JP2022102748A - 積層体及び加飾部材 - Google Patents

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Ryotaro Yokoi
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Abstract

【課題】良好な金属光沢を有し、かつ透明性にも優れ、金属光沢層を有する面の反対側の面における反射率が高い積層体及び加飾部材を提供する。【解決手段】本発明は、基体と、前記基体上に形成された金属光沢層と、光学調整層とを備えた積層体であって、前記積層体における基体側の面は、波長365nmの光の反射率が20%以上であり、前記積層体における基体の金属光沢層を形成した側の面に、波長380nm~780nmの光を入射させた際の、透過光のCIE-XYZ表色系におけるY値である透過Y値が20%以上である積層体に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、積層体及び加飾部材に関する。
従来、電磁波透過性及び金属光沢を有する装飾部材としては、基材に例えばインジウム等の金属を真空蒸着して得られる、島状構造を有する金属層を形成した部材が知られている。
このような部材は、その金属光沢に由来する外観の高級感と、電磁波透過性とを兼ね備えることから、電磁波を送受信する装置の装飾に好適に用いられている。例えば、携帯電話機やスマートフォン、コンピューター等の筐体や、自動車のフロント部分の装飾等に使用されている。さらに、近年ではIoT技術の発達に伴い、家電製品や生活機器等にも通信機能が備えられ、より幅広い分野での応用も期待される。
積層体に関して、特許文献1には、透明基材フィルムと、前記透明基材フィルムの片面上に形成された金属層とを備え、金属層は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる不連続な層であって、可視光を透過する層であり、光源は前記透明基材フィルムの金属層側とは反対側に配置され、光源とともに用いられる電磁波透過性ハーフミラー調フィルムが開示されている。
特開2019-123224号公報
電磁波透過性ハーフミラー調フィルムには、更に樹脂層等の他の層を積層させる場合があり、各層の形成に時間を要するため生産効率の改善が望まれている。
しかしながら、従来の技術においては、ハーフミラー調フィルムに他の層を積層する場合の生産効率について着目した検討はなされていない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、良好な金属光沢を有し、かつ透明性にも優れ、金属光沢層を有する面の反対側の面における反射率が高い積層体及び加飾部材を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、基体と、前記基体上に形成された金属光沢層と、光学調整層とを備え、積層体における基体側の面を、波長365nmの光の反射率が20%以上とし、積層体における基体の金属光沢層を形成した側の面に、波長380nm~780nmの光を入射させた際の、透過光のCIE-XYZ表色系におけるY値である透過Y値が20%以上である積層体とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
基体と、前記基体上に形成された金属光沢層と、光学調整層とを備えた積層体であって、
前記積層体における基体側の面は、波長365nmの光の反射率が20%以上であり、
前記積層体における基体の金属光沢層を形成した側の面に、波長380nm~780nmの光を入射させた際の、透過光のCIE-XYZ表色系におけるY値である透過Y値が20%以上である積層体。
〔2〕
前記光学調整層は、屈折率が1.75以上の高屈折率層を含む、〔1〕に記載の積層体。
〔3〕
前記金属光沢層は、少なくとも一部において互いに不連続の状態にある複数の部分を含む、〔1〕又は〔2〕に記載の積層体。
〔4〕
前記複数の部分は島状に形成されている、〔3〕に記載の積層体。
〔5〕
前記金属光沢層はアルミニウム又はアルミニウム合金を含有する、〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の積層体。
〔6〕
前記基体と前記金属光沢層との間に無機酸化物含有層をさらに備える、〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の積層体。
〔7〕
前記無機酸化物含有層が酸化インジウム含有層である、〔6〕に記載の積層体。
〔8〕
前記光学調整層が低屈折率層を更に含む、〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の積層体。
〔9〕
前記金属光沢層の厚さは、3nm~10nmである、〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の積層体。
〔10〕
前記基体は、基材フィルム、樹脂成型物基材、ガラス基材、または金属光沢を付与すべき物品のいずれかである、〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の積層体。
〔11〕
透明粘着剤からなる粘着剤層をさらに備える、〔1〕~〔10〕のいずれか1項に記載の積層体。
〔12〕
被着部材と、〔11〕に記載の積層体とを備え、前記積層体が前記粘着剤層を介して前記被着部材に貼付されている、加飾部材。
本発明によれば、良好な金属光沢を有し、かつ透明性にも優れ、金属光沢層を有する面の反対側の面における反射率が高い積層体及び加飾部材を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層体の概略断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る積層体の金属光沢層表面の電子顕微鏡写真(SEM画像)を示す図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る積層体の概略断面図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る積層体の概略断面図である。 図5は、本発明の一実施形態に係る積層体の金属光沢層の厚さの測定方法を説明するための図である。 図6は、本発明の一実施形態に係る積層体の断面の電子顕微鏡写真(TEM画像)を示す図である。 図7は、実施例1~5及び比較例1の積層体について、波長300nm~500nmの可視光線を積層体の基体側の面に入射した場合の入射光の波長と反射率との関係を示す図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。以下においては、説明の便宜のために本発明の好適な実施形態のみを示すが、勿論、これによって本発明を限定しようとするものではない。
