JPH10317060A - 磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法

Info

Publication number
JPH10317060A
JPH10317060A JP9131991A JP13199197A JPH10317060A JP H10317060 A JPH10317060 A JP H10317060A JP 9131991 A JP9131991 A JP 9131991A JP 13199197 A JP13199197 A JP 13199197A JP H10317060 A JPH10317060 A JP H10317060A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
annealing
recrystallization annealing
steel sheet
magnetic field
grain
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP9131991A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsumasa Kurosawa
光正 黒沢
Yasuyuki Hayakawa
康之 早川
Atsuto Honda
厚人 本田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Steel Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP9131991A priority Critical patent/JPH10317060A/ja
Publication of JPH10317060A publication Critical patent/JPH10317060A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 方向性電磁鋼板の製造に際し、短時間の仕上
げ焼鈍を利用する場合であっても、優れた磁束密度を得
る。 【解決手段】 方向性電磁鋼板の製造工程中、脱炭・1
次再結晶焼鈍の加熱過程において、 400℃以上、磁気変
態点以下の温度範囲にわたり、圧延方向と平行に1.0 T
以上の磁場を印加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、磁気特性に優れ
た方向性電磁鋼板の製造方法に関し、特に短時間の最終
仕上げ焼鈍によって方向性電磁鋼板を製造する場合にお
いて、2次再結晶ひいては磁気特性の一層の向上を図ろ
うとするものある。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は、主として変圧器その
他の電気機器の鉄心材料として使用され、特に磁束密度
および鉄損等の磁気的性質に優れることが要求される。
従来、この目的のために、脱炭焼鈍後、高温長時間の箱
焼鈍により、2次再結晶粒のゴス方位すなわち{11
0}<001>方位への集積度を高めていた。
【0003】かくして、たとえば板厚:0.23mmにおい
て、800 A/m で磁化したときの磁束密度B8 が1.90T以
上でかつ、商用周波数:50Hz、磁束密度:1.7 Tにおけ
る鉄損W17/50 が 0.90 W/kg以下に到達する優れた製品
も実用化されている。しかしながら、上記したような高
温長時間の箱焼鈍は、製造コストを引上げているばかり
でなく、生産性が悪く、しかも箱焼鈍特有の形状欠陥も
避け難いことから、長らく連続焼鈍化が望まれてきた。
【0004】たとえば、特開昭49-95816号公報、特開昭
49-98721号公報には、 950〜1200℃で10分以内の連続熱
処理によって2次再結晶させる方法が提案されている。
しかしながら、このようにして得られる電磁鋼板は、磁
束密度B8 がせいぜい1.85T程度にすぎないことから、
実際には市場に供給されていないのが現状である。とい
うのは、低騒音であることが、大型のトランスに要求さ
れる重要な特性の一つであり、特に最近ではこの点が重
要視されているが、低騒音化のためには磁束密度が高い
ことが必要で、そのためにはB8 ≧1.87〜1.88Tである
ことが不可欠だからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の問
題を有利に解決するもので、方向性電磁鋼板の製造に際
し、短時間の仕上げ焼鈍を利用する場合であっても、優
れた磁束密度を得ることができる、方向性電磁鋼板の有
