JP5987279B2 - 圧力容器 - Google Patents

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本発明は、円筒状の胴部とこの胴部の開口側に連続するドーム状の鏡板部とを有する圧力容器に関する。
圧力容器を例えば自動車に燃料タンクとして搭載する場合には、金属に代えて樹脂を使用することで軽量化が達成され、燃費向上に寄与することができる。このような樹脂を使用した圧力容器としては、円筒状の胴部とこの胴部の両端を塞ぐドーム状の鏡板部とを備えた樹脂本体部の外周に、樹脂を含浸させた連続繊維を巻き付けて繊維強化樹脂層を形成したものが知られている(下記特許文献1参照)。
この繊維強化樹脂層は、繊維強化材を胴部及び鏡板部に連続的にらせん状に巻回してヘリカル層を形成している。このほか、繊維強化材を胴部に対して周方向に巻回してフープ層を形成する場合もある。
特開2004−245348号公報
ところで、上記の特許文献1に記載された圧力容器は、ガス充填時での胴部における軸方向の応力Aと、周方向の応力Bとの比A/Bが、0.7〜0.95の範囲となるようにしている。
ところが、この場合、軸方向の応力Aと周方向の応力Bとの比A/Bが、0.7〜0.95であることから、比較的1に近い範囲であるといえる。このため、繊維強化材の削減のためフープ層の繊維強化材を減らして、周方向の応力(ひずみ)Bをより大きな値まで許容しようとすると、それに伴ないヘリカル層の繊維強化材も減って軸方向の応力(ひずみ)Aもより大きくなる傾向となる。
軸方向の応力(ひずみ)Aがより大きくなると、胴部に巻かれた繊維強化材の軸方向に対して交差する方向となっている部位が破断しやすくなり、圧力容器としての耐久性低下を招く。特に、胴部におけるフープ層の繊維強化材にとってみれば、軸方向は繊維方向に対して直交する方向であり、この繊維方向に直交する方向は、繊維方向に比較して強度が低く、軸方向の応力によってフープ層の繊維は繊維直角方向で破断しやすくなる。
そこで、本発明は、胴部における繊維強化樹脂層を破断しにくくして、圧力容器の耐久性を高めることを目的としている。
本発明は、ガス充填時での軸方向に発生する容器の軸方向発生ひずみを、この軸方向発生ひずみによって胴部のフープ層の繊維強化材が繊維直角方向に破断するときの破断ひずみより小さくすることを特徴とする。
前記繊維強化材で構成した外層部は、繊維強化材を前記容器本体の胴部の周方向に沿って巻回してあるフープ層と、前記容器本体の軸線に対して傾斜するように容器本体の胴部及び鏡板部にらせん状に巻回してあるヘリカル層とを有し、前記フープ層には、前記ヘリカル層より低弾性率の繊維を用いる。
本発明によれば、容器の軸方向にひずみが発生した際に、胴部の軸方向に対して交差する方向に巻回してあるフープ層の繊維強化材の繊維直角方向の破断を抑制して圧力容器の耐久性を高めることができる。
フープ層に低弾性率の繊維を使用することで、フープ層及びヘリカル層のすべてに高弾性率の繊維を使用した場合に比較して、圧力容器の周方向発生ひずみを増大させることができる。これにより、圧力容器の周方向発生ひずみBに対して圧力容器の軸方向発生ひずみAをより小さい値に設定でき、A/Bの値を、繊維量が少なくなるように設定しやすくなる。
本発明の一実施形態に係わる圧力容器の断面図である。 (a)は図1の圧力容器における軸方向発生ひずみとフープ層の繊維直角方向の破断ひずみとの関係を示す圧力容器の模式的な外観図、(b)は図1の圧力容器における周方向発生ひずみとヘリカル層の繊維直角方向の破断ひずみとの関係を示すフープ層を省略した圧力容器の模式的な外観図である。 圧力容器の軸方向発生ひずみAと圧力容器の周方向発生ひずみBとの比に対する繊維量を示すグラフである。 フープ層にヘリカル層よりも低弾性率の繊維を使用する場合の具体例を(a)、(b)、(c)の3例示した高圧容器の簡素化した断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係わる圧力容器1は、容器本体となる内殻3と、この内殻3の外周側を覆うようにして設けた外層部である外殻5と、を備えている。内殻3は、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)などの樹脂製であってガスバリア性を有している。一方、外殻5は、例えばFRPなどの繊維強化材で構成することができ、補強層として機能する。
