JPH10310650A - 繊維強化複合材料製駆動シャフト及びその製造方法 - Google Patents
繊維強化複合材料製駆動シャフト及びその製造方法Info
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- JPH10310650A JPH10310650A JP9119370A JP11937097A JPH10310650A JP H10310650 A JPH10310650 A JP H10310650A JP 9119370 A JP9119370 A JP 9119370A JP 11937097 A JP11937097 A JP 11937097A JP H10310650 A JPH10310650 A JP H10310650A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 使用回転数域で確実に共振しない固有振動数
を有し、共振周波数を上げた状態で振動騒音の減少した
FRP製プロペラシャフトを提供する。 【解決手段】 プロペラシャフト1は、円筒状のシャフ
ト本体2及びその両端部に突設されたヨーク部3が繊維
強化複合材料で一体に形成されている。強化繊維とし
て、その引張り弾性率がほぼ295GPa以上の炭素繊
維が使用されている。マトリックス樹脂としてはエポキ
シ樹脂が使用されている。マトリックス樹脂中には中空
部が分散されている。中空部はマトリックス樹脂の比重
より見かけ比重の小さい中空の微小ビーズを樹脂ととも
に繊維に付着、含浸させたのち、樹脂を加熱硬化させる
ことにより形成される。強化繊維の体積含有率は60〜
72%が好ましく、65〜70%がより好ましい。
を有し、共振周波数を上げた状態で振動騒音の減少した
FRP製プロペラシャフトを提供する。 【解決手段】 プロペラシャフト1は、円筒状のシャフ
ト本体2及びその両端部に突設されたヨーク部3が繊維
強化複合材料で一体に形成されている。強化繊維とし
て、その引張り弾性率がほぼ295GPa以上の炭素繊
維が使用されている。マトリックス樹脂としてはエポキ
シ樹脂が使用されている。マトリックス樹脂中には中空
部が分散されている。中空部はマトリックス樹脂の比重
より見かけ比重の小さい中空の微小ビーズを樹脂ととも
に繊維に付着、含浸させたのち、樹脂を加熱硬化させる
ことにより形成される。強化繊維の体積含有率は60〜
72%が好ましく、65〜70%がより好ましい。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプロペラシャフトに
好適な繊維強化複合材料製駆動シャフト及びその製造方
法に関するものである。
好適な繊維強化複合材料製駆動シャフト及びその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車ではトランスミッションの動力を
プロペラシャフト(ドライブシャフト)を介してディフ
ァレンシャル装置に伝達している。プロペラシャフトは
その両端部にヨークが設けられ、ユニバーサルジョイン
ト(主に十字軸式ジョイント)を介してトランスミッシ
ョン及びディファレンシャル装置に連結されている。プ
ロペラシャフトはねじれや曲げに強くしかも軽量とする
ため、一般に金属パイプ製のシャフト本体の両端にヨー
クが溶接された構造となっている。また、軽量化を図っ
た金属パイプ製であっても長尺のプロペラシャフトの場
合は、プロペラシャフトの固有振動数の一つである曲げ
一次共振周波数(いわゆる危険回転数)との関係で2分
割(3ジョイント方式)又は3分割(4ジョイント方
式)にする必要がある。従って、ジョイント数が多く、
部品点数、組付け工数が多くなりコスト高の原因とな
る。
プロペラシャフト(ドライブシャフト)を介してディフ
ァレンシャル装置に伝達している。プロペラシャフトは
その両端部にヨークが設けられ、ユニバーサルジョイン
ト(主に十字軸式ジョイント)を介してトランスミッシ
ョン及びディファレンシャル装置に連結されている。プ
ロペラシャフトはねじれや曲げに強くしかも軽量とする
ため、一般に金属パイプ製のシャフト本体の両端にヨー
クが溶接された構造となっている。また、軽量化を図っ
た金属パイプ製であっても長尺のプロペラシャフトの場
合は、プロペラシャフトの固有振動数の一つである曲げ
一次共振周波数(いわゆる危険回転数)との関係で2分
割(3ジョイント方式)又は3分割(4ジョイント方
式)にする必要がある。従って、ジョイント数が多く、
部品点数、組付け工数が多くなりコスト高の原因とな
る。
【0003】また、燃費向上を目的として、シャフト本
体を繊維強化プラスチック(FRP)で形成してより軽
量化を図ったプロペラシャフトが提案され、また、一部
の車両に実施されている。これらのプロペラシャフトは
FRP製のシャフト本体と、その両端に固定された金属
製のヨークとから構成されている。FRP製のプロペラ
シャフトでは、繊維配向を任意に変更でき、また比重が
小さいため、曲げ一次共振周波数を大きくできるので、
長尺のプロペラシャフトでも1本の円筒で作ることがで
きる。
体を繊維強化プラスチック(FRP)で形成してより軽
量化を図ったプロペラシャフトが提案され、また、一部
の車両に実施されている。これらのプロペラシャフトは
FRP製のシャフト本体と、その両端に固定された金属
製のヨークとから構成されている。FRP製のプロペラ
シャフトでは、繊維配向を任意に変更でき、また比重が
小さいため、曲げ一次共振周波数を大きくできるので、
長尺のプロペラシャフトでも1本の円筒で作ることがで
きる。
【0004】一方、燃費向上の他に、車の振動、騒音を
低減することも望まれている。プロペラシャフトによる
騒音は、車体の固有振動数とプロペラシャフトの固有振
動数が近いことによる、騒音(こもり音)が代表的な例
である。金属製プロペラシャフトでは、前記のような接
近が起こった場合、2本の円筒長の比を増減させたり、
円筒径を大きくしてプロペラシャフトの共振周波数をず
らして調整している。
低減することも望まれている。プロペラシャフトによる
騒音は、車体の固有振動数とプロペラシャフトの固有振
動数が近いことによる、騒音(こもり音)が代表的な例
である。金属製プロペラシャフトでは、前記のような接
近が起こった場合、2本の円筒長の比を増減させたり、
円筒径を大きくしてプロペラシャフトの共振周波数をず
らして調整している。
【0005】FRP製プロペラシャフトでは1本の円筒
で構成されているため、長さを変更することはできな
い。一方、円筒径を変えて共振周波数をずらす場合、共
振周波数を上げるには円筒径を大きくする必要がある。
現状のFRP製プロペラシャフトは、金属製のプロペラ
シャフトより2割程度太く形成されており、これをさら
に太くすると車体床面との距離が小さくなるため、専用
の床面の設計が必要となり現実的でない。また、車両に
は車体の固有振動数より低い固有振動数を有する他の部
品が多く装備されているため、プロペラシャフトの共振
周波数を下げて車体の固有振動数からずらしても、他部
品との共振による騒音が発生する。
で構成されているため、長さを変更することはできな
い。一方、円筒径を変えて共振周波数をずらす場合、共
振周波数を上げるには円筒径を大きくする必要がある。
現状のFRP製プロペラシャフトは、金属製のプロペラ
シャフトより2割程度太く形成されており、これをさら
に太くすると車体床面との距離が小さくなるため、専用
の床面の設計が必要となり現実的でない。また、車両に
は車体の固有振動数より低い固有振動数を有する他の部
品が多く装備されているため、プロペラシャフトの共振
周波数を下げて車体の固有振動数からずらしても、他部
品との共振による騒音が発生する。
【0006】FRP製プロペラシャフトの振動騒音を低
減する手法として、特開平7−167211号公報に
は、FRP製プロペラシャフトの本体筒内にその内周面
に摺接する円筒状の制振部材を設けたプロペラシャフト
が提案されている。このプロペラシャフトは、回転時に
その回転に伴う遠心力により円筒状の制振部材の外周面
がプロペラシャフト本体筒の内周面に摺接し、本体筒と
制振部材との摩擦力により、プロペラシャフトの振動が
摩擦減衰されてプロペラシャフトの振動及び騒音の発生
を抑制する。
減する手法として、特開平7−167211号公報に
は、FRP製プロペラシャフトの本体筒内にその内周面
に摺接する円筒状の制振部材を設けたプロペラシャフト
が提案されている。このプロペラシャフトは、回転時に
その回転に伴う遠心力により円筒状の制振部材の外周面
がプロペラシャフト本体筒の内周面に摺接し、本体筒と
制振部材との摩擦力により、プロペラシャフトの振動が
摩擦減衰されてプロペラシャフトの振動及び騒音の発生
を抑制する。
【0007】特開平8−105489号公報に開示され
たプロペラシャフトでは、プロペラシャフトの本体筒の
内側に、本体筒の内周面に対して摺動自在に配置された
複数の摩擦係合部と、本体筒の内周面とは離間して本体
筒の周方向に延びている筒状保持部と、前記摩擦係合部
と前記筒状保持部とを連結するとともに前記摩擦係合部
を本体筒の内周面に密着するように弾性支持している弾
性支持部とからなる制振部材を備えている。このプロペ
ラシャフトでは摩擦係合部による摩擦力と、弾性支持部
の減衰抵抗力とによりプロペラシャフトの振動が減衰さ
れ、騒音の発生が抑制される。
たプロペラシャフトでは、プロペラシャフトの本体筒の
内側に、本体筒の内周面に対して摺動自在に配置された
複数の摩擦係合部と、本体筒の内周面とは離間して本体
筒の周方向に延びている筒状保持部と、前記摩擦係合部
と前記筒状保持部とを連結するとともに前記摩擦係合部
を本体筒の内周面に密着するように弾性支持している弾
性支持部とからなる制振部材を備えている。このプロペ
