JPH10329148A - プラスチック製成形体の製造方法とこれに用いられる中子 - Google Patents

プラスチック製成形体の製造方法とこれに用いられる中子

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JPH10329148A
JPH10329148A JP9160439A JP16043997A JPH10329148A JP H10329148 A JPH10329148 A JP H10329148A JP 9160439 A JP9160439 A JP 9160439A JP 16043997 A JP16043997 A JP 16043997A JP H10329148 A JPH10329148 A JP H10329148A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】中空部を任意形状に成形できるプラスチック製
成形体の製造方法を提供する。 【解決手段】少なくとも一部に中空部を有するプラスチ
ック製成形体1の製造方法であって、中空部の形状に形
成された水溶性成形体からなる中子2を用いて成形す
る。中子2の表面の一部を被覆するようにプラスチック
材料を注入し、次いで中子2の表面の残余を被覆するよ
うにプラスチック材料を注入し、最後に水を用いて中子
2を除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、管や容器その他、
少なくとも一部に中空部を有するプラスチック製成形体
の製造方法およびこれに用いられる中子に関し、特に中
空部を任意の中空形状に成形できるプラスチック製成形
体の製造方法およびこれに用いられる中子に関する。
【0002】
【従来の技術】図7に示すプラスチック製分岐管1を射
出成形法にて一体成形する場合、従来では上下成形型3
に対して進退移動可能に設けられたスライド型(駒型)
4が用いられる。すなわち、3つのスライド型4の先端
を互いに突き合わせて分岐管1の中空部を形成し、射出
終了後にこれらスライド型4を引き抜くことにより同図
に示す分岐管1が製造される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のよう
にスライド型を用いたものでは、射出終了後に当該スラ
イド型を引き抜く必要があるので、例えば図6に示すよ
うな湾曲した中空部を有する分岐管1は成形できない。
また、ネジ部1aも一体成形することはできず、成形後
に別途の工程で形成する以外に方法はなかった。
【0004】本発明は、このような従来技術の問題点に
鑑みてなされたものであり、中空部を任意形状に成形で
きるプラスチック製成形体の製造方法およびこれに用い
られる中子を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のプラスチック製成形体の製造方法は、少な
くとも一部に中空部を有するプラスチック製成形体の製
造方法であって、前記中空部の形状に形成された水溶性
成形体からなる中子を用いて成形することを特徴とす
る。
【0006】本発明のプラスチック製成形体の製造方法
では、水溶性成形体を成形時には中子として用い、成形
後は水を用いて除去する。すなわち、まず水溶性成形体
を、目的とするプラスチック製成形体の中空部の形状に
形成し、これを成形型内にセットして射出成形などの方
法でプラスチック成形を行う。この成形を終了したら中
空部内に残った水溶性中子に水をかけて溶かし、これを
除去する。
【0007】本発明の水溶性成形体からなる中子は、任
意の形状に成形でき、しかも水溶性であることから成形
後に容易に除去できるので、任意形状の中空部を成形す
ることができる。また、ネジや部分的な凹凸なども自由
に成形できる。
【0008】さらに、本発明の水溶性中子は、水で除去
できるので、鋳造分野で用いられているロストワックス
法のように加熱する必要がなく、したがって中子を除去
する際に成形体に熱影響を与えるおそれが全くない。こ
れに加えて、ロストワックス法のように低融点の中子を
用いる必要性もないので、溶融したプラスチック材料を
注入する際に中子が溶出するおそれも全くない。
【0009】本発明のプラスチック製成形体の製造方法
において、水溶性中子を用いて成形する場合、成形型に
水溶性中子を保持した状態で、当該中子と成形型とで形
