JPH10321409A - セラミック素子 - Google Patents

セラミック素子

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JPH10321409A
JPH10321409A JP9124490A JP12449097A JPH10321409A JP H10321409 A JPH10321409 A JP H10321409A JP 9124490 A JP9124490 A JP 9124490A JP 12449097 A JP12449097 A JP 12449097A JP H10321409 A JPH10321409 A JP H10321409A
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JP
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resistance layer
ceramic element
ceramic
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JP9124490A
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Zenichi Tanno
善一 丹野
Toshiya Imai
俊哉 今井
Takeshi Udagawa
剛 宇田川
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】良好で安定した放電耐量特性を備える、優れた
非直線特性を示すセラミック素子を提供する。 【解決手段】非直線抵抗材料からなる基体1と、この基
体1の一方向の側面に設けられた電極2と、前記基体1
の電極配置面と異なる側面に設けられた一定以上の耐電
圧特性を有する高抵抗層3とを備え、前記高抵抗層3
は、無機高分子構造を有するセラミックコーティング膜
からなる内層3aと、この内層3aの表面に設けられた
非晶質セラミックコーティング膜からなる外層3bとに
より構成されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、避雷器などの各種
抵抗体に使用されるセラミック素子に係り、特に非直線
抵抗体として好適なセラミック素子に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、異常電圧から電力系統を保護
する電気回路において、各種抵抗体が使用されている。
このような抵抗体の一例として、非直線抵抗体が挙げら
れる。一般にはバリスタと呼ばれ、バリスタは電圧の変
化に敏感な抵抗体であり、ある臨界電圧以下では抵抗値
が高くほとんど電流は流れないが、その臨界電圧(バリ
スタ電圧)を超えると急激に抵抗値が低くなり電流を流
すという非直線特性を有する。前記特性を有するバリス
タは、主に避雷器の抵抗体として用いられている。
【0003】上記各種の抵抗体は、各種特性を有する基
体と、絶縁を目的として前記基体の側面を覆っている高
抵抗層と、電極とから構成されている。今日において
は、非直線抵抗体としてとくにセラミック素子が用いら
れている。
【0004】セラミック素子は、セラミックスの粉末を
成形し、焼成あるいはホットプレスなど熱処理を施して
得られる焼結体を使用したものであり、焼結体の粒界、
気孔または各粒子の半導性、磁性、誘電性などの特性変
化の組合わせを利用した非直線抵抗体である。
【0005】一般的に、非直線抵抗体の基体として、セ
ラミック材料である酸化亜鉛(ZnO)系材料が用いら
れている。具体的には、酸化亜鉛(ZnO)を主成分と
し、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、コバルト
(Co)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、クロ
ム(Cr)、ケイ素(Si)の酸化物等からなる副成分
と水及び有機バインダーを加えて十分混合した後、スプ
レードライヤーなどで造粒、成形して焼結した焼結体を
基体としている。
【0006】一方、非直線抵抗体の高抵抗層は、例えば
酸化ケイ素(SiO)などの無水酸化物を水及び有機
