JPH10330440A - 乳化重合体およびその製造方法 - Google Patents

乳化重合体およびその製造方法

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JPH10330440A
JPH10330440A JP14162697A JP14162697A JPH10330440A JP H10330440 A JPH10330440 A JP H10330440A JP 14162697 A JP14162697 A JP 14162697A JP 14162697 A JP14162697 A JP 14162697A JP H10330440 A JPH10330440 A JP H10330440A
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emulsion
emulsion polymer
seed particles
acrylate
meth
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JP14162697A
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Inventor
Takaaki Fujiwa
高明 藤輪
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温にて架橋が可能で、かつ化学的に安定な
「一液型」の乳化重合体とその製造方法を提供する。 【解決手段】 【化5】 の構造式を有するエポキシアクリレート化合物(1) の存
在下でエチレン性不飽和モノマーを乳化重合させてシー
ド粒子を合成する。 このシード粒子の存在下にて、ア
ミノ基を有するエチレン性不飽和モノマーを乳化重合し
て一液型の乳化重合体を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規の乳化重合
体、特に、化学的に安定で、かつ低温(室温)でも自己
架橋性を有する乳化重合体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】塗
料、紙加工剤、繊維加工剤、接着剤、セメント混和剤な
どの用途に様々な乳化重合体が用いられており、重合体
を架橋することで、これら重合体の性能改善が図られて
いた。 この架橋反応については、省エネルギーの観点
から、より低温条件下での架橋反応の実現がかねてから
検討されていた。 そして、これまでに、カルボキシル
化乳化重合体にエポキシ樹脂の乳化分散体あるいは水溶
性エポキシ樹脂を混合する方法等が提案されている。
また、エポキシ樹脂のグリシジル基と重合体中のカルボ
キシル基が、有機アミノ化合物の合成促進因子として架
橋反応に関与することも、当該技術分野では周知であ
り、この作用機構はよく利用されている。
【0003】しかしながら、エポキシ樹脂の乳化分散
体、あるいは水溶性エポキシ樹脂とカルボキシル化乳化
重合体の混合物を用いた架橋方法では、混合物に付与で
きる安定性にも限度があり、所謂「ポット・ライフ」が
問題となっていた。 このため、当該技術分野における
架橋とは、エポキシ樹脂および/または架橋促進剤を使
用時に添加・混合して用いる、所謂「二液型」架橋が主
流となっている。
【0004】エポキシ樹脂の乳化分散体を用いる場合、
エポキシ樹脂およびカルボキシル化重合体はそれぞれ別
の粒子となって存在するので、これら粒子表面に吸着し
て分散粒子を安定化させる乳化剤層などの影響で、十分
に架橋が進まないことがある。 一方、水溶性のエポキ
シ樹脂を用いれば、このような架橋阻害の問題は緩和さ
れるが、混合物の安定性は低下するなど、結果としてポ
ット・ライフが短くなるなどの問題点が解消されないま
まとなっている。
【0005】エポキシ樹脂とカルボキシル化乳化重合体
を配合したものに、架橋促進剤を加えずとも、反応系の
pHを管理・調節することで、比較的安定な重合体を得る
方法もある。 ところが、このような方法でも、低温で
の架橋は非常に困難であり、通常、 100℃以上の加熱処
理が必要となってしまう。
【0006】一方、ビスフェノールAジグリシジル等の
エポキシ樹脂をシード(種粒子)として得た架橋性基を
有するアクリル系エマルジョンでも、エポキシ化合物と
の十分な架橋を室温下で行うには、架橋反応に長時間を
要するのみならず、未反応のエポキシの生成も問題とな