また、圧力容器1は、円筒形状の胴部Dと、胴部Dの軸方向(図1中で左右方向)両側に位置して胴部Dの開口側に連続する鏡板部E、Fとを有し、図1中で左に位置する一方の鏡板部Eの軸心部には、口金7を設けている。この口金7は、鏡板部Eの内殻3の軸心部に形成してある貫通孔3aに挿入される円筒部7aと、円筒部7aの圧力容器1内の端部に位置して内殻3の内面に沿って拡がるフランジ部7bとを備えている。口金7には、圧力容器1の内部と外部とを連通する貫通孔7cを形成してあり、図示しないガス供給用のノズルが取り付けられる。
一方、図1中で右側に位置する他方の鏡板部Fの軸心部には、ボス9を設けている。このボス9は、上記した口金7に設けてあるような貫通孔はなく、圧力容器1の内部と外部とを連通していない。ボス9は、内殻3の軸心部に形成されている貫通孔3bに挿入される円柱部9aと、円柱部9aの圧力容器1内の端部に位置して内殻3の内面に沿って拡がるフランジ部9bとを備えている。
これらの口金7及びボス9は、内殻3をブロー成形などにより製造する際の成形作業時で内殻3に一体化する。
そして、この口金7及びボス9を一体成形した状態の内殻3に対し、例えばフィラメントワインディング法により外殻5を形成する。フィラメントワインディング法としては、胴部D及び鏡板部E,Fの全体に対してヘリカル(螺旋)巻きを実施してヘリカル層11を形成するとともに、胴部Aについてはさらにフープ(円周)巻きを実施してフープ層13を形成する。
この際、本実施形態では、圧力容器1の図2(a)中で左右方向に対応する軸方向に発生する軸方向発生ひずみAを、この軸方向発生ひずみによりフープ層13の繊維に対してほぼ90度の角度で交差する方向の応力が作用してフープ層13の繊維強化材が繊維直角方向に破断するときの破断ひずみC1より小さくしている(圧力容器1の軸方向発生ひずみA<フープ層13の繊維直角方向の破断ひずみC1)。
なお、上記した圧力容器1の軸方向発生ひずみAは、圧力容器1内に水素ガスなどの流体を充填したときの圧力容器1の軸方向に発生する最大ひずみであり、このひずみ発生時での圧力容器1に作用する応力に対応している。一方、フープ層13の繊維直角方向の破断ひずみC1は、圧力容器1内に水素ガスなどの流体を充填したときに、フープ層13の繊維強化材が繊維直角方向に破断するときの圧力容器1の軸方向に発生するひずみである。すなわち、このフープ層13の繊維直角方向の破断ひずみC1は、繊維強化材における繊維方向に対しほぼ90度の角度で交差する方向に応力が作用して繊維強化材が破断するときのひずみである。この破断ひずみは、繊維強化材を構成する繊維、繊維表面処理剤およびマトリックス樹脂によって決定される。
したがって、圧力容器1の軸方向発生ひずみA<フープ層13の繊維直角方向の破断ひずみC1、とすることで、上記した最大ひずみが発生しても、フープ層13の繊維強化材の繊維直角方向の破断は抑制され、圧力容器1の耐久性を高めることができる。その結果、フープ層13で使用する繊維量を、圧力容器1の耐久性をより高めるために増加させる必要がなく、圧力容器1の重量増やコスト増を抑制することができる。
また、このとき、図2(b)で示す圧力容器1の周方向に発生する周方向発生ひずみBを、この周方向発生ひずみによりヘリカル層11の繊維に対してほぼ90度の角度で交差する方向の応力が作用してヘリカル層11の繊維強化材が繊維直角方向に破断するときの破断ひずみC2より大きくしている(圧力容器1の周方向発生ひずみB>ヘリカル層11の繊維直角方向の破断ひずみC2)。なお、圧力容器1の周方向発生ひずみBは、圧力容器1内に水素ガスなどの流体を充填したときの圧力容器1の周方向に発生する最大ひずみである。