利な製造方法を提案することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】さて、発明者らは、上記
の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、脱炭焼鈍過
程の昇温過程において、鋼板に強磁場を印加すること
が、所期した目的の達成に関し極めて有効であることを
見出し、この発明を完成させるに至ったのである。
【0007】以下、この発明の解明経緯について説明す
る。さて、磁場を利用する方法としては、すでに特開昭
60-46319号公報に中間焼鈍工程で磁場を印加することに
より、磁気特性を改善する方法が示されている。しかし
ながら、この方法は、従来の箱焼鈍の利用を前提とした
ものであって、連続焼鈍による2次再結晶に関わるもの
ではない。しかも、この方法に従って、中間焼鈍時の集
合組織を改善しても、冷延板の集合組織はその後の最終
冷延の影響が支配的なため、必ずしも十分な効果が得ら
れるわけではなかった。
【0008】そこで、発明者らは、2次再結晶へ直接影
響すると考えられる仕上げ焼鈍前の1次再結晶集合組織
の改善を試みた。当初、脱炭焼鈍での磁場効果が中間焼
鈍のように顕著に現われなかった理由として、熱延板の
強い集合組織に起因した中間焼鈍の集合組織に比較し
て、脱炭焼鈍後に得られる1次再結晶集合組織はむしろ
ランダム化していることが考えられるため、脱炭焼鈍に
おける磁場効果はさらに強い磁場中でのみ発揮されるこ
とを予想して研究を重ねた。この点、最近の超伝導磁石
の技術の進歩により、従来よりもはるかに大きな磁場中
での実験が可能になった。
【0009】そこで、前掲特開昭60-46319号公報で行っ
た実験での最大磁場強さ:10000 Oeすなわち 1.0T(tes
la) よりも大きい磁場で、脱炭焼鈍における再結晶集合
組織の改善を試みた。その結果、上記したような強磁場
を印加した場合には、脱炭焼鈍後の再結晶集合組織が効
果的に改善され、それに伴い磁気特性も向上することが
判明した。しかも、この改善により{110}<001
>方位いわゆるゴス方位の成長性が著しく改善され、短
時間の仕上げ焼鈍でも先鋭な2次再結晶組織が発達する
ことも併せて見出されたのである。この発明は、上記の
知見に立脚するものである。
【0010】すなわち、この発明は、C:0.02〜0.10wt
%、Si:2.5 〜5.0 wt%を含有する組成になる方向性電
磁鋼用スラブを、熱間圧延し、ついで必要に応じて熱延
板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上
の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げ、ついで脱炭・1
次再結晶焼鈍後、 950〜1200℃で10分以内の短時間の2
次再結晶焼鈍を施す一連の工程によって方向性電磁鋼板
を製造するに際し、上記の脱炭・1次再結晶焼鈍の加熱
過程において、 400℃以上、磁気変態点以下の温度範囲
にわたり、圧延方向と平行に 1.0T以上の磁場を印加す
ることを特徴とする磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の
製造方法(第1発明)である。
【0011】また、この発明は、上記の第1発明におい
て、脱炭・1次再結晶焼鈍と短時間の2次再結晶焼鈍と
を連続して行う場合、 800〜900 ℃の脱炭・1次再結晶
焼鈍温度から950 ℃以上の2次再結晶焼鈍温度へ加熱す
るときの雰囲気酸素ポテンシャルP(H2O)/P(H2)を0.20
以下に抑制することを特徴とする磁気特性に優れた方向
性電磁鋼板の製造方法(第2発明)である。
【0012】さらに、この発明は、上記の第1発明にお
いて、脱炭・1次再結晶焼鈍後、該焼鈍により生成した
鋼板表層の酸化物を除去してから、短時間の2次再結晶
焼鈍を施すことを特徴とする磁気特性に優れた方向性電
磁鋼板の製造方法(第3発明)である。
【0013】なお、特開昭61-52318号公報および特開平
5-39526号公報には、脱炭焼鈍工程で磁場を付与する技
術が開示されているが、実施例において実際に使用され
ている磁場の強さは最大でも 0.2Tにすぎず、短時間で
2次再結晶させる技術において必要不可欠な磁場強さを
示唆するものではない。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明の基礎となった実
験結果について具体的に説明する。 実験1 C:0.07wt%, Si:3.35wt%, Mn:0.070 wt%, Se:0.
