JPH10330208A - 歯科用光重合性組成物 - Google Patents

歯科用光重合性組成物

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JPH10330208A
JPH10330208A JP9143713A JP14371397A JPH10330208A JP H10330208 A JPH10330208 A JP H10330208A JP 9143713 A JP9143713 A JP 9143713A JP 14371397 A JP14371397 A JP 14371397A JP H10330208 A JPH10330208 A JP H10330208A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】重合速度が速く、耐光性に優れ、表面未重合層
厚さが小さく、酸性モノマーとの併用が可能で、且つ保
存安定性に優れた新規な歯科用光重合性組成物を提供す
る。 【解決手段】重合可能なオレフィン性不飽和基を有する
単量体(a)、光重合開始剤(b)及び還元剤(c)を
含有してなる歯科用光重合性組成物であって、光重合開
始剤(b)は400−700nmに吸収を有するカルボ
ニル化合物であり、還元剤(c)は特定の化学式で表さ
れるアミノフェニル酢酸又はそのエステル化合物である
歯科用光重合性組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は重合速度が速く、耐光性
に優れ、表面未重合層厚さが小さく、酸性モノマーとの
併用が可能で、且つ保存安定性に優れた新規な歯科用光
重合性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、歯科用重合性樹脂材料は操作性、
審美性、強度に優れる事から、歯科治療分野に於いて広
く使用されるに至っている。特に、特開昭48−498
75号発明の提案に始まる可視光線重合型の歯科用重合
性樹脂組成物は、生体に対して安全な可視光を使用する
ことができ、随意のタイミングで硬化させることが可能
な操作性の良さ、硬化物の強度の高さ等が評価され、現
在では歯科治療分野で最も広く使用されている。従来、
可視光線重合性の歯科用重合性樹脂組成物は、重合可能
な単量体、光重合開始剤および還元剤より構成されるも
のが知られている。なかでも、可視光線重合組成物とし
て、光重合開始剤としてベンジル、カンファーキノン等
のα−ジケトン系化合物、またはチオキサントン系化合
物等が多用され、還元剤としては、各種アミン類が多く
用いられてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】現在の可視光線用組成
物に広く用いられている重合開始剤は、α−ジケトン系
化合物と各種アミン類とよりなるものであり、特に、重
合開始剤として強力で広く用いられている物は、カンフ
ァーキノンであり、それと組み合わせるための最も強力
な還元剤として、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチ
ルエステル(特開昭60−26002号)、N,N−ジ
メチルアミノエチルメタクリレート(特開昭48−49
875号)が知られている。しかしN,N−ジメチルア
ミノ安息香酸エチルエステルを含有する重合開始剤系に
は、重合速度が十分とは言えず、また重合硬化後に日光
に曝すことにより黄変を呈するいう問題があり、N,N
−ジメチルアミノメチルメタクリレートを含有する重合
開始剤系はやはり重合速度が十分とは言えず、重合の追
い込みも十分でないため表面にかなりの未重合層が残
り、独特のアミン臭があり、また酸性条件下では重合硬
化し難いという問題があった。
【0004】上記の問題を一部解決するものとして、カ
ンファーキノンとN−フェニルグリシンを触媒として含
有する歯科用接着剤が開示されている(特開平1−23
0508号)。この組成物は、接着促進能を有する酸性
モノマー存在下で重合硬化が進行するが、その速度は十
分とは言えず、またN−フェニルグリシンを含有する組
成物の安定性が不十分であるという問題をなお有してい
た。本発明者らは、かかる欠点の克服を図るため鋭意努
力した結果、重合速度が速く、酸性モノマーとの併用が
可能で、硬化物の表面未重合層が薄く、硬化物の耐候性
に優れ、且つ組成物の保存安定性に問題のない歯科用光
硬化性組成物を見いだした。すなわち、(4−アミノフ
ェニル)酢酸のアミノ基およびカルボキシル基を修飾し
た化合物が強力な光重合能を有することを見いだし、こ
こに新規な歯科用光重合性組成物を提供することに成功
した。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、重
合可能なオレフィン性不飽和基を有する単量体(a)、
光重合開始剤(b)及び還元剤(c)とからなる歯科用
光重合性組成物であって、光重合開始剤(b)は400
−700nmに吸収を有するカルボニル化合物であり、
還元剤(c)は下記一般式
【0006】
【化3】
【0007】(式中、R1 、R2 は置換されていても良
くかつ同一もしくは異なるアルキル基を表し、R3は水
素原子または置換されていても良いアルキル基を示す)
で表されるアミノフェニル酢酸又はそのエステル化合物
である歯科用光重合性組成物である。
【0008】本発明で使用出来る重合可能な単量体は、
ラジカル重合性の単量体であれば、公知のオレフィン性
不飽和基を有する単量体の何れもが使用できるが、重合
操作の簡便さと生体に対する安全性の点からメタ(アク
リレート)系単量体が好ましい。本発明で用いる(メ
タ)アクリレート系単量体は、(メタ)アクリル酸エス
テル(アルキルエステルの場合アルキル基の炭素数1〜
12、芳香族基を含むエステルでは炭素数6〜12、こ
れらの基にポリエチレングリコール鎖等の置換基を含む
ものはそれらの炭素数も含める)、ポリアルキレングリ
コールジ(メタ)アクリレート(アルキレン基の炭素数
2〜20)、エチレングリコールオリゴマージ(メタ)
アクリレート(2 〜10量体)、ビスフェノールAから誘
導されるジ(メタ)アクリレート、3官能以上の多価
(メタ)アクリレート等である。
【0009】さらに、ヒドロキシル基を有する(メタ)
アクリレート2モルとジイソシアネート1モルとの反応
生成物であるウレタン(メタ)アクリル酸エステル類、
具体的には特公昭55−33687号や特開昭56−1
52408号に開示されるモノマー等が好適である。こ
れらの具体例としては、単官能の(メタ)アクリレート
