JPH1033078A - ユリ属植物の球根生産方法 - Google Patents

ユリ属植物の球根生産方法

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JPH1033078A
JPH1033078A JP9044433A JP4443397A JPH1033078A JP H1033078 A JPH1033078 A JP H1033078A JP 9044433 A JP9044433 A JP 9044433A JP 4443397 A JP4443397 A JP 4443397A JP H1033078 A JPH1033078 A JP H1033078A
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lily
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seed
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Mamoru Nakayama
衛 中山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 培養工程を大幅に簡略化でき、ウイルスフリ
ーの優れた品質のユリ属植物の開花球根や食用ユリ根を
高効率でしかも短期間に生産することのできる球根生産
方法の提供。 【解決手段】 本発明のユリ属植物の球根生産方法は、
ユリ属植物から種子1を採取し、該種子を水3または液体
培地に入れて発芽させる種子発芽過程と、得られた発芽
体4を液体培養して球根7,8を生産する球根培養過程とを
備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヤマユリ、テッポ
ウユリ等のユリ属植物の球根生産方法に関し、さらに詳
細には、ユリ属植物の種子の培養により、開花球根或い
は同程度の大型球根を効率よく短期間で生産可能な方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】ユリ属植物(Lilium)には数多くの種が
知られ、ヤマユリ(Lilium auratum)、テッポウユリ
(Lilium longiflorum)、カノコユリ(Lilium specios
um)、スカシユリ(Lilium elegans)、ヒメユリ(Lili
um concolor)、ササユリ(Lilium japonicum)など鑑
賞用に価値の高い多くの品種がある。これらユリ属植物
は自然増殖率が低く、球根分割、鱗片挿し、木子等によ
る増殖が行われているが、これらの栽培による増殖方法
は極めて効率が悪く、しかも多くの人手と大量の親株を
必要とする。また、ユリ属植物は自家受精で良く結実す
るので、得られた種子を土壌などに播種して栽培するこ
とによって開花球根を育てることも可能であるが、この
種子の栽培は生育が遅く、例えばヤマユリの場合、播種
から開花球根が得られるまでに5〜6年或いはそれ以上
かかってしまう。
【0003】そして、ユリ属植物の球根を短期間で大量
生産するための試みとして、ユリ属植物の組織、特に鱗
片を用いて組織培養法によってユリの大量増殖方法が開
発され、例えば特開昭55−15734号公報、特開昭
61−285928号公報及び特開平2−46239号
公報により開示されている。また図3は、組織培養によ
るユリの大量増殖方法に関する高山、三沢らの文献(S.
Takayama, M. Misawa, Sci. Hortic., 18, 353 (198
3))における概要図を示すものである。この方法ではま
ず、ユリ親株の球根(鱗茎;A)から無菌的に鱗片
(B)を摘出し、これを裁断して得られた組織片(C)
を固体培地に植えて培養し(D,E)、得られた小球根
(F)から鱗片(G)を摘出し、再び固体培地に植えて
培養し、必要に応じてD〜Gを繰り返して親株を維持し
ておき、この無菌培養系から増殖用の鱗片(G)を得
て、これをサイトカイニン添加培地に植えて(H)培養
し、多数の不定鱗片(I)を分化させる。次いでこの鱗
片塊を液体培養(J)して個々の鱗片を肥大させ
(K)、移植可能な鱗片(L)を得る。次いで得られた
