JPH10327868A - 変異プルラナーゼ - Google Patents
変異プルラナーゼInfo
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- JPH10327868A JPH10327868A JP9141596A JP14159697A JPH10327868A JP H10327868 A JPH10327868 A JP H10327868A JP 9141596 A JP9141596 A JP 9141596A JP 14159697 A JP14159697 A JP 14159697A JP H10327868 A JPH10327868 A JP H10327868A
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Abstract
又はアラニン残基が欠失又は他のアミノ酸残基に置換さ
れている変異プルラナーゼ;これをコードする遺伝子、
プラスミド及びこれを含む形質転換体;並びにこれを含
む洗浄剤及び澱粉糖化用組成物。 【効果】 酸化剤に対して優れた耐性を有するプルラナ
ーゼ及び至適pHが変化したプルラナーゼを得ることがで
き、漂白剤配合洗浄剤への配合など幅広い用途で有用な
プルラナーゼを得ることができる。
Description
びこれをコードする遺伝子に関し、さらに詳細にはプル
ラナーゼを構成するアミノ酸残基の一部が欠失又は他の
アミノ酸に置換することにより酸化剤耐性や最適反応pH
の変化を獲得した変異プルラナーゼ、その遺伝子及びこ
れを含有する洗浄剤組成物に関する。
アミロペクチン或いはプルラン分子中に存在するα−
1,6グルコシド結合のみを切断し、最終的にマルトト
リオースを生成する酵素であり、エンド型アミラーゼ及
びエキソ型アミラーゼと併用することにより、澱粉から
グルコースやマルトース、マルトトリオース、マルトテ
トラオース、マルトペントオース、マルトヘキサオース
等のマルトオリゴ糖を生産することができるので、澱粉
製造工業において注目されている酵素である。
Bacteriology, 169, 2301-2306(1987)、Klebsiella pne
umoniae(Molecular Microbiology, 4, 73-85(1990))、S
pinacia oleracea(NCBI gi:634092))、Bacillus stearo
thermophilus(Journal of Fermentation and Bioengine
ering, 69, 204-210(1990))等において、プルラナーゼ
がクローニングされ、そのアミノ酸配列が決定されてい
る。それぞれの酵素において4つの保存領域(中島ら,
Journal of Bacteriology, 163, 401-406(1985))が見出
されており、K. aerogenesではGFRFDLMGY(保
存II領域)及びYVSKHD(保存IV領域)、K. pneum
oniaeではGFRFDLMGY(保存II領域)及びYV
SKHD(保存IV領域)、S. oleraceaではGFRFD
LMGH(保存II領域)及びYVSAHD(保存IV領
域)、B. stearothermophilusではGFRFDLMGI
(保存II領域)及びYVESHD(保存IV領域)のアミ
ノ酸配列が認められる。一方、近年になって本発明者ら
は、α−アミラーゼとプルラナーゼを共に食器洗浄剤及
び衣料洗浄剤に配合することによって、主に澱粉汚れに
対する洗浄力が飛躍的に向上することを明らかにした
(特開平2−132193号公報)。
て酸化剤、例えば漂白剤又は過酸化物を含むものであ
り、強いアルカリ条件で使用されており、より酸化剤耐
性の酵素並びに最適反応pHの高い酵素が望まれている。
Journal of Biochemistry, 116巻, 1233-1240頁, 1994
年等によりプルラナーゼのランダム変異による熱安定性
向上研究が報告されているがプルラナーゼの機能改変は
まだ十分とはいえない。Journal of Biological Chemis
