JPH10296898A - 帯電防止フィルム - Google Patents

帯電防止フィルム

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JPH10296898A
JPH10296898A JP9110884A JP11088497A JPH10296898A JP H10296898 A JPH10296898 A JP H10296898A JP 9110884 A JP9110884 A JP 9110884A JP 11088497 A JP11088497 A JP 11088497A JP H10296898 A JPH10296898 A JP H10296898A
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JP
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organic layer
film
antistatic
amorphous transparent
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JP9110884A
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English (en)
Inventor
Junji Tanaka
順二 田中
Masaharu Saito
正治 斉藤
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工性、帯電防止、ガスバリヤー性、耐打鍵
性、可撓性の優れた可撓性透明帯電防止ガスバリアフィ
ルムを提供する。 【解決手段】 光学特性、耐熱性に優れた高分子フィル
ムの少なくとも片側に密着性、耐打鍵性、耐熱性に優れ
た有機層、次に可撓性、耐打鍵性、耐曲げ特性、バリア
性を有する非晶質な無機層、密着性、耐打鍵性、耐熱
性、無機層保護特性を有する有機層、更に封止の為の熱
可塑性樹脂を設けた可撓性帯電防止フィルムである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製造工程中の付着
塵や放電による部材の破損を避けなければならない液
晶、エレクトロクロミック、エレクトロルミネッセン
ス、太陽電池、調光フィルム、光学シャッター等の表示
体に使用されるエレクトロニクス部材用の透明でガスバ
リア性を有する帯電防止フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】透明なガスバリアフィルムとしては、食
品包装用として広く用いられており、フィルム自体がガ
スバリア性を有するポリ塩化ビニリデン系、ポリビニー
ルアルコール系、ナイロン等が用いられている。更に、
ポリエステルやポリプロピレンにエバール、ポリビニル
アルコール等の樹脂の塗布やフィルムをラミネートした
もの、例えば特開昭55−59961号公報、特願昭5
9−207168号公報記載のものや、ポリ塩化ビニリ
デン共重合体を塗布する特開昭55−59961号公報
が有る。
【0003】一方ガスバリア層として無機材料を用いた
ものでは、酸化錫の場合には特開平3−53059号公
報、特開平1−269530号公報、更にフッ素をドー
プした特開昭63−2458号公報、フッ化アルミニュ
ウムをドープした酸化インジウムでは特開昭61−29
4703号公報、更に一般的な酸化硅素では特開昭50
−142194号公報、特公昭53−12953号公
報、特開平7−178860号公報、特開平7−178
788号公報が有る。酸化アルミニュウムでは特開昭6
2−101428号公報、更に各種の酸化物を検討した
特開昭63−237940号公報、窒化珪素としては実
願昭56−78196号公報が有る。上記の有機物と無
機物を併用したものでは、特願昭59−201886号
公報、特願昭59−201887号公報が有る。更に本
発明と同類な趣旨であるガスバリアと帯電防止を狙った
ものでは、シート抵抗が109Ω/□とかなり高いレベ
ルでの帯電防止層として金属フィラーを分散塗布した特
開平7−137191号公報が提案されている。
【0004】しかしながらこれらのフィルムのガスバリ
ア性は高温時或いは高湿時の処理で必ず低下し、水蒸気
と酸素の両方に対して高いレベルでのガスバリア性を有
する材料は皆無で有った。この為、無機材料によるガス
バリア層の検討が古くから行われて来たが、金属膜では
表示体用として透明性の点からは不適切であり、一方透
明無機材料の代表である酸化硅素等の酸化物、窒化珪素
等の窒化物を用いた場合ではガスバリア性が低く、ガス
バリア性向上の為厚化した酸化物、窒化物では可撓性が
無くクラック発生が最大の欠点で有った。更に、酸化
物、窒化物では比抵抗が高く、作業中の帯電によりゴミ
の付着や帯電による放電を避けることが出来ず、表示体
用のエレクトロニクス部材では可撓性に優れた帯電防止
機能付きの透明ガスバリア材が望まれていた。
【0005】但し、この様な状況下でも表示体用として
は、水蒸気バリア性だけに限定して、吸湿性に優れたナ
イロンフィルムとフッ素系樹脂であるポリクロロトリフ
ルオロエチレン、即ちPCTFEフィルムを併用したタ
イプ(特開昭58−117676号公報、特開昭57−
165994号公報)が使われている。しかしながら、
フッ素系樹脂は高価であり、酸素バリア性が低く、燃焼
によってフッ酸が発生するため廃棄上の問題があり、表
示体が大型した際は製造が難しいという問題点があり、
耐湿熱性による水蒸気バリア低下の問題も含めてバリア
性自体の改善が望まれていた。この為いくつかの検討は
されているが、高温高湿下に於ける酸素、水蒸気のガス
バリアを両立する技術は未だ無い状況であった。
【0006】更に、表示体用の用途では、最終の封止の
