JP2022131589A - ハードコート層付きフィルム、積層体、及び積層体の製造方法 - Google Patents

ハードコート層付きフィルム、積層体、及び積層体の製造方法 Download PDF

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Takahiro Nakai
遼太郎 横井
Ryotaro Yokoi
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【課題】密着性に優れ、外観が良好な積層体、及び加飾部材を与えるハードコート層付きフィルム、上記積層体、及び積層体の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】基体と、ハードコート層と、前記ハードコート層上に形成された金属光沢層と、を備え、前記ハードコート層は平均粒径が100nm以下の粒子を含み、前記ハードコート層の表面における、最大谷深さSv[nm]及び算術表面粗さSa[nm]が下記式(1)を満たす積層体。2.00[nm2]≦Sv×Sa≦11.5[nm2]・・式(1)【選択図】図5

Description

本発明は、ハードコート層付きフィルム、積層体、及び積層体の製造方法に関する。
従来、金属光沢や電磁波透過性を有する部材が、その金属光沢に由来する外観の高級感と、電磁波透過性とを兼ね備えることから、電磁波を送受信する装置に好適に用いられている。
金属光沢調の部材に金属を使用した場合には、電磁波の送受信が実質的に不可能、或いは、妨害されてしまう。したがって、電磁波の送受信を妨げることなく、意匠性を損なわせないために、金属光沢と電磁波透過性の双方を兼ね備えた電磁波透過性金属光沢部材が必要とされている。
このような電磁波透過性金属光沢部材は、電磁波を送受信する装置として、通信を必要とする様々な機器、例えば、スマートキーを設けた自動車のドアハンドル、車載通信機器、携帯電話、パソコン等の電子機器等への応用が期待されている。更に、近年では、IoT技術の発達に伴い、従来は通信等が行われることがなかった、冷蔵庫等の家電製品、生活機器等、幅広い分野での応用も期待されている。
電磁波透過性金属光沢部材に関して、特許文献1には、基体と、基体上に形成された金属層とを備え、金属層は、少なくとも一部において互いに不連続の状態にある複数の部分を含み、金属層の反射ヘイズが15HU以下である電磁波透過性金属光沢物品が開示されており、電磁波透過性と高い光輝性を両立し、優れた金属外観が得られる旨が記載されている。
特開2019-188809号公報
特許文献1に記載の電磁波透過性部材をはじめ、従来技術における金属光沢部材は、ヘイズ感のないクリアな反射を実現するために、一般的には平滑面に金属層を形成したものである。
しかしながら、平滑面に金属層を形成した場合、金属層上に粘着剤層を設けた際に、金属層と粘着剤層との密着性が十分ではないという課題が新たに生じた。この場合、金属光沢部材を上記粘着剤層を介して被着部材に貼付した加飾部材から金属光沢部材を剥がす際に、粘着剤が被着部材側に残ってしまい、リワーク性に劣る。
本願発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、粘着剤層との密着性に優れたハードコート層付きフィルム、積層体、及び粘着剤層との密着性に優れ、且つ、外観が良好な加飾部材を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、基体とハードコート層とを備えたハードコート層付きフィルムにおいて、ハードコート層に特定の平均粒径の粒子を含ませることでハードコート層の表面形状を特定の凹凸形状とし、金属層との密着性に優れたハードコート層付きフィルムが得られることを見出した。さらに、粘着剤層との密着性に優れ、且つ、外観が良好な積層体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
基体と、ハードコート層とを備え、
前記ハードコート層は平均粒径が100nm以下の粒子を含み、
前記ハードコート層の表面における、最大谷深さSv[nm]及び算術表面粗さSa[nm]が下記式(1)を満たす、ハードコート層付きフィルム。
2.00[nm]≦Sv×Sa≦11.5[nm]・・式(1)
〔2〕
基体と、ハードコート層と、前記ハードコート層上に形成された金属光沢層と、を備え、
前記ハードコート層は平均粒径が100nm以下の粒子を含み、
前記ハードコート層の表面における、最大谷深さSv[nm]及び算術表面粗さSa[nm]が下記式(1)を満たす積層体。
2.00[nm]≦Sv×Sa≦11.5[nm]・・式(1)
〔3〕
前記金属光沢層は、少なくとも一部において互いに不連続の状態にある複数の部分を含む、〔2〕に記載の積層体。
〔4〕
前記複数の部分は島状に形成されている、〔3〕に記載の積層体。
〔5〕
前記積層体の透過率が20%以上である〔2〕~〔4〕のいずれか1項に記載の積層体。
〔6〕
前記金属光沢層の前記ハードコート層側とは反対側の面上に、バリア層を備える、〔2〕~〔5〕のいずれか1項に記載の積層体。
〔7〕
前記ハードコート層と前記金属光沢層との間に無機酸化物含有層をさらに備える、〔2〕~〔6〕のいずれか1項に記載の積層体。
〔8〕
前記無機酸化物含有層が酸化インジウム含有層である、〔7〕に記載の積層体。
〔9〕
前記酸化インジウム含有層は、酸化インジウム(In)、インジウム錫酸化物(ITO)、又はインジウム亜鉛酸化物(IZO)のいずれかを含む、〔8〕に記載の積層体。
〔10〕
前記無機酸化物含有層は連続状態で設けられている、〔7〕~〔9〕のいずれか1項に記載の積層体。
〔11〕
前記無機酸化物含有層とハードコート層の間にバリア層を含む〔7〕~〔10〕のいずれか1項に記載の積層体。
〔12〕
前記金属光沢層がアルミニウム又はアルミニウム合金を含有する〔2〕~〔11〕のいずれか1項に記載の積層体。
〔13〕
前記金属光沢層の前記ハードコート層側とは反対側の面上に粘着剤層を備える、〔2〕~〔12〕のいずれか1項に記載の積層体。
〔14〕
被着部材と、〔13〕に記載の積層体とを備え、前記積層体が前記粘着剤層を介して前記被着部材に貼付されている、加飾部材。
〔15〕
(i)基体上にハードコート層を形成する工程、
(ii)前記ハードコート層上に金属光沢層を形成する工程、及び
(iii)粘着剤層及び剥離ライナーを備えた粘着シートにおける粘着剤層側の面の表面をコロナ処理した後に、前記金属光沢層の前記ハードコート層側とは反対側の面とを貼り合わせる工程を含み、
前記ハードコート層は平均粒径が100nm以下の粒子を含み、
前記ハードコート層の表面における、最大谷深さSv[nm]及び算術表面粗さSa[nm]が下記式(1)を満たす積層体の製造方法。
2.00[nm]≦Sv×Sa≦11.5[nm]・・式(1)
