JP3396148B2 - 帯電防止フィルム - Google Patents

帯電防止フィルム

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JP3396148B2 JP11088597A JP11088597A JP3396148B2 JP 3396148 B2 JP3396148 B2 JP 3396148B2 JP 11088597 A JP11088597 A JP 11088597A JP 11088597 A JP11088597 A JP 11088597A JP 3396148 B2 JP3396148 B2 JP 3396148B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製造工程中に付着
する塵や放電による部材の破損を避けなければならない
液晶、エレクトロクロミック、エレクトロルミネッセン
ス、太陽電池、調光フィルム、光学シャッター等の表示
体用に代表されるエレクトロニクス部材用のバリア性を
有する帯電防止フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】透明ガスバリアフィルムとしては、食品
包装用として広く用いられており、フィルム自体がガス
バリア性を有するポリ塩化ビニリデン系、ポリビニール
アルコール系、ナイロン等が用いられている。更に、ポ
リエステルやポリプロピレンにエバール、ポリビニルア
ルコール等の樹脂の塗布やフィルムをラミネートしたも
の、例えば特開昭55−59961号公報、特願昭59
−207168号公報記載のものや、ポリ塩化ビニリデ
ン共重合体を塗布する特開昭55−59961号公報が
ある。
【0003】一方ガスバリア層として無機材料を用いた
ものでは、酸化錫の場合は特開平3−53059号公
報、特開平1−269530号公報、更にフッ素でドー
プした特開昭63−2458号公報、又フッ化アルミニ
ュウムでドープした酸化インジウムでは特開昭61−2
94703号公報、一般的な酸化硅素では特開昭50−
142194号公報、特公昭53−12953号公報、
特開平7−178860号公報、特開平7−17878
8号公報がある。酸化アルミニュウムでは特開昭62−
101428号公報がある。更に各種の酸化物を検討し
た特開昭63−237940号公報も提案されている。
又、窒化珪素としては実願昭56−78196号公報が
ある。上記の有機物と無機物を併用したものでは特願昭
59−201886号公報、特願昭59−201887
号公報がある。更に本発明と同類な趣旨であるガスバリ
アと帯電防止を狙ったものでは、シート抵抗が1×10
9Ω/□とかなり高いレベルで帯電防止層として金属フ
ィラーを分散塗布した特開平7−137191号公報が
提案されている。
【0004】しかしながら何れの樹脂やフィルムのガス
バリア性も高温時或いは高湿時で必ず低下が起こり、水
蒸気と酸素の両方に対して高レベルのガスバリア性を有
する材料は皆無であった。この為、無機材料によるガス
バリア層の検討が古くから行われて来た。しかしなが
ら、金属膜では本発明の趣旨である表示体用としては透
明性の点からは不適切であり、一方透明無機材料の代表
である酸化硅素等の酸化物、窒化珪素等の窒化物を用い
た場合ガスバリア性が低く、バリア性を向上させる為厚
化した際は可撓性が無く、クラックが発生するという最
大の欠点があった。更に、酸化物、窒化物では比抵抗が
高く、作業中に帯電によるゴミの付着や放電を避ける事
が出来ず、表示体用に代表されるエレクトロニクス部材
では可撓性に優れた帯電防止機能付きの透明ガスバリア
材が望まれていた。
【0005】この様な状況下でも水蒸気バリアだけが要
求される表示体の用途において、吸湿性に優れたナイロ
ンフィルムと非常に高価であるがフッ素樹脂であるポリ
クロロトリフルオロエチレン、即ちPCTFEフィルム
を併用したタイプ(特開昭58−117676号公報、
特開昭57−165994号公報)が一部に使われてい
る。しかしながら、フッ素系樹脂は酸素バリア性が低い
だけでなく、燃焼によってフッ酸が発生するため廃棄上
の問題がある上、表示体が大型化した際は製造上の点で
大型化が難しいという問題があり、耐湿熱性による水蒸
気バリア低下の問題も含めてバリア性自体の改善が望ま
れていた。この為いくつかの検討はされているが、高温
高湿下に於ける酸素、水蒸気のガスバリアを両立して満
足する技術は未だ無い状況であった。
【0006】更に、表示体用途として使用するには最終
の封止の為の熱圧着工程があり、この作業に於いて熱と
圧力が加わるため透明帯電防止層の特性が低下しない事
が重要である。使用する熱可塑性樹脂により異なるが、
一般的には95℃〜180℃の範疇で行われる。従っ
て、180℃までの耐熱性は温度加工性の点から必要で
あり、一般的な作業条件としては、例えば30Kg/c
2の圧力下、150℃60秒、180℃20秒等の熱
圧着条件に於いて行われる。上記の熱衝撃性以外にも工
程中や商品に組み込まれた後でも、人、物が触れる事か
ら表示体としては耐衝撃性が必要である。一般的にタッ
チパネルや液晶パネルで用いられている耐衝撃性が必要
であり、表示部に対する外部からの押圧試験で評価され
