JP2007196681A - プロペラシャフトおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】小径のシャフトであっても共振周波数特性が高くて(曲げ剛性の高い)かつ、所定の捩り強度、円環剛性を確保し、さらに価格の高騰を抑えたプロペラシャフトおよびその製造方法を提供することにある。
【解決手段】内径が50〜100mmで、筒軸方向に対して5°〜60°の螺旋巻の層と筒軸方向に対して75°〜90°の周方向巻の層を有し、少なくとも引張弾性率400〜900Gpaの強化繊維を含み、中央部の厚みが1.5〜5mmであるFRP筒体に継手要素が結合されてなることを特徴とするプロペラシャフト。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の駆動力伝達軸として使用されるFRP製のプロペラシャフト(推進軸)およびその製造方法に関する。
最近、各種産業分野でFRP(繊維強化プラスチック)筒体の実用化が進んでいる。
例えば近年、燃費の向上や環境保全といった観点から自動車の軽量化が強く望まれているが、それを達成する一手段としてプロペラシャフトのFRP化が検討され、一部で既に採用されるに至っている。その際、使用する強化繊維にも種々あり、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等が検討されているが、この中で特に、強度、弾性率、軽量化の面からプロペラシャフトの筒体が炭素繊維を強化繊維とするCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製筒体が有力とされている。
自動車のプロペラシャフトは、軸方向の弾性率とともに、エンジンから発生する大きなトルクを伝達する必要があることから、1000〜4000Nm程度の捩り強度を必要とする。また、高速回転時に共振を起こさないよう、危険回転数が5000〜18000rpm程度(共振周波数:83〜300Hz)であることも要求される。これまでのCFRP製プロペラシャフト、特にその本体筒部は、必要なトルクを伝達し、高い共振周波数を得るための螺旋巻き層の積層角度とその積層構成、シャフトのサイズ(内径、外径、肉厚)、使用する強化繊維の種類、繊維の含有率等をパラメータとして設計されている(例えば、特許文献1参照)。
FRP筒体において、高い共振周波数特性、曲げ剛性を得るためには炭素繊維の中でも高弾性率グレード炭素繊維を使用して螺旋巻き層の積層角度を0〜20°のような筒軸方向に対して低角度にしなければならないが、低角度に積層すると捩り強度が低くなってしまう。共振周波数、曲げ剛性と捩り強度の関係は積層設計上、相反する特性とならざるを得ず、使用する強化繊維の種類や積層構成を決定することは極めて重要である。
端部に金属製継手等を圧入接合して使用されるプロペラシャフト用FRP筒体は、通常図1に示すように、例えば、樹脂含浸強化繊維をマンドレル11上に巻いていくフィラメントワインディング法によって形成され、FRP本体筒12を形成する部分が主として強化繊維の螺旋巻き層(例えば、筒軸方向に対して強化繊維を5°〜60°の角度で配列した層(なお、角度表示は請求項部分も含め筒軸方向に対する絶対値で表すものとする。)とフープ巻層で構成されるが、このFRP筒体には次のような問題があった。
近年、エンジンの高出力化に伴い更なる高共振周波数特性が要求され、かつシャフトの小径化のニーズも高まっている。この場合、小径のシャフトで高共振周波数を達成するにはFRP筒体の曲げ剛性を極力高めることが必要であるが、成形法にフィラメントワインディング成形を選択した時、積層角度に0〜4°のような筒軸方向に対して低角度を選択することはボイド、捩り強度等のFRP筒体の品質を考慮して避けることが多く、標準・中弾性率グレード(例えば、引張弾性率230〜390Gpa)の炭素繊維を選定してFRP筒体を成形しても小径のシャフトで高共振周波数(高い曲げ剛性)を達成することは困難である。