為の熱圧着工程があり、この工程に於いても透明帯電防
止層の特性が低下しないことが基本となる。使用する熱
可塑性樹脂により異なるが一般的には95℃〜180℃
の範疇で行われ、従って、広範囲の材料より目的に合っ
た材料が選択されることを考慮すれば180℃までは温
度加工性が必要である。一般的な実作業は、例えば30
Kg/cm2の圧力下で、150℃60秒、180℃2
0秒の熱圧着条件で行われる。また表示体として、工程
中や商品に組み込まれた後でも、人、物が触れることか
ら耐衝撃性が要求され、一般的にタッチパネルや液晶パ
ネルで用いられている耐衝撃性が必要である。例えば、
液晶用を例にすれば、液晶セルの打鍵性試験としては、
先端7Rの硬質ゴムに荷重200gfを掛け、ストロー
ク3mmで1Hzの周期で360万回打鍵して液晶セル
内の気泡の発生の有無で判断している。又、可撓性の試
験方法としては、35mmΦのロールに巻き付けて高温
高湿下で無機層に与えるダメージにより起こる特性劣化
の有無で評価されている。何れも、気泡発生の直接原因
となる無機層の酸素バリヤー性を判断しており、無機層
の可撓性に依存している。これは工程上の各種処理に於
いて、ガスバリア性を保つための緻密性に関する特性を
保ち続ける製造条件が最も重要であり、例えば、透明帯
電防止層を形成する際の基板の前処理方法等の要因が有
り、上記に上げた酸化物等や特開昭55−114563
号公報号に記載されている加水分解による酸化物等があ
るが、ただ単に無機層を設けただけでは表示体用のガス
バリアフィルムとしては満足出来るものでは無かった。
【0007】無機層の形成方法としては、蒸着、スパッ
タリング、イオンプレーティング、プラズマCVDに代
表される気相成膜法等が主流であるが、ゾル・ゲル法に
代表される塗布による形成方法以外では、通常に蒸発源
からの輻射熱やプラズマからの直接的なイオン衝撃の熱
で基板加熱をしなくても結晶性の膜が形成されることが
常で有った。又、今までの無機層には透明な帯電性防止
の概念がないため比較は出来ないが、帯電防止の為に表
面抵抗を下げようとすると更に雰囲気からの熱により結
晶性の膜質となり、可撓性は極端に低下するという欠点
がある。更に無負荷の状態ではガスバリア性が発現して
も加工時や各種信頼性条件で特性低下が起こるため、広
く採用されていない理由である。つまりフィルムに対し
ては、例え同一出発材料を用いても成膜条件により特性
が大きく影響されるため、本発明はこの点を含め改善し
たものである。
【0008】上記記載の様に特に有機材料を構成素材と
して用いた表示装置には、信頼性の点よりガスバリヤー
性、帯電防止の点より透明導電性、作業性、信頼性、加
工性の点より耐打鍵性、可撓性を合わせ持つ無機材料が
不可欠な要素であるが、これらの機能を全て満足し、実
用に適う接着性を要するガスバリアフィルムは、いまだ
工業的には生産されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる現状
に鑑みなされたもので、水蒸気、酸素によるガスバリア
性、熱圧着等の熱衝撃性、放電や塵付着等の作業性、信
頼性、耐打鍵性、ロール工程での使用や曲げた状態での
最終設置が可能である可撓性の優れた透明帯電防止フィ
ルムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】高分子フィルムの少なく
とも片面に有機層A、シート抵抗50〜500Ω/□、
比抵抗2〜15×10-4Ω・cm、膜厚200〜150
0Åである可撓性に優れた非晶質透明帯電防止層、有機
層B、熱可塑性樹脂層からなる帯電防止フィルム、また
は、熱可塑性樹脂層、有機層B、シート抵抗50〜50
0Ω/□、比抵抗2〜15×10-4Ω・cm、膜厚20
0〜1500Åである可撓性に優れた非晶質透明帯電防
止層、有機層A、高分子フィルム、有機層A、酸化珪素
層或いは該非晶質透明帯電防止層、有機層Bからなる帯
電防止フィルムである。更に好ましい態様は、40℃に
おける10wt%塩酸溶液での非晶質透明帯電防止層の
溶解速度が15Å/秒以上で均一に溶解し、かつ30K
g/cm2の圧力下、150℃60秒或いは180℃2
0秒の熱圧着条件において、非晶質透明帯電防止層にク
ラックが発生せず、かつ非晶質透明帯電防止層はInと
8〜12wt%のSnの酸化物、或いは、Inと4〜1
0wt%のSnの酸化物に第三成分として4〜10wt
%のZn、Mg、Gaの酸化物のうちの少なくとも1種
を含む酸化物であり、有機層Aが融点50℃以上のエポ
キシアクリレートプレポリマーあるいは融点50℃以上
のウレタンアクリレートプレポリマーの紫外線硬化樹脂
膜であり、厚みが0.3〜5μmであり、有機層Bが融
点50℃以上のエポキシアクリレートプレポリマーある
いは融点50℃以上のウレタンアクリレートプレポリマ
ーの紫外線硬化樹脂膜であり、厚みが0.3〜5μmで
あり、または、有機層Bが熱可塑性樹脂であり、更にシ
アノエチル化合物であり、熱可塑性樹脂層がエチレン・
グリシジルメタクリレート・無水マレイン酸三元共重合
体或いはエチレン・エチルアクリレート・無水マレイン
酸三元共重合体或いは両三元共重合体を積層したもので
ある。
【0011】更に、先端7Rの硬質ゴムによる周期1H
z、荷重200gf、360万回の打鍵による耐衝撃性
試験においてクラックが発生せず、曲率220mmΦの
ロールに10000回巻き付けによる曲げサイクル試験
においてクラックが発生せず、曲率35mmΦのロール
に固定し、60℃、90%RHの条件で、1000時間
放置する曲面保存性試験においてクラックが発生せず、
全光線透過率が70%以上、水蒸気バリア性が0.5g
/m2・24hr以下、酸素バリア性が0.5cc/a
tm・m2・24hr以下である帯電防止フィルムであ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の構成として各種の構成が