<基本構成>
本発明の実施形態にかかる積層体は、基体と、前記基体上に形成された金属光沢層と、光学調整層とを備えた積層体であって、
前記積層体における基体側の面は、波長365nmの光の反射率が20%以上であり、
前記積層体における基体の金属光沢層を形成した側の面に、波長380nm~780nmの光を入射させた際の、透過光のCIE-XYZ表色系におけるY値である透過Y値が20%以上である。
図1に、本発明の一実施形態による積層体100の概略断面図を示す。また、図2に、本発明の一実施形態による積層体100の金属光沢層表面の電子顕微鏡写真(SEM画像)の一例を示す。
図1に示すように、積層体100は、基体10と、基体10の上に形成された、金属光沢層12と、光学調整層13とを備える。積層体100は、基体10と金属光沢層12との間に無機酸化物含有層11を更に備えていてもよい。金属光沢層12は無機酸化物含有層11の上に形成されることが好ましい。なお、本発明の実施形態に係る積層体100において、基体10と金属光沢層12との間に必要に応じて設けられる層は無機酸化物含有層11に限定されず、その他の層であることもできる。
無機酸化物含有層11は、その下の面上に連続状態で、言い換えれば、隙間なく、設けるのが好ましい。
図1に示す形態では、金属光沢層12は無機酸化物含有層11上に積層されている。金属光沢層12は複数の部分12aを含む。無機酸化物含有層11上に積層されることにより、これらの部分12aは、少なくとも一部において互いに不連続の状態、言い換えれば、少なくとも一部において隙間12bによって隔てられる。隙間12bによって隔てられるため、これらの部分12aのシート抵抗は大きくなり、電波との相互作用が低下するため、電波を透過させることができる。これらの各部分12aは金属を蒸着、スパッタ等することによって形成されたスパッタ粒子の集合体である。スパッタ粒子が基体10等の基体上で薄膜を形成する際には、基体上での粒子の表面拡散性が薄膜の形状に影響を及ぼす。
なお、本明細書でいう「不連続の状態」とは、隙間12bによって互いに隔てられており、この結果、互いに電気的に絶縁されている状態を意味する。電気的に絶縁されることにより、シート抵抗が大きくなり、所望とする電磁波透過性が得られることになる。不連続の形態は、特に限定されるものではなく、例えば、島状、クラック等が含まれる。
ここで「島状」とは、図2の積層体の金属光沢層の表面の電子顕微鏡写真(SEM画像)に示されているように、スパッタ粒子の集合体である粒子同士が各々独立しており、それらの粒子が、互いに僅かに離間し、または一部接触した状態で敷き詰められてなる構造を意味する。
また、クラック構造とは、金属薄膜がクラックにより分断された構造である。
クラック構造の金属光沢層12は、例えば基体上に形成した無機酸化物含有層11上に、金属薄膜層を設け、屈曲延伸して金属薄膜層にクラックを生じさせることにより形成することができる。この際、無機酸化物含有層11と金属薄膜層の間に伸縮性に乏しい、即ち延伸によりクラックを生成しやすい素材からなる脆性層を設けることにより、容易にクラック構造の金属光沢層12を形成することができる。
上述のとおり金属光沢層12が不連続となる態様は特に限定されないが、生産性の観点からは「島状」とすることが好ましい。
本発明の実施形態にかかる積層体は、積層体における基体側の面は、波長365nmの光の反射率が20%以上であり、積層体における基体の金属光沢層を形成した側の面に、波長380nm~780nmの光を入射させた際の、透過光のCIE-XYZ表色系におけるY値である透過Y値が20%以上である。
本発明の実施形態にかかる積層体における、上記反射率は、積層体100における基体10側の面に波長365nmの光を入射した際の反射光の反射率を測定した値である。
本発明の実施形態にかかる積層体100は様々な用途に用いることができ、他の層を積層して用いることも可能であり、例えば、基体10側の面にUV硬化樹脂を含む樹脂層を設ける場合がある。その際、基体10側の面にUV硬化樹脂組成物を塗布し、波長200nm~400nmの光を照射して硬化することにより樹脂層を形成することができる。そして、生産効率の観点から硬化に要する時間の短縮が求められていた。
本発明の実施形態にかかる積層体は、基体10側の面における、波長365nmの光の反射率を20%以上とすることにより、基体10側の面にUV硬化樹脂組成物を塗布して硬化させる場合、照射した光だけでなく、UV硬化樹脂組成物及び基体10を透過して金属光沢層及び光学調整層により反射した反射光によっても硬化させることが可能となる。それにより、硬化に要する時間を大幅に短縮することができる。
本発明の実施形態にかかる積層体の基材側の面における波長365nmの光の反射率は、生産性向上の観点から30%以上であることが好ましい。
本発明の実施形態にかかる積層体の反射率は、分光光度計U4100((株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて測定できる。
そして、積層体の反射率は、金属光沢層12の膜厚、及び光学調整層13の膜厚構成により調整できる。
本発明の実施形態にかかる積層体における、上記透過Y値(視感透過率)は、積層体100における金属光沢層12側の面に入射して測定した測定波長の範囲の視感度及び光源の光強度で荷重した平均透過率である。
透過Y値は、透過によるデザインの視認性の観点から30%以上であることが好ましい。また、金属光沢外観の観点から65%以下であることが好ましい。
積層体における透過Y値を特定の範囲とすることにより、優れた電磁波透過性を有し、着色を抑えた金属光沢が得られ、かつ、良好な透明性が得られる。これにより、積層体を被着部材に貼付して加飾部材とした際に、積層体を介しても被着部材の表面形状や色を損なうことなく視認し得る。
また、積層体の電磁波透過性は、シート抵抗と相関を有する。
マイクロ波帯域(28GHz)における電波透過減衰量は、10[-dB]未満であることが好ましく、5[-dB]未満であることがより好ましく、2[-dB]未満であることが更に好ましい。マイクロ波帯域(28GHz)における電波透過減衰量が10[-dB]以上であると、90%以上の電波が遮断されるという問題がある。
積層体の電波透過減衰量及びシート抵抗は、無機酸化物含有層11や金属光沢層12の材質や厚さ等により影響を受ける。
<基体>
本実施形態にかかる積層体において、基体10としては、基体側の面の反射率を上記の範囲とする観点から、例えば、樹脂、ガラス、セラミックス等が挙げられる。
