JP2018035927A - 自動車用の動力伝達軸 - Google Patents

自動車用の動力伝達軸 Download PDF

Info

Publication number
JP2018035927A
JP2018035927A JP2016172000A JP2016172000A JP2018035927A JP 2018035927 A JP2018035927 A JP 2018035927A JP 2016172000 A JP2016172000 A JP 2016172000A JP 2016172000 A JP2016172000 A JP 2016172000A JP 2018035927 A JP2018035927 A JP 2018035927A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
power transmission
transmission shaft
natural frequency
carbon fiber
hollow pipe
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016172000A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6759878B2 (ja
Inventor
雅信 越畑
Masanobu Koshihata
雅信 越畑
明彦 葭谷
Akihiko Yoshitani
明彦 葭谷
雅信 石田
Masanobu Ishida
雅信 石田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Group Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Holdings Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Chemical Holdings Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2016172000A priority Critical patent/JP6759878B2/ja
Publication of JP2018035927A publication Critical patent/JP2018035927A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6759878B2 publication Critical patent/JP6759878B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Shafts, Cranks, Connecting Bars, And Related Bearings (AREA)

Abstract

【課題】回転時の捩じり応力や共振に対する耐性に優れた自動車用の動力伝達軸を提供することを目的とする。
【解決手段】炭素繊維強化プラスチック製の中空パイプ10と、中空パイプ10の軸方向の両方の端部にそれぞれ設けられた金属部品12,14を備え、曲げ振動の一次固有振動数をf(Hz)、曲げ振動の1/2固有振動数をf(Hz)、捩じり振動の固有振動数をf(Hz)としたとき、f/f≧1.1又はf/f≧1.1であり、かつf/f≧1.1又はf/f≧1.1である、自動車用の動力伝達軸1。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車用の動力伝達軸に関する。
優れた強度と軽量性を兼ね備えていることから、炭素繊維強化プラスチック製の中空パイプと、前記中空パイプの軸方向の両端に設けられたフランジ等の金属部品を備えた自動車用の動力伝達軸(プロペラシャフト)が広く用いられている(例えば、特許文献1)。
走行時に軸周りに回転している動力伝達軸には、通常、主として捩じり応力が生じている。そのため、動力伝達軸は、回転時の捩じり応力による破損を抑制するための十分な強度を有している必要がある。特にレーシングカーに用いられる動力伝達軸は使用条件が過酷であるため、回転時の捩じり応力、さらには共振に対する耐性が特に優れていることが求められている。しかし、特許文献1のような従来の動力伝達軸は、回転時の捩じり応力や共振に対する耐性が充分ではなく、該耐性を向上させることが重要となっていた。
特開2007−196681号公報