ラシャフトでは摩擦係合部による摩擦力と、弾性支持部
の減衰抵抗力とによりプロペラシャフトの振動が減衰さ
れ、騒音の発生が抑制される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】FRP製プロペラシャ
フトの本体筒の内側に制振部材を設けて、振動及び騒音
を防止する特開平7−167211号公報の技術では、
プロペラシャフトの固有振動数をすべての加振源の周波
数と一致しないようにするのが困難あるいは不可能と考
えて、減衰性のある制振部材をプロペラシャフトの内側
に配置し、振動時にプロペラシャフトの内周面と制振部
材との摩擦によるエネルギー吸収で振動を減衰させるよ
うになっている。また、特開平8−105489号公報
に開示された技術では、摩擦によるエネルギー吸収に加
えて弾性支持部の減衰抵抗力によるエネルギー吸収によ
り振動を減衰させるようになっている。
フトの本体筒の内側に制振部材を設けて、振動及び騒音
を防止する特開平7−167211号公報の技術では、
プロペラシャフトの固有振動数をすべての加振源の周波
数と一致しないようにするのが困難あるいは不可能と考
えて、減衰性のある制振部材をプロペラシャフトの内側
に配置し、振動時にプロペラシャフトの内周面と制振部
材との摩擦によるエネルギー吸収で振動を減衰させるよ
うになっている。また、特開平8−105489号公報
に開示された技術では、摩擦によるエネルギー吸収に加
えて弾性支持部の減衰抵抗力によるエネルギー吸収によ
り振動を減衰させるようになっている。
【0009】ところが、プロペラシャフトが(例えば、
エンジンの)振動の伝達媒体として働くときは、プロペ
ラシャフトの振動減衰性が有効な場合もあるが、プロペ
ラシャフトが加振源であるプロペラシャフト自体の曲げ
共振には有効ではない。また、一定質量のある制振部材
をプロペラシャフトの内部に入れるため、曲げ共振周波
数が、内部に制振部材がないプロペラシャフトに比較し
て低くなり、前記こもり音に関しては好ましくない場合
が多い。また、車体等他部品の共振周波数と近接しなけ
れば問題はないが、一般に従来のプロペラシャフトの共
振周波数より下がると、好ましくないことが多い。
エンジンの)振動の伝達媒体として働くときは、プロペ
ラシャフトの振動減衰性が有効な場合もあるが、プロペ
ラシャフトが加振源であるプロペラシャフト自体の曲げ
共振には有効ではない。また、一定質量のある制振部材
をプロペラシャフトの内部に入れるため、曲げ共振周波
数が、内部に制振部材がないプロペラシャフトに比較し
て低くなり、前記こもり音に関しては好ましくない場合
が多い。また、車体等他部品の共振周波数と近接しなけ
れば問題はないが、一般に従来のプロペラシャフトの共
振周波数より下がると、好ましくないことが多い。
【0010】また、プロペラシャフトが使用される車両
の固有振動数は車種によって異なり、プロペラシャフト
も全車種共通のものが使用されるのではなく、車種によ
って最適なプロペラシャフトが存在する。そして、プロ
ペラシャフトの固有振動数を車体の固有振動数からずら
す場合、プロペラシャフトの周波数が単に段階的に上下
するのではなく、任意の周波数に調整可能即ち周波数を
連続的に変更可能なことが望ましい。
の固有振動数は車種によって異なり、プロペラシャフト
も全車種共通のものが使用されるのではなく、車種によ
って最適なプロペラシャフトが存在する。そして、プロ
ペラシャフトの固有振動数を車体の固有振動数からずら
す場合、プロペラシャフトの周波数が単に段階的に上下
するのではなく、任意の周波数に調整可能即ち周波数を
連続的に変更可能なことが望ましい。
【0011】本発明は前記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、その目的はFRP製プロペラシャフトの共
振周波数を従来品より上げた状態で、使用回転数域で確
実に共振しない固有振動数を有し、しかも振動騒音を減
少させることができるFRP製プロペラシャフト及びそ
の製造方法を提供することにある。
のであって、その目的はFRP製プロペラシャフトの共
振周波数を従来品より上げた状態で、使用回転数域で確
実に共振しない固有振動数を有し、しかも振動騒音を減
少させることができるFRP製プロペラシャフト及びそ
の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め請求項1に記載の発明では、少なくとも円筒状のシャ
フト本体を繊維強化複合材料で形成した繊維強化複合材
料製駆動シャフトであって、マトリックス樹脂中に微小
な中空部が分散されている。
め請求項1に記載の発明では、少なくとも円筒状のシャ
フト本体を繊維強化複合材料で形成した繊維強化複合材
料製駆動シャフトであって、マトリックス樹脂中に微小
な中空部が分散されている。
【0013】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、強化繊維として引張り弾性率がほぼ
295GPa以上の炭素繊維を使用し、その体積含有率
を60〜72%とした。
載の発明において、強化繊維として引張り弾性率がほぼ
295GPa以上の炭素繊維を使用し、その体積含有率
を60〜72%とした。
【0014】請求項3に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、強化繊維として炭素繊維を使用し、
その体積含有率を64〜72%とした。請求項4に記載
の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載
の発明において、前記中空部はマトリックス樹脂に分散
されたマトリックス樹脂の比重より見かけ比重の小さい
中空の微小ビーズにより構成されている。
載の発明において、強化繊維として炭素繊維を使用し、
その体積含有率を64〜72%とした。請求項4に記載
の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載
の発明において、前記中空部はマトリックス樹脂に分散
されたマトリックス樹脂の比重より見かけ比重の小さい
中空の微小ビーズにより構成されている。
【0015】請求項5に記載の発明では、少なくとも円
筒状のシャフト本体を、フィラメントワインディング法
により製造するとともに、樹脂の比重より見かけ比重の
小さい中空の微小ビーズを所定量分散させた樹脂を含浸
させた状態で強化繊維をマンドレルに巻き付けた後、加
熱硬化するようにした。
筒状のシャフト本体を、フィラメントワインディング法
により製造するとともに、樹脂の比重より見かけ比重の
小さい中空の微小ビーズを所定量分散させた樹脂を含浸
させた状態で強化繊維をマンドレルに巻き付けた後、加
熱硬化するようにした。
【0016】請求項6に記載の発明では、請求項5に記
載の発明において、強化繊維として引張り弾性率がほぼ
295GPa以上の炭素繊維を使用する際、樹脂が良好
に含浸された状態で繊維をマンドレルに巻き付けるた
め、樹脂槽での樹脂含浸時からマンドレルに巻き付けら
れるまでの間に、樹脂の温度を35°以上で前記微小ビ
ーズの変形温度より低い温度に高めた後、繊維をマンド
レルに巻き付けるようにした。
載の発明において、強化繊維として引張り弾性率がほぼ
295GPa以上の炭素繊維を使用する際、樹脂が良好
に含浸された状態で繊維をマンドレルに巻き付けるた
め、樹脂槽での樹脂含浸時からマンドレルに巻き付けら
れるまでの間に、樹脂の温度を35°以上で前記微小ビ
ーズの変形温度より低い温度に高めた後、繊維をマンド
レルに巻き付けるようにした。
【0017】請求項1に記載の発明では、円筒状のシャ
フト本体を構成する繊維強化複合材料のマトリックス樹
脂中に微小な中空部が分散されているため、繊維含有率
等他の条件が同じ繊維強化複合材料製のプロペラシャフ
トに比べて、固有振動数が大きくなる。また、中空部の
割合を変更することにより、プロペラシャフトの固有振
動数を他の部品と共振しない周波数に調整可能となる。
フト本体を構成する繊維強化複合材料のマトリックス樹
脂中に微小な中空部が分散されているため、繊維含有率
等他の条件が同じ繊維強化複合材料製のプロペラシャフ
トに比べて、固有振動数が大きくなる。また、中空部の
割合を変更することにより、プロペラシャフトの固有振
動数を他の部品と共振しない周波数に調整可能となる。
【0018】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、円筒状のシャフト本体を構成する繊
維強化複合材料の強化繊維として引張り弾性率がほぼ2
95GPa以上の炭素繊維が使用され、その体積含有率
が60〜72%のため、従来品より固有振動数が大きく
なる。強化繊維として炭素繊維を使用した場合、体積含
有率65%程度までは複合材料の捩り強度は体積含有率
の増加に伴って増大するが、体積含有率がそれを超える
と捩り強度は体積含有率の増加に伴って減少する。しか
し、引張り弾性率がほぼ295GPa以上の炭素繊維を
使用することにより、捩り強度の低下が防止される。
載の発明において、円筒状のシャフト本体を構成する繊
維強化複合材料の強化繊維として引張り弾性率がほぼ2
95GPa以上の炭素繊維が使用され、その体積含有率
が60〜72%のため、従来品より固有振動数が大きく
なる。強化繊維として炭素繊維を使用した場合、体積含
有率65%程度までは複合材料の捩り強度は体積含有率
の増加に伴って増大するが、体積含有率がそれを超える
と捩り強度は体積含有率の増加に伴って減少する。しか
し、引張り弾性率がほぼ295GPa以上の炭素繊維を
使用することにより、捩り強度の低下が防止される。
【0019】請求項3に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、円筒状のシャフト本体を構成する繊
