JPH10329257A - 帯電防止フィルム - Google Patents

帯電防止フィルム

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JPH10329257A
JPH10329257A JP9141567A JP14156797A JPH10329257A JP H10329257 A JPH10329257 A JP H10329257A JP 9141567 A JP9141567 A JP 9141567A JP 14156797 A JP14156797 A JP 14156797A JP H10329257 A JPH10329257 A JP H10329257A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工性、帯電防止、ガスバリヤー性、耐打鍵
性、可撓性の優れた可撓性透明帯電防止ガスバリアフィ
ルムを提供する。 【解決手段】 光学特性、耐熱性に優れた高分子フィル
ムの少なくとも片側に密着性、耐打鍵性、耐熱性に優れ
た有機層、次に可撓性、耐打鍵性、耐曲げ特性、バリア
性を有する非晶質な無機層、密着性、耐打鍵性、耐熱
性、無機層保護特性を有する有機層、更に封止の為の熱
可塑性樹脂を設けた可撓性帯電防止ガスバリアフィルム
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製造工程中に付着
する塵や放電による部材の破損を避けなければならない
液晶、エレクトロクロミック、エレクトロルミネッセン
ス、太陽電池、調光フィルム、光学シャッター等の表示
体用部材として良好なバリア性を有する帯電防止フィル
ムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】透明ガスバリアフィルムとしては、食品
包装用として広く用いられており、フィルム自体にガス
バリア性を有するポリ塩化ビニリデン系、ポリビニール
アルコール系、ナイロン等が用いられている。更に、ポ
リエステルやポリプロピレンにエバール、ポリビニルア
ルコール等の樹脂やフィルムを塗布やラミネートしたも
の、例えば特開昭55−59961号公報、特願昭59
−207168号公報や、ポリ塩化ビニリデン共重合体
を塗布する特開昭55−59961号公報等がある。
【0003】一方ガスバリア層として無機材料を用いた
ものでは、酸化錫の場合は特開平3−53059号公
報、特開平1−269530号公報、更にフッ素でドー
プした特開昭63−2458号公報、又フッ化アルミニ
ュウムでドープした酸化インジウムでは特開昭61−2
94703号公報、酸化硅素では特開昭50−1421
94号公報、特公昭53−12953号公報、特開平7
−178860号公報、特開平7−178788号公報
がある。酸化アルミニュウムでは特開昭62−1014
28号公報がある。更に各種の酸化物を検討した特開昭
63−237940号公報も提案されていおり、窒化珪
素としては実願昭56−78196号公報がある。上記
の有機物と無機物を併用したものでは、特願昭59−2
01886号公報、特願昭59−201887号公報が
ある。更に本発明と同様の趣旨であるガスバリアと帯電
防止を狙ったものでは、シート抵抗が1×109Ω/□
とかなり高いレベルで、帯電防止層として金属フィラー
を分散塗布した特開平7−137191号公報が提案さ
れている。
【0004】しかしながら何れの樹脂やフィルムも高温
時或いは高湿時で必ずガスバリア性の低下が起こり、水
蒸気と酸素の両方に対して高レベルのガスバリア性を有
する材料は皆無で有った。この為、無機材料によるガス
バリア層の検討が古くから行われて来た。しかしなが
ら、金属膜では表示体用としては透明性の点からは不適
切であり、一方透明無機材料の代表である酸化硅素等の
酸化物、窒化珪素等の窒化物を用いた場合はガスバリア
性が低く、バリア性を向上させる為に厚化した際は可撓
性がなく、クラックが発生するという欠点があった。更
に、酸化物、窒化物では比抵抗が高く、作業中に帯電に
よるゴミの付着や放電を避ける事が出来ず、表示体用部
材では可撓性に優れた帯電防止機能付きの透明ガスバリ
ア材が望まれていた。
【0005】この様な状況下ではあるが水蒸気バリアだ
けが要求される表示体の用途において、吸湿性に優れた
ナイロンフィルムと非常に高価であるがフッ素樹脂であ
るポリクロロトリフルオロエチレン、即ちPCTFEフ
ィルムを併用したタイプ(特開昭58−117676号
公報、特開昭57−165994号公報)が一部で使わ
れている。しかし、フッ素系樹脂は酸素バリア性が低い
だけでなく、燃焼によってフッ酸が発生するため廃棄上
の問題がある上、表示体が大型化した際は製造上の点で
大型化が難しいという問題があり、耐湿熱性による水蒸
気バリア低下の問題も含めてバリア性自体の改善が望ま
れていた。この為いくつかの検討はされているが、高温
高湿下に於ける酸素、水蒸気のガスバリアを両立する技
術は未だ無い状況であった。
【0006】更に、表示体用として使用するには表示体
を本フィルムで封止する為の熱圧着工程があり、この作
業に於いて熱と圧力が加わるため透明帯電防止層の特性