本発明は、回転時の捩じり応力や共振に対する耐性に優れた自動車用の動力伝達軸を提供することを目的とする。
本発明者等が鋭意検討したところ、レーシングカー等の過酷な条件で使用される動力伝達軸に破損が生じる問題は、以下の要因であることが判明した。具体的には、曲げ振動の1/2固有振動数と捩じり振動の固有振動数が近く、特定のエンジン回転数で1/2曲げ共振と捩じり共振が同時に発生し、動力伝達軸に極めて大きな負荷がかかり折損することが判明した。そして、本発明者等は、さらに検討を重ね、曲げ振動の一次固有振動数及び1/2固有振動数と、捩じり振動の固有振動数を特定の比率以上に離すことで、曲げ共振と捩じり共振が同時に発生することが抑制され、回転時の捩じり応力や共振に対する耐性が向上することを見出して本発明を完成させた。
本発明は、以下の構成を有する。
[1]炭素繊維強化プラスチック製の中空パイプと、前記中空パイプの軸方向の少なくとも一方の端部に設けられた金属部品を備える自動車用の動力伝達軸であって、
曲げ振動の一次固有振動数をf(Hz)、曲げ振動の1/2固有振動数をf(Hz)、捩じり振動の固有振動数をf(Hz)としたとき、
/f≧1.1又はf/f≧1.1であり、かつf/f≧1.1又はf/f≧1.1である、自動車用の動力伝達軸。
[2]1.1≦f/f≦1.5又は1.1≦f/f≦1.5であり、かつ1.1≦f/f≦3.0又は1.1≦f/f≦3.0である、[1]に記載の自動車用の動力伝達軸。
[3]前記動力伝達軸の静捩じり強度が2500Nmより大きい、[1]又は[2]に記載の自動車用の動力伝達軸。
[4]前記中空パイプが、Pitch系炭素繊維とポリアクリロニトリル系炭素繊維の両方を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の自動車用の動力伝達軸。
[5]前記中空パイプが、軸方向に沿って配向した前記Pitch系炭素繊維と、前記軸方向に対して斜交する方向に沿って配向した前記ポリアクリロニトリル系炭素繊維とを含む、[4]に記載の自動車用の動力伝達軸。
[6]前記Pitch系炭素繊維の引張弾性率が640GPa以上である、[4]又は[5]に記載の自動車用の動力伝達軸。
[7]前記fが160〜250Hzである、[1]〜[6]のいずれかに記載の自動車用の動力伝達軸。
[8]総質量が4.1kg以下である、[1]〜[7]のいずれかに記載の自動車用の動力伝達軸。
本発明の自動車用の動力伝達軸は、回転時の捩じり応力や共振に対する耐性が優れている。
本発明の自動車用の動力伝達軸の一例を示した断面図である。
以下、本発明の自動車用の動力伝達軸の一例を示して説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
本実施形態の自動車用の動力伝達軸1(以下、単に「動力伝達軸1」という。)は、図1に示すように、炭素繊維強化プラスチック製の円筒状の中空パイプ10と、中空パイプ10の軸方向の両端部にそれぞれ設けられた金属部品12,14を備えている。
動力伝達軸1は、曲げ振動の一次固有振動数をf(Hz)、曲げ振動の1/2固有振動数をf(Hz)、捩じり振動の固有振動数をf(Hz)としたとき、以下の条件(1)及び条件(2)の両方を満たす。
(1)f/f≧1.1又はf/f≧1.1である。
(2)f/f≧1.1又はf/f≧1.1である。
動力伝達軸1が条件(1)と条件(2)の両方を満たすことで、動力伝達軸1の回転時において、捩じり共振によって動力伝達軸1に最大の捩じり角が発生する回転数と、曲げ共振によって動力伝達軸1の中央部に最大の変位が発生する回転数を十分に離すことができる。すなわち、動力伝達軸1において捩じり共振と曲げ共振とが異なる回転数で生じるようにすることができる。これにより、特定のエンジン回転数で動力伝達軸1に捩じり共振と曲げ共振が同時に発生することが抑制される。そのため、回転時の捩じり応力や共振に対する耐性が優れた動力伝達軸1となる。
捩じり共振の発生回転数は、エンジンから駆動輪まで含めたパワートレイン全体で決定される。動力伝達軸は、パワートレインの一部であるため、動力伝達軸単体の捩じり特性を変更しても他の部品の影響を大きく受ける。従って、動力伝達軸単独の特性を変化させることで捩じり共振回転数を変更することは効果が限定的となる。
条件(1)においては、捩じり振動の固有振動数fに比べて曲げ振動の1/2固有振動数fを調節することが容易な点から、f/f≧1.1又はf/f≧1.1であることが好ましく、1.1≦f/f≦1.5又は1.1≦f/f≦1.5であることがより好ましく、1.1≦f/f≦1.3又は1.1≦f/f≦1.3であることがさらに好ましい。f/f又はf/fの値が大きいほど、捩じり共振と1/2曲げ共振が同時に発生しにくくなるため、回転時の捩じり応力や共振に対する耐性が優れた動力伝達軸となりやすい。また、f/f又はf/fの値が上限値以下であれば、曲げ振動の1/2固有振動数fの調節が容易になる。