016 wt%, Sb:0.022wt%, Al:0.024 wt%およびN:
0.0085wt%を含有し、残部は実質的にFeの組成になる鋼
片を、1350℃で30分間加熱後、熱間圧延により 2.6mmの
板厚に仕上げ、ついで1150℃で熱延板焼鈍後、急冷、酸
洗してから、 250〜300 ℃の温間圧延を含む1回の冷間
圧延によって板厚:0.35mmの冷延板に仕上げた。つい
で、湿水素中にて 850℃, 5分間の脱炭焼鈍を施したの
ち、1050℃,7分間の2次再結晶焼鈍を施した。このと
き、脱炭焼鈍の加熱過程( 400〜800 ℃)で圧延方向と
平行に、磁場の強さを0〜10Tまで種々に変化させて印
加した。図1に、脱炭焼鈍の加熱過程における磁場の強
さと磁束密度B8 との関係について調べた結果を示す。
同図に示したように、磁場の強さ≧1.0 Tの範囲で良好
な磁気特性が得られることが判明した。
【0015】実験2 実験1において、 2.0Tの磁場を印加した材料について
900〜1200℃の温度範囲で2〜50分の2次再結晶焼鈍を
施した。図2に、2次再結晶焼鈍における均熱温度およ
び時間が磁束密度B8 に及ぼす影響について調べた結果
を示す。同図より明らかなように、 950℃以上の温度で
あれば、10分以内の短時間の2次再結晶焼鈍でも良好な
磁気特性が得られることが判明した。とはいえ、均熱温
度が1200℃を超えると設備上の負荷が著しく増大するだ
けでなく、磁気特性も改善されなかった。また、連続焼
鈍を行うためには、10分以内が妥当な製造限界と考えら
れる。
【0016】実験3 次に、脱炭焼鈍と2次再結晶焼鈍の連続化について、さ
らに詳細に条件の最適化を試みた。実験1で使用した熱
延板を用い、1000℃で熱延板焼鈍後、酸洗してから、11
00℃の中間焼鈍と 200〜250 ℃の温間圧延を含む2回の
冷延で板厚:0.27mmに仕上げた。ついで、脱炭焼鈍の加
熱過程( 400〜800 ℃)で圧延方向と平行に 5.0Tの磁
場を印加しつつ加熱し、雰囲気酸素ポテンシャルP(H
2O)/P(H2):0.50で℃, 分間の脱炭焼鈍を施したの
ち、引き続き連続して1100℃まで昇温し、この温度で5
分間の2次再結晶焼鈍を施した。その際、脱炭焼鈍から
2次再結晶焼鈍へ移行する2次加熱過程における加熱雰
囲気の酸素ポテンシャルP(H2O)/P(H2)を0.10から0.50
まで変化させた。
【0017】図3に、2次加熱過程における加熱雰囲気
の酸素ポテンシャルP(H2O)/P(H2)が磁束密度B8 に及
ぼす影響について調べた結果を示す。同図より明らかな
ように、脱炭焼鈍と2次再結晶焼鈍の連続化には、その
間の昇温に際し、酸素ポテンシャルP(H2O)/P(H2)を0.
20以下に調整することが好適であることが判明した。
【0018】上述したとおり、脱炭焼鈍の加熱過程にお
いて、鋼板に強磁場を印加することによって磁気特性が
改善される理由は、まだ明確に解明されたわけではない
が、次のとおりと推察される。すなわち、電磁鋼板の再
結晶集合組織形成において、{110}<001>方位
は他方位に較べ比較的低温で回復・再結晶し易いことが
知られている。この過程で、圧延方向に高磁場が付与さ
れると磁化容易軸である<001>軸が磁場方向に発達
し易くなり、とくに低温から生成し易い{110}<0
01>方位粒の発達が促進され、かつその<001>方
向への揃い方もより偏りが少なくなると予想される。こ
のため、2次再結晶粒が核生成するとき、より先鋭な<
001>方位への集積が実現され、磁束密度の向上につ
ながるものと考えられる。
【0019】以下、この発明において使用される素材ス
ラブの成分限定理由について説明する。 C:0.02〜0.10wt% Cは、熱延組織、冷延組織の均一微細化のみならず、ゴ
ス方位の発達に有用な元素であり、少なくとも0.02wt%
を必要とする。しかしながら、0.10wt%を超えると後工
程での脱炭が困難となるばかりか、かえってゴス方位の
分散を招くので、C量は0.02〜0.10wt%の範囲に限定し
た。
【0020】Si:2.5 〜5.0 wt% Siは、鋼板の比抵抗を高め鉄損の低減に有効に寄与する
が、 5.0wt%を超えると冷延性が著しく損なわれ、一方
2.5wt%に満たないと比抵抗が低下するばかりか、最終
仕上げ焼鈍中にα−γ変態により結晶方位がランダム化
し、磁気特性が損なわれるので、Si量は 2.5〜5.0 wt%
の範囲に限定した。
【0021】Mn:0.02〜0.20wt% Mnは、熱間脆化の防止に有用な元素であるが、0.02wt%
に満たないとその添加効果に乏しく、一方あまり多くな
るとMnSe, MnSの微細分散が阻害され、かえって磁気特