さらに、小径のシャフトでは、積層角度を曲げ剛性に寄与する低角度(例えば、5〜30°)、円環剛性に寄与する高角度(例えば、75〜90°)、捩り強度に寄与する中角度(例えば、31〜60°)を適正に配置しないと設計上、共振周波数、円環剛性、捩り強度の特性を高めることが困難である。
また、炭素繊維はその引張弾性率に比例してその価格も高くなるので、曲げ剛性の高いFRP筒体を提供するには、人の介在が少ない連続成形を選択しないと全体の価格が高くなってしまう。
特開平2−236014号公報
本発明の課題は、上記のような従来の問題点に着目し、小径のシャフトであっても共振周波数特性が高くて(曲げ剛性の高い)、かつ、所定の捩り強度、円環剛性を確保し、さらに価格の高騰を抑えたFRP筒体を用いたプロペラシャフトおよびその製造方法を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するため以下の構成を採用する。すなわち、
(1)内径が50〜100mmで、筒軸方向に対して5°〜60°の螺旋巻の層と筒軸方向に対して75°〜90°の周方向巻の層とを有し、少なくとも引張弾性率400〜900Gpaの強化繊維を含み、中央部の厚みが1.5〜5mmであるFRP筒体に継手要素が結合されてなることを特徴とするプロペラシャフト。
(2)前記FRP筒体の少なくとも一方の筒軸方向端部の表層側および/または内層側に筒軸方向に対しで75°〜90°の周方向巻補強層が設けられていることを特徴とする前記(1)に記載のプロペラシャフト。
(3)前記引張弾性率400〜900GPaの強化繊維が筒軸方向に対し5〜15°の螺旋巻きの層を有し、引張弾性率399GPa以下からなる強化繊維層が含まれることを特徴とする前記(1)または(2)記載のプロペラシャフト。
(4)前記FRP筒体中央部において、前記引張弾性率400〜900GPaの強化繊維からなる層の厚さが全体肉厚の60〜80%であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のプロペラシャフト。
(5)内径が50〜100mmで、筒軸方向に対して5°〜60°の螺旋巻の層と筒軸方向に対して75°〜90°の周方向巻の層とを有し、少なくとも引張弾性率400〜900Gpaの強化繊維を含み、中央部の厚みが1.5〜5mmであるFRP筒体に継手要素を結合させたプロペラシャフトの製造方法であって、前記FRP筒体をフィラメントワインディング法で成形することを特徴とするプロペラシャフトの製造方法。
本発明に係るプロペラシャフトおよびその製造方法によれば、小径のシャフトであっても所定の捩り強度を確保し、かつ共振周波数特性の高い(曲げ剛性の高い)FRP筒体よりなるプロペラシャフトを得ることができる。また、かかるプロペラシャフトを価格の高騰を抑えて生産することができる。
本発明者らは前記した課題に対し、使用強化繊維と積層角度の最適な組み合わせ、および成形法の選定について検討したところ、本発明にいたったものである。
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
前記したように、本発明のプロペラシャフトは、FRP筒体を用いるものである。このFRP筒体は、内径に関して、捩り強度、車体設置スペースを考慮して、50〜100mmに規定される。50mmより小さくなると捩り強度の確保が困難となり、また100mmを越えると近年の居室ワイド化に伴うプロペラシャフト設置スペースの縮小傾向の影響でプロペラシャフト用FRP筒体が周辺に存在する部品に干渉する可能性がある。
また、筒軸方向に対して5°〜60°の螺旋巻の層と筒軸方向に対して75°〜90°の周方向巻の層を有しており、さらに、少なくとも引張弾性率400〜900Gpaの強化繊維を含み、中央部の厚みが1.5〜5mmのものである。さらに、上記のFRP筒体には継手要素が結合されている。筒軸方向に対して5°〜60°の螺旋巻の層とするのは高い捩り強度と曲げ剛性を実現するためである。筒軸方向に対して5°より小さい螺旋巻となると捩り強度の確保が難しくなるととに、フィラメントワインディング成形の性格からマンドレル半径方向に対して繊維に張力が負荷されにくい状態になるのでFRP筒体の品質が悪化する傾向にある。