try, 第260巻, No.11, 6518-6521頁、1985年には、部
位特異的変異誘発を利用することで、222 位のメチオニ
ンがズブチリシンの酸化的不活性化にとっての主要部位
であることが明らかとされている。また、特表平8−5
00243号、特表平8−5064911号、WO96
/05295、WO96/23873等には、特定のメ
チオニンがα−アミラーゼの酸化的不活性化に寄与する
ことが明らかとされている。しかし、いずれもα−アミ
ラーゼについての報告であり、機能的に異なる酵素であ
るプルラナーゼの部位と作用との関係については何の報
告もない。
ゼを変異させることにより酸化剤耐性や最適反応pHの変
化した変異プルラナーゼ、これをコードする遺伝子及び
該変異プルラナーゼを含有する洗浄剤組成物を提供する
ことを目的とする。
プルラナーゼのアミノ酸配列とそれらの部位特異的変異
による性質の変化について種々検討してきたところ、メ
チオニン残基が酸化剤による不活性化に寄与しており、
これを欠失させるか他のアミノ酸に置換することにより
プルラナーゼ活性を保持したまま優れた酸化剤耐性を獲
得することを見出した。一方、アラニン残基が、最適反
応pHの変化に寄与しており、これを欠失させるか他のア
ミノ酸に置換することによりプルラナーゼ活性を保持し
たまま最適反応pHの変化した変異プルラナーゼが得られ
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
するアミノ酸残基のうち少なくとも1個のメチオニン残
基が欠失又はCys及びMet以外の任意のアミノ酸残
基に置換されている変異プルラナーゼ(以下、変異プル
ラナーゼAと称する)を提供するものである。
アミノ酸残基のうち少なくとも1個のアラニン残基が欠
失又はAla以外の任意のアミノ酸残基に置換されてい
る変異プルラナーゼ(以下、変異プルラナーゼBと称す
る)を提供するものである。
アミノ酸残基のうち少なくとも1個のメチオニン残基が
欠失又はCys及びMet以外の任意のアミノ酸残基に
置換され、かつ少なくとも1個のアラニン残基が欠失又
はAla以外の任意のアミノ酸残基に置換されている変
異プルラナーゼ(以下、変異プルラナーゼABと称す
る)を提供するものである。
ゼをコードする遺伝子、該遺伝子を含有するベクタープ
ラスミド、該ベクタープラスミドで形質転換された又は
染色体相同組換えされた形質転換体細胞を提供するもの
である。
ーゼを含有する洗浄剤組成物を提供するものである。
在下での安定性」なる語は、プルラナーゼの貯蔵中の、
及びプルラナーゼ含有洗浄剤の貯蔵中の貯蔵安定性、さ
らには例えば過酸化水素又はその他の漂白剤の存在下で
のプルラン加水分解中のプルラナーゼの安定性を意味す
る。
ラナーゼABにおけるCys及びMet以外のアミノ酸
残基としては、Ala、Arg、Asn、Asp、Gl
n、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Ly
s、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr
及びValが挙げられるが、酸化剤耐性の点からAl
a、Glu、Ile、Leu、Asn、Arg、Ser
及びValがより好ましい。
異プルラナーゼABにおけるAla以外のアミノ酸残基
としては、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、
Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、M
et、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Ty
r及びValが挙げられるが、このうちCys、Ph
e、Gly、Leu、Pro、Ser、Val及びTr
pがより好ましい。
残基として少なくとも1個のメチオニン残基を有するプ
ルラナーゼを変異させて得られるものであり、原料プル
ラナーゼとしてはメチオニン残基を有するものである限
り、野生型プルラナーゼであっても、変異プルラナーゼ
であってもよい。
ミノ酸残基として少なくとも1個のアラニン残基を有す
