JP3741164B2 - 電子材料用積層フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高度な防湿性を有する電子材科用積層フィルムに関する。さらに詳細には、EL素子の保護フィルムとして用いられる防湿積層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に一対の電極間に、ZnSなどの発光物質を有機バインダーに分散させた蛍光層およびBaTiO3層などの誘電層を積層して得られる有機分散型エレクトロルミネセンス(EL)素子は、軽量かつ薄型、そして低電力消費で安価な面発光素子である。しかし、このような発光体は雰囲気中の水分を吸湿し、この水分が発光物質と接触することにより、発光体自身が変質して発光しなくなるという問題があった。そこで、防湿性および光透過性に優れたフッ素系樹脂フィルム、特にポリ塩化三フッ化エチレン(PCTFE)層を基材フィルム上に形成した、PCTFEを主成分とする積層体をEL素子の外側に配置することにより、EL素子をパッケージして発光物質を水分から保護している。
【0003】
しかし、上記フッ素系樹脂を主成分とする積層体は高価であるために、EL素子の製造コストが上がるという欠点がある。また、フッ素系樹脂フィルムは地球環境問題の点からもその製造および廃棄に問題がある。
【0004】
最近では、上記フッ素系樹脂フィルムの変わりにプラスチックフィルム表面に無機薄膜層を有する積層体が使用されている。この積層体は、特に防湿性に優れる。このような例として、特開昭60−159165号では、無機薄膜層としてMgOをPETフィルムにコートして得られる積層体、および特開平2−258251号では、ケイ素酸化物をPVAフィルムにコートして得られる積層体がそれぞれ開示されている。
【0005】
しかし、このようなプラスチックフィルム表面に無機薄膜層を有するフィルムは、1層のみの無機薄膜層で高度な防湿性を達成しようとする場合、その厚みを非常に厚くするか、またはコートされる無機酸化物の密度を高める必要がある。さらに、このような比較的厚い無機薄膜層または高密度の無機薄膜層を有する積層体は、一般に130℃〜160℃の加圧下でプラスチックフィルム上に無機薄膜をラミネートして製造されるので、製造時に無機薄膜が応力変形し、大きな厚みまたは高密度を有する無機薄膜層においては、破壊され防湿性を失うという問題がある。また、無機薄膜層にSiOX(ここで、例えばXは1.6以下の数である)のような不完全酸化物を用いた場合では、積層体が黄褐色に着色しているため光線透過量が低い、または発光色がこのような着色積層体により変化するという問題がある。
【0006】
上記欠点を克服するために、プラスチックフィルムの片面に無機薄膜層を有するフィルムをロール圧着により積層加工して多層の積層体とすると、無機薄膜層がラミネーターのロールに接触する際に、無機薄膜層の一部が脱落し、もしくはクラックを生じてガスバリア性が失われる恐れがある。
【0007】
他方、無機薄膜層をコートしたプラスチックフィルム上にアンカーコートを塗布し、その上に、または該フィルム上にそのまま熱可塑性樹脂を押し出しコートする方法が知られているが、熱可塑性樹脂を高温でコートするので、無機薄膜層を破壊する恐れがある。
【0008】
さらに上記積層フィルムを製造する場合、通常、イソシアネートを含むポリウレタン系接着剤が用いられる。しかし、無機酸化物をコートしたプラスチックフィルムはガスバリア性を有するので、接着剤が反応する際に発生するガスが抜けきれず、積層フィルム内で気泡化して外観が悪くなるという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、防湿性および光線透過性に優れ、特にEL素子を長時間使用した場合にも、経時的な輝度の変化が小さい電子材料用積層フィルムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子材料用積層フィルムは、熱可塑性樹脂基材上に、プラスチックベースフィルム上に無機酸化物層を有する、少なくとも2層の無機酸化物含有層が積層されてなる積層フィルムであって、上記の無機酸化物は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素(SiO ;Xは1.8以上の数)、またはこれらの複合酸化物から選択され、上記の積層フィルムは、無機酸化物層同士がエポキシ系接着剤層を介して対向するように積層され、70%以上の光線透過率を有し、そしてLab系の色表示におけるb値が3.5以下であることを特徴とする積層フィルムである。そのことにより上記目的が達成される。
【0018】