また、筒軸方向に対して60°を越える螺旋巻となると曲げ剛性の確保が難しくなる。また、75°〜90°の周方向巻の層とするのはFRP筒体の半径方向に対する円環強度を確保するためである。75°より小さい周方向巻となると外部から荷重が負荷された場合、破壊が起こりやすくなる。周方向巻補強部を除くそれぞれの厚み比は5°〜60°が80〜90%、75°〜90°が10〜20%であることが好ましい。この範囲内であれば、高い捩り強度、曲げ剛性、円環強度を効率的に実現することができる。中央部の厚みを1.5〜5mmとするのは、中央部の厚みが1.5mmより小さくなると飛び石衝撃のような外からの衝撃に対して厚み方向の層間剥離が発生しやすくなり強度低下の原因となる。また、中央部の厚みが5mmより大きくなると強度仕様に対して過剰な性能を有するだけで材料投入増加に伴う軽量化のメリットが小さくなるとともにコストアップの要因となってしまう。
更に、本発明のプロペラシャフトは、前記FRP筒体の積層において、少なくとも引張弾性率400〜900GPaの強化繊維を含み、該強化繊維が筒軸方向に対し5〜15°の螺旋巻き層とすることで共振周波数を効率的に高めることができる。さらに引張弾性率399GPa以下からなる強化繊維層を他の層に配置することによりねじり強度など他の特性とのバランスがとれたプロペラシャフトとすることが可能となる。
また、プロペラシャフトのねじり強度を効果的に確保するために概略±45°の螺旋巻き層と、75〜90°の円周方向巻きをFRP筒体の仕様に併せて、組み合わせることが好ましい。
前記FRP筒体の積層において、中央部の肉厚に対し引張弾性率400〜900GPaの強化繊維からなる厚さが60〜80%とすることが、共振周波数が高く、かつねじり強度とのバランス良く確保するために好ましい。
また、このFRP筒体の繊維体積含有率は軽量化、含浸性および物性発現率を考慮して50〜70%が好ましい。
このような構成とした本発明のプロペラシャフトは、適正な引張弾性率を有する強化繊維と筒軸方向に対して最適な巻き角度を有する層を配置しているので、FRP筒体の共振周波数を高くすると共に、十分な捩り強度、円環剛性を有するFRP筒体とすることができるのである。
また、本発明のプロペラシャフトは、前記FRP筒体の少なくとも一方の筒軸方向端部の表層側および/または内層側に筒軸方向に対しで75°〜90°の周方向巻補強層が設けられているものであることが好ましい。
このような構成としたプロペラシャフトは、FRP筒体端部に金属製継手要素を圧入接合する場合、FRP筒体端部の強度と金属継ぎ手要素の接合強度(スリップトルク)を確保するために上記の角度範囲とすることが好ましいものであり、75°よりも小さくなるとFRP筒体端部が金属継ぎ手要素を圧入接合する際、破壊しやすくなるとともに、金属製継ぎ手の接合強度(スリップトルク)の確保が難しくなる。
また、本発明のプロペラシャフトの製造方法は、内径が50〜100mmで、筒軸方向に対して5°〜60°の螺旋巻の層と筒軸方向に対して75°〜90°の周方向巻の層で構成され、少なくとも引張弾性率400〜900Gpaの強化繊維を含み、中央部の厚みが1.5〜5mmであるFRP筒体に継手要素を結合させたプロペラシャフト製造方法であって、前記FRP円筒体をフィラメントワインディング法で成形することを特徴とするものである。
この構成としたプロペラシャフトの製造方法は、適正な引張弾性率を有する強化繊維と筒軸方向に対して最適な巻き角度を有する層を配置しているとともに、フィラメントワインディング法での成形を選択しているので、FRP筒体に要求される共振周波数、捩り強度、剛性等の性能を設計上最大限に発揮させ、さらに人の介在が少ない成形法を選択することによりFRP円筒体の価格の高騰を抑えることができるのである。
以下さらに、本発明に係るプロペラシャフトおよびその製造方法の望ましい実施形態を、主として車両用のプロペラシャフトに本発明を適用した場合について、図面を参照しながら説明する。
図2は本発明の一実施態様に係るプロペラシャフトを構成するFRP筒体を示しており、図1に示したようなマンドレル:11上にFRP筒体を製造するに際し、本発明を適用したもので、特にFRP製プロペラシャフトを製造する場合を示したものであり、図2において、図1に示したようなマンドレル:11上にFRP製の筒状体を形成していく際に、FRP筒体の層構成を示したものである。
