JPH10321258A - 非水系の再充電可能なリチウム電池 - Google Patents
非水系の再充電可能なリチウム電池Info
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- JPH10321258A JPH10321258A JP10127567A JP12756798A JPH10321258A JP H10321258 A JPH10321258 A JP H10321258A JP 10127567 A JP10127567 A JP 10127567A JP 12756798 A JP12756798 A JP 12756798A JP H10321258 A JPH10321258 A JP H10321258A
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Abstract
を安全に放電することができる再充電可能な非水系リチ
ウム電池を得る。 【解決手段】 再充電可能な非水系リチウム電池は、過
充電酷使を受けると、比較的危険な充電状態になるた
め、以降の熱的または機械的酷使において安全面に問題
がある。導電性ポリマーを電気化学的に形成する電解質
添加剤を使用して、過充電酷使の結果として電池内部に
短絡を発生し、電池を内部的に自動放電する。本発明
は、電気的切断装置を設けた電池であって、この切断装
置の作動後は外部的に放電できない電池に好適である。
ビフェニルなどの芳香族化合物が特に好適な添加剤であ
る。
Description
なリチウム電池、およびその安全性の改善方法に関す
る。特に、本発明は、リチウムイオン電池の過充電後に
さらなる酷使に対するリチウムイオン電池の安全対策と
して重合性モノマー添加剤を使用することに関する。
電可能な電池が求められている結果、再充電可能なリチ
ウム電池に関する研究や開発が盛んになっている。リチ
ウムを使用すると、高エネルギー密度、高電池電圧、ま
た長い貯蔵寿命が得られるが、安全性の問題(即ち、火
災)が生じる。というのは、リチウムは反応性の高い元
素であるためである。このように安全性に問題があるた
め、多くの再充電可能なリチウム電池は、その電気化学
的作用及び/又はサイズが一般的な使用には向いていな
い。一般的にいって、リチウム金属単体からなる、ある
いはリチウム合金からなる負極を利用する電気化学作用
の電池が一般に利用できるのは、極めて小形のもの(例
えば、大きさがコイン程度の電池)か一次電池(すなわ
ち、再充電できない電池)である。しかし、このような
電気化学作用をもつ大形の再充電可能な電池は、安全面
がそれ程重視されてない、軍事用途やある主の遠隔地で
の給電用途には使用できる。
グチェア形」として知られている再充電可能なリチウム
電池が市販されるようになってきている。これら電池
は、多くの消費者エレクトロニクス用途にとって好適な
再充電可能な電力源になっている。現在利用できる従来
形の再充電可能な電池(即ち、Ni−Cd電池、Ni−
MH電池、または鉛酸電池)の中でも、これら電池は最
大のエネルギー密度(Wh/L)をもっている。さら
に、リチウムイオン形電池の動作電圧は十分高く、多く
のエレクトロニクス用途では、1個の電池で十分その役
割を果たすことができる。
よび負極に対して2種類の異なる挿入化合物を使用す
る。LiCoO2/黒鉛前駆体炭素の電気化学作用に基
づく3.6V(平均)のリチウム電池は現在市販されて
いる。また、これ以外にも、LiNiO2 やLiMn2
O4を始めとする多数のリチウム遷移金属酸化物化合物
も正極材料として使用するのに好適である。また、コー
クスや純粋な黒鉛を始めとする広範囲にわたる炭素質系
化合物も負極材料として使用するのに好適である。上記
電池製品では、LiBF4塩やLiPF6塩、およびエチ
レンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチル
カーボネートやエチルメチルカーボネートなどの溶剤混
合物からなる非水系電解質を使用している。同様に、こ
れら電池に使用する塩及び/又は溶剤については数多く
の選択肢が存在していることが知られている。
特に再充電時に通常の動作電圧を上回るような過充電酷
使には弱い。過充電時、正極から過剰なリチウムが抽出
され、これに対応して負極ではリチウムの過剰な挿入、
場合によってはめっきが生じる。この結果、両電極の熱
安定性が劣化する。負極は反応性リチウムでドーピング
またはめっきされると安定性が低下する傾向があり、一
方正極の場合は、分解して、酸素を発生する傾向が強く
なる(J.R.Dahn et al.,Solid State Ionics,69(3-4),p
p265-270,1994を参照)。また、過充電の結果、電池の
加熱が生じることもある。というのは、入力したエネル
ギーの多くは蓄積されるというよりは、放散されるから
である。熱安定性の低下が電池の加熱とともに生じる
と、過充電時に危険な熱的暴走が生じ、火災が発生する
恐れがある。
成体からなる電池充電装置及び/又は電池パックは過充
電を防止する適当な電気回路を備えている。ところが、
回路の万一の故障に対処するため、多くのメーカーは、
過充電酷使に対する保護レベルを上げる手段として別に
安全装置を個々の電池自体に組み込んでいる。例えば、
それぞれ米国特許明細書第4943497号や1993
年6月25日に出願され、1994年2月11日に公開
されたカナダ特許出願第2,099,657号明細書に
記載されているように、ソニー社やMoli Ener
gy(1990)Limited社が現在製造している
製品は、過充電酷使時に電池の内圧がある所定の値を越
えたときに作動する切断装置を内部に組み込んである。
また、過充電時にある所定の電圧を超えたときに十分な
