JPH10326889A - 電荷転送素子とその駆動方法 - Google Patents

電荷転送素子とその駆動方法

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JPH10326889A
JPH10326889A JP9135457A JP13545797A JPH10326889A JP H10326889 A JPH10326889 A JP H10326889A JP 9135457 A JP9135457 A JP 9135457A JP 13545797 A JP13545797 A JP 13545797A JP H10326889 A JPH10326889 A JP H10326889A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リセットゲート電極下のチャネルの電位とリ
セットドレインの電圧との大小関係にかかわらず、確実
に浮遊拡散領域のリセット動作を行う。 【解決手段】 信号電荷を転送する転送電極61、6
2、71、72が設けられた電荷転送部18と、この電
荷転送部18で転送される電荷を蓄積するn+浮遊拡散
領域11と、このn+浮遊拡散領域11を一定の電位に
リセットするための電界効果トランジスタ20(リセッ
トゲート電極9およびリセットドレイン10を含む)
と、電荷転送部18にバイアス電荷を入力するバイアス
電荷入力部19を有する。そして、信号電荷にバイアス
電荷を加算してn+浮遊拡散領域11に転送した状態で
リセット動作を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固体撮像素子、遅延素
子等に用いられる電荷転送素子とその駆動方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、電荷転送素子における信号電荷の
検出回路として、浮遊拡散増幅回路(FDA)が知られ
ている(1986年昭晃堂発行の「固体撮像デバイス」
の第74〜76頁等に例示)。図22に、このようなF
DAを含む電荷転送素子が示されており、これは電子が
転送される構成である。図22(a)は電荷転送素子の
概略平面図、図22(b)はそのH−H’概略断面図、
図22(c)はn+浮遊拡散領域211のリセット時の
チャネル電位の概略を示している。図22(a)、
(b)に示すように、電荷転送素子は、転送電極26
1、262、271、272が設けられている電荷転送
部218と、電荷転送部218の最終段に接続された出
力ゲート電極208と、n+浮遊拡散領域211と、こ
のn+浮遊拡散領域211の電位を増幅するアンプ21
2と、n+浮遊拡散領域211をリセットするためのリ
セットゲート電極209と、n+拡散領域からなるリセ
ットドレイン210と、p+チャネルストップ203と
を有している。
【0003】転送電極261、262、271、272
は、p型シリコン基板201中のn型ウェル202上に
酸化膜205等の絶縁膜を介して形成され、n型ウェル
202中に電荷転送チャネルが形成されている。そし
て、1つおきの転送電極の下方に、n型不純物濃度が低
いn-領域204が形成されており、チャネル電位差が
生じるようにしてある。隣り合う2つのゲート電極を一
対として、パルス電圧φH1、φH2が交互に印加され、
2相駆動で信号電荷が転送される。電荷転送チャネル最
終段まで転送されてきた信号電荷は、出力ゲート電極2
08下のポテンシャルバリアを越えてn+浮遊拡散領域
211に転送され、n+浮遊拡散領域211の電位が変
動する。この電位はアンプ212によって増幅されて出
力される。こうして信号電荷が出力された後、n+浮遊
拡散領域211の電位のリセット動作が行われる。この
リセット動作は、リセットゲート電極209に高電位を
印加し、リセットゲート電極209の下のチャネル電位
をリセットドレイン210の電圧よりも高くして、n+
浮遊拡散領域211の電位がリセットドレイン210の
電圧に一致させられる。この時のチャネル電位が図22
(c)に示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来のn+浮遊拡
散領域211のリセット方法では、n+浮遊拡散領域2
11の電位をリセットドレイン210の電圧に一致させ
るために、リセットゲート電極209の下方のチャネル
の電位をリセットドレイン210の電圧より高くする必
要がある。仮に、リセットゲート電極209の下方のチ
ャネル電位がリセットドレイン210の電圧よりも低い
場合には、n+浮遊拡散領域211のリセット動作が不
良となり、ノイズが増加する。このように、リセット動
作を正常に行うためには、リセットゲート電極209の
下方のチャネルの電位と、リセットドレイン210の電
圧との関係が重要である。このうち、リセットドレイン
210の電圧は、外部回路によって所定の電圧に印加さ
れるのであまり誤差はない。しかし、リセットゲート電
極209の下方のチャネルの電位は、不純物プロファイ
ルやリセットゲートの寸法に依存するため、製造工程に
おける誤差などによりばらつきが生じ易い。
【0005】リセットゲート電極209の下方のチャネ
ルの電位が多少ばらついても、常にリセットドレイン2
10の電圧よりも高く、確実にn+浮遊拡散領域211
のリセット動作を行い得るように、リセットゲート電極
209にマージンを持って高い電圧を印加することがで
きる。しかし、駆動電圧振幅を低下させた場合、それほ
ど大きなマージンをとることができず、リセット動作が
不確実になる場合があり、結果的に電荷転送素子の歩留
りが低下するおそれがある。そこで本発明の目的は、リ
セットゲート電極下方のチャネルの電位とリセットドレ
インの電圧との大小関係にかかわらず、確実にn+浮遊
