JP3475808B2 - 繊維強化プラスチック製パイプの製造方法 - Google Patents

繊維強化プラスチック製パイプの製造方法

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JP3475808B2
JP3475808B2 JP28158698A JP28158698A JP3475808B2 JP 3475808 B2 JP3475808 B2 JP 3475808B2 JP 28158698 A JP28158698 A JP 28158698A JP 28158698 A JP28158698 A JP 28158698A JP 3475808 B2 JP3475808 B2 JP 3475808B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は繊維強化プラスチッ
ク(FRP)製パイプの製造方法に係り、詳しくはフィ
ラメントワインディング法によるFRP製パイプの製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】FRP(繊維強化プラスチック)製のパ
イプや容器を効率よく形成する方法としてフィラメント
ワインディング法がある。フィラメントワインディング
法では一般にマンドレルの周囲に樹脂を含浸させた繊維
を巻き付けた後、樹脂を硬化させることにより製品が製
造される。フィラメントワインディング法で形成された
製品の強度は繊維の巻付け角度(配列繊維とマンドレル
の軸方向とのなす角度)や繊維の配列状態の影響を大き
く受ける。また、フィラメントワインディング法におい
ては、繊維の巻付け角度が45°より大きい場合は、円
柱状のマンドレルに繊維を巻き付けても所定のピッチで
巻き付けることができる。しかし、巻付け角度が45°
以下になると、繊維の締め付け力が小さくなり、繊維を
所定巻付け角度で、かつ所定のピッチで巻き付けるのが
難しくなる。
【0003】強度の大きなFRP製パイプを製造する場
合は、繊維として多数本の細い繊維が束になった繊維束
(ロービング)が使用される。巻付け角度が小さな状態
で繊維束の巻付けが行われる場合は、繊維束をマンドレ
ルに巻き付ける力が弱い。その結果、繊維束を均一な厚
みの円筒状に配列するのが難しい。また、繊維の間に空
気が残ったり樹脂が多いままとなる。高い強度のFRP
製パイプを製造するためには、FRP全体の体積に占め
る繊維の割合(Vf)を高める必要がある。そこで、樹
脂が含浸された繊維束をマンドレルに巻き付けて所定の
厚みの成形体を形成した後、硬化処理前に幅広(50m
m程度)の熱収縮性のあるプラスチックテープを巻き付
けて締め込むことが実施されている。
【0004】また、特開昭60−41246号公報に
は、FRP製プロペラシャフトとして、円筒状本体の軸
方向に対して±60〜90°の角度で巻かれたガラス繊
維及び/又は高弾性有機繊維からなる第1の巻層と、±
60°未満の角度で巻かれた炭素繊維を含む第2の巻層
とを有し、第1の巻層が最外層を形成しているものが開
示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】熱収縮テープを使用し
て硬化前の成形体を締め付ける場合は、強く締め込むこ
とが難しい。また、締め込みにテープやフィルムを使用
すると樹脂がしみ出すスペースが少なく、樹脂がしみ出
し難いばかりでなく、パイプの端部に補強用の段部が設
けられている場合は、段部での締め込みがうまくできな
い。
【0006】特開昭60−41246号公報には最外層
に高弾性有機繊維を±60〜90°の角度で巻き付ける
ことは開示されているが、具体的な巻き付け方法につい
ては何ら開示されていない。
【0007】本発明は前記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、その目的は高いVfのFRP製パイプを製
造することができる繊維強化プラスチック製パイプの製
造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明では、フィラメントワインデ
ィング法によって繊維強化プラスチック製パイプを製造