が低下しない事が重要である。使用する熱可塑性樹脂に
より異なるが、一般的には95℃〜180℃の範疇で行
われる。従って、180℃までの耐熱性は温度加工性の
点から必要であり、一般的な作業条件としては、例えば
30Kg/cm2の圧力下、150℃60秒、180℃
20秒等の熱圧着条件に於いて行われる。また工程中や
商品に組み込まれた後でも、人、物が触れる事から表示
体としては耐衝撃性が必要である。タッチパネルや液晶
パネルで用いられている耐衝撃性が必要であり、表示部
に対する外部からの押圧試験で評価される。液晶用を例
にすれば、液晶セルの打鍵性試験として、先端7Rの硬
質ゴムに荷重200gfを掛け、ストローク3mmで1
Hzの周期で360万回打鍵して液晶セル内の気泡の有
無で判断している。可撓性の試験方法としては、高温高
湿下で35mmΦのロールに巻き付けて、ガスバリア層
として設けられた無機層がダメージを受けて特性劣化す
かどうかの評価が一般的である。何れも、気泡出現の直
接原因となる無機層の酸素バリア性を判断しているもの
で、無機層の可撓性に依存している。本来のガスバリア
性の特性を製造時における各種の処理後に於いても保ち
続けることが重要である。透明帯電防止層形成の為の基
板の前処理方法等多くの要因があり、単に無機層を設け
ただけでは表示体用の帯電防止フィルムとしては満足出
来るものはなかった。
【0007】無機層の形成方法としては、蒸着、スパッ
タリング、イオンプレーティング、プラズマCVDに代
表される気相成膜法等が主流であるが、ゾル・ゲル法に
代表される塗布形成方法以外では、蒸発源からの輻射熱
やプラズマからの直接的なイオン衝撃の熱で、基板を加
熱しなくても結晶性の膜が形成される事が常であった。
又、今までの無機層には透明で帯電防止という概念がな
かったため比較は出来ないが、帯電防止の為に表面抵抗
を下げようとすると雰囲気からの熱により結晶性の膜質
になり、可撓性が極端に低下するという欠点があり、無
負荷の状態でガスバリア性が発現しても、加工時等の各
種条件下で特性低下が発生し採用されなかった。
【0008】上記に記載の様に、有機材料を構成素材と
して用いた表示装置には、信頼性からガスバリア性、帯
電防止から透明性、導電性、作業性、信頼性、加工性か
ら耐打鍵性、可撓性を合わせ持つ無機材料が不可欠な要
素であるが、これらの機能を全て満足し実用に適う透明
で可撓性、ガスバリア性がある帯電防止フィルムは、い
まだ工業的には生産されていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる現状
に鑑みなされたもので、水蒸気、酸素に代表されるガス
バリア性、熱圧着等の熱衝撃性、放電や塵付着等の作業
性、信頼性、耐打鍵性、ロール工程使用や、曲げた状態
での最終設置が可能である可撓性に優れた透明な帯電防
止フィルムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、高分子フィル
ムの少なくとも片面に有機層A、シート抵抗500Ω/
□以下で有り、組成としてZnO或いはZnOに5〜1
5wt%のGa23、或いは10〜20wt%のMg
O、25〜35wt%のSnO2を含有した複合酸化物
で、膜厚が200〜1500Åである可撓性に優れた透
明帯電防止層、有機層B、熱可塑性樹脂層を順次設けた
帯電防止フィルムである。または、上記の帯電防止フィ
ルムの裏面側に有機層A、酸化物層或いは請求項1記載
の透明帯電防止バリア層、更に有機層Bを設けた帯電防
止フィルムである。
【0011】更に好ましい態様は、有機層Aが融点50
℃以上のエポキシアクリレートプレポリマーあるいは融
点50℃以上のウレタンアクリレートプレポリマーの紫
外線硬化樹脂膜であり、それぞれの厚みが0.3〜5μ
mであり、有機層Bが融点50℃以上のエポキシアクリ
レートプレポリマーあるいは融点50℃以上のウレタン
アクリレートプレポリマーの紫外線硬化樹脂膜であり、
それぞれの厚みが0.3〜5μmであり、または有機層
Bが熱可塑性樹脂であり、または有機層Bがシアノエチ
ル化合物であり、熱可塑性樹脂層としてエチレン・グリ
シジルメタクリレート・無水マレイン酸3元共重合体或
いはエチレン・エチルアクリレート・無水マレイン酸3
元共重合体或いは両3元共重合体を積層した帯電防止フ
ィルムである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の構成として各種の構成が
考えられるが、例えば図1に示すように、光学特性、耐
熱性に優れた高分子フィルム(1)、密着性、耐打鍵
性、耐熱性、可撓性に優れた有機層A(2)、次に同じ
くガスバリア性、密着性、耐打鍵性、耐熱性、可撓性、
透明性、導電性を有する複合酸化物から成る透明帯電防
止層(3)、密着性、耐打鍵性、耐熱性、透明帯電防止
層の保護特性を有する有機層B(4)、更に熱可塑性樹
脂(5)を設けた透明な帯電防止フィルムである。更に
高い信頼性が要求される場合には、例えば図2に示すよ
うに、図1で示した帯電防止フィルムの高分子フィルム
(1)の裏面側に有機層A(6)、酸化硅素層、或いは
表面側と同一な透明帯電防止層(7)、有機層B(8)
を設けた透明な帯電防止フィルムである。図1、図2で