FRP筒体は引張弾性率400〜900Gpaの炭素繊維を使用しており、周方向巻補強層:21(テーパー部27を含む)、12°層:23、26、45°層:24、85°層:22、25をフィラメントワインディング法により配置している。
さらに、そのFRP筒体:33の端部に図3に示すように金属製継手:31が圧入され、図4に示すようなプロペラシャフトとされる。
本発明において、FRP層は、補強繊維とマトリックス樹脂からなる。補強繊維としては、炭素繊維、ボロン繊維などを例示できるが、成形品となした場合に、特に優れた機械的特性を示すポリアクリロニトリル系やピッチ系などの炭素繊維を用いることが好ましい。なお、これらの補強繊維は、異なる種類のものを併用することができる。また、同じ種類のものであっても、特性の異なるものを併用することができる。
また、マトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、その他の熱硬化性樹脂を使用することができる。なかでも、耐熱性、耐水性、接着性に優れたエポキシ樹脂を用いることが好ましい。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂などを使用することができる。これらのエポキシ樹脂は、単独または2種類以上を併用して使用することができ、さらには液状のものから固体状のものまで使用することができる。通常、エポキシ樹脂には硬化剤を加えて用いられる。
図5は評価用プロペラシャフト1を示す。FRP筒体2の両端には金属製継ぎ手3a、3bが圧入接合される。金属製継ぎ手には、ねじり試験、インパルス加振試験時の取り付け用孔3cが設けられている。また、金属製継ぎ手の圧入接合部にはセレーション3dが設けられており、圧入時にFRP筒体の周方向巻補強層2aの内面に切り込むことにより、必要な接合トルクを得ることができる。そのためセレーションの外径はFRP製本体筒の内径より大きいことが必要である。ここで図中2bはFRP製本体筒の主層、2cは内径、2dは接合部外径を示し、2eは中央部外径を示す。また2fはFRP製筒体の全長、1aは両端金属製継ぎ手3c孔中心間のジョイント間距離を示す。
図6は評価用プロペラシャフト1の共振周波数の測定方法を示す。評価方法はインパルス加振試験により測定を実施するため、評価用プロペラシャフト1を図6に示す様に、両端の継ぎ手部材3の孔部3cをピン支持する。次いで、FRP筒体2の中央部に加速度センサー9aを取り付ける。この状態で、力センサー9cを内蔵したインパルスハンマー9bにて加振し、力センサー9cと加速度センサー9aの出力を入力チャンネルモジュール9d((株)エー・アンド・デイ社製AD−3651)を介しホストコンピューター9eに取り込み、FFT専用ソフト((株)エー・アンド・デイ社製 WCAMSA)にて伝達関数を求め、表示させることにより、共振周波数を得ることができる。
図7に評価用プロペラシャフト1のねじり評価試験の概要を示す。両端にねじり試験用継ぎ手3a、3bが圧入されたFRP本体筒2は金属製継ぎ手3a,3bの孔部3cを介しねじり試験機のフランジ部に固定される。このとき、一方の可動部フランジ5aは油圧による回転駆動部を有しており試験体へのトルク負荷が可能となる。他方の固定部フランジ5bは試験器ベースに固定され、フランジ部に連結されたロードセル5cから破壊時のトルクを検出することができる。また、FRP筒体の様に試験温度が重要である場合は、図5に示す恒温槽6を用い所定の温度に調節・保持後、ねじり試験を実施した。雰囲気温度は図中6aの温度計より検出した。ねじり試験時の試験速度、温度設定は図中8に示す制御装置により設定される。
実施例1
次に、上記実施形態の項で説明した本発明の構成要件を満足するFRP筒体における効果を確認するために共振周波数、捩り強度の評価を実施した。以下にこれらについて詳細に説明する。