気体を発生して、切断装置を作動させるために、各種の
気体発生剤(例えば、正極化合物及び/又は他の電池添
加剤)も使用することができる。
に大きくして、特定の過充電状態になった時に切断装置
を液圧により作動させるようにしている(これについて
は、1993年4月8日に出願され、1994年10月
9日に公開されたカナダ特許出願第2,093,763
号明細書に開示がある)。
体に組み込んで、充電電流及び/又は電圧を制限するこ
とも可能である。一部の製造業者では、正の温度係数の
サーミスタ(PTC)を組み込んで、過充電酷使時の充
電電流を部分的に制限している。この装置の場合、電池
の加熱とPTCのIR加熱との組み合わせを使用して、
PTCを作動することによって、抵抗を大きくし、充電
電流を制限している。原則的には、個々の電池それ自体
のヘッダーに過充電保護用電気回路を組み込むことも考
慮の対象とすることができる。
装置は、過充電の電気的酷使により生じる危険な問題を
解消する限りでは、有効な装置といえるが、過充電電池
の場合、充電状態は通常より高くなっている。従って、
電池構成体の熱的安定性が正常時より低く、正常時より
危険な状態になっている。このような過充電状態にある
電池は、次の機械的な酷使(例えば、破壊)や熱的酷使
(例えば、オーブン加熱)に非常に弱い。大多数の電池
の場合、過充電酷使が生じたならば、手作業で単に放電
することによって安全な放電状態にしてから廃棄するよ
うにしているが、この放電を自動化することが好まし
い。
にある電池は、外部から放電して、エネルギーを取り去
り、充電状態を低くすることができない。このような切
断状態にある電池は、異常な程危険な状態にあり、廃棄
したり、あるいは突き固めるさいに別な問題を発生す
る。不幸なことだが、いったん切断すると、このような
電池は残存容量がなくなっている(すなわち、完全に電
池が作動しない状態になっている)はずと考えられてい
る。この時点で、軽率な消費者ならば、電池を解体した
り、あるいは機械的に乱暴に扱う誘惑に負ける恐れが通
常よりも大きくなるが、不幸な結果になることがある。
即ち、このような過充電状態にある電池を自動的に、か
つ内部的に放電する手段が強く求められている。
公知であり、既に提案されている。電気化学作用の水系
電池の場合、充電の最後で再結合反応が生じる。この再
結合反応が有効に作用して、充電が継続している間電池
を連続放電する。同じような目的をもつ電気化学作用の
非水系電池についても、添加剤(化学的シャトル)が開
示されている。再結合反応および化学的シャトルは、通
常の最大動作充電電圧を越えない限りにおいてという前
提でのみ、電池を自動放電するものとみなすことができ
る。
知である。電気化学的腐食反応を利用して、正極電位に
維持される金属部品(例えば、正極集電体)や他の添加
剤を急激に腐食することができる。この場合、腐食した
成分が正極から移動して、負極をめっきする結果、導電
性デンドライトが生成する。腐食およびめっきが続く
と、正極と負極との間に導電性デンドライトの架橋が形
成し、このデンドライトの架橋によって電池を電気的に
短絡できる。デンドライトの架橋が形成するまでは、腐
食反応において電池容量がほとんど消費されないことが
多い。従って、最大動作電圧以上で腐食が開始し、そし
て過充電が安全を脅かす前にかなりの腐食が生じる場合
には、上記目的に正極金属部品やその他の添加剤が好適
に使用することができる。低電圧(例えば、約2ボル
ト)の非水系電池については、容易に利用できる材料の
選択肢が数多く存在する。例えば、1980年代にMo
liEnergy Ltd が製造していたリチウム負
極/二硫化モリブデン正極電池の場合、負極電位にある
ステンレス鋼及び/又はニッケル金属部品が腐食し、デ
ンドライトの架橋を形成し、電池を内部的に短絡するこ
とによって、充電状態を制限するとともに、過充電酷使
時に電池を保護するようになっていた。しかし、より高
い電圧(例えば、約4ボルト)の非水系電池にはそれ程
多くの選択肢は存在しない。現在利用されている電池金
属材料の多くは、電池の正常な動作を確保するために、
あまりにも低い電位で腐食する。一方、あまりにも低い
電位では腐食しない特殊材料は、過充電保護が必要な場
合には十分に腐食しない。このように、通常の材料や特
殊材料のいずれもより高い電圧の非水系電池に簡単には
利用できない。
段も検討されている。例えば、提案されている一つの選
択肢は、作動時に切断を行なう代わりに、短絡接続を行
なう機構を組み込んだ点を除けば、上記電気的切断装置
と同じである。しかし、この選択肢は機械的に複雑であ
り、コストや信頼性に問題がある。理想をいえば、過充
電時に内部短絡を行なう手段は信頼性が高く、コストが
低くなければならない。また、最適には、徐々にか段階
的に程度の低い短絡を発生し、場合に応じて電池内部全
体に配分して、短絡を通じて放散されるパワーおよび熱
が突然大きくならないように、あるいは局部化(即ち、
スポット加熱の発生)しないようにする。これら後者の
条件はいずれもそれ自体が危険である。
したカナダ特許出願第2,163,187号明細書(特
開平9−171840号公報)には、過充電時に内部電
気的切断装置を作動する目的で、リチウム電池に気体発
生剤などの重合性モノマー添加剤を使用することが開示
されている。この明細書には、導電性ポリマーを生成す
るある種のモノマー気体発生剤は内部短絡を発生し、過
充電酷使後に電池を放電する作用を併せもつことも開示
されている。実施例によれば、この作用は、実際には、
ビフェニル添加剤を配合した電池により得られる。ビフ
ェニルの重合体は導電性である。
出願したカナダ特許出願第2,156,800号明細書
(特開平9−106835号公報)には、過充電の間、