本発明によれば、密着性に優れ、外観が良好な積層体を与えるハードコート層付きフィルム、上記積層体、加飾部材、及び積層体の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態によるハードコート層付きフィルムの概略断面図である。 図2は、本発明の一実施形態による積層体の概略断面図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る積層体の金属光沢層の表面の電子顕微鏡写真(SEM画像)を示す図である。 図4は、本発明の一実施形態による積層体の金属層の膜厚の測定方法を説明するための図である。 図5は、本発明の一実施形態による積層体の概略断面図である。 図6は、本発明の一実施形態に係る積層体の金属光沢層の表面の電子顕微鏡写真(SEM画像)を示す図である。 図7(a)及び図7(b)は、本発明の一実施形態における粘着剤層を備えた積層体の製造方法を説明するための概略断面図である。 図8は、本発明の一実施形態に係る積層体の断面の電子顕微鏡写真(TEM画像)を示す図である。 図9は、本発明の一実施形態による加飾部材の概略断面図である。 図10は、実施例及び比較例の積層体のSv×Sa値と規格化ガラス接着力との関係を示す図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。以下においては、説明の便宜のために本発明の好適な実施形態のみを示すが、勿論、これによって本発明を限定しようとするものではない。
<基本構成>
(ハードコート層付きフィルム)
本発明の実施形態にかかるハードコート層付きフィルムは、基体と、ハードコート層とを備え、
前記ハードコート層は平均粒径が100nm以下の粒子を含み、
前記ハードコート層の表面における、最大谷深さSv[nm]及び算術表面粗さSa[nm]が下記式(1)を満たす。
2.00[nm]≦Sv×Sa≦11.5[nm]・・式(1)
図1に、本発明の一実施形態によるハードコート層付きフィルム1の概略断面図を示す。
図1に示すように、ハードコート層付きフィルム1は、基体10と、ハードコート層14とを含む。
ハードコート層14上には、基体10とは反対側の表面にバリア層等が設けられてもよい。
本発明の実施形態にかかるハードコート層付きフィルムにおいて、ハードコート層14は、平均粒径が100nm以下の粒子15を含み、ハードコート層の表面における、最大谷深さSv[nm]及び算術表面粗さSa[nm]が上記式(1)を満たす。
本発明の実施形態に係る積層体は、上記ハードコート層付きフィルムのハードコート層上に金属光沢層を形成した積層構造を有する。ハードコート層表面のSv×Sa値を2.00nm以上とし、ハードコート層の表面積を増加させることにより、積層体における金属光沢層の表面積をも増加させ、金属光沢層上に粘着剤層等をさらに積層させた際の粘着剤層との密着性を向上させることがアンカー効果により可能となる。また、Sv×Sa値を11.5nm以下とすることにより、金属光沢層の表面凹凸過多による散乱発生を抑制し、外観を良好にすることができる。
Sv×Sa値は、密着性向上の観点から、2.5nm以上であることが好ましく、3nm以上であることがより好ましい。また、外観良化の観点から、11.5nm以下であることが好ましく、7.5nm以下であることがより好ましい。
上記Sv×Sa値は、ハードコート層14に添加する粒子15の平均粒径や添加量によって適宜調整することができる。
ハードコート層の表面における、最大谷深さSv[nm]、及び算術表面粗さSa[nm]は、ISO 25178に準じ、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy;AFM)Dimemsion3100+NanoscopeV(Bruker製)、Si単結晶製カンチレバー、観察視野1μm×1μmを用いて、タッツピングモードにて測定した。
(積層体)
本発明の実施形態にかかる積層体は、基体と、ハードコート層と、前記ハードコート層上に形成された金属光沢層と、を備え、
前記ハードコート層は粒径が100nm以下の粒子を含み、
前記ハードコート層の表面における、最大谷深さSv[nm]及び算術表面粗さSa[nm]が下記式(1)を満たす。
2.00[nm]≦Sv×Sa≦11.5[nm]・・式(1)
図2に、本発明の一実施形態による積層体2の概略断面図を示す。
また、図3に本発明の一実施形態による積層体2の金属光沢層側の表面の電子顕微鏡写真(SEM画像)を示す図である。
図2に示すように、積層体2は、基体10と、ハードコート層14と、ハードコート層14の上に形成された、金属光沢層12とを含む。すなわち、上記ハードコート層付きフィルム1のハードコート層14上に金属光沢層12を備えた積層構造を有する。
金属光沢層12は、連続状態であってもよく、不連続状態であってもよい。
本発明の実施形態にかかる積層体は、ハードコート層14に平均粒径が100nm以下の粒子15を含み、ハードコート層の表面における、最大谷深さSv[nm]及び算術表面粗さSa[nm]が上記式(1)を満たす。
本発明の実施形態に係る積層体は、ハードコート層表面のSv×Sa値を2.00nm以上とし、ハードコート層の表面積を増加させることにより、図3に示すように、積層体における金属光沢層の表面積をも増加させ、金属光沢層上に粘着剤層をさらに積層させた際の粘着剤層との密着性を向上させることが可能となる。また、Sv×Sa値を11.5nm以下とすることにより、金属光沢層の表面凹凸過多による散乱発生を抑制し、外観を良好にすることができる。
上記Sv×Sa値は、ハードコート層14に添加する粒子15の平均粒径や添加量によって適宜調整することができる。
本発明の実施形態にかかる積層体2のハードコート層の表面における、最大谷深さSv[nm]、及び算術表面粗さSa[nm]の測定方法、Sv値、Sa値、及びSv×Sa値の好ましい範囲は、ハードコート層付きフィルムの説明において上述したとおりである。
本発明の実施形態にかかる積層体において、
前記金属光沢層は、少なくとも一部において互いに不連続の状態にある複数の部分を含んでいることが好ましい。
本実施形態の積層体における金属光沢層12がハードコート層上で不連続状態である場合、電波透過減衰量が小さくなり、電磁波透過性が得られ、電磁波透過性部材とすることができる。
図5に、本発明の一実施形態による積層体3の概略断面図を示す。また、図6に、金属光沢層の不連続構造について説明するため、本発明の一実施形態による積層体3の金属光沢層の表面の電子顕微鏡写真(SEM画像)の一例を示す。
図8に、本発明の一実施形態による積層体3の断面の電子顕微鏡写真(TEM画像)の一例を示す。
図5に示すように、積層体3は、基体10と、ハードコート層14と、ハードコート層14の上に形成された、金属光沢層12とを含む。すなわち、上記ハードコート層付きフィルム1のハードコート層14上に金属光沢層12を備えた積層構造を有する。積層体3は、ハードコート層14と金属光沢層12との間に無機酸化物含有層11をさらに備えていてもよく、無機酸化物含有層11は酸化インジウム含有層であってもよい。金属光沢層12は酸化インジウム含有層の上に形成されることが好ましい。
無機酸化物含有層11は、ハードコート層14の面に設けられている。無機酸化物含有層11は、ハードコート層14の面に直接設けられていてもよいし、ハードコート層14の面に設けた保護膜等を介して間接的に設けられてもよい。無機酸化物含有層11は、ハードコート層14の面に連続状態で、言い換えれば、隙間なく、設けるのが好ましい。連続状態で設けることにより、無機酸化物含有層11、ひいては、積層体3の耐食性を向上させることができ、また、無機酸化物含有層11を面内にばらつきなく成膜することも容易となる。
金属光沢層12は無機酸化物含有層11に積層される。金属光沢層12は複数の部分12aを含んでいてもよい。無機酸化物含有層11に積層されることにより、これらの部分12aは、少なくとも一部において互いに不連続の状態、言い換えれば、少なくとも一部において隙間12bによって隔てられる。隙間12bによって隔てられるため、これらの部分12aのシート抵抗は大きくなり、電波との相互作用が低下するため、電波を透過させることができる。これらの各部分12aは金属を蒸着、スパッタ等することによって形成されたスパッタ粒子の集合体である。スパッタ粒子がハードコート層14等のハードコート層上で薄膜を形成する際には、ハードコート層上での粒子の表面拡散性が薄膜の形状に影響を及ぼす。