考えられ、例えば図1に示す様に、光学特性、耐熱性に
優れた高分子フィルム(1)、密着性、耐打鍵性、耐熱
性、可撓性に優れた有機層A(2)、次に同じく密着
性、耐打鍵性、耐熱性、可撓性、透明性、導電性、ガス
バリア性を有する非晶質透明帯電防止層(3)、更に、
密着性、耐打鍵性、耐熱性、非晶質透明導電防止層の保
護特性を有する有機層B(4)、更に熱可塑性樹脂層
(5)を設けた帯電防止フィルムである。更により高い
信頼性が要求される場合には、例えば図2に示すよう
に、図1で示した帯電防止フィルムの高分子フィルム
(1)の裏面側に有機層A(6)、酸化硅素、或いは、
非晶質透明帯電防止層(7)、更に有機層B(8)を設
けた帯電防止フィルムであり、図1、図2の構成の帯電
防止フィルムが特性等の面より好ましい。
【0013】本発明における高分子フィルムとしては、
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフ
ィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステ
ル、ナイロン−6、66等のポリアミド、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、ポリカーボネー
ト、ポリアクリロニトリル、ポリエーテルサルフォン、
ポリサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアリレー
ト、ノルボルネンまたはこれら高分子の共重合体、ある
いはこれらのフィルムに紫外線硬化型樹脂、エポキシ樹
脂に代表される熱硬化型樹脂等を塗布したものからな
り、全光線透過率が80%以上の透明性を有したフィル
ムが使用でき、用途に応じて適宜選択される。又、加工
性の点より極力耐熱性があることが望ましく、更に屋外
用途では紫外線吸収剤を高分子に添加しても良い。
【0014】高分子フィルムの厚みとしては、特に制限
されるものでは無いが、加工性の点からは25〜300
μmが好ましい。厚さ25μm未満の場合はフィルムが
柔軟過ぎ、非晶質透明帯電防止層である酸化物の成膜や
加工する際の張力により伸張やシワが発生し易く、その
ため非晶質透明帯電防止層の亀裂や剥離が生じやすく適
さない。又、300μmを越えるとフィルムの可撓性が
減少し、各工程中での連続巻き取りが困難となり適さな
い。特に折り曲げて使用する際のことを考慮すれば25
〜75μmが好ましい。
【0015】有機層Aは高分子フィルムと非晶質透明帯
電防止層の密着性向上の為に設けられるもので、基本的
には選択されたフィルムにより最適なものを選定すべき
であるが、必要な特性として、本フィルムを用いて表示
体を封止する際に必要な30Kg/cm2の圧力下で、
150℃60秒或いは180℃20秒の熱圧着条件に於
いて、クラックが無く、非晶質な酸化物に悪影響を与え
ないことが最も重要な特性である。更に表示体を封止し
た後は人的外力や曲面保持状態に置かれる為、本発明の
帯電防止フィルムとしては、先端7Rの硬質ゴムによる
周期1Hz、荷重200gfで、360万回の打鍵によ
りクラックが生じない耐衝撃性、又曲率220mmΦの
ロールに表裏各10000回を巻き付けてもクラックが
生じない曲げサイクル性、更に曲率35mmΦのロール
に固定し、60℃90%RHの条件で、1000時間放
置後にクラックが生じない曲面保存性を有することが重
要である。これらの条件下で有機層Aにクラックが発生
すると非晶質透明帯電防止層にもクラックが生じバリア
性が低下するという問題が発生する。又、表示体の寿命
の点からは、イオン性不純物は極力少ない方が望まし
く、通常20ppm以下が望まれる。このためには材料
の選定や成膜中の不純物管理が重要になる。
【0016】非晶質透明帯電防止層の保護層である有機
層Bの要求特性は基本的には有機層Aと同じで有り、有
機層Aと同質の材質、膜厚でも良い。更に、無機材料表
面に直接接する為、封止工程での熱圧着等の熱衝撃での
剥離は許されず、より低応力、高密着力が求められる。
ここで、高分子フィルム、有機層A、有機層Bの何れの
寸法変化も非晶質透明帯電防止層の破壊限界値以下で有
ることが不可欠であり、具体的には5%以下であること
が絶対条件である。従って、有機層A、有機層Bは寸法
変化が少ない、熱的により安定な熱硬化性樹脂が好まし
く、生産性に優れた紫外線硬化型樹脂がより好ましい。
又、高分子フィルムや無機層との密着力は上記各種の試
験後でも剥離しないことが不可欠である。更に、耐薬品
性、非晶質透明帯電防止層の真空中での成膜時にこれら
の層よりガスが発生すると目的の膜質が得られないこと
が有り、真空中でのガス放出が極力少ないことが求めら
れる。
【0017】有機層Aに用いられる具体的な樹脂として
は、融点50℃以上のエポキシアクリレートプレポリマ
ー或いは融点50℃以上のウレタンアクリレートプレポ
リマーの紫外線硬化膜であり、且つ、厚みは0.3〜5
μmである。融点が50℃未満になると非晶質透明帯電
防止層形成時にガス発生量が多く安定した良好な膜質が
得られないという問題がある。ここで重要なのは、各特
性堅持の為には、有機層Aの厚みを制限することが重要
である。通常のコート樹脂の厚みとしては2〜30μm
程度の厚みを塗布しているが、5μmを越える厚みにな
ると可撓性が無くなる。従って、表示体用途として実用
上充分安定した領域で使用するためには、0.3〜5μ
mの範囲であり、好ましくは0.5〜3μmの範囲であ
り、更に好ましくは0.5〜2μmである。有機層Aの
厚みが0.3μm未満では塗布ムラが生じ易くなって外
観上問題が生じ、5μmを越えると密着力が低下するだ
けでなく、熱衝撃によりクラックが発生し易くなる。
【0018】更に膜厚の制限の理由として紫外線硬化樹
脂は硬化時に10〜20%程の硬化収縮が起こることに