ってくる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した従
来技術の問題点に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、室温で
も架橋反応が十分に進行し、また強靱な塗膜を形成する
化学的に安定な「一液型」の乳化重合体とその製造方法
を提供することを目的とするものであり、本発明の要旨
とするところは;少なくとも(メタ)アクリル酸エステ
ルからなるエチレン性不飽和モノマーを、下記化学式、
すなわち、
【0008】
【化3】
【0009】で表されるエポキシアクリレート化合物
(1) を用いた乳化重合によって合成したシード粒子の存
在下で、アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル
を乳化重合して合成された乳化重合体と、その製造方法
にある。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の乳化重合体は、エマルジ
ョン粒子内に、ビスフェノール骨格を有するエポキシ
と、アミノ基を有したエチレン性不飽和単量体の双方を
構成単位とする層構造を特徴とするものであり、この層
構造によって一液型の安定な乳化重合体が実現される。
【0011】以下に、本発明の構成を詳細に説明する。
【0012】まず、本発明におけるシード粒子とは、下
記化学式、すなわち、
【0013】
【化4】
【0014】で表されるエポキシアクリレート化合物
(1) 〔以下、単に「エポキシアクリレート化合物(1) 」
と称する〕に対して、少なくとも(メタ)アクリル酸エ
ステルからなるエチレン性不飽和モノマーを加え、混合
し、公知の方法で乳化重合する。
【0015】エポキシアクリレート化合物(1) とエチレ
ン性不飽和モノマーの混合時の重量比率は、エポキシア
クリレート化合物(1):エチレン性不飽和モノマー=1:
100〜 100:100 、好ましくは5:100 〜50:100 の範
囲とする。 これは、エポキシアクリレート化合物(1)
の量が過剰になると、不経済的であるばかりでなく、乳
化重合体の安定性の低下を招き、他方、エポキシアクリ
レート化合物(1) の量が少なすぎると、期待する性能
(密着性)を備えた塗膜が得られないことによる。
【0016】本発明のエポキシアクリレート化合物(1)
として、エピクロルヒドリン−ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂のモノ(メタ)アクリレートあるいはジグリシ
ジル(メタ)アクリレートなど、具体的には、ビスフェ
ノールAジグリシジルモノアクリレート、ビスフェノー
ルAジグリシジルジアクリレートなどが挙げられる。こ
の樹脂のベースとなるエポキシ樹脂として、エピコート
828、エピコート1001(油化シェル(株))などがある。
また、これらエポキシ樹脂に(メタ)アクリレートが
付加したものとして、例えば、エベクリル 600、エベク
リル3700、エベクリル3605(いずれも商品名;ダイセル
UCB(株))などがあり、これらも本発明において使用でき
る。
【0017】本発明のシード粒子の合成のために用いる
エチレン性不飽和モノマーとしては、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル
酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル等のメタクリル酸エステル類などが好適である。 そ
の他、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸の各エステル
類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、第3級カルボン
酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン、ビニルトル
エンの如き芳香族ビニル化合物、ビニルピロリドンなど
の複素環式ビニル化合物;塩化ビニル、アクリロニトリ
ル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルアミド等;
塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニ
