JPH10318356A

JPH10318356A - 遊星歯車の潤滑装置

Info

Publication number: JPH10318356A
Application number: JP12660497A
Authority: JP
Inventors: Ko Ishimaru; 石丸　　航
Original assignee: JATCO Corp
Current assignee: JATCO Corp
Priority date: 1997-05-16
Filing date: 1997-05-16
Publication date: 1998-12-04

Abstract

(57)【要約】【課題】製造が容易で、軸方向の寸法を増加させるこ
とがなく、潤滑性能を圧倒的に改善する遊星歯車の潤滑
装置を提供すること。【解決手段】サンギヤ１と、リングギヤ２と、両ギヤ
１，２に噛み合うピニオンギヤ３を有し、該ピニオンギ
ヤ３はプラネットキャリア４に固定されたピニオン軸５
にニードルベアリング６を介して回転可能に支持された
遊星歯車Ａ１において、周方向に隣接するピニオンギヤ
３，３間に形成された空隙に、サンギヤ１側から径方向
外側に向かう油を収集するオイルガター７を設け、ま
た、オイルガター７に収集された油を、ニードル部潤滑
のためにピニオン軸５に形成された潤滑油穴９へ供給す
る潤滑油供給油路８を設けた手段とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動変速機の変速
機構等に適用される遊星歯車の潤滑装置の技術分野に属
する。

【０００２】

【従来の技術】ピニオンニードル部へ潤滑油供給をきち
んと行なうことは遊星歯車の寿命に圧倒的に有効になる
ことが知られており、自動変速機の変速機構に適用され
る遊星歯車に対しては強制潤滑を取り入れ始めている。

【０００３】現在、知られているピニオンニードル部へ
潤滑油を供給する遊星歯車の潤滑装置としては、例え
ば、図１１、図１２、図１３に記載のものがある。

【０００４】図１１に記載の従来例１は、キャリアプレ
ートに油溝（内側が広い幅のくさび形状）を形成し、こ
の油溝で受けた油をニードル部潤滑のためにピニオン軸
に形成された潤滑油穴へ供給する構成である。

【０００５】図１２に記載の従来例２は、キャリアプレ
ートに径方向のキャリア側油穴を形成し、軸心油路→軸
側油穴を経過した油をスプライン部を貫通してキャリア
側油穴へ供給する構成である。

【０００６】図１３に記載の従来例３は、キャリアプレ
ートの外部に油樋を設け、この油樋で受けた油をニード
ル部潤滑のためにピニオン軸に形成された潤滑油穴へ供
給する構成である。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の遊星歯車の潤滑装置にあっては、下記の特長（長所
並びに欠点）を有する。

【０００８】（従来例１）構造が簡単ではあるが、油溝
の集油開口面積が小さい面積に限られ、オイル収集能力
的に劣る。

【０００９】（従来例２）オイルの収集能力は確実であ
り、軸長寸法増にもならないが、キャリア側油穴と軸側
油穴とを回転方向に一致させる位置合わせ等を含めて製
造が困難であるという欠点がある。

【００１０】（従来例３）オイルの収集能力は比較的良
好であり、製造上の問題も少ないが、油樋が突出するこ
とで軸方向寸法が長くなる。また、周囲の部材との干渉
影響から油樋の突出量を十分大きくすることができず、
油樋の突出量を小さくすると高いオイルの収集能力を望
めない。

【００１１】尚、特開平４−５３号公報には、プラネッ
トキャリアと一体にオイルガイド部材を設けたものが記
載されているが、このオイルガイド部材は、高回転時の
ピニオンまわりの冷却不足を解消するもので、ピニオン
ニードル部への強制的な潤滑油供給手段とはならない。

【００１２】本発明が解決しようとする課題は、製造が
容易で、軸方向の寸法を増加させることがなく、潤滑性
能を圧倒的に改善する遊星歯車の潤滑装置を提供するこ
とにある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】

