JPH10316038A - 車体前部のフェンダパネルとフェンダライナとの関連部構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヘッドランプを大形にさせる等のために、フ
ェンダパネルの前端部をより低く位置させようとし、か
つ、このフェンダパネルの前端部の下方近傍に位置する
フェンダライナの前端部が上記フェンダパネルの前端部
に接触しないようにさせる場合に、上記フェンダライナ
の成形が容易にできるようにする。 【解決手段】 フェンダパネル２０に支持されて前車輪
３１をその上方から覆うフェンダライナ３４を設ける。
上記フェンダパネル２０の前端部２４の下方近傍に上記
フェンダライナ３４の前端部３５を位置させる。上記フ
ェンダライナ３４の前端部３５の一部を下方に向い膨出
させて、上記フェンダライナ３４の前端部３５の上面に
凹所３９を成形し、この凹所３９に上記フェンダパネル
２０の前端部２４を嵌入させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の車体前部
において、フェンダパネルとフェンダライナとが関連す
る部分の構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】自動車の車体前部は、通常、その各側部
に設けられるフェンダエプロンと、これら各フェンダエ
プロンをその外側方から覆うフェンダパネルとを有し、
かつ、車体前部の各側部で、上記フェンダエプロンとフ
ェンダパネルとに架設されて前車輪をその上方から覆う
フェンダライナを有している（例えば、実開平５‐８２
７６０号公報）。

【０００３】また、上記構成において、従来、フェンダ
パネルの前端部の下方近傍にフェンダライナの前端部を
位置させ、かつ、上記フェンダパネルの上部の前側に隣
接するようヘッドランプを設けたものがあり、この場
合、車体前部をコンパクトにさせるため、上記フェンダ
パネルとフェンダライナの各前端部と、ヘッドランプと
は、上下方向で、互いに接近して配設されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
技術において、ユーザーの好みなどに応じて、上記ヘッ
ドランプをより大形にさせることがあり、この場合、よ
り大形にさせたヘッドランプに上記フェンダパネルが接
触することを避けるため、このフェンダパネルの前端部
を下方に延出させて、この前端部をより低く位置させ、
かつ、このフェンダパネルの前端部に上記フェンダライ
ナが接触することを避けるため、このフェンダライナの
前端部を下方に延出させて、この前端部をより低く位置
させることが考えられる。

【０００５】しかし、上記したように、フェンダライナ
の前端部を下方に延出させるために、このフェンダライ
ナの形状を単に変更させると、これに伴い、このフェン
ダライナを成形するための金型を別途に成形する必要が
生じ、これにより、上記フェンダライナの成形が煩雑に
なって、その成形コストが高くなるおそれを生じる。

【０００６】本発明は、上記のような事情に注目してな
されたもので、ヘッドランプを大形にさせる等のため
に、フェンダパネルの前端部をより低く位置させようと
し、かつ、このフェンダパネルの前端部の下方近傍に位
置するフェンダライナの前端部が上記フェンダパネルの
前端部に接触しないようにさせる場合に、上記フェンダ
ライナの成形が容易にできるようにすることを課題とす
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の車体前部のフェンダパネルとフェンダライナ
との関連部構造は、フェンダパネル２０に支持されて前
車輪３１をその上方から覆うフェンダライナ３４を設
け、上記フェンダパネル２０の前端部２４の下方近傍に
上記フェンダライナ３４の前端部３５を位置させた場合
において、

【０００８】上記フェンダライナ３４の前端部３５の一
部を下方に向い膨出させて、上記フェンダライナ３４の
前端部３５の上面に凹所３９を成形し、この凹所３９に
上記フェンダパネル２０の前端部２４を嵌入させたもの
である。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
により説明する。

【００１０】図１〜７において、符号１は自動車で、矢
印Ｆｒはその前方を示し、下記する左右とは上記前方に
向っての方向をいうものとする。

【００１１】上記自動車１の車体２の前部は、その後端
に車体基部材３である左右一対のフロントピラー４，４
を有し、これら両フロントピラー４，４の上部間にフロ
ントウィンド５が設けられている。また、６はサイドド
アである。

【００１２】上記各フロントピラー４の下端から前方に
向って延出する車体基部材３である左右一対の不図示の
サイドフレームが設けられ、これら各サイドフレームの
延出端に上記車体基部材３であるラジエータサポート９
が強固に架設されている。

【００１３】上記ラジエータサポート９の下部前面に樹
脂製のフロントバンパ１０が支持されている。このバン
パ１０は、上記ラジエータサポート９の下部前面に沿っ
て車幅方向に長く延びるバンパ本体１１と、このバンパ
本体１１の各端部からそれぞれ後方に向って一体的に延
出するバンパ側部１２とで構成され、これら各バンパ側
部１２は、上記ラジエータサポート９の下側部をその外
側方から覆っている。

