JPH10326027A - 転写シートと使用方法 - Google Patents

転写シートと使用方法

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JPH10326027A
JPH10326027A JP30557197A JP30557197A JPH10326027A JP H10326027 A JPH10326027 A JP H10326027A JP 30557197 A JP30557197 A JP 30557197A JP 30557197 A JP30557197 A JP 30557197A JP H10326027 A JPH10326027 A JP H10326027A
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Japan
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layer
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resin
paper
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Application number
JP30557197A
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English (en)
Inventor
Yuugo Shimada
有吾 嶋田
Junji Tada
純二 多田
Keiichi Nakatani
啓一 中谷
Shinjiro Iguchi
新次郎 井口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SHINZEN KK
Original Assignee
SHINZEN KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 接着性に優れた転写紙と車体への使用法なら
びに装飾用パネルの製造法を提供する。 【構成】 カルボキシル基を含有するウレタン樹脂系エ
マルジョンを転写層に塗布した転写シート

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子複写手段など
の画像形成装置により形成された絵柄トナー層、または
彩色材料で手描きした画像、字、模様などを転写対象基
材表面に転写するための転写シート、転写紙、転写材お
よびこの転写方法に関する。更に、詳しくは、ガラス
板、電球など曲面を含むガラス製品、車、モーターバイ
ク、車両、飛行機、屋外大型広告物などへの転写方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ウレタン樹脂をシリコン離型紙上
に塗布した転写材や、第1転写紙と第2転写紙の2枚の
転写紙を使用して絵柄トナー層を基材表面に転写する方
法(平成8年特許願第131306号)などが公知であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ここで
塗布されているウレタン樹脂はエマルジョンタイプのた
め、作業環境上および火災の危険性は解決されたもの
の、より鮮明な画像形成のため転写皮膜の表面固有抵抗
率の低下、転写対象基材表面への接着性の改善、カラー
コピー装置内のスムーズな通過のため転写紙の大気中放
置時の(表面と裏面の吸湿性の差異による)転写紙のカ
ールの防止、また、転写した皮膜の耐水性のさらに一段
の向上も期待されていた。また、車両、車、モーターバ
イクなどの曲面の車体や透明ガラス面では、転写対象面
と転写シートとの間に残存する微細空気泡の除去が解決
すべき問題として残されていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記問題
を解決すべく鋭意検討した結果、カルボキシル基含有ウ
レタン樹脂のヒドロキシアルキルアミン類の塩の使用に
よる表面固有抵抗値の低下、特定の架橋剤の併用と特殊
珪素化合物の使用による転写皮膜の耐水性の向上と裏面
の樹脂コーテイングによる転写紙のカールの防止を見い
だし、更に特殊活性剤、消泡剤および/または水溶性有
機溶剤からなる群からなる脱泡剤の水溶液を転写対象面
に塗布し、転写シートの剥離面を圧着・加温して微細な
空気泡を除去する方法を見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明は離型性シート上の転写層としてカルボ
キシル基を有するウレタン樹脂・アクリル樹脂のヒドロ
キシアルキルアミン類の塩の使用、エポキシ系またはイ
ソシアネート系架橋剤を併用すること、およびその裏面
をアクリルウレタン樹脂などの樹脂を塗布すること、特
殊配合からなる脱泡剤水溶液で転写対象面を予め湿潤さ
せておくことを特徴とする転写材、およびその転写方法
である。
【0005】本発明において用いられる離型性シートと
しては適度の離型性を有する薄膜状物質はすべて使用す
ることができる。基材としては紙、合成紙、プラスチッ
ク皮膜であり、離型層としてはフッソ樹脂、ワックス、
シリコン樹脂が挙げられるが、経済性の点からシリコン
樹脂であり、通常のシリコン離型紙が使用できる。通
常、片面または両面に目留め用のタルク、デンプンの表
面コートを施した紙で、坪料30g/m2 以上200g
/m2 以下の紙が用いられる。下記のように、樹脂エマ
ルジョンで離型紙面を処理する関係から、加工した転写
紙の室温放置した場合の皺の発生やカールの防止と
電子複写装置内を通過する時のトラブルの防止を目的
に、紙の裏面を樹脂処理したものを使用することが必要
である。樹脂の種類としてはアクリルウレタン樹脂など
が挙げられる。
【0006】本発明の転写層として使用されるカルボキ
シル基を有するウレタン樹脂はエマルジョン型が好まし
く、無黄変ウレタン樹脂で(1)脂肪族および/または
脂環式ジイソシアネート、(2)数平均分子量が500
〜5000のポリエーテルジオールおよび/またはポリ
エステルジオール、(3)低分子量ポリヒドロキシル化
合物および(4)ジメチロールアルカン酸の反応物で、
且つNCO/OH当量比が1.1〜1.9であるウレタ
ンプレポリマーを第3級アミンで中和、または中和しな
がら水伸長、乳化して得られる自己乳化型ウレタンエマ
ルジョンである(特開平1−287183など)。この
ウレタンエマルジョンのウレタン樹脂骨格に結合するカ
ルボキシル基をアンモニウム塩に転換する。
【0007】本発明のウレタンエマルジョンに使用され
る(1)脂肪族および脂環式ジイソシアネートとしては
ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメ
チルヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサ
ンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(I
PDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシ
アネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、
イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソ
シアネート、これらジイソシアネートの変性物(カルボ
ジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン含有変性物な
ど)が使用できる。
【0008】本発明のウレタンエマルジョンに使用され
る(2)数平均分子量が500〜5000、好ましくは
1000〜3000のポリエーテルジオールおよびポリ
エステルジオールとしては、例えばアルキレンオキサイ
ド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレン
オキシドなど)及び/又は複素環式エーテル(テトラヒ
ドロフランなど)を重合または共重合させて得られるも
の、例えばPEG(ポリエチレングリコール)、PPG
(ポリプロピレングリコール)、PTMG(ポリテトラ
メチレングリコール);ジカルボン酸(アジピン酸、セ
バシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸など)とグ
リコール類[EG(エチレングリコール)、PG(プロ
ピレングリコール)、1,4−ブタンジオールなど]と
の縮重合物、ポリラクトンジオール類(ポリカプロラク
トンジオールなど)が挙げられる。
【0009】本発明のウレタンエマルジョンに使用され
る(3)低分子量ポリヒドロキシル化合物としてはグリ
セリン、ペンタエリスリトール、1,1,1−トリメチ
ロールプロパン、および平均分子量が500未満であっ
て、上記ポリエステルジオール類の原料であるグリコー
ル類、およびそのアルキレンオキシド低モル付加物が挙
げられる。
【0010】本発明のウレタンエマルジョンに使用され
る(4)ジメチロールアルカン酸としては、例えばジメ
チロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロー
ル酪酸などが挙げられ、好ましくはジメチロールプロピ
オン酸である。ジメチロールアルカン酸の使用量は、カ
ルボキシル基(COOH)として、(〓)〜(〓)を反
応させてなるウレタンプレポリマー中0.5〜5.0重
量%、好ましくは1〜3重量%になる量である。カルボ
キシル基の量が0.5重量%未満では安定なエマルジョ
ンが得がたく、約1%で転写紙の転写樹脂層に使用して
ガラス、金属面に対する接着性の向上が見られるように
なる。しかし、このカルボキシル基の量が5.0重量%
を越えると、親水性が高くなるため、エマルジョンが著
しく高粘度となり、耐水性が低下する。本発明の該ウレ
タンエマルジョンで工業的に生産されているものはハイ
ドランAPシリーズ、APX−110(大日本インキ化
学工業)などが挙げられる。
【0011】本発明のウレタンエマルジョンのウレタン
樹脂骨格に結合するカルボキシル基の大部分が当初アン
モニウム塩であると、このエマルジョン、架橋材、ヒド
ロキシアルキルアミン類、その他の添加剤などの混合物
を塗工液として離型紙に塗布し、70〜130℃で乾燥
する。この熱処理のため、ウレタン樹脂のカルボキシル
基のアンモニウム塩のアンモニアは揮散し、遊離のカル
ボキシル基に転換し、ウレタン樹脂の耐水性は向上す
る。 揮散したアンモニアに代わって、予め塗工液に配
合されていた別記の化1で示されるヒドロキシアルキル
アミン類が遊離のカルボキシル基の一部とイオン結合で
結合し、化学的性質上導電剤として機能する。勿論の事
ながら、他の条件下(高温多湿の条件下、転写層中の金
粉・銀粉などの金属粉末フィラー含有)ではウレタン樹
脂のカルボキシル基をアンモニウム塩に転換する前の3
級アミン塩のままで使用できる。