示された構成の帯電防止フィルムがコスト、特性等の面
より好ましい。
【0013】本発明に於ける高分子フィルムとしては、
例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィ
ン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステ
ル、ナイロン−6、66等のポリアミド、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、ポリカーボネー
ト、ポリアクリロニトリル、ポリエーテルサルフォン、
ポリサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアリレー
ト、ノルボルネン、紫外線硬化型樹脂、エポキシ樹脂に
代表される熱硬化型樹脂等からなる。フィルムの全光線
透過率は80%以上の透明性を有したフィルムであり、
用途に応じて適宜選択される。又、加工性の点より極力
耐熱性があることが望ましく、更に屋外用途では紫外線
吸収剤を高分子フィルムに添加しても良い。
【0014】高分子フィルムの厚みとしては特に制限さ
れるものでは無いが、加工性の点からは25〜300μ
mが好ましい。厚さが25μm未満の場合は、フィルム
が柔軟過ぎ、透明帯電防止層である酸化物の成膜や加工
する際の張力により伸張やシワが発生し易くなり、その
ため透明帯電防止層の亀裂や剥離が生じやすくなる。
又、300μmを越えるとフィルムの可撓性が減少し、
各工程中での連続巻き取りが困難となる。折り曲げて使
用することを考慮すれば25〜75μmが特に好まし
い。
【0015】有機層Aは高分子フィルムと透明帯電防止
層の密着性向上の為に設けられるもので、基本的には選
択された高分子フィルムにより最適なものを選定すべき
である。必要な特性としては、30Kg/cm2の圧力
下、150℃60秒或いは180℃20秒の熱圧着条件
に於いて、非晶質な酸化物に悪影響を与えない耐熱性
(以下試験1と略す)が最も重要な特性である。ガスバ
リア性を有する帯電防止フィルムとしての必要な特性
は、先端7Rの硬質ゴムによる周期1Hz、荷重200
gfで、360万回の打鍵によりクラックが生じない耐
衝撃性(以下試験2と略す)を有し、曲率220mmΦ
のロールに10000回を巻き付けてもクラックが生じ
ない曲げサイクル性(以下試験3と略す)を有し、曲率
35mmΦのロールに固定し、60℃、90%RH、1
000時間放置後クラックが生じない曲面保存性(以下
試験4と略す)である。又、表示体の寿命の点からは、
イオン性不純物は極力少ない方が望ましく、通常20p
pm以下が望まれ、材料の選定や成膜中の不純物管理が
重要になる。
【0016】透明帯電防止層の保護層である有機層Bは
一体化して用いられる為、有機層Bの要求特性は基本的
には有機層Aと同じで有り、有機層Aと同質の材質、膜
厚でも良い。但し最終封止工程で溶媒に希釈した熱可塑
性樹脂を塗布する事から極力耐薬品性が求められる。更
に、無機材料表面に直接接する為、表示体の封止工程に
おける熱圧着等の熱衝撃による剥離は許されず、より低
応力、高密着力が求められる。ここで、高分子フィル
ム、有機層A、有機層Bの何れに於いても、透明帯電防
止層の破壊限界以下の寸法変化であることが不可欠であ
り、透明帯電防止層の破壊限界値の3%値以下である事
が絶対条件である。従って有機層A、有機層Bに用いら
れる樹脂としては、寸法変化が少ない、熱的により安定
な熱硬化性樹脂が好ましく、生産性に優れた紫外線硬化
型樹脂がより好ましい。又、高分子フィルムや無機層と
の密着力は上記各種の環境試験後でも剥離しないことが
不可欠である。更に、耐薬品性、及び透明帯電防止バリ
ア層を真空中で成膜する際、発生するガスにより目的の
膜質が得られない事があり、真空中でのガス放出が極力
少ない事が求められる。
【0017】有機層Aとしては、融点50℃以上のエポ
キシアクリレートプレポリマー或いは融点50℃以上の
ウレタンアクリレートプレポリマーの紫外線硬化膜であ
り、且つ厚みは0.3〜5μmである。融点が50℃未
満になると透明帯電防止層を真空中で成膜する際、有機
層より発生するガスにより目的の膜質が得られないとい
う問題が生じる。ここで重要なのは、各特性堅持の為
に、有機層Aの厚みを制限する事が重要である。通常の
コート樹脂の厚みとしては2〜30μm程度の厚みを塗
布しているが、5μmを越える厚みになると可撓性が無
くなる。従って、表示体用途として実用上充分安定した
領域で使用するためには、0.3〜5μmの範囲であ
り、好ましくは0.4〜3μmの範囲であり、更に好ま
しくは0.4〜2μmの範囲である。有機層Aの厚みが
0.3μm未満では塗布ムラが生じやすくなり、5μm
を越えると密着力が低下し熱衝撃によるクラックが発生
し易くなる。これは、紫外線硬化樹脂は、硬化時に10
〜20%程の硬化収縮が起こることによって、潜在的な
内部応力を持ち、打鍵試験の様な局部的な外力が働くと
一気にクラックが入るためである。また、厚みを薄くす
ることによって高分子フィルムとの密着力も向上する。
【0018】例えば有機層Aを5μmに塗布した際の高
分子フィルムとの密着力は200g/cmに対し、0.