なお、本明細書でいう「不連続の状態」とは、隙間12bによって互いに隔てられており、この結果、互いに電気的に絶縁されている状態を意味する。電気的に絶縁されることにより、シート抵抗が大きくなり、所望とする電磁波透過性が得られることになる。不連続の形態は、特に限定されるものではなく、例えば、島状構造、クラック構造等が含まれる。
ここで「島状構造」とは、図6の積層体の金属光沢層の表面の電子顕微鏡写真(SEM画像)に示されているように、スパッタ粒子の集合体である粒子同士が各々独立しており、それらの粒子が、互いに僅かに離間し又は一部接触した状態で敷き詰められてなる構造を意味する。
また、クラック構造とは、金属薄膜がクラックにより分断された構造である。
クラック構造の金属光沢層12は、例えばハードコート層上に形成した無機酸化物含有層上に、金属薄膜層を設け、屈曲延伸して金属薄膜層にクラックを生じさせることにより形成することができる。この際、無機酸化物含有層と金属薄膜層の間に伸縮性に乏しい、即ち延伸によりクラックを生成しやすい素材からなる脆性層を設けることにより、容易にクラック構造の金属光沢層12を形成することができる。
上述のとおり金属光沢層12が不連続となる態様は特に限定されないが、生産性の観点からは「島状構造」とすることが好ましい。
本発明の実施形態にかかる積層体は、ハードコート層14に平均粒径が100nm以下の粒子15を含み、ハードコート層の表面における、最大谷深さSv[nm]及び算術表面粗さSa[nm]が上記式(1)を満たす。
本発明の実施形態に係る積層体は、ハードコート層表面のSv×Sa値を2.00nm以上とし、ハードコート層の表面積を増加させることにより、積層体における金属光沢層の表面積が増加しているものである。これにより、金属光沢層上に粘着剤層をさらに積層させた際の粘着剤層との密着性を向上させることが可能となる。また、Sv×Sa値を11.5nm以下とすることにより、金属光沢層の表面凹凸過多による散乱発生を抑制し、外観を良好にすることができる。
上記Sv×Sa値は、ハードコート層14に添加する粒子15の平均粒径や添加量によって適宜調整することができる。
本発明の実施形態にかかる積層体3のハードコート層の表面における、最大谷深さSv[nm]、及び算術表面粗さSa[nm]の測定方法、Sv値、Sa値、及びSv×Sa値の好ましい範囲は、ハードコート層付きフィルムの説明において上述したとおりである。
積層体3の透過率は20%以上であることが好ましい。積層体3の透過率は実施例に記載の方法により測定することができる。
また、積層体3が電磁波透過性部材である場合の電磁波透過性は、シート抵抗と相関を有する。
マイクロ波帯域(28GHz)における電波透過減衰量は、10[-dB]未満であることが好ましく、5[-dB]未満であることがより好ましく、2[-dB]未満であることが更に好ましい。マイクロ波帯域(28GHz)における電波透過減衰量が10[-dB]以上であると、90%以上の電波が遮断されるという問題がある。
電磁波透過性部材の電波透過減衰量及びシート抵抗は、無機酸化物含有層11や金属光沢層12の材質や厚さ等により影響を受ける。
<基体>
本実施形態にかかるハードコート層付きフィルム、積層体、及び加飾部材において、基体10としては、樹脂、ガラス、セラミックス等が挙げられる。特に積層体、及び加飾部材が電磁波透過性部材である場合においては、電磁波透過性の観点から上記基体が好ましい。
基体10は、基材フィルム、樹脂成型物基材、ガラス基材、又は金属光沢を付与すべき物品のいずれかであってもよい。
より具体的には、基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリスチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン、ポリシクロオレフィン、ポリウレタン、アクリル(PMMA)、ABSなどの単独重合体や共重合体からなる透明フィルムを用いることができる。
これらの部材によれば、光輝性や電磁波透過性に影響を与えることもない。但し、無機酸化物含有層11や金属光沢層12を後に形成する観点から、蒸着やスパッタ等の高温に耐え得るものであることが好ましく、従って、上記材料の中でも、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ABS、ポリプロピレン、ポリウレタンが好ましい。なかでも、耐熱性とコストとのバランスがよいことからポリエチレンテレフタレートやシクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、アクリルが好ましい。
基材フィルムは、単層フィルムでもよいし積層フィルムでもよい。加工のし易さ等から、厚さは、例えば、6μm~250μm程度が好ましい。基材フィルムの厚みは、例えば、膜厚計(ダイヤルゲージ)を用いて測定することができる。
基材フィルムは、ハードコート層14との付着力を強くするために、プラズマ処理や易接着処理などが施されてもよい。
ここで、基材フィルムは、その表面上にハードコート層14、又はハードコート層14及び金属光沢層12を形成することができる対象(基体10)の一例にすぎない点に注意すべきである。基体10には、上記のとおり基材フィルムの他、樹脂成型物基材、ガラス基材、金属光沢を付与すべき物品それ自体も含まれる。樹脂成型物基材、及び金属光沢を付与すべき物品としては、例えば、車両用構造部品、車両搭載用品、電子機器の筐体、家電機器の筐体、構造用部品、機械部品、種々の自動車用部品、電子機器用部品、家具、台所用品等の家財向け用途、医療機器、建築資材の部品、その他の構造用部品や外装用部品等が挙げられる。
<ハードコート層>
本実施形態にかかるハードコート層付きフィルム1、積層体2、及び積層体3は、平均粒径が100nm以下の粒子15を含むハードコート層14を含有する。
ハードコート層に粒子15を含ませ、ハードコート層の基体10とは反対側の表面における、最大谷深さSv[nm]及び算術表面粗さSa[nm]が上記式(1)を満たすように調整することにより、密着性に優れ、且つ、外観が良好な積層体や加飾部材とすることが可能となる。
ハードコート層は、硬化性樹脂及び粒子15を含有するハードコート塗工液を塗布する事により形成できる。
硬化性樹脂としては、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等が挙げられる。硬化性樹脂の種類としてはポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、アミド系、シリコーン系、シリケート系、エポキシ系、メラミン系、オキセタン系、アクリルウレタン系等の各種の樹脂があげられる。これら硬化性樹脂は、一種または二種以上を、適宜に選択して使用できる。これらの中でも、硬度が高く、紫外線硬化が可能で生産性に優れることから、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、およびエポキシ系樹脂が好ましい。
粒子15としては、無機粒子、有機粒子などが挙げられる。無機粒子としては、例えば、シリカ粒子、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫などからなる金属酸化物粒子、炭酸カルシウムなどの炭酸塩粒子などが挙げられる。有機粒子としては、例えば、架橋アクリル樹脂粒子などが挙げられる。粒子は、単独使用または2種以上併用することができる。