る。液晶用を例にすれば、液晶セルの打鍵性試験とし
て、先端7Rの硬質ゴムに荷重200gfを掛け、スト
ローク3mmで1Hzの周期で360万回打鍵して液晶
セル内の気泡の発生の有無で判断している。可撓性の試
験方法としては、高温高湿下で35mmΦのロールに巻
き付けて、ガスバリア層として設けられた無機層に与え
るダメージに起因する特性劣化の評価が一般的である。
何れも、気泡の直接原因となる無機層の酸素バリア性を
判断しているもので、無機層の可撓性に依存している。
本来のガスバリア性の特性を製造時における各種の処理
後に於いても保ち続けることが重要である。透明帯電防
止層形成の為の基板の前処理方法等に多くの要因があ
り、上記に上げた酸化物等や特開昭55−114563
号公報に記載されている加水分解による酸化物等がある
が、ただ単に無機層を設けただけでは表示体基板用の帯
電防止フィルムとしては満足出来るものは無かった。
【0007】無機層の形成方法としては、蒸着、スパッ
タリング、イオンプレーティング、プラズマCVDに代
表される気相成膜法等が主流であるが、ゾル・ゲル法に
代表される塗布形成方法以外では、蒸発源からの輻射熱
やプラズマからの直接的なイオン衝撃の熱で、基板を加
熱しなくても結晶性の膜が形成される事が常であった。
又、今までの無機層には透明で帯電防止という概念がな
かったため比較は出来ないが、帯電防止の為に表面抵抗
を下げようとすると更に雰囲気からの熱により結晶性の
膜質になり、可撓性が極端に低下するという欠点があ
り、無負荷の状態でガスバリア性が発現しても、加工時
等の条件下で特性低下が起こり採用されなかった。
【0008】上記に記載の様に特に有機材料を構成素材
として用いた表示装置には、信頼性からガスバリア性、
帯電防止から透明性、導電性、作業性、信頼性、加工性
から耐打鍵性、可撓性を合わせ持つ無機材料が不可欠な
要素であるが、これらの機能を全て満足し実用に適う透
明で可撓性、ガスバリア性がある帯電防止フィルムはい
まだ工業的には生産されていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる現状
に鑑みなされたもので、水蒸気、酸素に代表されるガス
バリア性、熱圧着等の熱衝撃性、放電や塵付着等の作業
性、信頼性、耐打鍵性、ロール工程使用や、曲げた状態
での最終設置が可能である等の可撓性の優れた透明な帯
電防止フィルムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、高分子フィル
ムの少なくとも片面に有機層A、複合酸化物の組成とし
てIn23とZnOから成りZn/In+Znが0.1
5〜0.45の原子比の範囲、或いはIn23とGa2
3から成りGa/In+Gaが0.05〜0.20の
原子比の範囲、或いはIn23とMgOから成りIn/
In+Mgが0.70〜0.95の原子比の範囲、或い
はSnO2とZnOから成りSn/Sn+Znが0.5
5〜0.75の原子比の範囲である複合酸化物で、シー
ト抵抗が50〜500Ω/□、膜厚が200〜1500
Åである可撓性に優れた透明帯電防止層、有機層B、熱
可塑性樹脂層からなる帯電防止フィルム、または上記の
帯電防止フィルムの裏面側の高分子フィルムの上に有機
層A、酸化珪素層或いは前述の透明帯電防止層、更に有
機層Bを設けた帯電防止フィルムである。
【0011】更に好ましい態様は、有機層Aが融点50
℃以上のエポキシアクリレートプレポリマーあるいは融
点50℃以上のウレタンアクリレートプレポリマーの紫
外線硬化樹脂膜であり、厚みが0.3〜5μmであり、
有機層Bが融点50℃以上のエポキシアクリレートプレ
ポリマーあるいは融点50℃以上のウレタンアクリレー
トプレポリマーの紫外線硬化樹脂膜であり、厚みが0.
3〜5μmであり、また有機層Bが熱可塑性樹脂であ
り、また有機層Bがシアノエチル化合物であり、熱可塑
性樹脂層がエチレン・グリシジルメタクリレート・無水
マレイン酸三元共重合体或いはエチレン・エチルアクリ
レート・無水マレイン酸三元共重合体或いは両三元共重
合体の積層体である帯電防止フィルムである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の構成として各種の構成が
考えられるが例えば図1で示すように、光学特性、耐熱
性に優れた高分子フィルム(1)、密着性、耐打鍵性、
耐熱性、可撓性に優れた有機層A(2)、次に同じくガ
スバリア性、密着性、耐打鍵性、耐熱性、可撓性、透明
性、導電性を有する複合酸化物からなる透明帯電防止層
(3)、更に、密着性、耐打鍵性、耐熱性に優れ、透明
帯電防止層の保護特性を有する有機層B(4)、更に熱
可塑性樹脂層(5)を設けた透明な帯電防止フィルムで
ある。更により高い信頼性が要求される場合には、例え
ば図2に示すように、図1で示した帯電防止フィルムの
高分子フィルム(1)の裏面側に有機層A(6)、酸化
硅素層或いは表面側と同一の透明帯電防止層(7)、有
機層B(8)を設けた透明な帯電防止フィルムであり、
図1、図2で示された構成の帯電防止フィルムが特性面
等の点より好ましい。
【0013】本発明に於ける高分子フィルムとしては、