5μm品では1000g/cmと5倍大きくなる。更に
薄化する優位点として、表示体用途では極力透明性を有
することが望ましく、本樹脂組成では2μmの厚みに対
して、0.5μm厚みを低減する毎に0.5%の透過率
の向上が起こる。この様に潜在的内部応力を持った紫外
線硬化樹脂に於いては、各種の局部的な外力が働いても
クラックを生じ難くさせる為に、極力薄くさせて応力自
体を軽減する事が最も有効であり、樹脂として低応力タ
イプにする事は不可欠な技術である。
【0019】本発明による透明帯電防止層単体での全光
線透過率については、最終形態として70%以上有れば
表示用として使用出来るため80%以上有れば良い。8
0%未満では使用用途が限定されて好ましくない。透明
帯電防止層としては、シート抵抗は50〜500Ω/
□、酸素バリア性は0.5cc/24h・m2以下で、
水蒸気バリアは0.5g/m2・24hr以下が信頼性
の点から必要である。更に可撓性として、試験1〜4に
よりクラックが入らない事が必要である。シート抵抗は
50〜500Ω/□が必要である。帯電防止材としては
一般的には1×106〜8Ω/□が必要とされているが、
除電並びに静電気シールド効果をより発揮する為には1
×104〜7Ω/□以下で、シート抵抗は低ければ低い程
良い。更に電子部品本体の破壊に繋がる放電防止レベル
まで考慮すれば、500Ω/□以下が必要になる。しか
し、50Ω/□未満になるとコストが上がる為、100
〜500Ω/□が好ましい。
【0020】更に重要な事は透明帯電防止層としての膜
厚である。ガスバリア性を安定的に得る為には最低20
0Å以上の膜厚が必要である。200Å以上の膜厚にな
ると膜は島状から連続膜に成り安定した膜として各種特
性を発揮出来るようになる。一般的に結晶性の膜質では
500Åを越えると極端に可撓性が損なわれる。これは
一定の膜厚以上になると膜にストレスクラックや熱損傷
が起こる為であり、その結果ガスバリア性が損なわれる
ようになる。よってクラックの点より結晶質の膜質では
50〜500Åが使用可能な範囲であるが、この厚みで
は良好なガスバリア性を得る事は出来ない。帯電防止並
びにガスバリア性から膜厚は厚い方が良好でありこの点
を改善する必要が有った。この為、膜厚を厚くでき、更
に可撓性を付与出来る条件として、結晶性から非晶質に
膜質を代える事により両特性を初めて両立出来る事を見
出したものである。この結果、結晶性の膜質に対して約
7倍の1500Åまで可撓性を発現させる事が出来、試
験1〜4に於いてクラックが入らない膜が可能となっ
た。
【0021】本発明による透明帯電防止層の組成として
は、ZnO或いはZnOに5〜15wt%のGa23
或いは10〜20wt%のMgO、或いは6〜20wt
%のSnO2を含有した複合酸化物である。ここで非晶
質構造はフィルム上に無機物を形成し可撓性を得るため
には不可欠の技術であり、試験1〜4の方法に於いてク
ラックを生じさせない為にはどうしても安定した非晶質
な膜が望まれていた。一般的には酸化物の形成法はスパ
ッタリング法で成膜しており、例えば透明導電電極用と
して代表的に用いられるIn23に10wt%のSnO
2、いわゆるITOではキャリヤガスにアルゴン、比抵
抗を最小にする為に酸素を導入して最適化している。し
かし、導電性を狙った条件は非常に結晶化し易く、例え
基板加熱をしなくても成膜中のプラズマからの熱の影響
でX線回折装置による解析可能な膜厚になるとほぼ確実
に結晶化する。条件を限定しながら成膜し、非晶質膜を
得る事は物理的には不可能ではないが、組成、条件変動
の点からは安定性、再現性に問題がある。
【0022】本発明により見出した条件では、第一に成
膜直後の最小比抵抗が得られる最適条件ではなくバリア
性を発現させる最適の酸素導入量を決定する。第二とし
てプラズマ領域を高分子フィルム側に拡大しない様に極
力押さえる。第三に成膜速度を上げ非晶質化を図る事が
重要である事を見出している。高分子フィルムの成膜前
の脱ガスはガスバリア性の安定化、再現性の点から非常
に重要であったが生産性が大幅に低下する点や装置コス
トが上がる等経済的には問題があり、条件に制約がなく
安定して非晶質膜になる組成を検討し本発明に至ったも
のである。
【0023】透明酸化膜の組成として、ZnOにGa2
3を含有させたタイプではGa23は5〜15wt%
の範囲、ZnOにMgOを含有させたタイプではMgO
は10〜20wt%の範囲、ZnOにSnO2を含有さ
せたタイプではSnO2は6〜20wt%の範囲が非晶
質の安定領域である事を見出した。この範囲以外では結
晶化し易く、例えば加熱等の促進によって結晶化が容易
に起こる。従来から用いられてきたスパッタリング法に
よる酸化硅素膜200Å厚みの水蒸気バイア性は4g/