の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレー
ト、iso−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル
ヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アク
リレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリ
ル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アク
リレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリ
レート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレー
ト、アリル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル
(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール
(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコ
ール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリ
コール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレング
リコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチ
レングリコール(メタ)アクリレート、グリセロール
(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メ
タ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリ
レート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メ
タ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフ
ルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジ
ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、カプロラ
クトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート
等の(メタ)アクリレート等がある。
【0010】多官能の(メタ)アクリレートの例として
は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオ
ールジ(メタ)アクリレート、ネンペンチルグリコール
ジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリ
レート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビ
スフェノールAグリシジルジ(メタ)アクリレート、エ
チレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アク
リレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAグ
リシジルジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−
メタクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、7,
7,9−トリメチル−4,13−ジオキサ−3,14−
ジオキソ−5,12−ジアザヘキサデカン−1,16−
ジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ
ールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレ
ート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペ
ンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、ト
リメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロー
ルメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエ
タントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパ
ントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールト
リ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ
(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレートとメチルシクロヘキサンジ
イソシアネートとの反応生成物、2−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレートとメチルシクロヘキサンジイソ
シアネートとの反応生成物、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレートとメチレンビス(4−シクロヘキ
シルイソシアネート)との反応生成物、2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレートとトリメチルヘキサメチ
レンジイソシアネートとの反応生成物、2−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレートとイソホロンジイソシアネ
ートとの反応生成物、3−クロロ−2−ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレートとイソホロンジイソシアネー
トとの反応生成物等が挙げられる。
【0011】また、接着促進効果を持つことが知られて
いる酸性モノマーとして、具体的には以下のものがあげ
られる。-P(O)(OH)2構造を持つものとして
【0012】
【化4】
【0013】>P(O)(OH) 構造を持つものとして