拡散領域のリセット動作が行える電荷転送素子およびそ
の駆動方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の電荷転送素子
は、信号電荷を転送するための電荷転送チャネルと、こ
の電荷転送チャネルから転送される電荷を蓄積するため
の浮遊拡散領域と、この浮遊拡散領域を一定の電位にリ
セットするための電界効果トランジスタと、前記電荷転
送チャネルまたは前記浮遊拡散領域に接続されバイアス
電荷を入力するバイアス電荷入力部とを有する電荷転送
素子において、前記電界効果トランジスタは、リセット
ゲート電極とリセットドレインとを含み、転送される電
荷が電子の場合に、浮遊拡散領域のリセット時における
リセットゲート電極の下方のチャネル電位がリセットド
レインの電圧よりも低く、転送される電荷が正孔の場合
に、浮遊拡散領域のリセット時におけるリセットゲート
電極の下方のチャネル電位がリセットドレインの電圧よ
りも高いものであることを特徴とする。
【0007】また、前記リセットゲート電極と前記電荷
の転送方向に隣接して並ベられるもう1つのリセットゲ
ート電極を有する構成とすると、リセット動作がより安
定する。その場合、前記2つのリセットゲート電極のう
ち、いずれか一方の前記リセットゲート電極には一定の
電位が印加され、他方の前記リセットゲート電極は所定
のタイミングで高電位と低電位とが切り替えられる構成
とすることが好ましい。または、前記2つのリセットゲ
ート電極のうち、いずれか一方の前記リセットゲート電
極の下方の前記電荷転送チャネルの電位が電荷転送方向
に沿って傾斜している構成としてもよい。そのために、
一方の前記リセットゲート電極の下方の前記電荷転送チ
ャネルが、電荷転送方向に沿って次第に幅が広くなるよ
うに、または電荷転送方向に沿って次第に幅が狭くなる
ように形成されている構成とすることができる。
【0008】そしてこのような電荷転送素子の駆動方法
として、前記信号電荷が、前記バイアス電荷入力部より
も上流側で前記電荷転送チャネルに入力されるようにす
ることができる。そして、前記電荷転送チャネルまたは
前記浮遊拡散領域において、前記信号電荷に前記バイア
ス電荷入力部から入力された前記バイアス電荷を加算す
る。または、前記浮遊拡散領域に、前記信号電荷と前記
バイアス電荷とを交互に転送することもできる。さら
に、前記浮遊拡散領域の電位を40mV以上変動させる
バイアス電荷を入力することが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態について図面を
参照して以下に説明する。なお、後述する実施形態は、
すべて電子を転送する構成である。図1(a)は、本発
明の電荷転送素子の第1の実施形態の概略を示す平面図
であり、図1(b)はそのA−A’概略断面図である。
図22に示す従来例と同様に、電荷転送素子は、転送電
極61、62、71、72が設けられている電荷転送部
18と、出力ゲート電極8と、n+浮遊拡散領域11
と、アンプ12と、リセットゲート電極9と、リセット
ドレイン10と、p+チャネルストップ3とを有してい
る。転送電極61、62、71、72は、p型シリコン
基板1中のn型ウェル2上に酸化膜5等の絶縁膜を介し
て形成され、n型ウェル2中に電荷転送チャネルが形成
される。
【0010】そして、1つおきの転送電極の下方にn-
領域4が形成され、チャネル電位差が生じるようにして
ある。隣り合う2つのゲート電極を一対として、パルス
電圧φH1、φH2が交互に印加されている。そして、電
荷転送チャネルの出力側と反対側(図1右側)の端部
に、所定のバイアス電荷を入力するバイアス電荷入力部
19が設けられている。バイアス電荷入力部19は、入
力n+拡散領域14、第1の入力ゲート電極16、入力
n+浮遊拡散領域15、第2の入力ゲート電極17から
なる。なお、信号電荷入力部は図示していないが、バイ
アス電荷入力部19よりも出力側(図1左側)におい
て、信号電荷は電荷転送チャネル18に入力される。ま
た、後述するリセット動作を行う電界効果トランジスタ
20が設けられている。
【0011】図2は本発明の第1実施形態の電荷転送素
子の駆動方法を示す図である。転送ゲート電極61、6
2および71、72に印加されるパルス電圧がそれぞれ
φH1およびφH2、第2の入力ゲート電極17に印加さ
れるパルス電圧がφIG2、入力n+拡散領域14に印加
されるパルス電圧がφID、リセットゲート電極9に印
加されるパルス電圧がφRである。図2には示されてい
ない第1の入力ゲート電極16、出力ゲート電極8およ
びリセットドレイン10にはあらかじめ設定された所定
電圧が印加される。入力n+浮遊拡散領域15はフロー
ト状態である。また、n+浮遊拡散領域11で検出され
る電位変動がOUTとして示している。バイアス電荷入
力方法としては様々な方法が知られている。たとえば、
前記「固体撮像デバイス」(昭晃堂発行)第70〜73頁
などに例示されている。本実施形態におけるバイアス電
荷入力方法について、図3を参照して説明する。図3に
は、図2における時刻T1、T2、T4での図1A−A’
線に沿ったバイアス電荷入力部19付近のチャネル電位
を示した図である。図3の上部には、電荷転送素子の各
部の符号が付与されている。時刻T1のときには、第2
の入力ゲート電極17の下方のチャネル電位φch(I
G2)が、第1の入力ゲート電極16のチャネル電位φ
ch(IG1)よりも低くされるとともに、パルス電圧
φIDを印加することによって入力n+拡散領域14の
電位がφch(IG1)とφch(IG2)の中間にな
る。そして、入力n+浮遊拡散領域15が充電される。
時刻T2のときには、φIDが高電位とされ、入力n+浮
遊拡散領域15の電位がφch(IG1)に近い値とさ
れる。時刻T4のときには、φIG2、φH1が高電位と