粒子15は平均粒径が3μm以下である。平均粒径が3μmを超えると、表面凹凸形状過多となりやすく、外観の悪化につながるため好ましくない。密着性向上及び外観良化の観点から、平均粒径は、20~1000nmであることが好ましく、20~200nmであることがより好ましい。平均粒径は、例えばナノ粒子解析装置などを用いて、測定することができる。
ハードコート層中の粒子の含有量としては、ハードコート層表面のSv×Sa値が上記式(1)を満たす範囲において、適宜調整されるが、例えば、硬化性樹脂に対して、10~200質量%程度含むことが好ましい。
ハードコート塗工液は、さらに、レベリング剤、チクソトロピー剤、帯電防止剤などの公知の添加剤を含有することができる。
ハードコート層14の厚みは、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.5μm以上であり、また、例えば、10μm以下、好ましくは、3μm以下である。ハードコート層14の厚みは、例えば、走査電子顕微鏡(SEM)もしくは透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた断面観察もしくは、膜厚計(ダイヤルゲージ)、光学干渉膜厚計などにより測定することができる。
金属光沢層12は、ハードコート層上に形成することができ、ハードコート層の表面の一部に形成してもよく、ハードコート層の表面の全てに形成してもよい。
<無機酸化物含有層>
一実施形態に係る積層体3は、図5に示されるように、ハードコート層14と金属光沢層12の間に、無機酸化物含有層11をさらに備えてもよい。無機酸化物含有層11は、ハードコート層14の面に直接設けられていてもよいし、ハードコート層14の面に設けられた保護膜等を介して間接的に設けられてもよい。無機酸化物含有層11は、ハードコート層14の面に連続状態で、言い換えれば、隙間なく、設けられるのが好ましい。連続状態で設けられることにより、無機酸化物含有層11、ひいては、金属光沢層12や、積層体3の耐食性を向上させることができ、また、無機酸化物含有層11を面内ばらつきなく成膜することも容易となる。
このように、ハードコート層14と金属光沢層12の間に、無機酸化物含有層11をさらに備えること、すなわち、ハードコート層14の上に無機酸化物含有層11を形成し、その上に金属光沢層12を形成することによれば、金属光沢層12を不連続の状態で形成しやすくなるため好ましい。そのメカニズムの詳細は必ずしも明らかではないが、金属の蒸着やスパッタによるスパッタ粒子がハードコート層上で薄膜を形成する際には、ハードコート層上での粒子の表面拡散性が薄膜の形状に影響を及ぼし、ハードコート層の温度が高く、ハードコート層に対する金属光沢層の濡れ性が小さく、金属光沢層の材料の融点が低い方が不連続構造を形成しやすいと考えられる。そして、ハードコート層上に無機酸化物含有層を設けることにより、その表面上の金属粒子の表面拡散性が促進されて、金属光沢層を不連続の状態で成長させやすくなると考えられる。
無機酸化物含有層11としては、酸化インジウム含有層や酸化ケイ素(SiO、SiOx)含有層などが挙げられるが、酸化インジウム含有層であることが好ましい。
酸化インジウム含有層は、酸化インジウム(In)、インジウム錫酸化物(ITO)、又はインジウム亜鉛酸化物(IZO)のいずれかを含むことが好ましい。酸化インジウム含有層として、酸化インジウム(In)そのものを使用することもできるし、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)や、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属含有物を使用することもできる。但し、第二の金属を含有したITOやIZOの方が、スパッタリング工程での放電安定性が高い点で、より好ましい。これらの無機酸化物含有層11を用いることにより、ハードコート層の面に沿って連続状態の膜を形成することもでき、また、この場合には、無機酸化物含有層の上に積層される金属光沢層を、例えば、島状の不連続構造としやすくなるため、好ましい。更に、後述するように、この場合には、金属光沢層に、すず(Sn)又はインジウム(In)だけでなく、通常は不連続構造になり難く、本用途には適用が難しかった、アルミニウム又はアルミニウム合金を含めやすくなる。
ITOに含まれる酸化錫(SnО)の質量比率である含有率(含有率=(SnO/(In+SnO))×100)は特に限定されるものではないが、例えば、2.5質量%~30質量%、より好ましくは、3質量%~10質量%である。また、IZOに含まれる酸化亜鉛(ZnO)の質量比率である含有率(含有率=(ZnO/(In+ZnO))×100)は、例えば、2質量%~20質量%である。
無機酸化物含有層11の厚さは、シート抵抗や電磁波透過性、生産性の観点、及びハードコート層14の表面凹凸形状を金属光沢層12の表面に反映させ、金属光沢層の表面積増加による粘着剤層との密着性向上を図る観点から、通常50nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、10nm以下が更に好ましい。一方、積層される金属光沢層12を不連続状態としやすくするためには、1nm以上であることが好ましく、確実に不連続状態にしやすくするためには、1.5nm以上であることがより好ましく、2nm以上であることが更に好ましい。
無機酸化物含有層11の厚みは、例えば、TEMを用いた断面観察で測定することができる。
<金属光沢層>
本実施形態の積層体2における金属光沢層12は、ハードコート層14上に形成される。金属光沢層12は、ハードコート層上で連続状態であっても不連続の状態であってもよい。
また、本実施形態の積層体における金属光沢層12はハードコート層14上に形成され、少なくとも一部において互いに不連続の状態にある複数の部分を含むことが好ましい。
上述したとおり、本実施形態の積層体における金属光沢層12がハードコート層上で不連続状態である場合、電波透過減衰量が小さくなり、電磁波透過性が得られ、電磁波透過性部材とすることができる。
金属光沢層12がハードコート層上で不連続状態となるメカニズムの詳細は必ずしも明らかではないが、おおよそ、次のようなものであると推測される。即ち、金属光沢層12の薄膜形成プロセスにおいて、不連続構造の形成しやすさは、金属光沢層12が付与されるハードコート層上での表面拡散と関連性があり、ハードコート層の温度が高く、ハードコート層に対する金属光沢層の濡れ性が小さく、金属光沢層の材料の融点が低い方が不連続構造を形成しやすい、というものである。従って、以下の実施例で特に使用したアルミニウム(Al))以外の金属についても、スズ(Sn)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、銅(Cu)、銀(Ag)などの比較的融点の低い金属については、同様の手法で不連続構造を形成しうると考えられる。
金属光沢層12は、十分な光輝性を発揮し得ることは勿論、融点が比較的低いものであることが望ましい。金属光沢層12は、スパッタリングを用いた薄膜成長によって形成するのが好ましいためである。このような理由から、金属光沢層12としては、融点が約1000℃以下の金属が適しており、例えば、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、銅(Cu)、銀(Ag)から選択された少なくとも一種の金属、および該金属を主成分とする合金のいずれかを含むことが好ましい。特に、物質の光輝性や安定性、価格等の理由からアルミニウム(Al)、スズ(Sn)、インジウム(In)から選択された少なくとも一種の金属又はその合金を含むことが好ましく、アルミニウム又はアルミニウム合金を含むことがより好ましい。また、アルミニウム合金を用いる場合には、アルミニウム含有量を50質量%以上とすることが好ましい。