バインダーとともに混合した後、ZnO基体の側面に塗
布し、1300〜1500℃で焼成することによりZn
O基体の側面に形成される。高抵抗層に関して、他の例
が特開平2−7401に開示されている。この例では、
無機高分子もしくは有機金属化合物を主成分とした物質
を前記焼結の側面に塗布した後、520Kで脱水縮合、
加水分解し、さらに重縮合あるいは熱分解することによ
り放電耐量特性を高めたものが知られている。このよう
な高抵抗層は、例えば、送電線網において、落雷などに
よって送電線網のある個所が影響を受けるときに生じる
サージ(瞬間的な大電圧)が原因で発生する抵抗体の電
極間の沿面閃絡を防止している。
【0007】ところで、近年においては、電力系統の送
電コスト低減のために電力系統の大容量化および高電圧
化が進んでいる。この高電圧化傾向に伴い、500kV
用の避雷器が実用化されており、さらに、近い将来に1
000kVの超高電圧(UHV)用の避雷器の使用が計
画されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た非直線抵抗体であるセラミック素子を、通常の避雷器
として使用するならば抵抗体としての特性は優れている
ものの、高電圧用の避雷器としてセラミック素子を使用
する場合には、放電耐量特性などの要求特性を十分に満
たさないという欠点を有していた。
【0009】上記のように、500kV用の避雷器など
の高電圧用避雷器には、極めて大きなサージ処理能力が
要求される。サージ処理能力を高める方法には、非直線
抵抗体の並列接続枚数を増加するという方法あるいは非
直線抵抗体を大容量化するという方法がある。
【0010】しかし、非直線抵抗体の並列接続枚数を増
加するという方法は、電流分担のアンバランスを招き易
いという欠点を有する。また、非直線抵抗体を大容量化
するという方法においても、避雷器の制限電圧や焼結時
の変形及び経済性を考慮すると、500kVでの使用に
適する非直線抵抗体は、素子径φが100〜120m
m、厚みtが20〜45mmと、大型なものになってし
まう。大型の非直線抵抗体について焼結作業を行う際
に、基体を形成する適正な焼成温度と、高抵抗層を形成
するための適正な焼成温度が合致しない場合が多い。こ
のように基体と高抵抗層の焼成温度が合致しないことか
ら、非直線抵抗体の電気特性にばらつきが生じて基体の
非直線特性が低下して、放電耐量特性が悪化したりする
という問題が生じていた。つまり、依然として大型で安
定した機能を有する非直線抵抗体を工業的に量産製造す
るための一定の基準が確立されていなかった。
【0011】一方、高抵抗層の主成分を無機高分子もし
くは有機金属化合物として放電耐量特性を高めた非直線
抵抗体の場合においても、基体に印加されるサージ印加
量が過大になると、発熱に伴う基体の急激な熱膨張に耐
えきれずに、沿面閃絡や亀裂、さらには破壊を起こすと
いう問題を有していた。
【0012】本発明は上述した事情を考慮してなされた
ものであり、良好で安定した放電耐量特性を備える優れ
た非直線特性を示すセラミック素子を提供することを目
的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、良好で安
定した放電耐量特性を備える優れた非直線特性を示すセ
ラミック素子を開発すべく研究を行った結果、本発明に
至ったものである。
【0014】即ち、請求項1記載の発明は、非直線抵抗
材料からなる基体と、この基体の一方向の側面に設けら
れた電極と、前記基体の電極配置面と異なる側面に設け
られた一定以上の耐電圧特性を有する高抵抗層とを備え
たことを特徴とする。
【0015】本発明において、一定以上の耐電圧特性を
有する高抵抗層の耐電圧特性は、望ましくは2kV/m
mもしくは3kV/mm以上である。このように、高抵
抗層が一定以上の耐電圧特性を有すれば、耐電エネルギ
ーが基体に印加された時、基体の端子電圧の上昇に対し
ての耐電圧特性が大きいことから、高抵抗層よりも外側
に閃絡電流が流れ難くなり放電耐量特性を向上させるこ
とができる。
【0016】請求項2記載の発明は、基体がZnOを主
成分とすることを特徴とする。
【0017】本発明において、基体の主成分はZnOで
あり、副成分としてBi、MnOをそれぞれ0.