本発明のさらに好ましい実施態様では、上記熱可塑性樹脂基材は、50μm以上のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを有する。
【0019】
本発明のさらに好ましい実施態様では、上記熱可塑性樹脂基材は、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に30μm以上のエチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂(EEA)層を有する積層基材である。
【0020】
本発明の別の局面は、本発明の積層フィルムを保護フィルムとして使用してなるEL素子に関する。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の電気材料用積層フィルムは、熱可塑性樹脂基材上に少なくとも2層の無機酸化物含有層を有する積層フィルムであって、70%以上、好ましくは80%以上85%以下の光線透過率を有する。本明細書中に用いられる用語「光線透過率」とは、JIS K 7105に準拠して得られる値をいう。積層フィルムの光線透過率が70%未満の場合には、電子材料(特にEL素子)の保護フィルムとして使用した際に、EL素子の表示が暗くなるという問題がある。
【0022】
さらに、本発明の電気材料用フィルムは、Lab系の色表示におけるb値が0以上3.5以下を有する。本明細書中に用いられる用語「Lab系の色表示におけるb値」または単に「b値」とは、JIS K 7105に従って、フィルムの透過光の色を測定し、JIS Z 8730に規定のLab系において表される際の値をいう。積層フィルムのb値が4を上回ると、黄色に変色した発光色が見えるという問題がある。
【0023】
本発明の電気材料用積層フィルムに用いられる無機酸化物含有層は、プラスチックベースフィルムと無機酸化物層とでなる。
【0024】
このようなプラスチックベースフィルムは、有機高分子を用いて任意の方法で得られるフィルム、例えば、該有機高分子を溶融押出しして得られる未延伸のフィルムを、必要に応じて、長手方向および/または幅方向に延伸し、冷却、および熱固定することにより得られる。このような有機高分子の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン12、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイドなどが挙げられる。これらの有機高分子はまた、他の有機重合体を少量含有する共重合体または上記有機高分子のブレンドであり得る。さらに、これらの有機高分子には、例えば、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤などの公知の添加剤が添加され得る。このような有機高分子は特に限定されないが、最終的に得られる(例えば、ラミネートにより得られる)本発明の積層フィルムが70%以上の光線透過率を達成するために、通常70%以上、好ましくは90%以上の光線透過率を有する。
【0025】
本発明に用いられるプラスチックベースフィルムは、本発明の目的を損なわない限りにおいて、後述の無機酸化物層をコートする前に、任意のコロナ放電処理、グロー放電処理、および他の表面粗面化処理が施され得、さらに、公知のアンカーコート処理、印刷、装飾などが施され得る。さらに、このようなプラスチックベースフィルムの厚みは、可撓性を向上させる点から、5μm以上500μm以下の範囲であることが好ましく、最も好ましくは8μm以上20μm以下の範囲である。
【0026】
本発明に用いられる無機酸化物層は、b値を低い値に設定するという点からは完全酸化物またはほぼ完全酸化物でなることが好ましいが、特にそれらに限定されない。さらに、無機酸化物層は、積層時の劣化を避けるために5nm以上200nm以下、好ましくは10nm以上100nm以下の厚みを有する。無機酸化物層の厚みが5nm未満では、積層フィルムの防湿性が低下するという問題がある。これに対し、無機酸化物層の厚みが200nmを上回ると、可撓性がなく、防湿性が低下しやすくなるという問題がある。
【0027】
このような無機酸化物に用いられる酸化物の例としては、安全性および積層フィルムの性能を向上させる点から、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの酸化金属、酸化ケイ素(SiOX;ここで、Xは1.8以上の数である)、およびこれらの複合酸化物が挙げられる。
【0028】
