JP2008082525A - プロペラシャフトおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い捩り強度、共振周波数仕様のプロペラシャフト用FRP筒体において、毛羽発生や糸切れ発生を防止し、設計通りの共振周波数、捩り強度を発現する層構成としたプロペラシャフトとその製造方法を提供する。
【解決手段】引張弾性率230〜280Gpaの強化繊維を含む層(a)と、引張弾性率280〜900Gpaで、かつ引張弾性率が前記層(a)の強化繊維の引張弾性率より少なくとも50Gpa高い強化繊維を含む層(b)を少なくとも含むFRP筒体に継手要素を結合したことを特徴とするプロペラシャフト。
【選択図】図2
【解決手段】引張弾性率230〜280Gpaの強化繊維を含む層(a)と、引張弾性率280〜900Gpaで、かつ引張弾性率が前記層(a)の強化繊維の引張弾性率より少なくとも50Gpa高い強化繊維を含む層(b)を少なくとも含むFRP筒体に継手要素を結合したことを特徴とするプロペラシャフト。
【選択図】図2
Description
本発明は、自動車等の駆動力伝達軸として使用されるFRP製プロペラシャフト(推進軸)およびその製造方法に関する。
最近、各種産業分野でFRP(繊維強化プラスチック)筒体の実用化が進んでいる。
たとえば近年、燃費の向上や環境保全といった観点から自動車の軽量化が強く望まれているが、それを達成する一手段として、プロペラシャフトのFRP化が検討され、一部で既に採用されるに至っている。その際、使用する強化繊維にも種々あり、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等が検討されているが、この中で特に、強度、弾性率の面からプロペラシャフトの筒体を炭素繊維を強化繊維とするCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製筒体が有力とされ、主にフィラメントワインディング法によって形成されている。
自動車のプロペラシャフトは、軸方向の弾性率とともに、エンジンから発生する大きなトルクを伝達する必要があることから、1000〜4000Nm程度の捩り強度を必要とする。また、高速回転時時に共振を起こさないよう、危険回転数が5000〜15000rpm程度であることも要求される。これまでのCFRP製プロペラシャフト、特にその本体筒部は、必要なトルクを伝達し、高い共振周波数を得るためのヘリカル層の積層角度とその積層構成、シャフトのサイズ(内径、外径、肉厚)、使用する強化繊維の種類、繊維の含有率等をパラメータとして設計されている(例えば、特許文献1参照)。
FRP筒体において、高い共振周波数特性、曲げ剛性を得るためには、炭素繊維の中でも高弾性率グレード炭素繊維を使用してヘリカル層の積層角度を0〜20°のような低角度にしなければならないが、低角度に積層すると捩り強度が低くなってしまう。共振周波数、曲げ剛性と捩り強度の関係は積層設計上、相反する特性とならざるを得ず、使用する強化繊維の種類や積層構成を決定することは極めて重要である。
端部に金属製継手等を圧入接合して使用されるプロペラシャフト用FRP筒体は、通常図1に示すように、例えば、樹脂含浸強化繊維をマンドレル11上に巻いていくフィラメントワインディング法によって形成され、FRP本体筒12を形成する部分が主として強化繊維の螺旋巻き層(例えば、筒軸方向に対して強化繊維を5°〜60°の角度で配列した層(なお、角度表示は請求項部分も含め筒軸方向に対する絶対値で表すものとする。)とフープ巻層で構成されるが、このFRP筒体には次のような問題があった。
近年、エンジンの高回転化に伴い高共振周波数特性が要求され、かつシャフトの小径化のニーズも高まっている。この場合、小径のシャフトで高共振周波数を達成するには、FRP筒体の曲げ剛性を極力強くし、さらに所定の捩り強度を確保することが必要であるが、使用する強化繊維に高弾性率グレード炭素繊維(例えば、引張弾性率281〜900Gpa)だけを選定すると、捩り強度の確保が困難であるとともに、高弾性率グレード炭素繊維は価格が高価なことからFRP筒体自体の価格も高くなってしまう。また、フィラメントワインディング法のような炭素繊維に樹脂を含浸させる連続成形ではその工程に多くの回転ガイドを使用しなければならず、その結果、高弾性率グレード炭素繊維使用時の場合、大量に毛羽が発生し、その影響で捩り強度の発現率(設計値に対する実力値の割合)も大幅に低下させてしまう。