性が劣化するので、0.02〜0.20wt%程度とするのが好ま
しい。
【0022】インヒビターとしては、MnSe, MnSやAl
N、さらにはNbN,BN等を利用することができる。 Seおよび/またはS:0.01〜0.04wt% Se, Sはいずれも、方向性電磁鋼板の2次再結晶を制御
するインヒビター形成元素として有力な元素である。正
常粒の成長を抑制する観点からは、少なくとも0.01wt%
を必要とするが、0.04wt%を超えると微細析出を制御す
るのが困難になるので、0.01〜0.04wt%程度で含有させ
ることが好ましい。
【0023】Al:0.01〜0.04wt%、N:0.0050〜0.0120
wt% AlおよびNの範囲についても、上記したような良好な2
次再結晶組織を得るためには、上記の範囲で含有させる
ことが好ましい。
【0024】Nb:0.01〜0.04wt%、N:0.0050〜0.0120
wt% NbおよびNの範囲についても、上記したような良好な2
次再結晶組織を得るためには、上記の範囲で含有させる
ことが好ましい。
【0025】B:0.0005〜0.0050wt%、N:0.0050〜0.
0120wt% BおよびNの範囲についても、上記したような良好な2
次再結晶組織を得るためには、上記の範囲で含有させる
ことが好ましい。
【0026】インヒビター成分としては、上記したSe,
S, Mn, Al, Nb, B, Nの他、Cu,Sn, Sb, Bi, Pbおよ
びTe等も有利に作用するので、それぞれ併せて含有させ
ることができる。これらの成分の好適範囲は、それぞれ
Cu, Sn:0.05〜0.25wt%, Sb, Bi, Pb,Te:0.01〜0.06w
t%であり、1種または2種以上の複合添加が可能であ
る。
【0027】次に、この発明に従う製造条件を各工程毎
に具体的に説明する。上記の好適組成に成分調整した鋼
スラブを、公知の熱間圧延法により、板厚:1.5 〜3.5
mm程度の熱延板とし、必要に応じ 900〜1200℃の熱延板
焼鈍を施す。この熱延工程では、インヒビターとなるMn
Se, MnS, AlNの微細析出を図るための適正条件を選択
することが重要である。
【0028】ついで、1回または中間焼鈍を挟む2回以
上の冷間圧延を施して0.15〜0.50mmの最終板厚とする。
中間焼鈍は 900〜1200℃で行い、組織の均質化を図る
が、このとき軽脱炭、急冷を組み合わせて1次再結晶集
合組織の制御を行うことは有利である。いずれの板厚で
も、最終冷延圧下率は50〜90%必要であり、この際、集
合組織制御のため公知の方法に従い、 150〜400 ℃での
温間圧延、時効処理等を適宜組み合わせて行うこともで
きる。
【0029】次に、1次再結晶を兼ねた脱炭焼鈍を行う
が、この発明ではこの脱炭・1次再結晶焼鈍工程が特に
重要である。すなわち、この発明では、脱炭・1次再結
晶焼鈍を施すに際し、その加熱過程において、 400℃以
上、磁気変態点以下の温度範囲にわたり、圧延方向と平
行に1.0 T以上の磁場を印加する。ここに、印加磁場の
強さを 1.0T以上としたのは、前掲図1に示したよう
に、印加磁場の強さが 1.0Tに満たないと、十分満足い
くほどの磁束密度の向上が望めないからである。なお、
かような強磁場が必要な理由は次のとおりと考えられ
る。Cは、粒界に偏析して粒成長を抑制することは良く
知られている。従って、C含有量の多い中間焼鈍段階で
の素材は、少ない素材に較べ{110}<001>方位
の優先性が強調される。このため、Cが減少しつつある
脱炭焼鈍の加熱過程ではより強い磁場すなわち 1.0T以
上の強磁場が必要であると考えられる。
【0030】また、磁場を印加すべき温度範囲を 400℃
以上、磁気変態点以下に限定したのは、高磁場の効果は
回復・再結晶過程である 400℃〜磁気変態点の範囲で特
に有効に作用するからである。なお、脱炭・1次再結晶
焼鈍については、通常の条件、すなわち雰囲気酸素ポテ
ンシャルP(H2O)/P(H2):0.3 〜0.6 で 800〜900 ℃の
温度で行えば良い。
【0031】ついで、 950〜1200℃の温度範囲にて10分
以内の短時間2次再結晶焼鈍に供する。なお、このよう
な箱焼鈍を連続焼鈍へ変更したプロセスでは、処理時間
が短いため、従来のように不純物元素の鈍化を必ずしも
十分に行うことはできず、鉄損特性は若干劣ることにな
るが、特に鉄損を重視する用途でない限り十分使用可能
である。
【0032】また、上記の脱炭焼鈍と2次再結晶焼鈍を
連続して行うためには、その昇温過程の雰囲気を脱炭雰
囲気からファイアライト還元雰囲気に変更することが有
利である。というのは、この昇温過程における雰囲気を
還元雰囲気にすると、脱炭焼鈍中に生成した表面層のシ
