JPH10330386A - 有機シリル基及びカルバメート結合含有アルコキシシラン化合物 - Google Patents

有機シリル基及びカルバメート結合含有アルコキシシラン化合物

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JPH10330386A
JPH10330386A JP14379497A JP14379497A JPH10330386A JP H10330386 A JPH10330386 A JP H10330386A JP 14379497 A JP14379497 A JP 14379497A JP 14379497 A JP14379497 A JP 14379497A JP H10330386 A JPH10330386 A JP H10330386A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 疎水性の高い置換基を有するにも係わらず、
極性溶媒への溶解性が高く、製造、使用時に取り扱い容
易なアルコキシシラン化合物を提供する。 【解決手段】 一般式Iのアルコキシシラン化合物。 (R1及びR2はアルキル基、aは0又は1、Xはアルキレ
ン基、R3は一般式IIの基) 一般式Iの化合物の具体例には式20のものがある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面撥水処理剤、
シランカップリング剤、無機−有機複合体の原料及び相
溶化剤等として有用な新規なケイ素化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス、プラスチック等の各種基材の表
面に撥水性を付与するための表面撥水処理剤として、フ
ッ素置換された置換基を有するアルコキシシラン化合物
が有用であることが知られている。撥水能に関しては、
フッ素置換の割合が大きいほど高くなるが、それに従い
極性溶媒への溶解性が著しく低下する。また、嵩高いア
ルキル基を有するアルコキシシラン化合物も撥水処理剤
として有用であることが知られており、特開平7−26
7967号公報にノルボルニル基とシクロアルキル基を
有するアルコキシシラン化合物が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
7−267967号公報に記載のアルコキシシラン化合
物は、フッ素置換された置換基を有するアルコキシシラ
ン化合物ほどではないが、極性溶媒への溶解性が低く、
また嵩高い2つの置換基がケイ素原子に直接結合してい
る弊害としてアルコキシ基の反応性が著しく低下すると
いう欠点がある。そこで本発明は、嵩高く疎水性の置換
基を有するにも係わらず、極性溶媒への溶解性が高く、
かつ適度なアルコキシ基の反応性を有するために、製
造、使用時に取り扱いが容易で、表面撥水処理剤、シラ
ンカップリング剤、無機−有機複合体の原料及び相溶化
剤等として有用である、新規なアルコキシシラン化合物
を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、鋭意検討した結果得られたものであり、
下記一般式(I)で表される有機シリル基及びカルバメ
ート結合含有アルコキシシラン化合物に関する。
【0005】
【化5】 (式中、R1及びR2は、独立して、炭素数1〜4のアルキ
ル基であり、aは0又は1であり、Xは炭素数1〜6の
アルキレン基であり、R3は下記一般式(II)で表され
る基である。)
【0006】
【化6】 (式中、Yは炭素原子が酸素原子に置換されてもよい炭
素数1〜8のアルキレン基または一般式(III)で表され
る置換基を有する、炭素原子が酸素原子に置換されても
よい炭素数1〜8のアルカントリイル基であり、R4、R5
R6及びR7はそれぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル
基、フェニル基、トリメチルシロキシ基であり、R8は炭
素数1〜6のアルキル基、フェニル基、トリメチルシロキ
シ基又は一般式(IV)で表される基であり、nは0〜15の整
数である。)
【0007】
【化7】 (式中、R1、R2、X及びaはいずれも一般式(I)における定
義と同義である。)
【0008】
【化8】 (式中、R1、R2、X及びaはいずれも一般式(I)における定
義と同義であり、Zは炭素原子が酸素原子に置換されて
もよい炭素数1〜8のアルキレン基である。)
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の上記一般式(I)で表される有機シリル基及び