基体10は、基材フィルム、樹脂成型物基材、ガラス基材、または金属光沢を付与すべき物品のいずれかであってもよい。
より具体的には、基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリスチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン、ポリシクロオレフィン、ポリウレタン、アクリル系樹脂(PMMA)、ABSなどの単独重合体や共重合体からなる透明フィルムを用いることができる。
これらの部材によれば、反射率や、光輝性、電磁波透過性に影響を与えることもない。但し、無機酸化物含有層11や金属光沢層12を後に形成する観点から、蒸着やスパッタ等の高温に耐え得るものであることが好ましく、従って、上記材料の中でも、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ABS、ポリプロピレン、ポリウレタンが好ましい。なかでも、耐熱性とコストとのバランスがよいことからポリエチレンテレフタレートやシクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、アクリル系樹脂が好ましい。
基材フィルムは、単層フィルムでもよいし積層フィルムでもよい。加工のし易さ等から、厚さは、例えば、6μm~250μm程度が好ましい。無機酸化物含有層11や金属光沢層12との付着力を強くするために、プラズマ処理や易接着処理などが施されてもよい。
基体10が基材フィルムの場合、金属光沢層12は基材フィルム上の少なくとも一部に設ければよく、基材フィルムの片面のみに設けてもよく、両面に設けてもよい。
基材フィルムは、必要に応じて平滑性、あるいは防眩性ハードコート層が形成されていてもよい。ハードコート層が設けられることにより、金属薄膜の擦傷性を向上させる事ができる。平滑性ハードコート層が設けられることにより、金属光沢感が増し、逆に防眩性ハードコート層によりギラツキを防止する事ができる。ハードコート層は、硬化性樹脂を含有する溶液を塗布する事により形成できる。
硬化性樹脂としては、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等が挙げられる。硬化性樹脂の種類としてはポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、アミド系、シリコーン系、シリケート系、エポキシ系、メラミン系、オキセタン系、アクリルウレタン系等の各種の樹脂があげられる。これら硬化性樹脂は、一種または二種以上を、適宜に選択して使用できる。これらの中でも、硬度が高く、紫外線硬化が可能で生産性に優れることから、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、及びエポキシ系樹脂が好ましい。
ここで、基材フィルムは、その表面上に金属光沢層12を形成することができる対象(基体10)の一例にすぎない点に注意すべきである。基体10には、上記のとおり基材フィルムの他、樹脂成型物基材、ガラス基材、金属光沢を付与すべき物品それ自体も含まれる。樹脂成型物基材、及び金属光沢を付与すべき物品としては、例えば、車両用構造部品、車両搭載用品、電子機器の筐体、家電機器の筐体、構造用部品、機械部品、種々の自動車用部品、電子機器用部品、家具、台所用品等の家財向け用途、医療機器、建築資材の部品、その他の構造用部品や外装用部品等が挙げられる。
金属光沢層12は、これら全ての基体上に形成することができ、基体の表面の一部に形成してもよく、基体の表面の全てに形成してもよい。この場合、金属光沢層12を付与すべき基体10は、上記の基材フィルムと同様の材質、条件を満たしていることが好ましい。
<無機酸化物含有層>
また、一実施形態に係る積層体100は、図1に示されるように、基体10と金属光沢層12の間に、無機酸化物含有層11をさらに備えてもよい。無機酸化物含有層11は、連続状態で、言い換えれば、隙間なく、設けられるのが好ましい。連続状態で設けられることにより、無機酸化物含有層11、ひいては、金属光沢層12や積層体100の平滑性や耐食性を向上させることができ、また、無機酸化物含有層11を面内ばらつきなく成膜することも容易となる。
このように、基体10と金属光沢層12の間に、無機酸化物含有層11をさらに備えること、すなわち、基体10の上に無機酸化物含有層11を形成し、その上に金属光沢層12を形成することによれば、金属光沢層12を不連続の状態で形成しやすくなるため好ましい。そのメカニズムの詳細は必ずしも明らかではないが、金属の蒸着やスパッタによるスパッタ粒子が基体上で薄膜を形成する際には、基体上での粒子の表面拡散性が薄膜の形状に影響を及ぼし、基体の温度が高く、基体に対する金属光沢層の濡れ性が小さく、金属光沢層の材料の融点が低い方が不連続構造を形成しやすいと考えられる。そして、基体10上に無機酸化物含有層11を設けることにより、その表面上の金属粒子の表面拡散性が促進されて、金属光沢層12を不連続の状態で成長させやすくなると考えられる。
無機酸化物含有層11としては、酸化インジウム含有層であることが好ましく、酸化インジウム(In)そのものを使用することもできるし、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)や、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属含有物を使用することもできる。但し、第二の金属を含有したITOやIZOの方が、スパッタリング工程での放電安定性が高い点で、より好ましい。これら無機酸化物含有層11を用いることにより、基体の面に沿って連続状態の膜を形成することもでき、また、この場合には、無機酸化物含有層11の上に積層される金属光沢層12を、例えば、島状の不連続構造としやすくなるため、好ましい。更に、後述するように、この場合には、金属光沢層12に、クロム(Cr)またはインジウム(In)だけでなく、通常は不連続構造になり難く、本用途には適用が難しかった、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含めやすくなる。
ITOに含まれる酸化錫(SnО)の質量比率である含有率(含有率=(SnO/(In+SnO))×100)は特に限定されるものではないが、例えば、2.5質量%~30質量%、より好ましくは、3質量%~10質量%である。また、IZOに含まれる酸化亜鉛(ZnO)の質量比率である含有率(含有率=(ZnO/(In+ZnO))×100)は、例えば、2質量%~20質量%である。