条件(2)においては、捩じり振動の固有振動数fに比べて曲げ振動の一次固有振動数fを調節することが容易な点から、f/f≧1.1又はf/f≧1.1であることが好ましく、1.1≦f/f≦3.0又は1.1≦f/f≦3.0であることがより好ましく、2.2≦f/f≦2.5又は2.2≦f/f≦2.5であることがさらに好ましい。f/f又はf/fの値が大きいほど、捩じり共振と一次曲げ共振が同時に発生しにくくなるため、回転時の捩じり応力や共振に対する耐性が優れた動力伝達軸となりやすい。また、f/f又はf/fの値が上限値以下であれば、曲げ振動の一次固有振動数fの調節が容易になる。
なお、曲げ振動の1/2固有振動数fは一次固有振動数fの半分の値であるため、条件(1)としてf/f≧1.1又はf/f≧1.1が満たされていれば、条件(2)は必ず満たされる。
/f又はf/f、及びf/f又はf/fの値を調節する方法としては、例えば、中空パイプ10に用いる炭素繊維の弾性率や配向を調節することにより、曲げ振動の一次固有振動数f及び1/2固有振動数fを調節する方法が挙げられる。弾性率の高い炭素繊維を用いることで曲げ振動の一次固有振動数f及び1/2固有振動数fが高くなる傾向があり、弾性率の低い炭素繊維を用いることで曲げ振動の一次固有振動数f及び1/2固有振動数fが低くなる傾向がある。また、中空パイプ10の軸方向に沿って配向した炭素繊維が多いほど、曲げ振動の一次固有振動数f及び1/2固有振動数fが高くなる傾向があり、中空パイプ10の軸方向に沿って配向した炭素繊維が少ないほど、曲げ振動の一次固有振動数f及び1/2固有振動数fが低くなる傾向がある。
動力伝達軸1の曲げ振動の一次固有振動数fは、160〜250Hzが好ましく、165〜220Hzがより好ましく、170〜200Hzがさらに好ましい。fが前記範囲内であれば、条件(1)及び条件(2)を満たす動力伝達軸が得られやすい。fが前記下限値以上であれば、f/f≧1.1を満たす動力伝達軸が得られやすい。fが前記上限値以下であれば、弾性率の高い炭素繊維の入手性等の点からfの調節が容易になる。
動力伝達軸1の曲げ振動の1/2固有振動数fは、80〜125Hzが好ましく、83〜110Hzがより好ましく、85〜100Hzがさらに好ましい。fが前記範囲内であれば、条件(1)及び条件(2)を満たす動力伝達軸が得られやすい。fが前記下限値以上であれば、f/f≧1.1を満たす動力伝達軸が得られやすい。fが前記上限値以下であれば、弾性率の高い炭素繊維の入手性等の点からfの調節が容易になる。
自動車に取り付けた動力伝達軸1の捩じり振動の固有振動数fは、50〜100Hzが好ましく、58〜90Hzがより好ましく、65〜83Hzがさらに好ましい。fが前記範囲内であれば、条件(1)及び条件(2)を満たす動力伝達軸が得られやすい。
なお、動力伝達軸の曲げ振動の一次固有振動数f及び1/2固有振動数f、並びに捩じり振動の固有振動数fは、該動力伝達軸を用いて自動車の駆動系のレイアウトを組み込んだ台上試験により測定することができる。例えば、動力伝達軸を用いて、エンジンとトランスアクスル間を接続したレイアウトを組み込んだ台上試験により、f、f及びfを測定することができる。
中空パイプ10は、炭素繊維強化プラスチック製である。
中空パイプ10に用いられる炭素繊維としては、特に限定されず、例えば、Pitch系炭素繊維、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維が挙げられる。
Pitch系炭素繊維とは「メソフェーズピッチすなわち石油タール、石炭タール等を処理して生じた液晶構造を示すピッチ、又は、人工的に合成されたメソフェーズピッチを紡糸して、不融化して、さらに炭化・黒鉛化させて生成した、黒鉛結晶構造が繊維軸方向に高度に発達した実質的に炭素のみからなるフィラメント繊維」を主たる成分として構成される繊維の集合体であることを意味する。Pitch系炭素繊維は、弾性率が高い利点がある。
PAN系炭素繊維とは、「アクリロニトリルを主成分として重合させたポリアクリロニトリル系樹脂からなる繊維を、耐炎化させて、さらに炭化・黒鉛化させて生成した実質的に炭素のみからなるフィラメント繊維」を主たる成分として構成される繊維の集合体であることを意味する。PAN系炭素繊維は、強度が高い利点がある。