成されたキャビティにプラスチック材料を注入すれば、
中空部を有するプラスチック製成形体が得られる。すな
わち、1つの成形工程でプラスチック製成形体が製造で
きる。
【0010】また、目的とするプラスチック製成形体の
形状または構造によっては水溶性中子を成形型に保持で
きない場合も考えられるが、このような場合には以下の
製造方法を採用することができる。
【0011】すなわち、請求項3記載のプラスチック製
成形体の製造方法は、前記中子の表面の一部を被覆する
ようにプラスチック材料を注入する工程と、前記中子の
表面の残余を被覆するようにプラスチック材料を注入す
る一又はそれ以上の工程と、水を用いて前記中子を除去
する工程とを有することを特徴とする。
【0012】このプラスチック製成形体の製造方法で
は、まず中子の表面の一部を被覆するようにプラスチッ
ク材料を注入して当該中子の表面の一部に成形体を形成
する。このとき、中子の表面の残余は成形型に保持され
ている。次いで、先ほど形成された成形体を成形型で保
持しながら、中子の表面の残余を被覆するようにプラス
チック材料を注入する。この工程は、一つの工程で行っ
ても良いし、複数工程に分けて行っても良い。こうする
ことで、中子を成形型に保持することができるので、目
的とするプラスチック製成形体が製造できる。
【0013】また、請求項4記載のプラスチック製成形
体の製造方法は、前記中子の表面の一部を被覆する中間
成形体を成形する工程と、前記中間成形体に前記中子を
装着する工程と、前記中間成形体が装着された中子の表
面の残余を被覆するようにプラスチック材料を注入する
一又はそれ以上の工程と、水を用いて前記中子を除去す
る工程とを有することを特徴とする。
【0014】このプラスチック製成形体の製造方法で
は、まず中子の表面の一部を被覆する中間成形体を最初
に成形しておき、この中間成形体に中子を装着し、これ
を成形型にセットする。これにより中子は成形型に保持
されるので、最後に中子の表面の残余を被覆するように
プラスチック材料を注入する。
【0015】本発明のプラスチック製成形体の製造方法
において、水溶性成形体の材質は特に限定されず、例え
ばポリビニルアルコールを主成分とし、これに水溶性増
量剤を添加してなるものが例示される。この水溶性増量
剤としては、特に限定されないが、デンプン、食塩、コ
ーンスターチなどを例示することができる。
【0016】また、本発明のプラスチック製成形体の製
造方法によって製造される成形体の形状や構造は特に限
定されず、少なくともその一部に中空部を有するプラス
チック製成形体であれば適用することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。第1実施形態 図1は本発明のプラスチック製成形体の製造方法の第1
実施形態を示す断面図、図2は同実施形態を示す斜視図
であり、図6の湾曲した中空部を有する分岐管1を製造
する場合に適用した例で説明する。
【0018】まず、図6に示す分岐管1は、例えばポリ
プロピレン(以下、PP樹脂ともいう)などのプラスチ
ックで形成され、上端開口にネジ部1aを有し、この下
流で2つに分岐され、それぞれの下端開口にもネジ部1
aが形成されている。また、分岐部の内部コーナ1bお
よび分岐した後の湾曲部の内部コーナ1cは、何れも滑
らかな曲面で形成されている。このようなプラスチック
製分岐管1を例えば輸血用管として用いると、中空部に
鋭利なエッジがないので、白血球が破壊されるのを防止
することができる。
【0019】既述したように従来の製造方法はスライド
型を用いるため、目的とする成形体1に同図に示すよう
な湾曲した中空部があると、成形後にスライド型を引き
抜くことができず、したがって射出成形では成形するこ
とができなかった。
【0020】本実施形態の製造方法では、目的とするプ
ラスチック製成形体である分岐管1の中空部に相当する
中子2を水溶性材料で成形しておき、この中子2を射出
成形型3にインサートして射出成形を行ったのち、水を
用いて中空部に残された中子2を除去する。
【0021】本実施形態で用いられる中子2は、水溶性
に富んだポリビニルアルコールを主成分とし、これにデ
ンプン、食塩、コーンスターチなどの水溶性増量剤を添
加したものが好ましく用いられる。これを中空部の形状
をなす中子2に成形する方法は特に限定されず、射出成
形、注入成形、押出成形の他、切削加工、張り合わせ等