無機酸化物含有層11の厚さは、シート抵抗や電磁波透過性、生産性の観点から、通常100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、20nm以下が更に好ましい。一方、積層される金属光沢層12を不連続状態としやすくするためには、1nm以上であることが好ましく、確実に不連続状態にしやすくするためには、3nm以上であることがより好ましく、5nm以上であることが更に好ましい。
<金属光沢層>
金属光沢層12は基体上に形成される。金属光沢層12は、少なくとも一部において互いに不連続の状態にある複数の部分を含むことが好ましい。金属光沢層12に含まれる金属は、アルミニウムまたはアルミニウム合金が好ましい。
金属光沢層12が基体上で連続状態である場合、電波透過減衰量が非常に大きくなり、従って、電磁波透過性を確保することはできない。
金属光沢層12が基体上で不連続状態となるメカニズムの詳細は必ずしも明らかではないが、おおよそ、次のようなものであると推測される。即ち、金属光沢層12の薄膜形成プロセスにおいて、不連続構造の形成しやすさは、金属光沢層12が付与される基体上での表面拡散と関連性があり、基体の温度が高く、基体に対する金属光沢層の濡れ性が小さく、金属光沢層の材料の融点が低い方が不連続構造を形成しやすい、というものである。
ここで、複数の部分12aの平均粒径とは、複数の部分12aの円相当径の平均値を意味する。部分12aの円相当径とは、部分12aの面積に相当する真円の直径のことである。
金属光沢層12の部分12aの円相当径は特に限定されないが、通常10~1000nm程度である。また、各部分12a同士の距離は特に限定されないが、通常は10~1000nm程度である。
金属光沢層が含む互いに不連続の状態にある複数の部分12aの平均粒径を上記の範囲とすることにより、高い電磁波透過性を維持したまま、光輝性がより向上できる。
金属光沢層12は、十分な光輝性及び良好な透明性を発揮し得ることは勿論、融点が比較的低いものであることが好ましい。金属光沢層12は、スパッタリングを用いた薄膜成長によって形成するのが好ましいためである。
このような理由から、金属光沢層12としては、融点が約1000℃以下の金属が適しており、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含有するのが好ましい。
金属光沢層12としては、特に、光輝性や透明性、価格等の理由からAl及びそれらの合金であることが好ましい。また、アルミニウム合金を用いる場合には、アルミニウム含有量を50質量%以上とすることが好ましい。
金属光沢層12の厚さは、十分な反射率、光輝性及び良好な透明性を発揮するには3nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましく、7nm以上であることがさらに好ましい。また、透過Y値を所定の範囲としやすくする観点から15nm以下であることが好ましく、12nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。
この厚さは、均一な膜を生産性良く形成するのにも適しており、また、最終製品である加飾部材や樹脂成形品の見栄えも良い。
金属光沢層のシート抵抗は、100Ω/□以上であるのが好ましい。この場合、電磁波透過性は、5GHzの波長において、10[-dB]未満となる。更に好ましくは、1000Ω/□以上である。
積層体100のシート抵抗も、100Ω/□以上であるのが好ましい。
シート抵抗は、電磁波透過性の観点から、200Ω/□以上であるのがより好ましく、600Ω/□以上であることが更に好ましく、より更に好ましくは、1000Ω/□以上である。このシート抵抗の値は、金属光沢層12の材質や厚さは勿論のこと、無機酸化物含有層11の材質や厚さからも大きな影響を受ける。
<光学調整層>
本発明の実施形態に係る積層体は、上述のように、基体と、前記基体上に形成された金属光沢層と、光学調整層とを備える。
本発明の実施形態に係る積層体は、図3に示すように基体10上に、金属光沢層12、光学調整層13をこの順に備えるものであってもよく、図4に示すように基体10上に、光学調整層13、金属光沢層12をこの順に備えるものであってもよい。
光学調整層は、屈折率が1.75以上の高屈折率層を含むことが好ましい。本発明の実施形態に係る積層体は、屈折率が1.75以上の高屈折率層を含む光学調整層13を備えることにより光の波長による反射スペクトルを調整しやすくなる。
光学調整層13は、金属酸化物及び/又は金属窒化物からなる層であることが好ましい。なお、ここでいう金属酸化物、金属窒化物に含有される金属元素には、Si等の半金属元素が包含される。また、金属酸化物及び/又は金属窒化物には、金属酸窒化物が包含される。また、金属酸化物は、単独の金属元素の酸化物(単独酸化物)であってもよく、複数の金属元素の酸化物(複合酸化物)であってもよい。同様に、金属窒化物は、単独の金属元素の窒化物(単独窒化物)であってもよく、複数の金属元素の窒化物(複合窒化物)であってもよい。
金属元素としては、例えば、Ce、Nb、Si、Sb、Ti、Ta、Zr、Znなどが挙げられる。
光学調整層13の材料として、より具体的には、例えば、CeO(2.30)、NbO(2.33)、Nb(2.15)、Nb(2.20)、SiO(1.46)、SiN(2.03)、Sb(2.10)、TiO(2.35)、Ta(2.10)、ZrO(2.05)、ZnO(2.10)、ZnS(2.30)などが挙げられる(上記各材料の括弧内の数値は屈折率である)。
特に、光学調整層13は、Nb、Si、Tiより選択される少なくとも一種を含むことが好ましく、例えばNbO、SiO、TiOより選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
光学調整層13の厚みは、10nm~500nmであることが好ましい。コストの観点から、300nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることが更に好ましい。また、15nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、30nm以上であることが更に好ましい。
光学調整層13の厚みは、例えば、表面に垂直方向(厚み方向)の断面を露出させたうえ、透過型電子顕微鏡を用いて測定することができる。
光学調整層13の屈折率は、1.8以上が好ましく、2.0以上がより好ましい。
また、光学調整層13は屈折率の異なる層の積層体であってもよく、低屈折率層と高屈折率層とを備えていてもよい。
屈折率1.35~1.55程度の低屈折率層を形成する低屈折率材料としては、例えば、酸化珪素、フッ化マグネシウム等が挙げられ、酸化珪素が好ましい。また、屈折率1.80~2.40程度の高屈折率層を形成する高屈折率材料として、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)等が挙げられ、酸化ニオブが好ましい。