【0014】
【化5】
【0015】-P(O)(Z)2 構造を持つものとして
【0016】
【化6】
【0017】>P(O)-Z 構造を持つものとして
【0018】
【化7】
【0019】-P(O)(OH)-O-P(O)(OH)- 構造を持つものと
して
【0020】
【化8】
【0021】-COOH 構造を持つものとして
【0022】
【化9】
【0023】-CO-Z 構造を持つものとして
【0024】
【化10】
【0025】-COOCO- 構造を持つものとして
【0026】
【化11】
【0027】また、光重合開始剤としては、ジカルボニ
ル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン
系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物が有効で
ある。具体的には、ジカルボニル系化合物としては、カ
ンファーキノン、ジアセチル、2,3−ペンタンジオ
ン、2,3−ヘプタンジオン、ベンジル、4、4’−ジ
クロロベンジル、4、4’−ジメトキシベンジル、ベン
ジル−4−メタンスルホン酸ナトリウム、ジナフチル、
アセナフテンキノン、9,10−フェナントラキノン、
アントラキノン、2−エチルアントラキノン、3−アセ
チルクマリン等が挙げられる。
【0028】ベンゾフェノン系化合物としては、ベンゾ
フェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メ
チル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ヒドロキシベ
ンゾフェノン、4−メチルチオベンゾフェノン、4−ベ
ンゾイル−ジフェニルサルファイド、4−ベンゾイル−
4’−メチルジフェニルサルファイド、3、3’−ジメ
チル−4−メトキシベンゾフェノン、4,4’−ビス
(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’
−ビス(N,N−ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4
−(アクリロイロキシエトキシ)ベンゾフェノン、塩化
トリメチル(3−ベンゾイルフェニル)メチルアンモニ
ウム等が挙げられる。
【0029】チオキサントン系化合物としては、チオキ
サントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオ
キサントン、2、4−ジメチルチオキサントン、2−イ
ソプロピルチオキサントン、2、4−ジクロロチオキサ
ントン、2,4−ジエチルコキサントン、2,4−ジイ
ソプロピルチオキサントン、チオキサントン−2−オキ
シエタンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。アシル
ホスフィンオキシド系化合物としては、2,4,6−ト
リメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイ
ド、2,6−ジメトキシベンゾイル−ジフェニルホスフ
ィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイル−ジフェ
ニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベ
ンゾイル−フェニルホスフィン酸メチル等が挙げられ
る。
【0030】しかし、芳香族環を有する光重合開始剤に
は紫外線に対する耐光性の良くないものが多く、芳香族
環を含まない開始剤、すなわち、脂肪族α−ジケトン、
脂環式α−ジケトンが好ましく、特にカンファーキノン
が好ましい。これらの光重合開始剤は、重合性単量体に
対し0.01−5重量%の範囲で使用される。
【0031】本発明で用いられる還元剤は、アミノフェ
ニル酢酸誘導体であり、下記一般式
【0032】
【化12】
【0033】(式中、R1 、R2 は置換されていても良
くかつ同一もしくは異なるアルキル基を表し、R3は水
素原子または置換されていても良いアルキル基を示す)
で表されるものである。R1 、R2 基を具体的に例示す
ると、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロ
ピル基、n−ブチル基、2−ヒドロキシエチル基、(2
−メタクリロイルオキシ)エチル基、(N,N−ジメチ
ルアミノ)エチル基等が挙げられる。
【0034】R3 基を具体的に例示すると、水素原子、
メチル基、エチル基、n−プロピル基,i−プロピル
基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル
基、(2−メタクリロイルオキシ)エチル基、(N,N
−ジメチルアミノ)エチル基等が挙げられる。
【0035】本発明の還元剤の例を以下に示す。4−
(N,N−ジメチルアミノ)フェニル酢酸、4−(N,
N−ジメチルアミノ)フェニル酢酸メチル、4−(N,
N−ジメチルアミノ)フェニル酢酸エチル、4−(N,
N−ジメチルアミノ)フェニル酢酸(2−ヒドロキシエ
チル)、4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル酢酸
(2−メタクリロイルオキシ)エチル、4−(N,N−
ジメチルアミノ)フェニル酢酸(N,N−ジメチルアミ
ノ)エチル、4−(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)アミノ)フェニル酢酸、4−(N,N−ビス(2−
ヒドロキシエチル)アミノ)フェニル酢酸メチル、4−
(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)フェ
ニル酢酸エチル、4−(N,N−ビス(2−ヒドロキシ
エチル)アミノ)フェニル酢酸(2−メタクリロイルオ
キシ)エチル、4−(N,N−ビス(2−ヒドロキシエ
チル)アミノ)フェニル酢酸(N,N−ジメチルアミ
ノ)エチル、4−(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)アミノ)フェニル酢酸(2−メタクリロイルオキ
シ)エチル、4−(N−メチル−N−(2−メタクリロ
イルオキシ)エチル)アミノフェニル酢酸エチル、3−
(N,N−ジメチルアミノ)フェニル酢酸エチル、3−
(N,N−ジメチルアミノ)フェニル酢酸(2−メタク
リロイルオキシ)エチル。
【0036】これらの還元剤の添加量は重合性単量体に
対し、通常0.1〜20重量%の範囲、好ましくは0.