維強化複合材料の強化繊維として炭素繊維が使用され、
その体積含有率が64〜72%のため、中空部を分散さ
せただけのものより固有振動数が大きくなる。
載の発明において、円筒状のシャフト本体を構成する繊
維強化複合材料の強化繊維として炭素繊維が使用され、
その体積含有率が64〜72%のため、中空部を分散さ
せただけのものより固有振動数が大きくなる。
【0020】請求項4に記載の発明では、請求項1〜請
求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記中空
部はマトリックス樹脂に分散されたマトリックス樹脂の
比重より見かけ比重の小さい中空の微小ビーズにより構
成されている。従って、中空部をマトリックス樹脂中に
均一に分散するのが容易となる。
求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記中空
部はマトリックス樹脂に分散されたマトリックス樹脂の
比重より見かけ比重の小さい中空の微小ビーズにより構
成されている。従って、中空部をマトリックス樹脂中に
均一に分散するのが容易となる。
【0021】請求項5に記載の発明では、少なくとも円
筒状のシャフト本体が、フィラメントワインディング法
により製造される。樹脂の比重より見かけ比重の小さい
中空の微小ビーズを所定量分散させた状態で、樹脂が強
化繊維に含浸される。そして、強化繊維がマンドレルに
所定量巻き付けられた後、加熱硬化されて繊維強化複合
材料製の円筒状のシャフト本体が形成される。
筒状のシャフト本体が、フィラメントワインディング法
により製造される。樹脂の比重より見かけ比重の小さい
中空の微小ビーズを所定量分散させた状態で、樹脂が強
化繊維に含浸される。そして、強化繊維がマンドレルに
所定量巻き付けられた後、加熱硬化されて繊維強化複合
材料製の円筒状のシャフト本体が形成される。
【0022】請求項6に記載の発明では、請求項5に記
載の発明において、強化繊維として引張り弾性率がほぼ
295GPa以上の炭素繊維を使用される。繊維は樹脂
槽での樹脂含浸時からマンドレルに巻き付けられるまで
の間に、樹脂の温度が35°以上で前記微小ビーズの変
形温度より低い温度に高められる。従って、樹脂が良好
に含浸された状態で繊維がマンドレルに巻き付けられ、
引張り弾性率の大きな炭素繊維であっても、毛羽立ちや
糸切れが多発せずに、所定量の炭素繊維がマンドレル上
に巻き付けられる。
載の発明において、強化繊維として引張り弾性率がほぼ
295GPa以上の炭素繊維を使用される。繊維は樹脂
槽での樹脂含浸時からマンドレルに巻き付けられるまで
の間に、樹脂の温度が35°以上で前記微小ビーズの変
形温度より低い温度に高められる。従って、樹脂が良好
に含浸された状態で繊維がマンドレルに巻き付けられ、
引張り弾性率の大きな炭素繊維であっても、毛羽立ちや
糸切れが多発せずに、所定量の炭素繊維がマンドレル上
に巻き付けられる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明を駆動シャフトとし
てのプロペラシャフトに具体化した一実施の形態を図1
〜図5に従って説明する。図1はプロペラシャフトの一
端側の部分模式断面図である。図1及び図2に示すよう
に、プロペラシャフト1は円筒状のシャフト本体2と、
その両端部(片側のみ図示)に設けられたヨーク3とか
ら構成されている。シャフト本体2は繊維強化複合材料
(FRP)で形成されている。ヨーク3は金属製で、そ
の基端がシャフト本体2の端部に挿入されるとともに、
接着剤(図示せず)を介して固着されている。シャフト
本体2はヨーク3の基端が挿入されるヨーク挿入部2a
が肉厚に形成されている。ヨーク3にはユニバーサルジ
ョイント(例えば十字軸式ジョイント)を取り付けるた
めの孔3aが形成されている。
てのプロペラシャフトに具体化した一実施の形態を図1
〜図5に従って説明する。図1はプロペラシャフトの一
端側の部分模式断面図である。図1及び図2に示すよう
に、プロペラシャフト1は円筒状のシャフト本体2と、
その両端部(片側のみ図示)に設けられたヨーク3とか
ら構成されている。シャフト本体2は繊維強化複合材料
(FRP)で形成されている。ヨーク3は金属製で、そ
の基端がシャフト本体2の端部に挿入されるとともに、
接着剤(図示せず)を介して固着されている。シャフト
本体2はヨーク3の基端が挿入されるヨーク挿入部2a
が肉厚に形成されている。ヨーク3にはユニバーサルジ
ョイント(例えば十字軸式ジョイント)を取り付けるた
めの孔3aが形成されている。
【0024】強化繊維は、所定の等ピッチでシャフト本
体2の軸方向となす角度(配向角)が所定の角度となる
ように斜めに巻き付けられている。配向角は±25°以
下に設定されている。なお、ヨーク3の挿入部分は強化
繊維が周方向に巻き付けられている。また、シャフト本
体2の最外層には図示しない熱収縮フィルム(例えばポ
リエステルフィルム)が巻き付けられている。
体2の軸方向となす角度(配向角)が所定の角度となる
ように斜めに巻き付けられている。配向角は±25°以
下に設定されている。なお、ヨーク3の挿入部分は強化
繊維が周方向に巻き付けられている。また、シャフト本
体2の最外層には図示しない熱収縮フィルム(例えばポ
リエステルフィルム)が巻き付けられている。
【0025】強化繊維としては炭素繊維が使用されてい
る。マトリックス樹脂としてはエポキシ樹脂が使用され
ている。図3に示すように、マトリックス樹脂中には中
空部4が分散されている。中空部4は、例えば、マトリ
ックス樹脂の比重より見かけ比重の小さい中空の微小ビ
ーズを樹脂とともに繊維に付着、含浸させたのち、樹脂
を加熱硬化させることにより形成される。中空部4の分
散状態は微小ビーズの繊維への付着方法により異なり、
図3(a)〜(c)に示すようにほぼ3種類がある。第
1は図3(a)に示すように、FRPを構成する繊維束
5の周囲に中空部分散層6が存在するものであり、第2
は図3(b)に示すように、中空部4がほぼ全体に均一
に分散された状態のものである。また、第3は図3
(c)に示すように、FRPを構成する積層繊維層7の
層間に中空部分散層6が存在するものである。
る。マトリックス樹脂としてはエポキシ樹脂が使用され
ている。図3に示すように、マトリックス樹脂中には中
空部4が分散されている。中空部4は、例えば、マトリ
ックス樹脂の比重より見かけ比重の小さい中空の微小ビ
ーズを樹脂とともに繊維に付着、含浸させたのち、樹脂
を加熱硬化させることにより形成される。中空部4の分
散状態は微小ビーズの繊維への付着方法により異なり、
図3(a)〜(c)に示すようにほぼ3種類がある。第
1は図3(a)に示すように、FRPを構成する繊維束
5の周囲に中空部分散層6が存在するものであり、第2
は図3(b)に示すように、中空部4がほぼ全体に均一
に分散された状態のものである。また、第3は図3
(c)に示すように、FRPを構成する積層繊維層7の
層間に中空部分散層6が存在するものである。
【0026】中空の微小ビーズはマトリックス樹脂の比
重より見かけ比重が小さければ材質に特に限定はない
が、市販の樹脂製のものを使用するのが便利である。樹
脂は熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよ
い。中空の微小ビーズが熱可塑性樹脂製の場合は、フィ
ラメントワインディング法により形成された樹脂含浸繊
維層の加熱硬化時に、微小ビーズが軟化又は溶融して変
形するが、中空部全体の占める体積はほとんど変化しな
い。また、微小ビーズが熱硬化性樹脂製の場合は、前記
樹脂含浸繊維層の加熱硬化時に特に変化はない。
重より見かけ比重が小さければ材質に特に限定はない
が、市販の樹脂製のものを使用するのが便利である。樹
脂は熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよ
い。中空の微小ビーズが熱可塑性樹脂製の場合は、フィ
ラメントワインディング法により形成された樹脂含浸繊
維層の加熱硬化時に、微小ビーズが軟化又は溶融して変
形するが、中空部全体の占める体積はほとんど変化しな
い。また、微小ビーズが熱硬化性樹脂製の場合は、前記
樹脂含浸繊維層の加熱硬化時に特に変化はない。
【0027】強化繊維として使用される炭素繊維はその
引張り弾性率がほぼ295GPa(ギガパスカル)以上
の比較的弾性率の高い炭素繊維が好ましい。強化繊維の
体積含有率(Vf)は60〜72%が好ましく、65〜
70%がより好ましい。
引張り弾性率がほぼ295GPa(ギガパスカル)以上
の比較的弾性率の高い炭素繊維が好ましい。強化繊維の
体積含有率(Vf)は60〜72%が好ましく、65〜
70%がより好ましい。
【0028】強化繊維として炭素繊維を使用したFRP
製のシャフトの場合、図4に示すように、炭素繊維のV
fが65%程度まではその捩り強度はVfの増加に伴っ
て増大するが、Vfがそれを超えると捩り強度はVfの
増加に伴って減少する。また、プロペラシャフトに使用
するFRPの炭素繊維のVfが大きくなると、炭素繊維
に樹脂が良好に含浸し難くなる。従って、従来プロペラ
シャフトに使用するFRPの炭素繊維のVfは最大でも
60%程度であった。
製のシャフトの場合、図4に示すように、炭素繊維のV
fが65%程度まではその捩り強度はVfの増加に伴っ
て増大するが、Vfがそれを超えると捩り強度はVfの
増加に伴って減少する。また、プロペラシャフトに使用
するFRPの炭素繊維のVfが大きくなると、炭素繊維
に樹脂が良好に含浸し難くなる。従って、従来プロペラ
シャフトに使用するFRPの炭素繊維のVfは最大でも
60%程度であった。
【0029】図4に鎖線で示すように、炭素繊維として
弾性率が高いものを使用すると、捩り強度は大きくな
