側を表に出して成形用金型の壁面に設置し、
スクリューインライン式射出成形機によりポリカーボネ
ート樹脂を射出成形した。その際、ポリカーボネートは
乾燥ペレットを使用し、シリンダ温度は250℃、金型
温度は100℃とし、スクリュー回転数は60rpm、
射出圧力は1500kg/cm2 (147MPa)、射
出時間は20秒であった。成形品を金型より取り出し透
明断熱積層体と射出成形されたポリカーボネートが密着
しているかどうか確認した。以上の結果を表1にまとめ
た。
【0067】
【表1】 上記の結果から本発明品なる透明断熱積層体は、射出成
形時に剥離が起きていないことが分かる。
【0068】
【発明の効果】本発明に従えば、ポリカーボネートを射
出成形する時に、成形と同時に接着させることのできる
透明断熱積層体を提供することであり、さらには曲面を
有する断熱窓の工業的に有利な製造方法を提供するもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透明断熱積層体の断面構造を示す図で
ある。
【図2】射出成形機の一例を示す図である。
【図3】本発明の透明断熱体の一例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
10 透明断熱積層体 11 ポリカーボネートシートまたはフィルム 12 透明赤外反射膜 13 接着剤層 30 ポリカーボネート成形体 40 透明断熱積層体が接着した透明断熱体 51 スクリュー 52 ホッパ 53 射出シリンダ 54 シフトシリンダ 55 ヒーター 56 ノズル 57 金型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G02B 5/26 G02B 5/26

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シート状またはフィルム状の透明なポリカ
    ーボネート(A)の片面または両面に少なくとも透明赤
    外反射膜(B)を形成されてなり、かつ日射透過率が7
    0%以下である積層体の透明赤外反射膜(B)の上に、
    ポリウレタン系またはポリエステルウレタン系接着剤層
    (C)が形成されてなることを特徴とする透明断熱積層
    体。
  2. 【請求項2】積層体の可視光透過率が50%以上である
    ことを特徴とする請求項1記載の透明断熱積層体。
  3. 【請求項3】積層体の可視光透過率が20%以上、50
    %未満であることを特徴とする請求項1記載の透明断熱
    積層体。
  4. 【請求項4】透明赤外反射膜(B)が銀を主成分とする
    金属薄膜であることを特徴とする請求項1乃至3記載の
    透明断熱積層体。
  5. 【請求項5】銀を主成分とする金属薄膜に、銅、パラジ
    ウム、金のうち少なくとも一種を含むことを特徴とする
    請求項4記載の透明断熱積層体。
  6. 【請求項6】 透明赤外反射膜(B)が高屈折率薄膜と
    金属薄膜とが3層以上交互に繰り返して形成された積層
    構成を有することを特徴とする請求項1乃至5記載の透
    明断熱積層体。
  7. 【請求項7】高屈折率薄膜が酸化インジウム、酸化錫、
    または酸化亜鉛を主成分とすることを特徴とする請求項
    6記載の透明断熱積層体。
  8. 【請求項8】ポリカーボネート(A)が、波長300n
    m〜350nmの紫外光を遮断する機能を有することを
    特徴とする請求項1乃至7記載の透明断熱積層体。
  9. 【請求項9】請求項1乃至8記載の透明断熱積層体の接
    着剤層(C)の上に、ポリカーボネート樹脂を射出成形
    して得られることを特徴とする透明断熱体。
  10. 【請求項10】射出成形されたポリカーボネート樹脂が
    曲面を有することを特徴とする請求項9記載の透明断熱
    体。
  11. 【請求項11】請求項1乃至8記載の透明断熱積層体の
    接着剤層(C)の上に、ポリカーボネート樹脂を射出成
    形し、ポリカーボネート成形体と透明断熱積層体とを接
    着させることを特徴とする透明断熱体の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6797396B1 (en) 2000-06-09 2004-09-28 3M Innovative Properties Company Wrinkle resistant infrared reflecting film and non-planar laminate articles made therefrom
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