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ナイ
ロン−6、66等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ
塩化ビニリデン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリ
アクリロニトリル、ポリエーテルサルフォン、ポリサル
フォン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ノルボ
ルネン、紫外線硬化型樹脂、エポキシ樹脂に代表される
熱硬化型樹脂等からなり、或いはこれら高分子の共重合
体が使用でき、用途に応じて適宜選択される。フィルム
の全光線透過率は80%以上の透明性を有したフィルム
であり、加工性の点より極力耐熱性があることが望まし
い。更に屋外用途では紫外線吸収剤を高分子材料に添加
しても良い。
【0014】高分子フィルムの厚みとしては特に制限さ
れるものではないが、加工性の点からは25〜300μ
mが好ましい。厚さが25μm未満の場合は、フィルム
が柔軟過ぎ、透明帯電防止層である非晶質な酸化物の成
膜や加工の際の張力により伸張やシワが発生し易くな
り、そのため透明帯電防止層の亀裂や剥離が生じやすく
なる。又、300μmを越えるとフィルムの可撓性が減
少し、各工程中での連続巻き取りが困難となる。折り曲
げて使用することを考慮すれば25〜75μmが特に好
ましい。
【0015】有機層Aは高分子フィルムと透明帯電防止
層の密着性向上の為に設けられるもので、基本的には選
択された高分子フィルムにより最適なものを選定すべき
である。必要な特性としては、30Kg/cm2の圧力
下、150℃60秒或いは180℃20秒の熱圧着条件
に於いて、非晶質な酸化物に悪影響を与えない耐熱性
(以下試験1と略す)が最も重要な特性である。更にガ
スバリア性を有する帯電防止フィルムとしての必要な特
性は、先端7Rの硬質ゴムによる周期1Hz、荷重20
0gfで、360万回の打鍵によるクラックが生じない
耐衝撃性(以下試験2と略す)、曲率220mmΦのロ
ールに10000回を巻き付けてもクラックが生じない
曲げサイクル性(以下試験3と略す)、曲率35mmΦ
のロールに固定し、60℃、90%RH、1000時間
放置後クラックが生じない曲面保存性(以下試験4と略
す)である。又、表示体の寿命の点からは、イオン性不
純物は極力少ない方が望ましく、通常20ppm以下が
望まれ、材料の選定や成膜中の不純物管理が重要にな
る。
【0016】透明帯電防止層の保護層である有機層Bの
要求特性は基本的には有機層Aと同じであり、有機層A
と同質の材質、膜厚でも良い。但し、無機材料表面に直
接接する為、表示体の封止工程における熱圧着等の熱衝
撃による剥離は許されず、より低応力、高密着力が求め
られる。ここで、高分子フィルム、有機層A、有機層B
の何れに於いても、寸法変化は透明帯電防止層のクラッ
クが発生する破壊限界値5%値以下である事が絶対条件
である。従って、有機層A、Bに用いられる樹脂として
は、寸法変化が少なく、熱的により安定な熱硬化型樹脂
が好ましく、生産性に優れた紫外線硬化型樹脂がより好
ましい。又、無機層との密着力は上記各種の環境試験後
でも剥離しないことが不可欠である。
【0017】有機層Aに用いられる具体的な樹脂として
は、融点50℃以上のエポキシアクリレートプレポリマ
ー或いは融点50℃以上のウレタンアクリレートプレポ
リマーの紫外線硬化型樹脂であり、且つ樹脂の膜厚は
0.3〜5μmである。融点が50℃未満になると透明
帯電防止層を真空中で成膜する際、有機層より発生する
ガスにより目的の膜質が得られないという問題が生じ
る。ここで重要なのは、各特性堅持の為に、有機層Aの
厚みを制限する事が重要である。通常のコート樹脂の厚
みとしては2〜30μm程度の厚みを塗布しているが、
5μmを越える厚みになると可撓性が無くなる。従っ
て、表示体用途として実用上充分安定した領域で使用す
るためには、0.3〜5μmの範囲であり、好ましくは
0.4〜3μmの範囲であり、更に好ましくは0.4〜
2μmの範囲である。有機層Aの厚みが0.3μm未満
では塗布ムラが生じ易くなり外観上の問題が生じ、5μ
mを越えると密着力が低下するだけでなく、熱衝撃によ
りクラックが発生し易くなる。これは、紫外線硬化樹脂
は、硬化時に10〜20%程の硬化収縮が起こることに
よって潜在的な内部応力を持ち、局部的な外力が働くと
一気にクラックが入るためである。また、厚みを薄くす
ることによって高分子フィルムとの密着力も向上する。
【0018】例えば、有機層Aを5μmに塗布した際の
高分子フィルムとの密着力は200g/cmであるのに
対し、0.5μm品では1000g/cmと5倍大きく
なる。更に薄化する優位点として、表示体用途では極力
透明性を有することが望ましく、本樹脂組成では2μm
の厚みに対して、0.5μm厚みを低減する毎に0.5
%の透過率の向上が起こる。この様に潜在的内部応力を
持った紫外線硬化樹脂に於いては、各種の局部的な外力
が働いてもクラックが生じ難くさせる為に、極力薄くさ
せて応力自体を軽減する事が最も有効であり、樹脂とし
て低応力タイプにする事は不可欠な技術である。