本発明において、特に好ましい無機酸化物は、酸化アルミニウムと酸化ケイ素とからなる複合酸化物である。このような複合酸化物で構成された無機酸化物層は好ましくは、10nm以上100nm以下、より好ましくは、15nm以上50nm以下の厚みを有する。
【0029】
さらに、無機酸化物層を構成するために、上記酸化アルミニウムと酸化ケイ素とからなる複合酸化物は、35重量%から95重量%の酸化アルミニウムを含有し、かつ無機酸化物層の比重Dと無機酸化物層に含有される酸化アルミニウムの重量%Aとが次式で表される関係を有することが好ましい:
【0030】
【数3】
Figure 0003741164
【0031】
ここで、Cは1.6以上2.2以下の数である。
【0032】
本明細書中で用いられる用語「比重」とは、特定の温度で、ある体積を有する試料の質量と、同体積を有する同温度の標準物質(例えば、4℃の水)の質量との比をいう。しかし、本発明に用いられる無機酸化物含有層おいては、試料として無機酸化物層の体積を測定することは困難であるので、無機酸化物層をプラスチックベースフィルムから剥がすか、またはプラスチックベースフィルムのみを溶解して無機酸化物層のみを残した後、JIS K 7112による比重測定法を用いることが望ましい。このような方法として、例えば、浮沈法を用いることにより比重既知の溶液中に試料を浸漬させ、その浮沈状態から無機酸化物層の比重を測定することが可能である。その際に用いられる溶液としては、四塩化炭素とブロモホルム、四塩化炭素とヨウ化メチレンなどの混合液が挙げられる。さらに、連続的な密度勾配を有する上記溶液を用いて、JIS K 0061に記載のように混合することなく、該溶液中に無機酸化物層を浸漬させて比重を測定する密度勾配管法を用いることも可能である。
【0033】
プラスチックベースフィルム上に上記無機酸化物層を設けて無機酸化物含有層を形成するためには、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、CVD法などを用いることが好ましいが、特にそれらに限定されない。
【0034】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂基材は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、アイオノマー樹脂、接着性ポリエステル樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂(EEA)、エチレン−アクリル酸共重合樹脂(EAA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂(EMA)、エチレン−メタクリル酸共重合樹脂(EMAA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂(ENMMA)などの熱可塑性樹脂から形成される。このような熱可塑性樹脂は、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上200μm以下の厚みを有するが、特にそれらに限定されない。本発明においては、特にシール性を向上させる点から、30μm以上の厚みを有するエチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂(EEA)を用いることが好ましい。
【0035】
本発明の積層フィルムは、上記熱可塑性樹脂基材上に少なくとも2層の無機酸化物含有層を積層することにより得られる。
【0036】
熱可塑性樹脂基材上に上記少なくとも2層の無機酸化物含有層を設ける方法としては、上記熱可塑性樹脂を従来の方法によりフィルム状に成型して熱可塑性樹脂基材を製造し、これを少なくとも2層の上記無機酸化物含有層を含む積層体にドライラミネーションする方法;または溶融した熱可塑性樹脂を、無機酸化物含有層上に直接押し出しコートする方法などが挙げられる。しかし、特に、積層フィルムの外観を良好にし、熱による劣化を防止する点から、溶融した上記熱可塑性樹脂を、50μm以上の厚みを有するポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルムに押し出しコートして2層の積層体である熱可塑性樹脂基材を製造し、それをドライラミネーションにより、少なくとも2層の無機酸化物含有層に圧着する方法が好ましい。
【0037】
少なくとも2層の無機酸化物含有層を形成するための上記2枚の無機酸化物含有フィルムの積層方向は、特に限定されないが、無機酸化物含有層の無機酸化物層同士が対向するように積層する方向と、無機酸化物含有層のプラスチックベースフィルムおよび無機酸化物層が交互に位置するように積層する方向とのが2通りがある。
【0038】