カルバメート結合含有アルコキシシラン化合物は、嵩高
く疎水性である有機シリル基及び親水性で適度な凝集能
を持つカルバメート結合を同一基内に有することを特徴
とする。このうち嵩高く疎水性である有機シリル基は撥
水性発現に効果を示し、親水性で適度な凝集能をもつカ
ルバメート結合は極性溶媒への溶解性向上に効果を示
す。さらに、この相反する性質の有機シリル基とカルバ
メート結合を同一基内に有し、なおかつ加水分解性基で
あるアルコキシ基を有することにより、本来相溶性を示
しにくい有機物と無機物の層間を埋めるシランカップリ
ング効果、あるいは無機−有機複合体の相溶化効果をも
示す。またその構造的特徴から新規な無機−有機複合体
の原料としても有用である。
【0010】この一般式(I)で表されるアルコキシシ
ラン化合物の具体例について以下に説明する。
【0011】R3中、n=0、R6=R7=R8=炭素数1〜6のアルキル基
【化9】
【0012】R3中、n=0、R6=炭素数1〜6のアルキル基、
R7=R8=トリメチルシロキシ基
【化10】
【0013】R3中、n=1、R4=R5= R6=R7=R8=炭素数1〜6のアルキル基
【化11】
【0014】R3中、n=1、R4=R5=トリメチルシロキシ
基、R6=R7=R8=炭素数1〜6のアルキル基
【化12】
【0015】R3中、Y=炭素数1〜8の酸素原子を含まない
アルキレン基、R4=R5=R6=R7=R8=炭素数1〜6のアルキル
【化13】
【0016】R3中、Y=炭素数1〜8の酸素原子を含まない
アルキレン基、R4=R5= R6=R7=炭素数1〜6のアルキル
基、R8=一般式(IV)で表される基
【化14】
【0017】R3中、Y=一般式(III)で表される置換基を
有する、炭素原子が酸素原子に置換されてもよい炭素数
1〜8のアルカントリイル基、R4=R5=R6=R7=R8=炭素数1〜
6のアルキル基
【化15】
【0018】R3中、Y=炭素数1〜8の一部の炭素原子が酸
素原子で置換されたアルキレン基、R4=R5=R6=R7=炭素数
1〜6のアルキル基、R8=一般式(IV)で表される基
【化16】
【0019】R3中、Y=炭素数1〜8の一部の炭素原子が酸
素原子で置換されたアルキレン基、R4=R5=R6=R7=R8=炭
素数1〜6のアルキル基
【化17】
【0020】R3中、Y=炭素数1〜8の酸素原子を含まない
アルキレン基、n=1、R4=R5=R6=R7=炭素数1〜6のアル
キル基、R8=一般式(IV)で表される基
【化18】
【0021】R3中、Y=炭素数1〜8の酸素原子を含まない
アルキレン基、n=1、R4=R5=R6=R7=トリメチルシロキ
シ基、R8=一般式(IV)で表される基
【化19】
【0022】R1及びR2は、独立して、炭素数1〜4のア
ルキル基であり、炭素数1〜4のアルキル基としては、
例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロ
ピル基、n-ブチル基を挙げることができる。Xは炭素数
1〜6のアルキレン基であり、炭素数1〜6のアルキレ
ン基は、直鎖又は分岐であることができ、例えば、メチ
レン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、へキ
シレン基、へプチレン基を挙げることができる。
【0023】一般式(II)で示されるR3におけるYは、
炭素原子が酸素原子に置換されてもよい炭素数1〜8の
アルキレン基または一般式(III)で表される置換基を有
する、炭素原子が酸素原子に置換されてもよい炭素数1
〜8のアルカントリイル基である。炭素原子が酸素原子
に置換されてもよい炭素数1〜8のアルキレン基として
は、酸素原子を含まない直鎖又は分岐のアルキレン基が
挙げられ、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブ
チレン基、ペンチレン基、へキシレン基等を例示でき
る。また、一部の炭素原子が酸素原子に置換された炭素
数1〜8のアルキレン基としては、エチレンオキシ基、
プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基やこれらの基を
2つ以上含むアルキレンオキシ基を挙げることができ
る。一般式(III)で表される置換基を有する、炭素原子
が酸素原子に置換されてもよい炭素数1〜8のアルカント
リイル基における主鎖であるアルキレン基または一部の
炭素原子が酸素原子に置換されたアルキレン基は、上記