再充電可能なリチウム電池を保護する目的で、重合性モ
ノマー添加剤を使用することが開示されている。ここで
は、液体電解質に少量の重合性添加剤を混合する。過充
電酷使時、電池の最大動作電圧を超える電圧で芳香族添
加剤が重合することによって、内部抵抗を大きくして、
十分な保護を与える。
7号明細書および同2,156,800号明細書のいず
れにも、電池に内部切断装置を組み込んであるかどうか
に関係なく、一般的に、過充電酷使後に、電池自体を自
動的に放電するようにすることが有利であることは直接
的に開示されていない。また、重合した時に導電性重合
体を生成するモノマー添加剤が気体発生剤であるか、あ
るいは電池の内部抵抗をかなり大きくするかに関係な
く、モノマー添加剤を使用することが有利であることに
ついても、直接的な開示はない。
ポリマーを生成できるいくつかの芳香族化合物が、サイ
クル寿命を延長するために、電解質溶剤混合物に、塩及
び/又はある種の再充電可能な非水系リチウム電池の電
解質溶剤添加剤として既に使用されている。特開昭61
−230276号公報では、フラン(芳香族複素環)溶
剤添加剤からなる電解質を使用する実験室試験用電池
が、めっきしたリチウム金属についてはサイクル効率を
改善することが確認されている。また、特開昭61−1
47475号公報には、負極をポリアセチレンとし、正
極をTiS2とし、チオフェン溶剤添加剤からなる電解
質を使用した電池が、添加剤を使用しない以外は同様な
電池と比較した場合、サイクル特性においてすぐれてい
ることが示されている。しかし、これら公報には、添加
剤の電気化学的重合性から得られる潜在的な安全面にお
ける作用についてはなにも開示がない。また、これら公
報における実際の実施態様が、過充電酷使時に現実に安
全面における作用をもつかどうかが、(即ち過充電時に
生じる他の作用が重合性を阻止するのか、及び/又は重
合の結果として内部短絡が生じないのかが)明確ではな
い。
電可能なリチウム電池において、過充電酷使後に、充電
された電池容量を内部で放電し、電池を安全なものとす
ることを課題とするものである。
非水系リチウム電池の過充電酷使後に、この電池を自動
的に内部放電する方法および実施態様の両者に関するも
のである。(この場合、過充電酷使とは、通常の最大動
作充電電圧を超える電圧まで電池を充電した場合に生じ
るものと考える)。重合すると、導電性重合体を生成す
るモノマー添加剤を非水系電解質に配合する。過充電酷
使時に、このモノマー添加剤が重合することによって、
電池に内部短絡を発生し、これを放電する。
る必要のある電池に、またはその必要のない電池のいず
れに対しても有効である。例えば、低電圧電池の場合、
電気的過充電酷使に対する安全を保障する追加的な手段
は必要ないかもしれないが、このような低電圧電池で
も、過充電後には、次の熱的酷使において安全を脅かす
恐れがある。このため、本発明は、これら低電圧電池を
より低い充電状態に放電して、次の熱的酷使における安
全性を高くする場合にも有効である。
制限するために、正の温度係数を有するサーミスタ(P
TC)やその他の電気回路手段を備えた電池にも有効で
ある。このような電池の場合、例えば、制御された速度
で手作業により放電して、安全性を必要に応じて高くす
ることができる。しかし、安全面からみた場合、放電を
確実に行なうためには、この放電を自動的かつ内部的に
行なうのが好ましい。ビフェニルなどの本発明のある種
の添加剤の場合、過充電状態のPTCを備えた電池を自
動的に放電できるだけでなく、(前記カナダ特許出願第
2,156,800号明細書に開示されているように)
内部インピーダンスを大きくすることによって過充電時
にPTCの作用を高めることもできる。
電気的切断装置を備えた再充電可能なリチウム電池に適
用するのが好ましい。前記カナダ特許出願第2,16
3,187号と同様に、モノマー添加剤は活性化気体発
生剤として作用するとともに、重合した時に内部短絡を
発生するモノマーとして作用する。しかしながら、本発
明のモノマー添加剤は圧力活性化気体の一次源である必
要はなく、気体発生剤である必要はない。このような実
施態様の場合には、電気的切断装置を作動する他の手段
を本発明のモノマー添加剤と組み合わせて使用するのが
望ましい。部分的な過充電後に、(即ち、電気的切断装
置の作動前に過充電が停止した後に)本発明の添加剤に
よって内部短絡を発生できるため、過充電電池を放電で
き、また過充電酷使が生じていることが切断装置の作動
によってわかった場合にも過充電電池を安全なものにす
ることができる。
電池はリチウム挿入化合物正極、リチウム化合物負極
(例えば、リチウム金属、リチウム合金あるいはリチウ
ム挿入化合物)、および非水系電解質(例えば、液状電
解質であるが、高分子電解質や可塑化高分子電解質も使
用可能である)で構成するものである。リチウムイオン
電池の場合、リチウム挿入化合物としては、LixCo
O2が使用でき、またLi xNiO2 及びLixMn2O4
からなる群から選択したものも使用できる。リチウム化
合物負極には、炭素質系挿入化合物が使用できる。液体
電解質溶剤としては、エチレンカーボネート、プロピレ
ンカーボネート、ジエチルカーボネートやエチルメチル
カーボネートなどの有機炭酸塩が使用できる。液体電解
質溶質としては、LiPF6やLiBF4などのリチウム
塩が使用できる。特に、本発明は最大動作充電電圧が4
ボルトを超える電池に好適である。
電池電圧で重合することによって、導電性ポリマーを生
成し、電池に内部短絡を発生するモノマー添加剤を電解
質に混合する。モノマー添加剤の量については、生成し
たポリマーが実際に正極および負極両者を架橋して、電
池を短絡するのに十分でなければならない。電解質とモ
ノマー添加剤との混合物においてモノマー添加剤の量が
