JPS6221620B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は繊維強化プラスチツク（以下FRPを
略記）円筒の製造方法及びその製造装置に関する
ものである。

FRP円筒の製造方法は、ガラス繊維、炭素繊
維、ボロン繊維、ケブラー繊維（デイポン社の商
品名）等の強化材の連続繊維にエポキシ樹脂、ポ
リエステル樹脂、フエノール樹脂、ポリイミド樹
脂、ポリアミドイミド樹脂等の樹脂を含浸させな
がら設計層構成になるようトラバースアイを作動
させ繊維束を金型に巻き付け、製品形状にした後
加熱硬化を行ない脱型するウエツトワインデイン
グ法と、予め繊維に樹脂を含浸させそれを加熱し
半硬化させるいわゆるプリプレグを形成し、その
プリプレグをウエツトワインデイング法と同様な
方法で金型に巻きつけ硬化、脱型を行なうドライ
トワインデイング法とがある。

両方法はフイラメントワインデイング法（以下
FW法と略記）と呼ばれており、第１，２図に示
す様に円筒形金型１の外周にアイ２を通して繊維
束３を軸方向に対し垂直な角度で巻きつけるフー
プ巻きと、軸方向に対し任意の角度（α）をもつ
て巻きつけるヘルカル巻きの２種類の巻き方があ
る。

後者のヘルカリ巻きの場合には、第２図に示す
トラバースアイ２のトラバース速度（Ｓ）を式
のように設定すれば（α）の巻き角度が得られ
る。

Ｓ＝πＤ／ｔａｎα …… Ｄ：金型の直径、α：巻角度 このヘルカル巻きを短時間で行なおうとすれ
ば、巻き付けスピードを上げるか、巻き付けテー
プ巾（繊維束３の巾）を広げるかすればよい。

しかしながら巻き付けスピードを上げるとウエ
ツトワインデイング法では、樹脂の含浸不良、繊
維切れ、樹脂の飛散等が発生しやすく、繊維の巻
き付けテンシヨンによる気泡のおい出しも不十分
になり、成形品内部に空隙ができやすくなる。

又ドライトワインデイング法では巻き付けスピ
ードを上げると繊維束が案内ロールに巻きつきや
すく、繊維束間のなじみも悪く巻き付け精度も悪
くなる。そのためあるスピード以上には巻き付け
スピードを上げることはできず、結局ヘルカル巻
きを短時間で行なうためにはテープ巾（繊維束の
巾）を広げる方法しかないと考えられる。すなわ
ちテープ巾をｎ倍にすれば1/n時間でヘルカリ巻
きが終了することになる。

一方前者のフープ巻きにおいてはヘルカル巻き
と同様な理由により巻き付けスピードを無制限に
は上げられず、フープ巻き一層の巻き付け時間に
は限度がある。又フープ巻きは、第１図に示すよ
うにテープ巾分トラバースしてつき合わせて巻き
つけていく場合には広巾化により角度が低下し、
テープ巾内においてはラツプして（重ねて）巻い
ていく場合には重なる部分の境目で繊維はみだれ
やすく、ゆるみや曲がりを生じ、均一な張力で巻
きつけることができないため、むやみにテープ巾
を広げることは不可能である。

すなわちフープ巻きは90゜巻きともいわれ、金
型の軸方向に対し90゜で巻かれていると一般的に
いわれているが、連続してフープ巻きを行なう場
合金型の１回転に対し、テープ巾分トラバースア
イが移動してつき合せして巻き付けていくのであ
るから例えば直径200mm金型にテープ巾5.0mmでフ
ープ巻きを行なう場合の巻き角度は89.54゜であ
り、テープ巾を10.0mmにすれば角度は89.09゜と
なる。

そのためフープ巻きに於いてはテープ巾をｎ倍
にして巻き付け時間を1/n時間にすることは巻き
角度が異なることになり、製品の周方向強度、周
方向弾性率が低下することになる。