【0012】本発明の転写層として使用されるアクリル
樹脂としては有機溶剤溶液も使用できるが、アクリル樹
脂粒子が水性媒体中に均一に分散したエマルジョンが好
ましい。これは分散安定剤の水溶液中でアクリル系単量
体をエマルジョン重合することによって得られる。分散
安定剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテルなどの非イオン界面活性剤、この非イオ
ン界面活性剤の硫酸エステル塩などのアニオン活性剤お
よび酸価20〜150、数平均分子量5000〜300
00の水溶性アクリル樹脂などが用いられる。ここで使
用されるアクリル系単量体としては、例えばメチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロ
ピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどのア
クリル酸もしくはメタアクリル酸と炭素数1〜20の1
価アルコールとのエステル化物;エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジ(メタ)ア
クリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリ
レート、アリル(メタ)アクリレート、トリ(メタ)ア
クリル酸トリメチロールプロパンなどのアクリル酸もし
くはメタアクリル酸と炭素数2〜16の2価以上のアル
コールとを反応してなる1分子中に2個以上の重合性二
重結合を有する化合物;ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレートなどのヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸
アルキル(C2 〜C16)などから選ばれた1種もしくは
2種以上を使用することができる。
【0013】これらのアクリル系単量体に、共重合性単
量体を併用することができ、この単量体としては、例え
ば(メタ)アクリル酸などのモノカルボン酸、マレイン
酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸またはこ
れらの半エステル化物などのα、β−エチレン性不飽和
カルボン酸;N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミ
ド、グリシジル(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸
ビニルなどが挙げられる。本発明のアクリル樹脂エマル
ジョンはアンモニア、第3級アミン類で中和して用いら
れる。このアクリル樹脂エマルジョンは後述するよう
に、主として、耐水性が要求される自動車、バイクの車
体やタイルへの転写の第2転写紙として使用され、この
転写紙が電子複写装置を通過することはあまりないの
で、この転写紙の表面固有抵抗値を考慮する必要はない
と思うが、転写紙の導電性の点で、下記のヒドロキシア
ルキルアミン類の塩としての使用が勧められる。
【0014】本発明の、特にカルボキシル基含有ウレタ
ン樹脂の塩生成に用いられるヒドロキシアルキルアミン
類は、別記一般式化1で示されるポリまたはモノ(ヒド
ロキシアルキル)アミン類である。このヒドロキシアル
キル基は2−ヒドロキシエチルまたは2−ヒドロキシプ
ロピル基であり、同一分子内の他のアミノ基(1級、2
級、3級)と共に空気中の湿気を引き寄せ、転写紙に導
電性を付与する重要な置換基であり、同一分子中に含有
されるこのヒロドロキシアルキル基の数とアミノ基は重
要な導電性機能因子である。概念的には1分子中にN原
子1個、2個または3個有するアルキルアミン、N−ア
ルキル置換または未置換のポリアルキレンポリアミンの
エチレン−またはプロピレン−オキシド付加物である。
【0015】1分子中にN原子1個を有するモノまたは
ポリ(ヒドロキシアルキル)アミン類としては: アルカノールアミン類:[モノエタノールアミン、ジエ
タノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロ
パノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソ
プロパノールアミン]。 N−置換アルカノールアミン類:N−メチルジエタノー
ルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N
−ジエチルエタノールアミン、N−シクロヘキシルジエ
タノールアミンなど。N原子2個を有するポリまたはモ
ノ(ヒドロキシアルキル)アミン類としてはエチレンジ
アミンのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの
反応物、例えばモノ〜テトラキス(2−ヒドロキシエチ
ル)エチレンジアミン、モノ〜テトラキス(2−ヒドロ
キシプロピル)エチレンジアミンなど。N原子3個を有
するポリまたはモノ(ヒドロキシアルキル)アミン類と
してはジエチレントリアミンのエチレンオキシドまたは
プロピレンオキシドの付加物、例えばモノ〜ペンタ(2
−ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、モノ〜ペ
ンタ(2−ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン
などが挙げられる。特に好ましいものはトリエタノール
アミンおよびテトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エ
チレンジアミンである。ちなみにトリエタノールアミン
の沸点は360℃(1気圧)と高沸点である。上記のヒ
ドロキシアルキルアミン類以外にアンモニアや他の3級
アミン類も併用できる。たとえばトリアルキルアミン類
(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピル
アミンなど)、N−アルキルモルホリン(N−メチルモ
ルホリン、N−エチルモルホリンなど)である。本発明
のヒドロキシアルキルアミン類の使用量はカルボキシル
基1当量に対して通常0.25〜1.5当量,好ましく
は0.7〜1.0当量である。
【0016】本発明の転写層としてウレタン樹脂および
/またはアクリル樹脂と共に使用されるポリエステル樹
脂としては、アクリル樹脂と同様に、転写した場合の最
外層となるようセットされ、耐水性、耐薬品性の向上の
ために用いられる。ポリカルボン酸類とポリヒドロキシ
ル化合物の脱水反応物:ポリエステル化合物である。ポ
リカルボン酸類としてはジカルボン酸(アジピン酸、セ
バシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸など)、ト
リカルボン酸(トリメリット酸など)、ポリカルボン酸
(1,2,3,4−ブタン−テトラカルボン酸など)が
挙げられる。ポリヒドロキシル化合物としてはグリコー
ル類[エチレングリコール(EG)、プロピレングリコ
ール(PG)]1,4−ブタンジオール、グリセリン、
ペンタエリスリトール、1,1,1−トリメチロールプ
ロパン、ポリラクトンジオール類(ポリカプロラクトン
ジオールなど)、アルキレンオキシド類[エチレンオキ
シド(EO),プロピレンオキシド(PO)]および/
または複素環式エーテル(テトラヒドロフランなど)を
重合または共重合させてえられるもの、上記のEO、P
O付加物が挙げられる。分子量としては1,000〜
1,000,000、好ましくは5千〜5万、特に好ま
しくは1万〜3万である。市販品の例としては東洋紡の
バイロン200やバイロン300が挙げられる。
【0017】本発明においては本発明の該ウレタン樹脂
および/またはアクリル樹脂と共に別記一般式化2で示
される有機珪素化合物が使用される。R6 のアルコキシ
基の加水分解により生成するシラノール基により、たと
えばガラス表面のSi−OHとの脱水反応によりガラス
と結合し、一方、Xで示される官能基により共存するポ
リマーの活性水素、カルボキシル基、ウレタン結合など
と結合し、高分子皮膜とガラスの接着性を強固にする。
これらの化合物としてはγ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)
−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−ア
ミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。こ
れら有機珪素化合物の配合によりガラス面に転写した転
写皮膜の耐水性、耐薬品性は一段と向上する。これは他
の配合物と一緒に塗工液の転写層の塗布工程、ならびに
転写対象の基材表面への転写工程の熱処理条件で、ガラ
スとポリマーの両者に反応するものと思われる。通常、
樹脂分の0.1〜2.0重量%使用。
【0018】本発明に用いられるエポキシ系架橋剤は1
分子中に少なくとも2個または2個以上のエポキシ基、
オキシラン基を有する化合物であり、グリシジルエーテ
ル、グリシジルエステル基を有する各種エポキシ化合物
を挙げられる。好ましくは脂肪族系エポキシ化合物、特
に好ましくは水溶性多価ヒドロキシ化合物のポリグリシ
ジルエーテル化合物である。例えば、グリセリン、ポリ
グリセリン、トリメチロールプロパン、1,6−ヘキサ
ンジオール、ネオペンチールグリコール、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、ポリエチレン(または
ポリプロピレン)グリコール、ソルビタン、ソルビトー
ルとエピクロールヒドリンの反応物で遊離のヒドロキシ
ル基を含有していてもよい。更に特に好ましくはソルビ
トールとエピクロールヒドリンの反応物であり、ソルビ
トールテトラグリシジルエーテルである。通常、樹脂分
の0.1〜2.0重量%使用。 これらのエポキシ系架
橋剤は水に対する親和性も良く、エマルジョン型の高分
子とも相溶性も優れ、このエポキシ基はウレタン樹脂の
ウレタン結合、尿素結合、カルボキシル基などと結合
し、この樹脂皮膜の耐水性、耐薬品性は向上する。3級
アミン系エポキシ硬化促進剤、たとえば2,4,6−ト
リス(ジメチルアミノメチル)フェノールの併用も勧め
られる。
【0019】本発明に用いられるイソシアネート系架橋
剤は1分子中に少なくとも2個または2個以上のイソシ
アネート基を有する無黄変タイプの脂肪族ならびに脂環
式化合物とその2量体や3量体である。通常、樹脂分の
0.1〜2.0重量%使用。無黄変タイプの脂肪族・脂
環式化合物としてはヘキサメチレンジイソシアネート
(HMDI)、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソ
シアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,
4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチ
ルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソプロピリデ
ンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネートなど
であり、これら無黄変タイプのジイソシアネートの変性
物(カルボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン含有
変性物など)も含まれる。好ましくはHMDI、IPD
Iのそれぞれ単独または混合のビウレット型またはイソ
シアヌレート型の3量体である。特に好ましくはメタノ
ール〜イソプロパノールの一価アルコール類、ポリエチ
レングリコール(MW200〜1000)の二価アルコ
ール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビ
トール、トリエタノールアミンなどの多価アルコール類
のOHへのエチレンオキシド付加物(A)とHMDIま
たはIPDIおよびこれらNCO化合物の上記ビウレッ
ト型・イソシアヌレート型の3量体(B)との末端NC
O基含有反応物で水性樹脂エマルジョンと併用する点で
好ましい。通常、樹脂の0.1〜2.0%使用する。エ
ポキシ系架橋剤と同様に樹脂皮膜の耐水性、耐薬品性向
上に寄与する。
【0020】シリコン離型紙上に本ウレタンおよび/ま
たはアクリルの樹脂層を形成させる方法は、各種塗工機
を使用してウレタンおよび/またはアクリルのエマルジ
ョンまたは溶液を離型紙上に塗布し、乾燥させれば良
い。この時空気の泡の樹脂層への混入を避け、均一な樹
脂膜を生成するように、レベリング剤や消泡剤の添加が
好ましい。その他の本発明の樹脂への添加物としては、
酢ビ−系、塩ビ−系、EVA−系などの合成樹脂、それ
らのエマルジョン、粘弾性調整剤、増粘剤、分散剤、有
機および無機フィラー、UVアブゾーバー、ヒンダード
アミン、酸化防止剤などが挙げられる。
【0021】鮮明な画像形成とカラーコピー装置内をス
ムーズに通過させるために、本発明の転写紙の裏面にも
非水溶性高分子樹脂、例えば、アクリルウレタン樹脂な
どの樹脂を塗布することが必要である。紙は本来、吸湿
性を有しているため、表面を離型層、転写層で覆えば、
それらの樹脂皮膜により吸湿性を失う、一方裏面が無処
理であれば、紙の性質上空気中の湿気を吸収して膨潤す
る。表面が吸湿せずにその形状を保ち、裏面が吸湿して
膨潤すると、当然、この紙は表面を内側に巻き込んだ形
にカールする。したがってカールを防ぐには、表面と裏
面の吸湿性を同じ程度に保つことが必要である。そのた
めに裏面にアクリルウレタン樹脂などの樹脂を塗布す
る。転写紙全面に、そして紙の内部まで浸透するように
樹脂を塗布することが肝要である。また滑剤、スリップ
剤、レベリング剤、ジメチルシロキサン系消泡剤の添加
も肝要である。本発明の転写紙の裏面のコーテイングに
用いられるアクリルウレタン樹脂塗料としては、例え
ば、アクリルポリオール(ヒタロイド3012−X、日
立化成工業製)とビウレット型ヘキサメチレンジイソシ
アネート系ポリイソシアネート(デュラネート24A−
100、旭化成工業製)の2液タイプの塗装材が挙げら
れる。高分子樹脂を有機溶剤に溶解した塗装材と異な
り、二液の低分子化合物が転写紙の裏面に充分浸透した
後、室温放置または加熱により二液成分が高分子樹脂に
重合するので好ましい。
【0022】転写紙の転写層の層構造について 転写紙の表面の転写層は通常一層の樹脂層よりなる、た
とえば(2−1)。二層の樹脂層を有する転写紙は後記
の(2−2)の転写紙2枚の使用例の第2転写紙または
第1転写紙で示され、この下層(接着層)には該ウレタ
ンもしくはアクリル樹脂の軟化点のやや低い約70〜1
20℃の樹脂が使用される。転写対象が繊維、自動車、
バイクなどの車体の塗装金属面の場合である。第2転写
紙のフィラー含有もしくは第1転写紙のクリアー層にお
ける上層の樹脂層は80〜200℃の軟化点であること
が好ましい。(2−3)の転写紙2枚の使用例の第2転
写紙の下層が白色フィラー含有で透明ガラスを対象とし
た場合を例にあげると、第2転写紙の下層が該ウレタ
ン、アクリル、ポリエステルまたは架橋剤を併用し耐水
・耐薬品性を向上した樹脂層であり、上層には該ウレタ
ン、アクリル、ポリエステルの樹脂層が使用される。し
たがって、画像形成装置により画像を形成した第1転写
紙と第2転写紙を接着一体化させ、第1転写紙の離型紙
を剥離した第1転写紙がガラスの裏面と接着し、トナ
ー、クリアー層、白色層と順次積層され、最外層が白色
フィラー層となる。
【0023】1.転写紙1枚の使用例 本発明の転写においては、転写紙1枚を使用し、表面の
転写層に電子写真複写装置(カラーコピー機)で画像を
写すなり、絵の具、マジック、クレヨンなどの彩色材料
で手書きした絵や字を、タイル、ガラス、紙、布の転写
対象物に転写する場合、手書きした絵や字が左右が反対
なる点を除いて、とくに問題はない。一般タイル、セラ
ミックタイル、釉薬無しの内装用半磁器タイルの場合に
は転写対象面を樹脂の軟化点以上(表面温度で約80
℃)に加熱し、画像形成された転写紙面を転写対象面に
密着させる。または工業用ヒートプレス機で熱圧着させ
てもよい。放冷後、離型紙を除去した後、再度、樹脂の
軟化点以上の約100℃以上の雰囲気下で焼成する。こ
の期間に樹脂はタイルの細孔に浸透し、樹脂の溶融によ
り画像表面は平滑になり、艶が出てくる。本用途に使用
する転写紙の樹脂には特に酸化防止剤や紫外線吸収剤の
添加が好ましい。
【0024】2.転写紙2枚の使用例 2枚の転写紙を使用する4例を以下に列挙する。 (2−1)転写紙2枚を使用する。第1転写紙は該ウレ
タン樹脂を、第2転写紙にはアクリル樹脂(またはポリ
エステル樹脂)を塗布したものを使用する。(第1転写
紙を2枚使用してもよいし、第2転写紙を2枚使用して
もよい。)2枚の転写紙を対面・積層し、加熱加圧して
一体化した後、どちらかの離型紙を剥離し、剥離した面
を転写対象面に合わせて加熱圧着すればよい。
【0025】(2−2)該ウレタン樹脂あるいはアクリ
ル樹脂(またはポリエステル樹脂)、またはアクリル樹
脂(またはポリエステル樹脂)・ウレタン樹脂と順次塗
布した第1転写紙と、別に、接着層(下層)として該ウ
レタンまたは/およびアクリル樹脂(またはポリエステ
ル樹脂)層を有し、その上層に有機または無機のフィラ
ーを含有する(場合によって含有しない)樹脂層を有す
る第2転写紙を準備し、第1転写紙に電子複写手段によ
り絵柄トナー層を形成、または第2転写紙に彩色材料で
手描きした後、第1転写紙と第2転写紙の上面を対面・
積層し、加熱加圧して2枚の転写紙を接着一体化させた
後、第2転写紙の離型紙を剥離し、剥離した面を基材表
面と接するように配置させた後、加熱加圧を行い、その
後、第1転写紙の離型紙を剥離する絵柄転写方法であ
る。(図1) 転写対象の基材としては、一般衣類の繊
維製品、皮製品、木製品、下記の無機質表面、金属面、
およびこれらの塗装面、合成樹脂面などである。タイ
ル、セラミックボード、陶板などの無機質板、鉄、銅、
アルミなどの金属板、ポリエステル、ポリアクリル、P
ETなどのプラスチック板などを挙げることができる。
さらに、転写対象の基材が塗装金属面、たとえば自動
車、バイク、自転車などの車体も対象となる。この場
合、第1転写紙の樹脂層は最終的には最外装となるた
め、アクリル樹脂または架橋剤を併用した樹脂層(また
はポリエステル樹脂層)を有するものが好ましい。
【0026】(2−3)上記の第1転写紙とは別に、下
層として有機または無機のフィラーを含有する(場合に
よっては含有しない)該ウレタンまたは/およびアクリ
ル樹脂層、または架橋剤を併用した樹脂層(またはポリ
エステル樹脂層)を有し、その上層にフィラーを含有し
ない透明な該樹脂層を有する第2転写紙を準備し、第1
転写紙に電子複写手段により絵柄トナー層を形成、また
は第2転写紙に彩色材料で手描きした後、第1転写紙と
第2転写紙の上面を対面・積層し、加熱加圧して2枚の
転写紙を接着一体化させた後、第1転写紙の離型紙を剥
離し、剥離した面が転写対象基材表面と接するように配
置させた後、加熱加圧を行い、その後、第2転写紙の離
型紙を剥離する絵柄転写方法である。(図2)転写対象
基材が透明性を有するガラスやプラスチックが使用され
てもよいが、ガラス板を使用するのが好ましい。この場
合、安全性および強度面から、耐熱強化ガラスおよび熱
処理ガラスを使用するのが好ましい。また、乱反射を防
ぐため、転写面の裏面のエンボス模様は、全面に均一に
形成されているのが好ましく、梨地またはそれに近い凹
凸模様であるのが良い。この場合には、第2転写紙の下
層の有機または無機のフィラーとしては上記(2−2)
の第2転写紙の上層に使用されるフィラーはすべて用い
ることができるが、特に白色顔料が好ましく、純白に限
られるものではなく、有色、金色、銀色であっても良
い。 (2−4)自動車・バイクなどの車体への転写や耐水・
耐薬品性を重視した装飾用透明ガラス板作成の場合、下
層にアクリル樹脂(またはポリエステル樹脂)を有する
第2転写紙の使用が最適であり、操作は2−3と同様で
ある。(図3)
【0027】本発明の転写材のカルボキシル基を有する
ウレタン樹脂およびアクリル樹脂(またはポリエステル
樹脂)層はシリコン離型紙との接着性も良く、強靱で適
度の可撓性を有する皮膜であり、カラーコピー中に電子
写真複写機内で剥離したり、接触する複写機部品と接着
し、トラブルをおこすことはない。用途によっては、ウ
レタン結合、カーボネート結合や尿素結合の含有率のよ
り高い本発明のウレタン樹脂に変性するとか適当なアク
リル樹脂の併用により樹脂の軟化点を上げるとか表面硬
度や耐水・耐薬品性を向上させることも必要である。
【0028】本発明における画像層とは一つは第1転写
紙上に電子写真装置により形成されるトナー像であり、
スチレン−アクリル共重合体、スチレン−ブタジエン共
重合体、エポキシ、ポリエステルなどの樹脂を主体とす
るバインダー樹脂にカーボンブラックの他、イエロー、
シアン、マゼンタなどの染顔料を含む電子写真用トナー
により転写層上に形成される。画像層のもう一つは、主
として第2転写紙上に絵の具、マジック、クレヨンなど
の彩色材料で手描きした絵や字で表された像である。第
1転写紙に手書きしてもよいが、左右が逆の左文字とし
て出てくる。本発明の2枚の転写紙を使用する場合、ト
ナー像または手描きの全部または一部の代わりに、両紙
の間に、切り紙・ちぎり絵のような紙の切片、薄い布な
ど薄い装飾物をはさみ込むこともできる。
【0029】本発明の請求項3および請求項5のヒドロ
キシアルキルアミン類が前述のごとく、導電剤として機
能するが、更に別の種類の導電剤の添加を妨げるもので
はない。カチオン系、ノニオン系(あるいはアニオン
系)導電剤・耐電防止剤が好ましい。望ましい転写層の
表面固有抵抗率は20℃、65%RHの条件で、108
〜10 13 、好ましくは109 〜10 12 Ω/□であ
る。
【0030】本発明に係る転写材は従来の転写材と同様