5重量%未満であれば十分である。モノマー添加剤とし
ては、芳香族添加剤が使用できる。ビフェニルが、動作
電圧が4ボルト範囲にあるリチウムイオン形電池に特に
好適な添加剤である。ビフェニルは、電解質混合物中に
約2〜3重量%の量で配合すれば効果がある。
である。例えば、ピロール、N−メチルピロール、チオ
フェンなどが重合すると、ある種の電池に内部短絡を発
生する。このように広くいえば、これら添加剤は潜在的
に好適な添加剤であるが、好ましい対象電池は最大動作
充電電圧が約4ボルト未満の電池である。フラン、イン
ドール、3−クロロチオフェンなどの添加剤は、動作充
電電圧がより高い電池を対象とする潜在的に好適な添加
剤である。これら化合物中の異なる化学基を置換して
も、生成するポリマーの重合電位及び/又は導電性に若
干の影響がでるだけと考えられる。即ち、これら置換化
合物も好適な及び/又は好ましい添加剤である。
法では、最大動作充電電圧を超える電池電圧で導電性ポ
リマーを重合により生成するモノマー添加剤を選択し、
過充電酷使時に重合添加剤が内部短絡を発生することに
よって、安全な充電状態まで電池を自動放電するのに十
分な量のモノマー添加剤を電解質と混合する。あまりに
も速すぎる放電速度やあまりにも遅すぎる放電速度のい
ずれも望ましくなく、また添加剤には他の目的がないの
で、発生した内部短絡によって約24時間以内で安全な
充電状態に電池を放電できる限り、最少量の添加剤を使
用するのが好ましい。(もちろん、ビフェニルなどの添
加剤には別な有効な作用がある。例えば、前記2件のカ
ナダ特許出願第2,156,800号および第2,16
3,189号明細書に記載されているように、切断装置
を作動したり、電池インピーダンスを大きくする作用を
もつ)。
場合、事故を最小限に抑えるために、その使用時期の最
後で、廃棄に先立ち、あるいは場合によって電池を酷使
するなんらかの処理に先立ち、エネルギーを取り去って
おくのが理想である。再充電可能な非水系電池、特に一
般消費者向けの電池も例外ではない。一般に利用されて
いる非水系電気化学装置の大半は過剰充電に対して保護
が必要である。というのは、このような過剰充電が生じ
ると、通常は、電池にエネルギーが完全充填された時に
望ましくない反応生成物や副生熱が生じるからである。
これら電池は過充電自体に対しては十分に保護されてい
るが、その後再度酷使(「積み重ね」酷使として知られ
ている)されると、安全を潜在的に脅かすものとなる。
的行動に頼ることは好ましくない。電池パックについて
は、一般の人々が解体することによって外部保護装置を
取り外したりすることがある。同時に、あるいは、警告
書にもかかわらず、またそのように扱った際の危険が周
知されているにもかかわらず、個々の電池が酷使される
ことがある。寿命が若干残っている電池よりも動作不能
電池のほうが、一般の人々によってなんの注意もなく扱
われる恐れが強い。この点で、動作不能電池自体を過充
電後に安全な放電速度で自動放電できるならば、消費者
に頼る必要を望ましくは回避できる。
態が増大するに従って、熱的酷使に対する安定性が低く
なる傾向がある。ある種の市販リチウムイオン形電池の
場合、一つは電池を比較的安全な充電状態に熱的に制限
する目的で、上限電圧が指定されている。他の形式の電
池と比較した場合、基本的に、このようなリチウムイオ
ン形電池が過充電状態になると、電池内部圧力の増大に
よる圧力開放や火災が発生する恐れが強い。このため、
例えば、リチウムイオン形電池及び/又は電池パックに
は、過充電を防止するために、信頼性のある外部回路を
設ける。ところが、この外部回路はユーザーがその気に
なれば外すことができるものであり、信頼性の最も高い
回路ですら、破損率は小さいが限界はある。従って、市
販のリチウムイオン形電池には、専ら内部過充電保護装
置が設けられている。これら装置は、例え外部装置が外
されたり、あるいは破損した場合でも保護を与えるのに
有効である。
保護装置がいったん作動したならば、使用不能状態にな
るのが好ましい。放電されるまで、過充電電池は次の熱
的または機械的酷使に対して安全を潜在的に脅かすもの
であり続ける。不幸にも、その後の放電を行なうために
は、ユーザーが適宜介入する必要がたびたび生じる。場
合にもよるが、ユーザーが電池を外部的に放電できない
ことすらある。これは内部の電気的切断装置が作動した
場合にもあてはまる。切断装置が作動した電池は、ユー
ザーにとっては、「死んだ」状態の電池であり、外部か
らは放電できない電池である。
系電池の過充電後に電池を自動放電する手段を提供する
ものである。これは、電池の非水系電解質に好適な重合
性モノマー添加剤を少量配合することによって実現す
る。このモノマー添加剤については、ある適当な電圧で
重合して、導電性ポリマーになるものを選択すればよ
い。換言すれば、電池の正常動作時に(即ち、正常な動
作電圧範囲では)、有意な重合が起きないモノマーを選
択すればよい。モノマー添加剤は、過充電酷使時に、重
合電圧に達すると、重合を開始する。最終的に、十分な
導電性ポリマーが生成して、電池電極間に導電性の架橋
を形成することによって、電池に内部短絡を発生し、電
池を放電する。安全面からみた場合、電池が望ましくな
い充電状態に達する前に、導電性の架橋が形成している
のが好ましい。こうしておけば、内部放電の開始がない
限り、電池が部分的に上記の望ましくない状態に過充電
されることはありえない。
めには、いくつかの条件を同時に満足する必要がある。
即ち、電気化学的に重合して、むしろ特定の電圧で導電
性ポリマーの架橋を形成できなければならない。また、
この点を除いて、添加剤の配合が電池性能に悪影響を与
えてはならない。原則的には、多くのモノマーを使用す
ることができるが、芳香族モノマーが特に好適である。