金属層が少なくとも一部において互いに不連続の状態にある複数の部分を含む場合、金属光沢層12の部分12aの円相当径は特に限定されないが、通常10~1000nm程度である。複数の部分12aの平均粒径とは、複数の部分12aの円相当径の平均値を意味する。
部分12aの円相当径とは、部分12aの面積に相当する真円の直径のことである。
また、各部分12a同士の距離は特に限定されないが、通常は10~1000nm程度である。
金属光沢層が含む互いに不連続の状態にある複数の部分12aの平均粒径を上記の範囲とすることにより、高い電磁波透過性を維持したまま、光輝性がより向上できる。
金属光沢層12の厚さは、光輝性を発揮するには3nm以上であることが好ましく、4nm以上であることがより好ましく、5nm以上であることがさらに好ましい。また、電波透過性を維持する観点から100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、40nm以下であることがさらに好ましい。
金属光沢層12の厚さは、例えば、TEMを用いた断面観察で測定することができる。
例えば、積層体から、図4に示すように一辺5cmの正方形領域30を適当に抽出し、該正方形領域30の縦辺及び横辺それぞれの中心線A、Bをそれぞれ4等分することによって得られる計5箇所の点「a」~「e」を測定箇所として選択できる。
次いで、選択した測定箇所それぞれにおける断面画像(透過型電子顕微鏡写真(TEM画像))を測定し、得られたTEM画像から、5個以上の金属粒子が含まれる視野角領域を抽出する。
5箇所の測定箇所それぞれにおいて抽出された視野角領域における金属層の総断面積を視野角領域の横幅で割ったものを各視野角領域の金属層の膜厚とし、5箇所の測定箇所それぞれにおける、各視野角領域の金属層の膜厚の平均値を金属層の厚み(nm)とすることができる。
金属光沢層12のシート抵抗は、100Ω/□以上であるのが好ましい。この場合、電磁波透過性は、5GHzの波長において、10[-dB]程度以下となる。更に好ましくは、1000Ω/□以上である。
無機酸化物含有層を更に設ける場合、電磁波透過性部材のシート抵抗も、100Ω/□以上であるのが好ましい。
シート抵抗は、電磁波透過性の観点から、200Ω/□以上であるのがより好ましく、600Ω/□以上であることが更に好ましく、より更に好ましくは、1000Ω/□以上である。このシート抵抗の値は、金属光沢層の材質や厚さは勿論のこと、下地層である無機酸化物含有層の材質や厚さからも大きな影響を受ける。よって、無機酸化物含有層を設ける場合は、無機酸化物含有層との関係も考慮したうえで設定する必要がある。
<バリア層>
一実施形態に係る積層体3は、図5に示すように、金属光沢層12のハードコート層14側とは反対側の面上にバリア層16を備えていてもよい。
バリア層は、金属光沢層12の酸化(腐食)を抑制するための層である。バリア層は、金属および半金属の少なくとも1種の酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化炭化物、窒化炭化物および酸化窒化炭化物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。金属としては、例えば、アルミニウム、チタン、インジウム、マグネシウムなどを用いることができ、半金属としては、例えば、ケイ素、ビスマス、ゲルマニウムなどを用いることができる。
具体的には、例えばZnO+Al(AZO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウム錫(ITO)、酸化炭化窒化ケイ素膜(SiOCN)、酸化窒化ケイ素膜(SiON)、窒化ケイ素膜(SiN)、SiO、AlO、AlON、TiO等を用いることができる。
また、バリア性の向上のためには、バリア層は水蒸気を透過しにくいことが好ましい。バリア層の水蒸気の透過の度合いは種々の方法により評価できるが、例えば、水蒸気透過量を用いて評価することができる。バリア性の向上のためには、当該水蒸気透過量が3g/m・day以下であることが好ましく、1g/m・day以下であることがより好ましく、0.5g/m・day以下であることが更に好ましい。
バリア層の水蒸気透過量は、例えば、MOCON社製水蒸気透過度測定装置PERMATRAN-W Model3/33を用いて測定することができる。
バリア層16の厚みは特に限定はされないが、バリア性を向上させるためには5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、20nm以上が更に好ましい。また、生産性や屈曲性の観点から100nm以下が好ましく、70nm以下がより好ましく、50nm以下が更に好ましい。
バリア層の厚みは、例えば、TEMを用いた断面観察で測定することができる。
また、金属光沢層12の酸化(腐食)をより一層抑制するために、バリア層は金属光沢層とハードコート層との間にさらに設けられてもよい。
積層体3が無機酸化物含有層を備える場合は、無機酸化物含有層11と金属光沢層12の間にバリア層を設けてもよく、無機酸化物含有層11とハードコート層14の間にバリア層を設けてもよい。
<粘着剤層>
本実施形態の積層体及び加飾部材は、金属光沢層のハードコート層側とは反対側の面上に粘着剤層を備えていてもよい。
図7は、本発明の一実施形態における粘着剤層を備えた積層体の製造方法を説明するための概略断面図であり、図7(b)は本発明の一実施形態による粘着剤層を備えた積層体の概略断面図である。
例えば、図7(b)に示す積層体3は、金属光沢層12のハードコート層側とは反対側の面上に粘着剤層13を備えていてもよい。図7(b)に示すとおり、金属光沢層12上にバリア層16を備える場合は、バリア層16上に粘着剤層13を形成してもよい。
本実施形態の粘着剤層を備えた積層体3は、粘着剤層13を介して被着部材に貼付されて用いられてもよい。例えば、積層体3を、粘着剤層13を介して透明な被着部材に貼付することで被着部材を内側から装飾することができる。
積層体が透明な被着部材の視認される側(以下、外側ともいう)の面とは反対側(以下、内側ともいう)の面に対して粘着剤層13を介して貼付された場合、被着部材を通して粘着剤層13と、金属光沢層12が視認される。透明な被着部材としては、例えば、ガラスやプラスチックからなる部材を使用することができるが、これに限定されるものではない。
粘着剤層は、透明粘着剤からなる層であることが好ましい。本実施形態の積層体は、粘着剤層を介して被着部材に貼付されて用いられてもよい。例えば、基体が基材フィルムやガラス基材の場合、粘着剤層を介して透明な被着部材に貼付することで被着部材を内側から装飾することができる。
粘着剤層を形成する粘着剤は透明粘着剤であれば特に限定されず、例えばアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、及びポリエーテル系粘着剤のいずれかを単独で、或いは、2種類以上を組み合わせて使用することができる。透明性、加工性及び耐久性などの観点から、アクリル系粘着剤を用いることが好ましい。
粘着剤層の厚みは特に限定されないが、薄くすることで最終製品構成の薄型化への寄与や可視光透過性や膜厚精度、平坦性を向上させることができるため、100μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。