【0019】本発明による透明帯電防止層単体での全光
線透過率については最終形態として70%以上あれば表
示用として使用出来るため75%以上あれば良い。75
%未満では最終形態として70%未満となり使用用途が
限定されて好ましくない。透明帯電防止層としては、シ
ート抵抗は50〜500Ω/□、酸素バリア性は0.5
cc/24h・m2以下、水蒸気バリア性は0.5g/
2・24hr以下が信頼性の点から必要である。更に
可撓性として、試験1〜4によりクラックが入らない事
が必要である。シート抵抗は50〜500Ω/□が必要
である。帯電防止材としては一般的には1068Ω/□
が必要とされているが、除電並びに静電気シールド効果
をより発揮する為には1047Ω/□以下で、シート抵
抗は低ければ低い程良い。更に電子部品本体の破壊に繋
がる放電防止レベルまで考慮すれば、500Ω/□以下
が必要になる。しかし、50Ω/□未満になるとコスト
が上がるという問題があり、100〜500Ω/□が好
ましい。
【0020】更に重要な事は透明帯電防止層としての膜
厚である。ガスバリア性を安定的に得る為には最低20
0Å以上の膜厚が必要である。200Å以上の膜厚にな
ると膜は島状から連続膜になり安定した膜として各種特
性を発揮出来るようになる。一般的に結晶性の膜質では
500Å以上になると極端に可撓性が損なわれる。これ
は一定の膜厚以上になると膜にストレスクラックや熱損
傷が起こる為であり、その結果ガスバリア性が損なわれ
るようになる。よってクラックの点より結晶質の膜質で
は200〜500Åが実質上使用可能な範囲であるが、
この厚みでは良好なガスバリア性を得る事は出来ない。
帯電防止及びガスバリア性の点から出来るだけ膜厚は厚
い方が良好であり、この点を改善する必要があった。こ
の為、膜厚を厚くでき、更に可撓性を付与出来る方法と
して、結晶性から非晶質に膜質を代える事により両特性
を両立出来る事を見出したものである。この結果、非晶
質の膜質では結晶性の膜質に対して約3倍の1500Å
まで膜厚を厚くしても可撓性を発現させる事ができ、試
験1〜4に於いてクラックが入らない仕様を満足する事
が可能となった。
【0021】本発明による透明帯電防止層の組成として
は、In23とZnOから成りZn/In+Znが0.
15〜0.45の原子比の範囲、或いはIn23とGa
23から成りGa/In+Gaが0.05〜0.20の
原子比の範囲、或いはIn23とMgOから成りIn/
In+Mgが0.70〜0.95の原子比の範囲、或い
はSnO2とZnOから成りSn/Sn+Znが0.5
5〜0.75の原子比の範囲である非晶質な複合酸化物
である。ここで非晶質構造はフィルム上に無機物を形成
し可撓性を得るためには不可欠の技術であり、特に試験
1〜4に於いてクラックを生じさせない為にはどうして
も安定した非晶質な構造の膜が必要である。一般的に酸
化物の形成法はスパッタリング法で成膜しており、例え
ば、透明導電電極用として代表的に用いられるIn23
に10wt%のSnO2を混合したもの、いわゆるIT
Oでは、キャリヤガスにアルゴン、比抵抗を最小にする
為に酸素を導入して最適化する。しかしながら、導電性
を狙った条件は非常に結晶化し易い条件であり、例え基
板加熱をしなくても成膜中のプラズマからの熱の影響
で、X線回折装置による解析可能な膜厚になるとほぼ確
実に結晶化する。条件を限定しながら成膜して非晶質膜
を得る事は物理的には不可能ではないが、組成、条件変
動の点から安定性、再現性に問題がある。
【0022】例えば製造条件として、第一に成膜直後の
最小比抵抗が得られる条件ではなくバリア性を発現させ
る最適条件の酸素導入量を決定する。第二としてプラズ
マ領域を高分子フィルム側に拡大しない様に極力押さえ
る。第三に成膜速度を上げ、非晶質化を図る事が重要で
ある事を見出している。更に、高分子フィルムの成膜前
の脱ガスはガスバリア性の安定化、再現性の点から非常
に重要であった。しかしながら、生産性が大幅に低下す
る、装置コストが上がる等経済的に問題があり、条件に
制約がなく、安定した非晶質膜になる組成を検討し本発
明に至ったものである。
【0023】In23にZnOを含有させたタイプでは
Zn/In+Znが0.15〜0.45の原子比の範
囲、In23とGa23ではGa/In+Gaが0.0
5〜0.2の原子比の範囲、In23とMgOではIn
/In+Mgが0.70〜0.95の原子比の範囲、或
いはSnO2とZnOではSn/Sn+Znが0.55
〜0.75の原子比の範囲が非晶質の安定領域である。
この範囲以外では結晶化し易く、例えば加熱等の条件に
より容易に結晶化が起こる。
【0024】本発明による帯電防止フィルムは、水蒸気
バリア性で0.5g/m2・24hr以下、酸素バリア
性で0.5cc/atm・m2・24hr以下であり、
水蒸気バリア性が0.5g/m2・24hr、酸素バリ
ア性が0.5cc/atm・m2・24hrを越えると
バリア性が少なくなるため最終製品である表示体に酸化
劣化による黒点や気泡が発生するようになる。好ましく
は、水蒸気バリア性で0.1g/m2・24hr以下、
酸素バリア性で0.1cc/atm・m2・24hr以
下である。従来から広く用いられていたスパッタリング