【００１４】上記ラジエータサポート９の上部前面にグ
リル１３が支持され、このグリル１３は上記バンパ１０
の上側に隣接するよう設けられている。また、上記ラジ
エータサポート９の左右各側部にそれぞれヘッドランプ
１４が支持され、これらヘッドランプ１４は上記バンパ
１０の側部の上側に隣接するよう、かつ、上記グリル１
３の側方に隣接するよう設けられている。

【００１５】上記車体２の左右各側部において、上記フ
ロントピラー４の下部、サイドメンバ、およびラジエー
タサポート９に跨るように板金製のフェンダエプロン１
７が支持され、つまり、上記車体基部材３にフェンダエ
プロン１７が支持され、このフェンダエプロン１７はほ
ぼ垂直に延びている。

【００１６】上記各フェンダエプロン１７をその外側方
から覆って上記車体２の外殻を構成する板金製のフェン
ダパネル２０が設けられている。このフェンダパネル２
０は、上記車体基部材３側に支持され、ほぼ垂直に延び
て上記フェンダエプロン１７と左右で対面させられてい
る。上記フェンダパネル２０の上部の前側に隣接するよ
う前記ヘッドランプ１４が設けられている。

【００１７】上記フェンダパネル２０は、次のようにし
て車体基部材３側に強固に支持されている。即ち、上記
フェンダパネル２０の後端部は、前記フロントピラー４
に支持されている。また、上記フェンダパネル２０の下
部の前端部２４は上記ヘッドランプ１４の下方近傍に位
置させられると共に、締結具である第１取付具２６によ
り、上記ラジエータサポート９に締結されて支持されて
いる。また、上記フェンダパネル２０の上端縁は、上記
フェンダエプロン１７の上端縁に重ね合わされてスポッ
ト溶接により支持されている。

【００１８】上記ラジエータサポート９と、左右フェン
ダエプロン１７とで囲まれた空間がエンジンルーム２７
とされ、自動車１の走行駆動用のエンジンが収納されて
いる。上記両フェンダパネル２０の上端縁の間が、上記
エンジンルーム２７を車体２の上方に向って開放させる
エンジンルーム２７の開口とされ、この開口を開閉自在
に閉じるフード２９が設けられている。

【００１９】上記車体２には左右一対の前車輪３１が懸
架されている。一方、上記車体２の側面視で、上記フェ
ンダパネル２０の前後方向の中途部の下端縁は凹形の円
弧形状部３２とされている。側面視で、上記前車輪３１
は上記円弧形状部３２の下方に位置させられ、正面視で
上記前車輪３１は、車幅方向で互いに対面するフェンダ
エプロン１７とフェンダパネル２０の間に位置させられ
ている。

【００２０】上記フェンダエプロン１７と、フェンダパ
ネル２０の円弧形状部３２とに架設されると共に支持さ
れて、上記前車輪３１をその上方から覆う樹脂製のフェ
ンダライナ３４が設けられている。このフェンダライナ
３４の左右各側縁は上記フェンダエプロン１７と、フェ
ンダパネル２０の円弧形状部３２とにそれぞれ支持さ
れ、また、上記フェンダライナ３４の前端部３５は上記
フェンダパネル２０の前端部２４の下方近傍に位置させ
られると共に、締結具である第２取付具３６により上記
ラジエータサポート９に締結されて支持されている。

【００２１】上記のようにして、車体基部材３に強固に
取り付けられた上記フェンダエプロン１７とフェンダパ
ネル２０の各前端部２４，３５は、その外側方から前記
バンパ側部１２により覆われている。

【００２２】上記フェンダライナ３４の前端部３５の一
部は、下方に向い膨出させられて膨出部３８が成形され
ており、この膨出部３８の内部により、上記フェンダラ
イナ３４の前端部３５の上面に凹所３９が成形されてい
る。そして、上記凹所３９に上記フェンダパネル２０の
前端部２４の一部が嵌入させられている。

【００２３】上記の場合、ヘッドランプ１４を大形にさ
せる等のために、フェンダパネル２０の前端部２４をよ
り低く位置させようとし、かつ、このフェンダパネル２
０の前端部２４の下方近傍に位置するフェンダライナ３
４の前端部３５が上記フェンダパネル２０の前端部２４
に接触しないようにさせるため、上記したように、フェ
ンダパネル２０の前端部２４を上記凹所３９に嵌入させ
たのであり、これにより、上記フェンダパネル２０の前
端部２４をより低く位置させた場合でも、上記フェンダ
ライナ３４の前端部３５の一部に膨出部３８を成形した
ことで、上記接触が回避されている。

【００２４】また、上記したように、フェンダライナ３
４の前端部３５に膨出部３８を成形したため、これが補
強ビードとして働き、上記フェンダライナ３４の前端部
３５の強度と剛性とが向上させられる。よって、上記フ
ェンダライナ３４の前端部３５は、その上記車体基部材
３に対する取り付け強度が向上し、この車体基部材３に
強固に支持されることとなる。