粘着剤層13の上には、被着部材に貼付する際まで粘着剤層13を保護するために、剥離ライナー17を設けてもよい。
本実施形態の積層体及び加飾部材には、本発明の効果を奏する限りにおいて上述のハードコート層、金属光沢層、無機酸化物含有層、バリア層、粘着剤層の他に、用途に応じてその他の層を設けてもよい。その他の層としては色味等の外観を調整するための高屈折材料等の光学調整層(色味調整層)、耐湿性や耐擦傷性等の耐久性を向上させるための保護層(耐擦傷性層)等が挙げられる。
<積層体の製造>
積層体の製造方法の一例について、説明する。特に説明しないが、基材フィルム以外の基体を用いた場合についても同様の方法で製造することができる。
本実施形態の積層体の製造方法は、
(i)基体上にハードコート層を形成する工程、
(ii)前記ハードコート層上に金属光沢層を形成する工程、及び
(iii)粘着剤層及び剥離ライナーを備えた粘着シートにおける粘着剤層側の面の表面をコロナ処理した後に、前記金属光沢層の前記ハードコート層側とは反対側の面とを貼り合わせる工程を含み、
前記ハードコート層は平均粒径が100nm以下の粒子を含み、
前記ハードコート層の表面における、最大谷深さSv[nm]及び算術表面粗さSa[nm]が下記式(1)を満たす。
2.00[nm]≦Sv×Sa≦11.5[nm]・・式(1)
(i)基体上にハードコート層を形成する工程
まず、基体10上にハードコート層14を形成する。ハードコート層は、硬化性樹脂及び粒子15を含有するハードコート塗工液を塗布することにより形成できる。
上記ハードコート塗工液の塗布方法は、特に制限されず、当該分野における通常の塗布方法が適用できる。具体的には、ドクターブレードコーティング、マイヤーバーコーティング、ロールコーティング、スクリーンコーティング、スピナーコーティング、インクジェットコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティングなどが挙げられる。
また、基体へのハードコート塗工液の塗布量は、特に制限されず、ハードコート層の厚みによって適宜調整される。好ましくは、乾燥後のハードコート層の厚みが好ましい範囲になるような量のハードコート塗工液を、基体の処理面に塗布することが好ましい。
(ii)ハードコート層上に金属光沢層を形成する工程
ハードコート層14上に金属光沢層12を形成するにあたっては、例えば、真空蒸着、スパッタリング等の方法を用いることができる。
ハードコート層14上に無機酸化物含有層11を形成する場合には、上記工程(i)の後、工程(ii)の前に、無機酸化物含有層11を、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等によって形成する。但し、大面積でも厚さを厳密に制御できる点から、スパッタリングが好ましい。
尚、ハードコート層14と金属光沢層12の間に無機酸化物含有層11を設ける場合、無機酸化物含有層11と金属光沢層12の間には、他の層を介在させずに直接接触させるのが好ましい。
金属光沢層12上にバリア層16を形成する場合には、上記工程(ii)の後、下記工程(iii)の前に、バリア層16を、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等によって形成する。
(iii)粘着剤層及び剥離ライナーを備えた粘着シートにおける粘着剤層側の面の表面をコロナ処理した後に、金属光沢層のハードコート層側とは反対側の面とを貼り合わせる工程
図7は、本発明の一実施形態における粘着剤層を備えた積層体の製造方法を説明するための概略断面図である。
金属光沢層上に粘着剤層を設ける場合には、図7(a)に示すように、粘着剤層13及び剥離ライナー17を備えた粘着シート4を作成し、金属光沢層12のハードコート層14とは反対側の面と貼り合わせ、図7(b)に示す粘着剤層13を備えた積層体3とすることもできる。
本実施形態における積層体3は、剥離ライナー17を剥離することにより、粘着剤層13を介して被着部材に貼付することができる。
粘着シート4は、剥離ライナー17上に粘着剤組成物を塗布等することにより形成できる。
粘着剤組成物の塗布は、慣用のコーター、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなどを用いて行うことができる。乾燥温度は、適宜採用可能であるが、好ましくは40℃~200℃であり、さらに好ましくは、50℃~180℃であり、特に好ましくは70℃~120℃である。乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。上記乾燥時間は、好ましくは5秒~20分、さらに好ましくは5秒~10分、特に好ましくは、10秒~5分である。
粘着シート4における粘着剤層側の表面Xには、使用に供するまでの間、粘着剤層を保護するために、別の剥離ライナーを設けてもよい。
粘着シートにおける粘着剤層側の表面は、コロナ処理が施されていても良い。すなわち、上記工程(iii)の前に、粘着シート4における粘着剤層13側の表面Xをコロナ処理する工程を含んでいても良い。
コロナ処理により粘着剤層の表面改質を行うことによって、粘着剤層と、積層体における被着面との密着性をさらに向上することが可能となる。
粘着剤層の表面をコロナ処理する方法としては、例えば下記の方法が挙げられる。
円筒形セラミック上部電極と、金属板下部電極を有するコロナ処理装置の下部電極上に、粘着シートにおける粘着剤層側の面を上に向け設置する。上部電極と下部電極間に高周波・高電圧を印加し、コロナ放電が発生する事を確認した後、下部電極を上部電極の長辺方向に対して垂直に移動させ、粘着剤層の表面をコロナ放電にさらす事で、表面改質を行う。
コロナ処理における放電量としては、10~400w・min/mが好ましく、40~100w・min/mがより好ましい。
<加飾部材>
本実施形態に係る加飾部材は、被着部材と、上述の積層体とを備え、前記積層体3が粘着剤層を介して被着部材に貼付されている。
図9に、本発明の一実施形態による加飾部材5の概略断面図を示す。本発明の一実施形態による加飾部材5は、積層体3が被着部材6に貼付された状態の概略断面図である。本実施形態の加飾部材5は、基体10(基材フィルム)、ハードコート層14、無機酸化物含有層11、金属光沢層12、バリア層16及び粘着剤層13を備えた積層体3が被着部材6に貼付されている。
積層体3は、透明な被着部材6の内側の面に貼付して用いてもよい。透明な被着部材6としては、例えば、ガラスやプラスチックからなる部材を使用することもできるが、これに限定されるものではない。
積層体3を被着部材6に貼付する方法は特に限定されないが、例えば真空成形により貼付することができる。真空成形とは、積層体3を加熱軟化しつつ展張し、積層体3の被着部材側の空間を減圧し、必要に応じ反対側の空間を加圧することにより、積層体3を被着部材の表面の三次元立体形状に沿って成形しつつ貼付積層する方法である。
積層体3としては、上述の説明をそのまま援用し得る。
<積層体、及び加飾部材の用途>
本実施形態の積層体及び加飾部材は、優れた外観を有し、様々な装置や部品等に使用することができる。また、本実施形態の積層体の一態様である電磁波透過性部材は電磁波透過性を有することから電磁波を送受信する装置や物品及びその部品等に使用することが好ましい。
例えば、車両用構造部品、車両搭載用品、電子機器の筐体、家電機器の筐体、構造用部品、機械部品、種々の自動車用部品、電子機器用部品、家具、台所用品等の家財向け用途、医療機器、建築資材の部品、その他の構造用部品や外装用部品等が挙げられる。