の対象物に使用できる。即ち、一般衣類の繊維製品、皮
製品、木製品、下記の無機質表面、金属面と、無機質面
・金属面の塗装面、および合成樹脂面などである。転写
方法は転写面に転写紙を接触させて、加圧・加熱すれば
良い。以下に詳述するが第1転写紙と第2転写紙の二枚
の転写紙をラミネート(張り合せ)する時には、各種ラ
ミネーター(例えば、日本オフィスラミネーター(株)
製造のラミパッカーLPD320)も使用できる。 場
合により圧力と温度は家庭用のハンデ ーアイロン、ま
たは、より高温・高圧で均一な条件を必要とする場合に
は、工業用ヒートプレス機およびその他の加熱装置など
が利用できる。また熱源として赤外線・遠赤外線照射も
利用できる。
【0031】(2−2)における第1転写紙は、上記の
転写紙1枚使用の(1)、実施例の塗工液の配合処方、
転写紙の製造において詳述した通りである。第2転写紙
は第1転写紙の転写層を下層として使用できるが、基材
に対する接着層として比較的軟化点の低い該樹脂を使用
することが好ましい。その上層に有機または無機のフィ
ラーを含有する(場合によっては含有しない)該樹脂層
を有する。この上層の樹脂は下層の樹脂と同じで良い
が、転写対象物が洗濯やタンブラー乾燥など比較的高温
度乾燥・機械的衝撃を受けるT−シャツや厚手のトレー
ナーなどの場合(A)や、転写紙より基材表面へ転写の
加熱加圧の温度の高い場合(B)においては、軟化点の
比較的高い(ウレタン樹脂の場合はウレタン結合や尿素
結合に富める)樹脂が好ましい。またウレタン樹脂とア
クリル樹脂の併用も勧められる。電子複写装置を使用し
て画像を形成する場合、トナーの約9割を占めるトナー
用バインダーの溶融温度は通常150℃位であるので、
この温度より低い軟化点の樹脂を使用した場合、トナー
バインダーの画像が固状を保っている温度で、既にまわ
りの樹脂が溶融して流動を開始する。そのため、トナー
画像が溶融樹脂で覆われ、画像の埋没・潜り込みが見ら
れる。従って、高軟化点樹脂が好ましい。特に、条件
(A)と(B)の場合、また第1転写紙の転写層につい
ても同様である。この場合、軟化点の比較的高い樹脂の
軟化点は、好ましくは120℃以上、特に好ましくは1
50℃以上200℃以下である。ウレタン樹脂の軟化点
を上げるには、上述のごとく、ウレタン−および尿素結
合の含有量を増加させるため、NCO/OH当量比を保
持しつつ(2)のポリエーテルおよびポリエステルジオ
ールの使用部数を減らし、(3)の低分子量ポリヒドロ
キシ化合物の使用量を増加することや、1,1,1−ト
リメチロールプロパンなどの三官能ポリオール類を併用
する。また、NCO含量の比較的高い末端NCOプレポ
リマーの水伸長反応、カーボネート結合の導入が考えら
れる。軟化点と共に耐溶剤も向上する場合もある。 第
2転写紙は下層として、本発明のウレタンエマルジョン
層を塗布・乾燥した後、上層としてフィラー入りウレタ
ンエマルジョンを塗布する。
【0032】第2転写紙の上層に使用されるフィラーは
顔料、金属微粉末を指し、二酸化チタン、ペースト状二
酸化チタン(ねりチタン)のような白色顔料、その他各
種有色顔料が使用でき、また金属粉末としては平均粒度
が0.2〜50μmの各種金粉、銀粉、洋金粉、耐食性
洋金粉、エルジー、アルミフレーク、ケミカルホイル、
SCパウダー、アルミニウム粉、パール粉、エージーパ
ウダー、代用消、絵画用金銀泥類、優輝金粉、優輝泥、
導電性銀材料、金銀ペーストなどが使用でき、2種以上
をブレンドしても良い。水系のエマルジョンを使用する
時は、顔料・フィラーの変色や褪色が避けられるメリッ
トがある。
【0033】上層に顔料や金属微粉末、例えば二酸化チ
タン粉末や金粉やアルミニウム粉を配合する場合には、
樹脂固形分100重量部に対して10〜500重量部が
混入され、薄色地の基材表面の場合には20〜100重
量部混入すれば良いが、濃色地の基材表面の場合には5
0〜500重量部混入することが好ましく、それぞれ白
色、有色、金色、銀色の樹脂層を有する第2転写紙が形
成できる。金粉やアルミニウム粉を添加する場合、粒度
の大きさの異なるものや色目の異なるものを混合する
と、反射率の異なった第2転写紙が形成できる。上層の
膜厚としては5〜40μmが好ましく、特に10〜25
μmが好ましい。かくして、顔料や金属微粉末の種類を
選択することによって、白、金、銀その他、各種の色地
の第2転写紙を製造することができる。
【0034】この(2−3)の実施方法や工程は、第2
転写紙の下層にフィラー入りアクリル樹脂層(またはウ
レタン樹脂層)があり、上層に透明樹脂層がある点、お
よび第1転写紙のシリコン離型紙を剥離してガラス/透
明板と接着させる点が(2−2)とは異なるが、そのほ
かの点については(2−2)の実施方法や工程とほぼ同
じである。この(2−3)で転写対象基材がガラスであ
る場合、ガラスの裏面に対し第1転写紙の樹脂層、絵柄
層、次いで第2転写紙の透明層、フィラー入り樹脂層と
なり、絵柄層は第1転写紙の樹脂層と第2転写紙の透明
層の間に挟持された状態となり、ガラスと一体化され
る。
【0035】ガラス板の場合、このようにして出来たサ
ンドイッチパネルは、ガラスと白色顔料層の間に画像を
保持し、外壁をガラスとした装飾用パネルとして有用で
ある。特に外壁にエンボスを施した透明板では光が乱反
射され、全体に穏やかな外観を有する装飾板となる。同
様に、第2転写紙に透明樹脂層のみからなるクリアータ
イプを使用した場合、透過する光を透して画像が浮き上
がったステンドグラス風の装飾ガラス板ができる。
【0036】上記に詳述した転写方法のマニュアルは1
枚の転写紙の転写層の樹脂層をアイロン、やヒートプレ
ス機で転写対象物に熱圧着する、2枚の転写紙を使用す
る場合2枚の転写紙をラミネーターを用いて1枚に熱圧
着する。これらの熱圧着は比較的小規模のスケールでは
充分満足すべきものであった。しかしながら、乗用車、
バス、モーターバイク、自転車、列車、艦船、ボート、
航空機、飛行船、ロケット、電球を含むガラス製品、お
よび芸術品絵画の透明ガラスタイル(ステンドガラス
風)、屋外大型看板などへの転写では、転写対象面が曲
面(はたは凸凹)があるので圧力がかけ難い。熱容量の
大きい対象面では適当な加熱方法がなかった。転写樹脂
層と対象面の間の微細な空気泡の除去が極めてむつかし
いなどの問題点があった。この問題点解決のため検討の
結果、特定の活性剤、特定の非イオン活性剤、特定の消
泡剤からなる脱泡剤組成物の水溶液、または脱泡剤組成
物の水溶性アルコール類またはケトン類の水溶液(以下
脱泡剤液という)で転写対象面で濡らしておき、濡れた
湿潤状態で転写シートの剥離面を密着させ、特に赤外線
あるいは/および遠赤外線照射の加温下、物理的圧力で
微細な空気泡を排除することが非常に有効であることが
実証された。
【0037】本発明に用いられる浸透剤として機能する
活性剤のポリオキシエチレングリコール系非イオン活性
剤としてはポリオキシエチレングリコールノニルフェノ
ールエーテル類が挙げられる。単純なポアッソン分布を
するとしたエチレンオキシド付加モル数として、界面活
性性がピークになるのは9.5モルである。しかし、驚
くべきことには、エチレンオキシド付加モル数として、
7.5と11モルのほぼ等量混合物が、9.5モル単一
物より、更に、界面活性性(ここでは微細空気泡の脱泡
性能)が優れる。また、同じタイプの非イオン活性剤の
ジノニルフェノールのエチレンオキシド付加物も本質的
に水溶液の泡立ちが少ない点で好ましい。ポリオキシエ
チレングリコールアルキルエーテル系非イオン活性剤と
してはポリオキシエチレングリコールトリデシルエーテ
ルでエチレンオキシド約6モル付加物が好ましい。これ
らの非イオン活性剤は低濃度で有効である点が好まし
い。アニオン系活性剤ではスルホコハク酸ジ−2−エチ
ルヘキシルエステルNa塩が好ましい。
【0038】フッ素系界面活性剤はアニオン、非イオ
ン、カチオン、両性、いずれも低濃度での表面張力低下
能の点で好ましいが、特にフルオロアルキルポリオキシ
エチレンエーテルの非イオン系やフルオロアルキルベン
ゼンスルホン酸Naのアニオン系は通常の活性剤の1/
10の使用濃度で充分な表面張力低下能を有し、耐熱性
に優れている。他のフッ素系アニオンとしてはフルオロ
アルキルカルボン酸Na、フルオロアルキルホスホン酸
Na、N−パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン
酸ジNa、3−[フルオロアルキル(C6 〜C11)オキ
シ]−1−アルキル(C3 〜C4 )スルホン酸Na、3
−[ω−フルオロアルカノイル(C6 〜C 8 )−N−エ
チルアミノ]−1−プロパンスルホン酸Na、パーフル
オロアルキル(C6 〜C10)−N−エチルスルホニルグ
リシン塩、リン酸ビス(N−パーフルオロオクチルスル
ホニル−N−エチルアミノエチル)、モノパーフルオロ
アルキル(C6 〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙
げられる。他のフッ素系非イオンとしてはパーフルオロ
オクタンスルホン酸ジエタノールアミドなどが挙げられ
る。
【0039】水溶液の泡立ちが問題となれば、消泡剤の
併用が好ましい。消泡剤としてはポリジメチルシロキサ
ン類、ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン
類、低HLB活性剤あるいはこれらの混合物のいずれで
も使用できる。また、消泡剤として一般式化3で示され
るアセチレングリコール類が昇華性を有するため、(第
2)転写シートの離型シートの剥離した後の加熱処理に
より容易に系外に除去できる点で好ましい。アセチレン
グリコールとしては1,2−ビス(α−ヒドロキシ−
α,γ−ジメチルブチル)−アセチレン、1,2−ビス
(α−2’−ヒドロキシエチル−α,γ−ジメチルブチ
ル)−アセチレンが挙げられる。
【0040】本発明の脱泡剤組成物に用いられる低級ア
ルコール類と低級ケトン類としてはメタノール、エタノ
ール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノールお
よびブタノール類、メチルエチルケトン、シクロヘキサ
ノンが挙げられる。
【0041】本発明の脱泡剤組成物の水溶液を転写対象
表面に塗布・スプレーし、湿潤状態で(離型シートの剥
離した)転写シートを密着させると、脱泡剤を構成する
各組成物は転写対象面に対しても、転写シート面(転写
剥離面)に対しても、出来る限り小さい接触角になるよ
うに働く。結果として、転写対象面と転写シート面はこ
の水溶液の1分子膜を仲介として、ピッタリと張り付い
た状態となり、両面の間に存在できる空気泡は最低とな
る。この状態でヘラやスキージで物理的に泡を除去しよ
うとすると、見た目には泡はなくなる。水単独の表面張
力は約70ダイン/cmを上回るが、水溶性低級アルコ
ール類と低級ケトン類のみの(活性剤を含有していな
い)水溶液は約30ダイン/cmのレベルに低下し、こ
こへ浸透力の強い(接触角の小さい)活性剤の添加で更