2・24hr、酸素バリア性は2.3cc/atm・
2・24hrであるのに比べ、同じ200Å厚みのZ
nO膜では水蒸気バイア性は0.2g/m2・24h
r、酸素バリア性は0.2cc/atm・m2・24h
r、ZnO−Ga23では水蒸気バイア性は0.4g/
2・24hr、酸素バリア性は0.35cc/atm
・m2・24hr、ZnO−MgOでは水蒸気バイア性
は0.45g/m2・24hr、酸素バリア性は0.4
8cc/atm・m2・24hr、ZnO−SnO2では
水蒸気バリア性は0.38g/m2・24hr、酸素バ
リア性は0.41cc/atm・m2・24hrと非常
に良好な特性を示している。これは、非晶質であるため
成膜中にストレスクラックが発生し難い為、良好なバリ
ア性が発現しているためと思われる。
【0024】酸化膜の非晶質化自体はX線回折装置での
測定が一般的であるが、非常に薄膜である為装置の測定
能力、精度に問題がある。特に非晶質な高分子基板上に
成膜した500Å以下の膜厚では一見特定ピークが認め
られない為、非晶質であると判断しているが、20万倍
の走査型電子顕微鏡等で確認するとグレインサイズの大
きい結晶質の膜が形成されている事がほとんどであっ
た。従って簡便、現実的、確実な判定法の検討を行い、
結晶性膜は耐薬品性に優れている点を利用した。つまり
非晶質で有れば、一般的な透明導電膜のエッチング液で
ある塩酸に対して、溶解速度が速く均一に残差無く溶け
易い性質がある。一方、結晶性になればなる程溶けにく
く、部分的に結晶化していると塩酸溶液中に突然のクラ
ック発生と同時に溶解だけでは無く微小部分が剥離して
剥がれ落ち液中に浮遊する現象を示す。本発明による非
晶質膜とは、液温40℃の10wt%塩酸中で、15Å
/秒以上の溶解速度を有している膜を意味し、15Å/
秒未満では可撓性が問題となってくる。透明導電膜のエ
ッチング液としては塩酸以外に硝酸、塩化鉄溶液等の酸
が用いられており、単独、混合溶液を使用しても構わな
い。
【0025】この透明帯電防止層のエッチング性を厚さ
600Åの膜で測定すると、ZnO、ZnO−Ga23
系、ZnO−MgO系、ZnO−SnO2系で、それぞ
れ50、30、45、20Å/秒と非常に高速に均一に
溶ける事を確認した。又、可撓性を示す試験1〜4実施
したが何れもクラックの無い良好な膜であった。透明帯
電防止層の形成方法としては、蒸着、スパッタリング、
イオンプレーティング、プラズマCVDに代表される気
相成膜法等や、ゾル・ゲル法等の塗布方法が有り、特に
限定するものでは無いが、極力低温で成膜出来る事から
気相成膜が望ましい。非晶質な透明帯電防止層を有機層
Aに直接形成するか、或いは透明帯電防止層の形成に先
立ち密着力を高めるために、脱ガス処理、コロナ放電処
理、火炎処理等の表面処理やアクリル系、エポキシ、シ
リコン系等の公知のプライマー層を設けても良い。
【0026】次に有機層Bを設ける。基本的には有機層
Aと同一物質であるが、更に生産性向上の為には有機層
Bに熱可塑性樹脂を用いても構わない。つまり熱可塑性
樹脂層と共押出しして一気に熱可塑性樹脂層まで形成す
る事は低コスト化から有効である。この場合の有機層B
はポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、或いはエ
チレン−ビニルアルコールの共重合品やナイロン−ポリ
エチレンが密着力の点から好ましい。又、共押出し、紫
外線樹脂塗布等の装置制約上の問題を有する場合には、
通常塗布装置に於いてシアノエチル化合物を有機層Bと
して用いることが出来る。これは非晶質な透明帯電防止
層に強固な密着力が得られる為である。シアノエチル化
合物としては、例えば、常温で液状であるシアノエチル
マンニトール、シアノエチルアミロース、シアノエチル
シュクロース、シアノエチルソルビトール、シアノエチ
ルグルコースがあり、高分子ではシアノエチルスター
チ、シアノエチルプラン、シアノエチルポリビニルアル
コール、シアノエチルグリセロールプルラン、シアノヒ
ドロキシエチルセルロース、シアノエチルセルロース等
並びに混合物が上げられる。
【0027】熱可塑性樹脂層は、高分子フィルム〜有機
層Bで構成された可撓性、ガスバリア性を有する透明な
帯電防止フィルム同士で表示体を封止する際の接着剤、
バリア材になるもので、高密着力と高いバリア性が要求
される。上記特性を満足すれば熱可塑性樹層を特に限定
するものではない。例えば、ポリプロピレン、塩化ビニ
リデン、ポリエチレン、エチルビニルアルコール、ポリ
ビニルアルコール等も用途によっては使用可能である
が、広範囲の用途を考えた場合、各種の表示体によって
表面基材は異なっており、広い接着性が必要である。従