より具体的には、車両関係では、インスツルメントパネル、コンソールボックス、ドアノブ、ドアトリム、シフトレバー、ペダル類、グローブボックス、バンパー、ボンネット、フェンダー、トランク、ドア、ルーフ、ピラー、座席シート、ステアリングホイール、ECUボックス、電装部品、エンジン周辺部品、駆動系・ギア周辺部品、吸気・排気系部品、冷却系部品等が挙げられる。
電子機器および家電機器としてより具体的には、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、電子レンジ、エアコン、照明機器、電気湯沸かし器、テレビ、時計、換気扇、プロジェクター、スピーカー等の家電製品類、パソコン、携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラ、タブレット型PC、携帯音楽プレーヤー、携帯ゲーム機、充電器、電池等電子情報機器等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、基体10としては、基材フィルムを用いた。
[比較例1]
基体として基材フィルム(東レ株式会社製PETフィルム50-U483(厚さ50μm))を用い、基材フィルム上に、紫外線硬化樹脂(V6841;DIC製)および光開始剤Omnirad184からなるハードコート塗工液を塗布することにより、厚み1.5μmの紫外線硬化樹脂層(ハードコート層)を備えたハードコート層付きフィルムを作製した。後述の方法により算出したハードコート層表面におけるSv×Sa値は、0.5nmであった。
次に、マグネトロンスパッタリング装置にITOターゲットを取り付け、Arガスを導入しながらスパッタリングをする事でハードコート層の表面に沿って、5nmの厚さのITO層をハードコート層の上に直接形成した。ITOに含まれる酸化錫(SnО)の含有率(含有率=(SnO/(In+SnO))×100)は10wt%である。
マグネトロンスパッタリング装置にアルミニウム(Al)ターゲットを取り付け、Arガスを導入しながらスパッタリングする事でITO層の上にAl層を6nm形成した。さらに、Arガスと酸素ガスの混合ガスを導入しながらスパッタリングする事でAl層の上にAlOx層を厚み20nmとなるように形成し、比較例1の積層体1を得た。
主剤SKダイン2094(綜研化学(株)製)1000gと硬化剤E-5AX(綜研化学(株)製)2.7gを混合し、粘着塗工液を得た。離型処理されたセパレータ1上に、粘着塗工液を塗布し、80℃×1分間で乾燥し、厚み25μmの粘着剤層を形成した。粘着剤層上に離型処理されたセパレータ2をハンドローラーで貼り合せ、25℃で1週間エージングし、粘着シートを得た。
上記粘着シートのセパレータ2を剥離し、ハンドローラーで積層体1のAlOx層面と貼り合せ、粘着剤層を備えた比較例1の積層体2を得た。
[実施例1]
基体として基材フィルム(東レ株式会社製PETフィルム50-U483(厚さ50μm))を用い、基材フィルム上に、紫外線硬化樹脂(V6841;DIC製)、および光開始剤Omnirad184及びナノシリカ粒子(MEK-ST-ZL;日産化学(株)製、平均粒径80nm)を質量比で100:2:40となるように混合して得られたハードコート塗工液を塗布することにより、厚み1.5μmのナノシリカ粒子を含有する紫外線硬化樹脂層(ハードコート層)を備えた実施例1のハードコート層付きフィルムを作製した。後述の方法により算出したハードコート層表面におけるSv×Sa値は、2.1nmであった。その他は比較例1と同じ方法で実施例1の、積層体1及び粘着剤層を備えた積層体2を得た。
[実施例2~5、比較例2]
ハードコート層表面におけるSv×Sa値が表1に記載の値となるようにナノシリカ粒子の添加量を増加させた以外は実施例1と同様にして、実施例2~5、比較例2の、積層体1及び粘着剤層を備えた積層体2を得た。
[比較例3]
粘着シートとして、透明粘着剤CS9861UAS(日東電工(株)製)を用いた以外は、比較例1と同じ方法でハードコート層付きフィルム、比較例3の積層体1及び粘着剤層を備えた比較例3の積層体2を得た。後述の方法により算出したハードコート層表面におけるSv×Sa値は、0.5nmであった。
[実施例6]
基体として基材フィルム(東レ株式会社製PETフィルム50-U483(厚さ50μm))を用い、基材フィルム上に、紫外線硬化樹脂(V6841;DIC製)、および光開始剤Omnirad184及びナノシリカ粒子(MEK-ST-ZL;日産化学(株)製、平均粒径80nm)を質量比で100:2:40となるように混合して得られたハードコート塗工液を塗布することにより、厚み1.5μmのナノシリカ粒子を含有する紫外線硬化樹脂層(ハードコート層)を備えた実施例6のハードコート層付きフィルムを作製した。後述の方法により算出したハードコート層表面におけるSv×Sa値は、2.1nmであった。その他は比較例3と同じ方法で実施例6の、積層体1及び粘着剤層を備えた積層体2を得た。
[実施例7~10、比較例4]
ハードコート層表面におけるSv×Sa値が表1に記載の値となるようにナノシリカ粒子の添加量を増加させた以外は実施例6と同様にして、実施例7~10、比較例4の、ハードコート層付きフィルム、積層体1及び粘着剤層を備えた積層体2を得た。
[比較例5]
基体として基材フィルム(東レ株式会社製PETフィルム50-U483(厚さ50μm))を用い、基材フィルム上に、紫外線硬化樹脂(V6841;DIC製)からなるハードコート塗工液を塗布することにより、厚み1.5μmの紫外線硬化樹脂層(ハードコート層)を備えたハードコート層付きフィルムを作製した。後述の方法により算出したハードコート層表面におけるSv×Sa値は、0.5nmであった。
次に、マグネトロンスパッタリング装置にITOターゲットを取り付け、Arガスを導入しながらスパッタリングをする事でハードコート層の表面に沿って、5nmの厚さのITO層をハードコート層の上に直接形成した。ITOに含まれる酸化錫(SnО)の含有率(含有率=(SnO/(In+SnO))×100)は10wt%である。
マグネトロンスパッタリング装置にアルミニウム(Al)ターゲットを取り付け、Arガスを導入しながらスパッタリングする事でITO層の上にAl層を6nm形成した。さらに、Arガスと酸素ガスの混合ガスを導入しながらスパッタリングする事でAl層の上にAlOx層を厚み20nmとなるように形成し、比較例5の、積層体1及び粘着剤層を備えた積層体2を得た。
主剤SKダイン2094(綜研化学(株)製)1000gと硬化剤E-5AX(綜研化学(株)製)2.5gを混合し、粘着塗工液を得た。離型処理されたセパレータ1上に、粘着塗工液を塗布し、80℃×1分間で乾燥し、厚み25μmの粘着剤層を形成した。粘着剤層上に離型処理されたセパレータ2をハンドローラーで貼り合せ、25℃で1週間エージングし、粘着シートを得た。
上記粘着シートのセパレータ2を剥離し、粘着剤層側表面を60W・min/mでコロナ処理した後、コロナ処理面と積層体1のAlOx層面とをハンドローラーで貼り合せ、粘着剤層を備えた比較例5の積層体2を得た。
[実施例11]
基体として基材フィルム(東レ株式会社製PETフィルム50-U483(厚さ50μm)を用い、基材フィルム上に、紫外線硬化樹脂(V6841;DIC製)および光開始剤Omnirad184、及びナノシリカ粒子(MEK-ST-ZL;日産化学(株)製、平均粒径80nm)を質量比で100:2:80となるように混合して得られたハードコート塗工液を塗布することにより、厚み1.5μmのナノシリカ粒子を含有する紫外線硬化樹脂層(ハードコート層)を備えた実施例11のハードコート層付きフィルムを作製した。後述の方法により算出したハードコート層表面におけるSv×Sa値は、3.3nmであった。その他は比較例5と同じ方法で実施例11の、積層体1及び粘着剤層を備えた積層体2を得た。