5〜2.0モル%、Co、Sb、NiOを
それぞれ0.6〜2.5モル%含有させることが望まし
い。
【0018】上記組成を有する基体によれば、粒子がZ
nOにより形成され、粒界層がBi、MnOなど
の副成分により形成されるという微細構造をもった焼結
体を得ることができる。そして、副成分が種々含有され
ることにより、従来よりも非直線特性が向上した抵抗体
を得ることができ、基体が良好な放電耐量特性を示すも
のとなる。
【0019】なお、非直線抵抗体の基体は以下の方法で
製造するのが好適である。すなわち、上記の組成を有す
る原料粉末を水、分散剤および有機バインダー等ととも
に混合し、この混合物を噴霧造粒し、粒径を調節する。
調節した造粒粉を金型に入れ加圧成形した後、添加した
有機バインダーを除くため焼成を行う。そしてさらに、
空気中で再度焼成する。
【0020】請求項3記載の発明は、基体がZnOを主
成分とし、250V/mm〜650V/mmの抵抗値を
有することを特徴とする。
【0021】本発明において、基体の主成分はZnOで
あり、副成分としてBiを0.3〜0.8モル
%、MnO、Coをそれぞれ0.5〜2.0モル
%、Sb、NiOをそれぞれ1.5〜4.5モル
%含有させることが望ましい。
【0022】上記組成を有する基体によれば、粒子がZ
nOにより形成され、粒界層がBi、MnOなど
の副成分により形成されるという微細構造をもった焼結
体を得ることができる。そして、副成分が種々含有され
ることにより、従来よりも非直線特性が向上した抵抗体
を得ることができ、基体が良好な放電耐量特性を示すも
のとなる。
【0023】なお、非直線抵抗体の基体は請求項2記載
の方法と同様な方法により製造される。
【0024】基体が、250V/mm〜650V/mm
の抵抗値を有することとした理由は、抵抗値が250V
/mm未満の場合には非直線特性が低下し、また、抵抗
値が650V/mmを超える場合には焼結性が悪いなど
の問題点を有するためである。ただし、ここで抵抗値と
は非直線抵抗体に1mAの電流を流したときに生じる端
子電圧とする。
【0025】請求項4記載の発明は、基体がZnOを主
成分として1cm換算でV120A/V12μA値が
1.6以下の非直線特性を有することを特徴とする。
【0026】請求項5記載の発明は、基体がZnOを主
成分とし、1cm換算でV120A/V12μA値が
1.55以下の非直線特性を有することを特徴とする。
【0027】請求項6記載の発明は、高抵抗層が無機高
分子構造を有するセラミックコーティング膜からなる内
層と、この内層の表面に設けられた非晶質セラミックコ
ーティング膜からなる外層とにより構成されていること
を特徴とする。
【0028】本発明において高抵抗層を2層構造とした
理由は、基体を覆っている無機高分子構造を有するセラ
ミックコーティング膜において、ポア、ピンホールなど
の欠陥部分が生じた場合に、さらにその外側に非晶質セ
ラミックコーティング膜を拡散させて硬化、強化するこ
とにより放電耐量特性の向上を図ることを意図したもの
である。
【0029】請求項7記載の発明は、高抵抗層が無機高
分子構造を有するセラミックコーティング膜の成分がS
iO、MgO、Al、ZrO、Yの一
種、もしくは二種以上の組合わせであることを特徴とす
る。
【0030】一般に、材料の浸食には化学的な腐食と物
理的な浸食があり、材料は使用される環境によって様々
な形で浸食を受ける。上述したセラミック素子も、高電
圧下に曝されるために、何らかの形で浸食を受けること
は避けられない。
【0031】本発明におけるSiO、MgO、Al
、ZrO、Yなどのセラミック材料は、酸
性あるいは塩基性環境下において耐久性を有し、特に、
SiOは酸性に耐久性を有し、MgOは塩基性に耐久
性を有する。従って、セラミック材料を酸性下、あるい
は塩基性下などの使用する環境によって一種、もしくは