と同様のものを同様のものを挙げることができる。R4
R5、R6、及びR7を示す炭素数1〜6のアルキル基として
は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル
基、n-ブチル基、 tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘ
キシル基を例示することができる。R8を示す炭素数1〜6
のアルキル基についても同様である。一般式(IV)におけ
るZを示す炭素原子が酸素原子に置換されてもよい炭素
数1〜8のアルキレン基は、Yにおける炭素原子が酸素
原子に置換されてもよい炭素数1〜8のアルキレン基と
同様のものが挙げられる。
【0024】上記一般式(I)のアルコキシシラン化合
物は、例えばイソシアネート基含有アルコキシシラン化
合物とヒドロキシ基含有有機シリル化合物とを付加反応
させることにより得ることができる。この反応は、有機
シリル化合物が有するヒドロキシ基とアルコキシシラン
化合物が有するイソシアネート基のモル比率が0.95
から1.10の範囲内となる量のそれぞれの化合物を使
用し、反応温度が0から120℃、好ましくは20から
80℃、反応時間が0.5から24時間の条件で行うこ
とができる。また、反応溶媒として、イソシアネート基
含有アルコキシシラン化合物とヒドロキシ基含有有機シ
リル化合物の共通溶媒を適宜使用してもよい。但し、こ
れらの溶媒を使用する場合は、なるべく溶媒中の水分を
除去する必要がある。
【0025】付加反応性向上のために触媒を適宜使用し
てもよく、アミン化合物、有機金属化合物等が効果的で
ある。具体的には、トリエチレンジアミン、ヘキサメチ
レンテトラミン、4,4′−トリメチレンビス(1−メ
チルピペリジン)、1,8−ジアザビシクロ−(5,
4,0)−7−ウンデセン、ジブチルスズジクロライ
ド、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジクロ
ライド、ジオクチルスズマレエート、ジオクチルスズジ
ラウレート等が挙げられる。上記触媒は、1種のみで使
用しても、2種以上を組み合わせて使用しても有効であ
る。
【0026】反応終了後は、溶媒、未反応原料等を除去
した後、減圧蒸留あるいはカラム分取して精製すること
により、本発明の一般式(I)で表されるアルコキシシ
ラン化合物を得ることができる。以下、実施例により本
発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に
何ら限定されるものではない
【0027】実施例1本発明のアルコキシシラン化合物
であるN-(2-トリメチルシリルエチル)カルバモイルオキ
シプロピルトリエトキシシランの製造例
【0028】
【化20】
【0029】2−トリメチルシリルエタノール11.8
g(0.10mol)、3−イソシアナートプロピルトリ
エトキシシラン24.7g(0.10mol)の混合物
に、触媒としてジブチルスズジクロライド0.04g
(0.13mmol)を加え25℃で2時間攪拌した。その
反応混合物をテトラヒドロフランを溶媒とするカラム分
取にて精製した後、無色の液体32.7g(収率89.
5%)を得た。このものは、IRスペクトル及び1H−
NMRスペクトルにより目的物であることが確認され
た。この新規アルコキシシラン化合物のIRスペクトル
を図1に、1H−NMRスペクトルを図2に示す。このア
ルコキシシラン化合物は、エタノールに対して易溶性で
あった。
【0030】実施例2 本発明のアルコキシシラン化合
物であるN-(3-トリメチルシリルプロピル)カルバモイル
オキシプロピルトリエトキシシランの製造例
【0031】
【化21】
【0032】3−トリメチルシリル−1−プロパノール
13.3g(0.10mol)、3−イソシアナートプロ
ピルトリエトキシシラン24.7g(0.10mol)の
混合物に、触媒としてジブチルスズジクロライド0.0
3g(0.10mmol)を加え25℃で2時間、40℃で
1時間攪拌した。その反応混合物をテトラヒドロフラン
を溶媒とするカラム分取にて精製した後、無色の液体3
1.9g(収率83.9%)を得た。このものは、IR
スペクトル及び1H−NMRスペクトルにより目的物で
あることが確認された。この新規アルコキシシラン化合
物のIRスペクトルを図3に、1H−NMRスペクトルを
図4に示す。このアルコキシシラン化合物は、エタノー
ルに対して易溶性であった。
【0033】実施例3本発明のアルコキシシラン化合物
であるα,ω―ビス[N−(3−トリエトキシシリルプ