鱗片(L)を、固体培地で培養(M,N)するか、或い
は液体振盪培養(O,P)して小球根(Q)を形成す
る。得られた小球根(Q)は種苗として土壌に移植して
栽培育成(R,S)し、開花(T)させることができ
る。この組織培養法でユリ属植物、例えばヤマユリを生
産する場合には、組織培養開始から開花球根が得られる
までに4年程度を要する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た組織培養法によるユリの増殖方法には次のような問題
があった。上述の組織培養法では、土壌中より採取した
ユリ球根を親株として使用するために完全な殺菌処理が
困難であり、摘出した鱗片組織に雑菌等が付着している
場合が多く、取り出した鱗片組織を固体培地で培養する
際に雑菌汚染され易い。また、固体培地での培養段階で
雑菌汚染が確認されなくても、液体培地に入れると雑菌
が繁殖する場合も多い。従って、上述の方法では大量増
殖用の無菌鱗片組織を得るのが困難である。加えて、親
株からのウイルス感染が生じ易く、ウイルスフリーの鱗
片組織を得るために成長点培養によるウイルスフリー球
根を作出する必要があり、ウイルスフリーの鱗片組織を
得るのに多くの手間と時間を要していた。また、ユリの
鱗片をサイトカイニン添加培地で培養して不定鱗片を誘
導し、これを増殖させるという多段階の増殖培養を行う
ことにより、各培養工程における最適な培地や培養条件
を細かに設定して実行する必要があり、移植に手間がか
かるとともに、培養の成功率が低かった。さらに、鱗片
のカルス化が生じて子球(小球根)が得られない場合が
あった。さらに、上述の方法によってヤマユリを生産す
る場合、組織培養の開始から開花球根が得られるまでに
4年程度必要であるので、ユリ開花球根を短期間に得る
という目的を十分に達成してはいない。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、培養工程を大幅に簡略化でき、ウイルスフリーの優
れた品質のユリ属植物の開花球根を高効率でしかも短期
間に生産することのできる球根生産方法の提供を課題と
している。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ユリ属植物か
ら種子を採取し、該種子を水または液体培地に入れて発
芽させる種子発芽過程と、得られた発芽体を液体培養し
て球根を生産する球根培養過程とを備えることを特徴と
するユリ属植物の球根生産方法である。本発明のユリ属
植物の球根生産方法において、種子発芽過程は、種子を
水中に浸漬し、攪拌することが好ましい。本発明のユリ
属植物の球根生産方法において、種子を培養器内に入れ
て発芽させ、同じ培養器内で発芽体を液体培養し、球根
培養過程を行って良い。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のユリ属植物の球根生産方
法は、ユリ属植物から種子を採取し、該種子を水または
液体培地に入れて発芽させる種子発芽過程と、得られた
発芽体を液体培養して球根を生産する球根培養過程とを
備える。つまり本願発明は、ユリ属植物の種子を出発材
料とし、これを発芽させ、得られた小球根状の発芽体を
液体培地に入れて液体培養し、ユリ開花球根を短期間に
得る方法である。植物の種子繁殖性を利用した植物・作
物生産では、種子の発芽率は最終生産物の数量を決定す
る大きな要因のひとつである。ユリ実生球根生産プロセ
スにおいても同様で、種子の発芽率はプロセス全体の生
産性に関わる最も大きなパラメーターであるといえる。
すなわち、発芽ステージでの発芽率が高まれば、それに
比例して球根の生産性が向上すると考えることができ
る。種子の発芽は、種子がそれ自体の水分状態と周囲の
温度に反応して起こる現象で、ヤマユリのような遅発芽
型のユリ種子の発芽も同様である。しかし、遅発芽型種
子が発芽に到る過程には特徴があり、自然環境下での発
芽の原理は以下のように考えられている。 1)受精した種子は成熟するに従い胚成長を停止させる
物質(休眠物質)が胚乳に蓄積する。 2)秋に完熟して地上に落下した種子は休眠物質の作用
により発芽しないまま冬を越す。 3)胚乳内の休眠物質は夏の高温にあたることで分解