また、低屈折率層と高屈折率層に加えて、屈折率1.50~1.85程度の中屈折率層として、例えば、酸化チタンや、上記低屈折率材料と高屈折率材料の混合物(酸化チタンと酸化珪素との混合物等)からなる薄膜を形成してもよい。
本発明の実施形態に係る積層体は、光学調整層が、低屈折率層、及び高屈折率層を含むことが好ましい。
例えば、図3及び図4に示すように、積層体101及び積層体102は、基体10と、金属光沢層12と、光学調整層13とを備え、光学調整層13は低屈折率層13bと、高屈折率層13aとの積層体であってもよい。また、積層体101及び積層体102は、更に後述のバリア層や無機酸化物含有層11を有していても良い。
例えば、図3に示すように、積層体101は、基体10と、金属光沢層12と、光学調整層13とをこの順に備え、基体10と金属光沢層12との間に第一のバリア層14及び無機酸化物含有層11を有していてもよい。更に、光学調整層13の金属光沢層12とは反対側の面に第二のバリア層15を有していてもよい。
また、図4に示すように、積層体102は、基体10と、光学調整層13と、金属光沢層12とをこの順に備え、基体10と光学調整層13との間に第一のバリア層14を有していてもよい。更に、光学調整層13と金属光沢層12との間に無機酸化物含有層11を有していてもよい。更に金属光沢層12の光学調整層13とは反対側の面に第二のバリア層15を有していてもよい。
低屈折率層の厚みは、反射率、及び透過Y値を所望の範囲に調整する観点から10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、30nm以上であることがさらに好ましい。また、反射率、及び透過Y値を所望の範囲に調整する観点から200nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。
高屈折率層の厚みは、反射率、及び透過Y値を所望の範囲に調整する観点から10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、30nm以上であることがさらに好ましい。また、反射率、及び透過Y値を所望の範囲に調整する観点から200nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。
また、光学調整層13の積層構成としては、基体10側から、膜厚240nm~260nmの高屈折率層と、膜厚120nm~140nmの低屈折率層との2層構成;膜厚170nm~180nmの中屈折率層と、膜厚60nm~70nm程度の高屈折率層と、膜厚135nm~145nm程の低屈折率層との3層構成;膜厚25nm~55nmの高屈折率層と、膜厚35nm~55nmの低屈折率層と、膜厚80nm~240nmの高屈折率層と、膜厚120nm~150nmの低屈折率層との4層構成;膜厚15nm~30nmの低屈折率層と、膜厚20nm~40nmの高屈折率層と、膜厚20nm~40nmの低屈折率層と、膜厚240nm~290nmの高屈折率層と、膜厚100nm~200nmの低屈折率層との5層構成等が挙げられる。光学調整層13を構成する薄膜の屈折率や膜厚の範囲は上記例示に限定されない。また、光学調整層13は、6層以上の薄膜の積層体でもよい。
なお、積層体100は光学調整層13を複数層備えてもよい。
例えば、酸化物によっては、酸化ニオブのように、粘着剤と積層された状態で紫外光を受けると還元される物質もあり、還元作用を防ぐために、更に保護層として酸化珪素からなる層を積層していても良い。
本発明の実施形態に係る積層体は、基体10、金属光沢層12、及び光学調整層13の他に、用途に応じてその他の層を備えていてもよい。
その他の層としては、例えば、ハードコート層、バリア層、易接着層、反射防止層、光取出し層、アンチグレア層等が挙げられる。
<バリア層>
本実施形態の積層体は、バリア層を備えていてもよい。バリア層は複数設けることができる。
上述のように、例えば、図3に示す積層体101は、基体10と金属光沢層12との間に第一のバリア層14及び無機酸化物含有層11を有していてもよい。更に、光学調整層13の金属光沢層12とは反対側の面に第二のバリア層15を有していてもよい。
第一のバリア層14及び第二のバリア層15について説明する。第一のバリア層14及び第二のバリア層15は、それぞれ同じ材質であっても、異なる材質であってもよい。またその他の条件についても第一のバリア層14及び第二のバリア層15はそれぞれ独立して設定することができる。
第一のバリア層14及び第二のバリア層15は、基体10側及びその反対側(金属光沢層側)からのHOやOの侵入を防ぎ、金属光沢層12の酸化を抑え、経時での信頼性、とくに高温雰囲気下での信頼性を高めることができる。
第一のバリア層14及び第二のバリア層15は、金属及び半金属の少なくとも1種の酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化炭化物、窒化炭化物及び酸化窒化炭化物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。金属としては、例えば、アルミニウム、チタン、インジウム、マグネシウムなどを用いることができ、半金属としては、例えば、ケイ素、ビスマス、ゲルマニウムなどを用いることができる。
具体的には、例えばZnO+Al(AZO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウム錫(ITO)、酸化炭化窒化ケイ素膜(SiOCN)、酸化窒化ケイ素膜(SiON)、窒化ケイ素膜(SiN)、SiO、AlO、AlON、TiO等を用いることができる。中でも、AZO、ITO、AlO及びSiOからなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。
第一のバリア層14及び第二のバリア層15が金属光沢層12の酸化(腐食)を抑制する性能(以下「バリア性」ともいう)の向上のためには、バリア層内におけるネットワーク構造(網目状の構造)を緻密にするような炭素、窒素を含むことが好ましい。さらに透明性を向上させるためには、酸素を含有していることが好ましい。すなわち、バリア層は、金属及び半金属の少なくとも1種の酸化窒化炭化物を含むことが好ましい。
また、バリア性の向上のためには、第一のバリア層14及び第二のバリア層15は水蒸気を透過しにくいことが好ましい。第一のバリア層14及び第二のバリア層15の水蒸気透過率は、5g/(m・day)以下であることが好ましく、3g/(m・day)以下であることがより好ましく、2g/(m・day)以下であることが更に好ましい。