ロピル)カルバモイルオキシエトキシプロピル]ポリジ
メチルシロキサンの製造例
【0034】
【化22】
【0035】α,ω−ビス[3−(2,ヒドロキシエト
キシ)プロピル]ポリジメチルシロキサン(OH当量5
80)58.0g(OH基換算0.10mol)、3−イソ
シアナートプロピルトリエトキシシラン24.7g
(0.10mol)の混合物に、触媒としてジブチルスズ
ジクロライド0.03g(0.10mmol)を加え70℃
で2時間攪拌した。その反応混合物をテトラヒドロフラ
ンを溶媒とするカラム分取にて精製した後、無色の液体
67.8g(収率82.0%)を得た。このものは、I
Rスペクトル及び1H−NMRスペクトルにより目的物
であることが確認された。この新規アルコキシシラン化
合物のIRスペクトルを図5に、1H−NMRスペクトル
を図6に示す。このアルコキシシラン化合物は、エタノ
ールに対して易溶性であった。
【0036】
【発明の効果】本発明の有機シリル基及びカルバメート
結合含有アルコキシシラン化合物は、嵩高く疎水性であ
る有機シリル基及び親水性で適度な凝集能を持つカルバ
メート結合を同一基内に有する置換基を持つと共に、常
温で液体であるため、製造、使用時に取り扱いが容易
で、表面撥水処理剤、シランカップリング剤、有機−無
機複合材料の原料等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたN-(2-トリメチルシリルエ
チル)カルバモイルオキシプロピルトリエトキシシラン
のIRスペクトル。
【図2】実施例1で得られたN-(2-トリメチルシリルエ
チル)カルバモイルオキシプロピルトリエトキシシラン
1H−NMRスペクトル。
【図3】実施例2で得られたN-(3-トリメチルシリルプ
ロピル)カルバモイルオキシプロピルトリエトキシシラ
ンのIRスペクトル。
【図4】実施例2で得られたN-(3-トリメチルシリルプ
ロピル)カルバモイルオキシプロピルトリエトキシシラ
ンの1H−NMRスペクトル。
【図5】実施例3で得られたα,ω―ビス[N−(3−
トリエトキシシリルプロピル)カルバモイルオキシエト
キシプロピル]ポリジメチルシロキサンのIRスペクト
ル。
【図6】実施例3で得られたα,ω―ビス[N−(3−
トリエトキシシリルプロピル)カルバモイルオキシエト
キシプロピル]ポリジメチルシロキサンの1H−NMR
スペクトル。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表される有機シリル
    基及びカルバメート結合含有アルコキシシラン化合物。 【化1】 (式中、R1及びR2は、独立して、炭素数1〜4のアルキ
    ル基であり、aは0又は1であり、Xは炭素数1〜6の
    アルキレン基であり、R3は下記一般式(II)で表され
    る基である。) 【化2】 (式中、Yは炭素原子が酸素原子に置換されてもよい炭
    素数1〜8のアルキレン基または一般式(III)で表され
    る置換基を有する、炭素原子が酸素原子に置換されても
    よい炭素数1〜8のアルカントリイル基であり、R4、R5
    R6及びR7はそれぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル
    基、フェニル基、トリメチルシロキシ基であり、R8は炭
    素数1〜6のアルキル基、フェニル基、トリメチルシロキ
    シ基又は一般式(IV)で表される基であり、nは0〜15の整
    数である。) 【化3】 (式中、R1、R2、X及びaはいずれも一般式(I)における定
    義と同義である。) 【化4】 (式中、R1、R2、X及びaはいずれも一般式(I)における定
    義と同義であり、Zは炭素原子が酸素原子に置換されて
    もよい炭素数1〜8のアルキレン基である。)
  2. 【請求項2】 R1がメチル基またはエチル基であり、a
    が0であり、Xがプロピレン基である請求項1記載の化合
    物。
  3. 【請求項3】 Yがエチレン基又はプロピレン基であ
    り、nが0であり、R6、R7及びR8が炭素数1〜6のアルキル
    基である請求項1まは2記載の化合物。
  4. 【請求項4】 Yがエチレンオキシ基又はプロピレンオ
    キシ基であり、R8が一般式(IV)で表される基である請
    求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
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