に表面張力は低下し、空気泡は実際には極めて細かい泡
として存在はするが、泡として目視出来なくなるまでに
除去できる。この脱泡剤組成物の水溶液を転写対象表面
に塗布する前後の操作は従来の操作と同じでよい。赤外
線・遠赤外線の加温下に行うことが勧められる。
【0042】本発明における画像層とは電子写真装置に
より形成されるトナー像であり、スチレン−アクリル共
重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エポキシ、ポ
リエステルなどの樹脂を主体とするバインダー樹脂にカ
ーボンブラックの他、イエロー、シアン、マゼンタなど
の染顔料を含む電子写真用トナーにより転写層上に形成
されたものである。また、インクジェット方式の画像形
成装置では染料インキが主体であったが、昨今では顔料
インキを使用する”ゼナ”が発売されるようになった。
従来の転写紙では離型紙上に澱粉、デキストリン、ポバ
ールなどの水溶性糊材を塗布したものがあり、この種類
の転写紙を用いて電子複写手段の画像形成装置により転
写紙上に画像層を形成させ、転写対象面に画像トナー層
を貼り付け、低級アルコール類またはそれらの水溶液な
どを含浸・浸透させて、水溶性糊材を除去し、画像層の
みを転写対象面に残す転写法があった。(特開平4−3
61086、特開平8−305064など)この方法で
は転写された画像のトナ−の強度が弱く、この点が問題
とされてきた。この場合、赤外線・遠赤外線の照射で加
熱すると、思いがけないことには、画像トナー層の樹脂
の重合のためか、トナ−の硬度・強度が大幅にアップす
る。赤外線・遠赤外線の照射で転写した画像トナーの樹
脂層の硬度・強度が改善されることは、我々の最初の発
見である。特に、転写対象面が曲面(はたは凸凹)であ
る画像層では赤外線・遠赤外線の照射が最適の加熱方法
である。バス、乗用車、列車などの車体、冷蔵庫などの
家電製品への転写は大型加熱装置に入れることも考えら
れるが、経済的にもハンデイな赤外線・遠赤外線の照射
による加熱が好ましい。この画像層にアイロンやヒート
プレス機のように直接接触して加熱することは画像トナ
ー層の熱接着性などのため不可能であったと思われる。
【0043】この離型シートに塗工する各種合成樹脂と
してはほとんどすべての合成樹脂を使用することができ
るが、まず第1に本発明のウレタン樹脂については脂肪
族系および脂環式イソシアネートの無黄変タイプが好ま
しい。また遊離のカルボキシル基を有するアイオノマー
型ウレタン樹脂が車体に対する接着性の点から好まし
い。ポリエステル樹脂は皮膜にした場合、上記ウレタン
樹脂に比較して、耐水性に優れている点で特長がある。
したがって、例えば、車体に転写した場合、転写面の上
層に耐水性のポリエステル樹脂が、下層(接着層)にア
イオノマー型ウレタン樹脂がくるようにすれば、それぞ
れの樹脂の特長が発揮できる。場合によってはポリエス
テル樹脂に代わってアクリル樹脂が使用できる。
【0044】具体的な車体への転写で、2枚の転写紙使
用例を示す。:第1転写シートの上層に、上記ウレタン
樹脂のアルカノールアミンの部分塩を使用し、第2転写
シートの下層に、上記ポリエステル樹脂を使用する。
(このポリエステル樹脂層のみの1層であってもよ
い。)まず、第1転写シートの上層に電子複写装置によ
り、画像トナー層を形成させ、第1転写シートと第2転
写シートの上層を対面・積層し、加熱・加圧して2枚の
転写シートを接着一体化させ、第2転写シートの離型シ
ートを剥離しておく。一方、転写対象の、例えば、車体
は通常の洗浄方法で洗浄し、ワックスなどは除去してお
き、ここへ活性剤、消泡剤と水溶性有機溶剤(低級アル
コール・低級ケトン類)の混合物である脱泡剤組成物の
水溶液(有効成分として2%、以下脱泡液と呼ぶ)を塗
布し、濡れた状態にしておく、ここへ上記の第2転写シ
ートの剥離シートを剥離した剥離面を密着させる。車体
と剥離面の間に介在する微細な空気の泡は転写シートの
上からスパテラやスキージやへら等で押し出すようにし
て追い出して、車体と転写シートを密着させる。次いで
第1転写シートの剥離シートを剥離する。脱泡液の塗布
より第2転写シートの剥離までは、赤外線または遠赤外
線照射装置で加温して、60〜100、好ましくは80
〜100℃で行うことが好ましい。
【0045】以下実施例を挙げて、本発明を説明する
が、本発明を限定するものではない。部は重量部を示
す。 [1.脱泡液・遠赤外線照射装置の使用での車体への転
写] 実施例1(塗工液の作成) 車用第1転写紙上層用塗工液[(車1−上)と略記] HYDRAN AP−20(樹脂分30%):80部お
よびAP−70(樹脂分35%):20部[ポリエステ
ル系アイオノマーウレタン無黄変エマルジョン、大日本
インキ化学工業]、シリカ微粉末:3部、シリコン消泡
剤:1部、VONCOAT V:0.5部[樹脂分25
%、アクリル系エマルジョン、大日本インキ化学工
業]、25%アンモニア:0.5部、粘弾性調整剤:
0.5部、UVアブゾーバー:0.5部、シランカップ
リング剤:0.5部、酸化防止剤:0.5部、導電剤:
0.5部、トリエタノールアミン:2部、レベリング
剤:0.5部、ヒンダードアミン系光安定剤:0.5部
を秤取し、均一になるまで十分撹拌し、これを車1−上
とする。 車用第1転写紙下層用塗工液[(車1−下)と略記] カバーコートレジンLO316(ポリメタクリル酸アル
キル33%ソルベントナフサ溶液、互応化学工業):1
00部、シリカ微粉末:2部、シリコン消泡剤:1.0
部、トルエン:10部、レベリング剤:0.5部、ヒン
ダードアミン系光安定剤:0.5部、紫外線吸収剤:
0.5部を均一になるまで撹拌混合し、これを車1−下
とする。
【0046】車用第2転写紙上層用塗工液[(車2−
上)と略記] AP−20:80部、AP−70:20部、シリカ微粉
末:3部、シリコン消泡剤:1部、VONCOAT
V:0.5部、25%アンモニア:0.5部、粘弾性調
整剤:0.5部、レベリング剤:0.5部を均一になる
まで撹拌混合し、これを車2−上とする。 車用第2転写紙下層用塗工液[(車2−下)と略記] VONCOAT CG 5030:70部、VONCO
AT AB782:30部[VONCOATは各各樹脂
分50%、45%のアクリル系エマルジョン、大日本イ
ンキ化学工業]、シリカ微粉末:3部、シリコン消泡
剤:1.0部、粘弾性調整剤:0.5部、25%アンモ
ニア:0.5部、レベリング剤:0.5部、VONCO
AT V:0.5部、紫外線吸収剤:0.5部、ヒンダ
ードアミン系光安定剤:0.5部を均一になるまで撹拌
混合し、これを車2−下とする。 車用第2銀転写紙上層用塗工液[(車2銀−上)と略
記] AP−20:60部、AP−70:40部、シリカ微粉
末:3部、シリコン消泡剤:1部、VONCOAT
V:0.5部、25%アンモニア:1.0部、銀粉:1
0部、粘弾性調整剤:0.5部、レベリング剤:0.5
部を均一になるまで撹拌混合し、これを車2銀−上とす
る。 車用第2銀転写紙下層用塗工液[(車2銀−下)と略
記] AP−20:60部、AP−70:40部、シリカ微粉
末:3部、シリコン消泡剤:1部、VONCOAT
V:0.5部、25%アンモニア:0.5部、粘弾性調
整剤:0.5部、レベリング剤:0.5部を均一になる
まで撹拌混合し、これを車2銀−下とする。
【0047】実施例2(本発明の転写紙の作成) 上記のそれぞれの塗工液を、市販のシリコン離型紙上に
シルクスクリーン印刷により塗工し、シルクスクリーン
印刷用乾燥機を使用し、100±10℃で10分間乾燥
を行った。上層と下層の2層塗りは、まず下層を塗工
し、乾燥し、次いで上層をを塗工、乾燥して2層塗りと
した。かくして、これらの車用第1転写紙と車用第2転
写紙の2種類の転写紙が出来上がった。各層の膜厚は5
〜20μmで、通常約10μmである。顔料や金属粉末
を含む場合は5〜40μmで、通常約15〜25μmで
ある。
【0048】実施例3(本発明の脱泡剤組成物溶液の作
成) ポリオキシエチレングリコールノニルフェノールエーテ
ルのエチレンオキシド付加モル数7.5モルと11.0
モルの1:1混合物の0.2%、一般式化3で示される
化合物(ただし、Rが水素であるアセチレングリコール
にエチレンオキシド約1モル付加した化合物)0.2
%、イソプロピルアルコール70.0%、水29.6%
の混合溶液をホモミキサーの強力撹拌装置で充分撹拌し
て、本発明の脱泡剤組成物溶液を得た。
【0049】実施例4(車体への転写) 車用第1転写紙に電子複写手段により画像トナー層を形
成させ、車用第2銀転写紙と対面・積層して、ラミネー
ト機で圧着し、一体化する。そして車用第2銀転写紙の
剥離紙を剥離しておく。一方、車体の塗装金属面を遠赤
外線照射より、あらかじめ表面温度を約80℃に予熱
し、上記の脱泡剤組成物溶液の2%水溶液で転写面を濡
らした。この濡れた転写対象面に一体化した転写紙の剥
離面を当て、コテ・ヘラ・スキージ等で中間にはさまっ
ている水溶液と空気の泡を押し出します。更に乾いた布
でこすり、転写紙と車体を圧着させます。更に遠赤外線
照射により過熱します。最後に車用第1転写紙がわの離
型紙を剥離して出来上がりで、良好な転写が出来た。車
用第2銀転写紙の代わりに車用第2転写紙(銀粉を含ま
ない)を用いて、白い車体のボデイに同じように転写を
試み、同様に満足すべき結果が得られた。
【0050】[2.カルボキシル基含有ウレタン樹脂エ
マルジョンの合成例] 〈合成例1:ウレタン樹脂エマルジョンの製造(U−
1)〉数平均分子量2000のポリブチレンアジペート
115.5部、数平均分子量2000のポリカプロラク
トンジオール115.5部、ジメチロールプロピオン酸
23.2部、1,4−ブタンジオール6.5部および1
−イソシアナート−3−イソシアナートメチル−3,
5,5,−トリメチルシクロヘキサン(IPDI)12
0.1部を重合器に仕込み、撹拌下に窒素ガス雰囲気中
で85℃、7時間反応せしめてNCO含量4.0%の末
端NCOプレポリマーを得た。次にプレポリマーを50
℃まで冷却し、アセトン165部を加え均一に溶解した
後、撹拌下にトリエチルアミン15.7部を加え、50
℃以下に保ちながらイオン交換水600部を加え、得ら
れた水分散体を50℃で2時間保持し、水伸長反応を完
結させた後、減圧下70℃以下でアセトンを留去し、樹
脂分当たりカルボキシル基2.05%含有、固形分4
2.0%のウレタン樹脂エマルジョン(U−1)944
部を得た。
【0051】〈合成例2:ウレタン樹脂エマルジョンの
製造(U−2)〉数平均分子量2100のポリプロピレ
ングリコール115.5部、数平均分子量2000のポ
リテトラメチレンエーテルグリコール115.5部、ジ
メチロールプロピオン酸23.2部、トリメチロールプ
ロパン6.7部、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジ
イソシアネート141.7部、およびアセトン174部
を加圧重合器に仕込み、反応系内を窒素ガスに置換した
後、撹拌下85℃、5時間反応させ、NCO含有量2.