第一のバリア層14及び第二のバリア層15の厚みは特に限定はされないが、バリア性を向上させるためには1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、10nm以上が更に好ましい。また、電磁波透過性や外観の金属光沢感を向上させるためには100nm以下が好ましく、80nm以下がより好ましく、60nm以下が更に好ましい。バリア層の厚みは、実施例に記載の方法により測定される。
なお、第二のバリア層15が金属光沢層12上に積層されている場合、必ずしも隙間12bを完全に埋めていなくてもよい。
本実施形態の積層体には、本発明の効果を奏する限りにおいて上述の金属光沢層12、及び光学調整層13の他に、用途に応じてその他の層を設けてもよい。その他の層としては、粘着剤層等の樹脂層、耐湿性や耐擦傷性等の耐久性を向上させるための保護層(耐擦傷性層)等が挙げられる。
<樹脂層>
本実施形態の積層体は、更に樹脂層を備えていてもよい。樹脂層は、金属光沢層12の基体10側の面と反対側の面に備えていてもよく金属光沢層上に形成してもよい。また、樹脂層は、積層体の基体10側の面に形成してもよい。
樹脂層は、粘着剤層、下地または上地との密着性を改良する密着層、耐湿性や耐擦傷性等の耐久性を向上させるための保護層(耐擦傷性層)、易接着層、上述したハードコート層、反射防止層、光取出し層、アンチグレア層等であってもよい。
樹脂層は複数設けることができる。
樹脂層はUV硬化樹脂を含むUV硬化型の層であってもよい。UV硬化樹脂を含む樹脂層は、基体10側の面にUV硬化樹脂組成物を塗布し、波長200nm~400nmの光を照射して硬化することにより樹脂層を形成することができる。
本発明の実施形態にかかる積層体は、基体10側の面における、波長365nmの光の反射率を20%以上とすることにより、基体10側の面にUV硬化樹脂組成物を塗布して硬化させる場合、照射した光だけでなく、樹脂組成物及び基体10を透過して金属光沢層及び光学調整層により反射した反射光によっても硬化させることが可能となる。それにより、硬化に要する時間を大幅に短縮することができる。
本実施形態の積層体は、粘着剤層を介して被着部材に貼付されて用いられてもよい。例えば、積層体を、粘着剤層を介して透明な被着部材に貼付することで被着部材を内側から装飾することができる。
積層体が透明な被着部材の視認される側(以下、外側ともいう)の面とは反対側(以下、内側ともいう)の面に対して粘着剤層を介して貼付された場合、被着部材を通して粘着剤層と、金属光沢層が視認される。透明な被着部材としては、例えば、ガラスやプラスチックからなる部材を使用することができるが、これに限定されるものではない。
粘着剤層は、透明粘着剤からなる層であることが好ましい。本実施形態の積層体は、粘着剤層を介して被着部材に貼付されて用いられてもよい。
粘着剤層を形成する粘着剤は透明粘着剤であれば特に限定されず、例えばアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、及びポリエーテル系粘着剤のいずれかを単独で、あるいは、2種類以上を組み合わせて使用することができる。透明性、加工性及び耐久性などの観点から、アクリル系粘着剤を用いることが好ましい。
粘着剤層の厚みは特に限定されないが、薄くすることで最終製品構成の薄型化への寄与や可視光透過性や膜厚精度、平坦性を向上させることができるため、100μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。
粘着剤層全体の透過Y値は特に限定はされないが、JIS K7361に従って測定した任意の可視光波長における値で10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。粘着剤層の透過Y値は、高いほど好ましい。
また、粘着剤層を構成する透明粘着剤は着色されていてもよい。
この場合、良好な透明性を有する金属光沢層を介して着色された粘着剤層が視認されることとなるので、積層体1は粘着剤層の色調を変えることなく着色された金属光沢を発現することができる。
透明粘着剤を着色する方法は特に限定されないが、例えば色素を微量添加することにより着色することができる。
粘着剤層の上には、被着部材に貼付する際まで粘着剤層を保護するために、剥離ライナーを設けてもよい。
密着層としては、下地または上地との密着性を改良する層であれば、特に制限されないが、例えば透明であるSiOxからなる層をスパッタリング等によって設けることもできる。
<積層体の製造>
積層体の製造方法の一例について、説明する。特に説明しないが、基材フィルム以外の基体を用いた場合についても同様の方法で製造することができる。
金属光沢層12及び光学調整層13を形成するにあたっては、例えば、真空蒸着、スパッタリング等の方法を用いることができる。
また、第一のバリア層14及び第二のバリア層15を形成するにあたっては、例えば、真空蒸着、スパッタリング等の方法を用いることができる。
また、無機酸化物含有層11として酸化インジウム含有層を形成する場合には、金属光沢層12の形成に先立ち、酸化インジウム含有層を、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等によって形成する。但し、大面積でも厚さを厳密に制御できる点から、スパッタリングが好ましい。
<加飾部材>
本実施形態に係る加飾部材は、被着部材と、上述の積層体とを備え、前記積層体が前記粘着剤層を介して前記被着部材に貼付されている。
本実施形態の加飾部材は、積層体が、粘着剤層を介して、被着部材に貼付されている。
本実施形態の積層体は、光学的損失を抑制するため、金属光沢及び視認性に優れるため、被着部材の表面に設けた意匠、色及び質感をそのまま活かしつつ被着部材を装飾した加飾部材を得ることができる。
積層体は、透明な被着部材の内側の面に貼付して用いてもよい。透明な被着部材としては、例えば、ガラスやプラスチックからなる部材を使用することもできるが、これに限定されるものではない。
積層体に粘着剤層を設ける場合、粘着剤層は、粘着剤層を設ける面に粘着剤組成物を塗布等することや離型フィルムに形成した粘着剤層を転写することにより形成できる。
粘着剤組成物の塗布は、慣用のコーター、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなどを用いて行うことができる。乾燥温度は、適宜採用可能であるが、好ましくは40℃~200℃であり、さらに好ましくは、50℃~180℃であり、特に好ましくは70℃~120℃である。乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。上記乾燥時間は、好ましくは5秒~20分、さらに好ましくは5秒~10分、特に好ましくは、10秒~5分である。