る。従って、FRPの炭素繊維の体積含有率を高めるこ
とによる捩り強度の低下を補うことが考えられる。しか
し、比較的弾性率の高い炭素繊維は毛羽立ち易く、糸切
れし易い。そして、比較的弾性率の高い炭素繊維を使用
してフィラメントワインディング法によりシャフトを製
造すると、炭素繊維に樹脂が良好に含浸し難く繊維の良
好な配列ができ難くなり、製品の品質(強度)が悪くな
る。炭素繊維の体積含有率を高める場合は、炭素繊維へ
の樹脂の含浸がより難しくなる。従って、比較的弾性率
の高い炭素繊維のVfを60%以上に高めることは考え
られなかった。
弾性率が高いものを使用すると、捩り強度は大きくな
る。従って、FRPの炭素繊維の体積含有率を高めるこ
とによる捩り強度の低下を補うことが考えられる。しか
し、比較的弾性率の高い炭素繊維は毛羽立ち易く、糸切
れし易い。そして、比較的弾性率の高い炭素繊維を使用
してフィラメントワインディング法によりシャフトを製
造すると、炭素繊維に樹脂が良好に含浸し難く繊維の良
好な配列ができ難くなり、製品の品質(強度)が悪くな
る。炭素繊維の体積含有率を高める場合は、炭素繊維へ
の樹脂の含浸がより難しくなる。従って、比較的弾性率
の高い炭素繊維のVfを60%以上に高めることは考え
られなかった。
【0030】しかし、本願発明者等は弾性率の高い炭素
繊維を使用して、弾性率の低い炭素繊維と同じように毛
羽立ちや糸切れを防止した状態でフィラメントワインデ
ィング法によりシャフトを製造可能とすることを見出し
た。即ち、フィラメントワインディング法によりシャフ
ト本体を製造する際に、炭素繊維に対する樹脂の含浸を
良好にすることにより、毛羽立ちの少ない状態で炭素繊
維の巻き付けを行うことができた。
繊維を使用して、弾性率の低い炭素繊維と同じように毛
羽立ちや糸切れを防止した状態でフィラメントワインデ
ィング法によりシャフトを製造可能とすることを見出し
た。即ち、フィラメントワインディング法によりシャフ
ト本体を製造する際に、炭素繊維に対する樹脂の含浸を
良好にすることにより、毛羽立ちの少ない状態で炭素繊
維の巻き付けを行うことができた。
【0031】円筒シャフトの曲げ振動数(固有振動数に
相当)Hは次式で表される。 H=K(1/L2 )√{E(d1 2+d2 2)/ρ}…(1) 但し、Kは定数、Lはシャフトの長さ、Eはシャフトヤ
ング率、d1 はシャフトの外径、d2 はシャフトの内
径、ρはシャフトの材質の密度である。
相当)Hは次式で表される。 H=K(1/L2 )√{E(d1 2+d2 2)/ρ}…(1) 但し、Kは定数、Lはシャフトの長さ、Eはシャフトヤ
ング率、d1 はシャフトの外径、d2 はシャフトの内
径、ρはシャフトの材質の密度である。
【0032】(1)式から明らかなように、他の条件が
同じであれば、FRPの密度ρが小さくなることは、シ
ャフト本体2の曲げ一次共振周波数(固有振動数)を大
きくするのに寄与する。一方、マトリックス樹脂中に微
小な中空部が分散されて存在すると、ヤング率Eは小さ
くなり固有振動数を大きくするのにはマイナスとなる。
しかし、密度ρが小さくなることの固有振動数の増加へ
の寄与の程度が、ヤング率Eが小さくなることの固有振
動数の減少への寄与の程度より大きいため、結果的に固
有振動数が増加する。その結果、中空部が存在しない場
合に比較して、固有振動数が大きくなる。中空部の割合
を変更することにより、固有振動数を車体以外の他の部
品と共振しない周波数領域で所望の周波数に調整でき
る。
同じであれば、FRPの密度ρが小さくなることは、シ
ャフト本体2の曲げ一次共振周波数(固有振動数)を大
きくするのに寄与する。一方、マトリックス樹脂中に微
小な中空部が分散されて存在すると、ヤング率Eは小さ
くなり固有振動数を大きくするのにはマイナスとなる。
しかし、密度ρが小さくなることの固有振動数の増加へ
の寄与の程度が、ヤング率Eが小さくなることの固有振
動数の減少への寄与の程度より大きいため、結果的に固
有振動数が増加する。その結果、中空部が存在しない場
合に比較して、固有振動数が大きくなる。中空部の割合
を変更することにより、固有振動数を車体以外の他の部
品と共振しない周波数領域で所望の周波数に調整でき
る。
【0033】FRPの炭素繊維のVfを高めると、E及
びρが増加する。Eが増加することはHを大きくするの
に寄与し、ρが増加することはHを小さくすることに寄
与する。即ち、Vfを増加しても単純にHが増加すると
は限らない。また、Vfを65%より大きくすると、捩
り強度が低下するという問題がある。しかし、Vfを6
5%より大きくすることにより、Vfの増加にともなう
捩り強度の低下が生じても、捩り強度を実用上差し支え
ない値に確保できた。
びρが増加する。Eが増加することはHを大きくするの
に寄与し、ρが増加することはHを小さくすることに寄
与する。即ち、Vfを増加しても単純にHが増加すると
は限らない。また、Vfを65%より大きくすると、捩
り強度が低下するという問題がある。しかし、Vfを6
5%より大きくすることにより、Vfの増加にともなう
捩り強度の低下が生じても、捩り強度を実用上差し支え
ない値に確保できた。
【0034】また、引張り弾性率がほぼ295GPa以
上の炭素繊維を使用すると、一般の炭素繊維(引張り弾
性率がほぼ235GPa)を使用した場合に比較して、
同じVfであってもEが大きくなる。また、Vfを高め
た場合、Eの増加に伴うHの増大の割合が、ρの増加に
伴うHを減少の割合に比較して大きくなる。引張り弾性
率がほぼ295GPa以上の炭素繊維を使用するととも
に、Vfを60〜72%とすることにより、捩り強度を
低下させずに、従来品より共振周波数を大幅に上げるこ
とができた。
上の炭素繊維を使用すると、一般の炭素繊維(引張り弾
性率がほぼ235GPa)を使用した場合に比較して、
同じVfであってもEが大きくなる。また、Vfを高め
た場合、Eの増加に伴うHの増大の割合が、ρの増加に
伴うHを減少の割合に比較して大きくなる。引張り弾性
率がほぼ295GPa以上の炭素繊維を使用するととも
に、Vfを60〜72%とすることにより、捩り強度を
低下させずに、従来品より共振周波数を大幅に上げるこ
とができた。
【0035】炭素繊維の種類、Vf、中空の微小ビーズ
量及び繊維の配向角を変えてシャフト本体2を形成する
とともに、金属製のヨーク3を固着して形成したプロペ
ラシャフト1の曲げ一次共振周波数の測定結果を表1に
示す。曲げ一次共振周波数の値は、比較例1の値を1と
した比率で表されている。但し、シャフト本体2の外径
φ76mm、内径φ70mm、長さ1000mmとし、
樹脂にエポキシ樹脂を使用し、炭素繊維として東邦レー
ヨン株式会社製、商品名ベスファイトHTA(引張り弾
性率235GPa)及びベスファイトIM400(引張
り弾性率295GPa)を使用した。中空の微小ビーズ
としてポリアクリロニトリル製の中空パウダ(平均粒径
20μm)を使用した。なお、表1に掲げたプロペラシ
ャフトは何れも実用上差し支えない捩り強度の値を示し
た。
量及び繊維の配向角を変えてシャフト本体2を形成する
とともに、金属製のヨーク3を固着して形成したプロペ
ラシャフト1の曲げ一次共振周波数の測定結果を表1に
示す。曲げ一次共振周波数の値は、比較例1の値を1と
した比率で表されている。但し、シャフト本体2の外径
φ76mm、内径φ70mm、長さ1000mmとし、
樹脂にエポキシ樹脂を使用し、炭素繊維として東邦レー
ヨン株式会社製、商品名ベスファイトHTA(引張り弾
性率235GPa)及びベスファイトIM400(引張
り弾性率295GPa)を使用した。中空の微小ビーズ
としてポリアクリロニトリル製の中空パウダ(平均粒径
20μm)を使用した。なお、表1に掲げたプロペラシ
ャフトは何れも実用上差し支えない捩り強度の値を示し
た。
【0036】
【表1】 但し、炭素繊維Aの引張り弾性率は235GPa、炭素
繊維Bの引張り弾性率は295GPaである。
繊維Bの引張り弾性率は295GPaである。
【0037】表1から明らかなように、炭素繊維のVf
を60%より大きくすることにより、曲げ一次共振周波
数が大きくなることが分かる(実施例1〜実施例3)。
また、配向角を小さくすると曲げ一次共振周波数が大き
くなることが分かる(実施例6)。炭素繊維として引張
り弾性率が高いものを使用すると、曲げ一次共振周波数
が大きくなり、しかもその増加の程度がVfを大きくし
た場合、あるいは配向角度を小さくした場合に比較して
寄与の度合いが大きいことが分かる(実施例4、実施例
5)。
を60%より大きくすることにより、曲げ一次共振周波
数が大きくなることが分かる(実施例1〜実施例3)。
また、配向角を小さくすると曲げ一次共振周波数が大き
くなることが分かる(実施例6)。炭素繊維として引張
り弾性率が高いものを使用すると、曲げ一次共振周波数
が大きくなり、しかもその増加の程度がVfを大きくし
た場合、あるいは配向角度を小さくした場合に比較して
寄与の度合いが大きいことが分かる(実施例4、実施例
5)。
【0038】従って、Vfを60%より大きくするとと
もに、引張り弾性率の高い炭素繊維を使用することによ
り、共振周波数を従来品より上げた状態で、使用回転数
域で確実に共振しない固有振動数を有し、しかも振動騒
音を減少させることができるFRP製プロペラシャフト
が得られる。また、引張り弾性率の比較的低い一般の炭
素繊維(例えば、HTA)でも、Vfを64%より大き
くするとともに、繊維配向角を小さく(例えば10°)
することにより、曲げ一次共振周波数をかなり大きくで
きることが分かる。なお、Vfを70%より大きくした
場合は、プロペラシャフトの製造が難しくなり、Vfが
75%のものを得ることは現状では非常に難しい。従っ
て、Vfは72%が上限となる。
もに、引張り弾性率の高い炭素繊維を使用することによ