次に、標準あるいは中弾性率グレード(例えば、引張弾性率230〜280Gpa)のいわゆる高強度タイプの炭素繊維を選定してFRP筒体を成形する場合、フィラメントワインディング法で大量の毛羽は発生せず、価格も高弾性率グレード炭素繊維よりも安価であるが、高共振周波数(高い曲げ剛性)を達成するために積層角度を低角度(例えば0〜30°)にする必要があり、その結果捩り強度の確保が困難となる。
特開平2−236014号公報
本発明の課題は、上記のような従来の問題点に着目し、毛羽発生や糸切れ発生を防止し、小径のシャフトであっても共振周波数特性が高く(曲げ剛性の高い)、所定の捩り強度を確保し、かつ要求される性能に応じて最適な積層構成と強化繊維と成形方法を選定することにより価格の高騰を抑えたFRP筒体を用いたプロペラシャフトおよびその製造方法を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するため以下の構成を採用する。すなわち、
(1)引張弾性率230〜280Gpaの強化繊維を含む層(a)と、引張弾性率280〜900Gpaで、かつ引張弾性率が前記(a)層の強化繊維の引張弾性率より少なくとも50Gpa高い強化繊維を含む層(b)を少なくとも含むFRP筒体に継手要素を結合したことを特徴とするプロペラシャフト。
(1)引張弾性率230〜280Gpaの強化繊維を含む層(a)と、引張弾性率280〜900Gpaで、かつ引張弾性率が前記(a)層の強化繊維の引張弾性率より少なくとも50Gpa高い強化繊維を含む層(b)を少なくとも含むFRP筒体に継手要素を結合したことを特徴とするプロペラシャフト。
(2)前記層(a)の厚みが0.1〜3mmであり、層(b)の厚みが0.1〜3mmであり、かつ総厚みが1.5〜5mmである前記(1)に記載のプロペラシャフト。
(3)前記層(a)が、筒軸方向に対し5°〜60°の螺旋巻の層(a1)と筒軸方向に対し75°〜90°の周方向巻の層(a2)で構成されるとともに、前記層(b)が、筒軸方向に対して少なくとも0°、45°、90°のいずれかの層で構成されている前記(1)または(2)に記載のプロペラシャフト。
(4)前記FRP筒体の少なくとも一方の筒軸方向端部の表層側および/または内層側に筒軸方向に対しで75°〜90°の周方向巻補強層(c)が設けられている前記(1)〜(3)のいずれかに記載のプロペラシャフト。
(5)引張弾性率230〜280Gpaの強化繊維を含む層(a)と、引張弾性率280〜900Gpaで、かつ引張弾性率が前記層(a)の強化繊維の引張弾性率より少なくとも50Gpa高い強化繊維を含む層(b)を少なくとも含むFRP筒体に継手要素を結合してなるプロペラシャフトの製造方法であって、前記FRP筒体を、層(a)をフィラメントワインディング法で成形し、層(b)をシートワインディング法で成形するプロペラシャフトの製造方法。
本発明に係るプロペラシャフトおよびその製造方法によれば、毛羽発生や糸切れ発生を防止し、小径のシャフトであっても所定の捩り強度を確保し、かつ共振周波数特性の高い(曲げ剛性の高い)FRP筒体よりなるプロペラシャフトを得ることができる。また、かかるプロペラシャフトを価格の高騰を抑えて生産することができる。
本発明者らは前記した課題に対し、使用強化繊維と積層角度と成形法の最適な組み合わせについて検討したところ、本発明に至ったものである。
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
前記したように、本発明のプロペラシャフトは、FRP筒体を用いるものである。このFRP筒体は、引張弾性率230〜280Gpaの強化繊維を含む層(a)と、引張弾性率280〜900Gpaで、かつ引張弾性率が前記層(a)の強化繊維の引張弾性率より少なくとも50Gpa高い強化繊維を含む層(b)を少なくとも含む総FRP筒体よりなるものである。さらに、上記のFRP筒体に継手要素を結合されている。