るプルラナーゼを変異させて得られるものであり、原料
プルラナーゼとしてはアラニン残基を有するものである
限り、野生型プルラナーゼであっても、変異プルラナー
ゼであってもよい。
ス属に属する微生物由来のプルラナーゼ、α−アミラー
ゼ活性を有するアルカリプルラナーゼ(アルカリアミロ
プルラナーゼ;バチルス sp.KSM−AP1378
株由来)、又は該アミロプルラナーゼのプルラナーゼ領
域が好ましい。特に好ましいアルカリアミロプルラナー
ゼの例としては、秦田ら,Journal Biological Chemist
ry, 271, 24075-24083(1996)に示されているアミノ酸配
列を有するものが好ましい(配列番号2)。また、該ア
ミロプルラナーゼのプルラナーゼ領域としては、配列番
号2の1023番目Metから1820番目Aspまで
(配列番号1)が好ましい。さらに、バチルス属由来の
プルラナーゼとしてはバチルス sp.KSM−AP1
876株由来のプルラナーゼが好ましい。このうち、配
列番号1記載のアミノ酸配列を有するプルラナーゼ又は
該配列と相同性の高い配列を有するプルラナーゼが特に
好ましい。ここで、配列番号1記載の配列と相同性の高
い配列としては、配列番号1の443位のメチオニン残
基近傍(保存II領域)に少なくとも77%相同性を有す
るプルラナーゼ、又は配列番号1の557位のアラニン
残基近傍(保存IV領域)に少なくとも50%の相同性を
有するプルラナーゼが挙げられる。
異プルラナーゼABとしては、配列番号1中のメチオニ
ン残基の1個〜18個が変異していてもよいが、443
位のMet又は他のプルラナーゼの相同位のMetが欠
失又は前記のMet及びCys以外のアミノ酸残基に置
換しているのが好ましい。一方、変異プルラナーゼB及
び変異プルラナーゼABとしては、配列番号1中の55
7位のAla又は他のプルラナーゼの相同位のAlaが
欠失又は前記のAla以外のアミノ酸残基に置換してい
るのが好ましい。
ルラナーゼをコードするDNAに部位特異的変異を導入
して、変異プルラナーゼをコードする遺伝子及びこれを
含有するベクタープラスミドを得、次いで該プラスミド
を用いて宿主を形質転換するか、染色体相同組換えによ
り形質転換体を得、これを培養することにより製造され
る。
のプルラナーゼ領域(配列番号1)を原料として実施す
る場合を例にとり、さらに詳細に説明する。
するDNAは、例えばバチルス sp.KSM−AP1
378株(FERM BP-3048)由来のアミロプルラナーゼを
コードするDNA(配列番号2)の2945番目に存在
する制限酵素PstI及び5460番目に存在する制限
酵素SmaI間をプラスミドpUC19の制限酵素Ps
tIとSmaI間に結合したプラスミド(図1)を導入
した大腸菌HB101株から常法に従って得ることがで
きる。
なわれている方法であればいずれも採用できるが、例え
ばClonetech の Transformer TM Site-Directed Mutag
enesis Kit、Takara社のSite-Directed Mutagenesis Sy
stem Mutan-Super Express Km Kit 等を用いて行なうこ
とができる。
ンのスクリーニングは、形質転換体をレッドプルラン含
有培地で培養することにより行なわれる。
用する一般的な方法について説明する。
xam-Gilbert の化学修飾法(Methods Enzymology., 65,
499-559 (1980))又はジデオキシヌクレオチド鎖終結法
(Proceeding of National Academic Science, U. S.
A., 74, 5463-5467 (1977) ;Nature, London, 321, 67
4-679 (1986))などを用いて決定することができる。
r TM Site-Directd Mutagenesis Kit(2nd version )
を用いた方法。 (1−1)プラスミドDNAの変性とプライマーDNA
の結合 10×アニーリングバッファーが2.0μl、目的遺伝
子の挿入したプラスミドDNA(0.05μg)が2.