リデン化合物;エチレン、プロピレン等のα−オレフィ
ン類;ブタジエンなどのジエン類なども使用できる。
また、用途や必要とする性能に応じて、アクリルアミ
ド、メタクリルアミド、マレイン酸アミド等のα、β−
エチレン性不飽和酸のアミド類;N−メチロール(メ
タ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不
飽和カルボン酸の置換アミド;ジアリルフタレート、ジ
ビニルベンゼン、アリルアクリレート、トリメチロール
プロパントリメタクリレートのような1分子中に2個以
上の不飽和結合を有する単量体なども本発明で用いるこ
とができる。 同様の理由で、ビニルスルホン酸、スチ
レンスルホン酸、アリルアルキルイタコネート硫酸エス
テルなどの不飽和基とスルホン酸基、サルフェート基を
有するもの、およびこれらのアルカリ塩も使用すること
ができる。
【0018】なお、本発明のシード粒子の分子量は、 1
00,000以上のものが好ましい。 これはすなわち、分子
量が 100,000に満たないと、架橋密度が不十分となり、
最終生成物たる乳化重合体の強度の低下を招きかねない
ことによる。
【0019】一方、本発明に適用可能なアミノ基を有す
るエチレン性不飽和モノマーとしては、N−メチルアミ
ノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のアル
キルアミノエステル類、ビニルピリジンなどのモノビニ
ルピリジン類、ジメチルアミノエチルビニルエーテルな
どのアルキルアミノ基を有するビニルエーテル類、N−
(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミドまたはN
−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミドなど
のアルキルアミノ基を有する不飽和アミド類などがある
が、特に、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート
が、他のエチレン性不飽和モノマーとの良好な共重合性
からして、本発明において有用である。
【0020】乳化重合方法 次に、本発明での乳化重合方法について述べる。
【0021】本発明のシード粒子は、エポキシアクリレ
ート化合物(1) を溶解したエチレン性不飽和モノマーの
混合物に、乳化剤の存在下、ラジカル生成開始剤を添加
して、公知の乳化重合方法で製造する。 得られた乳化
重合体(シード粒子)を水相に加え、これに、エチレン
性不飽和モノマーの混合物およびラジカル生成開始剤を
加えて、公知の乳化重合方法で目的とする乳化重合体を
得る。 この場合、乳化重合中の凝集物の生成防止な
ど、重合系の安定化のために、乳化剤をさらに追加して
もよい。
【0022】なお、別途製造したシード粒子を用いてシ
ード乳化重合する前述の方法の他、同一反応装置内でシ
ード粒子(乳化重合体)を製造し、続けてその系内にエ
チレン性不飽和モノマーの混合物およびラジカル生成開
始剤を加えて、シード乳化重合をすることもできる。
【0023】乳化剤(界面活性剤)としては、アルキル
ベンゼンスルホン酸ソーダ、ラウリル硫酸ソーダ、ナト
リウムジオクチルスルホサクシネート、アルキルフェニ
ルポリオキシエチレンサルフェートソーダ塩、アンモニ
ウム塩などのアニオン性乳化剤、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル
エーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン
ブロック共重合体など、通常、乳化重合に用いられる乳
化剤が本発明においても使用できる。
【0024】本発明の乳化重合体は、一般に、シード粒
子をコアとしたコア−シェル型エマルジョンを形成す
る。 このコア−シェル型エマルジョンにおいて、コア
重合体とシェル重合体の量比(重量比率)を、コア:シ
ェル=10:1〜10:50の比率となるように乳化重合条件
を調整する。 この数値範囲は、シェル重合体の比率が
コア(シード粒子)の5倍を超えると、本発明の乳化重
合体から塗膜を形成した際の密着性の低下を招き、ま
た、シェル重合体の比率がコアの1/10未満になると、塗
膜強度が小さくなり、塗膜の耐久性が乏しくなるとの知
見に基づいたものである。
【0025】シード粒子の乳化重合にあっては、エポキ
シアクリレート(1) とエチレン性不飽和モノマーの合計