（解決手段１）請求項１記載の遊星歯車の潤滑装置で
は、サンギヤと、リングギヤと、両ギヤに噛み合うピニ
オンギヤを有し、該ピニオンギヤはプラネットキャリア
に固定されたピニオン軸にニードルベアリングを介して
回転可能に支持された遊星歯車において、周方向に隣接
するピニオンギヤ間に形成された空隙に設けられ、サン
ギヤ側から径方向外側に向かう油を収集するオイルガタ
ーと、前記オイルガターに収集された油を、ニードル部
潤滑のためにピニオン軸に形成された潤滑油穴へ供給す
る潤滑油供給油路と、を備えていることを特徴とする。

【００１４】（解決手段２）請求項２記載の遊星歯車の
潤滑装置では、請求項１記載の遊星歯車の潤滑装置にお
いて、前記オイルガターのサンギヤに近い位置に、収集
された油をピニオン軸方向に送る開口部を設けたことを
特徴とする。

【００１５】（解決手段３）請求項３記載の遊星歯車の
潤滑装置では、請求項１または請求項２に記載の遊星歯
車の潤滑装置において、前記オイルガターを、サンギヤ
に対向する底の部分が開口している箱型とし、プラネッ
トキャリアの第１キャリアプレートと第２キャリアプレ
ートを外周位置で連結する柱部に係止固定される別部材
としたことを特徴とする。

【００１６】（解決手段４）請求項４記載の遊星歯車の
潤滑装置では、請求項３記載の遊星歯車の潤滑装置にお
いて、前記ピニオンギヤの側面とキャリアプレートとの
間に介装されるワッシャを、キャリアプレートと一体に
動作するプレート側ワッシャとピニオンギヤの側面に接
するギヤ側ワッシャによるダブルワッシャとし、前記潤
滑油供給油路を、第１キャリアプレートの油溝をプレー
ト側ワッシャによって塞ぐことで形成したことを特徴と
する。

【００１７】（解決手段５）請求項５記載の遊星歯車の
潤滑装置では、請求項１または請求項２に記載の遊星歯
車の潤滑装置において、前記オイルガターを、プラネッ
トキャリアの第１キャリアプレートと第２キャリアプレ
ートを外周位置で連結する柱部を一部に含んで成形した
ことを特徴とする。

【００１８】（解決手段６）請求項６記載の遊星歯車の
潤滑装置では、請求項５記載の遊星歯車の潤滑装置にお
いて、前記オイルガターを、第１キャリアプレート及び
第２キャリアプレートと共にプラネットキャリアに一体
成形したことを特徴とする。

【００１９】（解決手段７）請求項７記載の遊星歯車の
潤滑装置では、請求項１ないし請求項４に記載の遊星歯
車の潤滑装置において、前記オイルガターの集油開口部
の軸方向幅を、第１キャリアプレートと第２キャリアプ
レートのプレート間隔よりも広くしたことを特徴とす
る。

【００２０】（解決手段８）請求項８記載の遊星歯車の
潤滑装置では、請求項５または請求項６に記載の遊星歯
車の潤滑装置において、柱部を兼用する一体型のオイル
ガターに、オイルガター補助部材を付加し、オイルガタ
ーの集油開口部の軸方向幅を、第１キャリアプレートと
第２キャリアプレートのプレート間隔よりも広くしたこ
とを特徴とする。

【００２１】（解決手段９）請求項９記載の遊星歯車の
潤滑装置では、請求項１または請求項２に記載の遊星歯
車の潤滑装置において、前記ピニオンギヤの側面とキャ
リアプレートとの間に介装されるワッシャを、柱部への
係止によりキャリアプレートと一体に動作するプレート
側ワッシャとピニオンギヤの側面に接するギヤ側ワッシ
ャによるダブルワッシャとし、前記潤滑油供給油路を、
第１キャリアプレートの油溝をプレート側ワッシャによ
って塞ぐことで形成し、かつ、前記オイルガターを、第
１キャリアプレートの内面とプレート側ワッシャの凹部
により形成したことを特徴とする。

【００２２】

【発明の実施の形態】

（実施の形態１）実施の形態１は請求項１，２，３に記
載の発明に対応する遊星歯車の潤滑装置である。

【００２３】まず、構成を説明する。

【００２４】図１は実施の形態１の遊星歯車の潤滑装置
を示す正面図、図２(イ) は実施の形態１の遊星歯車の潤
滑装置に用いられたオイルガターを示す斜視図、図２
(ロ) は実施の形態１の遊星歯車の潤滑装置を示すピニオ
ンギヤ部断面図である。