本発明は、連続した多層のフープ巻き層を巻き
付けスピードを上げず又テープ巾を広げることな
く短時間に行なうことを可能としたものである。
即ち複数個の例えば２個のトラバースアイを設置
し、繊維束を通し、２つの繊維束が金型上で同時
に重なつて巻かれることによる繊維のみだれ、ゆ
るみ、曲がりを防止するため、２個のトラバース
アイを繊維束がかさならない程度にはなし、同一
方向にスタートさせるものであり、このようすれ
ばヘルカル巻きのテープ巾を２倍にしたのと同様
で巻き付け時間は約1/2になる。

以下に本発明の実施例を図面にて説明する。第
３図は一般的なウエツトワインデイング法の概要
図である。繊維ボビン４より供給された繊維束は
樹脂含浸槽５にて樹脂含浸され、トラバースアイ
２を通り金型１に巻き付けられる。このときトラ
バースアイの速度と金型回転数の設定条件により
フープ巻きとヘルカリ巻きが行われる。ドライト
ワインデイング法もウエツトワインデイング法と
ほぼ同様であり、プレプリグを用いるので樹脂含
浸槽がないだけである。

本発明は第３図の装置に１個のトラバースアイ
に代え複数のトラバースアイを設置する。その概
要を第４図に示す。即ち駆動用チエーン７により
駆動される１つのトラバースアイ駆動装置６に繊
維束がかさならない程度に位置をずらせて複数の
トラバースアイ２を設置しそれぞれのアイより繊
維束３をひきだし金型に巻き付ける装置である。

この場合、トラバースアイ間の位置のずれによ
り各々の繊維束は同一場所より巻きつけをスター
トできないため金型の端部はトラバースアイの位
置のづれ分だけ巻きつけ層数が少なくなる。した
がつてこの両端部の位置のずれ分だけ製品の有効
長から除く必要がある。

以上述べたような本発明の方法によれば、巻き
付け速度に限界のあるFW法に於いて連続た多層
のフープ巻き層を巻き付ける場合、巻き付け時間
の短縮が出来、樹脂含浸不良、繊維切れがなく、
ボイド含有率も少ないFRP円筒及びFRP容器等
の製造が可能となる。なお本発明は大量生産には
不適当とされているFW法に於いては非常に有効
な製造方法となる。

又本発明の装置は上記本発明の方法を直接具現
出来るものであり、複数のトラバースアイを同時
に駆動させることが出来る。

なお上記本発明の説明に於いてトラバースアイ
という語を用いたが、これはその他を含め同様な
機能を有するトラバース手段を意味するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はフープ巻き、第２図はヘルカリ巻きの
概要図を例示している。第３図はウエツトワイン
デイング法の概要図であり、第４図は本発明によ
る同一駆動装置に複数のトラバースアイを設置し
た装置の概要図を示している。 １……金型、２……トラバースアイ、３……繊
維束、４……繊維のボビン、５……樹脂含浸槽、
６……トラバースアイ駆動装置、７……トラバー
スアイ駆動用チエーン。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ フイラメントワインデイング法のフープ巻き
   に於いて、多層のフープ巻きを連続して行う場
   合、複数のトラバース手段から引き出される繊維
   束がかさならない程度にはなした複数のトラバー
   ス手段を設置し複数のトラバース手段より繊維束
   を引き出し金型上に巻き付けることを特徴とする
   繊維強化プラスチツク円筒の製造方法。 ２ フイラメントワインデイング法のフープ巻き
   に於いて、多層のフープ巻きを連続して行う場合
   複数のトラバース手段を設置し複数のトラバース
   手段より繊維束を引き出し金型上に巻き付けるこ
   とが出来るものであつて、少くともボビンと金型
   と複数のトラバース手段とを備え、上記複数のト
   ラバース手段は駆動手段により駆動される１つの
   トラバース手段駆動装置にトラバース手段より引
   き出される繊維束がかさならない程度に位置をず
   らせて設置されていることを特徴とする繊維強化
   プラスチツク円筒の製造装置。 ３ ボビンは繊維束が巻かれるものであつて、ボ
   ビンとトラバース手段の間に樹脂含浸槽を備える
   特許請求の範囲第２項記載の繊維強化プラスチツ
   ク円筒の製造装置。 ４ ボビンは樹脂を含浸させてそれを加熱し半硬
   化させた繊維束が巻かれるものである特許請求の
   範囲第２項記載の繊維強化プラスチツク円筒の製
   造装置。