二種以上の組合わせとすることにより、良好な放電耐量
特性を示す高抵抗層を得ることができる。
【0032】請求項8記載の発明は、高抵抗層が非晶質
セラミックコーティング膜の成分がSiO、Fe
、Al、TiO、Yの一種、もしくは
二種以上の組合わせであることを特徴とする。
【0033】本発明においても、上述した酸性あるいは
塩基性環境下において耐久性を有するセラミック材料で
あるSiO、Fe、Al、TiO、Y
の一種、もしくは二種以上の組合せとすることに
より、良好な放電耐量特性を示す高抵抗層を得ることが
できる。
【0034】また、高抵抗層は、ZnOを主成分とする
基体の側面に上記の組成を有する原料をスプレーガン等
で塗布し、その後焼付けることにより形成される。
【0035】請求項9記載の発明は、高抵抗層の耐電圧
特性が2kV/mm以上であることを特徴とする。
【0036】また、請求項10記載の発明は、高抵抗層
の耐電圧特性が3kV/mm以上であることを特徴とす
る。
【0037】請求項9、10記載の発明において、2k
V/mm以上もしくは3kV/mm以上と規定すること
は、請求項1における基体の電極配置面と異なる側面に
設けられた一定以上の耐電圧特性を有する高抵抗層につ
いて具体的に規定したものである。
【0038】本発明において、高抵抗層の耐電圧特性を
2kV/mm以上もしくは3kV/mm以上と規定する
理由は、セラミック素子の放電耐量特性を材料に依存す
ることなく一定に保つために、高抵抗層の耐電圧特性を
制御する必要があるからである。このように規定するこ
とにより、素体に耐電エネルギーが印加された時、素体
の端子電圧の上昇に対しての耐電圧特性が大きいことか
ら高抵抗層よりも外側に閃絡電流が流れ難くなり放電耐
量特性を向上させることができる。
【0039】請求項11記載の発明は、高抵抗層の表面
粗さがRmax値で20μm以下であることを特徴とす
る。
【0040】一般に、固体の表面は固体内部における原
子配列の連続性が断たれる部分であり、特に表面加工が
なされていない場合には表面に凹凸が生じる。この固体
表面の微視的凹凸が表面粗さであるが、本発明における
セラミック素子の場合、セラミック素子の外層表面にお
ける激しい凹凸が、セラミック素子の破壊や亀裂の原因
となっている。
【0041】そこで、表面粗さを表示する方法である最
大高さ(Rmax)を用い、セラミック素子の高抵抗層
において、最大高さ(Rmax)の値を20μm以下と
定めることにより、表面の激しい凹凸を無くし、セラミ
ック素子の破壊や亀裂の防止を図ることができる。
【0042】請求項12記載の発明は、高抵抗層の膜厚
が50〜200μmの範囲であることを特徴とする。
【0043】本発明において、高抵抗層の膜厚を50〜
200μmの範囲とした理由は、膜厚が50μm未満と
薄い場合には基体に耐電エネルギーが印加された時に、
基体の端子電圧の上昇に対する耐電圧特性が小さく、こ
のために、閃絡電流が流れ易くなってしまい放電耐量特
性が低下してしまう。一方、膜厚が200μmを超える
場合には、基体に耐量エネルギーが印加されたとき、基
体と高抵抗層の僅かな熱膨張係数の差異により剥離が生
じてしまい、基体と高抵抗層における剥離により放電耐
量特性が悪化するという問題を有するためである。
【0044】請求項13記載の発明は、基体と高抵抗層
の接着強度が150MPa以上であることを特徴とす
る。
【0045】また、請求項14記載の発明は、基体と高
抵抗層の接着強度が200MPa以上であることを特徴
とする。
【0046】請求項13、14記載の発明によれば、基
体と高抵抗層との接着強度が一定値以上をとるように設
定することにより、高抵抗層の剥離による破壊の原因を
解消し、放電耐量特性を向上させることができる。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0048】第1実施形態(図1〜5) 第1実施形態では、セラミック素子の基体がZnOを主