って、金属、ガラス、エンジニアリングプラスチック等
の極性材料、及びポリエチレン、ポリエステル、EVA
等の無極性材料にも接着可能な樹脂として、エチレン・
グリシジルメタクリレート・無水マレイン酸3元共重合
体(以下EGV樹脂と略す)或いはエチレン・エチルア
クリレート・無水マレイン酸3元共重合体(以下EEM
樹脂と略す)が好ましく、或いはこれらEGV樹脂上に
EEM樹脂を積層したものでもよい。
【0028】特にEEM樹脂は、エレクトロルミネッセ
ンス表示体のガスバリア用途の補水層として用いられて
いるポリアミドに対するアイオノマー樹脂に比べ、低温
で強い接着性を示すものである。エチレン成分は優れた
加工性、熱安定性、ポリオレフィンへの親和性を発現さ
せ、アクリル酸エステル成分は共重合体の結晶性を調節
してゴム状弾性体となり、接着時の界面に懸かる衝撃力
を吸収し、界面の濡れ性を発現する。更に無水マレイン
酸成分は水素結合力、化学反応力によって極性材料への
接着性、親和性を発現させるものである。各3成分系樹
脂がそれぞれの役割を果たすことにより広い接着性を有
することが可能になったものである。
【0029】熱可塑性樹脂層の形成に先立ち密着力を高
めるために、脱ガス処理、コロナ放電処理、火炎処理等
の表面処理や公知のプライマー層を設けても良い。又、
層の厚みは40〜100μmが好ましい。これは表示体
を封止する際のガスバリア並びに表示体から引き出され
るリード線を完全に埋め込む必要があり、この封じ込め
性に優れていることも重要な選択理由であり、EGV樹
脂、EEM樹脂はこの点からも望ましい。積層する際は
1:1の厚みが各種特性を引き出す為にも好ましい。
【0030】コストの点では不利になるが、高信頼性が
要求される場合には図2で示すように高分子フィルムの
裏面側に有機層A、更にガスバリア性を有する層とし
て、低コストの為には酸化珪素層を200〜1000
Å、或いは表面側と同一な透明帯電防止層、更に有機層
Bを積層する。この様に両面に帯電防止層とガスバリア
層を設けることにより、製造上不可抗力な理由により生
じるピンホール等による不良部分の発生を完全に無くせ
る利点が上げられ、この場合ガスバリア性は測定限界以
下と成っている。酸化硅素膜については公知の技術を用
いて作製する事は可能であるが、透明性を重視する場合
にはフッ素を含有しても良い。又、非晶質な透明帯電防
止層と同様に基板加熱、高真空、プラズマを抑制して成
膜する事は可撓性を重視する点からは必然の技術であ
る。
【0031】
【実施例】
《実施例1》高分子フィルムとして厚み75μmのポリ
エステル(ダイアホイル製OY07K)に、有機層Aと
して分子量1540、融点70℃のエポキシアクリレー
トプレポリマー(昭和高分子製、VR−60)100重
量部、酢酸ブチル400重量部、セロソルブアセテート
100重量部、ベンゾインエチルエーテル2重量部を5
0℃にて攪拌、溶解して均一な溶液としたものをグラビ
アロールコーターで塗布し、1.0μm厚の有機層Aを
形成した。次にこの上にDCマグネトロン法により透明
帯電防止層を形成した。成膜条件としては初期真空度3
×10-4Paに引き、100℃で30分加熱し脱ガスを
行い、更に酸素濃度がアルゴンガス中1%である混合ガ
スを導入し、1×10-1Paの条件下に於いて基板温度
50℃で成膜しZnOの膜を得た。
【0032】この膜の膜厚は650Å、シート抵抗は1
55Ω/□、比抵抗は10.1×10-4Ω・cm、全光
線透過率83%であった。非晶性を確認するため40
℃、10wt%塩酸溶液に浸漬した処、65Å/秒の溶
解速度で有り、非晶質であった。以上の条件で得られた
透明帯電防止層に有機層Aと同一材料を用い同一条件で
有機層Bを形成した。更に熱可塑性樹脂として各25μ
m厚みのEVG樹脂(ボンドファースト7B住友化学工
業製)、EEM樹脂(ボンダインAX8060住友化学
工業製)の順に共押出しながら積層し、全光線透過率7
9%の帯電防止フィルムを作製した。製作したフィルム
のガスバリア性を測定した。酸素バリア性については、
MOCON社製OX−TRANにて測定した。23℃の
ドライ条件で0.04cc/m2・atm・24hrと
非常に良好であった。一方、水蒸気バリア性についはM
OCON社製PERMATRAN−Wにて測定した。測
定条件は40℃88%R.H.で、0.05g/m2
24hrと非常に良好であった。
【0033】次に製作したフィルムを用いて以下の試験
を行いクラックの発生の有無を確認した。 ・試験1:フィルム同士を30Kg/cm2の圧力下で
150℃60秒、180℃20秒で熱圧着した。 ・試験2:耐打鍵性として、先端7Rの硬質ゴムによる
ストローク3mm、周期1Hz、荷重200gfで、3