というのは、重合電位がこの用途に適する範囲にあるう
えに、重合反応により導電性ポリマーが生成するからで
ある。さらに、芳香族化合物には、少量でも、リチウム
電池の化学作用に適合性を示すことが多いという利点も
ある。
発行された、R.J.Fessenden et al.を著者とする “Org
anic Chemistry " で議論されているように、用語“芳
香族”とは、π電子の非局在化によって実質的に安定化
される環式化合物を指すものである。このような化合物
は環構造か平面構造をもち、環の各原子は環の平面に対
して直交するp軌道をもつ(sp2 混成状態)。また、
環系には4n+2個のπ電子(nは整数である)が存在
しなければならない(ヒュッケル則)。用語「複素環
式」とは、(The Condensed Chemi
cal Dictionary,第9版,G.G.Ha
wley,Van Nostrand Reinhol
d,1977年参照)、通常は5員か6員の閉環構造を
指すものである。この場合、環中の一つかそれ以上の原
子は炭素以外の元素(例えば、硫黄、酸素や窒素)であ
る。
する用途における電圧範囲で電気化学的にきわめて容易
に重合できる環構造をもつ。多くの芳香族複素環式化合
物の場合、その環構造に異種原子が存在すると、これに
隣接する炭素原子が電子に富んだ状態になるため、簡単
に開環が生じ、これらの位置で重合が生じる。他の不飽
和環式化合物の場合、これ程簡単には電気化学重合しな
い。
しては、例えば、ビフェニル、ピロール、インドール、
チオフェン、フランやこれらの誘導体などが使用でき
る。(Electrochemistry in Or
ganic Synthesis,J.Volke&
F.Liska,Springer−Verlag、1
994から再録した)表1に、いくつかのモノマーの飽
和甘汞電極に対する酸化電位と形成したポリマーフィル
ムの導電性を示す。
び電気化学的装置(電池)に使用する他の電解質成分に
依存するものである。文献に記載されている値は、本発
明が対象とする用途において候補となり得る化合物を示
唆するものであるが、実際の電池環境ではいくぶん異な
った形で重合が進行する。即ち、電池最大動作充電電圧
を超えるが、実際の電池条件下では電池が安全を比較的
脅かすものになる過充電電圧を下回る電圧で重合する化
合物が好適である。なお、重合については、必要になる
時点までに充分なポリマーにより充分な架橋を形成する
のに充分な重合速度が必要である。
合体の形態および電池の電気化学作用および電池設計に
依存するものである。緻密なポリマーの導電性の架橋は
繊維性の強い架橋よりも抵抗が低いと考えられる。セパ
レータが厚く、及び/又は電極面積が小さい電池の場
合、セパレータが薄く、及び/又は電極面積が大きい電
池よりも導電性の高いポリマーが必要である。というの
は、抵抗の高いポリマーの場合、同じ実抵抗を得るため
に、架橋体を短くし、横断面積を大きくできるからであ
る。最後に、必要な内部抵抗は特定の電池電圧、容量、
および充電状態に対する安全基準を依存するものであ
る。
期の内部短絡を得る最少量のモノマー添加剤を使用すれ
ばよい。添加剤は、まず第1にリチウムに対して、そし
て電極に対して比較的不活性でなければならないが(即
ち、リチウムと反応したり、電極に挿入することはあっ
てはならないが)、不活性であっても添加剤を過剰な量
で使用すると、(例えば電池インピーダンスの増加によ
って)電池性能特性に悪影響を与えることがある。代表
例の挙げれば、本発明においては、電解質に数重量%か
数容量%で添加剤が存在すればそれで充分である。実際
に使用可能な必要量は、同様に、一部は電池の電気化学
作用および電池設計、そして一部はモノマー特性に依存
するものである。
って、いくつかの基準を満足する必要がある。これら基
準を満足する許容範囲は比較的広いが、所定の電池用途
に対して候補となる特定の添加剤の適合性を知るため
に、発明には直接関係のない実験をいくつか行なう必要
がある。これら実験には、候補となる添加剤を異なる量
で含有する試作電池の過充電試験がある。表面的には使
用可能な量の添加剤を選択するさいに、あるいは選択し
た後に、性能に対する悪影響を完全に試験するために、
試作電池についてある種の性能試験を行なう必要があ
る。このような試作電池は当業者の範囲および能力範囲
にあり、別に発明性を必要としない。
象として市販されているリチウムイオン形電池製品に特
に好適な添加剤はビフェニルであることを見いだした。
これら電池は、例えば、セパレータが薄く(約25μ
m)、電極表面積が大きい(約数百cm2 )である。電
池容量については、1Ahかそれ以上であるのが普通で
ある。また、正常な最大動作充電電圧は約4.2Vであ
る。この4.2Vと約5Vとの間で、電池の危険性が比
較的強くなる。Cレート以上で放電が生じると、数%の
ビフェニルが充分に重合して、導電性の架橋を形成し、
24時間以内で電池を安全な充電状態まで放電する。カ
ナダ特許出願第2,156,800号明細書に開示され
ているように、このような電池環境においては、ビフェ
ニル添加剤はLi/Li+ に対して4.70Vで重合す
ると考えられ、少量の使用では、電池性能に有意味な悪
影響を与えない。同明細書では、3−クロロチオフェン
やフランなどの他の潜在的に好適な添加剤も使用可能で
あるとされている。
より低い動作充電電圧(即ち、4.2V未満)をもつ非
水系電池に好適であることが判明した。これら添加剤に
は、N−メチルピロールやチオフェンがあり、電圧がよ
り低い電池により好適であると考えられる。というの
は、代表的な電池ではあまりにも低い電圧で内部短絡が
発生するからである。上記添加剤と密接な関係がある他
の添加剤(即ち、置換化合物やその誘導体)も同様では