なお、本発明において、破断伸度、引張弾性率 は、JIS R 7601−1986に従って測定されるストランドの破断伸度、引張弾性率であり、メーカーカタログ記載の値を使用する。
試験評価に使用したプロペラシャフト用FRP筒体はフィラメントワインディング法により製造した。強化繊維として炭素繊維束(東レ(株)製“トレカ(登録商標)”M46J、12000フィラメント、引張弾性率430GPa、破断伸度1.0%)、樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた。また、製造に使用したマンドレルは、外径(すなわち、FRP筒体の内径)がφ60mm、全長が2200mmのものを用い、FRP筒体2本(製品長1000mm)を1本のマンドレルから取るようにした。
まず、エポキシ樹脂を含浸させたロービング(炭素繊維を6本引き揃えた束)を、マンドレル:11上でFRP筒体の補強部に相当する端部位置に(図1に示したA、B、Cの位置)に周方向巻補強層(厚さ2mm):21としてテーパー部27を含み、25の内層(厚さ0.2mm)を連続で成形した後、マンドレル面長部全体に渡ってFRP本体筒に相当する螺旋巻き層を連続で成形し、最後に最外層を85°層:22を成形(厚さ0.2mm)する。この時、螺旋巻きの巻角度を12°(各厚さ1mm):23、26、45°(厚さ0.6mm):24とし、積層数を5層(中央部全肉厚3mm)として成形した。
ここで、12°層の厚さは2mmであり、全肉厚に対する比率は67%である。
次に、所定の温度条件にて加熱炉でエポキシ樹脂の硬化を行い、その後、マンドレルから成形品を脱芯した。脱芯後、所定のプロペラシャフト用FRP筒体2本を得るために、切断部で切断した。
FRP製筒体は内径2cが60mm、中央部の外径2eが66mm、端部補強層部の外径2dが70mmで構成され、中央部の肉厚は3mmであり、全長2fは1000mmである。また重量は概1kgであった。必要な特性を評価するため、両端には金属製の継ぎ手部材3a、3bを取り付けた。共振周波数とねじり強度を測定するために、ピン支持が可能となるように、貫通した孔が継ぎ手部材に設けられている。この場合両端のピン孔中心間の距離は自動車でのジョイント間距離1aを形成する。本実施例ではジョイント間距離1aを1100mmと設計し、各継ぎ手部材の孔3c中心からFRP製筒体の端部まで50mmとなる。継ぎ手部材の重量は1ヶあたり1.05kgで合計3.1kgの評価用プロペラシャフトを構成した。金属製継手3a、3bはセレーション部3dを有する。セレーションは、ピッチ約2mm、歯高さ0.9mm、先端R0.04mm、歯先角90度のセレーションを用い、外径は60.40mmに加工した。従って直径で0.4mmの圧入代を有している。この金属製継手3をFRP製円筒体2と圧入接合し、図5に示す評価用プロペラシャフト1とした。
共振周波数の評価方法はインパルス加振試験により測定を実施する。評価用プロペラシャフト1を図6に示す様に、両端の継ぎ手部材3をピン支持する。次いで、FRP製本体筒の中央部に加速度センサー9aを取り付ける。この状態で、力センサー9cを内蔵したインパルスハンマー9bにて加振し、力センサー9cと加速度センサー9aの出力を入力チャンネルモジュール9d((株)エー・アンド・デイ社製AD−3651)を介しホストコンピューターに取り込み、FFT専用ソフト((株)エー・アンド・デイ社製 WCAMSA)にて伝達関数を求め、表示させることにより、共振周波数を得ることができる。伝達関数から曲げ1次の共振点が256Hzと測定された。
次いで、ねじり強度試験を実施した。
図7は、ねじり試験の概要を示す。両端にねじり試験用継ぎ手3a、3bが圧入されたねじり試験用FRP本体筒2はねじり試験機のフランジ部に固定される。このとき、一方の可動部フランジ5aは油圧による回転駆動部を有しており試験体へのトルク負荷が可能となる。他方の固定部フランジ5bは試験器ベースに固定され、フランジ部に連結されたロードセル5cからトルクを検出することができる。このとき最大トルクは3500Nmを示した。