法による酸化硅素膜200Åの水蒸気バリア性は4g/
2・24hr、酸素バリア性は2.3cc/atm・
2・24hrであるのに対し、本発明による非晶質膜
は同じ200Åの厚みに於いて、水蒸気バイア性で15
%以下、酸素バリア性で25%以下の値を示し、非常に
良好な今までに無い特性が得られた。これは、非晶質膜
の成膜中にストレスクラックが発生し難い為、良好なバ
リア性が発現していると推定している。特にガスバリア
性が良好な500Å以上の膜厚では測定機器の測定限界
に近い値を示しすようになる。
【0025】非晶質化の確認方法としてはX線回折装置
での測定が一般的であるが、非常に薄膜である為装置の
測定能力・精度の問題がある。特に非晶質な高分子基板
上に成膜した500Å以下の膜厚では結晶性の膜質でも
一見して特定ピークが認められない為、非晶質であると
判断されているが、30万倍の走査型電子顕微鏡等で確
認するとグレインサイズの大きい結晶質の膜が形成され
ている事がほとんどであった。従って簡便、現実的、確
実な判定法を検討した結果、結晶性膜は耐薬品性に優れ
ている点を利用した。つまり非晶質であればある程エッ
チング液、例えば酸化インジウム系膜の場合塩酸による
溶解速度が速く、均一に残差無く溶け易い性質がある。
一方、結晶性になれば成る程溶けにくく、部分的に結晶
化していると塩酸溶液中で突然のクラックの発生と微小
部分が剥離して剥がれ落ち液中に浮遊するという現象が
起こる。本発明の非晶質膜であることの条件としては、
液温40℃の10wt%塩酸中で、15Å/秒以上の溶
解速度を有していることである。15Å/秒未満であれ
ば可撓性がなくなる。酸化インジウム系のエッチング液
としては塩酸以外に硝酸、塩化鉄溶液等と加えた酸が用
いられており、酸化錫系のエッチング液としては硝酸の
比率が高い王水等も使われるが何れも濃度が上がるにつ
れ溶解速度は上がるが測定精度は下がる。
【0026】この透明帯電防止層のエッチング性を60
0Åの膜で比較した。In23−ZnO系(Zn/In
+Zn=0.3)、In23−Ga23系(Ga/In
+Ga=0.13)、In23−MgO系(In/In
+Mg=0.8)、SnO2−ZnO系(Sn/Sn+
Zn=0.6)では50、30、45、20Å/秒と非
常に高速で均一に溶けた。又、可撓性を示す試験1〜4
は何れもクラックの無い良好な膜であった。透明帯電防
止層の形成方法としては、蒸着、スパッタリング、イオ
ンプレーティング、プラズマCVDに代表される気相成
膜法等や、ゾル・ゲル法等の塗布法があり、特に限定さ
れるものでは無いが、極力低温で成膜出来る事から気相
成膜法が望ましい。非晶質な透明帯電防止層を有機層A
に直接形成するか、或いはその形成に先立ち密着力を高
めるために、脱ガス処理、コロナ放電処理、火炎処理等
の表面処理やアクリル系、エポキシ、シリコン系等の公
知のプライマー層を設けても良い。
【0027】次に有機層Bを設ける。基本的には有機層
Aと同一物質であってもよく、更に生産性向上の為には
有機層Bに熱可塑性樹脂を用いても構わない。つまり有
機層Bと熱可塑性樹脂層とを共押出しして一気に熱可塑
性樹脂層まで形成する事は低コスト化から有効である。
この場合の有機層Bはポリエチレン、ポリプロピレン、
ナイロン、或いはエチレン−ビニルアルコールの共重合
体との積層品やナイロン−ポリエチレンとの積層品が密
着力の点から好ましい。
【0028】又、共押出し、紫外線樹脂塗布等の装置の
制約がある場合には、通常の塗布装置に於いてシアノエ
チル化合物を有機層Bとして用いることが出来る。これ
は非晶質な透明帯電防止層に強固な密着力が得られる為
である。シアノエチル化合物としては、例えば、常温で
液状であるシアノエチルマンニトール、シアノエチルア
ミロース、シアノエチルシュクロース、シアノエチルソ
ルビトール、シアノエチルグルコース、高分子であるシ
アノエチルスターチ、シアノエチルプラン、シアノエチ
ルポリビニルアルコール、シアノエチルグリセロールプ
ルラン、シアノヒドロキシエチルセルロース、シアノエ
チルセルロース等並びに混合物が上げられる。
【0029】熱可塑性樹脂層は、高分子フィルム〜有機
層Bで構成された可撓性、ガスバリア性を有する透明な
帯電防止フィルム同士で表示体を封止する際の接着剤、
バリア材になるもので、高密着力と高いバリア性が要求
される。上記特性を満足すれば熱可塑性樹層として特に
限定するものではなく、例えば、ポリプロピレン、塩化
ビニリデン、ポリエチレン、エチルビニルアルコール、
ポリビニルアルコール等も用途によっては使用可能であ
るが、広範囲の用途を考えた場合、各種の表示体によっ
て面基材は異なっており、広い接着性が必要である。従
って金属、ガラス、エンジニアリングプラスチック等の
極性材料、及びポリエチレン、ポリエステル、EVA等
の無極性材料にも接着可能な樹脂としては、エチレン・
グリシジルメタクリレート・無水マレイン酸三元共重合
体(以下EGV樹脂と略す)或いはエチレン・エチルア
クリレート・無水マレイン酸三元共重合体(以下EEM
樹脂と略す)が好ましく、或いはEGV樹脂上にEEM
樹脂を積層したものでもよい。
【0030】特にEEM樹脂は、エレクトロルミネッセ