よって、潜在的な内部応力を持ち、打鍵試験の様な局部
的な外力が働くと一気にクラックが入るためである。ま
た、厚みを薄くすることによって高分子フィルムとの密
着力も向上する。例えば、有機層Aを5μmに塗布した
際の高分子フィルムとの密着力は200g/cmである
のに対し、0.5μm品では1000g/cmと5倍大
きくなる。更に薄化する優位点として、表示体用途では
極力透明性を有することが望ましく、2μmの厚みにに
対して、0.5μm厚みを低減する毎に0.5%の透過
率の向上が起こる。この様に潜在的内部応力を持った紫
外線硬化樹脂に於いては、各種の局部的な外力が働いて
もクラックが生じ難くさせる為に、極力薄くさせて応力
自体を軽減することが最も有効であり、樹脂として低応
力タイプにすることは不可欠な技術である。
【0019】本発明による非晶質透明帯電防止層の全光
線透過率については、帯電防止フィルムとして70%以
上有れば表示用として使用出来るため75%以上有れば
良い。75%未満では帯電防止フィルムの全光線透過率
が70%未満となるため使用用途が限定され好ましくな
い。非晶質透明帯電防止層のシート抵抗は50〜500
Ω/□が必要である。帯電防止材としては一般的には1
×1068Ω/□が必要とされているが、除電並びに静
電気シールド効果をより発揮する為には、1×1047
Ω/□以下でシート抵抗は低ければ低い程良く、更に電
子部品本体の破壊に繋がる放電防止レベルまで考慮すれ
ば、500Ω/□以下が必要になる。シート抵抗が50
Ω/□未満になるとコストが高くなる為であり、経済的
許容範囲からは100〜500Ω/□が好ましい。
【0020】更に重要なことは非晶質透明帯電防止層と
しての膜厚である。ガスバリア性を安定的に得る為には
最低200Å以上の膜厚が必要である。膜厚が200Å
以上になると、薄膜が島状から連続膜となり安定し、膜
としての各種特性を発揮出来るからである。200Å未
満であれば膜の形成が十分ではなく、膜特性のロット間
のバラツキが大きいという問題が生じる。一般的に結晶
性の膜質では500Å以上になると極端に可撓性が損な
われ、逆にガスバリア性も低下する。これは一定の膜厚
以上になると膜にストレスクラックや熱損傷が起こる為
であり、結晶質の膜質では200〜500Åが実質上使
用可能な範囲である。しかしながら帯電防止、並びにガ
スバリア性からは出来るだけ膜厚は厚い方が良好であ
り、この点を改善する必要が有った。この為、膜厚を厚
くでき、更に可撓性を付与出来る方法として、結晶性か
ら非晶質に膜質を代えることにより両特性を初めて両立
出来ることを見出したものである。この結果、結晶性の
膜質に対して3倍の1500Åまで可撓性を発現させる
ことができ、曲面表示体としての前述の曲面保存性、曲
げサイクル性を満足できた。更に、前述の耐衝撃性を示
す耐打鍵性試験を満足することが可能となり、人間の指
圧等の外圧に曝される表示体として使用できるようにな
った。
【0021】本発明による非晶質透明帯電防止膜の材質
は、Inと8〜12wt%のSnとの複合酸化物、或い
は、Inと4〜10wt%のSnとの酸化物に第三成分
として4〜10wt%のZn、Mg、Gaの酸化物のう
ちの少なくとも1種を含む複合酸化物である。InとS
nとの複合酸化物の場合、一般的にはスパッタリング法
で形成しており、キャリヤガスにアルゴン、比抵抗を最
小にする為に酸素を導入し最適化する。しかしながら、
導電性を狙った条件は非常に結晶化し易く、例え基板加
熱をしなくても成膜中のプラズマからの熱の影響で50
0Å以上の膜厚になるとほぼ確実に結晶化する。しか
し、これらの材料は液晶用の透明電極として広く用いら
れており、特性、価格からも有利である本材料を使い非
晶質膜を得ることは経済的であり好ましい。鋭意検討し
た結果、非晶質製造条件は高分子フィルム、製造装置に
より大きく異なることは事実であるが、共通している点
は、第一に成膜直後の最小比抵抗が得られる条件ではな
くガスバリア性を発現させる最適条件の酸素導入量を決
定する。第二としてプラズマ領域を高分子フィルム側に
拡大させず極力押さえる。第三に成膜速度を上げ非晶質
化を図ることが重要であることを見出したものである。
又、高分子フィルムの成膜前の脱ガスはガスバリア性の
安定化、再現性の点から非常に有効な手段である。
【0022】しかしながらSn含有のIn酸化物は本
来、結晶性の材料である為、Snの含有量が8wt%未
満になると成膜した膜は結晶化し易い膜になり、特に5
wt%未満では上記の技術をもってしても非晶質化が困
難になり可撓性の無い膜になる。一方、Snの含有量が
12wt%を越えると酸化錫特有の結晶性の硬い可撓性
の無い膜質になる。InとSnの酸化物の系に第三成分
を添加する複合酸化物について、Zn、Mg、Gaは本
来非晶質材料であるが、Sn並びにZn、Mg、Gaか
ら選ばれる元素が各4wt%未満であれば、Inの酸化
物の結晶化が進み、又10wt%を越えるとシート抵抗
安定性並びに可撓性の無い膜質になる。水蒸気バリア性
としては0.5g/m2・24hr以下、酸素バリア性
としては0.5cc/atm・m2・24hr以下であ
り、好ましくは、水蒸気バリア性としては0.1g/m
2・24hr以下、酸素バリア性としては0.1cc/
atm・m2・24hr以下である。水蒸気バリア性、
酸素バリア性が0.5g/m2・24hrを越えるとバ
リア性の効果が少なくなり、最終製品の表示体に気泡が
発生し易くなる等の問題が生じる。ガスバリア性として
特筆すべきことは従来から広く用いられていたスパッタ
リング法による200Å厚の酸化硅素膜の水蒸気バリア
性4g/m2・24hr、酸素バリア性2.3cc/a
tm・m2・24hrに比べ、本発明によるSn10w
t%含有のIn複合酸化物膜の200Å厚の水蒸気バリ
ア性は0.1g/m2・24hr、酸素バリア性は0.