【００２５】遊星歯車Ａ１は、サンギヤ１と、リングギ
ヤ２と、両ギヤ１，２に噛み合うピニオンギヤ３を有
し、該ピニオンギヤ３はプラネットキャリア４に固定さ
れたピニオン軸５にニードルベアリング６を介して回転
可能に支持されたシングルピニオン式遊星歯車である。

【００２６】そして、遊星歯車Ａ１には、隣接するピニ
オンギヤ３，３間に形成された空隙に、サンギヤ１側か
ら径方向外側に向かう油を収集するオイルガター７が設
けられ、また、オイルガター７に収集された油を、ニー
ドル部潤滑のためにピニオン軸５に形成された潤滑油穴
９へ供給する潤滑油供給油路８が設けられている。

【００２７】前記オイルガター７は、図２(イ) に示すよ
うに、サンギヤ１に対向する底の部分が開口（集油開口
部７ｃ）している箱型とされ、プラネットキャリア４の
第１キャリアプレート４ａと第２キャリアプレート４ｂ
を外周位置で連結する柱部４ｃに係止固定する係止固定
部７ａ，７ａが上面両端部に設けられている。また、サ
ンギヤ１に近い位置に、収集された油をピニオン軸方向
に送る開口部７ｂが設けられている。

【００２８】前記潤滑油供給油路８は、図１及び図２
(ロ) に示すように、ピニオン軸５をプラネットキャリア
４の第１キャリアプレート４ａに固定するためのピン１
０を挿着する穴を第１キャリアプレート４ａに加工する
際、穴をピニオン軸５を貫通して延長することで第１キ
ャリアプレート４ａに形成され、その一端は前記開口部
７ｂに連通する。

【００２９】前記潤滑油穴９は、図１及び図２(ロ) に示
すように、ピニオン軸５に形成され、前記潤滑油供給油
路８に連通する第１径方向油路部９ａ（貫通穴）と、第
１径方向油路部９ａに連通する軸方向油路部９ｂと、軸
方向油路部９ｂに連通しニードルベアリング６に開口す
る第２径方向油路部９ｃによつて構成される。尚、軸方
向油路部９ｂの端部は盲栓１１により閉鎖される。ま
た、第１キャリアプレート４ａとピニオンギヤ３の間、
第２キャリアプレート４ｂとピニオンギヤ３との間には
ワッシャ１２，１２が介装されている。

【００３０】次に、強制潤滑作用を説明する。

【００３１】ピニオンニードル部への潤滑油供給は、サ
ンギヤ１等に付着した油が回転に伴って径方向に飛び散
ると集油開口部７ｃから入り込みオイルガター７の内部
に収集される。この収集された油は開口部７ｂからピニ
オン軸方向に送られ、開口部７ｂに連通する潤滑油供給
油路８から、ピニオン軸５に形成された第１径方向油路
部９ａ→軸方向油路部９ｂ→第２径方向油路部９ｃを経
過し、ニードルベアリング６に供給され、ニードルベア
リング６を潤滑する。

【００３２】次に、効果を説明する。

【００３３】（１）サンギヤ１と、リングギヤ２と、両
ギヤ１，２に噛み合うピニオンギヤ３を有し、該ピニオ
ンギヤ３はプラネットキャリア４に固定されたピニオン
軸５にニードルベアリング６を介して回転可能に支持さ
れた遊星歯車Ａ１において、隣接するピニオンギヤ３，
３間に形成された空隙に、サンギヤ１側から径方向外側
に向かう油を収集するオイルガター７を設け、また、オ
イルガター７に収集された油を、ニードル部潤滑のため
にピニオン軸５に形成された潤滑油穴９へ供給する潤滑
油供給油路８を設けたため、従来例２のように油穴の回
転方向位置合わせ等を要さず製造が容易で、従来例３の
ように軸方向の寸法を増加させることがなく、さらに、
従来例１に比べて潤滑性能を圧倒的に改善する遊星歯車
の潤滑装置Ａ１を提供することができる。