され、φH1が印加された転送電極61の下方に、この
時のφch(IG1)とφch(IG2)との差に基づく
バイアス電荷が入力される。そして、転送電極61、6
2、71、72に印加されるパルス電圧φH1とφH2に
よって、バイアス電荷が順次出力方向に転送される。信
号電荷は、バイアス電荷入力部19より出力側(図3左
側)において、バイアス電荷と加算され、n+浮遊拡散
領域11へ向って転送される。なお、実際には、各電極
上を電荷が移動するのではなく、電極の下方位置のチャ
ネル内を電荷が移動する。
【0012】次に、n+浮遊拡散領域11をリセットす
る方法を図4を参照して説明する。図4は、図2に示す
時刻T1、T3における、図1のA−A’線に沿ったn+
浮遊拡散領域11付近のチャネル電位を示す図である。
図4の上部に電荷転送素子の各部の符号が付与されてい
る。時刻T2のときには、φH1が低電位とされ、φH1
が印加される転送電極61の下方に蓄積されていたバイ
アス電荷と信号電荷は、出力ゲートを通ってn+浮遊拡
散領域11に転送される。それによって、n+浮遊拡散
領域11の電位が変動し、この変動した電位が検出され
アンプ12で増幅されて出力される。時刻T3でφRが
高電位とされリセットゲートをオン状態として、信号電
荷とバイアス電荷をリセットドレイン10に掃き出す。
この時、リセットゲート電極9の下方のチャネルの電位
は、リセットドレイン10の電位よりも低く設定され
る。こうすると、n+浮遊拡散領域11の電位はリセッ
トドレイン10の電圧に一致するのではなく、転送され
てきた電荷量とリセット時間(φRに高電位が印加され
ている時間)によって決定される電位にリセットされ
る。
【0013】リセット動作の原理について以下に説明す
る。リセット動作時には、n+浮遊拡散領域11をソー
ス、リセットゲート電極9をゲート、リセットドレイン
10をドレインとするMOS型電界効果トランジスタ2
0としての動作が行なわれる。但し、ソースはフロート
状態である。時刻T3にリセットゲートがオンした直後
は、トランジスタのドレイン電流−ドレイン電圧特性の
飽和領域特性または線形領域特性により、転送されてき
た電荷がリセットドレイン10に掃き出されるととも
に、ソース電位が高くなる。その後、ソース電位がスレ
ッシュホールド電圧以下になると、サブスレッシユホー
ルド特性により微小なドレイン電流が流れる。ドレイン
電流が微小であるために、ソース電位の変化の速度が小
さく、ソース電位が飽和するまでに時間が必要となる。
リセット時問(リセットゲートがオンしている時間)が
短いと、ソース電位は飽和値までは到達しない。したが
って、ソースは、転送されてきた電荷量とリセット時間
との関数で決まる電圧にリセットされる。リセット時間
を常に一定にすると、ソースのリセット電位は転送され
てきた電荷量によって決まる。転送された信号電荷量に
依存してリセット電位が変動すると、電荷転送素子のリ
セット動作としては不適である。そこで本実施形態で
は、ある値以上のバイアス電荷を加えることにより、常
に一定の電位にリセットされるようにしている。次にこ
の原理について説明する。
【0014】サブスレッシュホールド領域に達するまで
はドレイン電流が大きく、ソース電位の変化の速度がサ
ブスレッシュホールド領域よりも大きい。従って、ソー
スのリセット電位はサブスレッシュホールド領域で決定
される。この時のドレイン電流Idはソース電位をVsと
すると、次式で表わされる。 Id=Io exp(−qVs/kT) =Io exp(−βVs) ・・・(1) ただし、qは素電荷、kはボルツマン定数、Tは温度、
Ioはゲートのチャネル寸法や電位および電子の移動度
で決定される係数である。またβ=q/kTである。n+
浮遊拡散領域の時間tにおける電位Vfdは、t=0での
電位をVo、n+浮遊拡散領域11の容量をCfdとする
と、次式で表わされる。
【0015】 Vfd(t、Vo)=(1/β)・ln{Ioβt/Cfd+exp(βVo)} =(1/β)・ln{t/τ+exp(βVo)} ・・・(2) ただし、τ=Cfd/βIoである。n+浮遊拡散領域11
に一定の信号電荷Vsig1とバイアス電荷Vbiasが順次転
送され、リセット時間Tonでリセットされると、定常状
態に達したときのn+浮遊拡散領域のリセット電位は次
式で表わされるVrとなる。 Vfd(Ton、Vr−Vsig1−Vbias)=Vr ・・・(3) この式を解くと、次式となる。 exp(βVr)=(Ton/τ)・1/[1−exp{−β(Vsig1+Vbias)}] ・・・(4) n+浮遊拡散領域11のリセット電位がVrになった後、
信号電荷がVsig2に変化した場合のリセット電位の変化
△Vrは次式で表わされる。
【0016】 △Vr=Vfd(Ton、Vr−Vsig2−Vbias)−Vr =(1/β)・ln[1-exp{-β(Vsig1+Vbias)}+exp{-β(Vsig2+Vbias)}] ・・・(5) Vsig1=0Vの時の△VrのVsig2による変化が、Vbia
sをパラメータとして図5に示してある。Vsig2の増加
に伴って|△Vr|は増加し、約150mV程度で飽和
することが分かる。続いて、Vsig1=0V、Vsig2=5
00mVの条件下で飽和状態にある△Vrが、Vbiasの
関数として図6に示されている。次に、Vsig1=500
mVの時の△VrのVsig2による変化が、Vbiasをパラ
メータとして図7に示してある。Vsig2の増加に伴って
△Vrは指数関数的に減少することが分かる。Vsig1=
500mV、Vsig2=0Vの条件下における△Vrが、
Vbiasの関数として図8に示されている。図6および図
8に示した△Vrの絶対値は全体的に図6の|△Vr|の
方が大きいが、Vbias=100mV以上では両者はほぼ