する際に、樹脂が含浸された繊維束をマンドレルの軸方
向に対する角度が45°以下の角度となるようにマンド
レルに巻き付けられた繊維層を含む積層繊維層を形成し
た後、有機繊維を前記角度がほぼ90°に近い状態でマ
ンドレルの端から順に巻き付けた有機繊維層を複数、各
有機繊維層を形成する際の巻付け張力を変えてかつ後の
巻付け時の方が大きな張力となる状態で形成し、その
後、樹脂の硬化処理を行う。
【0009】請求項2に記載の発明では、フィラメント
ワインディング法によって繊維強化プラスチック製パイ
プを製造する際に、樹脂が含浸された繊維束をマンドレ
ルの軸方向に対する角度が45°以下の角度となるよう
にマンドレルに巻き付けられた繊維層を含む積層繊維層
を形成した後、複数本の有機繊維をマンドレルの長手方
向に対する位置をずらした状態及び各有機繊維がマンド
レルの周方向に位相がずれた状態で、かつ前記角度が
90°に近い状態で同時に、マンドレルの端から順に
巻き付けて有機繊維層を形成し、その後、樹脂の硬化処
理を行う。
【0010】請求項3に記載の発明では、請求項2に記
載の発明において、前記有機繊維層を複数層形成し、巻
付け時の張力を外側の層ほど大きくする。請求項4に記
載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記
載の発明において、前記繊維強化プラスチック製パイプ
はプロペラシャフト用のパイプである。
【0011】請求項1に記載の発明では、フィラメント
ワインディング法によって繊維強化プラスチック製パイ
プを製造する際に、樹脂が含浸された繊維束がマンドレ
ルの軸方向に対する角度が45°以下の角度となるよう
にマンドレルに巻き付けられた繊維層を含む積層繊維層
が形成される。次に有機繊維が前記角度がほぼ90°に
近い状態で、マンドレルの端から順に巻き付けられた有
機繊維層が複数形成される。有機繊維の巻付け時には、
その張力が後の巻付け時の方が大きくなるように設定さ
れて巻き付けられる。有機繊維が端から順に巻き付けら
れることにより、繊維束に含浸された樹脂のうち余分な
樹脂が絞り出される。巻付けを強い張力で1回行う場合
は、1回の巻付け時にしみ出す樹脂の量が多くなり、し
み出した樹脂が有機繊維の巻付けに支障を来す場合があ
る。しかし、複数回に分けて順に巻付け時の張力を高め
ることにより、樹脂が徐々に絞り出されて巻付けが円滑
に行われる。その後、樹脂の硬化処理が行われる。
【0012】請求項2に記載の発明では、樹脂が含浸さ
れた繊維束がマンドレルの軸方向に対する角度が45°
以下の角度となるようにマンドレルに巻き付けられた繊
維層を含む積層繊維層が形成される。次に複数本の有機
繊維がマンドレルの長手方向に対する位置をずらした状
及び各有機繊維がマンドレルの周方向に位相がずれた
状態で、かつ前記角度がほぼ90°に近い状態で同時
に、マンドレルの端から順に巻き付けられて有機繊維層
が形成される。その後、樹脂の硬化処理が行われる。
【0013】請求項3に記載の発明では、請求項2に記
載の発明において、前記有機繊維層が複数層形成され
る。巻付け時の張力は外側の層ほど大きく設定される。
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいず
れか一項に記載の方法によってプロペラシャフト用のF
RP製パイプが製造される。
【0014】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、本発
明を具体化した第1の実施の形態を図1〜図3に従って
説明する。
【0015】先ず、フィラメントワインディングに使用
するフィラメントワインディング機(以下、FW機と称
す)について説明する。FW機1は図2に示すようにベ
ースプレート2上に一対の支持ブラケット3,4が配設
され、支持ブラケット3,4にはベースプレート2の長
手方向に延びる回転軸5,6が装備されている。回転軸
5,6の先端にはマンドレル7の軸7aを支持するチャ
ック8,9が設けられている。第1の支持ブラケット3
はベースプレート2に固定され、第2の支持ブラケット
4はベースプレート2の長手方向に沿って移動可能な支
持プレート10上に固定されている。支持プレート10
はシリンダ11の作動によりベースプレート2の長手方