この場合、圧力容器1の周方向発生ひずみBは、図2(a)に示すフープ層13の繊維に対しては繊維方向に作用するので、フープ層13の繊維強化材の繊維方向の破断は抑制できる。これに対し、胴部Dにおける図2(b)に示すヘリカル層11の繊維に関しては、上記周方向発生ひずみBは、繊維方向に対して交差する方向に作用しており、圧力容器1の周方向発生ひずみB>ヘリカル層11の繊維直角方向の破断ひずみC2、としていることからヘリカル層11の繊維強化材は繊維直角方向で破断に至る。
ただし、圧力容器1の周方向に最大ひずみが発生するのは、耐久試験にて過剰に水素ガスを圧力容器1に充填した場合を想定しており、実際に使用する際には、ヘリカル層11の繊維直角方向の破断ひずみC2を超えるひずみは発生しない範囲でしか、圧力容器1への水素ガスの充填は許容しないように管理するため、ヘリカル層11の繊維強化材は繊維直角方向で破断に至ることない。なお、ヘリカル層11の繊維は容器の軸方向に対して若干傾斜しているので、圧力容器1の周方向発生ひずみは、ヘリカル層11の繊維に対して90度の方向に作用せず、90度に対して若干傾斜することになる。このため、圧力容器1の周方向発生ひずみによりヘリカル層11の繊維が受ける応力は、上記傾斜している分繊維方向にも若干分散されるので、ヘリカル層11の繊維強化材が繊維直角方向で破断するには、90度方向に作用するときよりも若干大きな応力(ひずみ)が必要となる。
ここで、ヘリカル層11の繊維直角方向の破断ひずみC2は、フープ層13の繊維直角方向の破断ひずみC1にほぼ等しく、圧力容器1の軸方向発生ひずみA<フープ層13の繊維直角方向の破断ひずみC1である一方、圧力容器1の周方向発生ひずみB>ヘリカル層11の繊維直角方向の破断ひずみC2であることから、圧力容器1の軸方向発生ひずみA<圧力容器1の周方向発生ひずみBとなる。圧力容器1の周方向発生ひずみBが圧力容器1の軸方向発生ひずみAより大きいことで、許容範囲を超えた内圧が負荷されたときに胴部Dよりも先に鏡板部E、Fが破壊される可能性が低くなり、圧力容器1の破壊時の安定度が増すことになる。
なお、図2(b)では、図2(a)に示してあるフープ層13を省略してあり、これら図2(a)、(b)でのヘリカル層11やフープ層13の繊維は、実際には図に示されているように隙間が形成されているわけではなく、密に巻き付けてある。
また、本実施形態では、図2(a)に示す圧力容器1の軸方向発生ひずみAと図2(b)に示す圧力容器1の周方向発生ひずみBとの比A/Bを、0.10〜0.65の範囲としている。この場合、A/Bが0.10〜0.65であることから、圧力容器1の周方向発生ひずみBに対して圧力容器1の軸方向発生ひずみAをより小さい値に設定できる。つまり、フープ層13の繊維強化材を削減することで圧力容器1の周方向発生ひずみBが大きくなっても、圧力容器1の軸方向発生ひずみAがフープ層13の繊維強化材の繊維直角方向の破断ひずみC1より小さいため、圧力容器1の耐久性を維持できる。圧力容器1の軸方向発生ひずみAを小さく抑えることで、フープ層13における繊維強化材の繊維直角方向の破断を抑制でき、圧力容器1としての耐久性が向上する。
図3は、圧力容器1の軸方向発生ひずみAと圧力容器1の周方向発生ひずみBとの比A/Bに対する繊維量を示している。この繊維量は、圧力容器1の容量1L当たりに使用する繊維の重量(kg)として表しており、胴部D及び鏡板部E,Fに対応する部分を含んでいる。これによれば、二点鎖線で示すヘリカル層11で使用する繊維の量と、一点鎖線で示すフープ層13で使用する繊維の量との合計繊維量(実線)は、A/Bが0.10〜0.65の範囲においては、1.3kg/Lを下回る程度に少なく抑えている。
A/Bが、0.10を下回る場合や、0.65を上回る場合には、A/Bが0.10〜0.65の範囲にある場合に比較して繊維量が多くなり、圧力容器1の重量増やコスト増を招く。
表1は、A/Bと繊維量との関係を、A/Bを0.08から0.83までとして示してあり、A/Bが0.10〜0.65の範囲の中で繊維量が比較的多目となっている中での、最低値の0.11や最高値の0.64でも、繊維量が1.14kg/Lや1.23kg/Lと比較的少ないものとなっている。