重量に対して 0.5〜15重量%の範囲の量の乳化剤を使用
する。 つまり、乳化剤の量が15重量%より大きくなる
と、生成するシード粒子に耐水性が付与されかねず、ま
た、乳化剤の量が 0.5重量%より小さいと、乳化重合時
の反応系の安定性ならびに生成した乳化重合体の安定性
が低下する、との不都合を回避する上で範囲設定された
ものである。
【0026】さらに、次工程でのシード乳化重合におけ
る乳化剤の使用量は、シード粒子の乳化重合体の固形分
重量に対して10重量%以下にすることが、不必要な粒子
の生成を抑制する上で望ましい。
【0027】本発明の乳化重合に用いられるラジカル生
成開始剤としては、通常の乳化重合に用いられているも
のが使用できる。 例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ア
ンモニウム、アゾビスイソブチロニトリルおよびその塩
酸塩などが挙げられ、またクメンハイドロパーオキサイ
ド、tert−ブチルハイドロパーオキサイドなどの有機過
酸化物も必要に応じて使用できる。 さらに、これらの
過硫酸塩または過酸化物、鉄イオンなどの金属イオン、
およびナトリウムスルホオキシレートホルムアルデヒ
ド、ピロ亜硫酸ソーダ、L−アスコルビン酸などの還元
剤を併用する公知のレドックス系開始剤も用いることが
できる。
【0028】乳化重合時の固形分濃度は、重合反応を安
定して進行させる観点から、最終組成物が25〜65重量%
の固形分濃度となるように調整する。 また、反応系へ
のエチレン性不飽和モノマーおよびラジカル生成開始剤
は、一括仕込み、連続滴下、分割添加などいずれの方法
によっても添加することができる。
【0029】乳化重合時のpHは、乳化重合の際に通常使
用されるpH値に調整する。 また、乳化重合は常圧下、
またはガス状のエチレン性不飽和モノマーを使用すると
きは加圧下で行う。
【0030】本発明の組成物は、通常の乳化重合体の製
造時に用いられる添加剤、例えば、造膜助剤、可塑剤、
有機溶剤、消泡剤、分散剤、界面活性剤、増粘剤、顔
料、充填剤、防腐剤、防バイ剤、pH調整剤などを必要に
応じて添加できる。
【0031】
【実施例】以下に本発明を実施例に沿って具体的に説明
するが、これら実施例の開示に基づいて本発明が限定的
に解釈されるべきでないことは勿論である。 なお、以
下の部および%の表記は、特別の断りの無い限り、いず
れも重量に基づく値を意味する。
【0032】実施例1〜3:乳化重合体の製造 実施例1 攪拌機、還流コンデンサー、滴下漏斗および温度計を備
えた 1.5l容の反応器(フラスコ)に、脱イオン水 39
3.0g、エマルゲン935 18.0g(花王(株))を仕込み融
解した。 次いで、エベクリル3605 (ビスフェノールA
ジグリシジルモノアクリレート;ダイセルUCB(株))41.0
g、ブチルアクリレート(BA) 121.8g、メチルメタクリ
レート(MMA)180.0g、およびアクリル酸(AA) 2.0gを均
一に融解し、滴下漏斗に入れた。
【0033】窒素ガスを反応器に送入しつつ、攪拌下
で、反応器内の温度を60℃にまで昇温し、脱イオン水に
溶解した2%濃度の過硫酸カリウム水溶液を40部添加
し、次いで、滴下漏斗に入れた不飽和モノマーの20%を
加えた。 重合熱による温度上昇をウォーターバス(水
浴)で制御し、反応器内の温度を80℃に保ちつつ、続い
て、不飽和モノマーの残りと2%過硫酸カリウム水溶液
80部を2時間かけて滴下し、乳化重合を行った。 この
状態をさらに2時間保持した後、反応液を室温まで冷却
し、200 メッシュの濾布で濾過し、シード粒子となる乳
化重合体を濾別して得た。 この重合体の不揮発分濃度
は46.0%、pH 3.0であった。
【0034】このシード粒子 400gおよび脱イオン水 1
30gを、1l容の反応器(フラスコ)に仕込んだ。 次
に、アクリル酸ブチル(BA)75g、メタクリル酸メチル(M
MA)120g、ジメチルアミノエチルメタクリレート 4.0
g、アクリル酸 1.0gを均一に混合した液を滴下漏斗に
入れた。 窒素ガスを反応器に送入しつつ、攪拌下で、
反応器内の温度を70℃にまで昇温し、別の滴下漏斗に準
備した2%過硫酸カリウム水溶液の60部と前出の不飽和
モノマーの混合物を滴下して乳化重合を行った。
【0035】この滴下は、反応器内の温度を70℃に保
ち、2時間かけて行った。 この状態を、さらに同温度
で2時間保持した後、反応液を室温まで冷却して、200