6%のNCO末端プレポリマーのアセトン溶液を得た。
次いで実施例1と同様にして、樹脂分当たりカルボキシ
ル基1.94%含有、固形分40.1%のウレタン樹脂
系エマルジョン(U−2)1045部を得た。
【0052】〈合成例3:ウレタン樹脂エマルジョンの
製造(U−3)〉数平均分子量2050のポリカプロラ
クトンジオール115.5部、数平均分子量2450の
ポリネオペンチル/ヘキシルアジペート115.5部、
1,6−ヘキサンジオール9.9部および4,4’−ジ
シクロヘキシルメタンジイソシアネート141.7部を
重合器に仕込み、窒素ガス雰囲気下110℃、3時間反
応させ、次いでジメチロールプロピオン酸23.2部を
加え、同温度で3時間反応させて、NCO含有量3.7
%のプレポリマーを得た。このものにアセトン176部
を加え 均一に溶解した。別の反応器に用意したトリエ
チルアミン16.7部を含む水640部の中に、上記プ
レポリマーのアセトン溶液を高速撹拌下に加え、以下実
施例1と同様の処理を行い、樹脂分当たりカルボキシル
基1.92%含有、固形分41.5%のウレタン樹脂系
エマルジョン(U−3)1018部を得た。
【0053】[3.各種対象面への転写例] 転写紙製造の塗工液に用いた原料の略号と説明 一部の使用原料については[1.脱泡液・遠赤外線照射
装置使用での車体への転写]でも説明した。AP−20
はHYDRAN AP−20(樹脂分30%)の略号、
AP−70はHYDRAN AP−70(樹脂分35
%)の略号、APX−110はHYDRAN APX−
110(樹脂分35%)の略号で本発明に係る分子内に
カルボキシル基(樹脂分に対して約1〜2%)含有の無
黄変ウレタン樹脂エマルジョンで大日本インキ化学工業
の商品。85UDはインプラニールデ スパージョン8
5UDの略でバイエル社商品であり、本発明に係るカル
ボキシル基含有の無黄変ウレタン樹脂エマルジョン。V
はVONCOAT V、CGはVONCOAT CG−
5030、ABはVONCOAT AB782 の略で
それぞれ、不揮発分29%、50%、45%のアクリル
系エマルジョンで大日本インキ化学工業の商品。シラン
カップリング剤はγ−グルシドキシプロピルトリメトキ
シシラン。 LOはカバーコートレジンLO316はポ
リメタクリル酸アルキル33%ソルベントナフサ溶液で
互応化学工業(株)の商品 Nは25%アンモニア、粘は粘弾性調整剤、UVはUV
アブゾーバー、Hはヒンダードアミン系光安定剤、Aは
酸化防止剤、Tはトリエタノールアミン、Eは導電剤、
Lはエポキシ系架橋剤、Fはレベリング剤はの略であ
る。 括弧内の数字は、特に断らない限り、投入重量部
を示す。
【0054】本発明の転写紙用の塗工液の調整と配合処
方を以下に示す。 転写紙(ガラス用第1)の塗工液の配合処方:AP−2
0(80)、AP−70(20)、シリカ微粉末
(3)、シリコン消泡剤(1)、V(0.5)、N
(0.5)、粘(0.5)、UV(0.5)、シランカ
ップリング剤(0.5)、A(0.5)、E(0.
5)、T(2)、F(0.5)、H(0.5) 転写紙(ガラス用第2−上)の塗工液の配合処方:AP
−20(80)、AP−70(20)、シリカ微粉末
(3)、シリコン消泡剤(1)、V(0.5)、N
(0.5)、粘(0.5)、F(0.5) 転写紙(ガラス用第2−下)の塗工液の配合処方:AP
X−110(70)、二酸化チタン微粉末(60)、V
(1.0)、N(0.5)、粘(0.5)、CG(3
0)、L(1)、エチレングリコール(2.0)、F
(0.5)、水(10) 上記のガラス用第2−下の塗工液を下層とし、ガラス用
第2−上の塗工液を上層として塗工し、ガラス用の白地
の第2転写紙ができる。第1転写紙と組み合わせて使用
するのは透明タイプと同様である。 転写紙(濃色布地用第1)の塗工液の配合処方:85U
D(400)、シリカ微粉末(8)、シリコン消泡剤
(4)、粘(5)T(8)、F(2) 転写紙(濃色布地用第2−上)の塗工液の配合処方:8
5UD(200)、シリカ微粉末(3)、シリコン消泡
剤(2)、粘(2)金粉(40)または銀粉(20)、
F(1) 転写紙(濃色布地用第2−下)の塗工液の配合処方:A
P−20(30)、AP−70(70)、シリカ微粉末
(3)、シリコン消泡剤(1)、粘(1.25)、F
(0.5) 転写紙(手描き布地用第1)の塗工液の配合処方:AP
−20(70)、AP−70(30)、シリカ微粉末
(3)、シリコン消泡剤(1)、N(1)、粘(0.
5)、F(0.5)、V(0.5) 転写紙(手描き布地用第2−上)の塗工液の配合処方:
AP−20(60)、AP−70(40)、V(0.
5)、シリカ微粉末(3)、シリコン消泡剤(1)、粘
(0.5)、N(1)、金粉(20)または銀粉(1
0)、F(0.5) 転写紙(手描き布地用第2−下)の塗工液の配合処方:
AP−20(60)、AP−70(40)、シリカ微粉
末(3)、V(0.5)、シリコン消泡剤(1)、粘
(0.5)、N(0.5)、F(0.5) 転写紙(車用第1−上)の塗工液の配合処方:AP−2
0(80)、AP−70(20)、シリカ微粉末
(3)、シリコン消泡剤(1)、V(0.5)、N
(0.5)、粘(0.5)、UV(0.5)、シランカ
ップリング剤(0.5)、A(0.5)、E(0.
5)、T(2)、F(0.5)、H(0.5) 転写紙(車用第1−下)の塗工液の配合処方: LO
(100),シリカ微粉末(2)、シリコン消泡剤
(1)、トルエン(10)、F(0.5)、H(0.
5)、UV(0.5) 転写紙(車用第2−下)の塗工液の配合処方:CG(7
0)、AB(30)、シリカ微粉末(3)、シリコン消
泡剤(1)、粘(0.5)、N(0.5)、F(0.
5)、V(0.5)、UV(0.5)、H(0.5) 転写紙(銀)(車用第1−上)の塗工液の配合処方:A
P−20(90)、AP−70(10)、シリカ微粉末
(3)、シリコン消泡剤(1.5)、V(0.25)、
N(1)、増粘剤(1)、UV(0.2)、ヒンダード
アミン(0.2)、A(0.15)、T(1.5)、F
(0.5)、H(0.5) 転写紙(銀)(車用第1−下)の塗工液の配合処方:バ
イロン200[30%品](50)、バイロン300
[30%品](50)、トルエン(32)、メチルエチ
ルケトン(8)、UV(0.15)、消泡剤(0.3) 転写紙(銀)(車用第2−上)の塗工液の配合処方:A
P−20(90)、AP−70(10)、シリコン消泡
剤(1)、銀粉末(11)、V(0.5)、N(0.
5)、増粘剤(1)、F(0.75)、水(5) 転写紙(銀)(車用第2−下)の塗工液の配合処方:バ
イロン8200(30)、バイロン8300(30)、
キシレン(32)、メチルエチルケトン(8)、F
(0.3) [上記バイロンはいずれも黄変型ポリエステル系ウレタ
ン溶剤溶液]上記の車用第2−下の塗工液を下層とし、
ガラス用第2−上の塗工液を上層として塗工し、車用の
第2転写紙ができる。上述の配合処方に基づき、各成分
を秤取し、均一になるまで撹拌し混合して、塗工液を調
整した。
【0055】本発明の転写紙の製造 上述のそれぞれの塗工液を、市販のシリコン離型紙上に
シルクスクリーン印刷により塗工し、シルクスクリーン
印刷用乾燥機を使用し、100±10℃で10分間乾燥
を行った。上層と下層の2層塗りは、まず下層を塗工、
乾燥し、次いで上層を塗工、乾燥して2層塗りとした。
かくして、目的別の転写紙が製造できた。
【0056】ガラス、濃色布地(電子複写手段と手描
き)、車体、タイルへの転写実施例を順次述べる。 転写実施例1(ガラス面−1) ガラス用第1転写紙に電子複写手段により画像トナー層
を形成させ、ガラス用白地第2転写紙と対面・積層し、
180℃でラミネート機で加熱加圧して一体化させる。
一方表面に細かいエンボスを有する強化ガラス板(透
明)を用意しておく。合体した第1と第2転写紙の第1
転写紙の離型紙を剥離し、剥離面をガラス板の裏面に合
わせ、ヒートプレス機で熱圧着させる。放冷後第2転写
紙の離型紙を剥離する。その後加熱装置(170℃)で
10分間処理した。このでき上がった装飾ガラス板は表
面のエンボス面から見ると、白地をバックとして電子複
写の画像が浮き上がって見える。
【0057】転写実施例2(ガラス面−2) 転写実施例1と同様に操作するが、透明タイプの第2転
写紙を使用する。ステンドグラス風の装飾ガラス板が得
られた。エンボス面から見ると画像が立体的に見えるの
が特長である。
【0058】転写実施例3(濃色布地−カラーコピー) 濃色布地用第1転写紙に電子複写手段により画像トナー
層を形成させ、上下2層塗工した金地の濃色布地用第2
転写紙と対面・積層してヒートプレス機で熱圧着する。
次に第2転写紙の離型紙を剥離し、剥離面を濃色のT−
シャツに合わせヒートプレス機で熱圧着する。放冷後第
1転写紙の離型紙を剥離した。トナーが樹脂層に埋没せ
ず鮮明な画像が浮き出たデザインのT−シャツが出来
た。
【0059】転写実施例4(手描き布地) 銀地の手描き布地用第2転写紙にクレヨンで絵を描き、
手描き布地用第1転写紙と対面・積層してアイロンで熱
圧着する。次に第2転写紙の離型紙を剥離し、剥離面を
濃色地のエプロンに当て、アイロンで熱圧着する。第1
転写紙の離型紙を剥離し、濃色地に銀面をバックとした
手描き絵のエプロンが出来た。
【0060】転写実施例5(車体) 車用第1転写紙に電子複写手段により画像トナー層を形
成させ、銀地の手描き布地用第2転写紙と対面・積層し
てラミネート機で熱圧着する。車体の塗装金属面を遠赤
外線照射により、あらかじめ約80℃に予熱し、洗剤
0.3%水溶液で塗装金属面を濡らし、ここへ第2転写
紙の離型紙を剥離した面を貼り付け、はさみ込まれた空
気をへらなどで除き、遠赤外線照射で加熱する。放冷
後、第1転写紙の離型紙を剥離して、再度遠赤外線照射
で加熱し樹脂が熔融するまで加熱した。放冷後光沢のあ
る車体への転写ができた。この場合には、元もとの濃色
地の車体に銀地をバックに絵柄が浮き出た。転写紙
(銀)(車用第1−上)と転写紙(銀)(車用第1−
下)、転写紙(銀)(車用第2−上)と転写紙(銀)
(車用第2−下)のそれぞれの第1転写紙と第2転写紙
からも銀地をバックにした車体への転写ができた。同様
に、ガラス用第1転写紙に電子複写手段により画像トナ
ー層を形成させ、車用第1(透明層)を第2転写紙とし
て、上記と同様に、白色の車体に転写ができた。アクリ
ル樹脂層が表層となる耐水性に優れた転写ができた。車
用第1転写紙の代わりに車用第2転写紙を使用し、ほぼ
同様な結果が得られた。
【0061】転写実施例6(タイル) ガラス用第1転写紙に電子複写手段により画像トナー層
を形成させ、市販のセラミックタイルを、あらかじめ表
面温度を約80℃に予熱しておき、画像面をタイル面に
当て、ヒートプレス機で圧着し、画像をタイル面に転写
し、放冷後、離型紙を除去した後、再度、樹脂の軟化点
以上の約100℃の雰囲気下で焼成した。表面に艶のあ
る美しいタイルが出来た。車用第1転写紙を第2転写紙
として使用して、最外層に耐水性を有するアクリル層の
転写ができた。
【0062】合成例1〜3で合成したU−1〜3のカル
ボキシル基含有ウレタン樹脂エマルジョンを各配合処方
に配合して転写実施例1〜6を試みたところ、ほぼ同様
な結果が得られた。
【0063】比較転写実施例7[転写実施例1(ガラス
面−1)との比較] 第1転写紙(ガラス面−1)の塗工液配合処方:[VO
NDIC 1640* (100)、シリカ微粉末
(3)、シリコン消泡剤(1)、V(0.5)、N
(0.5)、粘(0.5)、UV(0.5)、シランカ
ップリング剤(0.5)、A(0.5)、E(0.