Figure 0005987279
上記図3のA/Bを0.10〜0.65の範囲として繊維量の使用を抑えつつ、ヘリカル層11の繊維量とフープ層13の繊維量とを適宜選択することで、これら各層11,13の厚さのバランスを調整して最適化することができる。
また、本実施形態では、フープ層13には、ヘリカル層11よりも低弾性率の繊維を使用しているが、その具体例を、図4(a)、(b)、(c)に示す。
図4(a)は、フープ層13及びヘリカル層11共に、繊維強化材としてガラス繊維(GFRP)を使用する例である。この場合、フープ層13には弾性率が74GPaの一般的なEガラス繊維を、ヘリカル層11には弾性率が87GPaの高強度とされるSガラス繊維をそれぞれ使用している。
このように、フープ層13に低弾性率のEガラス繊維を使用することで、フープ層13及びヘリカル層11のすべてに高弾性率のSガラス繊維を使用して薄肉化した場合に比較して、圧力容器1の周方向発生ひずみBを増大させることができる。これにより、圧力容器1の周方向発生ひずみBに対して圧力容器1の軸方向発生ひずみAをより小さい値に設定でき、前記したA/Bの値を0.10〜0.65の範囲に設定しやすくなる。
この場合、フープ層13及びヘリカル層11のすべてに低弾性率の繊維を使用した場合に比較して、ヘリカル層11に高弾性率のSガラス繊維を使用する分、薄肉、軽量化を達成できる。逆に、フープ層13及びヘリカル層11のすべてに高弾性率の繊維を使用した場合に比較して、フープ層13に低弾性率のEガラス繊維を使用する分、コスト低下を達成できる。
ここで、Eガラス繊維の具体例としては、RS240 PE−985(日東紡績株式会社)やERS2310−821(セントラル硝子株式会社)が挙げられ、Sガラス繊維の具体例としては、RST 220 PA(日東紡績株式会社)が挙げられる。なお、これらのガラス繊維の具体例は、その一例を示すだけであり、その他各種のものを使用することができる。
図4(b)は、フープ層13及びヘリカル層11共に、繊維強化材として炭素繊維(CFRP)を使用する例である。この場合、フープ層13には弾性率が230GPaの低グレード炭素繊維を、ヘリカル層11には弾性率が290GPaの高グレード炭素繊維をそれぞれ使用している。ここでの炭素繊維は、例えばアクリルニトリルを焼くことにより形成するが、その際高グレード炭素繊維は低グレード炭素繊維に比較して高温処理するので弾性率が上がって剛性が高まるがコスト高となる。
このように、フープ層13に低弾性率の低グレード炭素繊維を使用することで、フープ層13及びヘリカル層11のすべてに高弾性率の高グレード炭素繊維を使用して薄肉化した場合に比較して、圧力容器1の周方向発生ひずみBを増大させることができる。これにより、圧力容器1の周方向発生ひずみBに対して圧力容器1の軸方向発生ひずみAをより小さい値に設定でき、前記したA/Bの値を0.10〜0.65の範囲に設定しやすくなる。
この場合、フープ層13及びヘリカル層11のすべてに低弾性率の繊維を使用した場合に比較して、ヘリカル層11に高弾性率の高グレード炭素繊維を使用する分、薄肉、軽量化を達成できる。逆に、フープ層13及びヘリカル層11のすべてに高弾性率の繊維を使用した場合に比較して、フープ層13に低弾性率の低グレード炭素繊維を使用する分、コスト低下を達成できる。
ここで、高グレード(高弾性率)炭素繊維の具体例としては、T800(東レ株式会社)やMR60H(三菱レイヨン株式会社)が挙げられ、低グレード(低弾性率)炭素繊維の具定例としてはT700(東レ株式会社)やTRH50(三菱レイヨン株式会社)が挙げられる。
なお、これらの炭素繊維の具体例は、その一例を示すだけであり、その他各種のものを使用することができる。また、ここでの高弾性率あるいは低弾性率とは、フープ層13及びヘリカル層11で炭素繊維を使用する際のこれら相互間での相対的なものであり、このため、組み合わせによっては、高弾性率のものが低弾性率となったり、その逆になる場合もある。