リカとファイアライトから成る酸化物の生成が防止され
るだけでなく、還元凝集することで、表面層の保護性が
低下し、1次再結晶粒の成長を抑制しているインヒビタ
ーの機能が適度に緩和されて、2次再結晶が効果的に促
進すると考えられるからである。従って、脱炭焼鈍と2
次再結晶焼鈍を連続して行う場合には、 800〜900 ℃の
脱炭・1次再結晶焼鈍温度から950 ℃以上の2次再結晶
焼鈍温度へ加熱するときの雰囲気酸素ポテンシャルP(H
2O)/P(H2)は0.20以下に抑制することが重要である。ま
た、脱炭焼鈍後の酸化物層を研磨、酸洗等で除去するこ
とによっても、同等の効果を得ることができる。
【0033】
【実施例】
実施例1 A鋼:C:0.073 wt%, Si:3.33wt%, Mn:0.070 wt
%, Se:0.015 wt%, sol.Al:0.024 wt%, N:0.0088
wt%, Sb:0.038 wt%, Cu:0.07wt%、 B鋼:C:0.070 wt%, Si:3.32wt%, Mn:0.070 wt
%, Se:0.015 wt%, B:0.0022wt%, N:0.0094wt
%, Sb:0.025 wt%、 C鋼:C:0.071 wt%, Si:3.35wt%, Mn:0.070 wt
%, Se:0.015 wt%, Nb:0.022 wt%, N:0.0084wt
%, Sb:0.026 wt% を含有し、残部は実質的にFeの組成になる溶鋼を、スラ
ブとし、1420℃,30分間の均熱後、2.2mm 厚に仕上げ、
ついで1000℃で熱延板焼鈍後、酸洗したのち、1回目の
冷間圧延を施し、1100℃で中間焼鈍し、45℃/sの速度で
急冷後、200 ℃の温間圧延を含む2回目の圧延(圧下
率:85%)により0.22mmの最終板厚に仕上げた。
【0034】ついで、雰囲気酸素ポテンシャルP(H2O)/
P(H2):0.45で 850℃, 3分間の脱炭焼鈍を施した。こ
の脱炭焼鈍の加熱過程において、 400℃から 800℃まで
1.5Tの磁場を圧延方向と平行に印加した。引き続き、
連続的に雰囲気酸素ポテンシャルP(H2O)/P(H2):0.15
以下で1100℃まで昇温し、この温度で5分間の2次再結
晶焼鈍を施した。かくして得られた製品板の磁気特性に
ついて調べた結果を表1に示す。なお、表1には、比較
のため、上記のような磁場印加を行わなかった場合の調
査結果も併せて示す。
【0035】
【表1】
【0036】同表に示したとおり、この発明に従い、脱
炭焼鈍の加熱過程において圧延方向と平行に強磁場を印
加した場合は、かような磁場印加のない従来法に従った
場合に比較して、磁気特性が格段に向上している。
【0037】実施例2 C:0.073 wt%, Si:3.37wt%, Mn:0.069 wt%, Se:
0.015 wt%, sol.Al:0.024 wt%, N:0.0088wt%, S
b:0.038 wt%, Cu:0.07wt%およびSn:0.25wt%を含
有し、残部は実質的にFeの組成になる溶鋼を、スラブと
し、1420℃,30分間の均熱後、2.0mm 厚に仕上げ、つい
で1000℃の熱延板焼鈍後、酸洗したのち、1回目の冷間
圧延を施し、1150℃で中間焼鈍し、45℃/sの速度で急冷
後、 200℃の温間圧延を含む2回目の圧延(圧下率:85
%)により0.20mmの最終板厚に仕上げた。
【0038】ついで、雰囲気酸素ポテンシャルP(H2O)/
P(H2):0.50で 850℃で3分間の脱炭焼鈍を施した。こ
の脱炭焼鈍の加熱過程において、 400℃から 800℃まで
5.0Tの磁場を圧延方向と平行に印加した。その後、表
面を機械的に研磨し、塩酸酸洗により酸化物を除去した
のち、1000℃,10分間の2次再結晶焼鈍を施した。かく
して得られた製品板の磁気特性は次のとおりであった。
なお、比較例のため、上記のような磁場印加を行わなか
ったものについての調査結果も併せて示す。 発明例(磁場:5.0 T):B8 =1.885 T, W 17/50
1.045 W/kg 比較例(磁場印加なし):B8 =1.805 T, W17/50
1.315 W/kg
【0039】
【発明の効果】かくして、この発明に従い、脱炭焼鈍の
加熱過程で強磁場を付与することにより、仕上げ焼鈍を
連続化した方向性電磁鋼板の製造においても、良好な2
次再結晶組織ひいては磁気特性を安定して得ることがで
き、その工業的価値は極めて大といえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱炭焼鈍の加熱過程における磁場の強さと磁束
密度B8 との関係を示した図である。
【図2】2次再結晶焼鈍における均熱温度および時間が
磁束密度B8 に及ぼす影響を示した図である。