このような積層を行う方法としては、ドライラミネーション、押し出しなどが挙げられるが、特にドライラミネーション法を用いることが好ましい。ドライラミネーション法とは、積層する一方の材料に接着剤を塗布し、その接着剤が溶剤を含有する場合は乾燥させ、次いで、他方の材料を加熱、圧着することにより接着剤層を挟んで両方の材料を積層する方法である。本発明に用いられるドライラミネーション法には、接着剤としてエポキシ系接着剤を用いることが好ましい。
本発明において用いられるドライラミネーションは、特に、この積層工程でラミネーターのロールと無機酸化物層とが接触する機会を低減させるために、無機酸化物層同士を対向するように接着剤層を介して積層することが好ましい。
【0039】
このような積層工程の際、得られる積層フィルムが上記光線透過率およびb値をそれぞれ満足するのであれば、上記無機酸化物含有層および熱可塑性樹脂基材以外の層、例えば、拡散層、マット層などの層も積層し得る。
【0040】
本発明の電子材料用積層フィルムは、種々の構成の積層フィルムであり得る。その好適な例を図2〜図6に示す。これらの積層フィルムは、いずれも熱可塑性樹脂基材12上に少なくとも2層の無機酸化物含有層11を有する。熱可塑性樹脂基材12は、単層のフィルム基材であってもよく、EEAフィルム121、PETフィルム122などでなる積層フィルムであってもよい。無機酸化物含有層11は、プラスチックベースフィルム111上に無機酸化物層112を有し、熱可塑性樹脂基材12および複数の無機酸化物含有層11は、各々接着剤層13により結合されていてもよい。このようにして、70%以上の光線透過率を有し、そしてLab系の色表示におけるb値が4以下である、電気材料用積層フィルムが得られる。この電気材料用積層フィルムは、例えば、EL素子の保護フィルムとして使用される。例えば、このフィルムを用いた保護EL素子は、図1に示すように、蛍光層3および誘電層4を透明電極2と背面電極5との間に狭持した構成を有するEL素子が2枚の積層フィルムで覆うように形成される。
【0041】
【実施例】
本発明の電気材料用積層フィルムを、さらに以下の実施例および比較例で説明する。
【0042】
本実施例および比較例に用いた測定方法を以下に示す。
【0043】
(光線透過率)
日本電色工業(株)社製ヘイズメーター「NDH−100DP」を用い、JIS K 7105に準拠して測定した。
【0044】
(Lab系の色表示におけるb値)
日本電色工業(株)社製色差計「Z−1001DP」を用いて測定した。
【0045】
(初期輝度、輝度変化率、および外観)
実施例および比較例に記載の積層フィルムを用いて、図1に示すEL素子を以下のように作成した。
【0046】
まず、背面電極5として厚み200μmのアルミシートを用い、その上に誘電体層4として厚さ50μmのBaTiO3層を積層した。次いで、誘電体層4上にZnSが分散した厚さ60μmのシアノエチルセルロース(発光色は青色である)を蛍光層3として積層し、その上に透明電極2としてITO(Indium-Tin Oxide)フィルムを設けた。
【0047】
次いで、実施例および比較例で得られた積層フィルムのいずれかを保護フィルムとして両側から覆い、加熱ゴムローラーの間を通すことにより、140℃でラミネートして、図1に示す20mm×40mmのEL素子を得た。
【0048】
得られたEL素子を目視により外観を観察した。
【0049】
また、このEL素子を50℃ 90%RHの環境下で100V 400Hzの交流電源に接続し、150時間連続点灯させて、点灯開始時の輝度A0(初期輝度;cd/m)を色差計(Z−100IDP)を用いて測定した。さらに連続して、任意時間毎の輝度At(cd/m)を測定し、輝度変化率を以下の式より算出した。
【0050】
【数4】
Figure 0003741164
【0051】
参考例1)
12μmの厚みを有する2枚のPETフィルム(プラスチックベースフィルム)上にSiOX(X=1.8)をそれぞれ20nmの厚みで蒸着した。さらに、これらの蒸着フィルムを、武田薬品(株)社製ドライラミネート用接着剤「A−310/A−3」(イソシアネートを用いたポリウレタン系接着剤)を用いて圧着することにより、2層の無機酸化物含有層11でなる積層体を得た。次いで、この積層体上に30μmのEAAをで押し出しコートして、図2に示されるような積層フィルム1を得た。
【0052】
得られた積層フィルムの評価結果を表1および図7に示す。この積層フィルムを保護フィルムとして用いて作製されたEL素子は、内部に若干の気泡が観察され、発光色は色調が少しずれた。
【0053】
参考例2)