し、胚の成長停止が解除される。 4)秋になり地温が胚の生育適温にまで下がると、胚が
成長を開始して種子が発芽する。 この原理によれば、物理的な方法により種子内の休眠物
質を除去しても、自然環境下での発芽と同様に胚の成長
が開始するはずである。本発明では、ユリ属植物の種子
を高い発芽率で発芽させるために、種子を、水または液
体培地に入れて発芽させる。この種子発芽過程におい
て、例えば種子を水中に浸漬し、攪拌することによっ
て、従来法(温度処理法)に比べ、発芽率を格段に高め
ることができる。また、種子を培養器内に入れて発芽さ
せ、同じ培養器内で発芽体を液体培養し、球根培養過程
を行うことによって、球根の移植が不要となり、球根移
植時に球根や培養液中に雑菌が混入する不具合がなくな
るとともに、球根等の移植のための余分な手間を省くこ
とができる。
【0008】図1は、本発明のユリ属植物の球根生産方
法の一例を説明する図である。この球根生産方法では、
まず、ユリ属植物の親株から種子1を採取する。本例に
よる球根生産方法はユリ属(Lilium)に含まれる諸品種
に適用が可能であり、例えばヤマユリ(Lilium auratu
m)、テッポウユリ(Lilium longiflorum)、カノコユ
リ(Lilium speciosum)、スカシユリ(Lilium elegan
s)、ヒメユリ(Lilium concolor)、ササユリ(Lilium
japonicum)などの鑑賞用の各品種や、コオニユリ、オ
ニユリなどの球根を食用とする品種などである。
【0009】ユリ属植物の種子1は、親株を自家受精或
いは他家受精させることによって開花の後、めしべ端部
に膨張形成されるサク2内に、品種により異なるが200
〜500粒程度形成される。親株から種子1を無菌的に採
取するには、サク2が枯れて割れる以前に親株から切り
離し、これをアルコールや次亜塩素酸塩溶液などの植物
組織培養において通常に使用される殺菌剤に浸漬して殺
菌し、無菌雰囲気下でサク2を切開して種子を取り出
し、滅菌水3に入れる。なお、摘出した種子1は必要に
応じて比重選別する。また、サクが枯れて割れた後に得
られた種子を直接上記の方法で殺菌しても良い。
【0010】滅菌水3に無菌播種した種子は、振盪培養
し、必要に応じて滅菌水3を交換しながら発芽(上子葉
発芽)させる(種子発芽過程)。なお滅菌水3に代え
て、生理食塩水、リン酸緩衝液などの緩衝塩溶液、植物
組織培養において通常に使用される液体培地、例えばM
S培地(ムラシゲ-スクーグ培地)、LS培地(リンス
マイア-スクーグ培地)、ホワイト培地、B5培地、あ
るいはこれらの培地成分の一部を類似成分に置換した
り、ビタミン、アミノ酸を添加したりショ糖などの糖類
の濃度を変更した改良液体培地を用いても良い。また、
種子1を流水にさらした状態で培養しても良い。この種
子発芽過程は、室温下で実施することができる他、恒温
槽において15〜30℃、好ましくは18〜25℃程度
の一定温度で実施しても良い。また、光条件は特に限定
されず、暗所保管として良い。
【0011】この種子発芽過程においては、採取した種
子1を水(滅菌水)または液体培地に浸漬し、攪拌培養
することによって、種子1に水分を補給し、発芽を生じ
させるとともに、種子1中に含有されている発芽抑制物
質を種子1から排出させ、その結果発芽を促進させる。
この種子発芽過程により、従来法(温度処理法)に比べ
種子の発芽率を格段に高めることができる。後述する実
験例に示したように、ヤマユリの種子を発芽させる場
合、従来法である温度処理法では55%程度の発芽率に
止まっていたのに対し、種子を水中に浸漬し、攪拌する
ことによって、80%以上の発芽率で発芽させることが
できる。
【0012】次いで、種子発芽過程において上子葉発芽
した発芽体4を液体培地に移植し、空気との接触を良好
にしながら培養肥大させる(球根培養過程)。この球根
培養過程で好適な液体培養法としては、液体振盪培養法
および液体通気培養法である。この液体培養における培
養温度は、15〜27℃、好ましくは20〜25℃、更
に好ましくは23℃程度である。また、この液体培養は
暗所にて行うことが望ましい。照度が高くなるに従っ
て、球根に芽が形成される確率が高くなり、芽が形成さ