【図3】2次加熱過程における加熱雰囲気の酸素ポテン
シャルP(H2O)/P(H2)が磁束密度B8 に及ぼす影響を示
した図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.02〜0.10wt%、 Si:2.5 〜5.0 wt% を含有する組成になる方向性電磁鋼用スラブを、熱間圧
    延し、ついで必要に応じて熱延板焼鈍を施した後、1回
    または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終
    板厚に仕上げ、ついで脱炭・1次再結晶焼鈍後、 950〜
    1200℃で10分以内の短時間の2次再結晶焼鈍を施す一連
    の工程によって方向性電磁鋼板を製造するに際し、 上記の脱炭・1次再結晶焼鈍の加熱過程において、 400
    ℃以上、磁気変態点以下の温度範囲にわたり、圧延方向
    と平行に 1.0T以上の磁場を印加することを特徴とする
    磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、脱炭・1次再結晶焼
    鈍と短時間の2次再結晶焼鈍とを連続して行う場合、 8
    00〜900 ℃の脱炭・1次再結晶焼鈍温度から950 ℃以上
    の2次再結晶焼鈍温度へ加熱するときの雰囲気酸素ポテ
    ンシャルP(H 2O)/P(H2)を0.20以下に抑制することを特
    徴とする磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1において、脱炭・1次再結晶焼
    鈍後、該焼鈍により生成した鋼板表層の酸化物を除去し
    てから、短時間の2次再結晶焼鈍を施すことを特徴とす
    る磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
JP9131991A 1997-05-22 1997-05-22 磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法 Withdrawn JPH10317060A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9131991A JPH10317060A (ja) 1997-05-22 1997-05-22 磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9131991A JPH10317060A (ja) 1997-05-22 1997-05-22 磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10317060A true JPH10317060A (ja) 1998-12-02

Family

ID=15071008

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9131991A Withdrawn JPH10317060A (ja) 1997-05-22 1997-05-22 磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10317060A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100514795B1 (ko) * 2001-11-30 2005-09-14 주식회사 포스코 자기변형이 적은 방향성전기강판의 제조방법과 이에사용되는 자장열처리 장치
KR100530060B1 (ko) * 2001-12-03 2005-11-22 주식회사 포스코 바이어스 직류자장을 이용한 자기변형이 적은방향성전기강판의 제조방법과 이에 사용되는 자장열처리장치
KR100530062B1 (ko) * 2001-12-10 2005-11-22 주식회사 포스코 자장열처리조건의 제어에 의한 자기변형이 적은 방향성전기강판의 제조방법
WO2016085022A1 (ko) * 2014-11-27 2016-06-02 주식회사 포스코 방향성 전기강판 및 이의 제조방법
WO2021125864A1 (ko) * 2019-12-20 2021-06-24 주식회사 포스코 방향성 전기강판 및 그의 제조방법
CN116779270A (zh) * 2023-08-18 2023-09-19 江西悦安新材料股份有限公司 一种耐压高阻抗铁硅铬磁粉芯及其制备方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100514795B1 (ko) * 2001-11-30 2005-09-14 주식회사 포스코 자기변형이 적은 방향성전기강판의 제조방법과 이에사용되는 자장열처리 장치