【００３４】（２）オイルガター７のサンギヤ１に近い
位置に開口部７ｂを設けたため、この開口部７ｂの位置
まで油収集容積が確保され、オイルガター７に入り込む
油の量が少ない時にも安定してピニオンニードル部の潤
滑を確保することができるし、また、開口部７ｂからは
収集された油がピニオン軸方向に送られるため、第１キ
ャリアプレート４ａに潤滑油供給油路８を形成すること
ができる。

【００３５】（３）オイルガター７を、サンギヤ１に対
向する底の部分が開口している箱型とし、プラネットキ
ャリア４の第１キャリアプレート４ａと第２キャリアプ
レート４ｂを外周位置で連結する柱部４ｃに係止固定す
る別部材としたため、プレスキャリアによる既存の遊星
歯車の大幅な設計変更を要することなく、オイルガター
７を遊星歯車に組み込むことができる。

【００３６】（実施の形態２）実施の形態２は請求項４
記載の発明に対応する遊星歯車の潤滑装置である。

【００３７】図３は実施の形態２の遊星歯車の潤滑装置
を示す正面図、図４(イ) は実施の形態２の遊星歯車の潤
滑装置に用いられたオイルガターを示す斜視図、図４
(ロ) は実施の形態２の遊星歯車の潤滑装置を示すピニオ
ンギヤ部断面図である。

【００３８】この実施の形態２の遊星歯車Ａ２は、ピニ
オンギヤ３の側面と両キャリアプレート４ａ，４ｂとの
間に介装されるワッシャを、両キャリアプレート４ａ，
４ｂと一体に動作するプレート側ワッシャ１３ａ，１３
ｂとピニオンギヤ３の側面に接するギヤ側ワッシャ１４
ａ，１４ｂによるダブルワッシャとし、潤滑油供給油路
８を、第１キャリアプレート４ａに凹設された油溝８ａ
をプレート側ワッシャ１３ａによって塞ぐことで形成さ
れている。尚、プレート側ワッシャ１３ａには開口部７
ａに対応する位置に開口部１３ａ’が設けられている。
また、オイルガター７は、プレート側ワッシャ１３ａ，
１３ｂの間に挿着されている。

【００３９】すなわち、潤滑油供給油路８を除いて実施
の形態１の遊星歯車Ａ１と同じ構成であり、強制潤滑作
用も実施の形態と同様である。

【００４０】よって、実施の形態２では、ワッシャを、
両キャリアプレート４ａ，４ｂと一体に動作するプレー
ト側ワッシャ１３ａ，１３ｂとピニオンギヤ３の側面に
接するギヤ側ワッシャ１４ａ，１４ｂによるダブルワッ
シャとし、潤滑油供給油路８を、第１キャリアプレート
４ａに凹設された油溝８ａをプレート側ワッシャ１３ａ
によって塞ぐことで形成したため、油溝８ａを溝加工や
プレス成形により得ることができ、潤滑油供給油路８を
第１キャリアプレート４ａに対する穴加工で得る場合に
比べて容易に製造することができる。

【００４１】また、プレート側ワッシャ１３ａ，１３ｂ
の間にオイルガター７を挿着することで、第１キャリア
プレート４ａとプレート側ワッシャ１３ａとの隙間を小
さくし、隙間からの油のリークを減らすことができる。

【００４２】（実施の形態３）実施の形態３は請求項
５，６に記載の発明に対応する遊星歯車の潤滑装置であ
る。

【００４３】図５は実施の形態３の遊星歯車の潤滑装置
を示す正面図、図６は実施の形態３の遊星歯車の潤滑装
置を示すオイルガター部及びピニオンギヤ部の断面図で
ある。

【００４４】この実施の形態３の遊星歯車Ａ３は、オイ
ルガター７’を、プラネットキャリア４の第１キャリア
プレート部と第２キャリアプレート部を外周位置で連結
する柱部を油収集底とし、柱部の両端位置から径方向に
延ばして油収集側板とし、プラネットキャリア４と一体
成形（アルミ合金または鋳鉄での鋳造）により構成して
いる。つまり、実施の形態１，２のようなプレスキャリ
アでは第１キャリアプレート４ａと第２キャリアプレー
ト４ｂとは空洞のない柱部でのみ連結されていたのに対
し、図５に示すように、柱部を断面コ字状にすることで
油収集機能を持たせることができる。