1cc/atm・m2・24hrを示した。非晶質膜の
可撓性が維持出来る1500Å厚での水蒸気バりア性は
0.01g/m2・24hr、酸素バリア性が0.01
cc/atm・m2・24hrと測定限界に近いレベル
に達し今までに無い特性が得られた。
【0023】非晶質膜はX線回折装置での測定が一般的
であるが、非常に薄膜である為装置の測定能力・精度に
問題が有った。本発明では、簡便で、現実的、確実な判
定法として、結晶性膜が耐薬品性に優れている点を利用
する方法を見いだした。つまり非晶質で有れば有る程エ
ッチング液、例えば酸化インジウムであれば塩酸による
溶解速度が速くなり均一に溶けやすい性質が有り、一
方、結晶性になればなる程溶けにくく、更に部分的に結
晶化していると塩酸溶液中で突然クラックが発生し、微
小部分が剥離し液中に浮遊する現象を示すことを見出し
たものである。非晶質膜としては、液温40℃の10w
t%塩酸中で、15Å/秒以上の溶解速度を有している
膜が好ましく、酸化インジウム系のエッチング液として
は塩酸以外に、例えば硝酸、塩化鉄溶液等の酸を用いる
ことができ、単独、混合溶液で使用できる。15Å/秒
未満の溶解速度であれば可撓性が十分ではない。
【0024】この非晶質透明帯電防止層のガスバリア性
は成膜直後の結晶性膜とほぼ同一であるが、可撓性の点
から大幅に改善されている。但し、比抵抗自体は結晶性
膜に比べ低下するが15×10-4Ω・cm以下であれば
実用上何ら問題はない。この値を越えると帯電防止、ガ
スバリアで必要なシート抵抗100Ω/□を得るのに1
500Å以上の膜厚が必要となり、逆に1×10-4Ω・
cmレベルまで下がると100Ω/□を得るのに200
Å以下になり膜質安定性、ガスバリア性から不適当であ
る。従って2×10-4から15×10-4Ω・cmが望ま
しい。更に好ましくは7×10-4から10×10-4Ω・
cmである。非晶質透明帯電防止層の形成方法として
は、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、プ
ラズマCVDに代表される気相成膜法等や、ゾル・ゲル
法等の塗布法が有り、特に限定するものでは無いが、極
力低温で成膜出来ることから気相成膜法が望ましい。非
晶質透明帯電防止膜を有機層Aに直接形成するか、或い
はその形成に先立ち密着力を高めるために、脱ガス処
理、コロナ放電処理、火炎処理等の表面処理やアクリル
系、エポキシ、シリコン系等の公知のプライマー層を設
けても良い。
【0025】次に有機層Bを設ける。有機層Bは有機層
Aと同一物質でもよく、生産性向上を考えると有機層B
に熱可塑性樹脂を用いても構わない。つまり熱可塑性樹
脂層と共押出しして一気に有機層Bと熱可塑性樹脂層と
を形成することは低コスト化から有効である。この場合
の有機層Bとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピ
レン、ナイロン、或いはエチレン−ビニルアルコール共
重合体との積層品やナイロン−ポリエチレンとの積層品
が密着力の点から好ましい。共押出し、紫外線樹脂塗布
等の装置制約上の問題を有する場合には、通常塗布装置
に於いてシアノエチル化合物を有機層Bとして用いるこ
とが出来る。これは非晶質透明帯電防止層に強固な密着
力が得られる為である。シアノエチル化合物の具体的な
例としては、シアノエチルマンニトール、シアノエチル
アミロース、シアノエチルシュクロース、シアノエチル
ソルビトール、シアノエチルグルコース、シアノエチル
スターチ、シアノエチルプラン、シアノエチルポリビニ
ルアルコール、シアノエチルグリセロールプルラン、シ
アノヒドロキシエチルセルロース、シアノエチルセルロ
ース等並びに混合物が上げられる。
【0026】熱可塑性樹脂層は高分子フィルム〜有機層
で構成した帯電防止フィルムを封止する際の接着剤にな
るもので、高密着力と高いバリア性が要求される。上記
特性を満足すれば熱可塑性樹脂を特に限定するものでは
なく、例えば、ポリプロピレン、塩化ビニリデン、ポリ
エチレン、エチルビニルアルコール、ポリビニルアルコ
ール等も使用可能である。しかし広範囲の用途を考えた
場合、各用途の表示体によって表面基材は異なっており
広い接着性が必要となる。従って、表面基材として用い
られる金属、ガラス、エンジニアリングプラスチック等
の極性材料、及びポリエチレン、ポリエステル、EVA
等の無極性材料に接着可能な樹脂を検討した結果、エチ
レン・グリシジルメタクリレート・無水マレイン酸三元
共重合体(以下EGV樹脂と略す)或いはエチレン・エ
チルアクリレート・無水マレイン酸三元共重合体(以下
EEM樹脂と略す)或いはこれらEGV樹脂上にEEM
樹脂を積層したものが好ましいことを見出した。
【0027】特にEEM樹脂はエレクトロルミネッセン
ス表示体の補水層であるポリアミドに対して、従来使用
されているアイオノマー樹脂に比べ低温で強い接着性を
示すものである。エチレン成分は優れた加工性、熱安定
性、ポリオレフィンへの親和性を発現させ、アクリル酸
エステル成分は共重合体の結晶性を調節しゴム状弾性体
となり、接着時の界面に懸かる衝撃力を吸収し更に界面
の濡れ性を発現する。更に無水マレイン酸成分は水素結
合力、化学反応力によって極性材料への接着性、親和性
を発現させるものである。つまり、各三成分系樹脂がそ
れぞれの役割を果たすことにより広い接着性を有するこ