れた球根は、それ以後の肥大が停止ないし鈍くなってし
まう。また、この液体培養において使用される培地は、
植物組織培養において通常に使用される培地、例えばM
S培地、LS培地、ホワイト培地、B5培地、あるいは
これらの培地成分の一部を類似成分に置換したり、ビタ
ミン、アミノ酸を添加した改良培地などが好適に使用さ
れる。使用する液体培地中の糖濃度は、ショ糖として3
〜9wt%の範囲として良く、好ましくは6wt%程度
とされる。この液体培地ではオーキシンやサイトカイニ
ン等の植物成長調節物質の添加は不要であり、これらの
添加なしでも高い肥大率を示す。なお、培養速度を高め
る目的で、球根のカルス化などの悪影響を及ぼさないオ
ーキシン、例えばナフタレン酢酸などを少量添加して用
いても良い。
【0013】この球根培養過程において、液体振盪培養
を採用する場合には、コニカル、三角フラスコなどの適
宜な培養容器5に液体培地と適当な量の発芽体4とを入
れ、振盪培養器にセットして培養する。容器5内の液体
培地は、必要に応じて無菌的に追加、交換して良い。ま
た、この球根培養過程において液体通気培養を採用する
場合には、大型のタンク等の培養槽6に液体培地と発芽
体4とを入れ、フィルターでろ過した無菌空気を培養槽
6内の液体培地中に供給してバブリングしつつ培養を行
う。培養槽6内の液体培地は、必要に応じて無菌的に追
加、交換して良い。
【0014】この球根培養過程では、発芽体4を好気的
条件下で液体培養することによって極めて高い肥大率を
示す。その理由は、発芽体4の根のみでなく表面全体か
ら液体培地中の栄養成分の摂取が可能となることと、種
子1を培養して得た発芽体4を用いることによるものと
考えられる。何れにせよ採取した種子1を無菌的に培養
して上子葉発芽させた発芽体4を好気的条件下で液体培
養することによって、極めて高い肥大率が得られ、短期
間で大型球根を生産可能であること、殊に発芽体4の液
体培養によって、開花球根8にまで培養が可能であるこ
とは、ユリ属植物の大量生産技術において画期的な技術
的革新である。
【0015】この球根培養過程における肥大率、特に開
花球根8や同レベルの大きさの球根に肥大する最終段階
の肥大率は、ユリ属植物の各品種間によってばらつきが
ある。その最終段階の肥大率が低いものや、土壌栽培へ
の適応性が悪くなるものは、上記球根培養過程を、球根
肥大率が高い中粒の培養球根7となった時点で終了し、
得られた培養球根7を土壌等の栽培用培地に移植して栽
培し、開花球根8を生産する(球根養成過程)。さら
に、球根養成過程の前処理として、球根培養過程で得ら
れた培養球根7を0〜10℃の温度下に、1〜5ヶ月程
度、好ましくは3ヶ月程度保管する低温処理を行い、そ
の後球根を土壌などの栽培用培地に移植して開花球根8
を生産するのが望ましい。
【0016】この球根生産方法は、ヤマユリ、テッポウ
ユリ、カノコユリ、ササユリなどの鑑賞用のユリ属植物
に適用することによって、優れた品質の鑑賞用開花球根
を短期間で得られる他、食用のユリ根生産用の品種に適
用することによって、食用ユリ根を短期間で大量生産す
ることが可能となる。
【0017】(実験例)ユリ属植物として、ヤマユリ
(Lilium auratum Lindl.)を水洗処理法と従来の温度
処理法との発芽率の比較を行った。供試種子は自生する
ヤマユリから採種した。採種後2週間は23℃の室内に
放置し乾燥させ、その後2℃の冷蔵庫内で保管した。採
取7ヶ月後、種子を滅菌した。種子の滅菌は以下の手順
で行った。 70%エタノールの入ったビーカーに種子を入れ、1
分間超音波洗浄した。 ビーカー内のエタノールを有効酸素濃度2〜3%のN
aClO溶液に入れ替え、マグネチックスターラーにて
10分間攪拌した。 クリーンベンチ内にビーカーを持込み、滅菌水を用い
て種子に付着したNaClO溶液を洗い流した。滅菌し
た種子を以下の2つの方法で発芽させた。
【0018】1)水洗処理法:滅菌水150mlを入れ
た350ml容量のフラスコ内に滅菌した種子を25粒
入れ、旋回式振盪装置を用いて毎分130回転でフラス
コを旋回した。この滅菌水はイオン交換水を高圧蒸気滅
菌したものである。 2)温度処理法:ショ糖濃度30g/LのMS培地を、