中空パイプ10に用いられる炭素繊維は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。中空パイプは、Pitch系炭素繊維とPAN系炭素繊維の両方を含むことが好ましい。Pitch系炭素繊維を用いることで、曲げ振動の一次固有振動数f及び1/2固有振動数fを高くしやすく、PAN系炭素繊維を用いることで、捩じり振動の固有振動数fの上昇を抑制しやすいため、f/f≧1.1及びf/f≧1.1を満たす動力伝達軸が得られやすい。
また、Pitch系炭素繊維とPAN系炭素繊維を併用する場合、中空パイプは、軸方向に沿って配向したPitch系炭素繊維と、前記軸方向に対して斜交する方向に配向したPAN系炭素繊維を含むことが好ましい。前記軸方向に沿って配向したPitch系炭素繊維を含むことで、曲げ振動の一次固有振動数f及び1/2固有振動数fをより高くしやすく、前記軸方向に対して斜交する方向に配向したPAN系炭素繊維を用いることで、捩じり強度を確保しつつ、捩じり振動の固有振動数fを必要以上に上昇させることなく、f/f≧1.1又はf/f≧1.1を満たす動力伝達軸が得られやすい。
使用するPitch系炭素繊維の引張弾性率は、640GPa以上が好ましく、700GPa以上がより好ましく、760GPa以上がさらに好ましい。Pitch系炭素繊維の引張弾性率が下限値以上であれば、曲げ振動の一次固有振動数f及び1/2固有振動数fが高く、f/f≧1.1又はf/f≧1.1を満たす動力伝達軸が得られやすい。また、Pitch系炭素繊維の引張弾性率は、800GPa以下が好ましい。弾性率が高い炭素繊維は、入手性が悪く、高コストであり、さらには炭素繊維と樹脂の接着性が悪く、共振によって炭素繊維と樹脂の剥離が発生する可能性がある。
なお、炭素繊維の引張弾性率とは、JIS R7608:2007(ISO16018:2004)のA法により測定される値である。
使用するPAN系炭素繊維の引張弾性率は、235〜325GPaが好ましく、235〜250GPaがより好ましい。PAN系炭素繊維の引張弾性率が下限値以上であれば、必要な捩じり強度を確保しつつ、捩じり振動の固有振動数を必要以上に上昇させることがない。PAN系炭素繊維の引張弾性率が上限値以下であれば、下限値以上の場合よりも捩じり振動の固有振動数が高くなるが、捩じり強度を高くすることができる。
炭素繊維強化プラスチックに用いるマトリックス樹脂としては、自動車用の動力伝達軸に通常用いられる公知のマトリックス樹脂を用いることができる。マトリックス樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、変性エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、あるいはポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。なかでも、耐熱性、強度、成形性の観点から、エポキシ樹脂が好ましい。マトリックス樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
動力伝達軸1の静捩じり強度は、2500Nmより大きいことが好ましく、3000Nmより大きいことがより好ましく、4000Nmより大きいことがさらに好ましい。静捩じり強度が大きいほど、動力伝達軸の捩じり共振による破損を抑制しやすい。動力伝達軸1の軸方向に対して斜交する方向に沿って配向した炭素繊維を増加させることによって捩じり強度が向上するが、同時に捩じり共振の固有振動数が上昇するため、動力伝達軸1の静捩じり強度は、7500Nm以下が好ましい。動力伝達軸の静捩じり強度は、使用する炭素繊維の種類及び配向を調節することで変更できる。
金属部品12,14としては、動力伝達軸1を用いる自動車の駆動系のレイアウトに応じて適宜選択すればよく、例えば、エンジン、トランスミッション、デファレンシャルギア等と接続するための固定型フランジ、ユニバーサルジョイント等が挙げられる。
金属部品12,14の材質としては、公知の材質を使用でき、例えば、アルミニウム合金等が挙げられる。
中空パイプ10と金属部品12,14との接続形態は、特に限定されず、例えば、接着剤により接続する形態、セレーションにより接続する形態等が挙げられる。なかでも、セレーションによる接続形態は炭素繊維を破断するため、より高い強度が得られやすい点では接着剤による接続形態が好ましい。