あるがわずかに異なる特性を示し、それ故ある種の用途
における好ましい選択肢であると考えられる。
構成は従来電池と同様である。一般的には、電池組み立
て時のある好適な時点で、使用可能量の添加剤をバルク
電解質に単に混合するだけでよい。いうまでもなく、バ
ルク電解質や添加剤の特性(例えば、蒸気圧、毒性な
ど)の違いに応じて多少の操作上の変更が必要である。
市販されている非水系の再充電可能なリチウム電池は各
種の形状(即ち、角柱状電池や小形のコイン形電池)を
もち、多くの異なる成分を使用することができる。(例
えば、このような添加剤は恐らく高分子系電解質におい
てあまり移動しないが、固体高分子電解質からなる電池
も、このような添加剤を配合することによって同様な特
性を実現する)。リチウムイオン形電池製品の好ましい
構成については、図1に従来の螺旋状電池として横断面
図を示す。正極箔1、負極箔2、およびセパレータとし
て作用する、2枚の微孔性ポリオレフィンシート3を螺
旋巻きにしてジェリーロール4を作製する。
ム化遷移金属酸化物などの適当な粉末状(粒度が例えば
約10μm)正極材料、所望ならば他の粉末状正極材
料、結合剤、および導電性希釈剤からなる混合物を塗布
して作製する。塗布方法の代表例では、まず、適当な液
体担体に結合剤を溶解してから、この溶液に加えて他の
粉末状固体成分を使用して、スラリーを作製する。次
に、基体箔に均一にスラリーを塗布する。その後、担体
溶剤を蒸発除去する。多くの場合、このようにしてアル
ミニウム箔基体の両側を塗布処理してから、正極箔をカ
レンダー処理する。
状(粒度が例えば約10μm)の炭素質系挿入化合物を
使用し、そして通常はアルミニウムの代わりに薄い銅箔
を使用する以外は、上記と同様にして作製する。また、
負極箔の幅を正極箔の幅よりわずかに広くして、負極箔
が常に正極箔に確実に対向するようにする。
入する。ヘッダー11およびガスケット12を使用し
て、電池15を密封する。ヘッダー11の外面を正端子
として、そして電槽10の外面を負端子として使用す
る。正極タブ6および負極タブ7を適当に接続して、内
部電極と外部端子を接続する。適当な絶縁片8および9
を挿入して、内部短絡の可能性を未然に防止することが
できる。ヘッダー11を電池缶10にクリンプして、電
池を密封する前に、電解質5を加えて、ジェリーロール
4の微孔空間を充填する。本発明の電池の場合、使用可
能量のモノマー添加剤をさらに電解質5に配合する。例
えば、圧力動作式内部電気的切断装置、正の熱係数サー
ミスタ(PTC)や過充電保護装置などの一つかそれ以
上の装置を設けて、電池を過充電による電気的酷使から
保護する。また、別な理由から、安全装置をヘッダーに
組み込んでもよい。通常、電池に過剰な圧力が蓄積した
場合に破裂する安全口を組み込んでおいても良い。
出願第2,099,657号明細書に示されているのと
同様な内部電気的切断装置をヘッダー11に組み込む。
この切断装置は、Li2CO3などの気体発生剤によって
作動できる。この気体発生剤は、(上記カナダ特許出願
第2,163,187号明細書に示されているよう
に)、内部短絡を発生する重合性添加剤としても使用で
きるが、これは必ずしも必要ではない。あるいは、内部
短絡を発生する、過充電時に気体を発生しない重合性添
加剤を使用したり、切断装置を作動するために別な手段
(例えば、上記カナダ特許出願第2,093,763号
明細書に開示されている手段)を使用することも好まし
い。2重結合の破断によって重合するモノマー添加剤は
気体状副産物を発生することがないので、このような場
合に好適である。
が、どのような意味でも本発明を制限するものではな
い。理論の制限を受けるものではないが、添加剤の重合
は正極で生じ、正極表面にポリマーを生成するものと考
えられる。電解質に入った添加剤は、正極に向かって移
動を続け、正極に接触して重合し、最終的にセパレータ
を介して負極に接触する析出物が成長する。このように
して、導電性の架橋が形成できる。代表的なリチウムイ
オン形電池の場合、電極はいずれも薄く、低容量の微孔
性セパレータに物理的に接触している。従って、比較的
少量のモノマーでも所期の内部短絡を実現できると考え
られる。
様を説明するが、これら実施例はどのような意味におい
ても本発明を制限するものではない。既に説明し、かつ
全体を図1に示すように、18650サイズ(直径が1
8mmで、高さが65mm)の円筒形電池を作製した。
正極1は幅が約5.4cmで、長さが約49.5cmの
薄いアルミニウム箔の両側にLiCoO2 粉末、炭素質
系導電性希釈剤及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)
結合剤からなる混合物を均一に塗布して作製した。塗布
量は約47mg/cm2であった。負極2については、
長さが正極と同じであるが、幅が3mm広い薄い銅箔
に、球状黒鉛粉末、カーボンブラックSuperS(E
nsagri社の商標)およびポリフッ化ビニリデン
(PVDF)結合剤(球状黒鉛粉末に対してそれぞれ約
2重量%および約10重量%の量で使用)からなる混合
物を均一に塗布して作製した。塗布量は約23mg/c
m2 であった。微孔性ポリプロピレン膜を使用してセパ
レータ3を作製した。電解質5として、EC/PC/D
EC容量比が30/20/50のエチレンカーボネート
(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、およびジ
エチルカーボネート(DEC)からなる溶剤混合物に溶
解したリチウム塩の溶液を使用した。各電池にほぼ5m
lの電解質を使用した。
650型の電池を2個組み立てた。ただし、第1の比較
用電池には添加剤を使用せず、第2の本発明電池には電
解質に2重量%のビフェニル添加剤を配合した。(な