0μl、リン酸化済み変異選択用プライマー(0.05
μg)が2.0μl、リン酸化済み変異導入プライマー
(0.05μg)が2.0μl、滅菌水が12μl混ぜ
合わさった液を100℃で3分間放置し、その後氷上で
5分間急冷する。 (1−2)変異導入ステップ (1)で調製した液20μlに10×伸長バッファーを
3.0μl、T4 DNA polymerase(2-4単位/μl)を1μ
l、T4 DNA ligase(4-6単位/μl)を1μl、滅菌水5
μl添加しよく混合後、37℃で2時間インキュベート
する。その後、70℃で5分間熱処理をし酵素反応を停
止する。 (1−3)制限酵素による1段階目の変異プラスミドの
選択 酵素反応停止後の反応液からエタノール沈澱でプラスミ
ドDNAを回収し、変異の導入されていないプラスミド
のみが切断される制限酵素で処理する。制限酵素処理溶
液を直接大腸菌HB101に導入し、形質転換体を液体
培養で増殖させる。 (1−4)制限酵素による2段階目の変異プラスミドの
選択 (1−3)において増殖した形質転換菌体からプラスミ
ドを精製し(1−3)で用いた制限酵素と同じ制限酵素
で処理し、処理溶液でHB101を形質転換する。抗生
物質入りLBプレート上に出現したコロニーを変異プラ
スミドを有する候補コロニーと判断し、選択を行なう。 (1−5)変異の確認 (1−4)の操作で得られた形質転換体を抗生物質入り
のLB培地で培養し、増殖した菌体から調製したプラス
ミドのDNA配列解析を行ない変異の導入を確認する。
にプルラン(反応系における最終濃度は0.25%)を溶解
させた基質溶液0.9mlに、酵素液0.1mlを加え、5
0℃で、30分間反応させた。反応後、3,5−ジニト
ロサリチル酸(DNS)法にて還元糖の定量を行なっ
た。すなわち、反応液1.0mlにDNS試薬1.0mlを
加え、5分間、100℃で加熱発色させ、冷却後、4.
0mlの脱イオン水を加えて希釈し、波長535nmで比色
定量した。酵素の力価は、1分間に1μmol のグルコー
スに相当する還元糖を生成する酵素量を1単位(1U)
とした。
ラナーゼに変異を導入したプラスミドを保持する大腸菌
を、適当な培地、例えば、アンピシリン50μg/mlを
含む2×YT培地(16g Bacto Trypton, 10g Yeast Ext
ract, 10g NaCl/L)で、37℃、24時間振盪培養し
た。培養液35mlを遠心分離して得られた菌体を、適当
な緩衝液、例えば、7mlの10mM Tris-HCl pH8.0に
懸濁した。菌懸濁液に適当な処理、例えば、超音波処理
(BIOTEC 7500ULTRASONIC PROCESSOR SEIKO INSTRUMENT
S & ELECTRONICS LTD.、 %DUTY CYCLE 70%, OUTPUT
CONTROL3, TIMER3)を行うことにより、菌体の破砕を行
った。破砕後、遠心分離によって不溶物を取り除き、得
られた上清液を無細胞抽出液(粗酵素液)とした。
社、カタログ番号 106810、由来beefliver)を2.5μ
l分注し、氷中に置いておく。 (2)30℃又は40℃に保温した、30%過酸化水素
水(和光純薬社)をサンプル添加後最終濃度が20、2
50、又は500mMとなるように添加した適当な緩衝
液、例えば20mM Britton-Robinson バッファーpH8.