ンス表示体のガスバリア用途で最も広範囲に用いられて
いる補水層であるポリアミドに対して、従来使用されて
いるアイオノマー樹脂に比べ低温で強い接着性を示すも
のである。エチレン成分は優れた加工性、熱安定性、ポ
リオレフィンへの親和性を発現させ、アクリル酸エステ
ル成分は共重合体の結晶性を調節してゴム状弾性体とな
り、接着時の界面に懸かる衝撃力を吸収し、界面の濡れ
性を発現する。更に無水マレイン酸成分は水素結合力、
化学反応力によって極性材料への接着性、親和性を発現
させるものである。各三成分系樹脂がそれぞれの役割を
果たすことにより広い接着性を有することが可能になっ
たものである。
【0031】熱可塑性樹脂層の形成に先立ち密着力を高
めるために、脱ガス処理、コロナ放電処理、火炎処理等
の表面処理や公知のプライマー層を設けても良い。又、
層の厚みは40〜100μmが好ましい。これは表示体
を封止する際のガスバリア並びに表示体から引き出され
るリード線を完全に埋め込む必要があり、この封じ込め
性に優れていることも重要な選択の理由であり、EGV
樹脂、EEM樹脂はこの点からも望ましい。積層する際
は1:1の厚みが各種特性を引き出す為にも好ましい。
【0032】コストの点では不利になるが、高信頼性を
要求される場合には図2で示すように高分子フィルムの
裏面側に有機層A、更にガスバリア性を有する層とし
て、低コストのためには酸化珪素層を200〜1000
Å、或いは表面側と同一な透明帯電防止層、更に有機層
Bを積層する。この様に両面に帯電防止層且つガスバリ
ア層を設けることにより、製造上の不可抗力な理由によ
り生じるピンホール等による不良部分の発生を完全に無
くせる利点が上げられ、この場合ガスバリア性は測定限
界以下となっている。酸化硅素層については公知の技術
を用いて作製する事は可能であるが、透明性を重視する
場合にはフッ素を含有しても良い。又、非晶質な透明帯
電防止層と同様に基板加熱、高真空、プラズマを抑制し
て成膜する事は可撓性を重視する上からは必然の技術で
ある。
【0033】
【実施例】
《実施例1》高分子フィルムとして厚み75μmのポリ
エステルに(ダイアホイル製OY07K)、有機層Aと
して分子量1540、融点70℃のエポキシアクリレー
トプレポリマー(昭和高分子製、VR−60)100重
量部、酢酸ブチル400重量部、セロソルブアセテート
100重量部、ベンゾインエチルエーテル2重量部を5
0℃にて攪拌、溶解して均一な溶液としたものをグラビ
アロールコーターで塗布し、1.0μm厚の有機層Aを
形成した。次にこの上にDCマグネトロン法により透明
帯電防止層を形成した。成膜条件としては初期真空度3
×10-4Paに引き、100℃で30分加熱し脱ガスを
行い、更に酸素濃度がアルゴンガス中1%である混合ガ
スを導入し、1×10-1Paの条件下に於いて基板温度
50℃で成膜しZn/In+Zn=0.3の原子比であ
るIn23−ZnO複合酸化物の膜を得た。
【0034】この膜の膜厚は700Å、シート抵抗は1
31Ω/□、比抵抗は9.2×10-4Ω・cm、全光線
透過率84%であった。非晶性を確認するため40℃、
10wt%の塩酸溶液に浸漬した処、57Å/秒の溶解
速度であり非晶質であった。以上の条件で得られた透明
帯電防止層に有機層Aと同一材料を用い同一条件で有機
層Bを形成した。更に熱可塑性樹脂層として各25μm
厚みのEVG樹脂(ボンドファースト7B住友化学工業
製)、EEM樹脂(ボンダインAX8060住友化学工
業製)の順に共押出しながら積層し、全光線透過率80
%の帯電防止フィルムを作製した。作製したフィルムの
ガスバリア性を測定した。酸素バリア性については、M
OCON社製OX−TRANにて測定した。23℃のド
ライ条件で0.025cc/m2・atm・24hrと
非常に良好であった。一方、水蒸気バリア性について
は、MOCON社製PERMATRAN−Wにて測定し
た。測定条件は40℃88%R.H.で、0.02g/
2・24hrと非常に良好であった。
【0035】次に製作したフィルムを用いて以下の試験
を行いクラック発生の有無を確認した。 ・試験1:該フィルム同士を30Kg/cm2の圧力下
で150℃60秒、180℃20秒で熱圧着した。 ・試験2:耐打鍵性として、先端7Rの硬質ゴムによる
ストローク3mm、周期1Hz、荷重200gfで、3
60万回の打鍵を行った。 ・試験3:曲げサイクル性として、曲率220mmΦの
ロールに繰り返し10000回巻き付ける試験を行っ
た。 ・試験4:曲面保存性として、曲率35mmΦのロール
に固定し、60℃、90%RHの条件で、1000時間
放置する試験を行った。 試験後の各試験片を1000倍の金属顕微鏡により表面
を観察したが、何れもクラックは無く良好であった。
【0036】《実施例2》実施例1と同一フィルム、同
一材料を用い、同一構成で有機層Bまで形成した。更に
もう一方の面に有機層Aから有機層Bまで、同一条件で
表裏対象の構成で形成した。更に、熱可塑性樹脂層とし
て50μm厚みのEEM樹脂(ボンダインLX4110
住友化学工業製)を押出しながら積層し全光線透過率7
3%の透明な帯電防止フィルムを作製した。得られた帯
電防止フィルムのガスバリア特性を測定した。酸素バリ