5)、F(0.5)、H(0.5)] 第2転写紙の上層(ガラス用第2−上)の塗工液配合処
方: [VONDIC 1640* (100)、シリ
カ微粉末(3)、シリコン消泡剤(1)、V(0.
5)、N(0.5)、粘(0.5)、F(0.5)] 第2転写紙の下層(ガラス用第2−下)の塗工液配合処
方: [VONDIC 1640* (100)、二酸
化チタン微粉末(60)、V(1.0)、N(0.
5),粘(0.5)、F(0.5)、エチレングリコー
ル(2)、水(10)] 注*VONDIC 1640:分子内にカルボキシル基
を含有しない無黄変ウレタン樹脂エマルジョンで大日本
インキ化学工業の商品(比較例)。 上記の塗工液配合
処方により比較転写実施例7の第1転写紙と第2転写紙
を作成し、転写実施例1と同様に操作して、装飾ガラス
板を作成した。 比較転写実施例7で得た装飾ガラス板
を粘着テープを張りつけ、剥離テスト(碁盤目テープ
法)を行った結果、装飾ガラス板の転写層は完全に剥離
した。一方、転写実施例1で作成した装飾ガラス板はこ
のテストでまったく剥離せず、接着性は優れていた。
【0064】[4.効果の比較]本発明の転写紙の物性値の測定1.:転写層の表面固有
抵抗率の測定 転写紙の種類:ガラス用第1転写紙 測定条件:上記のトリエタノールアミンを配合した塗工
液より製造した転写紙と比較のためトリエタノールアミ
ンを配合していない塗工液より製造した転写紙を製造
し、24時間20℃65%RHの条件に温調した転写紙
の転写層の表面固有抵抗率を、この条件下で(株)アド
バンテストの絶縁抵抗測定資料箱TR42を使用して測
定した。(但し、金粉や銀粉を配合した塗工液を使用の
転写紙は本試験より除外、また第2転写紙は電子複写機
を通さないので除外した。) 測定結果:若干のばらつきはあるがトリエタノールアミ
ンを配合した塗工液より製造した転写紙の転写層の表面
固有抵抗率はほぼ1011〜1012台であった。一方トリ
エタノールアミンを配合していない塗工液より製造した
転写紙の転写層の表面固有抵抗率は1013〜1014であ
った。トリエタノールアミンの代わりにジエタノールア
ミンまたはテトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチ
レンジアミンを使用した塗工液より製造した転写紙につ
いてもほぼ同様な結果が得られた。 これらの実験結果
より本発明のヒドロキシアルキルアミン類がこの塗工液
配合処方では優れた導電剤として機能することが分かっ
た。
【0065】本発明の転写紙の物性値の測定2.:転写
紙のカールの測定 裏面の樹脂塗料の塗布:ヒタロイド3012X(アクリ
ルポリオール50%有機溶剤溶液、日立化成)100.
部にデュラネート24A−100(ヘキサメチレンジイ
ソシアネートのビウレット型トリマー、旭化成)20.
部を均一に混合し裏面に塗布した。 測定条件と測定方
法:A4版の大きさの転写紙を30℃85%RHの条件
下に5分間放置した後、吸湿性のない水平なプラスチッ
クの板状物の上に移し、この大きさの転写紙のシリコン
離型層・転写層の面を上にして置き、紙の端の巻き上が
りの高さを測定する。 測定結果:裏面をアクリルウレタン樹脂を塗布した転写
紙(ガラス用第1および車用第1、濃色布地用第1)は
いずれも5mm以下であった。一方、裏面の無処理の転
写紙は上面を筒状に巻き込んで測定不能であった。この
結果から、裏面のアクリルウレタン樹脂塗布はカール防
止に極めて効果的であることがわかる。
【0066】有機珪素化合物併用の効果 転写実施例1に用いた転写紙(ガラス用第1)の塗工液
にはシランカップリング剤としてγ−グルシドキシプロ
ピルトリメトキシシランを使用している。一方、比較対
象例にはシランカップリング剤なしの塗工液を使用し
て、ガラス用の第1転写紙を作成した。転写実施例1と
同様にガラス用第2転写紙と組み合わせ、転写実施例1
と同様に操作して、ガラス表面のエンボス面から見る
と、白地をバックとした転写ガラスが得られた。転写実
施例1の作品と比較対象例の作品は外観的には全く差異
が認められなかった。しかし碁盤目テープ法(JIS
K5400)の結果、転写実施例1は変化が見られなか
ったが、比較対象例の作品は部分的に剥離が観察され
た。これによりシランカップリング剤の添加はガラスと
樹脂皮膜との接着に寄与していることがわかる。
【0067】エポキシ系・イソシアネート系架橋剤併用
の効果 エポキシ系架橋剤:ソルビトールテトラグリシジールエ
ーテル(CR−5L:大日本インキ化学工業の製品)、 イソシアネート系架橋剤:試作品(HMDIイソシアヌ
レート型三量体とPEG1000との反応物、NCO
%:8.4%) 実施例2のガラス面への転写において、ガラス用第2−
下の転写紙作成の塗工液(エポキシ系架橋剤入り)を使
用して、ガラス用第2転写紙を作成した。実施例2の転
写と同様に操作して、画像を転写したガラスができた。
別にエポキシ系架橋剤なしの塗工液とエポキシ系架橋剤
の代わりに上記の試作品を加えた塗工液より、同様に、
画像を転写したガラスを作成した。実施例2のガラスを
ガラス−2、CR−5Lなし塗工液よりのガラスを−0
とし、試作品を加えた塗工液よりのガラスを−試とし
て、1%NaOH水溶液に24時間浸漬した後、取り出
して、表面の変化を肉眼観察した。結果を以下に示す。 ガラス−2:全く変化なし。 ガラス−0:部分的剥離が見られた。 ガラス−試:全く変化なし。 以上から、これらの架橋剤が耐アルカリ性に寄与してい
ることがわかる。
【0068】遠赤外線照射による画像トナー層の強度の
向上 PVAを転写層に使用した転写紙にカラーコピーして、
車体面に転写して、80%エタノール液でPVAを除去
し、画像トナー層のみを車体面上に残した。これに遠赤
外線(0.65kw)を15分間照射して、爪で皮膜の
強度を調べた。遠赤外線照射をやっていない皮膜は容易
に爪ではがすことができた。一方、遠赤外線照射をやっ
た皮膜は爪ではがせず、カメノコタワシで擦っても剥離
することはできなかった。
【0069】
【発明の効果】 本発明の転写紙は下記の効果を奏す
る。 (1)カルボキシル基含有ポリマーのため接着性に優
れ、ヒドロキシアルキルアミン類の塩のため転写紙の表
面固有抵抗率が低い。 (2)有機珪素化合物、架橋剤の併用により接着性、耐
水性が向上した。 (3)各種のフィラー層の上層にカラーコピーの絵柄が
浮き立ったように転写できるので、特に濃色繊維製品へ
の適用に好適である。 (4)ガラスと白色フィラー層の間にコピーの絵柄をは
さみ、装飾用パネルとして優れている。
【0070】
【図面の簡単な説明】
【図1】 透明樹脂層1層のみの第1転写紙と上層の
フィラー含有樹脂層・下層の透明樹脂層の2層の第2転
写紙を接着一体化し、第2転写紙の離型紙を剥離し、剥
離面を基材表面に加熱加圧して接着し、第1転写紙の離
型紙を剥離する概略図(フィラー含有の場合の請求項1
5)。フィラー層が透明樹脂層にはさまれていて、上の
透明樹脂層とフィラー層の間に画像がある。
【0071】
【図2】 透明樹脂層1層のみの第1転写紙と下層の
フィラー含有樹脂層・上層の透明樹脂層の2層の第2転
写紙を接着一体化し、第1転写紙の離型紙を剥離し、剥
離面を基材表面に加熱加圧して接着し、第2転写紙の離
型紙を剥離する概略図。(フィラー含有の場合の請求項
16)。画像が透明樹脂層にはさまれていて、最上層部
にフィラー層がある。
【0072】
【図3】 透明樹脂層1層のみの第1転写紙と下層の
アクリル樹脂層・上層の透明樹脂層の2層の第2転写紙
を接着一体化し、第1転写紙の離型紙を剥離し、剥離面
を基材表面に加熱加圧して接着し、第2転写紙の離型紙
を剥離する概略図。画像が透明樹脂層にはさまれてい
て、最上層部にアクリル樹脂層(またはポリエステル樹
脂層)がある。
【0073】
【符号の説明】 第1転写紙 第2転写紙 3 離型紙 4 透明樹脂層 5 フィラー入り樹脂層 6 アクリル樹脂層(またはポリエステル樹脂層) 7 基材(表面) ― (符号のアンダーラインまたは上付きライン)絵柄
トナー層の挿入場所 ↑↓と1st、2nd 離型紙の剥離方向と剥離順序
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井口 新次郎 京都市中京区壬生松原町1−26 株式会社 新禅内

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子複写手段を含む画像形成装置により
    形成される絵柄を転写対象の基材表面に転写する方法に
    おいて、離型性シート上に転写層として、カルボキシル
    基を有するウレタン樹脂、アクリル樹脂および/または
    ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする転写材。
  2. 【請求項2】 請求項1におけるカルボキシル基を有す
    るウレタン樹脂が無黄変ウレタン樹脂エマルジョンで
    (1)脂肪族および/または脂環式ジイソシアネート、
    (2)数平均分子量が500〜5000のポリエーテル
    ジオールおよび/またはポリエステルジオール、(3)
    低分子量ポリヒドロキシル化合物および(4)ジメチロ
    ールアルカン酸の反応物からなり、且つNCO/OH当
    量比が1.1〜1.9であるウレタンプレポリマーを、
    第3級アミン類で中和後、または中和しながら水伸長、
    乳化して得られる自己乳化型ウレタンエマルジョンであ
    ることを特徴とする転写材。
  3. 【請求項3】 請求項1において、ウレタン樹脂および
    /またはアクリル樹脂/またはポリエステル樹脂が、化
    学一般式化1で示されるヒドロキシアルキルアミン類の