KR100530060B1 (ko) * 2001-12-03 2005-11-22 주식회사 포스코 바이어스 직류자장을 이용한 자기변형이 적은방향성전기강판의 제조방법과 이에 사용되는 자장열처리장치
KR100530062B1 (ko) * 2001-12-10 2005-11-22 주식회사 포스코 자장열처리조건의 제어에 의한 자기변형이 적은 방향성전기강판의 제조방법
WO2016085022A1 (ko) * 2014-11-27 2016-06-02 주식회사 포스코 방향성 전기강판 및 이의 제조방법
KR20160063895A (ko) * 2014-11-27 2016-06-07 주식회사 포스코 방향성 전기강판 및 이의 제조방법
US11031162B2 (en) 2014-11-27 2021-06-08 Posco Grain-oriented electrical steel sheet and manufacturing method therefor
WO2021125864A1 (ko) * 2019-12-20 2021-06-24 주식회사 포스코 방향성 전기강판 및 그의 제조방법
CN116779270A (zh) * 2023-08-18 2023-09-19 江西悦安新材料股份有限公司 一种耐压高阻抗铁硅铬磁粉芯及其制备方法
CN116779270B (zh) * 2023-08-18 2023-11-07 江西悦安新材料股份有限公司 一种耐压高阻抗铁硅铬磁粉芯及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2983128B2 (ja) 極めて低い鉄損をもつ一方向性電磁鋼板の製造方法
JP2008524449A (ja) 磁束密度を向上させた無方向性電磁鋼板及びその製造方法
JP2019119933A (ja) 低鉄損方向性電磁鋼板とその製造方法
JPH05171280A (ja) 磁気特性が優れかつ表面外観の良い無方向性電磁鋼板の製造方法
JP2003171718A (ja) 圧延面内での平均磁気特性に優れた電磁鋼板の製造方法
JPH03294427A (ja) 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法
JPH10317060A (ja) 磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法
JPH059666A (ja) 方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP3386742B2 (ja) 磁気特性に優れる方向性電磁鋼板の製造方法
JPH08100216A (ja) 磁気特性に優れる一方向性珪素鋼板の製造方法
JP2679928B2 (ja) 極めて低い鉄損をもつ一方向性電磁鋼板の製造方法
JP3357602B2 (ja) 磁気特性に優れる方向性電磁鋼板の製造方法
KR950002895B1 (ko) 초고규소 방향성 전자강판 및 그 제조방법
WO2019131853A1 (ja) 低鉄損方向性電磁鋼板とその製造方法
JPH0784615B2 (ja) 磁束密度に優れる方向性けい素鋼板の製造方法
JP2713028B2 (ja) 方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP2014173103A (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
JP2000119823A (ja) 鉄損の低い電磁鋼板
JPH06256847A (ja) 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法
KR100241005B1 (ko) 1회 냉간압연에 의한 방향성 전기강판의 제조방법
JPH042724A (ja) 磁気特性の優れた薄手一方向性電磁鋼板の製造方法
KR100940719B1 (ko) 응력제거 소둔 후 자속밀도 특성이 우수한 무방향성전기강판의 제조방법
JP3392699B2 (ja) 極低鉄損特性を有する方向性電磁鋼板の製造方法
JPH06212262A (ja) 極めて低い鉄損をもつ一方向性電磁鋼板の製造方法
WO2022210503A1 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20040803