一致する。図6と図8に示した△Vrの絶対値がVbias
によるリセット電位のばらつきであり、図6と図8を比
較して|△Vr|の大きい方がリセット電位のばらつき
の最大値である。図5〜8のいずれからも、Vbiasが大
きいほど△Vrの絶対値(リセット電位のばらつき)が
小さいことがわかる。
【0017】リセット電圧のばらつきはノイズに加算さ
れる。従来例でのリセット方法では(kTCfd)1/2
リセットノイズがあり、これはCfdが5fFの時に、
9.1×l0-4 Vr.m.s.である。図6より、バイアス電
荷が約40mVの時、リセット電位のばらつきは、kT
Cfdノイズでのリセット電位のばらつきの最大値と最小
値との差(ピーク・トゥ・ピーク値)と同程度の値とな
る。さらに、バイアス電荷が100mV以上であれば、
本発明の駆動方法により新たに加算されるリセット電位
のばらつきは、kTCノイズによるばらつきの1/10
程度に過ぎないので、それによるノイズ増加量は無視で
きる。このように、ある程度大きなバイアス電荷が加え
られると、リセット電位のばらつきを無視できる程度の
小ささに抑えられると言える。新たに加算されるノイズ
を無視できる程度の小ささに抑えるために必要なバイア
ス電荷量は、Cfdや相関二重サンプリング法によるリセ
ットノイズの除去率、アンプ等のその他のノイズの大き
さに左右されるので一概には言えないが、Cfd=1fF
以下となれば、バイアス電荷が40mV以上あればリセ
ット電位のばらつきによるノイズの加算量は20%以下
となる。したがって、バイアス電荷としては40mV以
上あることが望まれる。
【0018】図9は、本発明の第2の実施形態において
バイアス電荷と信号電荷を交互に転送するための駆動方
法を示す図である。本実施形態では、図1に示すのと同
様な電荷転送素子が用いられている。図2と同様に、転
送ゲート電極61、62および71、72に印加される
パルス電圧がそれぞれφH1およびφH2、第2の入力ゲ
ート電極17に印加されるパルス電圧がφIG2、入力
n+拡散領域14に印加されるパルス電圧がφID、リ
セットゲート電極9に印加されるパルス電圧がφRであ
る。第1の入力ゲート電極16、出力ゲート電極8およ
びリセットドレイン10にはあらかじめ設定された所定
の電圧が印加される。入力n+浮遊拡散領域15はフロ
ート状態である。また、n+浮遊拡散領域11で検出さ
れる電位変動がOUTとして示している。
【0019】本実施形態が図2に示す第1の実施形態の
駆動方法と異なる点は、φH1およびφH2の周波数が2
倍になっている点である。時刻T1で第2の入力ゲート
電極17下を通ってバイアス電荷が、パルス電圧φH1
が印加されている転送電極61に入力され、時刻T2ま
でには転送電極71、72をはさんで隣の転送電極61
まで転送される。時刻T2では、φIG2に高電位のパル
スが印加されないので、バイアス電荷が入力されない。
つまり、電荷転送素子には、連続する4つの転送電極6
1、62、71、72を1組として、バイアス電荷は1
組おきに入力される。そこで、第2の入力ゲート電極1
7と出力ゲート電極8との間で、バイアス電荷が入力さ
れていない転送電極下に信号電荷を入力することによ
り、バイアス電荷と信号電荷が交互に転送されるように
設定できる。時刻T3で、n+浮遊拡散領域11に信号電
荷が転送されて、信号電荷に対応した電位変動が出力波
形に現われる。この電位変動が検出された後、時刻T4
でバイアス電荷が転送され信号電荷に加算される。そし
て、時刻T5で、リセットゲート電極9に電圧が印加さ
れリセット動作か行われる。第1の実施形態と同様に、
信号電荷とバイアス電荷とが加算された状態でリセット
動作が行われるので、前記したように、バイアス電荷が
ある程度大きければリセット電位の変動を抑えることが
出来る。本実施形態によると、電荷転送素子で信号電荷
とバイアス電荷を別々に転送できるので、電荷転送素子
のチャネル幅を第1の実施形態よりも小さくできる。
【0020】図10は本発明の第3の実施形態の電荷転
送素子の概略を示す平面図である。図1に示す第1の実
施形態の電荷転送素子と同一構成の部分には同一の符号
を付与している。本実施形態においては、バイアス電荷
入力部122が電荷転送部121の端部ではなく、出力
ゲート付近に設けられ、電荷転送チャネルに接続されて
いる。信号電荷入力部は図示していないが、信号電荷は
バイアス電荷入力部122よりも電荷入力側(図10右
側)で電荷転送チャネルに入力される。転送チャネルが
形成されるn型ウェル2が、φH2が印加される転送電
極173の位置で図10上方向に分岐している。そして
この分岐部分に、バイアス電荷入力部として順に第3の
入力ゲート電極118、第2の入力ゲート電極117、
入力浮遊拡散領域115、第1の入力ゲート電極11
6、入力n+拡散領域114が順に形成されている。断
面構造は、バイアス電荷入力部122の位置が異なるだ
けで、図1(b)と実質的に同様である。なお、図10
では、バイアス電荷が入力される転送電極173の寸法
が、他の転送電極161、171と同一寸法にされてい
るが、バイアス電荷を加える分だけ他の転送電極よりも
大きく形成してもよい。
【0021】本実施形態の電荷転送素子の駆動方法につ
いて、図11、12を参照して説明する。転送電極16
1、162および171、172、173に印加される
パルス電圧がφH1、φH2、リセットゲート電極9に印
加されるパルス電圧がφR、第2の入力ゲート電極11
7および第3の入力ゲート電極118に印加されるパル
ス電圧がそれぞれφIG2およびφIG3、入力n+拡散
領域114に印加されるパルス電圧がφIDと示されて
いる。図示していない第1の入力ゲート電極116、出
力ゲート電極8およびリセットドレイン10には予め設
定された所定の電圧が印加される。入力n+浮遊拡散領