0によって希釈しておく。 (3)サンプルのプルラナーゼを、適当な緩衝液、例え
ば10mM Tris-HCl pH8.0で(2)で調製した溶液に
添加後25倍になるように希釈しておく。 (4)(2)で調製した試験管に(3)で調製したサン
プルを加え、素早く混ぜ合わせた。所定の時間放置後の
反応液を各々500μlサンプリングし、(1)で用意
したカタラーゼ入りの試験管に注入し酸化反応を停止し
た。 (5)各々のサンプルの残存プルラナーゼ活性をDNS
法で測定し、過酸化水素に対する酸化剤耐性を求めた。
は、酸化剤に対する耐性が極めて高く、酸化剤、漂白剤
を含む洗浄剤、澱粉糖化用組成物等の配合成分として有
用である。
ラナーゼ以外に、さらに、α−アミラーゼ、α−グルコ
シダーゼ、グルコアミラーゼ、プロテアーゼ、セルラー
ゼ、リパーゼ、ペクチナーゼ、プロトペクチナーゼ、ペ
クチン酸リアーゼ、パーオキシダーゼ、ラッカーゼ及び
カタラーゼから選ばれる1種又は2種以上の酵素を配合
することができる。
面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチ
オン界面活性剤等の界面活性剤;二価金属イオン捕捉剤
(キレート剤)、アルカリ剤、無機塩、再汚染防止剤、
塩素捕捉剤、還元剤、漂白剤、蛍光染料可溶化剤、香
料、ケーキング防止剤、酵素の活性化剤、酸化防止剤、
防腐剤、色素、青味付け剤、漂白活性化剤、酵素安定化
剤、相調節剤等を配合することができる。本発明の洗浄
剤組成物は、上記変異プルラナーゼ及び上記公知の洗浄
成分を組み合せて常法に従い、製造することができる。
洗浄剤の形態は、用途に応じて選択することができ、例
えば液体、粉末、顆粒等とすることができる。また、本
発明洗浄剤組成物は、衣料用洗浄剤、漂白洗浄剤、自動
食器洗浄機用洗浄剤、排水管洗浄剤、義歯洗浄剤等とし
て使用することができるが、特に衣料用洗浄剤、漂白洗
浄剤又は自動食器洗浄機用洗浄剤として好適に使用する
ことができる。
らに、グルコアミラーゼ、マルターゼ、α−アミラー
ゼ、イソアミラーゼ及びネオプルラナーゼから選ばれる
1種又は2種以上の酵素も配合し、変異プルラナーゼと
ともに澱粉に作用させることもできる。
明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるもの
ではない。
ナーゼ遺伝子がプラスミドpBR322に連結されたプ
ラスミドpBP101(10.6kb)1μgを、制限酵
素PstI及びSmaIによって切断後、アガロースゲ
ル電気泳動を行ない、ゲルからジーンクリーンキット
(フナコシ社製)によって、約2.5kbのDNA断片を
単離した。得られたDNA断片と、制限酵素PstI及
びSmaIによって切断したベクターpUC19とをT
4リガーゼによって結合させた組換えプラスミド混合物
を大腸菌HB101に導入し、アンピシリン50μg/
mlを含むLB培地に塗抹した。出現してきた形質転換体
から、常法〔Maniatis, T, et. al., Molecular Clonin
g, Cold Spring Harbor Laboratory(1982)〕に従って組
換えプラスミドを調製した。得られたプラスミドの制限
酵素切断地図を作成したところ、約2.5kbのDNA断
片がベクターに含まれていることが明らかとなり、これ
をプラスミドpUPSPULと命名した。また、プラス
ミドpUPSPULによって形質転換された大腸菌HB
101株をHB101(pUPSPUL)株と命名した。
ystems Division 392DNA/RNA Synthesizer(パーキンエ
ルマー社製)を用いて合成し、DNA Refinement Syst
em DNASTEC-1000(アステック社製)を用いて精製され
た29塩基及び25塩基からなるプライマー1及びプラ
イマー2(図2)と、鋳型としてpUPSPUL及び、
Transformer TM Site-Directed Mutagenesis Kit(CLON