1〜5重量%の範囲で使用される。 さらに本発明にお
ける歯科用光重合性組成物には、所望により重合禁止
剤、紫外線吸収剤および顔料を添加することができる。
【0037】また本発明の光重合性組成物を齲蝕窩洞の
充填修復用複合材料もしくは歯科用接着材、歯科用合着
材として用いるときは重合性単量体10−80重量%お
よびフィラー90−20重量%を基本組成とし、これに
対して光重合開始剤や還元剤を加える。
【0038】フィラーとしては、無機物あるいは有機物
及びこれらの複合体が用いられ、無機系フィラーの例と
してはソーダガラス、リチウムボロシリケートガラス、
バリウムガラス、ストロンチウムガラス、亜鉛ガラス、
フルオロアルミナムボロシリケートガラス、ホウ珪酸ガ
ラス、結晶石英、溶融シリカ、合成シリカ、アルミナシ
リケート、無定形シリカ、ガラスセラミックまたはこれ
らの混合物等が挙げられる。無機系フィラーの粒径は特
に制限はないが通常150μm以下、好ましくは100
μm以下のものが適当である。また粒径の異なる数種の
フィラーを混合して用いてもよい。
【0039】上記無機系フィラーは公知の表面処理をし
ておくのが好ましい。表面処理剤の例としてはシラン化
合物、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ
(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメ
トキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
等が用いられる。有機系フィラーとしては、前記重合性
単量体の重合体粉末を用いてもよい。また前記重合性単
量体に前記無機フィラーを分散させて重合させたものの
粉末(複合フィラー)も使用することができる。
【0040】本発明の光重合組成物は充填剤を添加ある
いは添加せずに歯科用修復充填材料、接着剤、レジンセ
メント、シーラント等として用いられる他、一般工業用
としてコーティング剤、接着剤、充填剤等として用いる
こともできる。
【0041】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明は実施例に限定されるものではない。 実施例1〜6 硬化活性を測定するために、モノマー、光開始剤および
本発明の還元剤の組成物を作成した。その組成は、ビス
フェノールAジグリシジルメタクリレート/トリエチレ
ングリコールジメタクリレート/カンファーキノン/還
元剤=50/50/1/2(重量比)とした。該組成物
を無色のガラスサンプル管に入れ、その中央に熱電対の
先端を差し込み、サンプル管の下方より歯科用光照射器
ライテルII(モリタ製作所製)を用い照射し重合熱を観
察し、最高温度に達した時間をもって硬化時間とした。
表1に本発明による還元剤および比較例としてN,N−
ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルの結果を示す
が、これより本発明の還元剤を含有する組成物の硬化時
間が短いことが明らかである。
【0042】
【表1】
【0043】実施例7〜9 酸性モノマー併用時の硬化活性を測定するために、モノ
マー、酸性モノマー、光開始剤および本発明の還元剤の
組成物を作成した。その組成は、ビスフェノールAジグ
リシジルメタクリレート/トリエチレングリコールジメ
タクリレート/10- メタクリロイロキシデシルジハイド
ロジェンホスフェート/カンファーキノン/還元剤=5
0/45/5/1/1(重量比)とした。該組成物を実
施例1と同様の操作により硬化時間を測定した。表2に
本発明による還元剤および比較例としてN−フェニルグ
リシンおよびN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ
ートの結果を示すが、これより本発明の還元剤は酸性モ
ノマーを併用しても、硬化時間の顕著な延長が見られな
いことは明らかである。
【0044】
【表2】
【0045】実施例10〜12 硬化物の耐光性を評価するために、モノマー、光開始剤
および本発明の還元剤よりなる組成物を作成した。その
組成は、ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート
/トリエチレングリコールジメタクリレート/カンファ
ーキノン/還元剤=50/50/1/1(重量比)とし
た。該組成物を直径20mm、厚さ1mmの金型に流し
込み、スライドプロジェクターを用い、両面を1分間づ