この例では、金属部品12は、フランジ部12aと、フランジ部12aの一方の面から突出する円筒状の筒部12bを備えている。そして、金属部品12の筒部12bの先端部が中空パイプ10の一方の端部側に挿入された状態で、筒部12bの先端部の外面と中空パイプ10の内面とが接着剤により接続されている。金属部品14も同様に、フランジ部14aの一方の面から突出する円筒状の筒部14bの先端部が中空パイプ10の他方の端部側に挿入された状態で、筒部14bの先端部の外面と中空パイプ10の内面が接着剤により接続されている。
中空パイプ10と金属部品12,14の接続に用いる接着剤としては、中空パイプ10と金属部品12,14を充分な接着強度で接続できるものであればよく、例えば、エポキシ系の接着剤やアクリル系の接着剤等が挙げられる。接着剤としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
動力伝達軸の総質量は、4.1kg以下が好ましく、4.0kg以下がより好ましく、3.8kg以下がさらに好ましい。動力伝達軸1の総質量が前記上限値以下であれば、軽量化でき、曲げ振動の一次固有振動数f及び1/2固有振動数fを高くしやすい。
動力伝達軸の長さは、特に限定されず、使用する駆動系のレイアウトに合わせて適宜設定すればよい。例えば、2ジョイントタイプの動力伝達軸の場合、動力伝達軸の長さは、1400〜1600mmとすることができる。
中空パイプの内径及び外径は、特に限定されず、使用する駆動系のレイアウトに合わせて適宜設定すればよい。例えば、中空パイプの内径を60〜90mm、外径を65〜100mmとすることができる。中空パイプの肉厚が薄いほど軽量となり、曲げ振動の一次固有振動数f及び1/2固有振動数fを高くしやすい。
本発明の動力伝達軸を用いる自動車の駆動系のレイアウトは、特に限定されない。例えば、本発明の動力伝達軸は、フロントエンジン・フロントドライブ(FF)、フロントエンジン・リアドライブ(FR)、ミッドシップエンジン・リアドライブ(MR)等のレイアウトにおいて、トランスミッションとデファレンシャルギア間のプロペラシャフトとして用いることができる。また、トランスアクスルレイアウトにおける、エンジンとトランスアクスル間のプロペラシャフトとして本発明の動力伝達軸を用いてもよい。本発明の動力伝達軸は、回転時の捩じり応力と共振に対する耐性が特に優れることから、エンジンの回転変動がそのままシャフトに伝わるために負荷がより大きなトランスアクスルレイアウトに用いることが特に有効である。
また、本発明の動力伝達軸は、回転時の捩じり応力と共振に対する耐性が特に優れることから、エンジンからトランスアクスルまでや、トランスミッションからデファレンシャルギアまでを1本の動力伝達軸で接続する2ジョイントタイプとして特に有用である。なお、本発明の動力伝達軸は、2本の動力伝達軸を用いる3ジョイントタイプとして使用してもよいが、ジョイント数が増える分、動力伝達軸の総質量が増加する。
また、本発明の動力伝達軸は、回転時の応力と共振に対する耐性に特に優れることから、回転変動が大きく、動力伝達軸にかかる負荷がより大きな直列4気筒ターボエンジンを備える自動車に使用することが特に有用である。なお、本発明の動力伝達軸は、直列4気筒ターボエンジン以外のエンジンを備える自動車に用いてもよい。
(製造方法)
本発明の動力伝達軸の製造方法としては、特に限定されないが、炭素繊維基材にマトリックス樹脂が含浸された複数枚のプリプレグシートをマンドレルに巻き付けるシートワインディング法を採用する方法が好ましい。シートワインディング法を採用することで、炭素繊維、特にPitch系炭素繊維を中空パイプの軸方向に沿って配向させることができる。そのため、曲げ振動の一次固有振動数f及び1/2固有振動数fが高く、f/f≧1.1又はf/f≧1.1を満たす動力伝達軸を製造することが容易になる。また、中空パイプを製造するための装置も簡単である。
炭素繊維基材としては、特に限定されず、炭素繊維が一方向に引き揃えられたUD材であってもよく、炭素繊維が製織されたクロス材であってもよい。
以上説明した本発明の自動車用の動力伝達軸においては、曲げ振動の一次固有振動数f、曲げ振動の1/2固有振動数f、及び捩じり振動の固有振動数fが条件(1)及び条件(2)の両方を満たしている。これにより、特定のエンジン回転数における曲げ共振と捩じり共振の同時発生が抑制されるため、動力伝達軸に大きな負荷がかかりにくくなる。このことから、本発明の自動車用の動力伝達軸は、回転時の捩じり応力や共振に対する耐性が優れている。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