成分とする非直線抵抗体であり、高抵抗層の耐電圧特性
が2kV/mm以上であるセラミック素子について説明
する。
【0049】図1は、本実施形態によるセラミック素子
の断面図である。図1に示すように基体1を円板状と
し、この基体1の一方向の側面(図1の上下面)に電極
2を設けた。また、基体1の電極配置面と異なる側面
(図1の周側面)に一定以上の耐電圧特性を有する高抵
抗層3を設けた。高抵抗層3は、無機高分子構造を有す
るセラミックコーティング膜からなる内層3aと、この
内層3aの表面に形成した非晶質セラミックコーティン
グ膜からなる外層3bとにより構成した。
【0050】セラミック素子の基体1は、酸化亜鉛(Z
nO)を主成分とし、これに所定量の各種の副成分をそ
れぞれ混合した。所定量の各種の副成分には、酸化ビス
マス(Bi)、酸化マンガン(MnO)をそれぞ
れ1.0モル%、酸化コバルト(Co)、酸化ア
ンチモン(Sb)、酸化ニッケル(NiO)をそ
れぞれ1.5モル%用いた。
【0051】高抵抗層3において、内層3aの成分はS
iO、MgO、Al、ZrO、Yの一
種、もしくは二種以上の組合わせとし、外層3bの成分
はSiO、Fe、Al、TiO、Y
の一種、もしくは二種以上の組合わせとした。
【0052】次に、セラミック素子の基体1と高抵抗層
3a、3bの製造方法について説明する。
【0053】基体1は、ZnOを主成分として、副成分
としてBi、MnOをそれぞれ1.0モル%、C
、Sb、NiOをそれぞれ1.5モル%
用いた材料に、水、分散剤及び有機バインダーを添加し
て混合装置により混合した。上記混合物をスプレードラ
イヤーで粒径が100ミクロンになるように噴霧造粒し
た。これらの造粒粉を金型に入れて加圧し、直径125
mm、厚さ30mmの円板に成形した。その後、添加し
た有機バインダーを除くために空気中で750Kで焼成
を行った。さらに、空気中において1300Kで焼成す
ることにより基体1を得た。
【0054】この基体1の電極配置面と異なる側面にS
iO、MgO、Al、ZrO、Yの一
種、もしくは二種以上の組合わせ、もしくは、Si
、Fe、Al、TiO、Y
一種、もしくは二種以上の組合わせ材料をスプレーガン
等で塗布し、焼付けて高抵抗層3を形成した。そして、
基体1の電極配置面の側面を研磨し、電極2としてアル
ミニウムを溶射させ、素子径がφ100、厚みがt22
であるセラミック素子を形成した。
【0055】上述のように高抵抗層3の成分を種々変化
させたセラミック素子は、いずれにおいても200V/
mmの抵抗を示し、非直線特性は1cm換算でV12
0A/V12μA値が1.56であった。ここで1cm
換算でV120Aは8×20μsのインパルス波形
で、またV12μAはACで測定したものである。
【0056】図2は、高抵抗層3の耐電圧特性と放電耐
量特性との関係を示すグラフである。ここでは、高抵抗
層3の成分を変えることにより高抵抗層3の耐電圧特性
を変えた。すなわち、内層3aの成分として、酸化金属
塩系コーティング剤の金属をSi、Mg、Al、Zr、
Yの一種、もしくは二種以上の組合わせとし、外層3b
の成分として、Siの金属アルコキシドコーティング剤
とすることにより高抵抗層3の耐電圧特性を変えた。
【0057】これより、高抵抗層3の耐電圧特性はいず
れの成分においても2kV/mm以上のものが良好な放
電耐量特性を示すことが分かった。
【0058】図3は、高抵抗層3の表面粗さと放電耐量
特性との関係を示すグラフである。ここでも、高抵抗層
3の成分を変えることにより高抵抗層3の表面粗さを変
えた。すなわち、内層3aの成分として、Siの酸性金
属塩系コーティング剤とし、外層3bの成分として、S
i、Fe、Al、Ti、Yの一種、もしくは二種以上の
組合わせとすることにより高抵抗層3の表面粗さを変え