TECH Laboratories, Inc. 製)を用いて、キットの操作
手順に従って、プラスミドpUPSPUL上のプルラナ
ーゼのアミノ酸配列(配列番号1)の443、444番
目のメチオニン残基の位置にアンバー変異を導入した。
変異導入処理した反応液を用いて大腸菌HB101株を
形質転換した。得られた形質転換体を実施例1と同様に
解析し、プルラナーゼのアミノ酸配列の443、444
番目のメチオニン残基の位置にアンバー変異を導入した
プラスミドPUPSAを単離した。また、変異導入の確
認は、蛍光プライマー法〔Smith, L. M. et. al., Natu
re, 321, 674(1986)〕に従って、ABI PRISM3
77DNA Sequencer(パーキンエルマー社製)を用
いて行なった。
合成された24塩基及び35塩基からなるプライマー3
及びプライマー4(図3)と、鋳型としてPUPSA及
びTransformer TM Site-Directed Mutagenesis Kitを用
いて、プルラナーゼのアミノ酸配列の443番目の位置
に種々のアミノ酸置換を導入した。変異導入処理した反
応液を用いて大腸菌HB101株を形質転換した。得ら
れた形質転換体を実施例1と同様に解析し、プルラナー
ゼのアミノ酸配列の443番目の位置にアミノ酸置換を
導入した種々のプラスミドを単離した。また、DNAシ
ークエンスにより導入したアミノ酸の確認を行なった。
腸菌を、アンピシリン50μg/mlを含む2×YT培地
(16g Bacto Trypton, 10g Yeast Extract, 10g NaCl/
L)で、37℃、24時間振盪培養した。培養液35ml
を遠心分離して得られた菌体を、7mlの10mM Tri
s−HClpH8.0に懸濁し、超音波による破砕(BIOT
EC 7500ULTRASONIC PROCESSOR SEIKO INSTRUMENTS & EL
ECTRONICSLTD.)を行なった。破砕後、遠心分離によっ
て不溶物を取り除き、得られた上清液を無細胞抽出液
(粗酵素液)とした。
の粗酵素液を、30℃で保温した。250mM又は500
mM 過酸化水素(H2O2)を含む20mM Britton-Robin
son バッファーpH8.0に適当に希釈して添加した。1
5秒後、並びに30分後、過酸化水素処理液500μl
にカタラーゼ(ベーリンガー マンハイム社製、カタロ
グ番号106810、牛肝臓)2.5μlを加えた後、プルラ
ナーゼ活性を測定した。活性は10mM Tris−HC
lpH8で希釈した処理液を、0.25%プルラン、50
mM Britton-Robinson バッファーpH8.0、30℃中で
15分間反応させ、生成した還元糖を3,5−ジニトロ
サリチル酸〔3,5-dinitrosalicylic acid(DNS)〕試薬に
より定量した。その結果は下記の表1により明らかであ
り、種々の変異体で酸化剤の存在下での安定性の向上が
認められる。プルラナーゼ突然変異体は1文字アミノ酸
標記によって示している。すなわちM443Aは、44
3位のMetがAlaで交換されているプルラナーゼ変
異体を意味する。表1における値は、15秒におけるプ
ルラナーゼ活性を100%とした相対活性の値である。
HClpH8で希釈し、各突然変異体の活性を酸化剤(H
2O2)の存在下及び対照として酸化剤の非存在下で測定
した。活性は実施例4に記載の通りに反応したが、反応
温度を40℃、反応液中に過酸化水素を20mMとなるよ
うに添加した。活性の値は対照を100%とした相対活
性で示した。相対活性の値を示す表2から明らかな通
り、コントロール(野生型)に比べ、全ての突然変異体
に関して酸化剤存在下での活性レベルは優れていた。
ルラナーゼの粗酵素液を10mM Tris−HClpH8
で希釈し、対応pHを4と10の間の指定のpHに調製した
活性測定反応液を用いて、実施例4に記載の通り酵素活
性を測定した。活性の値は最も高い活性を示した値を1
00%とした相対活性で示した。各反応pHに対応する相
対活性の値を示す図3から明らかな通り、コントロール
