JPH10310469A - 誘電体セラミック原料粉末の製造方法および誘電体セラミック組成物 - Google Patents
誘電体セラミック原料粉末の製造方法および誘電体セラミック組成物Info
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- JPH10310469A JPH10310469A JP9117250A JP11725097A JPH10310469A JP H10310469 A JPH10310469 A JP H10310469A JP 9117250 A JP9117250 A JP 9117250A JP 11725097 A JP11725097 A JP 11725097A JP H10310469 A JPH10310469 A JP H10310469A
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Abstract
安定性またはDCバイアス特性に優れ、さらに添加成分
の固溶が十分進められるために構造的な欠陥のない、信
頼性に優れた積層セラミックコンデンサを作製する上で
有用な誘電体セラミック原料粉末の製造方法および誘電
体セラミック組成物を提供する。 【解決手段】 (1)誘電体セラミック原料粉末の主成
分と添加成分の一部とを混合する工程と、(2)前記混
合物を熱処理することにより、前記主成分と前記添加成
分の一部とを反応させる工程と、(3)前記添加成分の
残部を混合する工程とを備えていることを特徴とする。
Description
成物の製造方法および誘電体セラミック組成物に関する
ものである。
積層セラミックコンデンサの誘電体セラミック層を形成
する誘電体セラミック組成物としては、BaTiO3を
主成分とし、これにBi2O3−TiO2、Bi2O3−S
nO2、Bi2O3−ZrO2などのビスマス化合物と希土
類酸化物とを副成分として添加したものが広く知られて
いる。
物とは別に、BaTiO3を主成分とし、これにNb2O
5、希土類酸化物、及びCr、Mn、Fe、Co、Ni
などの遷移金属酸化物を副成分として添加した誘電体セ
ラミック組成物を用いても平坦な誘電率温度特性が得ら
れることが報告されている。
積層セラミックコンデンサの容量温度特性は、JIS規
格のB特性、すなわち−25℃から+85℃の温度範囲
で、+20℃における静電容量を基準としたときの容量
変化率が±10%以内、あるいはEIA規格のX7R特
性、すなわち−55℃から+125℃の温度範囲で、+
25℃における静電容量を基準としたときの容量変化率
が±15%以内であることを満足するものであった。
末としては、高純度のBaTiO3を原料粉末の主成分
として用い、それに残り全ての添加成分を加えて混合し
たものをそのまま原料粉末として使用するか、あるいは
その混合物を一旦熱処理したものを原料粉末として使用
していた。
のB特性及びEIA規格のX7R特性など容量温度特性
の平坦な積層セラミックコンデンサに用いられる誘電体
セラミック組成物(以下、これらを総称してB特性材と
呼ぶ)の微細構造を分析電子顕微鏡(以下、AEMと呼
ぶ)で観察すると、いわゆるコア・シェル構造と呼ばれ
る微細構造を呈していることが知られている。
のようにコア部1とシェル部2に明確な境界3(以下、
コア・シェル境界3とする)が見られる。このような構
造を持つ結晶粒子の粒界から結晶粒子中心にかけて(コ
ア・シェル境界3からコア部1に至るまで)の添加成分
の濃度分布をAEMに付属しているエネルギ−分散型X
線分光器(以下、EDXと呼ぶ)で調べると、図6に示
されるように、コア部1には添加成分がほとんど固溶し
ておらず、ほぼ純粋なBaTiO3からなっているこ
と、一方、シェル部2には高濃度で添加成分が固溶して
いることがわかる。このことは言い換えると、コア・シ