域115はフロート状態である。また、n+浮遊拡散領
域11で検出される電位変動がOUTとして示されてい
る。入力n+拡散領域から第3の入力ゲート電極118
にバイアス電荷を入力する方法は、第1の実施形態(図
2、3参照)の方法においてパルス電圧φH1が印加さ
れる転送電極を、第3の入力ゲート電極118に置き換
えれば同様であるので説明を省略する。図12はn+浮
遊拡散領域11をリセットする方法を説明するための図
であり、図11に示す時刻T2、T3、T4における図1
0B−B’線に沿ったチャネル電位を示した図である。
図12の上部に電荷転送素子の各部の符号が示されてい
る。時刻T1に、パルス電圧φIG3、φIG2が高電位
にされ、第2入力ゲート電極117の下方を通って第3
入力ゲート電極118の下方にバイアス電荷が入力され
る。時刻T2に、パルス電圧φH1が印加される転送電極
161の下方にある信号電荷が、パルス電圧φH2が印
加される転送電極173の下方に転送されるとともに、
バイアス電荷が第3の入力ゲート電極118から転送電
極173に転送される。そして、信号電荷とバイアス電
荷とが、転送電極173の位置で加算される。加算され
た信号電荷およびバイアス電荷が、時刻T3でn+浮遊拡
散領域11に転送され、ここからアンプ12を介して信
号が出力され検出される。時刻T4でφRが高電位とさ
れて、n+浮遊拡散領域11がリセットされる。出力信
号として、バイアス電荷分だけ加算された信号が得られ
るが、この加算分を信号処理で減算することは容易であ
る。また、ビデオ出力等の場合には、出力にオフセット
をかけることは一般に行われており、バイアス電荷分が
信号電荷に乗っていても何ら問題はない。
【0022】第1の実施形態では電荷転送素子の最大転
送電荷量を最大の信号電荷量とバイアス電荷量の和以上
に大きくする必要があるため、電荷転送チャネルや転送
電極が大きくなる。また第2の実施形態では、電荷転送
素子の駆動周波数を倍にする必要があり、どちらも消費
電力が大きくなる。これに対し、本実施形態の場合、第
1、2の実施形態と比べて、消費電力が増加しないとい
う利点がある。図13は本発明の第4の実施形態の電荷
転送素子の概略を示す平面図である。前記実施形態と同
一の構成については同一の符号で示している。本実施形
態では、バイアス電荷入力部124が、電荷転送部12
3の電荷転送チャネルではなく浮遊拡散領域11に接続
されている。バイアス電荷入力部124の構成は前記し
た実施形態とほとんど同一であるが、本実施形態では、
浮遊拡散領域11は、第4の入力ゲート電極119を介
して第3の入力ゲート電極118と接続されている。な
お、信号電荷入力部は図示されていないが、信号電荷は
出力ゲート電極よりも図13右側で電荷転送チャネル1
23に入力される。
【0023】図13に示すように、本実施形態の電荷転
送素子にバイアス電荷を注入する方法としては、出力ゲ
ート電極8と同様に第4の入力ゲート電極119に所定
の電圧を印加するとともに、図11に示すパルス電圧φ
IG2、φIG3、φIDを半周期ずつずらして印加す
る。駆動波形を示す図面は省略するが、図11のφIG
2、φIG3、φIDを半周期ずらした駆動波形である。
時刻T3でφIG3が低電位となり、バイアス電荷が、第
3の入力ゲート電極118下から第4の入力ゲート電極
119下を通って浮遊拡散領域11に入力され、電荷転
送チャネルからn+浮遊拡散領域11に転送されてきた
信号電荷に加算される。または、図13に示す本実施形
態において、パルス電圧φIG3の低電位になる時間を
遅らせて、低電位になっている期間を短くすることで、
信号電荷を検出した後にバイアス電荷をn+浮遊拡散領
域11に入力する駆動方法とすることもできる。
【0024】図14は、本発明の第5の実施形態の電荷
転送素子の概略を示す平面図である。前記実施形態と同
じ構成については同じ符号で示している。本実施形態の
電荷転送部126の転送電極は、パルス電圧φH1およ
びφH2がそれぞれ印加される転送電極161、162
および171、172と、φH1’およびφH2’がそれ
ぞれ印加される転送電極181、182および191、
192とに分かれている。また、電荷転送チャネルが形
成されるn型ウェル2が、パルス電圧φH2’が印加さ
れる転送電極191の位置で、図14上方に分岐してい
る。断面構造は、バイアス電荷入力部122の位置が異
なるだけで、その他の構成は図1(b)と同様であるの
で省略する。信号電荷入力部は図示していないが、信号
電荷はバイアス電荷入力部よりも図14右側で電荷転送
チャネルに入力される。
【0025】図15は本実施形態の駆動方法を説明する
図である。転送電極161、162および171、17
2にそれぞれ印加されるパルス電圧がφH1およびφH
2、転送電極181、182および191、192にそ
れぞれ印加されるパルス電圧がφH1’およびφH2’、
リセットゲート電極9に印加されるパルス電圧がφR、
第2の入力ゲート電極117および第3の入力ゲート電
極118にそれぞれ印加されるパルス電圧がφIG2お
よびφIG3、入力n+拡散領域114に印加されるパル
スがφIDである。図示していない第1の入力ゲート電
極116、出力ゲート電極8およびリセットドレイン1
0には予め設定された所定の電圧が印加される。入力n
+浮遊拡散領域115はフロート状態である。また、n+
浮遊拡散領域11で検出される電位変動がOUTとして
示されている。そして、本実施形態では、図15から分
かるように、パルス電圧φH1’およびφH2’の周波数
が、パルス電圧φH1およびφH2の周波数の2倍であ
る。
【0026】バイアス電荷を入力n+拡散領域から第3
の入力ゲートに入力する方法は、第1の実施形態(図
2、3参照)においてパルス電圧φH1が印加される転
送電極61を、第3の入力ゲート電極118に置き換え