向に移動される。
【0016】ベースプレート2上には正逆回転駆動可能
なモータ12が固定され、モータ12の駆動軸及び回転
軸5との間にベルト伝動機構13が設けられ、モータ1
2の駆動により回転軸5が所定の方向に回転されるよう
になっている。
【0017】ベースプレート2には支持プレート10に
対してモータ12と反対側に第1のアクチュエータ14
がベースプレート2の長手方向に沿って配設されてい
る。第1のアクチュエータ14にはボールネジを使用す
るとともに、ナットと一体移動可能な移動体を1軸方向
に移動させる構成の公知のものが使用されている。第1
のアクチュエータ14に装備された移動体14a上に
は、樹脂が含浸された繊維束Fを案内する繊維供給ヘッ
ド15を備えた第2のアクチュエータ16が配設されて
いる。
【0018】第2のアクチュエータ16は移動体14a
上に固定されたエアシリンダ17により上昇位置と基準
位置とに移動可能に配設されている。第2のアクチュエ
ータ16は基準位置では繊維供給ヘッド15がマンドレ
ル7の周面と直交する位置に保持され、上昇位置に配置
された状態では繊維供給ヘッド15がマンドレル7の周
面上部における接線方向に延びる位置に保持されるよう
になっている。第2のアクチュエータ16は繊維供給ヘ
ッド15をベースプレート2の長手方向と直交する方向
(前後方向)に移動させるように固定されている。
【0019】モータ12及び第1のアクチュエータ14
は制御装置Cにより同期した状態で駆動されるようにな
っている。そして、回転軸5の回転速度と、繊維供給ヘ
ッド15の移動速度を調整することにより、繊維供給ヘ
ッド15から繰り出される繊維束Fを、巻付け角度を任
意の角度に設定してマンドレル7上に巻き付けることが
できるようになっている。
【0020】ベースプレート2の側方、即ち第1のアク
チュエータ14に対してモータ12と反対側には樹脂槽
18及びボビン19が配置されている。ボビン19から
繰り出された繊維束Fに樹脂槽18で樹脂が含浸された
後、繊維供給ヘッド15に導かれるようになっている。
繊維束Fは目標とするVfより有る程度余分に樹脂を含
浸させた状態で繊維供給ヘッド15から引き出される。
【0021】マンドレル7は金属円筒で形成されたマン
ドレル本体7bの両端に軸7aが突設されるとともに、
マンドレル本体7bの両端部に規制リング20がマンド
レル本体7bと一体回転可能かつ着脱可能に固定されて
いる。規制リング20には周方向に沿って所定の等ピッ
チで規制部としてのピン21が突設されている。ピン2
1は金属製で、規制リング20に着脱可能に嵌合固定さ
れている。
【0022】次に前記のように構成されたFW機1を使
用してプロペラシャフトのシャフト本体を製造する製造
方法を説明する。先ず、両支持ブラケット3,4の距離
がシャフト本体に対応する所望の間隔となるように、支
持プレート10の位置を設定する。一度設定された状態
から両支持ブラケット3,4の距離を変更する場合、そ
の変更量が小さな場合はシリンダ11の作動により支持
プレート10を移動させる。変更量が大きな場合は支持
プレート10及びシリンダ11が載置されているプレー
トを移動させる。支持プレート10の位置設定が終了し
た後、両チャック8,9間にマンドレル7をセットす
る。また、第2のアクチュエータ16が基準位置に配置
された状態で、繊維供給ヘッド15の先端とマンドレル
7との距離が製造するシャフト本体に対応した所定の値
となるように、繊維供給ヘッド15の位置が設定され
る。次に繊維供給ヘッド15に連なる繊維束Fの先端を
規制リング20に固定することにより、製造準備が完了
する。このとき繊維供給ヘッド15は該規制リング20
と対応する位置に配置されている。
【0023】マンドレル7がセットされた状態でFW機
1が作動され、モータ12によりマンドレル7が一定方
向に回転され、第1のアクチュエータ14により繊維供
給ヘッド15がマンドレル7の長手方向に沿って往復移
動される。そして、ボビン19から順次繰り出されて樹
脂槽18で樹脂が含浸された繊維束Fが、繊維供給ヘッ
ド15を介してマンドレル7上に巻き付けられる。この
実施の形態では樹脂として熱硬化性樹脂(例えばエポキ
シ樹脂)が使用され、繊維束Fとして炭素繊維のロービ