た。表面粗さとは、固体表面の微視的凹凸であり、表示
方法として最大高さ(Rmax)を用いた。
【0059】これより、高抵抗層3の表面粗さはRma
x値で20μm以下のものが良好な放電耐量特性を示す
ことが分かった。
【0060】図4は、高抵抗層3の膜厚と放電耐量特性
との関係を示すグラフである。
【0061】ここでは、内層3aの成分として、Si、
Alの酸性金属塩系コーティング剤の塗布量を変えるこ
とにより高抵抗層3の膜厚を変えた。
【0062】これより、高抵抗層3の膜厚は50〜20
0μmのものが良好な放電耐量特性を示すことが分かっ
た。
【0063】図5は、基体1と高抵抗層3についての接
着強度と放電耐量特性との関係を示すグラフである。こ
こでは、内層3aの成分として、Si、Alの酸性金属
塩系コーティング剤のZrの焼き付け温度を500K〜
800Kの範囲で変えることにより、基体1と高抵抗層
3の接着強度を変えた。
【0064】これより、基体1と高抵抗層3の接着強度
は150MPa以上で良好な放電耐量特性を示すことが
分かった。
【0065】第2実施形態(図1、図6〜10) 第2実施形態では、セラミック素子の基体がZnOを主
成分とし、250V/mm〜650V/mmの抵抗値を
有する非直線抵抗体であり、高抵抗層の耐電圧特性が3
kV/mm以上であるセラミック素子について説明す
る。
【0066】本実施形態におけるセラミック素子の構成
は、第1実施形態と同様であるから、図1をそのまま参
照する。
【0067】セラミック素子の基体1は、酸化亜鉛(Z
nO)を主成分とし、これに、所定量の各種の副成分を
それぞれ混合した。所定量の各種の副成分には、酸化ビ
スマス(Bi)を0.5モル%、酸化マンガン
(MnO)、酸化コバルト(Co)をそれぞれ
1.0モル%用い、酸化アンチモン(Sb)、酸
化ニッケル(NiO)をそれぞれ3.0モル%用いた。
【0068】高抵抗層3において、無機高分子構造を有
するセラミックコーティング膜である内層3aの成分は
SiO、MgO、Al、ZrO、Y
一種、もしくは二種以上の組合わせを用い、この内層3
aの表面に設けられた非晶質セラミックコーティング膜
である外層3bの成分はSiO、Fe、Al
、TiO、Yの一種、もしくは二種以上の
組合わせとした。
【0069】次に、セラミック素子の基体1と高抵抗層
3a、3bの製造方法について説明する。
【0070】まず、基体1はZnOを主成分として、副
成分としてBiを0.5モル%、MnO、Co
をそれぞれ1.0モル%、Sb、NiOをそ
れぞれ3.0モル%用いた材料に、水、分散剤及び有機
バインダーを添加して混合装置により混合した。上記混
合物をスプレードライヤーで粒径が100ミクロンにな
るように噴霧造粒した。これらの造粒粉を金型に入れて
加圧し、直径125mm、厚さ30mmの円板に成形し
た。その後、添加した有機バインダーを除くために空気
中で750Kで焼成を行った。さらに、空気中において
1300Kで焼成して基体1を得た。
【0071】この基体1の電極配置面と異なる側面にS
iO、MgO、Al、ZrO、Yの一
種、もしくは二種以上の組合わせ、もしくは、Si
、Fe、Al、TiO、Y
一種、もしくは二種以上の組合わせ材料をスプレーガン
等で塗布し、焼付けて高抵抗層3を形成した。そして、
基体1の電極配置面の側面を研磨し、電極2としてアル
ミニウムを溶射させ、素子径φが100mm、厚みtが
22mmであるセラミック素子を形成した。
【0072】上記製造方法により、組成、焼成温度を変
えて、さまざまな抵抗値を示すセラミック素子を得た
が、抵抗値が250V/mm未満のものは非直線特性が
悪く、また抵抗値が650V/mmを超えるものは焼結
性が悪いために、本実施形態では除外した。
【0073】本実施形態で得られたセラミック素子は、
いずれにおいても450V/mmの抵抗を示し、非直線
特性は1cm換算でV120A/V12μA値が1.