とが可能になったもので有る。
【0028】熱可塑性樹脂層の形成に先立ち、密着力を
高めるために、脱ガス処理、コロナ放電処理、火炎処理
等の表面処理や公知のプライマー層を設けても良い。
又、層の厚みは40〜100μmが好ましい。これは表
示体を封止する際のガスバリア並びに表示体から引き出
されるリード線を完全に埋め込むために必要であり、こ
の封じ込め性に優れているのも重要な選択の理由であ
り、EGV樹脂,EEM樹脂はこの点からも好ましい。
両者を積層する際は1:1の厚みが各種の特性を引き出
す為に好ましい。
【0029】更に、高信頼性が要求される場合には、図
2で示すように高分子フィルムの裏面側に有機層Aと同
一材質の有機層、更にガスバリア性を有する層として低
コストの為には酸化珪素を200〜1000Å、或いは
表面側と同一な非晶質透明帯電防止層、更に有機層Bと
同一な有機層を順次積層する。この様に両面に帯電防止
層且つガスバリア層を設けることにより、製造時の不可
抗力的な理由により生じるピンホール等による不良部分
の発生を完全になくすことができ、この場合ガスバリア
性は測定限界以下となっている。酸化硅素については公
知の技術を用いて作製することは可能であるが、透明性
を重視する場合にはフッ素を含有しても良い。又、非晶
質透明帯電防止層と同様に基板加熱、高真空、プラズマ
を抑制して成膜することは可撓性を重視する上からは必
然の技術である。
【0030】
【実施例】 《実施例1》高分子フィルムとして厚み75μmのポリ
エステルフィルム(ダイアホイル製OY07K)に、有
機層Aとして分子量1540、融点70℃のエポキシア
クリレートプレポリマー(昭和高分子製、VR−60)
100重量部、酢酸ブチル400重量部、セロソルブア
セテート100重量部、ベンゾインエチルエーテル2重
量部を50℃にて攪拌、溶解して均一な溶液としたもの
をグラビアロールコーターで塗布し、80℃で10分間
加熱して溶媒を除去し、80w/cmの高圧水銀灯によ
り15cmの距離で30秒間照射して樹脂を硬化させ、
1.0μm厚の有機層Aを形成した。次にこの上に非晶
質透明帯電防止層としてターゲット表面上で1000ガ
ウスを有するDCマグネトロン法により導電膜を形成し
た。成膜条件としては初期真空度3×10-4Paに引
き、100℃で30分加熱し脱ガスを行い、更に酸素/
アルゴンガス1%の混合ガスを導入し、1×10-1Pa
の条件下において成膜し、Sn酸化物10wt%含有の
In複合酸化物を得た。基板温度は50℃で成膜した。
非晶質透明帯電防止層を測定した結果、膜厚は608
Å、シート抵抗は120Ω/□、比抵抗は7.3×10
-4Ω・cm、全光線透過率は80%であった。非晶性を
確認するため、40℃、10wt%の塩酸溶液に浸漬し
たところ、25Å/秒の溶解速度で有り、均一にエッチ
ングされていたため非晶質であった。以上の条件で得ら
れた非晶質透明帯電防止層に有機層Aと同一材料を用い
同一条件で有機層Bを形成した。更に熱可塑性樹脂層と
して、EVG樹脂(ボンドファースト7B住友化学工業
製)、EEM樹脂(ボンダインAX8060住友化学工
業製)の順に各25μm厚みで共押出しながら積層し、
全光線透過率75%の帯電防止フィルムを作製した。作
製したフィルムのガスバリア性を測定した。酸素バリア
性については、MOCON社製OX−TRANにて測定
した。測定条件としては、23℃ドライで、測定結果は
0.024cc/m2・atm・24hrと非常に良好
であった。一方、水蒸気バリア性はMOCON社製PE
RMATRAN−Wにて測定した。条件としては40℃
88%R.H.で、測定結果は0.02g/m2・24
hrと非常に良好であった。
【0031】次に作製したフィルムを用いて以下の試験
を行いクラックの発生の有無を確認した。 ・試験1:耐衝撃試験性として、先端7Rの硬質ゴムに
よるストローク3mm、周期1Hz、荷重200gf
で、360万回の耐打鍵性試験を行った。 ・試験2:曲げサイクル性として、曲率220mmΦの
ロールに10000回の繰り返し巻き付け試験を行っ
た。 ・試験3:曲面保存性として、曲率35mmΦのロール
に固定し、60℃、90%RH、1000時間放置試験
を行った。 試験1から3について、試験後の各試験片を1000倍
の金属顕微鏡により表面を観察したが、何れもクラック
は無く良好であった。 ・試験4:該フィルム同士を30Kg/cm2の圧力下
で150℃60秒で熱圧着した。 ・試験5:該フィルム同士を30Kg/cm2の圧力下
で180℃20秒で熱圧着した。 試験4、5について、試験後の各試験片を1000倍の
金属顕微鏡により表面を観察をしたが、何れもクラック
は確認されず良好であった。
【0032】《実施例2》実施例1の帯電防止フィルム
を用い、高分子フィルムの裏面側に有機層として実施例
1の有機層Aを同一条件で形成し、更に非晶質透明帯電
防止層を実施例1と同一材質、同一条件で形成した。更
に保護膜として実施例1の有機層Bと同一材料で実施例
1と同様に有機層を積層した。更に、片面に熱可塑性樹
脂層として50μm厚みのEEM樹脂(ボンダインLX
4110住友化学工業製)を押出しながら積層し、全光
線透過率77%の帯電防止フィルムを作製した。得られ
た帯電防止フィルムの特性を測定した。酸素バリア性に
ついては、23℃ドライの条件で測定結果は0.011
cc/m2・atm・24hrと非常に良好であった。