ア性については、23℃のドライ条件で0.01cc/
2・atm・24hr、水蒸気バリア性は40℃、8
8%R.H.の条件で0.01g/m2・24hrと測
定限界値を示し非常に良好であった。次に実施例1と同
一手法により試験1〜4を実施した。何れの試験に於い
てもクラックは認められず可撓性に優れた膜質であった
【0037】《実施例3》透明帯電防止層として700
Å厚、シート抵抗170Ω/□のGa/In+Ga=
0.13の原子比であるIn23−Ga23複合酸化物
を実施例1と同一条件で形成した以外は実施例1と同一
フィルム、同一材料を用い、同一条件で帯電防止フィル
ムを作製した。全光線透過率は78%であり、酸素バリ
ア性については23℃のドライ条件で0.022cc/
2・atm・24hrと非常に良好であった。水蒸気
バリア性は40℃、88%R.H.の条件で0.02g
/m2・24hrと測定限界に近い値を示し非常に良好
であった。透明帯電防止層の40℃、10wt%塩酸溶
液における溶解速度は30Å/秒であり、非常に良好な
非晶質膜である事を示した。次に実施例1と同一手法に
より試験1〜4を実施した。何れの試験に於いてもクラ
ックは認められず可撓性に優れた膜質であった。
【0038】《実施例4》透明帯電防止層として700
Å厚、シート抵抗142Ω/□のIn/In+Mg=
0.8の原子比であるIn23−MgO複合酸化物を実
施例1と同一条件で形成した以外は実施例1と同一フィ
ルム、同一材料を用い、同一条件で帯電防止フィルムを
作製した。全光線透過率は80%であり、酸素バリア性
については、23℃のドライ条件で0.051cc/m
2・atm・24hrと非常に良好であった。水蒸気バ
リア性は40℃、88%R.H.の条件で0.03g/
2・24hrと測定限界に近い値を示し非常に良好で
あった。透明帯電防止層の40℃、10wt%塩酸溶液
における溶解速度は45Å/秒であり、非常に良好な非
晶質膜である事を示した。次に実施例1と同一手法によ
り試験1〜4を実施した。何れの試験に於いてもクラッ
クは認められず可撓性に優れた膜質であった。
【0039】《実施例5》高分子フィルム、有機層Aは
実施例1と同様に作製し、透明帯電防止層として700
Å厚、シート抵抗214Ω/□のSn/Sn+Zn=
0.6の原子比であるSnO2−ZnO複合酸化物を実
施例1と同一条件で形成し、有機層Bとしてポリエチレ
ン(住友化学製スミカセンL211)50μm、更に熱
可塑性樹脂層として実施例1と同じEVG樹脂を熱ロー
ルで圧延しながら50μm厚に積層し透明な帯電防止フ
ィルムを作製した。全光線透過率は77%であり、酸素
バリア性については、23℃のドライ条件で0.032
cc/m2・atm・24hrと非常に良好であった。
一方、水蒸気バリア性は40℃、88%R.H.の条件
で0.04g/m2・24hrと測定限界に近い値を示
し非常に良好であった。透明帯電防止層の40℃、10
wt%塩酸溶液における溶解速度は20Å/秒であり、
良好な非晶質膜である事を示した。次に実施例1と同一
手法により試験1〜4を実施した。何れの試験に於いて
もクラックは認められず可撓性に優れた膜質であった。
【0040】《実施例6》高分子フィルム、有機層Aは
実施例1と同様に作製し、透明帯電防止層として920
Å厚、シート抵抗100Ω/□のZn/In+Zn=
0.2の原子比であるIn23−ZnO複合酸化物を実
施例1と同一条件で形成し、有機層Bとしてシアノエチ
ルプラン(信越化学製CR−S)にジメチルホルムアミ
ドを加え10μm厚に塗布した。透明帯電防止層の40
℃、10wt%塩酸溶液における溶解速度は55Å/秒
であり、非常に良好な非晶質膜である事を示した。更に
熱可塑性樹脂層として実施例1と同じEVG樹脂を熱ロ
ールで圧延しながら50μm厚に積層し、全光線透過率
79%の透明な帯電防止フィルムを作製した。酸素バリ
ア性については、23℃のドライ条件でで0.018c
c/m2・atm・24hrと非常に良好であった。一
方、水蒸気バリア性は40℃、88%R.H.の条件で
0.01g/m2・24hrと測定限界の値を示し非常
に良好であった。次に実施例1と同一手法により試験1
〜4を実施した。何れの試験に於いてもクラックは認め
られず可撓性に優れた膜質であった。
【0041】《比較例1》高分子フィルム、有機層Aは
実施例1と同様に作製し、透明帯電防止層として165
0Å厚、シート抵抗96Ω/□のSn/Sn+Zn=
0.50の原子比であるSnO2−ZnO複合酸化物を
実施例1と同一条件で形成し、有機層Bとして実施例5
と同じ架橋ポリエチレン50μm、更に熱可塑性樹脂層
として実施例1と同じEVG樹脂を熱ロールで圧延しな
がら50μm厚に積層し透明な帯電防止フィルムを作製
した。全光線透過率は71%であり、酸素バリア性は2
3℃のドライ条件で0.01cc/m2・atm・24
hr、水蒸気バリア性は40℃、88%R.H.の条件
で0.01g/m2・24hrと測定限界に近い値を示
し非常に良好であった。透明帯電防止層の40℃、10
wt%塩酸溶液における溶解速度は55Å/秒であり、
非常に良好な非晶質膜である事を示した。次に実施例1
と同一手法により試験1〜4を実施した。試験1の熱圧
着条件で150℃、60秒並びに試験4の曲面保持性で