【００４５】そして、潤滑油供給油路８との連絡のた
め、第１キャリアプレート部のオイルガター７’を構成
する部分の内面には凹部８ｂが形成されている。尚、潤
滑油供給油路８にテーパを設ければ凹部８ｂを形成しな
くとも潤滑油供給油路８との連絡は可能である。

【００４６】すなわち、オイルガターを別体構成とする
かキャリア一体構成とするかの点を除いて実施の形態１
の遊星歯車Ａ１と同じ構成であり、強制潤滑作用も実施
の形態１と同様である。

【００４７】よって、実施の形態３では、オイルガター
７’を、プラネットキャリア４の第１キャリアプレート
部と第２キャリアプレート部を外周位置で連結する柱部
を一部に含んで成形したため、オイルガター７’に２つ
のキャリアプレート部を連結する柱部機能を持たせるこ
とができる。

【００４８】また、オイルガター７’を、第１キャリア
プレート部及び第２キャリアプレート部と共にプラネッ
トキャリア４に一体成形したため、油のリークがない高
い油収集能力を持つオイルガター７’にすることができ
ると共に、別体構成に比べて部品点数の削減を図ること
ができる。

【００４９】（実施の形態４）実施の形態４は請求項７
記載の発明に対応する遊星歯車の潤滑装置である。

【００５０】図７は実施の形態４の遊星歯車の潤滑装置
のオイルガター部を示す断面図である。

【００５１】この実施の形態４は、実施の形態１，２と
同様に、別体構成のオイルガター７が設けられるプレス
キャリアの遊星歯車Ａ４において、集油開口部７ｃの第
１キャリアプレート４ａ側に開口幅拡大部７ｄを形成
し、集油開口部７ｃの軸方向幅Ｗ’を、第１キャリアプ
レート４ａと第２キャリアプレート４ｂのプレート間隔
Ｗよりも広くした例である。

【００５２】よって、実施の形態４では、集油開口部７
ｃの軸方向幅を実施の形態１，２より広くした分、集油
開口面積が拡大し、集油効率を高めることができる。

【００５３】（実施の形態５）実施の形態５は請求項８
記載の発明に対応する遊星歯車の潤滑装置である。

【００５４】図８は実施の形態５の遊星歯車の潤滑装置
のオイルガター部を示す断面図である。

【００５５】この実施の形態５は、一体成形のオイルガ
ター７’が設けられる遊星歯車Ａ５において、オイルガ
ター７’を構成する第１キャリアプレート部の内面位置
に、オイルガター補助部材１５を付加し、オイルガター
７’の集油開口部７ｃの軸方向幅Ｗ”を、第１キャリア
プレート部と第２キャリアプレート部のプレート間隔Ｗ
よりも広くした例である。

【００５６】よって、実施の形態５では、集油開口部７
ｃの軸方向幅を実施の形態３より広くした分、集油開口
面積が拡大し、集油効率を高めることができる。

【００５７】（実施の形態６）実施の形態６は請求項９
記載の発明に対応する遊星歯車の潤滑装置である。

【００５８】図９は実施の形態６の遊星歯車の潤滑装置
を示す正面図、図１０(イ) は実施の形態３の遊星歯車の
潤滑装置を示すピニオンギヤ部断面図、図１０(ロ) は図
９のＰ−Ｐ線断面図、図１０(ハ) は図９のＱ−Ｑ線断面
図、図１０(ニ) は図９のＲ−Ｒ線断面図である。

【００５９】この実施の形態６の遊星歯車Ａ６では、ピ
ニオンギヤ３の側面とキャリアプレート４との間に介装
されるワッシャが、柱部４ｃへの係止によりキャリアプ
レート４と一体に動作するプレート側ワッシャ１６ａ，
１６ｂとピニオンギヤ３の側面に接するギヤ側ワッシャ
１７ａ，１７ｂによるダブルワッシャとされ、潤滑油供
給油路８が、第１キャリアプレート４ａの油溝８ａをプ
レート側ワッシャ１６ａによって塞ぐことで形成され、
かつ、オイルガター７”が、第１キャリアプレート４ａ
の内面とプレート側ワッシャ１６ａの凹部により形成さ
れている。