水蒸気バリア性は40℃88%R.H.の条件で、測定
結果は0.01g/m2・24hrと測定限界の値を示
し非常に良好であった。次に実施例1と同一手法により
試験1〜5を実施した。何れの試験に於いてもクラック
は認められず可撓性に優れた膜質であった。
【0033】《実施例3》実施例1の帯電防止フィルム
を用い、高分子フィルムの裏面側に有機層として実施例
1の有機層Aを同一条件で形成し、更にガスバリア層と
して酸化硅素層を1000Å厚でRFマグネトロン法で
形成した以外は、実施例1と同一条件で形成した。更に
保護膜として実施例1の有機層Aと同じものを実施例1
と同様にして有機層を積層した。更に、熱可塑性樹脂層
として50μm厚みのEVG樹脂(ボンドファースト7
B住友化学工業製)を押出しながら積層し、全光線透過
率76%の帯電防止フィルムを作製した。得られた帯電
防止フィルムの特性を測定した。酸素バリア性について
は、23℃ドライの条件で測定結果は0.022cc/
2・atm・24hrと非常に良好であった。水蒸気
バリア性は40℃88%R.H.の条件で、測定結果は
0.02g/m2・24hrと測定限界に近い値を示し
非常に良好であった。次に実施例1と同一手法により試
験1〜5を実施した。何れの試験に於いてもクラックは
認められず可撓性に優れた膜質であった。
【0034】《実施例4》実施例1と同一フィルム、同
一材料を用い、同一構成で形成した。但し非晶質透明帯
電防止層の成膜条件としてInと7wt%のSnと5w
t%のZnを含む複合ターゲットを用いた。非晶質透明
帯電防止層の測定の結果は、膜厚は600Å、シート抵
抗は168Ω/□、比抵抗は10.1×10-4Ω・cm
であった。帯電防止フィルムの全光線透過率は74%で
あった。非晶性の確認として40℃、10wt%塩酸溶
液に浸漬した処、50Å/秒の溶解速度で有り、非常に
良好な非晶質膜であった。次に、ガスバリア性を測定し
た。酸素バリア性については、23℃ドライで0.03
5cc/m2・atm・24hrと良好であった。水蒸
気バリア性は40℃88%R.H.で0.03g/m2
・24hrと良好であった。次に実施例1と同一手法に
より試験1〜5を実施した。何れの試験に於いてもクラ
ックは認められず可撓性に優れた膜質であった。
【0035】《実施例5》実施例1と同一フィルム、同
一材料を用い有機層A、非晶質透明帯電防止層まで形成
した。シート抵抗は128Ω、比抵抗は7.6×10-4
Ω・cm、膜厚590Å、全光線透過率は80%であっ
た。非晶性の確認として40℃、10wt%塩酸溶液に
浸漬した処、26Å/秒の溶解速度で有り、非常に良好
な非晶質膜であった。更に有機層Bとしてポリエチレン
(住友化学製スミカセンL211)を25μm厚、熱可
塑性樹脂層として実施層3のEVGを50μm厚で共押
出し法により積層し、全光線透過率75%の帯電防止フ
ィルムを作製した。酸素バリア性については、23℃ド
ライで0.023cc/m2・atm・24hrと非常
に良好であった。水蒸気バリア性は40℃、88%R.
H.で0.02g/m2・24hrと測定限界の値を示
し非常に良好であった。次に実施例1と同一手法により
試験1〜5を実施した。何れの試験に於いてもクラック
は認められず可撓性に優れた膜質であった。
【0036】《実施例6》実施例1と同一フィルム、同
一材料を用い有機層A、非晶質透明帯電防止層まで形成
した。シート抵抗は125Ω、比抵抗は7.5×10-4
Ω・cm、膜厚598Å、全光線透過率は80%であっ
た。非晶性の確認として40℃、10wt%塩酸溶液に
浸漬した処、25Å/秒の溶解速度で有り、非常に良好
な非晶質膜で有ることを確認した。更に有機層Bとして
シアノエチルプルラン(信越化学製:CR−S)にジメ
チルホルムアミドを加え10μm厚に塗布した。更に熱
可塑性樹脂層として実施例3のEVG樹脂を熱ロールで
圧延しながら50μm厚に積層し、全光線透過率76%
の帯電防止フィルムを作製した。酸素バリア性について
は、23℃ドライで0.024cc/m2・atm・2
4hrと非常に良好であった。一方、水蒸気バリア性は
40℃、88%R.H.で0.02g/m2・24hr
と測定限界の値を示し非常に良好であった。次に実施例
1と同一手法により試験1〜5を実施した。何れの試験
に於いてもクラックは認められず可撓性に優れた膜質で
あった。
【0037】《比較例1》実施例1と同一フィルム、同
一材料を用い、同一構成で形成した。但し透明帯電防止
層の成膜条件として同一ターゲットを用いたが、基板温
度を150℃に、ターゲット表面磁場は400ガウスを
有するDCマグネトロンで形成した。更に初期真空度は
3×10-4Paに引いたが、脱ガスは行わず、酸素/ア
ルゴンガス3%の混合ガスを導入し、4×10-1Paの
ガス圧が高い条件下において成膜し、Sn10wt%含
有のIn複合酸化物を得た。測定の結果、膜厚は723
Å、シート抵抗は126Ω/□、比抵抗は9.1×10
-4Ω・cm、全光線透過率80%であった。非晶性の確
認として40℃、10wt%塩酸溶液に浸漬した処、
6.1Å/秒の溶解速度で有り、エッチング最中に剥が
れ落ち、内部応力がかなり有る結晶質であった。熱可塑
性樹脂まで設けた帯電防止フィルムとしての全光線透過
率は75%であり、酸素バリア性については、23℃ド
ライで0.08cc/m2・atm・24hrと良好で
あった。水蒸気バリア性は40℃88%R.H.で0.