ングが使用されている。
【0024】繊維束Fはピン21の間を通過した後、軸
7aに巻き掛けられて折り返すように配列され、マンド
レル7の両端に位置するピン21間におけるマンドレル
7の軸方向となす角度(巻付け角度)が所定の角度とな
るように巻き付けられて、マンドレル7上に繊維層が形
成される。巻付け角度は車両に組付けて使用される際に
要求される、曲げ、ねじり、振動等の特性を満足する所
定の値に設定される。この実施の形態では巻付け角度が
ほぼ±10°前後に設定されている。
【0025】マンドレル7上に巻き付けられた繊維層の
数が所定数となるまで繊維束Fが巻き付けられて積層繊
維層が形成されると、繊維束Fの巻付けが終了する。次
に有機繊維を前記積層繊維層の上に巻付け角度がほぼ9
0°に近い状態で巻き付けられる。有機繊維としては熱
収縮性を有する糸、例えばポリエステル糸が使用され
る。有機繊維の巻付けにはFW機1の繊維供給ヘッド1
5が利用され、図3に示すように、ボビン22から繰り
出されるポリエステル糸23が張力調整装置24を経て
繊維供給ヘッド15へ導かれる。また、有機繊維(ポリ
エステル糸23)の巻付け時には第2のアクチュエータ
16が上昇位置に配置され、ポリエステル糸23が積層
繊維層25の周面に対して接線方向に延びる状態で供給
される。なお、図3ではマンドレル6と両アクチュエー
タ14,16等の大きさの比率を図2と異なる状態で示
している。
【0026】なお、有機繊維の巻付け時に繊維供給ヘッ
ド15を利用せず、専用の糸供給ヘッドを使用してもよ
い。図1に示すように、ポリエステル糸23はマンドレ
ル7上に巻き付けられた積層繊維層25を締め込むよう
に、マンドレル7の端から順に巻き付けられる。ポリエ
ステル糸23が端から順に巻き付けられることにより、
繊維束Fに含浸された樹脂のうち余分な樹脂が絞り出さ
れるとともに繊維間に存在した空気が除去(脱泡)され
る。巻付けを強い張力で1回行う場合は、1回の巻付け
時にしみ出す樹脂の量が多くなり、しみ出した樹脂が有
機繊維の巻き付けに支障を来す場合がある。しかし、複
数回に分けて順に巻付け時の張力を高めることにより、
樹脂が徐々に絞り出されて巻付けが円滑に行われる。巻
付け回数は複数回で、この実施の形態では2回に設定さ
れている。また、巻付け時の張力は、後の巻付け時の方
が大きな張力となる状態に張力調整装置24によって設
定される。この実施の形態では、1回目の張力を1kg
/mm2 、2回目の張力を5kg/mm2 に設定した。
【0027】そして、ポリエステル糸23が所定層数巻
き付けられた後、マンドレル7がチャック8,9から取
り外される。次にピン21が規制リング20から取り外
され、成形体とともにマンドレル7が加熱炉に入れら
れ、所定温度で樹脂が硬化される。硬化温度は樹脂によ
り異なるが、例えばエポキシ樹脂の場合は180°C程
度である。加熱硬化によりFRP製の円筒体(パイプ)
が、マンドレル7上に形成される。冷却後、FRP製パ
イプの両端がピン21の抜き跡の列より内側において切
断された後、マンドレル7から規制リング20及びFR
P製パイプが取り外されて、所定寸法の長さのプロペラ
シャフトのシャフト本体が形成される。
【0028】その後、シャフト本体のヨーク挿入部の内
周面と、金属製のヨークの基端外周面に接着剤が塗布さ
れ、ヨークがヨーク挿入部に挿入される。そして、接着
剤が加熱硬化されることにより、ヨークがシャフト本体
に強固に固着されて、プロペラシャフトが完成する。
【0029】マンドレル7から取り外された規制リング
20には硬化後の円筒体の一部が嵌合されているが、硬
化前にピン21が取り外されているため、簡単に規制リ
ング20を硬化樹脂から取り外すことができる。そし
て、嵌合孔にピン21が嵌合されて規制リング20が再
使用される。
【0030】この実施の形態では以下の効果を有する。 (1) マンドレル7に所定の巻付け角度で巻き付けら
れた積層繊維層25の外側に、巻付け角度が90°に近
い状態でマンドレル7の端から順に有機繊維が巻き付け
られる。従って、繊維束Fに含浸された樹脂のうち余分
な樹脂が絞り出されて繊維束Fの間に存在する樹脂量が
少なくなり、高Vf化に寄与する。その結果、製造され