メッシュの濾布で濾過し、本発明の乳化重合体を得た。
【0036】得られた重合体は、不揮発分52.5%、pH
5.0、粘度 130cp (BM型回転粘度計、ローターNo.2、回
転速度60rpm 、25℃) であった。
【0037】この重合体にアンモニアを加え、pHを8.0
に調整した。 そして、重合後、50℃で、反応液を1ヶ
月保存したところ、凝集などの変化は認められず、その
安定性が確認された。
【0038】実施例2 実施例1でのエベクリル3605 41.0gの代わりに、エベ
クリル3605 30.0gとエベクリル3700(ビスフェノール
Aジグリシジルのジアクリレート)11.0gの混合物を用
いた以外は、実施例1と同様にしてシード粒子を合成し
た。 得られたシード粒子の不揮発分濃度は46.0%、pH
3.0であった。
【0039】このシード粒子 400gを用いた以外は、実
施例1と同様に乳化重合体の合成を行った。 得られた
乳化重合体の不揮発分濃度は52.5%、pH 5.1、粘度190c
p であった。
【0040】この乳化重合体にアンモニアを加え、pHを
8.0 に調整した。 そして、重合後、50℃で、反応液を
1ヶ月保存したところ、凝集などの変化は認められず、
その安定性が確認された。
【0041】実施例3 実施例1でのエベクリル3605の41.0gの代わりに、エベ
クリル3700の41.0gを用いた以外は、実施例1と同様に
してシード粒子を合成した。 得られたシード粒子の不
揮発分濃度は46.0%、pH 3.0であった。
【0042】このシード粒子 400gを用いた以外は、実
施例1と同様に乳化重合体の合成を行った。 得られた
乳化重合体の不揮発分濃度は52.4%、pH 5.10 、粘度25
0cpであった。
【0043】この乳化重合体にアンモニアを加え、pHを
8.0 に調整した。 そして、重合後、50℃で、反応液を
1ヶ月保存したところ、凝集などの変化は認められず、
その安定性が確認された。
【0044】比較例:乳化重合体の製造 実施例1でのエベクリル3605の代わりに、エピコート82
8 41.0g(ビスフェノールAジグリシジル、油化シェル
(株))を用いた以外は、実施例1と同様にしてシード粒
子を合成した。 得られたシード粒子の不揮発分濃度は
46.0%、pH 3.0であった。
【0045】このシード粒子 400gを用いた以外は、実
施例1と同様にして乳化重合体の合成を行った。 得ら
れた乳化重合体の不揮発分濃度は52.4%、pH 5.1、粘度
120cpであった。
【0046】最後に、この乳化重合体にアンモニアを加
え、pHを8.0 に調整した。 そして、重合後、50℃で、
1ヶ月保存したところ、凝集などの変化は認められず、
その安定性も確認された。
【0047】〔実施例4:評価試験〕実施例1−3およ
び比較例での各乳化重合体試料を、バーコーター#12で
ガラス板に塗布し、室温で48時間乾燥して、塗膜を形成
した。
【0048】各塗膜試料を、メチルエチルケチトン(ME
K) を含ませた布で擦過(50回擦過)するラビングデスト
に適用し、塗膜の硬化性を評価した。
【0049】また、塗膜試料を形成した同ガラス板を、
80℃の温水に24時間浸漬した際の白化度についても観察
し、その耐水性を評価した。
【0050】次に、角塗膜試料に対して、ガラス板素地
に達する様にカッターナイフで塗膜試料のほぼ中央に直
交する縦横11本ずつの平行線を1mmの間隔で引いて、1
cm2当たり 100個の弁目ができるようにゴバン目状に切
り傷を付けた。 そして、塗膜塗面に粘着テープを貼り
付け、それを急激に剥がした後に、ゴバン目の剥離状況
を目視によって塗膜の密着性を評価判定した。
【0051】これら、硬化性、耐水性および密着性に関
する評価試験の結果を、以下の表1に示した。
【0052】
【表1】
【0053】表1に記載の結果から、本発明の乳化重合
体によれば、硬化性、耐水性、密着性を含めた諸性能
と、化学的安定性が改善された、実用レベルでの使用に
十分耐え得る塗膜の形成が確認された。
【0054】
【発明の効果】従来のエポキシ樹脂での重合と異なり、
本発明によれば、ビスA構造に(メタ)アクリレートが
付加するように共重合反応が進行し、結果として強固な
層構造の乳化重合体が得られので、強靱な塗膜の形成が
可能となる。
【0055】また、本発明によれば、室温で硬化可能な
「一液型」の乳化重合体の実現が図れ、これにより、使
用時の用剤の混合作業や重合のための加熱処理工程が省