    塩である。 【化1】 (一般式化1において、R1 、R2 、R3 、R4 のうち
    いずれか少なくとも一つは炭素数2〜3を有するヒドロ
    キシアルキル基であり、または炭素数1〜6を有するア
    ルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルコキシア
    ルキル基。R5 は炭素数2〜6を有するアルキレン基。
    nは0、1または2である。)
  4. 【請求項4】 請求項3において、ウレタン樹脂が、当
    初ウレタン樹脂に結合のカルボキシル基がアンモニウム
    塩のエマルジョンであり、該ヒドロキシアルキルアミン
    類と処理することにより、該カルボキシル基のヒドロキ
    シアルキルアミン塩に転換することを特徴とする転写
    材。
  5. 【請求項5】 請求項3においてヒドロキシアルキルア
    ミン類がアルカノールアミン類である。
  6. 【請求項6】 請求項1において、該ウレタン樹脂、ア
    クリル樹脂および/またはポリエステル樹脂が化学一般
    式化2で示される有機珪素化合物を含有することを特徴
    とする転写材。 【化2】 (一般式化2において、3個のR6 は同時に、またはそ
    れぞれ独立して、メトキシ基、エトキシ基またはメチル
    基であり、Xはグリシジルエーテル基、アミノ基、β−
    アミノエチルアミノ基である。)
  7. 【請求項7】 請求項6において、該有機珪素化合物が
    γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである。
  8. 【請求項8】 請求項6において、該有機珪素化合物が
    N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピル−メチル−
    ジメトキシシランである。
  9. 【請求項9】 請求項1におけて、該ウレタン樹脂、ア
    クリル樹脂および/またはポリエステル樹脂にエポキシ
    系架橋剤を併用することを特徴とする転写材。
  10. 【請求項10】 請求項9において、該エポキシ系架橋
    剤が脂肪族系エポキシ化合物である。
  11. 【請求項11】 請求項1において、該ウレタン樹脂、
    アクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂にイソシ
    アネート系架橋剤を併用することを特徴とする転写材。
  12. 【請求項12】 請求項11において、該イソシアネー
    ト系架橋剤が脂肪族系、脂環式イソシアネート類、およ
    び/またはそれらの誘導体である。
  13. 【請求項13】 転写材表面に離型層、転写層を有する
    転写材において、その裏面に非水溶性高分子樹脂膜を有
    することを特徴とする転写材。
  14. 【請求項14】 請求項13において、該非水溶性高分
    子樹脂膜がアクリルポリオール類と請求項12記載のイ
    ソシアネート類の重合によるアクリルウレタン樹脂であ
    る。
  15. 【請求項15】 請求項1における該ウレタン樹脂を転
    写層に有する第1転写紙と、別に下層として該ウレタン
    樹脂層を有し、その上層に有機または無機のフィラーを
    含有する、または含有しない該ウレタン樹脂層を有する
    第2転写紙を準備し、第1転写紙に電子複写手段により
    絵柄トナー層を形成、または第2転写紙に彩色材料で手
    描きした後、この面と第2転写紙の上面を対面・積層
    し、加熱加圧して2枚の転写紙を接着一体化させた後、
    第2転写紙の離型紙を剥離し、剥離した層が基材表面と
    接するように配置させた後、加熱加圧を行い、その後、
    第1転写紙の離型紙を剥離することを特徴とする基材表
    面への転写方法。
  16. 【請求項16】 請求項1における該ウレタン樹脂を転
    写層に有する第1転写紙と、別に下層として有機または
    無機のフィラーを含有する、または含有しない該ウレタ
    ン樹脂層を有し、その上層にフィラーを含有しない透明
    な該ウレタン樹脂層を有する第2転写紙を準備し、第1
    転写紙に電子複写手段により絵柄トナー層を形成、また
    は第2転写紙に彩色材料で手描きした後、この面と第2
    転写紙の上面を対面・積層し、加熱加圧して2枚の転写
    紙を接着一体化させた後、第1転写紙の離型紙を剥離
    し、剥離した層が転写対象基材表面と接するように配置
    させた後、加熱加圧を行い、その後、第2転写紙の離型
    紙を剥離することを特徴とする基材表面への転写方法。
  17. 【請求項17】 請求項1における該ウレタン樹脂を転
    写層上に有する第1転写紙と、別に下層に該アクリル樹
    脂層および/またはポリエステル樹脂層を有し、その上
    層に該ウレタン樹脂層を有するか、または有しない第2
    転写紙を準備し、第1転写紙に電子複写手段により絵柄
    トナー層を形成、または第2転写紙に彩色材料で手描き
    した後、この面と第2転写紙の上面を対面・積層し、加
    熱加圧して2枚の転写紙を接着一体化させた後、第1転
    写紙の離型紙を剥離し、剥離した層が転写対象基材表面
    と接するように配置させた後、加熱加圧を行い、その
    後、第2転写紙の離型紙を剥離することを特徴とする基
    材表面への転写方法。
  18. 【請求項18】 電子複写手段を含む画像形成装置によ
    り形成される絵柄を転写対象の基材表面に転写する方法
    において、該表面に転写シートの離型シートを剥離した
    面(転写層)を貼り付ける前に、浸透剤として機能する
    活性剤、消泡剤、低級アルコール類およびケトン類の有
    機溶剤からなる群より選ばれた脱泡剤組成物の水溶液
    を、予め40〜150℃に加温してあるか、あるいは加
    温してない基材表面に塗布し、湿潤状態で、剥離面を貼
    り付け、物理的圧力を加えながら、加温を継続して、転
    写シートの剥離面と基材表面の界面に残存する空気泡を
    物理的に系外に排除することを特徴とする転写方法。
  19. 【請求項19】 請求項18において、加温を赤外線お
    よび/または遠赤外線照射装置を使用することを特徴と
    する転写方法。
  20. 【請求項20】 電子複写手段を含む画像形成装置によ
    り形成される絵柄を含むトナー層を基材表面に転写する
    方法において、該表面に該トナー層を貼り付け、請求項
    19記載の加温装置で加熱することを特徴とする転写方
    法。
  21. 【請求項21】 請求項18における転写対象面が熱可
    塑性あるいは熱硬化性塗装剤で樹脂コーテイングされた
    塗装面であることを特徴とする転写方法。
  22. 【請求項22】 請求項18における該浸透剤として機
    能する活性剤が、0.1%水溶液で30ダイン/cm以
    下である表面張力を有するアニオン系、非イオン系活性
    剤、およびフッ素系活性剤である。
  23. 【請求項23】 請求項18における消泡剤がポリジ
    メチルシロキサン系珪素化合物である。
  24. 【請求項24】 請求項23における該ポリジメチル
    シロキサン系珪素化合物がポリシロキサン−ポリオキシ
    アルキレン化合物である。
  25. 【請求項25】 請求項18における該低級アルコー
    ル類の有機溶剤がメタノール、エタノール、イソプロピ
    ルアルコール、シクロヘキサノールおよびブタノール類
    の群より選ばれたものである。
  26. 【請求項26】 請求項18における該低級ケトン類
    の有機溶剤がメチルエチルケトン、シクロヘキサノンの
    群より選ばれたものである。
  27. 【請求項27】 請求項18における該非イオン活性剤
    がポリオキシエチレングリコールノニルフェノールエー
    テルである。
  28. 【請求項28】 請求項27におけるポリオキシエチレ
    ングリコールノニルフェノールエーテルのエチレンオキ
    シド平均付加モル数が10.0±3.0モルである。
  29. 【請求項29】 請求項27におけるポリオキシエチレ
    ングリコールノニルフェノールエーテルのエチレンオキ
    シド平均付加モル数が7.5±1.0と11.0±1.
    0の重量比40:60〜60:40の混合物である。
  30. 【請求項30】 請求項22における該非イオン活性
    剤がポリオキシエチレングリコールジノニルエーテルで
    あり、エチレンオキシドの平均付加モル数が16.0±
    3.0モルである。
  31. 【請求項31】 請求項22における該非イオン活性
    剤がポリオキシエチレングリコール−トリデシルエーテ
    ルであり、エチレンオキシドの平均付加モル数が6.0
    ±1.0である。
  32. 【請求項32】 請求項18における該消泡剤が化学一
    般式で示されるアセチレングリコール類である。 【化3】 (化学一般式化3においてRは水素、ヒドロキシエチル
    またはポリオキシエチレングリコール基である。)
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JP2019142016A (ja) * 2018-02-16 2019-08-29 日本電産サンキョー株式会社 ゲル状部材の製造方法

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