れば同様であるので説明を省略する。図16は、本実施
形態においてn+浮遊拡散領域11をリセットする方法
を説明する図であり、図15に示す時刻T1、T2、T
3、T4、T5における図14C−C’線に沿ったチャネ
ル電位が示されている。図16上部には、図14に示す
電荷転送素子の各部の符号が示されている。時刻T1
で、パルス電圧φIG3とφIG2が高電位となってお
り、第2の入力ゲート電極117下を通って第3の入力
ゲート電極118下にバイアス電荷が入力される。この
時パルス電圧φH2とφH1’とは共に高電位となってい
るので、信号電荷はφH2が印加される転送電極171
の下に留まっている。但し、前サイクルで転送された信
号電荷は、出力ゲート電極8と隣接しφH1’が印加さ
れる転送電極181下にある。時刻T2で、バイアス電
荷が第3の入力ゲート電極118下から転送電極191
下に転送されるとともに、前サイクルの信号電荷がn+
浮遊拡散領域11に転送され、信号電荷によるn+浮遊
拡散領域11の電位変動が検出される。時刻T3で、出
力ゲート電極8に隣接しφH1’が印加される転送電極
181下に、バイアス電荷が転送されるとともに、φH
2が印加される転送電極171下から、これと隣接しφ
H1’が印加される転送電極181下に、信号電荷が転
送される。時刻T4で、バイアス電荷がn+浮遊拡散領域
11に転送されて信号電荷に加算される。時刻T5で、
パルス電圧φRとしてリセットゲート電極9に高電位が
印加されて、n+浮遊拡散領域11がリセットされる。
【0027】図17(a)は本発明の第6の実施形態の
概略を示す平面図でリセット用電界効果トランジスタ付
近を示し、図17(b)はそのD−D’断面図である。
前記の実施形態の電荷転送素子と同一の構成には、同一
の符号が付与されている。信号電荷入力部は図示されて
いないが、バイアス電荷入力部122よりも図17右側
で電荷転送チャネルに入力される。本実施形態では、n
+浮遊拡散領域11をリセットするためのリセットゲー
ト電極が2つに分かれている。n+浮遊拡散領域11に
隣接する方が第1のリセットゲート電極91、リセット
ドレイン10に隣接する方が第2のリセットゲート電極
92である。前記各実施例ではリセットゲート電極に印
加される電圧φRが矩形波であったが(図18(a)参
照)、本実施形態では、図17に示すようにリセットゲ
ート電極が2つある電界効果トランジスタ125が設け
られ、図18(b)に示すように、矩形波でなく高電位
である時間が短く波形中に平坦な領域がない電圧印加が
行われる場合にも、所望の電位に設定することが出来
る。
【0028】この場合、2つあるリセットゲート電極9
1、92のうち、一方に前記各実施例と同様なタイミン
グで電圧φRが印加され、もう一方に一定の電圧が印加
される。こうすることで、リセット動作が、パルス電圧
φRの高電圧でのチャネル電位を基準とするのではな
く、一定の電圧が印加される方のリセットゲート電極の
下のチャネル電位を基準として行うことができ、後者の
チャネル電位と近い値となるようにn+浮遊拡散領域1
1のリセットを行うことができる。それによって、リセ
ット電位を安定させ得る。この方法について図19を参
照して説明する。図19は、本実施形態の電荷転送素子
(図17参照)のn+浮遊拡散領域11をリセットする
方法を説明する図である。図19の上部に各部の符号が
示されている。
【0029】図19(a)は第2のリセットゲート電極
92に電圧φRを印加し、第1のリセットゲート電極1
に定電圧を印加する場合の、図17のE−E’線に沿っ
たチャネル電位が示されている。実線はφRに高電位が
印加された場合のチャネル電位を示し、破線はφRに低
電位が印加された場合の第2のリセットゲート電極92
下のチャネル電位が示されている。φRのタイミングは
図2等で示したものと同じであるので省略する。図18
に示すように、φRは高電位時と低電位時との2つの状
態をとり、前記各実施例と同様に、高電位時にリセット
ゲートがオンとなりn+浮遊拡散領域11のリセット動
作が行われ、低電位時にはリセットゲートがオフとなり
リセット動作が行われないようにする必要がある。そこ
で、φRとして高電位印加される時に、第2のリセット
ゲート電極92下のチャネル電位が第1のリセットゲー
ト電極91下のチャネル電位よりも高くなるように設定
される。図19(a)では、第2のリセットゲート電極
92下のチャネル電位が、リセットドレイン電圧よりも
低くなっているが、リセットドレイン電圧が第1と第2
のリセットゲート電極下のチャネル電位の間にあっても
よい。
【0030】次に、この電圧設定方法について説明す
る。図17に示す電荷転送素子では、2つのリセットゲ
ートのチャネル寸法、ゲート絶縁膜構造、不純物プロフ
ァイルが同一なので、製造工程等のばらつきによらず、
ゲート電圧が同じであれば両チャネル電位は同じとな
る。つまり、プロセスのばらつきによるリセットマージ
ンを考える必要はない。従って、第2のリセットゲート
電極に印加する電圧φRの高電位を、第1のリセットゲ
ート電極の電圧よりも高めに設定すればよい。なお、図
19に破線で示されるように、低電位時には、第2のリ
セットゲート電極92下のチャネル電位がn+浮遊拡散
領域11のリセット電位よりも低くなる。n+浮遊拡散
領域11のリセット時間は、第2のリセットゲート電極
92下のチャネル電位が第1のリセットゲート電極91
下のチャネル電位よりも高くなっている時間である。
【0031】このように、電界効果トランジスタ125
のリセットゲート電極を2つ形成し、一方に常に一定の
電圧を印加することによって、他方に矩形波でない電圧
φRが印加されても、リセットゲートとして作用し得
る。また、他の電圧設定方法として、第1または第2の
リセットゲート電極下のチャネル寸法またはゲート絶縁