【００２５】上記フェンダライナ３４につき、より詳し
く説明すると、このフェンダライナ３４の前端部３５
は、その後部側に一体的に連なりほぼ水平に延びるフェ
ンダライナ本体部４１と、このフェンダライナ本体部４
１の前端にインテグラルヒンジ４２を介して一体的に連
結されると共に上記ラジエータサポート９に上記第２取
付具３６により取り付けられる被取付部４３とを有し、
この被取付部４３は上記インテグラルヒンジ４２からほ
ぼ垂直に下方に向って延びている。

【００２６】上記膨出部３８は上記フェンダライナ本体
部４１に成形された第１膨出部４４と、上記被取付部４
３に成形された第２膨出部４５とで構成され、これら両
膨出部４４，４５の各凹所３９に跨って上記フェンダパ
ネル２０の前端部２４が嵌入されている。上記第１膨出
部４４の凹所３９は前方に向って開口し、上記第２膨出
部４５の凹所３９は前後方向に向ってそれぞれ開口して
いる。上記第１膨出部４４の凹所３９を前方に開口させ
ている第１開口４６と、上記第２膨出部４５を後方に開
口させている第２開口４７とが互いに合致させられてい
る。また、上記第１開口４６の開口縁４６ａと第２開口
４７の開口縁４７ａとは、互いに近接して対向してお
り、これらの合い面は、垂直線に対し約４５°とされて
いる。

【００２７】なお、上記両開口縁４６ａ，４７ａは、互
いに当接、もしくは圧接させてもよい。

【００２８】図８において、上記フェンダライナ３４の
成形手順を説明すると、まず、図中実線で示すように、
フェンダライナ本体部４１、インテグラルヒンジ４２、
および被取付部４３がほぼ平坦な面上に位置するような
中間成形品を、上、下金型間で、射出成形する。このよ
うな形状の中間成形品は、型抜きが容易であるため、そ
の成形は容易にできる。この場合、上記両開口縁４６
ａ，４７ａで挟まれた角度θは約９０°である。

【００２９】上記状態から、図中仮想線で示すように、
インテグラルヒンジ４２を中心として被取付部４３を約
９０°だけ下方に回動させれば、前記形状のフェンダラ
イナ３４が得られることとなる。

【００３０】

【発明の効果】本発明によれば、フェンダパネルに支持
されて前車輪をその上方から覆うフェンダライナを設
け、上記フェンダパネルの前端部の下方近傍に上記フェ
ンダライナの前端部を位置させた自動車の車体前部にお
いて、

【００３１】上記フェンダライナの前端部の一部を下方
に向い膨出させて、上記フェンダライナの前端部の上面
に凹所を成形し、この凹所に上記フェンダパネルの前端
部を嵌入させてある。

【００３２】このため、ヘッドランプを大形にさせる等
のために、フェンダパネルの前端部をより低く位置させ
た場合に、このフェンダパネルの前端部が、これの下方
近傍に位置するフェンダライナの前端部に接触すること
は防止される。

【００３３】ここで、上記凹所は、上記フェンダライナ
の前端部の一部を単に下方に向って膨出させることによ
り成形されたものであり、このため、上記凹所を成形す
る以前のフェンダライナの成形用金型の一部だけを加工
して上記凹所を成形させるようにすれば足り、よって、
凹所を有するフェンダライナを成形するための金型の形
状変更はわずかで済む分、上記フェンダライナの成形が
容易にできることとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図５の１‐１線矢視正面図である。

【図２】自動車の車体前部の斜視図である。

【図３】自動車の車体前部の側面図である。

【図４】フェンダライナの前端部の斜視図である。

【図５】図３の部分拡大図である。

【図６】図５の６‐６線矢視平面図である。

【図７】図３の７‐７線矢視断面図である。

【図８】フェンダライナの成形手順を示す部分側面図で
ある。

【符号の説明】

１ 自動車 ２ 車体 ３ 車体基部材 ９ ラジエータサポート １０ バンパ １１ バンパ本体 １２ バンパ側部 １４ ヘッドランプ １７ フェンダエプロン ２０ フェンダパネル ２４ 前端部 ３１ 前車輪 ３２ 円弧形状部 ３４ フェンダライナ ３５ 前端部 ３８ 膨出部 ３９ 凹所

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フェンダパネルに支持されて前車輪をそ
   の上方から覆うフェンダライナを設け、上記フェンダパ
   ネルの前端部の下方近傍に上記フェンダライナの前端部
   を位置させた自動車の車体前部において、 上記フェンダライナの前端部の一部を下方に向い膨出さ
   せて、上記フェンダライナの前端部の上面に凹所を成形
   し、この凹所に上記フェンダパネルの前端部を嵌入させ
   た車体前部のフェンダパネルとフェンダライナとの関連
   部構造。