り、共振周波数を従来品より上げた状態で、使用回転数
域で確実に共振しない固有振動数を有し、しかも振動騒
音を減少させることができるFRP製プロペラシャフト
が得られる。また、引張り弾性率の比較的低い一般の炭
素繊維(例えば、HTA)でも、Vfを64%より大き
くするとともに、繊維配向角を小さく(例えば10°)
することにより、曲げ一次共振周波数をかなり大きくで
きることが分かる。なお、Vfを70%より大きくした
場合は、プロペラシャフトの製造が難しくなり、Vfが
75%のものを得ることは現状では非常に難しい。従っ
て、Vfは72%が上限となる。
【0039】また、表1から明らかなように、中空パウ
ダを加えることにより、曲げ一次共振周波数が大きくな
ることが分かる(実施例7)。また、中空パウダを加え
るとともに炭素繊維として引張り弾性率が高いものを使
用すると、両者の効果が加算された状態で曲げ一次共振
周波数が大きくなることが分かる(実施例8)。また、
炭素繊維として引張り弾性率が高いものを使用するとと
もにVfを大きくした場合も、それぞれの効果が加算さ
れた状態で曲げ一次共振周波数が大きくなることが分か
る(実施例9)。従って、マトリックス樹脂中に分散さ
せる中空部の割合、強化繊維の種類及びVfを変更する
ことにより、使用条件に合わせて曲げ一次共振周波数を
従来品より上げた状態で、使用回転数域で確実に共振し
ない固有振動数を有し、しかも振動騒音を減少させるこ
とができるFRP製プロペラシャフトを製造することが
容易となる。
ダを加えることにより、曲げ一次共振周波数が大きくな
ることが分かる(実施例7)。また、中空パウダを加え
るとともに炭素繊維として引張り弾性率が高いものを使
用すると、両者の効果が加算された状態で曲げ一次共振
周波数が大きくなることが分かる(実施例8)。また、
炭素繊維として引張り弾性率が高いものを使用するとと
もにVfを大きくした場合も、それぞれの効果が加算さ
れた状態で曲げ一次共振周波数が大きくなることが分か
る(実施例9)。従って、マトリックス樹脂中に分散さ
せる中空部の割合、強化繊維の種類及びVfを変更する
ことにより、使用条件に合わせて曲げ一次共振周波数を
従来品より上げた状態で、使用回転数域で確実に共振し
ない固有振動数を有し、しかも振動騒音を減少させるこ
とができるFRP製プロペラシャフトを製造することが
容易となる。
【0040】車両に装備された部品と共振して振動騒音
が発生するか否かは、プロペラシャフトを車両に装備し
て試験する必要がある。そして、試験の結果、共振によ
る振動騒音が発生する場合は、プロペラシャフトの曲げ
一次共振周波数を変更する必要がある。その場合、繊維
配向角の変更、Vfの変更、中空部の割合の変更あるい
は引張り弾性率の異なる炭素繊維を使用することにより
容易に対処できる。
が発生するか否かは、プロペラシャフトを車両に装備し
て試験する必要がある。そして、試験の結果、共振によ
る振動騒音が発生する場合は、プロペラシャフトの曲げ
一次共振周波数を変更する必要がある。その場合、繊維
配向角の変更、Vfの変更、中空部の割合の変更あるい
は引張り弾性率の異なる炭素繊維を使用することにより
容易に対処できる。
【0041】プロペラシャフト1はフィラメントワイン
ディング法により形成される。図5に示すように、マン
ドレル10は金属円筒で本体が形成され、その両端には
強化繊維Fを巻折り返し状に配列する多数の支持ピン1
1が周方向に配列された状態で着脱可能に支持されてい
る。
ディング法により形成される。図5に示すように、マン
ドレル10は金属円筒で本体が形成され、その両端には
強化繊維Fを巻折り返し状に配列する多数の支持ピン1
1が周方向に配列された状態で着脱可能に支持されてい
る。
【0042】フィラメントワインディング機はマンドレ
ル10を支持した状態で駆動される回転軸(図示せず)
と、マンドレル10に沿って往復駆動される糸ガイド
(ノズル)12とを備えている。そして、回転軸の回転
速度と、糸ガイド12の移動速度を調整することによ
り、糸ガイド12から繰り出される繊維Fをマンドレル
10の軸方向となす角度を任意の角度に設定して、マン
ドレル10上に巻き付けることができる。
ル10を支持した状態で駆動される回転軸(図示せず)
と、マンドレル10に沿って往復駆動される糸ガイド
(ノズル)12とを備えている。そして、回転軸の回転
速度と、糸ガイド12の移動速度を調整することによ
り、糸ガイド12から繰り出される繊維Fをマンドレル
10の軸方向となす角度を任意の角度に設定して、マン
ドレル10上に巻き付けることができる。
【0043】糸ガイド12とボビン13との間には樹脂
槽14が設けられている。樹脂槽14にはローラ15が
設けられている。ローラ15はその一部が樹脂槽14内
の樹脂の液面より上方に出た状態で水平に配置され、図
示しない駆動装置により回転されるようになっている。
樹脂槽14の近傍にはボビン13から繰り出された繊維
Fを樹脂層14の上方の所定位置に案内する第1のガイ
ド16と、樹脂槽14で樹脂が含浸された後の繊維Fを
案内する第2のガイド17とが設けられている。両ガイ
ド16,17は、繊維Fがローラ15の上側周面に接触
しつつ樹脂槽14を通過するように案内する位置に配置
されている。樹脂槽14内には樹脂を攪拌する攪拌装置
(図示せず)と、ヒータ18とが装備されている。
槽14が設けられている。樹脂槽14にはローラ15が
設けられている。ローラ15はその一部が樹脂槽14内
の樹脂の液面より上方に出た状態で水平に配置され、図
示しない駆動装置により回転されるようになっている。
樹脂槽14の近傍にはボビン13から繰り出された繊維
Fを樹脂層14の上方の所定位置に案内する第1のガイ
ド16と、樹脂槽14で樹脂が含浸された後の繊維Fを
案内する第2のガイド17とが設けられている。両ガイ
ド16,17は、繊維Fがローラ15の上側周面に接触
しつつ樹脂槽14を通過するように案内する位置に配置
されている。樹脂槽14内には樹脂を攪拌する攪拌装置
(図示せず)と、ヒータ18とが装備されている。
【0044】次にプロペラシャフト1の製造方法を説明
する。マンドレル10をフィラメントワインディング機
にセットし、ボビン13から繰り出した繊維Fを両ガイ
ド16,17及び糸ガイド12に通した後、その端部を
マンドレル10に固定する。その状態でフィラメントワ
インディング機を作動させて、マンドレル10の回転と
糸ガイド12の動きを制御し、繊維Fに熱硬化性樹脂
(エポキシ樹脂)を付着させながらマンドレル10上に
巻き付ける。なお、中空(樹脂)パウダがマトリックス
樹脂に分散されたシャフト本体2を製造するには、例え
ば、樹脂槽14に予め所定量の中空パウダを分散させた
樹脂を入れるとともに、樹脂槽14に装備した攪拌装置
で樹脂浴を攪拌しながらフィラメントワインディングを
行う。
する。マンドレル10をフィラメントワインディング機
にセットし、ボビン13から繰り出した繊維Fを両ガイ
ド16,17及び糸ガイド12に通した後、その端部を
マンドレル10に固定する。その状態でフィラメントワ
インディング機を作動させて、マンドレル10の回転と
糸ガイド12の動きを制御し、繊維Fに熱硬化性樹脂
(エポキシ樹脂)を付着させながらマンドレル10上に
巻き付ける。なお、中空(樹脂)パウダがマトリックス
樹脂に分散されたシャフト本体2を製造するには、例え
ば、樹脂槽14に予め所定量の中空パウダを分散させた
樹脂を入れるとともに、樹脂槽14に装備した攪拌装置
で樹脂浴を攪拌しながらフィラメントワインディングを
行う。
【0045】ボビン13から繰り出される繊維Fは、両
ガイド16,17の作用により、ローラ15の周面に接
触しつつ移動するため、ローラ15の周面に付着してい
る樹脂が繊維に付着、含浸する。ローラ15は積極回転
されるため、繊維Fは常に樹脂が適量付着したローラ1
5の周面と接触する状態となる。
ガイド16,17の作用により、ローラ15の周面に接
触しつつ移動するため、ローラ15の周面に付着してい
る樹脂が繊維に付着、含浸する。ローラ15は積極回転
されるため、繊維Fは常に樹脂が適量付着したローラ1
5の周面と接触する状態となる。
【0046】繊維Fを巻き付ける場合、繊維Fが支持ピ
ン11と係合して折り返しながら、支持ピン11間にマ
ンドレル10の軸方向となす角度が所定の角度となるよ
うに巻付けられて、マンドレル10上に所定の厚さの繊
維層が形成される。なお、第1の層の配列が終了する
と、第2の層は第1の層と繊維の巻き付け角が逆になる
ように巻き付けられる。以下、隣接する繊維層は繊維F
の巻き付け角が互いに逆となるように巻き付けられる。
マンドレル10上に巻き付けられた繊維層の数が所定数
となるまで繊維Fを巻き付けた後、ヨーク挿入部2aと
対応する部分に、その巻き付け角度が90°となる状態
で、所定の厚さの繊維層が形成されるまで巻き付ける。
ン11と係合して折り返しながら、支持ピン11間にマ
ンドレル10の軸方向となす角度が所定の角度となるよ
うに巻付けられて、マンドレル10上に所定の厚さの繊
維層が形成される。なお、第1の層の配列が終了する
と、第2の層は第1の層と繊維の巻き付け角が逆になる
ように巻き付けられる。以下、隣接する繊維層は繊維F
の巻き付け角が互いに逆となるように巻き付けられる。
マンドレル10上に巻き付けられた繊維層の数が所定数
となるまで繊維Fを巻き付けた後、ヨーク挿入部2aと
対応する部分に、その巻き付け角度が90°となる状態
で、所定の厚さの繊維層が形成されるまで巻き付ける。
【0047】繊維Fの巻き付け終了後、マンドレル10
をフィラメントワインディング機から取り外し、繊維層
の外周面にプラスチック製のテープをスパイラル状に巻
き付ける。テープの幅は50mm程度のものを使用し
た。プラスチック製のテープとしてはポリエステルフィ