[静捩じり強度]
各例の動力伝達軸の静捩じり強度は、捩じり試験機(株式会社東京衝機製PKO−00410)により測定し、動力伝達軸が破断したトルクを静捩じり強度とした。
[曲げ振動の一次固有振動数f及び1/2固有振動数f、捩じり振動の固有振動数f
各例の動力伝達軸の曲げ振動の一次固有振動数f及び1/2固有振動数f、捩じり振動の固有振動数fの測定は、エンジンを含めたトランスアクスルレイアウトを組み込んだ台上試験によって決定した。台上試験は、3速ギア固定の全負荷で、エンジン回転数の上限(9500rpm)までを30秒でスイープする手法で行った。
動力伝達軸の捩じりについては、動力伝達軸の軸方向における両端部の位相差を計測して捩じり角が最大となる値を測定した。動力伝達軸の捩じり角が最大となるエンジン回転数(動力伝達軸の回転数)を捩じり振動の固有振動数f(Hz)とした。
動力伝達軸の曲げについては、動力伝達軸の軸方向の中央部における曲げ変位が最大となる値を測定した。動力伝達軸中央の変位が最大となるエンジン回転数(動力伝達軸の回転数)を曲げ振動の1/2固有振動数f(Hz)とし、その1/2固有振動数f(Hz)に2を乗じた値を曲げ振動の一次固有振動数f(Hz)とした。
[破損試験]
、f及びfの測定と同様のトランスアクスルレイアウトを組み込んだ台上試験によって、動力伝達軸の破損の有無を確認した。
[製造例1]
Pitch系炭素繊維(商品名「ダイアリードTM」、三菱レイヨン株式会社製、引張弾性率:790GPa)を一方向に引き揃えた目付が250g/mの炭素繊維基材を、エポキシ樹脂に含浸させたプリプレグシート(プリプレグA)を得た。
[製造例2]
PAN系炭素繊維(商品名「パイロフィルTM」、三菱レイヨン株式会社製、引張弾性率:240GPa)を一方向に引き揃えた目付が175g/mと100g/mの炭素繊維基材を、エポキシ樹脂に含浸させたプリプレグシート(プリプレグB、C)を得た。
[実施例1]
製造例1、2で得たプリプレグA、B、Cを用いて、シートワインディング法により中空パイプを作製した。
次いで、該中空パイプの軸方向の両端部のそれぞれに、エポキシ系接着剤を用いてアルミニウム合金製の固定型フランジを接着して動力伝達軸を得た。動力伝達軸の全長は1583mmであり、外径は82.8mmであり、内径は76.3mmであった。
曲げ振動の一次固有振動数fは180Hzであり、1/2固有振動数fは90Hzであり、捩じり振動の固有振動数fは77Hzであった。f/fは2.3であり、f/fは1.2であった。この動力伝達軸の総質量は、3.8kgであった。この動力伝達軸と同じものを製造し、静捩じり試験を行った結果、静捩じり強度は、3200Nmであった。破損試験においては、動力伝達軸の破損は抑制されていた。
[実施例2]
プリプレグA、B、Cの積層数、及び炭素繊維の配向を調節する以外は、実施例1と同様にして動力伝達軸を得た。動力伝達軸の全長は1583mmであり、外径は83.4mmであり、内径は76.3mmであった。得られた動力伝達軸の曲げ振動の一次固有振動数f、1/2固有振動数f、捩じり振動の固有振動数f、f/f、f/f、総質量、及び静捩じり強度を測定した結果を表1に示す。破損試験においては、動力伝達軸の破損は抑制されていた。
[実施例3]
プリプレグA、B、Cの積層数、及び炭素繊維の配向を調節する以外は、実施例1と同様にして動力伝達軸を得た。動力伝達軸の全長は1583mmであり、外径は83.7mmであり、内径は76.3mmであった。得られた動力伝達軸の曲げ振動の一次固有振動数f、1/2固有振動数f、捩じり振動の固有振動数f、f/f、f/f、総質量、及び静捩じり強度を測定した結果を表1に示す。破損試験においては、動力伝達軸の破損は抑制されていた。
[比較例1]
比較対象の動力伝達軸として、表2に示すスペックの動力伝達軸を用意した。
得られた動力伝達軸の曲げ振動の一次固有振動数f、1/2固有振動数f、捩じり振動の固有振動数f、f/f及びf/fを表3に示す。破損試験においては、動力伝達軸の中空パイプに破損が生じた。
[比較例2]
比較対象の動力伝達軸として、表2に示すスペックの動力伝達軸を用意した。
得られた動力伝達軸の曲げ振動の一次固有振動数f、1/2固有振動数f、捩じり振動の固有振動数f、f/f及びf/fを表3に示す。破損試験においては、動力伝達軸の中空パイプに破損が生じた。
Figure 2018035927
Figure 2018035927
Figure 2018035927
1 自動車の動力伝達軸
10 中空パイプ
12,14 金属部品