は異常が認められなかったが、他の試験では極一部では
あるが、クラックが認められ可撓性が無い膜質であっ
た。
【0042】《比較例2》高分子フィルム、有機層Aは
実施例1と同様に作製し、透明帯電防止層として210
0Å厚、シート抵抗63Ω/□のSn/Sn+Zn=
0.90の原子比であるSnO2−ZnO複合酸化物を
実施例1と同一条件で形成し、有機層Bとして実施例5
と同じ架橋ポリエチレン50μm、更に熱可塑性樹脂層
として実施例1と同じEVG樹脂を熱ロールで圧延しな
がら50μm厚に積層し透明な帯電防止フィルムを作製
した。全光線透過率69%であった。帯電防止層の非晶
性を確認するため40℃、10wt%塩酸溶液に浸漬し
た処、5分でも溶けず7Å/秒以下の溶解速度であり、
エッチング出来ない結晶質であった。次に、フィルムの
ガスバリア性を測定した。酸素バリア性については、2
3℃のドライ条件で0.9cc/m2・atm・24h
rであった。水蒸気バリア性は40℃88%R.H.の
条件で1.5g/m2・24hrであった。次に実施例
1と同一手法により試験1〜4を実施した。何れの試験
に於いてもクラックが認められた可撓性の無い膜質であ
った。又、参考の為、更に120℃、60秒に於いても
一部クラックが発生していた。
【0043】
【発明の効果】本発明により、可撓性に優れ、透明性、
ガスバリヤー性、帯電防止を満足する可撓性透明帯電防
止フィルムを提供することが可能となり、液晶、エレク
トロルミネッセンス、等の表示体、太陽電池等に使用で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に掛かる積層フィルムの一部断面図を示
す。
【図2】本発明に掛かる積層フィルムのうち、高分子フ
ィルムの両側にバリア層を設けた一部断面図を示す。
【符号の説明】
1:高分子フィルム 2:有機層A 3:透明帯電防止層 4:有機層B 5:熱可塑性樹脂層 6:有機層A 7:透明帯電防止層または酸化珪素層 8:有機層B
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−165368(JP,A) 特開 昭63−237940(JP,A) 特開 平7−330931(JP,A) 特開 平6−349338(JP,A) 特開 平4−83635(JP,A) 特開 平4−149006(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 H01B 1/00 - 1/24 H01B 5/00 - 5/16

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子フィルムの少なくとも片面に有機
    層A、複合酸化物の組成としてIn23とZnOから成
    りZn/In+Znが0.15〜0.45の原子比の範
    囲、或いはIn23とGa23から成りGa/In+G
    aが0.05〜0.20の原子比の範囲、或いはIn2
    3とMgOから成りIn/In+Mgが0.70〜
    0.95の原子比の範囲、或いはSnO2とZnOから
    成りSn/Sn+Znが0.55〜0.75の原子比の
    範囲である複合酸化物で、シート抵抗が50〜500Ω
    /□、膜厚が200〜1500Åである透明帯電防止
    層、有機層B、熱可塑性樹脂層からなる事を特徴とする
    帯電防止フィルム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の帯電防止フィルムの透明
    帯電防止層を設けた反対側の高分子フィルムの上に有機
    層A、酸化珪素層或いは請求項1記載の透明帯電防止
    層、更に有機層Bからなる事を特徴とする帯電防止フィ
    ルム。
  3. 【請求項3】 該有機層Aが融点50℃以上のエポキシ
    アクリレートプレポリマーあるいは融点50℃以上のウ
    レタンアクリレートプレポリマーの紫外線硬化樹脂膜で
    あり、厚みが0.3〜5μmである事を特徴とする請求
    項1または2記載の帯電防止フィルム。
  4. 【請求項4】 該有機層Bが融点50℃以上のエポキシ
    アクリレートプレポリマーあるいは融点50℃以上のウ
    レタンアクリレートプレポリマーの紫外線硬化樹脂膜で
    あり、厚みが0.3〜5μmである事を特徴とする請求
    項1または2記載の帯電防止フィルム。
  5. 【請求項5】 該有機層Bが熱可塑性樹脂である事を特
    徴とする請求項1または2記載の帯電防止フィルム。
  6. 【請求項6】 該有機層Bがシアノエチル化合物である
    事を特徴とする請求項1、2または5記載の帯電防止フ
    ィルム。
  7. 【請求項7】 該熱可塑性樹脂層がエチレン・グリシジ
    ルメタクリレート・無水マレイン酸三元共重合体或いは
    エチレン・エチルアクリレート・無水マレイン酸三元共
    重合体或いは両三元共重合体の積層体である事を特徴と
    する請求項1、2または4記載の帯電防止フィルム。
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