【００６０】尚、オイルガター７”に収集された油の漏
れを防ぐため、プレート側ワッシャ１６ａの凹部の周囲
位置にシール材１８が設けたある。

【００６１】すなわち、オイルガターを別体構成とする
かワッシャ一体構成とするかの点を除いて実施の形態２
の遊星歯車Ａ２と同じ構成であり、強制潤滑作用も実施
の形態２と同様である。

【００６２】よって、実施の形態６では、潤滑油供給油
路８を、第１キャリアプレート４ａの油溝８ａをプレー
ト側ワッシャ１６ａによって塞ぐことで形成し、かつ、
オイルガター７”を、第１キャリアプレート４ａの内面
とプレート側ワッシャ１６ａの凹部により形成したた
め、ワッシャをダブルワッシャにするだけで別部品によ
るオイルガータ７を用意することなく、既存のプレスキ
ャリアの遊星歯車に容易に潤滑装置を適用することがで
きる。

【００６３】（その他の実施の形態）実施の形態１〜６
では、シングルピニオン式遊星歯車への適用例を示した
が、ダブルピニオン式遊星歯車へも本発明の潤滑装置を
適用することができる。

【００６４】実施の形態１〜６では、別体構成のオイル
ガター７と、キャリア一体構成のオイルガター７’と、
ワッシャ一体構成のオイルガター７”の例を示したが、
その具体的な形状設定等に関しては実施の形態で示す以
外の形状に設定したとしても周方向に隣接するピニオン
ギヤ間に形成された空隙に設けられたオイルガターであ
れば本発明に含まれる。

【００６５】

【発明の効果】請求項１記載の発明にあっては、サンギ
ヤと、リングギヤと、両ギヤに噛み合うピニオンギヤを
有し、該ピニオンギヤはプラネットキャリアに固定され
たピニオン軸にニードルベアリングを介して回転可能に
支持された遊星歯車において、周方向に隣接するピニオ
ンギヤ間に形成された空隙に設けられ、サンギヤ側から
径方向外側に向かう油を収集するオイルガターと、オイ
ルガターに収集された油を、ニードル部潤滑のためにピ
ニオン軸に形成された潤滑油穴へ供給する潤滑油供給油
路と、を備えた構成としたため、製造が容易で、軸方向
の寸法を増加させることがなく、潤滑性能を圧倒的に改
善する遊星歯車の潤滑装置を提供することができる。

【００６６】請求項２記載の発明にあっては、請求項１
記載の遊星歯車の潤滑装置において、オイルガターのサ
ンギヤに近い位置に、収集された油をピニオン軸方向に
送る開口部を設けたため、オイルガターに入り込む油の
量が少ない時にも安定してピニオンニードル部の潤滑を
確保することができるし、キャリアプレートに潤滑油供
給油路を形成することができる。

【００６７】請求項３記載の発明にあっては、請求項１
または請求項２に記載の遊星歯車の潤滑装置において、
オイルガターを、サンギヤに対向する底の部分が開口し
ている箱型とし、プラネットキャリアの第１キャリアプ
レートと第２キャリアプレートを外周位置で連結する柱
部に係止固定される別部材としたため、請求項１または
請求項２記載の発明の効果に加え、プレスキャリアによ
る既存の遊星歯車の大幅な設計変更を要することなく、
オイルガターを遊星歯車に組み込むことができる。

【００６８】請求項４記載の発明にあっては、請求項３
記載の遊星歯車の潤滑装置において、ピニオンギヤの側
面とキャリアプレートとの間に介装されるワッシャを、
キャリアプレートと一体に動作するプレート側ワッシャ
とピニオンギヤの側面に接するギヤ側ワッシャによるダ
ブルワッシャとし、潤滑油供給油路を、第１キャリアプ
レートの油溝をプレート側ワッシャによって塞ぐことで
形成したため、請求項３記載の発明の効果に加え、油溝
を溝加工やプレス成形により得ることができ、潤滑油供
給油路をキャリアプレートに対する穴加工で得る場合に
比べて容易に製造することができる。