つ照射した。該硬化物の半分をアルミホイルで被覆し、
37℃水中にて150000Lxの光を24時間照射し
た。非照射面および照射面について、L*a*b*表色系によ
る色差を計測した。表3に本発明による還元剤および比
較例としてN,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエス
テルを用いた結果を示す。ここでΔE=( ΔL*2 + Δa*2
Δb*2 ) 1/2 であり、非照射面と照射面の色差を表す。
これより本発明の組成物は光照射後の変色が少なく、耐
光性に優れることが明らかである。
【0046】
【表3】
【0047】実施例13〜15 本発明の組成物の保存安定性を評価するために、モノマ
ー、光開始剤および還元剤よりなる組成物を作成した。
その組成は、ビスフェノールAジグリシジルメタクリレ
ート/トリエチレングリコールジメタクリレート/10-
メタクリロイロキシデシルジハイドロジェンホスフェー
ト/カンファーキノン/還元剤=50/45/5/1/
1(重量比)とした。該組成物を恒温保管し、固化する
までの時間を調べた。結果を表4に示すが、これより本
発明の組成物は保存安定性に優れることが明らかであ
る。
【0048】
【表4】
【0049】実施例16から18 本発明の組成物の光硬化後表面未重合層厚さを評価する
ために、モノマー、光開始剤および還元剤よりなる組成
物を作成した。その組成は、ビスフェノールAジグリシ
ジルメタクリレート/トリエチレングリコールジメタク
リレート/10-メタクリロイロキシデシルジハイドロジ
ェンホスフェート/カンファーキノン/還元剤=50/
45/5/1/1(重量比)とした。該組成物をガラス
平板状に置いた直径20mm、厚さ1.00mmのテフ
ロン製モールド型に流し込み、上方よりより歯科用光照
射器ライテルII(モリタ製作所製)を用い40秒間照射
し重合硬化させた。
【0050】この硬化物の重量をガラス板、モールドと
ともに重量(W1)を測定し、しかる後にその表面をワ
イパーで拭き取り再度重量(W2)を測定した。ガラス
平板とテフロン製モールドの重量をW0とするとき、表
面未重合層厚さは次式で表される。 表面未重合層厚さ(μm)=(W1−W2)/(W1−
W0)×1000 表5に本発明の還元剤を用いた場合および比較として
N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルを用いた場合の
結果を示すが、これより本発明の組成物は表面硬化性に
優れることが明らかである。
【0051】
【表5】
【0052】
【発明の効果】本発明の歯科用光重合性組成物は、重合
速度が速く、耐光性に優れ、酸性モノマーとの併用が可
能で、且つ保存安定性に優れ、物理的および臨床的特性
に優れたものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合可能なオレフィン性不飽和基を有す
    る単量体(a)、光重合開始剤(b)及び還元剤(c)
    を含有してなる歯科用光重合性組成物であって、光重合
    開始剤(b)は400−700nmに吸収を有するカル
    ボニル化合物であり、還元剤(c)は下記一般式 【化1】 (式中、R1 、R2 は置換されていても良くかつ同一も
    しくは異なるアルキル基を表し、R3は水素原子または
    置換されていても良いアルキル基を示す)で表されるア
    ミノフェニル酢酸又はそのエステル化合物である歯科用
    光重合性組成物。
  2. 【請求項2】 該還元剤(c)が下記一般式 【化2】 (式中、R1 、R2 はメチル基を表し、R3 はメチル
    基、エチル基、(N,N−ジメチルアミノ)エチル基又
    は(2−メタクリロイルオキシ)エチル基を示す)で表
    されるアミノフェニル酢酸エステル化合物である請求項
    1の歯科用光重合性組成物。
  3. 【請求項3】 該還元剤(c)が4−(N,N−ジメチ
    ルアミノ)フェニル酢酸(N,N−ジメチルアミノ)エ
    チルである請求項1の歯科用光重合性組成物。
  4. 【請求項4】 該光重合開始剤(b)がカンファーキノ
    ンであり、該還元剤(c)が4−(N,N−ジメチルア
    ミノ)フェニル酢酸(N,N−ジメチルアミノ)エチル
    である請求項1の歯科用光重合性組成物。
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