52であった。本実施形態では、第1実施形態と同様な
条件下で測定した。
【0074】図6は、高抵抗層3の耐電圧特性と放電耐
量特性との関係を示すグラフである。これより、高抵抗
層3の耐電圧特性は3kV/mm以上のものが良好な放
電耐量特性を示すことが分かった。
【0075】図7は、高抵抗層3の表面粗さと放電耐量
特性との関係を示すグラフである。これより、高抵抗層
3の表面粗さはRmax値で20μm以下のものが良好
な放電耐量特性を示すことが分かった。
【0076】図8は、高抵抗層3の膜厚と放電耐量特性
との関係を示すグラフである。
【0077】これより、高抵抗層3の膜厚は、50〜2
00μmのものが良好な放電耐量特性を示すことが分か
った。
【0078】図9は、基体1と高抵抗層3についての接
着強度と放電耐量特性との関係を示した。
【0079】これより、基体1と高抵抗層3の接着強度
は、200MPa以上で良好な放電耐量特性を示すこと
が分かった。
【0080】図10は、素子の抵抗値(V1mA/m
m)と非直線特性との関係を示すグラフである。
【0081】これより、250V/mmより650V/
mmまで良好な非直線特性を示すことが分かった。
【0082】以上、第1、第2実施形態においては、放
電耐量特性を向上させるための一定の基準として、高抵
抗層3に関する条件を各種設けた。また、セラミック素
子の基体1は酸化亜鉛(ZnO)を主成分とする焼結体
であり、第1、第2実施形態における二種の非直線抵抗
体について、上記各種の特性に関し具体的な適性値を与
えて定義した。これより、非直線特性及び放電耐量特性
に優れ、信頼性の高いセラミック素子をより実用可能な
形で提供することができた。
【0083】その他の実施形態 なお、本発明は本実施形態に限られたものではなく、適
宜大要を変えて幅広く適用できるものである。
【0084】例えば、本実施形態では、酸化亜鉛(Zn
O)を主成分とする基体1である非直線抵抗体を有する
セラミック素子について述べたが、本発明の絶縁部材で
ある高抵抗層3を、非直線抵抗体以外の各種抵抗体へ適
用することが可能であることが分かった。その場合に
は、各種抵抗体に対して、本実施形態に述べたような放
電耐量特性に関する検査を行い、各種抵抗体の基体1の
特性に従って、高抵抗層3に関する各種条件の適性値を
設定し直せばよい。
【0085】さらに、本実施形態においては、高抵抗層
3を形成する材料としてコーティング剤を用いたが、前
記各種の条件に適合するものであれば他の材料を用いて
も同様の結果を得ることができた。
【0086】また、本実施例においては非直線抵抗体の
添加物として酸化物原料を用いたが、酸化物以外であっ
ても焼成して酸化物になるものでも良い。さらに、上記
実施形態で示した原料以外の添加物を添加しても良い。
従って、上記以外の成分を加えることにより非直線特性
が向上する場合には、他の成分も添加物として許容され
ることが分かった。
【0087】最後に、本実施形態では素子径φが100
mm、厚みtが22mmの大容量の非直線抵抗体につい
て言及したが、容量の小さな非直線抵抗体についても、
本発明によって同様の効果が得られることが確認され
た。
【0088】
【発明の効果】以上で説明したように、本発明により高
抵抗層に所定の適性値で定義された各種の特性を持たせ
ることにより、優れた非直線特性及び放電耐量特性を有
し、信頼性の高いセラミック素子を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1、第2実施形態における非直線抵
抗体の構成を示す断面図。
【図2】本発明の第1実施形態における高抵抗層の耐電
圧特性と放電耐量特性との関係を示すグラフ。
【図3】本発明の第1実施形態における高抵抗層の表面
粗さと放電耐量特性との関係を示すグラフ。
【図4】本発明の第1実施形態における高抵抗層の膜厚
と放電耐量特性との関係を示すグラフ。
【図5】本発明の第1実施形態における基体と高抵抗層
の接着強度と放電耐量特性との関係を示すグラフ。
【図6】本発明の第2実施形態における高抵抗層の耐電
圧特性と放電耐量特性との関係を示すグラフ。
【図7】本発明の第2実施形態における高抵抗層の表面
粗さと放電耐量特性との関係を示すグラフ。
【図8】本発明の第2実施形態における高抵抗層の膜厚