たFRP製パイプの静強度及び疲労強度が向上する。ま
た、無機繊維に比較して重量増加が少ない。
【0031】(2) 有機繊維の巻付けが複数回行わ
れ、後の巻付け時の方が有機繊維の巻付け張力が大きな
状態で行われるため、1回毎の有機繊維の巻付け時に樹
脂が多量にしみ出すことが回避され、巻付けに支障を来
すことが防止される。
【0032】(3) 巻付け回数が2回のため、必要最
小限の回数で繊維束Fから余分な樹脂を絞り出すことが
できる。(4) 1回毎の巻付け時には有機繊維の巻付
け張力が一定に保たれるため、円筒形を安定して製作す
ることができる。
【0033】(5) 有機繊維が巻き付けられるときの
積層繊維層25に対して作用する力がテープやフィルム
に比較して強くなり、効率よく余分な樹脂を絞り出すこ
とができるとともに、脱泡効果も高くなる。
【0034】(6) 有機繊維が積層繊維層25を押圧
する力が、テープやフィルムを使用した場合に比較して
強くなり、樹脂の含浸性が向上する。 (7) 有機繊維を一定張力で巻き付けているため、絞
り出された樹脂が有機繊維層の外側に均一な樹脂膜を形
成し、それによってFRP製パイプの耐衝撃性が高ま
る。
【0035】(8) FW機1の繊維供給ヘッド15及
びアクチュエータ14,16を利用して有機繊維の巻付
けが行われるため、有機繊維を巻き付けるための専用の
巻付け装置を準備しなくてもよい。
【0036】(9) 有機繊維の繊維層が、ピン21を
取り外した後、熱硬化完了までの間に繊維層の端部にお
ける繊維配列の乱れを防止するのに役立つ。 (10) 仮に製造すべきFRP製パイプに段部がある
場合でも、フィルムやテープによる締め付けと異なり、
積層繊維層25の締め付けが有機繊維によって良好に行
われる。
【0037】(第2の実施の形態)次に第2の実施の形
態を図4及び図5に従って説明する。この実施の形態で
は樹脂が含浸された繊維束Fによる積層繊維層25が形
成された後、複数本の有機繊維をマンドレル7に同時に
巻き付ける点と、有機繊維の層を1層とした点が前記実
施の形態と大きく異なっている。また、有機繊維の巻付
け時には複数本の繊維(糸)を供給できる構成の巻付け
装置を使用する点も異なっている。前記実施の形態と同
一部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0038】前記実施の形態と同様にしてマンドレル7
上に積層繊維層25が形成されると、マンドレル7がF
W機1から取り外されて別の巻付け装置にセットされ
る。図4に示すように、巻付け装置26は複数本のボビ
ン22と、複数の糸供給ヘッド27とを備えている。糸
供給ヘッド27は支持ブラケット28を介してアクチュ
エータ29の移動体29aに固定され、マンドレル7の
長手方向(図4における紙面と垂直方向)に沿って往復
移動される。ボビン22は図示しないモータにより回動
可能となっており、ボビン22を糸の巻き取り方向に回
動するトルクを変更することにより、糸の張力が調整可
能となっている。
【0039】そして、図5に示すように、ポリエステル
糸23がマンドレル7の長手方向に対する位置をずらし
た状態で、かつ巻付け角度が90°に近い状態で積層繊
維層25に同時に巻き付けられる。また、各ポリエステ
ル糸23はマンドレル7の周方向に位相がずれた状態、
即ち積層繊維層25に対する接触位置が周方向にずれた
状態で積層繊維層25に巻き付けられる。各ポリエステ
ル糸23はそれぞれ1本のポリエステル糸23を巻き付
ける場合のピッチの整数倍、より詳しくは使用するポリ
エステル糸23の本数倍のピッチで、マンドレル7の端
から順に巻き付けられて有機繊維層を形成する。
【0040】この実施の形態では第1の実施の形態の
(1),(2)及び(5)〜(10)の効果を有する他
に次の効果を有する。 (11) 複数本の有機繊維(ポリエステル糸23)が
同時に巻き付けられるため、1本のポリエステル糸23
で同じ巻付け繊維層を形成するのに比較して、巻付けに
要する時間を半分以下と大幅に短縮できる。
【0041】(12) 各ポリエステル糸23がマンド
レル7の周方向に位相がずれた状態で巻き付けられるた
め、周方向の位相が同じ状態で巻き付ける場合に比較し
て、糸供給ヘッド28の構成が簡単になるとともに、各