積層体を被着部材に貼付する方法は特に限定されないが、例えば真空成形により貼付することができる。真空成形とは、積層体を加熱軟化しつつ展張し、積層体の被着部材側の空間を減圧し、必要に応じ反対側の空間を加圧することにより、積層体を被着部材の表面の三次元立体形状に沿って成形しつつ貼付積層する方法である。
積層体としては、上述の説明をそのまま援用し得る。
<積層体及び加飾部材の用途>
本実施形態の積層体及び加飾部材は、電磁波を送受信する装置や物品及びその部品等に使用することが好ましい。例えば、車両用構造部品、車両搭載用品、電子機器の筐体、家電機器の筐体、構造用部品、機械部品、種々の自動車用部品、電子機器用部品、家具、台所用品等の家財向け用途、医療機器、建築資材の部品、その他の構造用部品や外装用部品等が挙げられる。
より具体的には、車両関係では、インスツルメントパネル、コンソールボックス、ドアノブ、ドアトリム、シフトレバー、ペダル類、グローブボックス、バンパー、ボンネット、フェンダー、トランク、ドア、ルーフ、ピラー、座席シート、ステアリングホイール、ECUボックス、電装部品、エンジン周辺部品、駆動系・ギア周辺部品、吸気・排気系部品、冷却系部品等が挙げられる。
電子機器及び家電機器としてより具体的には、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、電子レンジ、エアコン、照明機器、電気湯沸かし器、テレビ、時計、換気扇、プロジェクター、スピーカー等の家電製品類、パソコン、携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラ、タブレット型PC、携帯音楽プレーヤー、携帯ゲーム機、充電器、電池等電子情報機器等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。積層体を作製し評価を行った。なお、基体10としては、基材フィルムを用いた。
評価方法の詳細は以下のとおりである。
<透過特性>
分光光度計U4100((株)日立ハイテクノロジーズ製)で、標準光源D65により波長380nm~780nmの範囲の可視光線を積層体の金属光沢層側の面に入射して透過率測定を行い、透過特性(透過Y値)を得た。得られた透過Y値を表1に記載した。
<反射特性>
分光光度計U4100((株)日立ハイテクノロジーズ製)で、標準光源D65により波長365nmの可視光線を積層体の基体側の面に入射して反射率測定を行った。得られた反射率(%)を表1に記載した。
また、実施例1~5及び比較例1の積層体について、波長300nm~500nmの可視光線を積層体の基体側の面に入射して反射率測定を行った。入射光の波長と反射率との関係を図7に示す。
<金属光沢層の厚み>
金属光沢層におけるバラツキ、更に詳細には、図2に示す部分12aの厚さにおけるバラツキを考慮して、部分12aの厚さの平均値を金属光沢層の厚みとした。
なお、個々の部分12aの厚さは、基体10から垂直方向に最も厚いところの厚さとした。以下、この平均値を、便宜上、「最大の厚さ」と呼ぶ。図6に、積層体の一部断面の電子顕微鏡写真(TEM画像)の例を示す。
最大の厚さを求めるに際し、まず、図6に示すような積層体の表面に現れた金属光沢層において、図5に示すような一辺5cmの正方形領域3を適当に抽出し、該正方形領域3の縦辺及び横辺それぞれの中心線A、Bをそれぞれ4等分することによって得られる計5箇所の点「a」~「e」を測定箇所として選択した。
次いで、選択した測定箇所それぞれにおける、図6に示すような断面画像において、おおよそ5個の部分12aが含まれる視野角領域を抽出した。これら計5箇所の測定箇所それぞれにおける、おおよそ5個の部分12a、即ち、25個(5個×5箇所)の部分12aの個々の厚さ(nm)を求め、それらの平均値を「最大の厚さ」とした。
<第一のバリア層および第二のバリア層の膜厚>
第一のバリア層および第二のバリア層の膜厚は、前記金属光沢層の膜厚を求めるのに用いた25個の各最大高さを示した点を測定箇所とし、断面TEM画像を用いて下記のように算出した。
断面TEM画像において、基体10から部分12aに向かって垂直な線を引いた際の第一のバリア層の上面との交点を交点1、第一のバリア層の下面との交点を交点2とした場合における交点1と交点2との距離を算出し、25個の平均値を第一のバリア層の厚みとした。
前記金属光沢層の膜厚を求めるのに用いた25個の各最大高さを示した点と、その点から基体10に対し垂直方向に伸ばした直線を引いた際の第二のバリア層の上面との交点を交点3、第二のバリア層の下面との交点を交点4とした場合における交点3と交点4との距離を算出し、25個の平均値を第二のバリア層の膜厚とした。
金属光沢層上に直接第二のバリア層を設けた場合は、金属光沢層の厚みを求めるのに用いた25個の各最大高さを示した点と、その点を基体10に対し垂直方向に伸ばした直線と第二のバリア層表面との交点との距離の、25個の平均値を第二のバリア層の膜厚とした。
[実施例1]
基体として、東レ株式会社製PETフィルム50-U483(厚さ50μm)に厚み1.5μmの紫外線硬化樹脂層(ハードコート層)を形成し、紫外線硬化樹脂層付き基材フィルムを得た。
先ず、マグネトロンスパッタリング装置にSiターゲットを取り付け、Arガスと酸素ガスの混合ガスを導入しながらスパッタリングをすることで、紫外線硬化樹脂層上に第一のバリア層としてのSiO層を厚さ20nmで形成した。
次に、マグネトロンスパッタリング装置にNbターゲットを取り付け、Arガスと酸素ガスの混合ガスを導入しながらスパッタリングをすることで、SiO層上に高屈折率層としてNbOx層(屈折率2.33)を厚さ40nmで形成し、次いで、マグネトロンスパッタリング装置にSiターゲットを取り付け、Arガスと酸素ガスの混合ガスを導入しながらスパッタリングをすることで、NbOx層上に低屈折率層としてSiO層(屈折率1.46)を厚さ20nmで形成し光学調整層とした。
次いで、マグネトロンスパッタリング装置にITOターゲットを取り付け、Arガスを導入しながらスパッタリングをすることで、無機酸化物含有層としてのITO層を厚さ5nmで光学調整層の上に形成した。
次に、マグネトロンスパッタリング装置にアルミニウム(Al)ターゲットを取り付け、Arガスを導入しながらスパッタリングすることでITO層の上に金属光沢層としてのAl層を厚さ6nmで形成した。得られたAl層は図2で示すような不連続層であった。
続いて、マグネトロンスパッタリング装置にアルミニウム(Al)ターゲットを取り付け、Arガスと酸素ガスの混合ガスを導入しながらスパッタリングすることでAl層の上に第二のバリア層としてのAlOx層を厚さ20nmで形成し、積層体を得た。
以上により基体、紫外線硬化樹脂層、第一のバリア層、光学調整層、無機酸化物含有層、金属光沢層、第二のバリア層の積層体である実施例1の積層体を得た。