と放電耐量特性との関係を示すグラフ。
【図9】本発明の第2実施形態における基体と高抵抗層
の接着強度と放電耐量特性との関係を示すグラフ。
【図10】本発明の第2実施形態における非直線抵抗体
の抵抗値と非直線特性との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1 基体 2 電極 3 高抵抗層 3a 内層 3b 外層

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非直線抵抗材料からなる基体と、この基
    体の一方向の側面に設けられた電極と、前記基体の電極
    配置面と異なる側面に設けられた一定以上の耐電圧特性
    を有する高抵抗層とを備えたことを特徴とするセラミッ
    ク素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のセラミック素子におい
    て、基体はZnOを主成分とすることを特徴とするセラ
    ミック素子。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のセラミック素子におい
    て、基体はZnOを主成分とし、250V/mm〜65
    0V/mmの抵抗値を有することを特徴とするセラミッ
    ク素子。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のセラミック素子におい
    て、基体はZnOを主成分とし、1cm換算でV12
    0A/V12μA値が1.6以下であることを特徴とす
    るセラミック素子。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のセラミック素子におい
    て、基体はZnOを主成分とし、1cm換算でV12
    0A/V12μA値が1.55以下であることを特徴と
    するセラミック素子。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のセラミック素子におい
    て、高抵抗層は無機高分子構造を有するセラミックコー
    ティング膜からなる内層と、この内層の表面に設けられ
    た非晶質セラミックコーティング膜からなる外層とによ
    り構成されていることを特徴とするセラミック素子。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のセラミック素子におい
    て、高抵抗層は無機高分子構造を有するセラミックコー
    ティング膜の成分がSiO、MgO、Al、Z
    rO、Yの一種、もしくは二種以上の組合わせ
    であることを特徴とするセラミック素子。
  8. 【請求項8】 請求項1記載のセラミック素子におい
    て、高抵抗層は非晶質セラミックコーティング膜の成分
    がSiO、Fe、Al、TiO、Y
    の一種、もしくは二種以上の組合わせであることを
    特徴とするセラミック素子。
  9. 【請求項9】 請求項2記載のセラミック素子におい
    て、高抵抗層の耐電圧特性が2kV/mm以上であるこ
    とを特徴とするセラミック素子。
  10. 【請求項10】 請求項3記載のセラミック素子におい
    て、高抵抗層の耐電圧特性が3kV/mm以上であるこ
    とを特徴とするセラミック素子。
  11. 【請求項11】 請求項1記載のセラミック素子におい
    て、高抵抗層の表面粗さがRmax値で20μm以下で
    あることを特徴とするセラミック素子。
  12. 【請求項12】 請求項1記載のセラミック素子におい
    て、高抵抗層の膜厚が50〜200μmの範囲であるこ
    とを特徴とするセラミック素子。
  13. 【請求項13】 請求項2記載のセラミック素子におい
    て、素体と高抵抗層の接着強度が150MPa以上であ
    ることを特徴とするセラミック素子。
  14. 【請求項14】 請求項3記載のセラミック素子におい
    て、素体と高抵抗層の接着強度が200MPa以上であ
    ることを特徴とするセラミック素子。
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