前記層(a)において、引張弾性率230〜280Gpaの強化繊維を含む層を含むことにより、その強化繊維は高強度タイプでもあることから、高い捩り強度を発現することができ、かつ価格の高騰を抑えることができる。層(a)の引張弾性率が230Gpaより小さい場合は、層(b)に引張弾性率が900Gpaの強化繊維を使用してもプロペラシャフトに必要な曲げ剛性を確保できなくなる可能性があり、価格も高くなってしまう。また、層(a)の引張弾性率が280Gpaより大きい場合は、捩り強度の確保が困難になる可能性がでてくる。
また、引張弾性率280〜900Gpaで、かつ引張弾性率が前記層(a)の強化繊維の引張弾性率より少なくとも50Gpa高い強化繊維を含む層(b)を含むことにより、高い曲げ剛性(危険回転数)を発現することができ、FRP筒体全体として効率よくプロペラシャフトに要求される物性を発現することができる。層(b)はその役割としてプロペラシャフトに必要な曲げ剛性を確保をするための層であり、引張弾性率が280Gpaより低くなると曲げ剛性の確保ができなくなる可能性がある。引張弾性率が900Gpaより高くなると、強化繊維の価格が大幅に高くなることからプロペラシャフトの価格の高騰を抑えることができなくなってしまう。層(b)の強化繊維の引張弾性率が層(a)の引張弾性率より50Gpa高くないと筒体の層(a)と層(b)の曲げ剛性がほぼ同等となる状態も考えられ、筒体を層(a)、(b)の2層構成にする意味がなくなってしまう。なお、層(b)の強化繊維の引張弾性率は層(a)の引張弾性率より300Gpa程度以下であることが好ましい。強化繊維も引張弾性率が600Gpaを越えると価格が大幅に高騰する傾向にあり、プロペラシャフトに必要な曲げ剛性を適正な価格で提供できなくなる可能性があるからである。
前記層(a)の厚みは0.1〜3mmであることが好ましく、層(b)の厚みは0.1〜3mmであることが好ましく、さらに総厚みは1.5〜5mmであることが好ましい。層(a)の厚みに関しては、厚みが0.1mmより薄くなると筒体に占める層(a)の比率が小さくなるので効果的に捩り強度を高く設計することができなくなり、さらに、価格の高騰を抑えることができなくなる可能性がある。また、3mmより厚くなると、層(a)の比率が高くなるので、効果的に曲げ剛性を高く設計することができなくなる可能性がある。層(b)の厚みに関しては、厚みが0.1mmより薄くなると筒体に占める層(b)の比率が小さくなるので効果的に曲げ剛性を高く設計することができなくなる可能性がある。また、3mmより厚くなると層(b)の比率が高くなるので、効果的に捩り強度を高く設計することができなくなり、また、価格の高騰を抑えることができなくなる可能性がある。総厚みに関して言えば、総厚みが1.5mmより小さくなると飛び石衝撃のような外からの衝撃に対して厚み方向の層間剥離が発生しやすくなり強度低下の原因となる。また、中央部の厚みが5mmより大きくなると強度仕様に対して過剰な性能を有するだけで材料投入増加に伴う軽量化のメリットが小さくなるとともにコストアップの要因となってしまう。
また、このFRP筒体の繊維体積含有率は軽量化、含浸性および物性発現率を考慮して50〜70%が好ましい。
このような構成とした本発明のプロペラシャフトは、効果的にFRP円筒体の共振周波数を高くするとともに、十分な捩り強度を有するFRP筒体を提供することができ、かつ価格の高騰を抑えることができる。
また、本発明のプロペラシャフトは、前記層(a)が、筒軸方向に対し5°〜60°の螺旋巻の層(a1)と筒軸方向に対し75°〜90°の周方向巻の層(a2)で構成されるとともに、前記層(b)が、筒軸方向に対して少なくとも0°、45°、90°のいずれかの層で構成されていることが好ましい。層(a1)において、筒軸方向に対して5°より小さい螺旋巻となると捩り強度の確保が難しくなるとともに、フィラメントワインディング法で成形した場合、その成形上の性格からマンドレル半径方向に対して強化繊維に張力が負荷されにくい状態になるので筒体の品質が悪化する傾向にある。また、筒軸方向に対して60°を越える螺旋巻にしても螺旋巻角度と筒体捩り強度の関係から、筒体の捩り強度を高くする効果は期待できないし、逆に低下傾向にある。層(a2)に関しては、75°より小さい周方向巻となると外部から荷重が負荷された場合、破壊が起こりやすくなる。また、高い共振周波数を達成するために、層(b)は筒軸方向に対して0°の層だけで構成されていることがさらに好ましい。