60万回の打鍵を行った。 ・試験3:曲げサイクル性として、曲率220mmΦの
ロールに繰り返し10000回巻き付けて試験を行っ
た。 ・試験4:曲面保存性として、曲率35mmΦのロール
に固定し、60℃、90%RH、1000時間の放置試
験を行った。 試験後の各試験片を1000倍の金属顕微鏡により表面
を観察したが、何れもクラックは無く良好であった。
【0034】《実施例2》実施例1と同一フィルム、同
一材料を用い、同一構成で有機層Bまで形成した。更に
もう一方の面に有機層Aから有機層Bまで、同一条件で
表裏対象の構成で形成した。更に、熱可塑性樹脂層とし
て50μm厚みのEEM樹脂(ボンダインLX4110
住友化学工業製)を押出しながら積層し全光線透過率7
4%の透明な帯電防止フィルムを作製した。得られた帯
電防止フィルムのガスバリア特性を測定した。酸素バリ
ア性については、23℃のドライ条件で0.02cc/
2・atm・24hr、水蒸気バリア性は40℃、8
8%R.H.の条件で0.03g/m2・24hrと測
定限界に近い値を示し非常に良好であった。次に実施例
1と同一手法により試験1〜4を実施した。何れの試験
に於いてもクラックは認められず可撓性に優れた膜質で
あった
【0035】《実施例3》透明な帯電防止層として75
0Å厚、シート抵抗195Ω/□のZnO−10wt%
Ga23を同一条件で形成した以外は実施例1と同一フ
ィルム、同一材料を用い、同一条件で透明な帯電防止フ
ィルムを作製した。全光線透過率は78%で有り、酸素
バリア性については、23℃のドライ条件で0.03c
c/m2・atm・24hrと非常に良好であった。透
明帯電防止層の非晶性を確認するため40℃、10wt
%塩酸溶液に浸漬した処、34Å/秒の溶解速度で有
り、非常に良好な非晶質膜であった。一方、水蒸気バリ
ア性は40℃、88%R.H.の条件で0.08g/m
2・24hrと測定限界に近い値を示し非常に良好であ
った。次に実施例1と同一手法により試験1〜4を実施
した。何れの試験に於いてもクラックは認めらず可撓性
に優れた膜質であった。
【0036】《実施例4》透明な帯電防止層として80
0Å厚、シート抵抗202Ω/□のZnO−15wt%
MgOを同一条件で形成した以外は実施例1と同一フィ
ルム、同一材料を用い、同一条件で透明な帯電防止フィ
ルムを作製した。全光線透過率は76%で有り、酸素バ
リア性については、23℃のドライ条件で0.11cc
/m2・atm・24hrと非常に良好であった。透明
帯電防止層の非晶性を確認するため40℃、10wt%
塩酸溶液に浸漬した処、28Å/秒の溶解速度で有り、
非常に良好な非晶質膜であった。一方、水蒸気バリア性
は40℃、88%R.H.の条件で0.32g/m2
24hrと測定限界に近い値を示し非常に良好であっ
た。次に実施例1と同一手法により試験1〜4を実施し
た。何れの試験に於いてもクラックは認めらず可撓性に
優れた膜質であった。
【0037】《実施例5》高分子フィルム、有機層Aは
実施例1と同様に作製し、透明帯電防止層として680
Å厚、シート抵抗148Ω/□のZnOを同一条件で形
成し、有機層Bとして架橋ポリエチレン(住友化学製ス
ミカセンL211)100μm、更に熱可塑性樹脂層と
して溶融EVG樹脂を熱ロールで圧延しながら50μm
厚に積層し透明な帯電防止フィルムを作製した。全光線
透過率は74%で有り、酸素バリア性については、23
℃のドライ条件で0.051cc/m2・atm・24
hrと非常に良好であった。一方、水蒸気バリア性は4
0℃、88%R.H.の条件で0.07g/m2・24
hrと測定限界に近い値を示し非常に良好であった。透
明帯電防止層の非晶性を確認するため40℃、10wt
%塩酸溶液に浸漬した処、62Å/秒の溶解速度で有
り、非常に良好な非晶質膜であった。次に実施例1と同
一手法により試験1〜4を実施した。何れの試験に於い
てもクラックは認めらず可撓性に優れた膜質であった。
【0038】《実施例6》高分子フィルム、有機層Aは
実施例1と同様に作製し、透明帯電防止層として880
Å厚、シート抵抗110Ω/□のZnOを実施例1と同
一条件で形成し、有機層Bとしてシアノエチルプラン
(信越化学製CR−S)をジメチルホルムアミドを加え
10μm厚に塗布した。透明帯電防止層の非晶性を確認
するため40℃、10wt%塩酸溶液に浸漬した処、6
3Å/秒の溶解速度で有り、非常に良好な非晶質膜であ
った。更に熱可塑性樹脂層として実施例1と同じ溶融E
VG樹脂を熱ロールで圧延しながら50μm厚に積層し
全光線透過率76%の透明な帯電防止フィルムを作製し
た。酸素バリア性については、23℃のドライ条件で
0.03cc/m2・atm・24hrと非常に良好で
あった。一方、水蒸気バリア性は40℃、88%R.