Claims (8)

  1. 炭素繊維強化プラスチック製の中空パイプと、前記中空パイプの軸方向の少なくとも一方の端部に設けられた金属部品を備える自動車用の動力伝達軸であって、
    曲げ振動の一次固有振動数をf(Hz)、曲げ振動の1/2固有振動数をf(Hz)、捩じり振動の固有振動数をf(Hz)としたとき、
    /f≧1.1又はf/f≧1.1であり、かつf/f≧1.1又はf/f≧1.1である、自動車用の動力伝達軸。
  2. 1.1≦f/f≦1.5又は1.1≦f/f≦1.5であり、かつ1.1≦f/f≦3.0又は1.1≦f/f≦3.0である、請求項1に記載の自動車用の動力伝達軸。
  3. 前記動力伝達軸の静捩じり強度が2500Nmより大きい、請求項1又は2に記載の自動車用の動力伝達軸。
  4. 前記中空パイプが、Pitch系炭素繊維とポリアクリロニトリル系炭素繊維の両方を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の自動車用の動力伝達軸。
  5. 前記中空パイプが、軸方向に沿って配向した前記Pitch系炭素繊維と、前記軸方向に対して斜交する方向に沿って配向した前記ポリアクリロニトリル系炭素繊維とを含む、請求項4に記載の自動車用の動力伝達軸。
  6. 前記Pitch系炭素繊維の引張弾性率が640GPa以上である、請求項4又は5に記載の自動車用の動力伝達軸。
  7. 前記fが160〜250Hzである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の自動車用の動力伝達軸。
  8. 総質量が4.1kg以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の自動車用の動力伝達軸。
JP2016172000A 2016-09-02 2016-09-02 自動車用の動力伝達軸 Active JP6759878B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016172000A JP6759878B2 (ja) 2016-09-02 2016-09-02 自動車用の動力伝達軸