ポリエステル糸23同士が干渉するのを回避できる。ま
た、樹脂の絞り出し効果が大きくなる。
【0042】なお、実施の形態は前記に限定されるもの
ではなく、例えば、次のように具体化してもよい。 ○ 有機繊維による締め込みを行う場合、樹脂の粘度を
下げて流動性を良くするため、樹脂の硬化が進行しない
温度までヒータ等で加熱してもよい。この場合、樹脂を
絞り出す効果が向上する。
【0043】○ 第1の実施の形態のように、有機繊維
の巻付け層を複数層形成する場合に、第2の実施の形態
のように各層毎に複数本の有機繊維を同時に巻き付けて
もよい。この場合は、第1の実施の形態の(1)〜(1
0)の効果と、第2の実施の形態の(11)及び(1
2)の効果を有する。
【0044】○ 樹脂として熱硬化性樹脂に代えて紫外
線硬化樹脂を使用してもよい。 ○ ピン21を備えた規制リング20をマンドレル7に
着脱可能に取り付ける代わりに、ピン21をマンドレル
本体7bに形成された孔に嵌合する構成としてもよい。
【0045】○ 第1の実施の形態において有機繊維を
3回以上(3層以上)巻き付けてもよい。 ○ 第2の実施の形態において有機繊維の本数を2本と
したり、4本以上としてもよい。
【0046】○ 熱収縮性を有する繊維として、ナイロ
ン66繊維やナイロン6繊維を使用してもよい。 ○ マンドレル7に巻き付けられる繊維束Fの巻付け角
度の絶対値を全ての層で同じ角度にする必要はなく、層
毎に巻付け角度を変更してもよい。
【0047】○ マトリックス樹脂として、エポキシ樹
脂に限らず他の熱硬化性樹脂(例えば、ポリイミド樹
脂)や、曲げ弾性率の高い熱可塑性樹脂(例えばポリエ
ーテルエーテルケトン)等を使用してもよい。しかし、
プロペラシャフトを形成する場合は、コストや要求性能
の点からエポキシ樹脂が好ましい。
【0048】○ 車両のプロペラシャフト以外の駆動シ
ャフト用のパイプの製造に適用してもよい。使用回転速
度が遅い場合や、ねじり強度、耐熱性、耐湿性等の要求
性能が車両のプロペラシャフトに比較して低い場合に
は、強化繊維として炭素繊維にガラス繊維又はアラミド
繊維を混合したり、ガラス繊維又はアラミド繊維を単独
で使用してもよい。また、FRPを構成する繊維及びマ
トリックス樹脂の組合せとして、炭素繊維とビニルエス
テル樹脂、炭素繊維とフェノール樹脂等の組合せ等を採
用してもよい。この場合樹脂の価格がエポキシ樹脂より
安いのでコスト低減を図れる。
【0049】○ 駆動シャフトに限らず任意のFRP製
パイプの製造に適用してもよい。強化繊維としては、カ
ーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等がある。マト
リックスとしては、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬
化性樹脂がある。そして、要求特性に合うように適宜組
み合わせて使用される。前記強化繊維のうち、カーボン
繊維が強度及び軽量化の点で最も好ましく、次にガラス
繊維が良い。マトリックスとしては耐熱性、耐湿性の点
でエポキシ樹脂が最も好ましい。
【0050】○ マンドレル7に設けられる規制部は必
ずしもピン21に限らず、板状(フィン状)のものでも
よい。 ○ 繊維束の配列精度や製品の強度に対する要求程度が
低い成形体の場合は、繊維束を規制リング20の規制部
に巻き掛けた状態で折り返すように巻き付ける方法を採
用してもよい。
【0051】前記実施の形態から把握できる請求項記載
以外の発明(技術思想)について、以下にその効果とと
もに記載する。 (1) 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発
明において、前記有機繊維の巻付け時に樹脂の粘度を下
げるように加熱を行う。この場合、樹脂を絞り出す効果
が向上する。
【0052】(2) 請求項2又は請求項3に記載の発
明において、前記有機繊維の巻付け時に各有機繊維のマ
ンドレルの周方向の位相をずらした状態で巻付けを行
う。この場合、周方向の位相が同じ状態で巻き付ける場
合に比較して、糸供給ヘッドの構成が簡単になるととも
に、有機繊維同士が干渉するのを回避できる。また、樹
脂の絞り出し効果が大きくなる。