H.の条件で0.04g/m2・24hrと測定限界の
値を示し非常に良好であった。次に実施例1と同一手法
により試験1〜4を実施した。何れの試験に於いてもク
ラックは認めらず可撓性に優れた膜質であった。
【0039】《比較例1》高分子フィルム、有機層Aは
実施例1と同様に作製し、透明帯電防止層として159
0Å厚、シート抵抗82Ω/□のZnO−30wt%M
gOを同一条件で形成し、有機層Bとして実施例5と同
じ架橋ポリエチレン50μm、更に熱可塑性樹脂層とし
て実施例1と同じ溶融EVG樹脂を熱ロールで圧延しな
がら50μm厚に積層し透明な帯電防止フィルムを作製
した。全光線透過率は70%で有り、酸素バリア性につ
いては、23℃のドライ条件で0.02cc/m2・a
tm・24hr、水蒸気バリア性は40℃、88%R.
H.の条件で0.02g/m2・24hrと測定限界に
近い値を示し非常に良好であった。次に実施例1と同一
手法により試験1〜4を実施した。試験1の150℃、
60秒の熱圧着条件並びに試験4の曲面保持性では異常
が認められなかったが、他の試験では一部ではあるが、
クラックが認められ可撓性が無い膜質で有った。
【0040】《比較例2》高分子フィルム、有機層Aは
実施例1と同様に作製し、透明帯電防止層として200
0Å厚、シート抵抗52Ω/□のZnO−45%SnO
2を実施例1と同一条件で形成し、有機層Bとして実施
例5と同じ架橋ポリエチレン50μm、更に熱可塑性樹
脂層として実施例1と同じ溶融EVG樹脂を熱ロールで
圧延しながら50μm厚に積層し透明な帯電防止フィル
ムを作製した。全光線透過率67%であった。帯電防止
層の非晶性を確認するため40℃、10wt%塩酸溶液
に浸漬した処、5分でも溶けず7Å/秒以下の溶解速度
で有り、エッチング出来ない結晶質であった。次に、該
フィルムのガスバリア性を測定した。酸素バリア性につ
いては、23℃のドライ条件で1.1cc/m2・at
m・24hrであり、水蒸気バリア性は40℃、88%
R.H.の条件で1.9g/m2・24hrであった。
次に実施例1と同一手法により試験1〜4を実施した。
何れの試験に於いてもクラックが認められ、可撓性の無
い膜質であった。
【0041】
【発明の効果】本発明により、可撓性に優れた、透明
性、ガスバリヤー性、帯電防止を満足する可撓性透明帯
電防止フィルムを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に掛かる積層フィルムの一部断面図を示
す。
【図2】本発明に掛かる積層フィルムのうち、高分子フ
ィルムの両側にバリア層を設けた一部断面図を示す。
【符号の説明】
1:高分子フィルム 2:有機層A 3:透明帯電防止層 4:有機層B 5:熱可塑性樹脂層 6:有機層A 7:ガスバリア層 8:有機層B

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子フィルムの少なくとも片面に有機
    層A、シート抵抗500Ω/□以下で有り、組成として
    ZnO、或いはZnOに5〜15wt%のGa23、或
    いは10〜20wt%のMgO、或いは6〜20wt%
    のSnO2を含有した複合酸化物で、膜厚が200〜1
    500Åである可撓性に優れた透明帯電防止層、有機層
    B、熱可塑性樹脂層を設けた事を特徴とする帯電防止フ
    ィルム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の帯電防止フィルムの裏面
    側に有機層A、酸化物層或いは請求項1記載の透明帯電
    防止層、更に有機層Bを設けた事を特徴とする帯電防止
    フィルム。
  3. 【請求項3】 該有機層Aが融点50℃以上のエポキシ
    アクリレートプレポリマーあるいは融点50℃以上のウ
    レタンアクリレートプレポリマーの紫外線硬化樹脂膜で
    あり、それぞれの厚みが0.3〜5μmである事を特徴
    とする請求項1または2記載の帯電防止フィルム。
  4. 【請求項4】 該有機層Bが融点50℃以上のエポキシ
    アクリレートプレポリマーあるいは融点50℃以上のウ
    レタンアクリレートプレポリマーの紫外線硬化樹脂膜で
    あり、それぞれの厚みが0.3〜5μmである事を特徴
    とする請求項1、2または3記載の帯電防止フィルム。
  5. 【請求項5】 該有機層Bが熱可塑性樹脂である事を特
    徴とする請求項1、2または3記載の帯電防止フィル
    ム。
  6. 【請求項6】 該有機層Bがシアノエチル化合物である
    事を特徴とする請求項1、2または3記載の帯電防止フ
    ィルム。
  7. 【請求項7】 該熱可塑性樹脂層がエチレン・グリシジ
    ルメタクリレート・無水マレイン酸3元共重合体或いは
    エチレン・エチルアクリレート・無水マレイン酸3元共
    重合体或いは両3元共重合体を積層した事を特徴とする
    請求項1または2記載の帯電防止フィルム。
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