濃度2g/Lのゲルライトでゲル化した培地25mlを
入れたプラスチック製シャーレを用意し、滅菌した種子
25粒をゲル培地上に並べた。シャーレに蓋を被せ、ビ
ニールテープで密閉した。シャーレは恒温槽内に静置し
た。恒温槽内の温度は、播種日から2ヶ月間は30℃一
定、それ以降は15℃一定に制御した。
【0019】本実験において、採種した母株による発芽
率の差異が発芽率に反映されないように、2系統の種子
を用い、それぞれ個別に発芽率を調べた。供試した種子
数は系統別に400個および300個であり、それぞれ
半数づつを水洗処理法と温度処理法で発芽処理した。発
芽率の調査は、水洗処理法では実験開始後173日目ま
で、温度処理法は実験開始後151日目まで行った。そ
の結果を図2に示す。
【0020】図2から明らかなように、約6ヶ月後にお
ける発芽率は、温度処理法では55%、水洗処理法では
80%以上であった。温度処理法では、播種後4ヶ月目
(30℃から15℃へ変温後2ヶ月目)以降、発芽率は
上昇しなかった。これに対し水洗処理法では約6ヶ月目
まで直線的に発芽率が上昇し、最終的に80%以上の高
い発芽率となった。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の球根生産
方法は、ユリ属植物から採取した種子を水または液体培
地に入れて発芽させ、得られた発芽体を液体培養して球
根を生産することによって、短期間の培養で開花球根ま
たは同等の大きさの大型球根にまで培養することがで
き、従来の組織培養法よりも更に短期間で開花球根を生
産することが可能である。また、従来の組織培養法に比
べて培養時の移植等が少なく生産工程が簡略であり、か
つオーキシンやサイトカイニンを使用しない培地で生産
が可能となり、培地の調製および培養時の生育度合のチ
ェック等を大幅に簡素化でき、生産コストの低減化を図
ることができる。また、ウイルスや雑菌に汚染される確
率の低い種子を材料として球根を生産するので、容易に
ウイルスフリーの開花球根を生産でき、また簡単な殺菌
処理によって無菌的培養を行うことができ、従来の鱗片
を用いた組織培養法におけるウイルス汚染や雑菌汚染の
問題を容易に解消でき、生産工程を簡略化できるととも
に、ウイルス汚染や雑菌汚染による生産効率の低下を改
善することができる。さらに、種子発芽過程において、
種子を水中に浸漬し、攪拌することによって従来法(温
度処理法)に比べ種子の発芽率を格段に高めることがで
きる。また種子を培養器内に入れて発芽させ、同じ培養
器内で発芽体を液体培養し、球根培養過程を行うことに
よって、球根の移植が不要となり、球根移植時に球根や
培養液中に雑菌が混入する不具合がなくなるとともに、
球根等の移植のための余分な手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の球根生産方法の一例を説明す
る工程図。
【図2】 本発明に係る実験例の結果を示すグラフ。
【図3】 従来の組織培養法によるユリ球根の生産を示
す概略工程図。
【符号の説明】
1……種子、2……サク、3……滅菌水、4……発芽
体、5……培養容器、6……培養槽、7……培養球根、
8……開花球根。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ユリ属植物から種子を採取し、該種子を
    水または液体培地に入れて発芽させる種子発芽過程と、
    得られた発芽体を液体培養して球根を生産する球根培養
    過程とを備えることを特徴とするユリ属植物の球根生産
    方法。
  2. 【請求項2】 前記種子発芽過程は、種子を水中に浸漬
    し、攪拌する処理を行うことを特徴とする請求項1記載
    のユリ属植物の球根生産方法。
  3. 【請求項3】 種子を培養器内に入れて発芽させ、同じ
    培養器内で発芽体を液体培養し、球根培養過程を行うこ
    とを特徴とする請求項1記載のユリ属植物の球根生産方
    法。
JP9044433A 1996-05-22 1997-02-27 ユリ属植物の球根生産方法 Pending JPH1033078A (ja)

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