【００６９】請求項５記載の発明にあっては、請求項１
または請求項２に記載の遊星歯車の潤滑装置において、
オイルガターを、プラネットキャリアの第１キャリアプ
レートと第２キャリアプレートを外周位置で連結する柱
部を一部に含んで成形したため、請求項１または請求項
２記載の発明の効果に加え、オイルガターに２つのキャ
リアプレート部を連結する柱部機能を持たせることがで
きる。

【００７０】請求項６記載の発明にあっては、請求項５
記載の遊星歯車の潤滑装置において、オイルガターを、
第１キャリアプレート及び第２キャリアプレートと共に
プラネットキャリアに一体成形したため、請求項５記載
の発明の効果に加え、油のリークがない高い油収集能力
を持つオイルガター７’にすることができると共に、別
体構成に比べて部品点数の削減を図ることができる。

【００７１】請求項７記載の発明にあっては、請求項１
ないし請求項４に記載の遊星歯車の潤滑装置において、
オイルガターの集油開口部の軸方向幅を、第１キャリア
プレートと第２キャリアプレートのプレート間隔よりも
広くしたため、請求項１ないし請求項４記載の発明の効
果に加え、別体構成のオイルガターが設けられるプレス
キャリアの遊星歯車において、集油効率を高めることが
できる。

【００７２】請求項８記載の発明にあっては、請求項５
または請求項６に記載の遊星歯車の潤滑装置において、
柱部を兼用する一体型のオイルガターに、オイルガター
補助部材を付加し、オイルガターの集油開口部の軸方向
幅を、第１キャリアプレートと第２キャリアプレートの
プレート間隔よりも広くしたため、請求項５または請求
項６記載の発明の効果に加え、キャリア一体構成のオイ
ルガターが設けられる遊星歯車において、集油効率を高
めることができる。

【００７３】請求項９記載の発明にあっては、請求項１
または請求項２に記載の遊星歯車の潤滑装置において、
ピニオンギヤの側面とキャリアプレートとの間に介装さ
れるワッシャを、柱部への係止によりキャリアプレート
と一体に動作するプレート側ワッシャとピニオンギヤの
側面に接するギヤ側ワッシャによるダブルワッシャと
し、潤滑油供給油路を、第１キャリアプレートの油溝を
プレート側ワッシャによって塞ぐことで形成し、かつ、
オイルガターを、第１キャリアプレートの内面とプレー
ト側ワッシャの凹部により形成したため、請求項１また
は請求項２記載の発明の効果に加え、ワッシャをダブル
ワッシャにするだけで別部品によるオイルガータを用意
することなく、既存のプレスキャリアの遊星歯車に容易
に潤滑装置を適用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施の形態１の遊星歯車の潤滑装置を示す正面
図である。

【図２】図２(イ) は実施の形態１の遊星歯車の潤滑装置
に用いられたオイルガターを示す斜視図、図２(ロ) は実
施の形態１の遊星歯車の潤滑装置を示すピニオンギヤ部
断面図である。

【図３】実施の形態２の遊星歯車の潤滑装置を示す正面
図である。

【図４】図４(イ) は実施の形態２の遊星歯車の潤滑装置
に用いられたオイルガターを示す斜視図、図４(ロ) は実
施の形態２の遊星歯車の潤滑装置を示すピニオンギヤ部
断面図である。

【図５】実施の形態３の遊星歯車の潤滑装置を示す正面
図である。

【図６】実施の形態３の遊星歯車の潤滑装置を示すオイ
ルガター部及びピニオンギヤ部の断面図である。

【図７】実施の形態４の遊星歯車の潤滑装置のオイルガ
ター部を示す断面図である。

【図８】実施の形態５の遊星歯車の潤滑装置のオイルガ
ター部を示す断面図である。

【図９】実施の形態６の遊星歯車の潤滑装置を示す正面
図である。

【図１０】図１０(イ) は実施の形態３の遊星歯車の潤滑
装置を示すピニオンギヤ部断面図、図１０(ロ) は図９の
Ｐ−Ｐ線断面図、図１０(ハ) は図９のＱ−Ｑ線断面図、
図１０(ニ) は図９のＲ−Ｒ線断面図である。