12μmの厚みを有する2枚のPETフィルム上にSiOX(X=1.8)をそれぞれ20nmの厚みで蒸着した。次いで、これらの蒸着フィルムを、武田薬品(株)社製ドライラミネート用接着剤「A−310/A−3」を用いて圧着することにより、2層の無機酸化物含有層11でなる積層体を得た。
【0054】
これとは別に、75μmの厚みを有するPETフィルム122上に、EEA121を50μmの厚みを有するように押し出しコートして基材フィルム12を得た。次いで、上記と同様のドライラミネート用接着剤を用い、上記積層体と基材フィルムのPET面とが向き合うように圧着して図3に示されるような積層フィルム1を得た。
【0055】
得られた積層フィルムの評価結果を表1および図7に示す。この積層フィルムを用いて作製されたEL素子は、内部に若干の気泡が観察され、積層フィルムと背面電極との剥離が観察された。さらに、このEL素子の発光色は色調が少しずれた。
【0056】
参考例3)
12μmの厚みを有する2枚のPETフィルム上にAl23−SiO2(Al23の含有量70重量%)をそれぞれ20nmの厚みで蒸着した(蒸着フィルムの無機酸化物層の比重は2.7であった)こと以外は、実施例2と同様の方法で積層フィルムを得た。
【0057】
得られた積層フィルムの評価結果を表1および図7に示す。この積層フィルムを用いて作製されたEL素子の外観は、内部に若干の気泡が観察された。
【0058】
(実施例
12μmの厚みを有する4枚のPETフィルム上にAl23−SiO2(Al23の含有量40重量%)をそれぞれ20nmの厚みで蒸着した。蒸着フィルムの無機酸化物層の比重は1.9であった。次いで、これらの蒸着フィルムを、東洋モートン(株)社製ドライラミネート用接着剤「AD−393/CAT−EP1」(エポキシ硬化系接着剤)を用いて圧着することにより、4層の無機酸化物含有層11でなる積層体を得た。
【0059】
これとは別に、75μmの厚みを有するPET122上に、EEA121で50μmの厚みを有するように押し出しコートして基材フィルム12を得た。次いで、上記と同様のドライラミネート用接着剤を用い、上記積層体のPETフィルムと基材フィルムのPETフィルム面とが向き合うように圧着して図4に示されるような積層フィルム1を得た。
【0060】
得られた積層フィルムの評価結果を表1および図7に示す。この積層フィルムを用いて作製されたEL素子は、外観には特に問題がなかった。
【0061】
(実施例
無機酸化物層の比重が2.4であること以外は、実施例4と同様の方法で積層フィルムを得た。
【0062】
得られた積層フィルムの評価結果を表1および図7に示す。この積層フィルムを用いて作製されたEL素子は、外観には特に問題がなかった。
【0063】
(実施例
無機酸化物層の比重が2.7であること以外は、実施例4と同様の方法で積層フィルムを得た。
【0064】
得られた積層フィルムの評価結果を表1および図7に示す。この積層フィルムを用いて作製されたEL素子は、外観には特に問題がなかった。
【0065】
(実施例
12μmの厚みを有する4枚のPETフィルム上にAl23−SiO2(Al23の含有量40重量%)をそれぞれ20nmの厚みで蒸着した。蒸着フィルムの無機酸化物層の比重は1.9であった。
【0066】
次いで、これらの蒸着フィルムを、東洋モートン(株)社製ドライラミネート用接着剤「AD−393/CAT−EP1」を用いて、圧着し、さらに、外側に位置する一方のPETフィルム面上に、マット処理をした15μmの厚みを有する二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム14を上記と同様のドライラミネート用接着剤を用いて、圧着することにより、4層の無機酸化物含有層11およびOPPフィルム14でなる積層体を得た。
【0067】
これとは別に、75μmの厚みを有するPETフィルム122上に、押し出しコートしたEEA121を、50μmの厚みで積層して基材フィルム12を得、上記と同様のドライラミネート用接着剤を用い、上記積層体の他方のPET面と基材フィルムのPETフィルム面とが向き合うように圧着して図5に示されるような積層フィルム1を得た。
【0068】
得られた積層フィルムの評価結果を表1および図7に示す。この積層フィルムを用いて作製されたEL素子は、外観には特に問題がなかった。
【0069】
(比較例1)
12μmの厚みを有するPETフィルム上にSiOX(X=1.8)を20nmの厚みで蒸着したフィルム1枚を得た。これとは別に、75μmの厚みを有するPET122上に、押し出しコートしたEEA121を、50μmの厚みで積層して基材フィルム12を得た。次いで、武田薬品(株)社製ドライラミネート用接着剤「A−310/A−3」を用いて圧着することにより、図6に示されるような積層フィルム1を得た。