ェル境界3において、添加成分の濃度に大きな差が生じ
ていることを示している。
容量温度特性は図7のように、+100℃付近で容量が
落ち込むように変化しており、容量の安定性からみて不
十分である場合がある。
の直流電圧依存性(以下、DCバイアス特性と呼ぶ)は
大きいため、上記のような構造を呈する誘電体セラミッ
ク組成物を用いた場合のB特性材のコンデンサのDCバ
イアス特性は一般に悪い。例えば、定格電圧50VでM
IL規格のBX特性、すなわち定格電圧印加時の容量温
度特性が、−55℃から+125℃の温度範囲で、+2
5℃における静電容量を基準としたときの容量変化率が
+15%から−25%の範囲内にあることを満足するよ
うな積層セラミックコンデンサを作製する場合には、誘
電率が約1800程度のとき誘電体セラミック層は25
μm以上に厚くする必要があり、コンデンサの小型化に
対する障害となっていた。
ラミック組成物は、添加成分の固溶が不十分な場合が多
く、焼成後の組織において異相が生じたり、特に積層セ
ラミックコンデンサとした場合、主成分のBaTiO3
中への固溶が十分に進まず粒界に取り残された添加成分
が内部電極と反応し、内部電極が切れ切れになったり、
さらにはデラミネ−ションが生じることもあって問題と
なっていた。
B特性材に比べて特に容量温度特性の安定性またはDC
バイアス特性に優れ、さらに添加成分の固溶が十分進め
られるために上述のような構造的な欠陥のない、信頼性
に優れた積層セラミックコンデンサを作製する上で有用
な誘電体セラミック原料粉末の製造方法を提供すること
にある。
な特性を満足する誘電体セラミック組成物を提供するこ
とにある。
的に鑑みてなされたものである。本願第1の発明の誘電
体セラミック原料粉末の製造方法は、(1)誘電体セラ
ミック原料粉末の主成分と添加成分の一部とを混合する
工程と、(2)前記混合物を熱処理することにより、前
記主成分と前記添加成分の一部とを反応させる工程と、
(3)前記添加成分の残部を混合する工程とを備えてい
ることに特徴がある。
ラミック組成物は、その微細構造において、従来のよう
なコア・シェル境界での添加成分濃度の大きな変化を持
たず、結晶粒界から結晶粒子中心に至るまで連続的な濃
度分布を持つ。
が、まず添加物間で準安定な中間生成物を生成する反応
が生じ、それから生成した中間生成物とBaTiO3と
の反応が起こるという経路で進むため、BaTiO3中
への添加物の固溶が進みにくく、添加物はBaTiO3
の結晶粒界近傍に局在するのに対して、本願第1の発明
の製造方法を用いて作製された誘電体セラミック組成物
においては、固溶を阻害する中間生成物を生成しないよ
うに添加物を選択して、予めその添加物だけをBaTi
O3と反応させるため、添加物のBaTiO3中への拡散
が進み、従って、後に加える固溶を抑える添加物の影響
を受けにくく、焼成時にも予め反応させた成分がさらに
BaTiO3中へ固溶する。その結果、コア部、シェル
部双方の相変態が分散して広い温度範囲で連続して起こ
り、その重ね合わせの効果により+100℃付近のTC
の落ち込みが解消される。
末の製造方法においては、前記(1)の主成分はBaT
iO3であることに特徴がある。
末の製造方法においては、前記(1)の添加成分の組成
は、Bi2O3、TiO2であることに特徴がある。
2O3、TiO2とすれば、均質なコア・シェル構造の形
成および誘電体セラミック組成物の低温焼結化の点で有
効である。
は、結晶粒がコア・シェル構造を有する誘電体セラミッ
ク組成物であって、前記誘電体セラミック組成物中の添
加成分は、コア・シェル境界からコア部に至るまで濃度
勾配を有することに特徴がある。
分の組成は必ずしも限定されるものではない。代表的な
ものとしては、BaTiO3、SrTIO3、CaTiO
3などがある。
合するときの添加成分の添加量は特に限定されるもので