評価方法の詳細は以下のとおりである。
<Sv×Sa値>
各実施例及び比較例で作製したハードコート層付きフィルムのハードコート層の表面における、最大谷深さSv[nm]、及び算術表面粗さSa[nm]を、ISO 25178に準じ、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy;AFM)Dimemsion3100+NanoscopeV(Bruker製)、Si単結晶製カンチレバー、観察視野1μm×1μmを用いて、タッツピングモードにて測定しSv×Sa値(Sv*Sa[nm])とした。
<透過率測定>
各実施例及び比較例で作製したガラス/OCA/スパッタ層/HC層/PET構成について、可視光領域における透過率(全光線透過率)を、積分球式分光透過率測定器 DOT-3C((株)村上色彩研究所製)を用いて測定した。
<投錨力測定>
水縁磨ガラスS200423(松浪硝子工業(株)製)に、透明粘着剤CS9861UAS(日東電工(株)製)のセパレータを剥離しハンドローラーで貼り合せた後、もう一方のセパレータを剥離し、125テトライトOES(尾池工業(株)製)の蒸着面とは反対側をハンドローラーで貼り合せ、投錨力測定支持体を得た。
各実施例及び比較例で作製した積層体2を25mm×150mmにカットし、セパレータ1を剥離し、ハンドローラーで投錨力支持体の125テトライトOESの蒸着面に貼り合せて、投錨力測定サンプルを得た。投錨力測定サンプルを、引張試験機オートグラフAG-XD plus((株)島津製作所製)を用い、300mm/min.のピール速度で積層体2の引張試験を行い、投錨力[N]を得た。
<規格化投錨力>
実施例1~5、比較例1、2の投錨力を比較例1の投錨力で除したものを実施例1~5、比較例1、2の規格化投錨力[%]とした。
実施例6~10、比較例3、4の投錨力を比較例3の投錨力で除したものを実施例6~10、比較例3、4の規格化投錨力[%]とした。
実施例11、比較例5の投錨力を比較例5の投錨力で除したものを実施例11及び比較例5の規格化投錨力[%]とした。
<投錨力評価>
上記規格化投錨力が108%以上のものを○、規格化投錨力が100%超108%未満のものを△、100%以下のものを×とした。
<外観評価>
蛍光灯一般環境下で、製膜面の反射を観察し、鏡面状に反射するものを〇、散乱があり、白っぽく反射しているものを×とした。
以下の表1に評価結果を示す。また、実施例と比較例の積層体のSv×Sa値と規格化ガラス接着力との関係を図10に示す。
Figure 2022131589000002
表1から明らかなように、Sv×Sa値が上記式(1)を満たす実施例1~11の積層体は、ハードコート層に粒子を含まず、Sv×Sa値が2.00nm未満である比較例1、3、及び5の積層体に比べて、粘着剤層との密着性(投錨力)が向上した。また、外観も良好であった。
Sv×Sa値が11.5nm超である比較例2及び4においては、外観不良となった。
本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
本発明に係るハードコート層付きフィルム、積層体、及び電磁波透過性物品は、優れた外観を有し、様々な装置や部品等に使用することができる。例えば、車両用構造部品、車両搭載用品、電子機器の筐体、家電機器の筐体、構造用部品、機械部品、種々の自動車用部品、電子機器用部品、家具、台所用品等の家財向け用途、医療機器、建築資材の部品、その他の構造用部品や外装用部品等、意匠性と電磁波透過性の双方が要求される様々な用途にも利用できる。
1 ハードコート層付きフィルム
2、3 積層体
4 粘着シート
5 加飾部材
6 被着部材
10 基体
11 無機酸化物含有層
12 金属光沢層
12a 部分
12b 隙間
13 粘着剤層
14 ハードコート層
15 粒子
16 バリア層
17 剥離ライナー
X 粘着シートにおける粘着剤層側表面

Claims (15)

  1. 基体と、ハードコート層とを備え、
    前記ハードコート層は平均粒径が100nm以下の粒子を含み、
    前記ハードコート層の表面における、最大谷深さSv[nm]及び算術表面粗さSa[nm]が下記式(1)を満たす、ハードコート層付きフィルム。
    2.00[nm]≦Sv×Sa≦11.5[nm]・・式(1)
  2. 基体と、ハードコート層と、前記ハードコート層上に形成された金属光沢層と、を備え、
    前記ハードコート層は平均粒径が100nm以下の粒子を含み、
    前記ハードコート層の表面における、最大谷深さSv[nm]及び算術表面粗さSa[nm]が下記式(1)を満たす積層体。
    2.00[nm]≦Sv×Sa≦11.5[nm]・・式(1)
  3. 前記金属光沢層は、少なくとも一部において互いに不連続の状態にある複数の部分を含む、請求項2に記載の積層体。
  4. 前記複数の部分は島状に形成されている、請求項3に記載の積層体。
  5. 前記積層体の透過率が20%以上である請求項2~4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記金属光沢層の前記ハードコート層側とは反対側の面上に、バリア層を備える、請求項2~5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記ハードコート層と前記金属光沢層との間に無機酸化物含有層をさらに備える、請求項2~6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記無機酸化物含有層が酸化インジウム含有層である、請求項7に記載の積層体。
  9. 前記酸化インジウム含有層は、酸化インジウム(In)、インジウム錫酸化物(ITO)、又はインジウム亜鉛酸化物(IZO)のいずれかを含む、請求項8に記載の積層体。
  10. 前記無機酸化物含有層は連続状態で設けられている、請求項7~9のいずれか1項に記載の積層体。
  11. 前記無機酸化物含有層とハードコート層の間にバリア層を含む請求項7~10のいずれか1項に記載の積層体。
  12. 前記金属光沢層がアルミニウム又はアルミニウム合金を含有する請求項2~11のいずれか1項に記載の積層体。
  13. 前記金属光沢層の前記ハードコート層側とは反対側の面上に粘着剤層を備える、請求項2~12のいずれか1項に記載の積層体。
  14. 被着部材と、請求項13に記載の積層体とを備え、前記積層体が前記粘着剤層を介して前記被着部材に貼付されている、加飾部材。
  15. (i)基体上にハードコート層を形成する工程、
    (ii)前記ハードコート層上に金属光沢層を形成する工程、及び
    (iii)粘着剤層及び剥離ライナーを備えた粘着シートにおける粘着剤層側の面の表面をコロナ処理した後に、前記金属光沢層の前記ハードコート層側とは反対側の面とを貼り合わせる工程を含み、
    前記ハードコート層は平均粒径が100nm以下の粒子を含み、
    前記ハードコート層の表面における、最大谷深さSv[nm]及び算術表面粗さSa[nm]が下記式(1)を満たす積層体の製造方法。
    2.00[nm]≦Sv×Sa≦11.5[nm]・・式(1)
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