々、あらゆる手法が適用できる。図2には、このように
して分岐管1の中空部形状に成形された水溶性中子2が
示されており、ネジ部1aに相当するネジ形状も形成さ
れている。図1(A)は図2のI−I線に沿う断面図で
ある。
【0022】次に、図1(B)および図2に示すよう
に、一方の成形型31で中子2を保持し、他方の成形型
32と中子2との間にキャビティ32cを形成する。こ
の成形型31は、分岐管1の成形に直接関与する型では
なく、中子2を保持する機能を司る。したがって、中子
2を保持できる限りにおいて、その形状や構造は特に限
定されない。
【0023】図1(B)のように型締めし、中子2の表
面と成形型32の内面との間に形成されたキャビティ3
2cにPP樹脂を注入する。これにより、中子2の表面
の略半分に分岐管1を構成するプラスチック11が成形
される。
【0024】次いで、図1(B)の成形型31を同図
(C)の成形型33に取り替える。これにより、プラス
チック11が被覆されていない中子2の表面と成形型3
3の内面との間にキャビティ33cが形成されるので、
ここにPP樹脂を注入する。
【0025】以上の工程で、中空部に中子2が充填され
たPP樹脂からなる分岐管1が得られるので、これを成
形型3から脱型する。そして、何れか若しくはそれぞれ
の先端開口に水を噴射して、中子2を溶かす。これによ
り、図6に示すような先端開口にネジ部1aが形成され
たPP製分岐管1が得られる。
【0026】なお、中子2を溶かす方法としては、水に
浸漬して溶かす方法の他、ジェット噴流を噴射する方
法、あるいは水に浸漬して超音波振動を付加する方法等
が挙げられる。また、中子2を全て溶かす必要はなく、
ある程度中子2の表面が溶けて分岐管1の中空部から除
去できればよい。また、溶出した水溶性樹脂を集約して
おけば、中子2の再生に供することができる。
【0027】第2実施形態 本発明のプラスチック製成形体の製造方法は上述した第
1実施形態にのみ限定されず、種々の変形例が考えられ
る。
【0028】図3は本発明のプラスチック製成形体の製
造方法の他の実施形態を示す断面図であり、まず同図
(A)に示すように、中子2を用いることなく、成形型
34および35によってキャビティ34cを形成し、こ
こにPP樹脂を注入して分岐管1の半分を成形する。
【0029】次いで、同図(B)に示すように、この分
岐管1の中間成形体11に、予め成形しておいた水溶性
中子2を装着し、成形型34および36を型締めする。
中子2の製法、形状等は第1実施形態と同じである。こ
れにより、中間成形体11が被覆されていない中子2の
表面と成形型36の内面との間にキャビティ36cが形
成されるので、ここにPP樹脂を注入する。
【0030】以上の工程で、中空部に中子2が充填され
たPP樹脂からなる分岐管1が得られるので、以下は上
述した第1実施形態と同様に、これを成形型3から脱型
する。そして、何れか若しくはそれぞれの先端開口に水
を噴射して、中子2を溶かす。これにより、図6に示す
ような先端開口にネジ部1aが形成されたPP製分岐管
1が得られる。
【0031】第3実施形態 上述した第1および第2実施形態では、図6に示す分岐
管1を製造するにあたり、PP樹脂の注入工程を2工程
としたが、目的とするプラスチック成形体の形状によっ
てはこれを1工程とすることもできる。
【0032】図4は本発明のプラスチック製成形体の製
造方法のさらに他の実施形態を示す断面図であり、目的
とするプラスチック成形体1は、同図(C)に示すよう
な内部が中空の卵形をなし、部分的に複数の開口1dが
形成されているものである。このような成形体1を製造
する場合には、同図(A)に示すように成形体1の中空
部に相当する形状の中子2を上述した実施形態と同様の
水溶性樹脂を用いて成形しておく。この中子2には、開
口1dに相当する凸部2aも形成する。
【0033】次に、同図(B)に示すように、この中子
2を成形型3にセットするが、この場合、中子2の凸部
2aが成形型37および38の内面に当接し、これによ
り中子2自体が成形型37および38に支持されること
になる。そして、中子2の表面と成形型37および38
の内面との間に形成されたキャビティ3cにプラスチッ
ク材料を注入する。
【0034】以上の工程で、中空部に中子2が充填され
たプラスチック成形体1が得られるので、以下は上述し
た第1および第2実施形態と同様に、これを成形型37