【0070】
得られた積層フィルムの評価結果を表1および図7に示す。この積層フィルムを用いて作製されたEL素子は、発光色の色調が少しずれ、そして表1から明らかなように150時間後の輝度がかなり低下した。
【0071】
(比較例2)
12μmの厚みを有するPETフィルム上にAl23−SiO2(Al23 の含有量40重量%)を500nmの厚みで蒸着したフィルム1枚を得た。この蒸着フィルムの無機酸化物層の比重Dは、2.7であった。
【0072】
これとは別に、75μmの厚みを有するPETフィルム122上に、押し出しコートしたEEA121を、50μmの厚みで積層して基材フィルム12を得、東洋モートン(株)社製ドライラミネート用接着剤「AD−393/CAT−EP1」を用いて、上記蒸着フィルムのAl23−SiOX蒸着面と基材フィルムのPET面とが該接着剤を挟んで向き合うように圧着することにより積層フィルム1を得た。
【0073】
得られた積層フィルムの評価結果を表1および図7に示す。この積層フィルムを用いて作製されたEL素子は、外観には特に問題がなかった。しかし、表1から明らかなように、このEL素子の輝度は150時間後ではかなり低下した。
【0074】
(比較例3)
12μmの厚みを有する2枚のPETフィルム上にSiOX(X=1.6)をそれぞれ20nmの厚みで蒸着した。これらの蒸着フィルムを用いたこと以外は、実施例2と同様の方法で積層フィルムを得た。
【0075】
得られた積層フィルムの評価結果を表1および図7に示す。表1から明らかなように、この積層フィルムのb値は非常に高かった。されに、この積層フィルムを用いて作製されたEL素子の外観は、内部に若干の気泡が観察され、発光色の色調がずれた。
【0076】
【表1】
Figure 0003741164
【0077】
表1および図7に示されるように、実施例1から7で得られた積層フィルムはいずれも、EL素子の防湿フィルムに用いた際に、初期輝度が安定しており、さらに、EL素子の連続点灯時における輝度変化率が小さかった。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、防湿性および光線透過性に優れた電子材料用積層フィルムが提供される。このフィルムは特にEL素子の保護フィルムとして有用であり、該EL素子を長時間使用した場合にも、経時的な輝度の変化が小さい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例および比較例より得られた積層フィルムを用いて作成したEL素子の断面図である。
【図2】 参考例1より得られた積層フィルムの断面図である。
【図3】 参考例2より得られた積層フィルムの断面図である。
【図4】 実施例より得られた積層フィルムの断面図である。
【図5】 実施例より得られた積層フィルムの断面図である。
【図6】 比較例1より得られた積層フィルムの断面図である。
【図7】 実施例および比較例より得られた積層フィルムを用いて作成したEL素子の輝度の経時変化を示すグラフである。

Claims (4)

  1. プラスチックベースフィルム上に無機酸化物層を設けてなる複合フィルムを、熱可塑性樹脂基材上に少なくとも2層積層させてなる積層フィルムであって、
    前記の無機酸化物は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素(SiO;Xは1.8以上の数)、またはこれらの複合酸化物から選択され、
    前記の積層フィルムは、無機酸化物層同士がエポキシ系接着剤層を介して対向するように積層され、70%以上の光線透過率を有し、そしてLab系の色表示におけるb値が3.5以下であることを特徴とする積層フィルム。
  2. 前記熱可塑性樹脂基材が、50μm以上のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを有する、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記熱可塑性樹脂基材が、前記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に30μm以上のエチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂(EEA)層を有する積層基材である、請求項2に記載の積層フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルムを保護フィルムとして使用してなるEL素子。
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