<加飾部材の製造>
被着部材として、表面に意匠を施した厚み0.7mmのガラスを用いた。
上記で得られた積層体を、粘着剤CS9861UAS(日東電工(株)製)を用いて被着部材に貼付し、加飾部材を得た。
[実施例2]
実施例1と同様にして紫外線硬化樹脂層付き基材フィルムを得て紫外線硬化樹脂層上に第一のバリア層としてのSiO層を厚さ20nmで形成した。
次いで、マグネトロンスパッタリング装置にITOターゲットを取り付け、Arガスを導入しながらスパッタリングをすることで基体フィルムの面に沿って、無機酸化物含有層としてのITO層を厚さ5nmでSiO層の上に形成した。
次に、マグネトロンスパッタリング装置にアルミニウム(Al)ターゲットを取り付け、Arガスを導入しながらスパッタリングすることでITO層の上に金属光沢層としてのAl層を厚さ6nmで形成した。得られたAl層は図2で示すような不連続層であった。
次に、マグネトロンスパッタリング装置にNbターゲットを取り付け、Arガスと酸素ガスの混合ガスを導入しながらスパッタリングをすることで、Al層上に光学調整層としてNbOx層(屈折率2.33の高屈折率層)を厚さ180nmで形成した。
続いて、マグネトロンスパッタリング装置にアルミニウム(Al)ターゲットを取り付け、Arガスと酸素ガスの混合ガスを導入しながらスパッタリングすることでNbOx層の上に第二のバリア層としてのAlOx層を厚さ20nmで形成し、積層体を得た。
以上により基材フィルム、紫外線硬化樹脂層、第一のバリア層、無機酸化物含有層、金属光沢層、光学調整層、第二のバリア層の積層体である実施例2の積層体を得た。得られた積層体の特性を上記の方法により測定し、表1に記載した。
[実施例3及び4]
実施例2における光学調整層の形成の際に、NbOx層の厚みを40nm、100nmにそれぞれ変更したこと以外は、実施例2と同様にして実施例3及び4の積層体を得た。
[実施例5]
実施例2における光学調整層の形成の際に、マグネトロンスパッタリング装置にSiターゲットを取り付け、Arガスと酸素ガスの混合ガスを導入しながらスパッタリングをすることで、Al層上に低屈折率層としてSiO層(屈折率1.46)を厚さ20nmで形成し、次いで、マグネトロンスパッタリング装置にNbターゲットを取り付け、Arガスと酸素ガスの混合ガスを導入しながらスパッタリングをすることで、SiO層上に高屈折率層としてNbOx層(屈折率2.33)を厚さ20nmで形成し、光学調整層の材料及び厚みを変更したこと以外は、実施例2と同様にして実施例5の積層体を得た。
[比較例1]
実施例1において、光学調整層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の積層体を得た。
[比較例2]
実施例1において、第一のバリア層及び光学調整層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の積層体を得た。
得られた積層体の特性を上記の方法により測定し、表1に記載した。なお、表1中の括弧内は膜厚(nm)を示す。
Figure 2022102748000002
表1から明らかなように、実施例1~5の積層体は、基体と、基体上に形成された金属光沢層と、光学調整層とを備え積層体における基体側の面は、波長365nmの光の反射率が20%以上であり、基体の金属光沢層を形成した側の面に、波長380nm~780nmの光を入射させた際の、透過Y値が20%以上であるので、比較例と比べ透過Y値が高かった。また、図7から明らかなように365nmにおける光の反射率が高く優れた反射率を示した。
本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
本発明に係る積層体は、電磁波を送受信する装置や物品及びその部品等に使用することができる。例えば、車両用構造部品、車両搭載用品、電子機器の筐体、家電機器の筐体、構造用部品、機械部品、種々の自動車用部品、電子機器用部品、家具、台所用品等の家財向け用途、医療機器、建築資材の部品、その他の構造用部品や外装用部品等、意匠性と電磁波透過性の双方が要求される様々な用途にも利用できる。
100、101、102 積層体
10 基体
11 無機酸化物含有層
12 金属光沢層
12a 部分
12b 隙間
13 光学調整層
13a 高屈折率層
13b 低屈折率層
14 第一のバリア層
15 第二のバリア層

Claims (12)

  1. 基体と、前記基体上に形成された金属光沢層と、光学調整層とを備えた積層体であって、
    前記積層体における基体側の面は、波長365nmの光の反射率が20%以上であり、
    前記積層体における基体の金属光沢層を形成した側の面に、波長380nm~780nmの光を入射させた際の、透過光のCIE-XYZ表色系におけるY値である透過Y値が20%以上である積層体。
  2. 前記光学調整層は、屈折率が1.75以上の高屈折率層を含む、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記金属光沢層は、少なくとも一部において互いに不連続の状態にある複数の部分を含む、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記複数の部分は島状に形成されている、請求項3に記載の積層体。
  5. 前記金属光沢層はアルミニウム又はアルミニウム合金を含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記基体と前記金属光沢層との間に無機酸化物含有層をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 前記無機酸化物含有層が酸化インジウム含有層である、請求項6に記載の積層体。
  8. 前記光学調整層が低屈折率層を更に含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 前記金属光沢層の厚さは、3nm~10nmである、請求項1~8のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 前記基体は、基材フィルム、樹脂成型物基材、ガラス基材、または金属光沢を付与すべき物品のいずれかである、請求項1~9のいずれか1項に記載の積層体。
  11. 透明粘着剤からなる粘着剤層をさらに備える、請求項1~10のいずれか1項に記載の積層体。
  12. 被着部材と、請求項11に記載の積層体とを備え、前記積層体が前記粘着剤層を介して前記被着部材に貼付されている、加飾部材。
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