(野生型)のpH8.0に比べ、突然変異体の至適pHはM
443A,M443N,M443R変異体のpH6.2近
傍、M443E,M443I,M443S,M443V
変異体のpH7.1近傍の酸性側から、M443L変異体
のpH8.8近傍のアルカリ側まで様々な値を示すことが
示された。
k モデル漂白剤配合洗剤(Institut For Applied Resea
rch Ltd.;IEC-436)中に10倍希釈になるように添加
し、30℃でインキュベートした。様々な突然変異プル
ラナーゼの活性を120分間追跡し、実施例4に記載の
通りに反応したが、反応温度を40℃で行なった。イン
キュベーション中の残存活性を表3に示す(“0”は洗
剤へ添加後の最初の測定である)。表3から明らかな通
り、120分間処理においてコントロール(野生型)の
67%に対し、M443A,M443E,M443L,
M443S変異体の安定性は83〜96%の値を示して
おり、コントロールに比べ、洗剤中の安定性は全ての突
然変異体に関して優れていた。
変異プルラナーゼM443Lの557位のアミノ酸残基
を、アラニン残基以外のアミノ酸に置換した。プラスミ
ドpUPSPULの443位MetがLeuに変換され
たプラスミドPUPSLを鋳型とし、プライマー5と6
を用いて、Transformer TM Site-Directed Mutagenesis
Kitにより557位にアンバー変異を導入した。次に得
られた557位にアンバー変異の入った変異プラスミド
PUPSLAを鋳型として、プライマー3と7を用い
て、プルラナーゼの443位のLeuへの変異に加え
て、557位のアラニン残基の種々のアミノ酸残基への
置換を導入した。変異導入処理した反応液を用いて大腸
菌HB101株を形質転換した。得られた形質転換体を
実施例1と同様に解析し、プルラナーゼのアミノ酸配列
の443番目の位置がLeuに置換した変異に加えて、
557位のアラニン残基の種々のアミノ酸残基に置換し
たプラスミドを単離した。また、DNAシークエンスに
より導入したアミノ酸の確認を行なった。
換した突然変異プルラナーゼの粗酵素液を実施例3と同
様に調製した。得られた粗酵素液を用いて実施例6と同
様に種々のpHでのプルラナーゼ活性を測定した。各反応
pHに対応する相対活性を示す図4から明らかな通り、コ
ントロール(野生型)に比べて、突然変異体の最適反応
pHは酸性側からアルカリ側まで様々な値を示すことが示
された。図中の表記、例えば、M443L/A557C
は、443位のMetがLeuへの置換に加えて、55
7位のAlaがCysへの置換が導入されている二重変
異プルラナーゼを示している。
耐性を有するプルラナーゼ及び最適反応pHが変化したプ
ルラナーゼを得ることができ、漂白剤配合洗浄剤への配
合など幅広い用途で有用なプルラナーゼを得ることがで
きる。
アミロプルラナーゼのプルラナーゼ領域を含むプラスミ
ドpUPSPULを示す図である。図中の太線はバチル
ス sp.KSM−1378株染色体由来DNA領域を
示し、細線はプラスミドpUC19由来DNAを示す。
図中の矢印はプルラナーゼ遺伝子の転写方向及びその領
域を示す。
である。配列中のXはAGCTの混合物を示す。
る。
る。
Claims (22)
- 【請求項1】 プルラナーゼを構成するアミノ酸残基の
うち少なくとも1個のメチオニン残基が欠失又はCys
及びMet以外の任意のアミノ酸残基に置換されている
変異プルラナーゼ。 - 【請求項2】 Cys及びMet以外の任意のアミノ酸
残基が、Ala、Glu、Ile、Leu、Asn、A
rg、Ser又はValである請求項1記載の変異プル
ラナーゼ。 - 【請求項3】 プルラナーゼを構成するアミノ酸残基の
うち少なくとも1個のアラニン残基が欠失又はAla以
外の任意のアミノ酸残基に置換されている変異プルラナ
ーゼ。 - 【請求項4】 Ala以外の任意のアミノ酸残基が、C
ys、Phe、Gly、Leu、Pro、Ser、Va
l又はTrpである請求項3記載の変異プルラナーゼ。 - 【請求項5】 プルラナーゼを構成するアミノ酸残基の