図4(c)は、フープ層13にガラス繊維を使用し、ヘリカル層11に炭素繊維を使用する例である。この場合、フープ層13には図4(a)で使用した弾性率が74GPaのEガラス繊維を、ヘリカル層11には図4(b)で使用した弾性率が230GPaの低グレード炭素繊維をそれぞれ使用している。
このように、フープ層13に炭素繊維に比較して低弾性率のガラス繊維を使用することで、フープ層13及びヘリカル層11のすべてに炭素繊維を使用して薄肉化した場合に比較して、圧力容器1の周方向発生ひずみBを増大させることができる。これにより、圧力容器1の周方向発生ひずみBに対して圧力容器1の軸方向発生ひずみAをより小さい値に設定でき、前記したA/Bの値を0.10〜0.65の範囲に設定しやすくなる。
また、図4(a)のようにグレード(弾性率)違いのガラス繊維を組み合わせたり、あるいは図4(b)のようにグレード(弾性率)違いの炭素繊維を組み合わせて使用する場合に比較して、汎用でより一般的な例えばEガラス繊維と低グレード(弾性率)炭素繊維を組み合わせて使用することで、機能とコストのバランスに優れた圧力容器1を製造することができる。
なお、上記した繊維強化材は、樹脂中にガラス繊維や炭素繊維を配置している。その際使用する樹脂(マトリックス樹脂)は、熱硬化性樹脂では、不飽和ポリエステル、エポキシ、ビニルエステル、フェノール、ウレタンなどが挙げられ、熱可塑性樹脂では、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、PC(ポリカーボネート)、ナイロン、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PI(ポリイミド)などが挙げられる。樹脂と繊維との結合性を高める繊維表面処理剤は、例えば、ガラス繊維ではシランカップリング剤が挙げられる。
ガラス繊維や炭素繊維をこれらのマトリックス樹脂中に含浸させた状態で内殻3に巻き付け、その後この内殻3を加熱炉で加熱し、マトリックス樹脂を硬化させることで、内殻3の外周側に繊維強化材からなる外殻5を形成する。
D 銅部
E,F 鏡板部
1 圧力容器
3 内殻(容器本体)
5 外殻(外層部、繊維強化材)
11 フープ層
13 ヘリカル層

Claims (4)

  1. 円筒状の胴部とこの胴部の開口側に連続するドーム状の鏡板部とを有する容器本体の外周側を繊維強化材で覆って構成した圧力容器であって、前記胴部に前記繊維強化材を周方向に沿って巻回してあるフープ層を少なくとも備え、ガス充填時での軸方向に発生する容器の軸方向発生ひずみを、この軸方向発生ひずみにより前記フープ層の繊維に対して交差する方向の応力が作用して前記フープ層の繊維強化材が繊維直角方向に破断するときの破断ひずみより小さくし、前記繊維強化材で構成した外層部は、繊維強化材を前記容器本体の胴部の周方向に沿って巻回してあるフープ層と、前記容器本体の軸線に対して傾斜するように容器本体の胴部及び鏡板部にらせん状に巻回してあるヘリカル層とを有し、前記フープ層には、前記ヘリカル層より低弾性率の繊維を用いることを特徴とする圧力容器。
  2. ガス充填時での前記胴部の軸方向に発生する軸方向発生ひずみAと前記胴部の周方向に発生する周方向発生ひずみBとの比A/Bを、0.10〜0.65としたことを特徴とする請求項1に記載の圧力容器。
  3. 前記フープ層にガラス繊維を用い、前記ヘリカル層に炭素繊維を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の圧力容器。
  4. 前記容器本体の軸線に対して傾斜するように容器本体の胴部及び鏡板部に繊維強化材をらせん状に巻回してあるヘリカル層を有し、前記胴部の周方向に発生する容器の周方向発生ひずみを、この周方向発生ひずみにより前記ヘリカル層の繊維に対して交差する方向の応力が作用して前記ヘリカル層の繊維強化材が繊維直角方向に破断するときの破断ひずみより大きくしたことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の圧力容器。
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