膜構造または不純物プロファイルを変化させ、同じゲー
ト電圧で、第1のリセットゲート電極91の下のチャネ
ル電位よりも第2のリセットゲート電極92の下のチャ
ネル電位の方が高くなるように設計して、第2のリセッ
トゲート電極92に印加する電圧φRの高電位を、第1
のリセットゲート電極の電圧と同じに設定する方法もあ
る。図19(b)に示すように、第1と第2のリセット
ゲート電極に印加するパルスや定電圧を前記の例と入れ
替え、第1のリセットゲート電極91にパルス電圧φR
を印加し、第2のリセットゲート電極92に定電圧を印
加する構成としても、詳述しないが、前記に説明した例
と実質的に同一の作用が得られる。
【0032】図20(a)は、本発明の第7の実施形態
の電荷転送素子の概略を示す平面図、図20(b)はそ
のF−F’線概略断面図である。信号電荷入力部は図示
していないが、信号電荷はバイアス電荷入力部122よ
りも図20右側から電荷転送チャネルに入力される。本
実施形態では、第2のリセットゲート電極94下のチャ
ネル幅が、リセットドレイン10に向かって広くなって
いる。チャネルの不純物プロファイルが同じである場
合、狭チャネル効果によりチャネル幅が小さい方がチャ
ネル電位が低くなる。第2のリセットゲート電極94に
パルス電圧φRが印加され、第1のリセットゲート電極
93に定電圧が印加される場合の、図20G−G’線に
沿ったチャネル電位が、図21に示されている。実線は
φRとして高電位が印加された場合のチャネル電位であ
り、破線はφRとして低電位が印加された場合の第2の
リセットゲート電極94の下のチャネル電位である。
【0033】第2のリセットゲート電極94の下の、電
荷転送方向のチャネル電位がリセットドレインに向かっ
て高くなっているので、パルス電圧φRが高電位から低
電位に変化する間に第2のリセットゲート電極94の下
に存在する電荷は、全てリセットドレイン10に掃き出
される。従って、電荷の振り分けノイズを抑制できる。
図20は第2のリセットゲート電極94下のチャネル幅
をリセットドレイン10に向かって広くしたが、逆に狭
くして第1のリセットゲート電極93方向にチャネル電
位が高くなる様にしてもよい。この場合には、φRパル
スが高電位から低電位に変化する間に、第2のリセット
ゲート電極94下に存在する電荷は、全てn+浮遊拡散
領域11に戻る。この場合でも電荷の振り分けノイズを
抑制できる。上記説明で第1と第2のリセットゲートの
チャネルの形状と印加する電圧を入れ替えても同様に電
荷の振り分けノイズを抑制できるのは明らかである。ま
たリセットゲート電極下のチャネル電位を傾斜させる方
法は、上記方法のほかゲート電極下の不純物プロファイ
ルやゲート絶縁膜厚を電荷転送方向に変化させる方法も
ある。
【0034】また、図21で第2のリセットゲート電極
94に高電位を印加した場合に、第1と第2のリセット
ゲートの接点で第2のリセットゲートのチャネル電位を
第1のリセットゲートよりも高くする方法は、図19で
説明したので省略する。以上の各実施形態では転送され
る電荷が電子の場合について説明したが、電荷が正孔の
場合には、n型とp型の不純物を入れ替え、印加する電
圧の向きを逆にすれば、同様の原理で本発明の効果を発
揮し得る。また、バイアス電荷入力方法は上述した方法
以外に限らず、前記した文献に記載されている他の方法
も同様に適用できる。出力部の浮遊拡散領域について
も、全体がn+で構成されている例を示したが、n領域
の中に一部n+領域を形成して浮遊拡散領域の容量を低
減した浮遊拡散増幅器にも適用できる。
【0035】本発明の電荷転送素子および電荷転送素子
の駆動方法によれば、リセット時のリセットゲート電極
下のチャネル電位をリセットドレイン電圧よりも高くし
なくても、確実にn+浮遊拡散領域を定電位にリセット
できるので、リセットゲート電極に印加するパルス電圧
にマージンを入れる必要がない。従って、歩留りを悪化
させずに駆動電圧の振幅を低下させることができる。
【0036】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の電荷転
送素子および電荷転送素子の駆動方法によると、リセッ
ト時のリセットゲート電極下のチャネル電位に誤差が生
じても、安定的に浮遊拡散領域の正常なリセットが行え
る。従って、リセットゲート電極に印加する電圧を必要
以上に大きくする必要がなく、歩留りを悪化させずに駆
動電圧の振幅を低下させることができる。また、構成が
簡単で製造コストを低く抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明の第1の実施形態の電荷
転送素子の概略を示す平面図、図1(b)はそのA−
A’線概略断面図である。
【図2】第1の実施形態のパルス電圧印加を示す説明図
である。
【図3】第1の実施形態のバイアス電荷入力部付近のチ
ャネル電位の概略を示す説明図である。
【図4】第1の実施形態の浮遊拡散領域付近のチャネル
電位の概略を示す説明図である。
【図5】第1の実施形態において、信号電荷とリセット
電位の変動との関係を示す第1の説明図である。
【図6】第1の実施形態において、バイアス電荷とリセ
ット電位の変動との関係を示す第2の説明図である。
【図7】第1の実施形態において、信号電荷とリセット
電位の変動との関係を示す第3の説明図である。
【図8】第1の実施形態において、バイアス電荷とリセ
ット電位の変動との関係を示す第4の説明図である。
【図9】第2の実施形態のパルス電圧印加を示す説明図
である。
【図10】第3の実施形態の電荷転送素子の概略を示す
平面図である。
【図11】第3の実施形態のパルス電圧印加を示す説明
図である。
【図12】第3の実施形態の浮遊拡散領域付近のチャネ
ル電位の概略を示す説明図である。
【図13】第4の実施形態の電荷転送素子の概略を示す