はなく、所望の特性を満足するように調整すればよい。
種類のうちの一部の種類を意味するものである。
の組成は必ずしも限定されるものではなく、上述したよ
うな微細構造が実現できる添加成分であれば何でも良
い。具体的には、例えばBi2O3とTiO2を添加した
ものや、PbOとTiO2を添加したもの、またNb2O
5を添加したものなどが挙げられる。PbOとTiO2を
添加したもの、またNb2O5を添加したものについても
同様の効果が得られることは発明者によって確認してい
る。
質的な濃度勾配を有するとは、コア・シェル境界部での
添加成分濃度の大きな変化を持たず、結晶粒界から結晶
粒子中心に至るまで添加物が連続的な濃度分布を持つこ
とを意味するものである。よって、一定の濃度勾配でな
くても構わない。
明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるもの
ではない。
順について述べる。出発原料として、主成分であるBa
TiO3と、添加成分の一部であるBi2O3、TiO2を
用意し、これらの出発原料を97.8BaTiO3−
2.2Bi4Ti3O12(モル%)に換算した組成比とな
るように秤量し、純水を加えてボ−ルミルで16時間湿
式混合粉砕した後、蒸発乾燥して混合粉末を得た。
気中で1000℃、2時間仮焼した後、200メッシュ
の篩を通過するように粗粉砕して、Bi4Ti3O12によ
る変性BaTiO3(以下、変性BTとする)した。な
お、この作業は必要に応じて添加するBi2O3、TiO
2をいくつかに分けて上記の作業を複数回繰り返して行
ってもよい。
ミックコンデンサの場合で、Ag/Pd=70/30
(重量%)の内部電極が使用可能な1140℃以下にす
る焼結助剤(低温焼結用)として、組成が8BaO−6
SrO−6CaO−30Li2O−50SiO2(モル
%)の組成比で表される酸化物ガラスを用いた。
料として、工業用原料であるBaCO3、SrCO3、C
aCO3、Li2O、及びSiO2を用意し、これらの出
発原料を上記の組成比となるように秤量し、純水を加え
てボ−ルミルで16時間湿式混合粉砕した後、蒸発乾燥
して混合粉末を得た。
入れて1300℃の温度で1時間放置し、その後急冷し
てガラス化した。これを200メッシュの篩を通過する
ように粗粉砕したものを焼結助剤とした。
iO3および上記焼結助剤と、温度特性を整え、絶縁抵
抗を高めるために添加成分の残部である以下のZnO、
Nb2O5、Nd2O3、MnO2、NiO、TiO2を、次
の組成式、96.00変性BT−0.45ZnO−0.
80Nb2O5−0.85Nd2O3−0.15MnO2−
0.05NiO−1.00TiO2−0.70酸化物ガ
ラス(焼結助剤)のような組成比(重量%)となるよう
に秤量し、純水を加えてボ−ルミルで8時間湿式混合粉
砕した後、蒸発乾燥したものを乾式解砕して誘電体セラ
ミック原料粉末とした。なお、添加成分の残部としては
TiO2を必ずしも添加しなくてもよい。
加成分を本実施例と同じ組成比となるようにBaTiO
3に対して同時に添加したものを、同じ粉砕混合条件、
仮焼条件、解砕条件で処理した誘電体セラミック原料粉
末も作製した。
インダ−と、可塑剤及び分散剤と、トルエン及びエチル
アルコ−ルなどの有機溶剤とを加え、さらに比較例につ
いては実施例と同じ組成比となるように焼結助剤を加え
てボ−ルミルで16時間湿式混合した後、ドクタ−ブレ
−ド法によりシ−ト成形を行った。得られたグリ−ンシ
−トの厚みは26μmであった。これに内部電極パタ−
ンをAg/Pd=70/30(重量%)のペ−ストを用
いてスクリーン印刷した後、それらを6層積み重ねて、
積層セラミックコンデンサの外層部となるダミ−シ−ト
と共に、60℃、2000kg/cm2で熱圧着し、そ
の圧着体から長さ5.5mm、幅4.5mm、厚さ1.