このようにして得られたFRP筒体2を用いたプロペラシャフトは、共振周波数、捩り強度、剛性等の性能を満足することが出来ことができ、捩り強度3500Nmで、端部に金属製継手を取り付けた状態で両端ピン支持した場合の共振周波数が251Hzというほぼ設計値通りの高い値を発現することができた。
また、人の介在が少ない連続成形法であるフィラメントワインディング法で成形したのでFRP筒体の価格の高騰を抑えることができた。
実施例2
試験評価に使用したプロペラシャフト用FRP筒体はフィラメントワインディング法により製造した。強化繊維として炭素繊維束(三菱化学産資(株)製“ダイアリード”K13A10、10000フィラメント、引張弾性率800GPa、破断伸度0.3%と東レ(株)製“トレカ(登録商標)”T700S、12000フィラメント、引張弾性率230GPa、破断伸度2.1%)を組合せ、樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた。また、製造に使用したマンドレルは、外径(すなわち、FRP筒体の内径)がφ60mm、全長が2200mmのものを用い、FRP筒体2本(製品長1000mm)を1本のマンドレルから取るようにした。
まず、エポキシ樹脂を含浸させたロービング(炭素繊維を6本引き揃えた束)を、マンドレル:11上でFRP筒体の補強部に相当する端部位置(図1に示したA、B、Cの位置)にT700Sを使用し周方向巻補強層(厚さ2mm):21としてテーパー部27を含み、25の内層85°(厚さ0.2mm)を連続で成形した後、マンドレル面長部全体に渡ってFRP本体筒に相当する螺旋巻き層を連続で成形し、最後にT700Sを使用して最外層を85°層:22を成形(厚さ0.2mm)する。この時、螺旋巻きの巻角度を12°(各厚さ1mm):23、26、45°(厚さ0.6mm):24とし、12°はK13A10を使用して成形し、45°はT700Sを使用して成形した。中央部の肉厚は3mmの構成となる。ここで引張弾性率400GPa〜900GPaの強化繊維から成る12°層の厚さは2mmであり、中央部肉厚に対する比率は67%である。
次に、所定の温度条件にて加熱炉でエポキシ樹脂の硬化を行い、その後、マンドレルから成形品を脱芯した。脱芯後、所定のプロペラシャフト用FRP筒体2本を得るために、切断部で切断した。
FRP製筒体は内径2cが60mm、中央部の外径2eが66mm、端部補強層部の外径2dが70mmで構成され、中央部の肉厚は3mmであり、全長2fは1000mmである。また重量は概1.1kgであった。必要な特性を評価するため、両端には金属製の継ぎ手部材3a、3bを取り付けた。共振周波数とねじり強度を測定するために、ピン支持が可能となるように、貫通した孔が継ぎ手部材に設けられている。この場合両端のピン孔中心間の距離は自動車でのジョイント間距離を形成する。本実施例ではジョイント間距離2fを1100mmと設計し、各継ぎ手部材の孔3c中心からFRP製筒体の端部まで50mmとなる。継ぎ手部材の重量は1ヶあたり1.05kgで合計3.2kgの評価用プロペラシャフトを構成した。金属製継手3a、3bはセレーション部3dを有する。セレーションは、ピッチ約2mm、歯高さ0.9mm、先端R0.04mm、歯先角90度のセレーションを用い、外径は60.40mmに加工した。従って直径で0.4mmの圧入代を有している。この金属製継手3をFRP製円筒体2と圧入接合し、図5にd示す評価用プロペラシャフト1とした。
前記実施例と同じく、図6のインパルス加振にて、伝達関数を採取し曲げ1次の共振周波数を測定したところ、308Hzの結果を得た。次いで、図7に示すねじり試験機にてねじり強度を測定したところ3500Nmであった。
このようにして得られたFRP筒体は、共振周波数、捩り強度、剛性等の性能を満足することが出来ことができ、捩り強度3500Nmで、端部に金属製継手を取り付けた状態で両端ピン支持した場合の共振周波数が308Hzという実施例1よりもさらに高い共振周波数を発現することができた。
また、人の介在が少ない連続成形法であるフィラメントワインディング法で成形し、曲げ剛性に寄与する積層以外は引張弾性率が標準的な炭素繊維を使用しているのでFRP筒体の価格の高騰を抑えることができた。
比較例1