このような構成としたプロペラシャフトは、強化繊維の引張弾性率の特徴を考慮して筒軸方向に対する巻き角度と使用する強化繊維を最適に組み合わせているので、FRP筒体に要求される共振周波数、捩り強度、剛性、円環強度等の性能を設計上最大限に発揮させるとともに、価格の高騰を抑えることができるのである。
また、本発明のプロペラシャフトは、前記FRP筒体の少なくとも一方の筒軸方向端部の表層側および/または内層側に筒軸方向に対しで75°〜90°の周方向巻補強層(c)が設けられているものであることが好ましい。
このような構成としたプロペラシャフトは、FRP筒体端部に金属製継手要素を圧入接合する場合、FRP筒体端部の強度と金属継ぎ手要素の接合強度(スリップトルク)を確保するために上記の角度範囲とすることが好ましいものであり、75°よりも小さくなるとFRP筒体端部が金属継ぎ手要素を圧入接合する際、破壊しやすくなるとともに、金属製継ぎ手の接合強度(スリップトルク)の確保が難しくなる。
また、本発明のプロペラシャフトの製造方法は、引張弾性率230〜280Gpaの強化繊維を含む層(a)と、引張弾性率280〜900Gpaで、かつ引張弾性率が前記(a)層の強化繊維の引張弾性率より少なくとも50Gpa高い強化繊維を含む層(b)を少なくとも含むFRP筒体に継手要素を結合してなるプロペラシャフトの製造方法であって、前記FRP筒体を、層(a)をフィラメントワインディング法で成形し、層(b)をシートワインディング法で成形することを特徴とするものである。
前記層(a)の強化繊維はその性格上剪断強度が高いため、成形時の糸切れや毛羽発生が少なく連続成形に向いている。連続成形は成形コストの高騰を抑えることが可能であるため、層(a)にフィラメントワインディング法を選定した。前記層(b)の強化繊維は引張弾性率が高いために剪断強度を低くせざるを得ず、フィラメントワインディング法のような連続成形では糸切れが頻発し、毛羽が大量に発生する。そこで、強化繊維に樹脂をあらかじめ含浸させたプリプレグシートを使用するシートワインディング法を層(b)に選定し、糸切れや、毛羽発生を防止するようにした。
前記したように、層(a)の厚みは0.1〜3mmであることが好ましく、層(b)の厚みは0.1〜3mmであることが好ましく、さらに総厚みは1.5〜5mmであることが好ましい。
この構成としたプロペラシャフトの製造方法は、強化繊維の物性面および成形性面における特徴を効率よく最適に選択しているので、FRP筒体に要求される共振周波数、捩り強度、剛性等の性能を設計上最大限に発揮させ、さらに成形上、毛羽および糸切れの発生を防ぐことにより発現率(設計値に対する実力値の割合)も高くすることができる。また、これらのことよりFRP筒体の価格の高騰を抑えることができるのである。
以下さらに、本発明に係るプロペラシャフトおよびその製造方法の望ましい実施形態を、主として車両用のプロペラシャフトに本発明を適用した場合について、図面を参照しながら説明する。
図2は本発明の一実施態様に係るFRP筒体を示しており、図1に示したようなマンドレル11上にFRP筒体を製造するに際し、本発明を適用したもので、特にFRP製プロペラシャフトを製造する場合を示したものである。図2において、図1に示したようなマンドレル11上にFRP製の筒状体を形成していく際に、FRP筒体の層構成を示したものである。FRP筒体は2層構造を有するように成形され、その内層側に(b)引張弾性率280〜900Gpaで後記外層側(a)の引張弾性率より少なくとも50Gpa高い炭素繊維を、外層側に(a)引張弾性率230〜280Gpaの炭素繊維が配されている。
前記内層側の層(b)はシートワインディング法により、筒軸方向に対して少なくとも0°、45°、90°のいずれかの層が適宜配置され、前記外層側の層(a)はフィラメントワインディング法により螺旋巻きの角度である筒軸方向に対し5°〜60°と周方向巻き角度である筒軸方向に対しで75°〜90°が適宜配置されている。
さらに、そのFRP筒体端部に図3に示すように金属製継手が圧入され、図4に示すようなプロペラシャフトとされる。
本発明において、FRP層は、補強繊維とマトリックス樹脂からなる。補強繊維としては、炭素繊維、ボロン繊維などを例示できるが、成形品となした場合に、特に優れた機械的特性を示すポリアクリロニトリル系やピッチ系などの炭素繊維を用いることが好ましい。なお、これらの補強繊維は、異なる種類のものを併用することができる。また、同じ種類のものであっても、特性の異なるものを併用することができる。