お、ビフェニルは室温で固体であるため、便宜上容量で
はなく、重量で定量化する)。これら電池には、上記カ
ナダ特許出願第2,099,657号明細書に記載され
ているように、圧力開放口および内部電気的切断装置を
設けた。充電、放電、次に4.1ボルトの正常最大動作
充電電圧まで再充電することによって電池をまず21℃
で状態調節した。
用して、21℃の周囲温度で上記2個の電池を過充電酷
使試験した。それぞれ3A及び3.6Aで電池を12分
間(内部電気的切断装置が作動することなく電池の充電
状態を有意に高くできるのに充分な時間)部分的に過充
電した。次に、電池を約19時間モニターした。この
間、第1の電池の電圧は約4.5ボルトで安定してい
た。第2の電池の電圧は連続的に降下し、19時間後に
約4.05ボルトになった。各電池につき爪貫入試験を
行なったところ、内部短絡が生じた。第1の比較用電池
は圧力開放口が動作して爆発し、発炎した。本実施例
は、ビフェニル添加剤を配合した電池は、比較用電池と
比較した場合、最初に僅かに高く過充電状態にあったに
もかかわらず、それ自体が充分に放電したので、後の機
械的酷使時における安全性が著しく高かったことを示
す。
LiPF6 電解質溶液を使用した以外は、実施例1と同
様にして10個の18650型電池を組み立て、状態調
節した。内部電気的切断装置が作動するまで、21℃、
3.6Aで電池を過充電した。(本実施例では、ビフェ
ニルは気体発生剤としても作用し、上記カナダ特許第
2,163,187号明細書に記載されているように、
切断装置を作動した)。電池を24時間保存してから、
爪貫入試験を行なった。電池の圧力開放口の開放もな
く、燃焼もなかった。爪貫入試験中に電池に記録された
最高表面温度は33℃であった。
使用しなかった点を除いて、a)と同様にして3個の1
8650型電池を組み立て、状態調節した。ただし、こ
れら電池のヘッダーにはPTC装置を組み込み、充電電
流を制限することによって、過充電酷使に対して電池を
保護した。PTCが作動するまで(即ち、PTCが充分
に加熱して、抵抗が急激かつ著しく上昇するまで)、2
1℃、3.6Aでこれら電池を過充電した。圧力開放口
の開放もなく、燃焼もなかった。次に、電池を24時間
開路状態で保存してから、爪貫入試験した。これら3つ
の電池のうち一つが電池漏れが激しく、発炎した。
BF4電解質溶液を使用した点を除いて、上記と同様に
して、6個の18650型電池を組み立て、状態調節し
た。上記カナダ特許出願第2,093,763号明細書
に記載されているように、ある特定の過充電状態におけ
る内部固体容量の増加により内部電気的切断装置が液圧
作動するように、各電池を構成した。内部電気的切断装
置が作動するまで、21℃、3.6Aでこれら電池を過
充電した。電池漏れもなく、燃焼もなかった。次に、電
池を24時間保存してから、爪貫入試験した。これら6
個の電池のうち5個が電池漏れが激しく、発炎した。本
実施例は、過充電後24時間以内に、添加剤を配合し、
切断装置を備えた電池の場合、切断装置またはPTCの
いずれかを備えるが、添加剤は配合していない比較用電
池に比べて、次の機械的酷使における安全性が著しく高
くなったことを示す。
は、実施例1と同様にして18650型の電池を組み立
てた。次に、電池を4.1ボルトに充電してから、60
℃で1週間保存した。その後、2.5ボルトまで1Aの
定電流で放電し、4.1ボルトまで電流を制限した状態
で、定電圧充電するサイクルで、電池を21℃において
サイクル試験した。20サイクル毎に、大きさが順次小
さくなる一連の放電電流を段階的に印加して、容量損失
がより低い放電速度で回復するかどうかを調べた。図2
に、この電池の容量対サイクル寿命データを示す。 本
実施例は、ビフェニル添加剤が5重量%以下ならば、依
然としてすぐれたサイクル特性が得られることを示す。
に、実施例1と同様な一連の18650型電池を作製し
た。即ち、以下の添加剤(容量%)を配合した電池を作
製し、電気的に状態調節した。0.5%ピロール、0.
42%N−メチルピロール、および1%チオフェン。ピ
ロール添加剤を配合した電池は状態調節時に相当大きい
内部短絡を発生したので、充分に充電できなかった。即
ち、内部短絡には60mA以上の充電電流を要した。短
絡は約3.5ボルトで開始し、電池電圧は約3.7ボル
トを越えなかった。N−メチルピロール添加剤を配合し
た電池については、4.1ボルトに充電した後に、開路
状態でモニターした。24時間で、電圧降下は大きく、
約3.9ボルトまで降下した。内部短絡は約3.5ボル
ト以上で発生すると考えられる。チオフェン添加剤を配
合した電池については、4.2ボルトまで充電した。開
路にした場合、その後1時間で電圧は4.09ボルトま
で降下した。これら添加剤は、上記実施例の高電圧電池
には向かないと考えられるが(なぜなら、内部短絡が正
常な動作電圧範囲で発生するからである)、にもかかわ
らず、これらは動作充電電圧がより低い非水系電池には
好適に使用できる添加剤である。
なように、本発明の精神または範囲から逸脱せずに、本
発明を実施する際には、多くの変更や改変が可能であ
る。即ち、本発明の範囲は、特許請求の範囲に定義され
ている実体に従って解釈すべきである。
充電時において、最大動作電圧以上の電圧において重合
して導電性の物質を生成するモノマーを電解質中に添加
したので、過充電において最大動作電圧を超えた後は、
内部で自動的に放電することとなり、過充電によって蓄
積したエネルギーを安全に開放することができる。
好適な実施態様を示す横断面図である。
ル数データを示すグラフである。
ーロール、5…電解質、6…正極タブ、7…負極タブ、
8,9…絶縁片、10…電池缶、11…ヘッダー、12
…ガスケット、15…電池