平面図である。
【図14】第5の実施形態の電荷転送素子の概略を示す
平面図である。
【図15】第5の実施形態のパルス電圧印加を示す説明
図である。
【図16】第5の実施形態の浮遊拡散領域付近のチャネ
ル電位の概略を示す説明図である。
【図17】図17(a)は第6の実施形態の電荷転送素
子の概略を示す平面図、図17(b)はそのD−D’概
略断面図である。
【図18】第6の実施形態のパルス電圧印加を示す説明
図である。
【図19】第6の実施形態の浮遊拡散領域付近のチャネ
ル電位の概略を示す説明図である。
【図20】図20(a)は、第7の実施形態の電荷転送
素子の概略を示す平面図、図20(b)はそのF−F’
概略断面図である。
【図21】第7の実施形態の浮遊拡散領域付近のチャネ
ル電位の概略を示す説明図である。
【図22】図22(a)は、従来の電荷転送素子の概略
を示す平面図、図22(b)はそのH−H’概略断面
図、図22(c)はその浮遊拡散領域付近のチャネル電
位を示す説明図である。
【符号の説明】
1、201 p型シリコン基板 2、202 n型ウェル(電荷転送チャネル) 3、203 p+チャネルストップ 4、204 n-領域 5、205 酸化膜 8、208 出力ゲート電極 9、209 リセットゲート電極 10、210 リセットドレイン 11、211 n+浮遊拡散領域 12、212 アンプ 14、114 入力n+拡散領域 15、115 入力n+浮遊拡散領域 16、116 第1の入力ゲート電極 17、117 第2の入力ゲート電極 18、121、123、126、218 電荷転送
部 19、122、124 バイアス電荷入力部 20、125 電界効果トランジスタ 61、62、71、72、161、162、171、1
72、173、 181、182、191、192 転送電極 91、93 第1のリセツトゲート電極 92、94 第2のリセットゲート電極 118 第3の入力ゲート電極 119 第4の入力ゲート電極
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年8月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正内容】
【図11】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図15
【補正方法】変更
【補正内容】
【図15】

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 信号電荷を転送するための電荷転送チャ
    ネルと、この電荷転送チャネルから転送される電荷を蓄
    積するための浮遊拡散領域と、この浮遊拡散領域を一定
    の電位にリセットするための電界効果トランジスタと、
    前記電荷転送チャネルまたは前記浮遊拡散領域に接続さ
    れバイアス電荷を入力するバイアス電荷入力部とを有す
    る電荷転送素子において、 前記電界効果トランジスタは、リセットゲート電極とリ
    セットドレインとを含み、転送される電荷が電子の場合
    に、前記浮遊拡散領域のリセット時における前記リセッ
    トゲート電極の下方のチャネル電位がリセットドレイン
    の電圧よりも低く、転送される電荷が正孔の場合に、前
    記浮遊拡散領域のリセット時における前記リセットゲー
    ト電極の下方のチャネル電位がリセットドレインの電圧
    よりも高いものであることを特徴とする電荷転送素子。
  2. 【請求項2】 前記リセットゲート電極と前記電荷の転
    送方向に隣接して並ベられるもう1つのリセットゲート
    電極を有する請求項1に記載の電荷転送素子。
  3. 【請求項3】 前記2つのリセットゲート電極下のチャ
    ネルの形状、ゲート電極膜構造および不純物プロファイ
    ルが等しい請求項1または2に記載の電荷転送素子。
  4. 【請求項4】 前記2つのリセットゲート電極のうち、
    いずれか一方の前記リセットゲート電極には一定の電位
    が印加され、他方の前記リセットゲート電極は所定のタ
    イミングで高電位と低電位とが切り替えられる請求項2
    または3に記載の電荷転送素子。
  5. 【請求項5】 前記2つのリセットゲート電極のうち、
    いずれか一方の前記リセットゲート電極の下方の前記電
    荷転送チャネルの電位が電荷転送方向に沿って傾斜して
    いる請求項2〜4のいずれか1項に記載の電荷転送素
    子。
  6. 【請求項6】 一方の前記リセットゲート電極の下方の
    前記電荷転送チャネルが、電荷転送方向に沿って次第に
    幅が広くなるように、または電荷転送方向に沿って次第
    に幅が狭くなるように形成されている請求項5に記載の
    電荷転送素子
  7. 【請求項7】 前記信号電荷が、前記バイアス電荷入力
    部よりも上流側で前記電荷転送チャネルに入力される請
    求項1〜6のいずれか1項に記載の電荷転送素子。
  8. 【請求項8】 前記電荷転送チャネルまたは前記浮遊拡
    散領域において、前記信号電荷に前記バイアス電荷入力
    部から入力された前記バイアス電荷を加算する請求項1
    〜7のいずれか1項に記載の電荷転送素子の駆動方法。
  9. 【請求項9】 前記浮遊拡散領域に、前記信号電荷と前
    記バイアス電荷とを交互に転送する請求項1〜7のいず
    れか1項に記載の電荷転送素子の駆動方法。
  10. 【請求項10】 前記浮遊拡散領域の電位を40mV以
    上変動させるバイアス電荷を入力する請求項1〜9のい
    ずれか1項に記載の電荷転送素子の駆動方法。
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