および38から脱型する。そして、何れか若しくはそれ
ぞれの開口1dに水を噴射して、中子2を溶かす。これ
により、同図(C)に示すような開口1dを有するプラ
スチック製卵形中空成形体1が得られる。
【0035】なお、以上説明した実施形態は、本発明の
理解を容易にするために記載されたものであって、本発
明を限定するために記載されたものではない。したがっ
て、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技
術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨
である。
【0036】図5は、本発明のプラスチック製成形体の
製造方法で製造できる成形体の一例を示す断面図であ
り、同図(A)に示すような滑らかな内面および湾曲し
た内面を有する分岐管1、同図(B)に示すような中空
部に様々な凸部およびリブを有する管1、あるいは同図
(C)に示すような口部(ここにネジ部を形成すること
もできる。)を有する卵形中空成形体1などが容易に製
造できる。
【0037】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のプラスチッ
ク製成形体の製造方法およびこれに用いられる中子によ
れば、プラスチック製成形体の中空部を任意形状に形成
することができる。また、ネジや部分的な凹凸なども自
由に成形できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラスチック製成形体の製造方法の実
施形態を示す断面図である。
【図2】図1の実施形態を示す斜視図である。
【図3】本発明のプラスチック製成形体の製造方法の他
の実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明のプラスチック製成形体の製造方法のさ
らに他の実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明のプラスチック製成形体の製造方法で製
造できる成形体の一例を示す断面図である。
【図6】本発明のプラスチック製成形体の製造方法で製
造できる分岐管を示す断面図である。
【図7】従来のプラスチック製成形体の製造方法を説明
するための断面図である。
【符号の説明】
1…プラスチック製成形体 2…水溶性中子 3…成形型

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一部に中空部を有するプラスチ
    ック製成形体の製造方法であって、前記中空部の形状に
    形成された水溶性成形体からなる中子を用いて成形する
    ことを特徴とするプラスチック製成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】前記中子を成形型に保持し、当該中子と前
    記成形型とで形成されたキャビティにプラスチック材料
    を注入することを特徴とする請求項1記載のプラスチッ
    ク製成形体の製造方法。
  3. 【請求項3】前記中子の表面の一部を被覆するようにプ
    ラスチック材料を注入する工程と、前記中子の表面の残
    余を被覆するようにプラスチック材料を注入する一又は
    それ以上の工程と、水を用いて前記中子を除去する工程
    とを有することを特徴とする請求項1記載のプラスチッ
    ク製成形体の製造方法。
  4. 【請求項4】前記中子の表面の一部を被覆する中間成形
    体を成形する工程と、前記中間成形体に前記中子を装着
    する工程と、前記中間成形体が装着された中子の表面の
    残余を被覆するようにプラスチック材料を注入する一又
    はそれ以上の工程と、水を用いて前記中子を除去する工
    程とを有することを特徴とする請求項1記載のプラスチ
    ック製成形体の製造方法。
  5. 【請求項5】前記中子は、ポリビニルアルコールを主成
    分とし、水溶性増量剤を添加してなる請求項1〜4記載
    のプラスチック製成形体の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜5記載のプラスチック製成形体
    の製造方法に用いられることを特徴とする中子。
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