また、マトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、その他の熱硬化性樹脂を使用することができる。なかでも、耐熱性、耐水性、接着性に優れたエポキシ樹脂を用いることが好ましい。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂などを使用することができる。これらのエポキシ樹脂は、単独または2種類以上を併用して使用することができ、さらには液状のものから固体状のものまで使用することができる。通常、エポキシ樹脂には硬化剤を加えて用いられる。
実施例1
次に、上記実施形態の項で説明した本発明の構成要件を満足するFRP筒体における効果を確認するために成形性、共振周波数の評価を実施した。以下にこれらについて詳細に説明する。
次に、上記実施形態の項で説明した本発明の構成要件を満足するFRP筒体における効果を確認するために成形性、共振周波数の評価を実施した。以下にこれらについて詳細に説明する。
なお、本発明において、引張弾性率 は、JISR 7601−1986に従って測定されるストランドの引張弾性率であり、メーカーカタログ記載の値を使用する。
試験評価に使用したプロペラシャフト用FRP筒体はフィラメントワインディング法+シートワインディング法により製造した。繊維として炭素繊維束(東レ(株)製“トレカ(登録商標)”T700、24000フィラメント、強度4900MPa、弾性率230GPa、破断伸度2.1%)と一方向プリプレグシート(東レ(株)製“トレカ(登録商標)”プリプレグP6052F 繊維目付:116g/m2、繊維含有率:67重量%、CF引張弾性率:436GPa)、フィラメントワインディング成形用樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた。また、製造に使用したマンドレルは、外径(すなわち、FRP筒体の内径)がφ60mm、全長2000mmのものを用い、FRP筒体2本(製品長900mm)を1本のマンドレルから取るようにした。
まず、マンドレル面長部全体に渡ってトレカプリプレグをシートワインディング法にて成形する。この時の巻角度を0°の単一角度とし、厚み約2.0mmとして成形した。
次に、その上からエポキシ樹脂を含浸させたロービング(炭素繊維を複数本引き揃えた束)を、マンドレル面長部全体に渡ってFRP本体筒に相当する螺旋巻き層を連続でフィラメントワインディング法にて成形した。この時、螺旋巻きの巻角度を±45°とし、厚み約1.0mmとして成形した。さらに接合部に相当する箇所に周方向巻層を所定の肉厚分を成形した。
次に、所定の温度条件にて加熱炉でエポキシ樹脂の硬化を行い、その後、マンドレルから成形品を脱芯した。脱芯後、所定のプロペラシャフト用FRP筒体2本を得るために、切断部で切断した。
このようにして得られたFRP筒体は、強化繊維の物性面および成形性面における特徴を効率よく最適に選択しているので、共振周波数、捩り強度、剛性等の性能を満足するとともに、成形時の糸切れ、毛羽発生トラブルを解消することが出来ことができた。その結果、捩り強度3000Nmで、端部に金属製継手を取り付けた状態で両端ピン支持した場合の共振周波数が250Hzというほぼ設計値通りの高い値を発現することができた。
また、強化繊維の引張弾性率の特徴を考慮して、所要厚み、筒軸方向に対する巻き角度と使用する強化繊維と成形法を最適に組み合わせているのでFRP筒体の価格の高騰を抑えることができた。
比較例1
上記実施例1のような共振周波数、捩り強度仕様が高い場合、従来、例えば高弾性率炭素繊維M46Jや標準弾性率炭素繊維T700を使用してプロペラシャフト用FRP筒体をフィラメントワインディング法で成形していたが、M46Jを使用した場合、その成形中、毛羽が大量に発生し、糸切れも頻繁に発生するため成形体の物性発現率が低くなってしまう。T700を使用した場合は、共振周波数を高くするため、筒軸方向に対し0°のような低角度を選択しなければならず、そうなると高い捩り強度を確保することが困難になる。