略できるなど、作業効率の改善も図れるのである。
【0056】さらに、本発明では、工業的に入手容易な
エポキシアクリレートを利用する関係から、広範な用途
での応用がきく、室温で硬化可能な「一液型」の乳化重
合体が工業規模で大量生産できるなど、優れた作用効果
を奏するものである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エ
    ステルを、シード粒子の存在下で乳化重合して得られる
    乳化重合体であって、 前記シード粒子が、少なくともアクリル酸エステルおよ
    び/またはメタクリル酸エステルからなるエチレン性不
    飽和モノマーを、下記化学式、すなわち、 【化1】 で表されるエポキシアクリレート化合物(1) の存在下で
    乳化重合して合成したシード粒子である、ことを特徴と
    する乳化重合体。
  2. 【請求項2】 前記エポキシアクリレート化合物(1)
    が、ビスフェノールAジグリシジルモノアクリレート、
    ビスフェノールAジグリシジルジアクリレート、および
    これらの組み合わせから選択される請求項1に記載の乳
    化重合体。
  3. 【請求項3】 前記エチレン性不飽和モノマーが、アク
    リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、
    メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、およびこれ
    らの組み合わせから選択されたモノマーである請求項1
    もしくは2に記載の乳化重合体。
  4. 【請求項4】 前記アミノ基を有する(メタ)アクリル
    酸エステルが、ジメチルアミノエチルメタクリレートで
    ある請求項1乃至3のいずれかに記載の乳化重合体。
  5. 【請求項5】 前記乳化重合体が、前記シード粒子をコ
    アとしたコア−シェル型エマルジョンであって、かつコ
    アとシェルを、コア:シェル=10:1〜10:50の重量比
    率で含む請求項1乃至4のいずれかに記載の乳化重合
    体。
  6. 【請求項6】 前記シード粒子が、 100,000以上の分子
    量を有する請求項1乃至5のいずれかに記載の乳化重合
    体。
  7. 【請求項7】 乳化重合体の製造方法であって、以下の
    工程、すなわち; (a) 少なくともアクリル酸エステルおよび/またはメタ
    クリル酸エステルからなるエチレン性不飽和モノマー
    を、下記化学式、すなわち、 【化2】 で表されるエポキシアクリレート化合物(1) の存在下で
    乳化重合してシード粒子を合成し、および (b) 前記シード粒子の存在下で、アミノ基を有する(メ
    タ)アクリル酸エステルを乳化重合する、 工程を含むことを特徴とする乳化重合体の製造方法。
JP14162697A 1997-05-30 1997-05-30 乳化重合体およびその製造方法 Pending JPH10330440A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100507339B1 (ko) * 2002-09-05 2005-08-08 제일모직주식회사 완전침투 상호 가교구조의 단분산 고분자 입자, 그제조방법 및 액정 표시소자로서의 응용
JP2013543039A (ja) * 2010-11-18 2013-11-28 ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) ビニリデンクロリドポリマーラテックスの調製方法

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KR100507339B1 (ko) * 2002-09-05 2005-08-08 제일모직주식회사 완전침투 상호 가교구조의 단분산 고분자 입자, 그제조방법 및 액정 표시소자로서의 응용
JP2013543039A (ja) * 2010-11-18 2013-11-28 ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) ビニリデンクロリドポリマーラテックスの調製方法

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