18g/m2・24hrと良好であった。次に実施例1
と同一手法により試験1〜5を実施した。試験1の耐打
鍵性試験に於いて100万回ではクラックは認められな
かったが、150万回検査時にクラックが認められた。
又、試験2の曲げサイクル試験に於いては3000回ま
では異常が無かったが5000回の検査時にクラックが
認められた。一方、試験3での曲面保存性試験では、明
確な異常は認められ無かった。試験4、5では何れもク
ラックが認められた。
【0038】《比較例2》実施例1と同一フィルム、同
一材料を用い、同一構成で形成した。但し透明帯電防止
層の成膜条件としてSn5wt%含有のIn複合酸化物
をターゲットとして用いた。基板温度を50℃、ターゲ
ット表面磁場は1000ガウスを有するDCマグネトロ
ンで実施例1と同様に形成した。膜厚は488Å、シー
ト抵抗は168Ω/□、比抵抗は8.2×10-4Ω・c
m、全光線透過率81%であった。更に40℃、10w
t%塩酸溶液に浸漬した処、5分でも溶けず、3.5Å
/秒以下の溶解速度で有り、エッチング出来ない結晶質
であった。熱可塑性樹脂まで設けた帯電防止フィルムと
しての全光線透過率は76%であり、酸素バリア性につ
いては、23℃ドライで0.053cc/m2・atm
・24hrと良好であった。水蒸気バリア性は40℃8
8%R.H.で0.12g/m2・24hrであった。
次に実施例1と同一手法により試験1〜5を実施し
た。何れの試験に於いてもクラックが認められた。又、
更に120℃60秒に於いても一部クラックが発生して
いた。
【0039】
【発明の効果】本発明により、可撓性に優れた、透明
性、ガスバリヤー性、帯電防止を満足する可撓性透明帯
電防止フィルムを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に掛かる帯電防止フィルムの断面図を示
す。
【図2】ガスバリア性を向上させた本発明に掛かる帯電
防止フィルムの断面図を示す。
【符号の説明】
1:高分子フィルム 2:有機層A 3:非晶質透明帯電防止層 4:有機層B 5:熱可塑性樹脂層 6:有機層A 7:酸化珪素または非晶質透明帯電防止層 8:有機層B

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子フィルムの少なくとも片面に有機
    層A、シート抵抗50〜500Ω/□、比抵抗2〜15
    ×10-4Ω・cm、膜厚200〜1500Åである非晶
    質透明帯電防止層、有機層B、熱可塑性樹脂層よりなる
    ことを特徴とする帯電防止フィルム。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂層、有機層B、シート抵抗
    50〜500Ω/□、比抵抗2〜15×10-4Ω・c
    m、膜厚200〜1500Åである非晶質透明帯電防止
    層、有機層A、高分子フィルム、有機層A、酸化珪素層
    或いは該非晶質透明帯電防止層、有機層Bよりなること
    を特徴とする帯電防止フィルム。
  3. 【請求項3】 40℃における10wt%塩酸溶液での
    該非晶質透明帯電防止層の溶解速度が15Å/秒以上で
    均一に溶解することを特徴とする請求項1または2記載
    の帯電防止フィルム。
  4. 【請求項4】 30Kg/cm2の圧力下、150℃6
    0秒或いは180℃20秒の熱圧着条件において、該非
    晶質透明帯電防止層にクラックが発生しないことを特徴
    とする請求項1または2記載の帯電防止フィルム。
  5. 【請求項5】 先端7Rの硬質ゴムによる周期1Hz、
    荷重200gf、360万回の打鍵による耐衝撃性試験
    においてクラックが生じないことを特徴とする請求項
    1、2、3または4記載の帯電防止フィルム。
  6. 【請求項6】 曲率220mmΦのロールに10000
    回巻き付けによる曲げサイクル試験においてクラックが
    生じないことを特徴とする請求項1、2、3または4記
    載の帯電防止フィルム。
  7. 【請求項7】 曲率35mmΦのロールに固定し、60
    ℃、90%RHの条件で、1000時間放置する曲面保
    存性試験においてクラックが生じないことを特徴とする
    請求項1、2、3または4記載の帯電防止フィルム。
  8. 【請求項8】 全光線透過率が70%以上、水蒸気バリ
    ア性が0.5g/m2・24hr以下、酸素バリア性が
    0.5cc/atm・m2・24hr以下であることを
    特徴とする請求項1、2、3または4記載の帯電防止フ
    ィルム。
  9. 【請求項9】 該非晶質透明帯電防止層がInと8〜1
    2wt%のSnの酸化物、或いは、Inと4〜10wt
    %のSnの酸化物に第三成分として4〜10wt%のZ
    n、Mg、Gaの酸化物のうちの少なくとも1種を含む
    酸化物であることを特徴とする請求項1、2、3、4、
    5、6、7または8記載の帯電防止フィルム。
  10. 【請求項10】 該有機層Aが融点50℃以上のエポキ
    シアクリレートプレポリマーあるいは融点50℃以上の
    ウレタンアクリレートプレポリマーの紫外線硬化樹脂膜
    であり、厚みが0.3〜5μmであることを特徴とする
    請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の
    帯電防止フィルム。
  11. 【請求項11】 該有機層Bが融点50℃以上のエポキ
    シアクリレートプレポリマーあるいは融点50℃以上の
    ウレタンアクリレートプレポリマーの紫外線硬化樹脂膜
    であり、厚みが0.3〜5μmであることを特徴とする
    請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10
    記載の帯電防止フィルム。
  12. 【請求項12】 該有機層Bが熱可塑性樹脂であること
    を特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、
    9または10記載の帯電防止フィルム。
  13. 【請求項13】 該有機層Bがシアノエチル化合物であ
    ることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、
    7、8、9または10記載の帯電防止フィルム。
  14. 【請求項14】 該熱可塑性樹脂層がエチレン・グリシ
    ジルメタクリレート・無水マレイン酸三元共重合体或い
    はエチレン・エチルアクリレート・無水マレイン酸三元
    共重合体或いは両三元共重合体を積層したことを特徴と
    する請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、1
    0、11、12または13記載の帯電防止フィルム。
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