うち少なくとも1個のメチオニン残基が欠失又はCys
及びMet以外の任意のアミノ酸残基に置換され、かつ
少なくとも1個のアラニン残基が欠失又はAla以外の
任意のアミノ酸残基に置換されている変異プルラナー
ゼ。 - 【請求項6】 Cys及びMet以外の任意のアミノ酸
残基が、Ala、Glu、Ile、Leu、Asn、A
rg、Ser又はValであり、Ala以外のアミノ酸
残基が、Cys、Phe、Gly、Leu、Pro、S
er、Val又はTrpである請求項5記載の変異プル
ラナーゼ。 - 【請求項7】 変異前のプルラナーゼが、バチルス属に
属する微生物由来のプルラナーゼである請求項1〜6の
いずれか1項記載の変異プルラナーゼ。 - 【請求項8】 変異前のプルラナーゼが、α−アミラー
ゼ活性を有するアルカリプルラナーゼ(アルカリアミロ
プルラナーゼ)である請求項1〜7のいずれか1項記載
の変異プルラナーゼ。 - 【請求項9】 変異前のプルラナーゼが、バチルス s
p.KSM−AP1378株由来のアルカリアミロプル
ラナーゼである請求項1〜8のいずれか1項記載の変異
プルラナーゼ。 - 【請求項10】 変異前のプルラナーゼが、配列番号1
のアミノ酸配列を有するプルラナーゼ又は該配列と相同
性の高い配列を有するプルラナーゼである請求項1〜9
のいずれか1項記載の変異プルラナーゼ。 - 【請求項11】 配列番号1の443位のメチオニン残
基又はその他のプルラナーゼにおける相同位のメチオニ
ン残基が欠失又はCys及びMet以外の任意のアミノ
酸残基に置換されている請求項10記載の変異プルラナ
ーゼ。 - 【請求項12】 Cys及びMet以外の任意のアミノ
酸残基が、Ala、Glu、Ile、Leu、Asn、
Arg、Ser又はValである請求項11記載の変異
プルラナーゼ。 - 【請求項13】 配列番号2の557位のアラニン残基
又はその他のプルラナーゼにおける相同位のアラニン残
基が欠失又はAla以外の任意のアミノ酸残基に置換さ
れているものである請求項10記載の変異プルラナー
ゼ。 - 【請求項14】 Ala以外の任意のアミノ酸残基が、
Cys、Phe、Gly、Leu、Pro、Ser、V
al又はTrpである請求項13記載の変異プルラナー
ゼ。 - 【請求項15】 配列番号1の443位のメチオニン残
基又はその他のプルラナーゼにおける相同位のメチオニ
ン残基が欠失又はCys及びMet以外の任意のアミノ
酸残基に置換され、かつ557位のアラニン残基又はそ
の他のプルラナーゼにおける相同位のアラニン残基が欠
失又はAla以外の任意のアミノ酸残基に置換されてい
る請求項10記載の変異プルラナーゼ。 - 【請求項16】 請求項1〜15のいずれか1項記載の
変異プルラナーゼをコードする遺伝子。 - 【請求項17】 請求項16記載の遺伝子を含有するベ
クタープラスミド。 - 【請求項18】 請求項17記載のベクタープラスミド
で形質転換された又は染色体相同組換えされた形質転換
体細胞。 - 【請求項19】 請求項1〜15のいずれか1項記載の
変異プルラナーゼを含有する洗浄剤組成物。 - 【請求項20】 さらに、α−アミラーゼ、イソアミラ
ーゼ、ネオプルラナーゼ、α−グルコシダーゼ、グルコ
アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、ペ
クチナーゼ、プロトペクチナーゼ、ペクチン酸リアー
ゼ、パーオキシダーゼ、ラッカーゼ及びカタラーゼから
選ばれる1種又は2種以上の酵素を含有する請求項19
記載の洗浄剤組成物。 - 【請求項21】 請求項1〜15のいずれか1項記載の
変異プルラナーゼを含有する澱粉糖化用組成物。 - 【請求項22】 さらに、グルコアミラーゼ、マルター
ゼ、α−アミラーゼ、イソアミラーゼ及びネオプルラナ
ーゼから選ばれる1種又は2種以上の酵素を含有する請
求項20記載の澱粉糖化用組成物。
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