【図１１】従来例１の遊星歯車の潤滑装置を示す断面図
である。

【図１２】従来例２の遊星歯車の潤滑装置を示す断面図
である。

【図１３】従来例３の遊星歯車の潤滑装置を示す断面図
である。

【符号の説明】

１サンギヤ２リングギヤ３ピニオンギヤ４プラネットキャリア５ピニオン軸６ニードルベアリング７オイルガター８潤滑油供給油路９潤滑油穴

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】サンギヤと、リングギヤと、両ギヤに噛
み合うピニオンギヤを有し、該ピニオンギヤはプラネッ
トキャリアに固定されたピニオン軸にニードルベアリン
グを介して回転可能に支持された遊星歯車において、周方向に隣接するピニオンギヤ間に形成された空隙に設
けられ、サンギヤ側から径方向外側に向かう油を収集す
るオイルガターと、前記オイルガターに収集された油を、ニードル部潤滑の
ためにピニオン軸に形成された潤滑油穴へ供給する潤滑
油供給油路と、を備えていることを特徴とする遊星歯車の潤滑装置。
【請求項２】請求項１記載の遊星歯車の潤滑装置にお
いて、前記オイルガターのサンギヤに近い位置に、収集された
油をピニオン軸方向に送る開口部を設けたことを特徴と
する遊星歯車の潤滑装置。
【請求項３】請求項１または請求項２に記載の遊星歯
車の潤滑装置において、前記オイルガターを、サンギヤに対向する底の部分が開
口している箱型とし、プラネットキャリアの第１キャリ
アプレートと第２キャリアプレートを外周位置で連結す
る柱部に係止固定される別部材としたことを特徴とする
遊星歯車の潤滑装置。
【請求項４】請求項３記載の遊星歯車の潤滑装置にお
いて、前記ピニオンギヤの側面とキャリアプレートとの間に介
装されるワッシャを、キャリアプレートと一体に動作す
るプレート側ワッシャとピニオンギヤの側面に接するギ
ヤ側ワッシャによるダブルワッシャとし、前記潤滑油供給油路を、第１キャリアプレートの油溝を
プレート側ワッシャによって塞ぐことで形成したことを
特徴とする遊星歯車の潤滑装置。
【請求項５】請求項１または請求項２に記載の遊星歯
車の潤滑装置において、前記オイルガターを、プラネットキャリアの第１キャリ
アプレートと第２キャリアプレートを外周位置で連結す
る柱部を一部に含んで成形したことを特徴とする遊星歯
車の潤滑装置。
【請求項６】請求項５記載の遊星歯車の潤滑装置にお
いて、前記オイルガターを、第１キャリアプレート及び第２キ
ャリアプレートと共にプラネットキャリアに一体成形し
たことを特徴とする遊星歯車の潤滑装置。
【請求項７】請求項１ないし請求項４に記載の遊星歯
車の潤滑装置において、前記オイルガターの集油開口部の軸方向幅を、第１キャ
リアプレートと第２キャリアプレートのプレート間隔よ
りも広くしたことを特徴とする遊星歯車の潤滑装置。
【請求項８】請求項５または請求項６に記載の遊星歯
車の潤滑装置において、柱部を兼用する一体型のオイルガターに、オイルガター
補助部材を付加し、オイルガターの集油開口部の軸方向
幅を、第１キャリアプレートと第２キャリアプレートの
プレート間隔よりも広くしたことを特徴とする遊星歯車
の潤滑装置。
【請求項９】請求項１または請求項２に記載の遊星歯
車の潤滑装置において、前記ピニオンギヤの側面とキャリアプレートとの間に介
装されるワッシャを、柱部への係止によりキャリアプレ
ートと一体に動作するプレート側ワッシャとピニオンギ
ヤの側面に接するギヤ側ワッシャによるダブルワッシャ
とし、前記潤滑油供給油路を、第１キャリアプレートの油溝を
プレート側ワッシャによって塞ぐことで形成し、かつ、
前記オイルガターを、第１キャリアプレートの内面とプ
レート側ワッシャの凹部により形成したことを特徴とす
る遊星歯車の潤滑装置。