上記実施例1のような共振周波数、捩り強度仕様が高い場合、従来、例えば高弾性率炭素繊維M46Jや標準弾性率炭素繊維T700を使用してプロペラシャフト用FRP筒体をフィラメントワインディング法で成形していたが、M46Jを使用した場合、その成形中、毛羽が大量に発生し、糸切れも頻繁に発生するため成形体の物性発現率が低くなってしまう。T700を使用した場合は、共振周波数を高くするため、筒軸方向に対し0°のような低角度を選択しなければならず、そうなると高い捩り強度を確保することが困難になる。
以上のことから、成形上の発現率の低さの面からも、設計上の面からも捩り強度3000Nm、共振周波数250Hzという高い特性を有したFRP筒体を成形時に毛羽、糸切れ発生等のトラブル無く提供することは極めて困難であった。
以上の結果から、捩り強度、共振周波数仕様が高いプロペラシャフト用FRP筒体を成形トラブルなく得る場合、そのFRP筒体を引張弾性率230〜280Gpaの強化繊維を含む厚みが0.1〜3mmである層(a)と、引張弾性率280〜900Gpa、かつ、引張弾性率が前記層(a)の強化繊維の引張弾性率より少なくとも50Gpa高い強化繊維を含む厚みが0.1〜3mmである層(b)で構成し、層(a)をフィラメントワインディング法で成形し、層(b)をシートワインディング法で成形することで実現することを確認できた。
本発明に係るFRP筒体およびその製造方法は、とくにFRP製プロペラシャフトに好適なものである。
11:マンドレル
12:FRP本体筒
13:所定長に切断するための切断部
21:層(a)
22:層(b)
23:周方向巻補強層
31:金属製継手
32:周方向巻補強層
33:FRP筒体
41:金属製継手
42:FRP筒体
43:周方向巻補強層
12:FRP本体筒
13:所定長に切断するための切断部
21:層(a)
22:層(b)
23:周方向巻補強層
31:金属製継手
32:周方向巻補強層
33:FRP筒体
41:金属製継手
42:FRP筒体
43:周方向巻補強層
Claims (5)
- 引張弾性率230〜280Gpaの強化繊維を含む層(a)と、引張弾性率280〜900Gpaで、かつ引張弾性率が前記層(a)の強化繊維の引張弾性率より少なくとも50Gpa高い強化繊維を含む層(b)を少なくとも含むFRP筒体に継手要素を結合したことを特徴とするプロペラシャフト。
- 前記層(a)の厚みが0.1〜3mmであり、層(b)の厚みが0.1〜3mmであり、かつ総厚みが1.5〜5mmである請求項1に記載のプロペラシャフト。
- 前記層(a)が、筒軸方向に対し5°〜60°の螺旋巻の層(a1)と筒軸方向に対し75°〜90°の周方向巻の層(a2)で構成されるとともに、前記層(b)が、筒軸方向に対して少なくとも0°、45°、90°のいずれかの層で構成されている請求項1または2に記載のプロペラシャフト。
- 前記FRP筒体の少なくとも一方の筒軸方向端部の表層側および/または内層側に筒軸方向に対しで75°〜90°の周方向巻補強層(c)が設けられている請求項1〜3のいずれかに記載のプロペラシャフト。
- 引張弾性率230〜280Gpaの強化繊維を含む層(a)と、引張弾性率280〜900Gpaで、かつ引張弾性率が前記層(a)の強化繊維の引張弾性率より少なくとも50Gpa高い強化繊維を含む層(b)を少なくとも含むFRP筒体に継手要素を結合してなるプロペラシャフトの製造方法であって、前記FRP筒体を、層(a)をフィラメントワインディング法で成形し、層(b)をシートワインディング法で成形するプロペラシャフトの製造方法。
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JP2016153671A (ja) * | 2015-02-20 | 2016-08-25 | 東レ株式会社 | プロペラシャフト |
JP2018035927A (ja) * | 2016-09-02 | 2018-03-08 | 三菱ケミカル株式会社 | 自動車用の動力伝達軸 |
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JP2018035927A (ja) * | 2016-09-02 | 2018-03-08 | 三菱ケミカル株式会社 | 自動車用の動力伝達軸 |
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