Claims (28)
- 【請求項1】 非水系電解質を有する再充電可能なリチ
ウム電池において、最大動作電圧を超える電池電圧で重
合して、導電性ポリマーを生成することによって、過充
電酷使時に内部短絡を発生するモノマー添加剤を上記電
解質に混合したことを特徴とする非水系の再充電可能な
リチウム電池。 - 【請求項2】 最大動作電圧を超えた場合に、電池を過
充電酷使に対して保護する過充電保護手段を有すること
を特徴とする請求項1に記載の非水系の再充電可能なリ
チウム電池。 - 【請求項3】 過充電保護手段が過充電時に抵抗が大き
くなることによって充電電流を制限する正の温度係数を
持つサーミスタからなることを特徴とする請求項2に記
載の非水系の再充電可能なリチウム電池。 - 【請求項4】 過充電保護手段が所定の内圧で作動する
内部電気的切断装置、および過充電時にこの切断装置を
作動させる気体および圧力を発生する、前記モノマー以
外の気体発生剤からなることを特徴とする請求項2に記
載の非水系の再充電可能なリチウム電池。 - 【請求項5】 気体発生剤がLi2CO3であることを特
徴とする請求項4に記載の非水系の再充電可能なリチウ
ム電池。 - 【請求項6】 過充電保護手段が充電電流または充電電
圧を制限する電気回路手段からなることを特徴とする請
求項2に記載の非水系の再充電可能なリチウム電池。 - 【請求項7】 電解質とモノマー添加剤との混合物が5
重量%未満のモノマー添加剤を有することを特徴とする
請求項1に記載の非水系の再充電可能なリチウム電池。 - 【請求項8】 モノマー添加剤が芳香族モノマー添加剤
であることを特徴とする請求項1に記載の非水系の再充
電可能なリチウム電池。 - 【請求項9】 芳香族モノマー添加剤がビフェニルであ
ることを特徴とする請求項8に記載の非水系の再充電可
能なリチウム電池。 - 【請求項10】 電解質とモノマー添加剤との混合物が
2〜3重量%のビフェニル添加剤を有することを特徴と
する請求項9に記載の非水系の再充電可能なリチウム電
池。 - 【請求項11】 芳香族モノマー添加剤がピロール、N
−メチルピロール、チオフェン、フラン、インドール、
および3−クロロチオフェンからなる群から選択される
ものであることを特徴とする請求項8に記載の非水系の
再充電可能なリチウム電池。 - 【請求項12】 芳香族モノマー添加剤がピロール、N
−メチルピロールまたはチオフェンであることを特徴と
する請求項8に記載の非水系の再充電可能なリチウム電
池。 - 【請求項13】 芳香族モノマー添加剤がフラン、イン
ドールまたは3−クロロチオフェンであることを特徴と
する請求項8に記載の非水系の再充電可能なリチウム電
池。 - 【請求項14】 最大動作電圧が4ボルトを超えること
を特徴とする請求項1に記載の非水系の再充電可能なリ
チウム電池。 - 【請求項15】 正極がLixCoO2、LixNiO2ま
たはLixMn2O4から選ばれるリチウム挿入化合物で
あることを特徴とする請求項1に記載の非水系の再充電
可能なリチウム電池。 - 【請求項16】 負極が炭素質系のリチウム化合物負極
である請求項1に記載の非水系の再充電可能なリチウム
電池。 - 【請求項17】 電解質溶剤がエチレンカーボネート、
プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、およ
びエチルメチルカーボネートからなる群から選択される
有機炭酸塩からなることを特徴とする請求項1に記載の
非水系の再充電可能なリチウム電池。 - 【請求項18】 電解質の溶質がLiPF6またはLi
BF4であることを特徴とする請求項1に記載の非水系
の再充電可能なリチウム電池。 - 【請求項19】 過充電状態の非水系の再充電可能リチ
ウム電池を以後の酷使に対して安全にする方法におい
て、 a)重合して、最大動作電圧を超える電池電圧で導電性
ポリマーを形成するモノマー添加剤を選択し、そして b)過充電時に重合した添加剤が内部短絡を発生するこ
とによって、安全な充電状態まで電池を放電するのに充
分な量の上記モノマー添加剤を電解質と混合することか
らなることを特徴とする過充電状態の非水系の再充電可
能リチウム電池を安全にする方法。 - 【請求項20】 電解質とモノマー添加剤との混合物が
5重量%未満のモノマー添加剤を有することを特徴とす
る請求項19に記載の方法。 - 【請求項21】 電解質とモノマー添加剤との混合物
が、24時間以内に電池を安全な充電状態まで放電でき
る内部短絡を発生するのに充分な量でモノマー添加剤を
有することを特徴とする請求項19に記載の方法。 - 【請求項22】 モノマー添加剤が芳香族モノマー添加
剤であることを特徴とする請求項19に記載の方法。 - 【請求項23】 上記芳香族モノマー添加剤がビフェニ
ルであることを特徴とする請求項22に記載の方法。 - 【請求項24】 電解質とモノマー添加剤との混合物が
2〜3重量%のビフェニル添加剤を含有することを特徴
とする請求項23に記載の方法。 - 【請求項25】 上記芳香族モノマー添加剤がピロー
ル、N−メチルピロール、チオフェン、フラン、インド
ール、および3−クロロチオフェンからなる群から選択
されるものであることを特徴とする請求項22に記載の
方法。 - 【請求項26】 上記芳香族モノマー添加剤がピロー
ル、N−メチルピロールまたはチオフェンであることを
特徴とする請求項22に記載の方法。。 - 【請求項27】 上記芳香族モノマー添加剤がフラン、
インドールまたは3−クロロチオフェンであることを特
徴とする請求項22に記載の方法。 - 【請求項28】 上記最大動作電圧が4ボルトを超える
請求項19に記載の方法。
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