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016172000A JP6759878B2 (ja) 2016-09-02 2016-09-02 自動車用の動力伝達軸

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018035927A true JP2018035927A (ja) 2018-03-08
JP6759878B2 JP6759878B2 (ja) 2020-09-23

Family

ID=61566401

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016172000A Active JP6759878B2 (ja) 2016-09-02 2016-09-02 自動車用の動力伝達軸

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6759878B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7190614B1 (ja) * 2022-06-08 2022-12-15 日立Astemo株式会社 推進軸用炭素繊維強化樹脂製筒体

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10310650A (ja) * 1997-05-09 1998-11-24 Toyota Autom Loom Works Ltd 繊維強化複合材料製駆動シャフト及びその製造方法
JP2007196681A (ja) * 2005-12-27 2007-08-09 Toray Ind Inc プロペラシャフトおよびその製造方法
JP2008082525A (ja) * 2006-09-29 2008-04-10 Toray Ind Inc プロペラシャフトおよびその製造方法
JP2013228094A (ja) * 2012-03-28 2013-11-07 Toray Ind Inc プロペラシャフト

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10310650A (ja) * 1997-05-09 1998-11-24 Toyota Autom Loom Works Ltd 繊維強化複合材料製駆動シャフト及びその製造方法
JP2007196681A (ja) * 2005-12-27 2007-08-09 Toray Ind Inc プロペラシャフトおよびその製造方法
JP2008082525A (ja) * 2006-09-29 2008-04-10 Toray Ind Inc プロペラシャフトおよびその製造方法
JP2013228094A (ja) * 2012-03-28 2013-11-07 Toray Ind Inc プロペラシャフト

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7190614B1 (ja) * 2022-06-08 2022-12-15 日立Astemo株式会社 推進軸用炭素繊維強化樹脂製筒体
WO2023238300A1 (ja) * 2022-06-08 2023-12-14 日立Astemo株式会社 推進軸用炭素繊維強化樹脂製筒体

Also Published As

Publication number Publication date
JP6759878B2 (ja) 2020-09-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4089190A (en) Carbon fiber drive shaft
US5601493A (en) Drive shaft made of fiber reinforced plastics, and method for connecting pipe made of fire-reinforced plastics
US20020117228A1 (en) Fiber reinforced plastic pipe and power transmission shaft employing the same
US6409606B1 (en) Power transmission shaft
US4362521A (en) Power transmission shaft
CN101121432A (zh) 用于自行车的右曲柄臂组件及其曲柄臂和前链轮
US7419435B2 (en) Composite torque tube captured end fitting
US20150105165A1 (en) Hybrid Shaft for Motor Vehicles
US7543895B2 (en) Metal-sheathed composite vehicle axle
JPH06200951A (ja) 繊維強化樹脂製駆動力伝達用シャフトおよび繊維強化樹脂製パイプの接合方法
JP2018035927A (ja) 自動車用の動力伝達軸
JP2013228094A (ja) プロペラシャフト
US11940007B2 (en) Tubular body used for power transmission shaft and power transmission shaft
JP2007271079A (ja) トルク伝達軸
JP6540085B2 (ja) プロペラシャフト
US10184212B2 (en) Coupling body using Z-pin
GB2406154A (en) Composite shaft with metal sleeve
JP5683886B2 (ja) 管状体
KR20090016805A (ko) 복합재료 드라이브샤프트 제조 방법
WO2020174692A1 (ja) 動力伝達軸用の管体及び動力伝達軸
JPH04347006A (ja) 繊維強化プラスチック製駆動軸
JP3183432B2 (ja) プロペラシャフトおよびその製造方法
JPH0592488A (ja) 繊維強化樹脂製駆動力伝達用シヤフト、その製造方法及び繊維強化樹脂製パイプの接合方法
JP2008082525A (ja) プロペラシャフトおよびその製造方法
JP2011190931A (ja) プロペラシャフト

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20160916

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20181102

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190617

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200804

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200817

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6759878

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151