ルム等の熱収縮性フィルムを使用するのが好ましい。次
に支持ピン11をマンドレル10から取り外し、繊維層
が形成されたマンドレル10を加熱炉に入れ、所定温度
で樹脂を硬化させる。硬化温度は樹脂により異なるが、
例えばエポキシ樹脂の場合は180°C程度である。加
熱硬化により繊維強化複合材料製の円筒(FRP円筒)
が、マンドレル10上に形成される。冷却後、FRP円
筒からマンドレル10を引き抜く。そして、FRP円筒
の両端を切断すると、所定寸法の長さのシャフト本体2
が形成される。
をフィラメントワインディング機から取り外し、繊維層
の外周面にプラスチック製のテープをスパイラル状に巻
き付ける。テープの幅は50mm程度のものを使用し
た。プラスチック製のテープとしてはポリエステルフィ
ルム等の熱収縮性フィルムを使用するのが好ましい。次
に支持ピン11をマンドレル10から取り外し、繊維層
が形成されたマンドレル10を加熱炉に入れ、所定温度
で樹脂を硬化させる。硬化温度は樹脂により異なるが、
例えばエポキシ樹脂の場合は180°C程度である。加
熱硬化により繊維強化複合材料製の円筒(FRP円筒)
が、マンドレル10上に形成される。冷却後、FRP円
筒からマンドレル10を引き抜く。そして、FRP円筒
の両端を切断すると、所定寸法の長さのシャフト本体2
が形成される。
【0048】その後、シャフト本体2のヨーク挿入部2
aの内周面と、金属製のヨーク3の基端外周面に接着剤
を塗布し、ヨーク3をヨーク挿入部2aに挿入する。そ
して、接着剤を加熱硬化させることにより、ヨーク3が
シャフト本体2に強固に固着されて、プロペラシャフト
1が完成する。
aの内周面と、金属製のヨーク3の基端外周面に接着剤
を塗布し、ヨーク3をヨーク挿入部2aに挿入する。そ
して、接着剤を加熱硬化させることにより、ヨーク3が
シャフト本体2に強固に固着されて、プロペラシャフト
1が完成する。
【0049】フィラメントワインディング法によりシャ
フト本体2を製造する際、前記のように1個のボビン1
3から繊維Fを引き出して、微小ビーズが分散された樹
脂に含浸させた後、マンドレル10に巻き付けた場合
は、中空部4の分散状態は図3(b)に示すように、F
RPを構成する繊維束7の周囲に中空部分散層6が存在
するものとなる。また、微小ビーズを分散させない樹脂
を繊維Fに含浸させてマンドレル10に巻き付けて繊維
層を一層あるいは所定の複数層形成する毎に、微小ビー
ズを繊維層の上に直接又は微小ビーズの分散された樹脂
液を振りかける処理を行うと、図3(a)に示すよう
に、FRPを構成する積層繊維層5の層間にに中空部分
散層6が存在するものとなる。
フト本体2を製造する際、前記のように1個のボビン1
3から繊維Fを引き出して、微小ビーズが分散された樹
脂に含浸させた後、マンドレル10に巻き付けた場合
は、中空部4の分散状態は図3(b)に示すように、F
RPを構成する繊維束7の周囲に中空部分散層6が存在
するものとなる。また、微小ビーズを分散させない樹脂
を繊維Fに含浸させてマンドレル10に巻き付けて繊維
層を一層あるいは所定の複数層形成する毎に、微小ビー
ズを繊維層の上に直接又は微小ビーズの分散された樹脂
液を振りかける処理を行うと、図3(a)に示すよう
に、FRPを構成する積層繊維層5の層間にに中空部分
散層6が存在するものとなる。
【0050】また、ボビン13を複数設け、各ボビン1
3から細い繊維Fを引き出して、微小ビーズが分散され
た樹脂に含浸させた後、各繊維Fを収束してマンドレル
10に巻き付けた場合は、中空部4の分散状態は図3
(c)に示すように、中空部4がほぼ全体に均一に分散
された状態となる。
3から細い繊維Fを引き出して、微小ビーズが分散され
た樹脂に含浸させた後、各繊維Fを収束してマンドレル
10に巻き付けた場合は、中空部4の分散状態は図3
(c)に示すように、中空部4がほぼ全体に均一に分散
された状態となる。
【0051】引張り弾性率の大きな(295GPa)炭
素繊維を使用して、一般の引張り弾性率(235GP
a)の炭素繊維と同じ条件でフィラメントワインディン
グ法によりシャフト本体2を製造した場合、得られるシ
ャフト本体2は捩り強度が低く、プロペラシャフトとし
ての性能が不十分となる。その大きな原因として、引張
り弾性率の大きな炭素繊維は、毛羽立ち易いことが挙げ
られる。表2及び表3に、前記の炭素繊維A及びBを使
用してフィラメントワインディング法によりシャフト本
体2を製造した場合の違いを示す。表2はフィラメント
ワインディングの条件と製造時の発生現象を示し、表3
はシャフト本体2の仕様と捩り強度の比較を示す。な
お、樹脂にはエポキシを使用し、巻き付け張力は100
g、巻き付け速度(繊維供給速度)は毎分40mで行っ
た。
素繊維を使用して、一般の引張り弾性率(235GP
a)の炭素繊維と同じ条件でフィラメントワインディン
グ法によりシャフト本体2を製造した場合、得られるシ
ャフト本体2は捩り強度が低く、プロペラシャフトとし
ての性能が不十分となる。その大きな原因として、引張
り弾性率の大きな炭素繊維は、毛羽立ち易いことが挙げ
られる。表2及び表3に、前記の炭素繊維A及びBを使
用してフィラメントワインディング法によりシャフト本
体2を製造した場合の違いを示す。表2はフィラメント
ワインディングの条件と製造時の発生現象を示し、表3
はシャフト本体2の仕様と捩り強度の比較を示す。な
お、樹脂にはエポキシを使用し、巻き付け張力は100
g、巻き付け速度(繊維供給速度)は毎分40mで行っ
た。
【0052】
【表2】 但し、炭素繊維Aの引張り弾性率は235GPa、炭素
繊維Bの引張り弾性率は295GPaである。
繊維Bの引張り弾性率は295GPaである。
【0053】
【表3】 表2から明らかなように、引張り弾性率の低い炭素繊維
Aの場合は、繊維に通常の含浸温度(室温25°C)で
樹脂を含浸させて、マンドレル10に巻き付けても毛羽
立ちや糸切れの発生はなく、問題なく成形できた(比較
例2)。しかし、引張り弾性率の高い炭素繊維Bの場合
は、Vfが60%になる条件でも、炭素繊維Aと同じ条
件では毛羽立ち及び糸切れが多発した(比較例3)。ま
た、表3に示すように、得られたプロペラシャフトの捩
り強度は30%近く低下した(比較例3)。
Aの場合は、繊維に通常の含浸温度(室温25°C)で
樹脂を含浸させて、マンドレル10に巻き付けても毛羽
立ちや糸切れの発生はなく、問題なく成形できた(比較
例2)。しかし、引張り弾性率の高い炭素繊維Bの場合
は、Vfが60%になる条件でも、炭素繊維Aと同じ条
件では毛羽立ち及び糸切れが多発した(比較例3)。ま
た、表3に示すように、得られたプロペラシャフトの捩
り強度は30%近く低下した(比較例3)。
【0054】炭素繊維への樹脂の含浸を良好にさせるた
め、ヒータ18で樹脂槽内の樹脂を加熱して樹脂温度を
高めた状態で繊維に含浸させて、マンドレルへの巻き付
けを行なったところ、Vfが70%になる条件でも毛羽
立ちや糸切れの発生が防止されて問題なく成形できた
(実施例10、実施例11)。また、表3に示すよう
に、得られたプロペラシャフトの捩り強度は、Vfが6
0%になる条件では15%向上し(実施例10)、Vf
が70%になる条件でも5%向上した(実施例11)。
樹脂温度を高めると樹脂の粘性が低下して樹脂が炭素繊
維間に侵入し易くなるため、含浸が良好に行われ、毛羽
立ちが防止されて糸切れも防止されると考えられる。樹
脂の温度は40°Cに限らず、樹脂が炭素繊維間に侵入
し易い粘度に低下すればよく、35°C以上で微小ビー
ズの変形温度より低い温度であればよい。
め、ヒータ18で樹脂槽内の樹脂を加熱して樹脂温度を
高めた状態で繊維に含浸させて、マンドレルへの巻き付
けを行なったところ、Vfが70%になる条件でも毛羽
立ちや糸切れの発生が防止されて問題なく成形できた
(実施例10、実施例11)。また、表3に示すよう
に、得られたプロペラシャフトの捩り強度は、Vfが6
0%になる条件では15%向上し(実施例10)、Vf
が70%になる条件でも5%向上した(実施例11)。
樹脂温度を高めると樹脂の粘性が低下して樹脂が炭素繊
維間に侵入し易くなるため、含浸が良好に行われ、毛羽
立ちが防止されて糸切れも防止されると考えられる。樹
脂の温度は40°Cに限らず、樹脂が炭素繊維間に侵入
し易い粘度に低下すればよく、35°C以上で微小ビー
ズの変形温度より低い温度であればよい。
【0055】弾性率の高い炭素繊維に樹脂を良好に含浸
させる手段として、樹脂浴の温度を上げる代わりに、常
温において樹脂槽14で樹脂を含浸させた後、マンドレ
ル10に巻き付けるまでに加熱してもよい。また、毛羽
立ち、糸切れ発生を防止する方法として、繊維Fの巻き
付け速度を遅くしたり、ボビン13からマンドレル10
までの糸道の屈曲部の曲率を小さくしてもよい。糸道の
屈曲部の曲率を小さくするには、例えば糸ガイド12の
先端部をラッパ状にして、繊維Fに負担をかけないよう
にする。
させる手段として、樹脂浴の温度を上げる代わりに、常
温において樹脂槽14で樹脂を含浸させた後、マンドレ
ル10に巻き付けるまでに加熱してもよい。また、毛羽
立ち、糸切れ発生を防止する方法として、繊維Fの巻き
付け速度を遅くしたり、ボビン13からマンドレル10
までの糸道の屈曲部の曲率を小さくしてもよい。糸道の
屈曲部の曲率を小さくするには、例えば糸ガイド12の
先端部をラッパ状にして、繊維Fに負担をかけないよう
にする。
【0056】この実施の形態では以下の効果を有する。 (イ) 円筒状のシャフト本体2を構成するFRPのマ
トリックス樹脂中に微小な中空部4を分散させることに
より、強度を実用上差し支えない値に確保した状態で、
従来品より一次共振周波数(固有振動数)を上げること
ができる。また、中空部4の割合を変更することによ
り、一次共振周波数を車体以外の他の部品とも共振しな
い周波数に調整できる。