【0053】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜請求項
4に記載の発明によれば、高いVfのFRP製パイプを
製造することができる。また、有機繊維を一定張力で巻
き付けているため、絞り出された樹脂が有機繊維層の外
側に均一な樹脂膜を形成し、それによってFRP製パイ
プの耐衝撃性が高まる。
【0054】また、請求項1に記載の発明によれば、有
機繊維の巻付け時に樹脂が多量にしみ出すことが回避さ
れ、巻付けに支障を来すことが防止される。請求項2に
記載の発明によれば、1本の有機繊維で同じ巻付け繊維
層を形成するのに比較して、巻付けに要する時間を半分
以下と大幅に短縮できる。
【0055】請求項3に記載の発明によれば、1本の有
機繊維で同じ巻付け繊維層を形成するのに比較して、巻
付けに要する時間を半分以下と大幅に短縮できるととも
に、有機繊維の巻付けに支障を来すほど樹脂が多量にし
み出すことを防止できる。
【0056】請求項4に記載の発明によれば、プロペラ
シャフト用の高いVfのFRP製パイプを製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態の有機繊維の巻付け時の模
式斜視図。
【図2】 フィラメントワインディング装置の概略斜視
図。
【図3】 有機繊維の巻付け時の模式側面図。
【図4】 第2の実施の形態の有機繊維の巻付け時の模
式側面図。
【図5】 同じく有機繊維の巻付け時の模式斜視図。
【符号の説明】
7…マンドレル、7a…軸、23…有機繊維としてのポ
リエステル糸、25…積層繊維層、F…繊維束。
フロントページの続き (72)発明者 戸枝 稔 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式 会社 豊田自動織機製作所 内 (56)参考文献 特開 平8−290487(JP,A) 特公 昭60−41246(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 70/16

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィラメントワインディング法によって
    繊維強化プラスチック製パイプを製造する際に、樹脂が
    含浸された繊維束をマンドレルの軸方向に対する角度が
    45°以下の角度となるようにマンドレルに巻き付けら
    れた繊維層を含む積層繊維層を形成した後、有機繊維を
    前記角度がほぼ90°に近い状態でマンドレルの端から
    順に巻き付けた有機繊維層を複数、各有機繊維層を形成
    する際の巻付け張力を変えてかつ後の巻付け時の方が大
    きな張力となる状態で形成し、その後、樹脂の硬化処理
    を行う繊維強化プラスチック製パイプの製造方法。
  2. 【請求項2】 フィラメントワインディング法によって
    繊維強化プラスチック製パイプを製造する際に、樹脂が
    含浸された繊維束をマンドレルの軸方向に対する角度が
    45°以下の角度となるようにマンドレルに巻き付けら
    れた繊維層を含む積層繊維層を形成した後、複数本の有
    機繊維をマンドレルの長手方向に対する位置をずらした
    状態及び各有機繊維がマンドレルの周方向に位相がずれ
    た状態で、かつ前記角度がほぼ90°に近い状態で同時
    に、マンドレルの端から順に巻き付けて有機繊維層を形
    成し、その後、樹脂の硬化処理を行う繊維強化プラスチ
    ック製パイプの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記有機繊維層を複数層形成し、巻付け
    時の張力を外側の層ほど大きくする請求項2に記載の繊
    維強化プラスチック製パイプの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記繊維強化プラスチック製パイプはプ
    ロペラシャフト用のパイプである請求項1〜請求項3の
    いずれか一項に記載の繊維強化プラスチック製パイプの
    製造方法。
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