炭素繊維束(東レ(株)製“トレカ(登録商標)”T700S、12000フィラメント、引張弾性率230GPa、破断伸度2.1%)を使用してマンドレル径60mmを選択し、実施例1と同一の積層構成を配列させてプロペラシャフト用FRP筒体をフィラメントワインディング法で成形した。この時の共振周波数は190Hzとなり250Hzを越える高い共振周波数仕様値を満足することができなかった。このことにより、シャフトの小径化が要求された場合、400Gpa以上の炭素繊維を選択しないと250Hz以上の共振周波数の高いFRP筒体を提供することは極めて困難である。
以上の結果から、共振周波数仕様が高く外径寸法の小さいプロペラシャフト用FRP筒体を得る場合、そのFRP筒体を引張弾性率400〜900Gpaの強化繊維を含み、筒軸方向に対して5〜60°と75〜90°の層で構成し、フィラメントワインディング法で成形することで実現することを確認できた。
マンドレル上でのFRP筒体の成形の様子を示す概略断面図である。 本発明の一実施態様に係るFRP筒体の成形時におけるヘリカル巻層およびフープ巻補強層を示す断面図である。 FRP筒体の端部に金属製継手を圧入したプロペラシャフトで本発明を実施した状態での端部断面図である。 本発明におけるFRP筒体を使用した時のプロペラシャフトの全体図である。 本発明における評価用プロペラシャフトの全体図である 評価用プロペラシャフトの共振周波数測定の概要図である。 評価用プロペラシャフトのねじり試験の概要図である。
符号の説明
1:評価用プロペラシャフト
1a:ジョイント間距離
2:FRP筒体
2a:周方向巻補強層
2b:主層
2c:内径
2d:端部接合部外径
2e:中央部外径
2f:FRP筒体全長
3a、3b:金属製継手
3c:取り付け用孔
3d:セレーション
4:支持台
5:ねじり試験機
5a:可動部フランジ
5b:固定部フランジ
5c:ロードセル
5d:回転部
6 :恒温槽
6a:温度検出部
7 :油圧ポンプ
8 :制御装置
9a:加速度センサー
9b:インパルスハンマー
9c:力センサー
9d:入力チャンネルモジュール
9e:ホストコンピューター
11:マンドレル
12:FRP本体筒
13:所定長に切断するための切断部
21:周方向巻補強層
22、25:85°層
23、26:12°層
24:45°層 27:テーパー部
31、41:金属製継手
32、43:周方向巻補強層
33、42:FRP筒体

Claims (5)

  1. 内径が50〜100mmで、筒軸方向に対して5°〜60°の螺旋巻の層と筒軸方向に対して75°〜90°の周方向巻の層とを有し、少なくとも引張弾性率400〜900Gpaの強化繊維を含み、中央部の厚みが1.5〜5mmであるFRP筒体に継手要素が結合されてなることを特徴とするプロペラシャフト。
  2. 前記FRP筒体の少なくとも一方の筒軸方向端部の表層側および/または内層側に筒軸方向に対しで75°〜90°の周方向巻補強層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプロペラシャフト。
  3. 前記引張弾性率400〜900GPaの強化繊維が筒軸方向に対し5〜15°の螺旋巻きの層を有し、引張弾性率399GPa以下からなる強化繊維層が含まれることを特徴とする請求項1または2記載のプロペラシャフト。
  4. 前記FRP筒体中央部において、前記引張弾性率400〜900GPaの強化繊維からなる層の厚さが全体肉厚の60〜80%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプロペラシャフト。
  5. 内径が50〜100mmで、筒軸方向に対して5°〜60°の螺旋巻の層と筒軸方向に対して75°〜90°の周方向巻の層とを有し、少なくとも引張弾性率400〜900Gpaの強化繊維を含み、中央部の厚みが1.5〜5mmであるFRP筒体に継手要素を結合させたプロペラシャフトの製造方法であって、前記FRP筒体をフィラメントワインディング法で成形することを特徴とするプロペラシャフトの製造方法。
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