トリックス樹脂中に微小な中空部4を分散させることに
より、強度を実用上差し支えない値に確保した状態で、
従来品より一次共振周波数(固有振動数)を上げること
ができる。また、中空部4の割合を変更することによ
り、一次共振周波数を車体以外の他の部品とも共振しな
い周波数に調整できる。
【0057】(ロ) マトリックス樹脂中に微小な中空
部を分散させるとともに、引張り弾性率がほぼ295G
Pa以上の炭素繊維を使用し、その体積含有率を60〜
72%とすることにより、シャフト本体2の一次共振周
波数を車体以外の他の部品とも共振しない所望の周波数
への調整が容易になる。
部を分散させるとともに、引張り弾性率がほぼ295G
Pa以上の炭素繊維を使用し、その体積含有率を60〜
72%とすることにより、シャフト本体2の一次共振周
波数を車体以外の他の部品とも共振しない所望の周波数
への調整が容易になる。
【0058】(ハ) マトリックス樹脂中に微小な中空
部を分散させるとともに、一般の炭素繊維を使用し、そ
の体積含有率を64〜72%とすることにより、シャフ
ト本体2の一次共振周波数を車体以外の他の部品とも共
振しない周波数への調整が容易になる。
部を分散させるとともに、一般の炭素繊維を使用し、そ
の体積含有率を64〜72%とすることにより、シャフ
ト本体2の一次共振周波数を車体以外の他の部品とも共
振しない周波数への調整が容易になる。
【0059】(ニ) (イ)〜(ハ)のいずれかの構成
と、繊維配向角を変更することとの組合せにより、シャ
フト本体の一次共振周波数を車体以外の他の部品とも共
振しない値への調整が容易になる。
と、繊維配向角を変更することとの組合せにより、シャ
フト本体の一次共振周波数を車体以外の他の部品とも共
振しない値への調整が容易になる。
【0060】(ホ) マトリックス樹脂の比重より見か
け比重の小さい中空の微小ビーズをマトリックス樹脂に
分散することにより中空部が構成されているため、中空
部をマトリックス樹脂中に均一に分散するのが容易とな
る。
け比重の小さい中空の微小ビーズをマトリックス樹脂に
分散することにより中空部が構成されているため、中空
部をマトリックス樹脂中に均一に分散するのが容易とな
る。
【0061】(ヘ) シャフト本体2をフィラメントワ
インディング法で製造する際、樹脂の比重より見かけ比
重の小さい中空の微小ビーズを樹脂槽14の樹脂中に所
定量分散させた状態で強化繊維に樹脂を含浸することに
より、マトリックス樹脂中に中空部が均一に分散された
FRP製のシャフト本体2を簡単に製造できる。
インディング法で製造する際、樹脂の比重より見かけ比
重の小さい中空の微小ビーズを樹脂槽14の樹脂中に所
定量分散させた状態で強化繊維に樹脂を含浸することに
より、マトリックス樹脂中に中空部が均一に分散された
FRP製のシャフト本体2を簡単に製造できる。
【0062】(ト) 樹脂が良好に含浸された状態で繊
維Fがマンドレル10に巻き付けられるため、弾性率の
大きな炭素繊維であっても、毛羽立ちや糸切れが多発せ
ずに、所定量の炭素繊維がマンドレル10上に巻き付け
られ、得られたプロペラシャフト1の捩じり強度の低下
を防止できる。
維Fがマンドレル10に巻き付けられるため、弾性率の
大きな炭素繊維であっても、毛羽立ちや糸切れが多発せ
ずに、所定量の炭素繊維がマンドレル10上に巻き付け
られ、得られたプロペラシャフト1の捩じり強度の低下
を防止できる。
【0063】(チ) 樹脂を繊維Fに良好に含浸させる
手段として、樹脂槽14の樹脂を加熱して35°C以上
で微小ビーズの変形温度より低い状態(実施の形態では
40°C)で、繊維Fに付着させることにより、樹脂の
繊維Fへの良好な含浸状態を簡単に達成できる。
手段として、樹脂槽14の樹脂を加熱して35°C以上
で微小ビーズの変形温度より低い状態(実施の形態では
40°C)で、繊維Fに付着させることにより、樹脂の
繊維Fへの良好な含浸状態を簡単に達成できる。
【0064】(リ) 樹脂槽14に装備され樹脂の液面
から露出したローラ15の表面に接触しながら繊維Fが
移動することにより、樹脂が繊維Fに付着して含浸する
ため、繊維Fの表面に適量の樹脂を確実に付着させるこ
とができる。
から露出したローラ15の表面に接触しながら繊維Fが
移動することにより、樹脂が繊維Fに付着して含浸する
ため、繊維Fの表面に適量の樹脂を確実に付着させるこ
とができる。
【0065】なお、実施の形態は前記に限定されるもの
ではなく、例えば、次のように具体化してもよい。 ○ 炭素繊維として引張り弾性率が295GPaより大
きなものを使用してもよい。また、引張り弾性率が異な
る炭素繊維を混合して使用してもよい。その際、引張り
弾性率が295GPaのものとそれより大きな引張り弾
性率のものを混合しても、引張り弾性率が295GPa
のものとそれより小さな引張り弾性率のものを混合して
よい。また、引張り弾性率が295GPaより大きなも
のと、引張り弾性率が295GPaより小さなものとを
混合してもよい。
ではなく、例えば、次のように具体化してもよい。 ○ 炭素繊維として引張り弾性率が295GPaより大
きなものを使用してもよい。また、引張り弾性率が異な
る炭素繊維を混合して使用してもよい。その際、引張り
弾性率が295GPaのものとそれより大きな引張り弾
性率のものを混合しても、引張り弾性率が295GPa
のものとそれより小さな引張り弾性率のものを混合して
よい。また、引張り弾性率が295GPaより大きなも
のと、引張り弾性率が295GPaより小さなものとを
混合してもよい。
【0066】○ マトリックス樹脂として、エポキシ樹
脂に限らず他の熱硬化性樹脂(例えば、ポリイミド樹
脂)や、曲げ弾性率の高い熱可塑性樹脂(例えばポリエ
ーテルエーテルケトン)等を使用してもよい。しかし、
コストやプロペラシャフト1の要求性能の点からエポキ
シ樹脂が好ましい。
脂に限らず他の熱硬化性樹脂(例えば、ポリイミド樹
脂)や、曲げ弾性率の高い熱可塑性樹脂(例えばポリエ
ーテルエーテルケトン)等を使用してもよい。しかし、
コストやプロペラシャフト1の要求性能の点からエポキ
シ樹脂が好ましい。
【0067】○ シャフト本体2をフィラメントワイン
ディング法で製造する際、繊維Fを樹脂槽14内に完全
に浸漬した状態で樹脂の含浸を行う、即ちローラ15の
下側を通過させるようにしてもよい。
ディング法で製造する際、繊維Fを樹脂槽14内に完全
に浸漬した状態で樹脂の含浸を行う、即ちローラ15の
下側を通過させるようにしてもよい。
【0068】○ 車両のプロペラシャフト以外の駆動シ
ャフトに適用してもよい。使用回転速度が遅い場合や、
ねじり強度、耐熱性、耐湿性等の要求性能が車両のプロ
ペラシャフトに比較して低い場合には、強化繊維として
炭素繊維にガラス繊維又はアラミド繊維混合したり、ガ
ラス繊維又はアラミド繊維を単独で使用してもよい。ま
た、FRPを構成する繊維及びマトリックス樹脂の組合
せとして、炭素繊維とビニルエステル樹脂、炭素繊維と
フェノール樹脂等の組合せ等を採用してもよい。この場
合樹脂の価格がエポキシ樹脂より安いのでコスト低減を
図れる。
ャフトに適用してもよい。使用回転速度が遅い場合や、
ねじり強度、耐熱性、耐湿性等の要求性能が車両のプロ
ペラシャフトに比較して低い場合には、強化繊維として
炭素繊維にガラス繊維又はアラミド繊維混合したり、ガ
ラス繊維又はアラミド繊維を単独で使用してもよい。ま
た、FRPを構成する繊維及びマトリックス樹脂の組合
せとして、炭素繊維とビニルエステル樹脂、炭素繊維と
フェノール樹脂等の組合せ等を採用してもよい。この場
合樹脂の価格がエポキシ樹脂より安いのでコスト低減を
図れる。
【0069】○ 車両のプロペラシャフト以外の駆動シ
ャフトに適用する場合、シャフト本体2を円筒状ではな
く、角筒状に形成してもよい。 ○ マンドレル10として支持ピン11のないものを使
用してもよい。支持ピン11のないマンドレル10を使
用する場合、シャフト本体2の端部のヨーク挿入部2a
に形成する配向角90°の繊維層を最後に形成する代わ
りに、巻き付け途中で適宜形成するのが好ましい。
ャフトに適用する場合、シャフト本体2を円筒状ではな
く、角筒状に形成してもよい。 ○ マンドレル10として支持ピン11のないものを使
用してもよい。支持ピン11のないマンドレル10を使
用する場合、シャフト本体2の端部のヨーク挿入部2a
に形成する配向角90°の繊維層を最後に形成する代わ
りに、巻き付け途中で適宜形成するのが好ましい。
【0070】○ シャフト本体2だけをFRPで構成す
る代わりに、特開平7−229511号公報や特開平9
−42266号公報に開示されたもののように、プロペ
ラシャフト全体をFRPで構成した繊維強化複合材料製
駆動シャフトに具体化してもよい。
る代わりに、特開平7−229511号公報や特開平9
−42266号公報に開示されたもののように、プロペ
ラシャフト全体をFRPで構成した繊維強化複合材料製
駆動シャフトに具体化してもよい。
【0071】前記実施の形態から把握できる請求項に記
載以外の技術思想(発明)について、以下にその効果と
ともに記載する。 (1) 少なくとも円筒状のシャフト本体を繊維強化複
合材料で形成した繊維強化複合材料製駆動シャフトであ
って、強化繊維として引張り弾性率がほぼ295GPa
以上の炭素繊維を使用し、その体積含有率を60〜72
%とした繊維強化複合材料製駆動シャフト。この場合、
強度を実用上差し支えない値に確保した状態で、従来品
より共振周波数を上げることができる。
載以外の技術思想(発明)について、以下にその効果と
ともに記載する。 (1) 少なくとも円筒状のシャフト本体を繊維強化複
合材料で形成した繊維強化複合材料製駆動シャフトであ
って、強化繊維として引張り弾性率がほぼ295GPa
以上の炭素繊維を使用し、その体積含有率を60〜72
%とした繊維強化複合材料製駆動シャフト。この場合、
強度を実用上差し支えない値に確保した状態で、従来品
より共振周波数を上げることができる。
【0072】(2) 少なくとも円筒状のシャフト本体
を繊維強化複合材料で形成した繊維強化複合材料製駆動
シャフトをその使用回転数領域から外れた固有振動数と
なるように形成するとともに、マトリックス樹脂の見か
けの比重を変更することにより固有振動数を変更する繊
維強化複合材料製駆動シャフトの固有振動数調製方法。
この場合、駆動シャフトの固有振動数を、駆動シャフト
が使用される車両に装備された部品及び車体との共振周
波数から容易にかつ確実にずらすことができ、振動騒音
を低減できる。
を繊維強化複合材料で形成した繊維強化複合材料製駆動
シャフトをその使用回転数領域から外れた固有振動数と
なるように形成するとともに、マトリックス樹脂の見か
けの比重を変更することにより固有振動数を変更する繊
維強化複合材料製駆動シャフトの固有振動数調製方法。
この場合、駆動シャフトの固有振動数を、駆動シャフト
が使用される車両に装備された部品及び車体との共振周
波数から容易にかつ確実にずらすことができ、振動騒音
を低減できる。
【0073】(3) 少なくとも円筒状のシャフト本体
を繊維強化複合材料で形成した繊維強化複合材料製駆動
シャフトをその使用回転数領域から外れた固有振動数と
なるように形成するとともに、強化繊維の弾性率、繊維
含有率、配向角及びマトリックス樹脂中の中空部の割合
の少なくとも一つを変更することにより固有振動数を変
更する繊維強化複合材料製駆動シャフトの固有振動数調
製方法。この場合、駆動シャフトの固有振動数を、駆動
シャフトが使用される車両に装備された部品及び車体と
の共振周波数から容易にかつ確実にずらすことができ、
振動騒音を低減できる。
を繊維強化複合材料で形成した繊維強化複合材料製駆動
シャフトをその使用回転数領域から外れた固有振動数と
なるように形成するとともに、強化繊維の弾性率、繊維
含有率、配向角及びマトリックス樹脂中の中空部の割合
の少なくとも一つを変更することにより固有振動数を変
更する繊維強化複合材料製駆動シャフトの固有振動数調
製方法。この場合、駆動シャフトの固有振動数を、駆動
シャフトが使用される車両に装備された部品及び車体と
の共振周波数から容易にかつ確実にずらすことができ、
振動騒音を低減できる。
【0074】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1〜請求項4
に記載の発明によれば、共振周波数を従来品より上げた
状態で、使用回転数域で確実に共振しない固有振動数を
有し、しかも振動騒音を減少させることができるFRP
製プロペラシャフトが得られる。
に記載の発明によれば、共振周波数を従来品より上げた
状態で、使用回転数域で確実に共振しない固有振動数を
有し、しかも振動騒音を減少させることができるFRP
製プロペラシャフトが得られる。
【0075】請求項2に記載の発明では、プロペラシャ
フトの一次共振周波数を車体以外の他の部品とも共振し
ない値への調整が容易になる。請求項4に記載の発明で
は、中空部をマトリックス樹脂中に均一に分散するのが
容易となる。
フトの一次共振周波数を車体以外の他の部品とも共振し
ない値への調整が容易になる。請求項4に記載の発明で
は、中空部をマトリックス樹脂中に均一に分散するのが
容易となる。
【0076】請求項5に記載の発明では、請求項1に記
載の繊維強化複合材料製駆動シャフトを容易に製造でき
る。請求項6に記載の発明では、請求項2に記載の繊維
強化複合材料製駆動シャフトを容易に製造できる。
載の繊維強化複合材料製駆動シャフトを容易に製造でき
る。請求項6に記載の発明では、請求項2に記載の繊維
強化複合材料製駆動シャフトを容易に製造できる。
【図1】 一実施の形態のプロペラシャフトの部分模式
断面図。
断面図。
【図2】 図1のA−A線模式断面図。
【図3】 中空部の分散状態を示す部分模式図。
【図4】 シャフトの捩り強度と繊維の体積含有率の関
係を示すグラフ。
係を示すグラフ。
【図5】 フィラメントワインディング法によるシャフ
ト成形の模式図。
ト成形の模式図。
1…プロペラシャフト、2…シャフト本体、3…ヨーク
部、4…中空部、10…マンドレル、14…樹脂槽、F
…繊維。
部、4…中空部、10…マンドレル、14…樹脂槽、F
…繊維。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安居 義治 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内
Claims (6)
- 【請求項1】 少なくとも円筒状のシャフト本体を繊維
強化複合材料で形成した繊維強化複合材料製駆動シャフ
トであって、マトリックス樹脂中に微小な中空部が分散
されている繊維強化複合材料製駆動シャフト。 - 【請求項2】 強化繊維として引張り弾性率がほぼ29
5GPa以上の炭素繊維を使用し、その体積含有率を6
0〜72%とした請求項1に記載の繊維強化複合材料製
駆動シャフト。 - 【請求項3】 強化繊維として炭素繊維を使用し、その
体積含有率を64〜72%とした請求項1に記載の繊維
強化複合材料製駆動シャフト。 - 【請求項4】 前記中空部はマトリックス樹脂に分散さ
れたマトリックス樹脂の比重より見かけ比重の小さい中
空の微小ビーズにより構成されている請求項1〜請求項
3のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料製駆動シャ
フト。 - 【請求項5】 少なくとも円筒状のシャフト本体を、フ
ィラメントワインディング法により製造するとともに、
樹脂の比重より見かけ比重の小さい中空の微小ビーズを
所定量分散させた樹脂を含浸させた状態で強化繊維をマ
ンドレルに巻き付けた後、加熱硬化するようにした繊維
強化複合材料製駆動シャフトの製造方法。 - 【請求項6】 強化繊維として引張り弾性率がほぼ29
5GPa以上の炭素繊維を使用する際、樹脂が良好に含
浸された状態で繊維をマンドレルに巻き付けるため、樹
脂槽での樹脂含浸時からマンドレルに巻き付けられるま
での間に、樹脂の温度を35°以上で前記微小ビーズの
変形温度より低い温度に高めた後、繊維をマンドレルに
巻き付けるようにした請求項5に記載の繊維強化複合材
料製駆動シャフトの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9119370A JPH10310650A (ja) | 1997-05-09 | 1997-05-09 | 繊維強化複合材料製駆動シャフト及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9119370A JPH10310650A (ja) | 1997-05-09 | 1997-05-09 | 繊維強化複合材料製駆動シャフト及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10310650A true JPH10310650A (ja) | 1998-11-24 |
Family
ID=14759830
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9119370A Pending JPH10310650A (ja) | 1997-05-09 | 1997-05-09 | 繊維強化複合材料製駆動シャフト及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10310650A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107031068A (zh) * | 2017-04-28 | 2017-08-11 | 武汉理工大学 | 一种承载大扭矩的方程式赛车碳纤维半轴及其制备方法 |
JP2018035927A (ja) * | 2016-09-02 | 2018-03-08 | 三菱ケミカル株式会社 | 自動車用の動力伝達軸 |
JP2021512009A (ja) * | 2018-01-31 | 2021-05-13 | ティーピーアイ コンポジッツ,インコーポレーティッド | 複合バッテリ筐体 |
-
1997
- 1997-05-09 JP JP9119370A patent/JPH10310650A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018035927A (ja) * | 2016-09-02 | 2018-03-08 | 三菱ケミカル株式会社 | 自動車用の動力伝達軸 |
CN107031068A (zh) * | 2017-04-28 | 2017-08-11 | 武汉理工大学 | 一种承载大扭矩的方程式赛车碳纤维半轴及其制备方法 |
JP2021512009A (ja) * | 2018-01-31 | 2021-05-13 | ティーピーアイ コンポジッツ,インコーポレーティッド | 複合バッテリ筐体 |
CN114824611A (zh) * | 2018-01-31 | 2022-07-29 | 泰普爱复合材料股份有限公司 | 复合电池外壳 |
US11552363B2 (en) | 2018-01-31 | 2023-01-10 | Tpi Composites, Inc. | Composite battery enclosure |
US12070997B2 (en) | 2018-01-31 | 2024-08-27 | Tpi, Inc. | Composite battery enclosure |
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