2mmの成形体を切り出した。
並べて焼成炉内に入れた。これを350℃まで緩やかに
昇温し、その温度で3時間保持して有機バインダ−成分
を除去した後、1130℃まで昇温し、その温度で3時
間保持して焼結体を得た。本実施例および比較例ともに
焼結体の密度は5.78g/cm3であり、焼結後の密
度を同じ条件で作製した円板状の焼結体と比較すれば十
分焼結していることが確認された。なお、焼結後の誘電
体セラミック層の厚みは20μmであった。
gを焼き付け、測定試料(積層セラミックコンデンサ)
とした。本実施例および比較例のそれぞれの積層セラミ
ックコンデンサについて、その室温での誘電率(ε
r)、誘電損失(tanδ)、容量温度特性(TC)お
よび直流電圧印加時の容量温度特性(バイアスTC)を
測定した。なお、このときεr、tanδ、TCおよび
バイアスTCは1kHz、1Vrmsの条件下で測定し
た。測定個数はεr、tanδについては20個、TC
については4個である。また、TCは−55℃から15
0℃の温度範囲について測定し、25℃での静電容量を
基準として容量変化を求めた。バイアスTCは50Vの
直流電圧を印加しながら容量温度特性を測定し、DCバ
イアスを印加せずに測定した通常の容量温度特性での2
5℃の静電容量の値を基準として容量変化率を求めた。
焼成した円板状の焼結体を機械研磨後、イオンミリング
により薄膜に加工し、TEM観察を行った。加えてTE
Mに付属するEDXにより結晶粒内におけるBi濃度分
布を調べた。
36個の積層セラミックコンデンサについて信頼性試験
を行った。試験条件は150℃で定格の2倍の直流電圧
(2WV)を印加したもの、150℃で定格の4倍の直
流電圧(4WV)を印加したもの、および175℃で定
格の2倍の直流電圧(2WV)を印加したものの3通り
で行った。試験結果の一覧を表1に示す。
の積層セラミックコンデンサは比較例に比べて非常に平
坦な温度特性を示し、A特性及びY6E特性を満足す
る。
アスTC)においても定格電圧50Vとした場合にBX
特性を満足し、比較例より大きく改善されていることが
わかる。
ては、試験条件が過酷になるにつれて不良発生数が増大
しているのに対し、本実施例は試験条件の如何にかかわ
らず、試験実施後2000時間経過しても不良が発生し
ておらず、高い信頼性を有することがわかる。
造及びその製造方法にあることを確認するため、本実施
例における誘電体セラミックの微細構造をTEM観察し
たものを図1に示す。これを見ると、従来のB特性材の
微細構造(図5)において見られたような明確なコア・
シェル境界を示していないことがわかる。この原因を調
べるため結晶粒内のBiの濃度分布を調べたものを図2
に示す。従来のB特性材における濃度勾配の形状(図
6)に比較して緩やかであり、コア部、すなわち強誘電
体に見られるドメイン構造を示す領域の中心部に至るま
でBiが固溶していることがわかる。そのために明確な
コア・シェル境界を示さない。
セラミック組成物を用いた積層セラミックコンデンサに
おいては、容量温度特性及びDCバイアス特性が改善さ
れ、本実施例に示した電気特性が発現する。ちなみに本
実施例で得られた容量温度特性(TC)、及び直流電圧
印加時の容量温度特性(バイアスTC)の測定結果を図
3、及び図4に示す。
造方法を用いれば、JIS規格のA特性、すなわち−2
5℃から+85℃の温度範囲で、+20℃における静電
容量を基準としたときの容量変化率が±5%以内、ある
いはEIA規格のY6E特性、すなわち−30℃から1
05℃の温度範囲で、+25℃における静電容量を基準
としたときの容量変化率が±4.7%を満足するように
なり、従来のB特性セラミックコンデンサに比べて優れ
た容量温度特性の安定性を示すセラミックコンデンサが
得られる。
ることで、コア部のBaTiO3のDCバイアス特性が
改善され、誘電率が約1800程度で、定格50VのB
X特性を満足する積層セラミックコンデンサを作製する
場合、誘電体厚みは従来のものに比べて薄くすることが
可能であり、積層セラミックコンデンサの小型化に大き
く寄与できる。
に進むことで、特に積層セラミックコンデンサとした場
合、内部電極と添加成分の反応といった構造的な欠陥の
要因を無くし、従来のものに比べて信頼性に優れるもの
が得られる。
鏡による微細構造を示す図。
Biの濃度分布を示す図。
性を示す図。
加時の容量温度特性を示す図。
による微細構造を示す図。
iの濃度分布を示す図。
を示す図。
Claims (4)
- 【請求項1】(1)誘電体セラミック原料粉末の主成分
と添加成分の一部とを混合する工程と、(2)前記混合
物を熱処理することにより、前記主成分と前記添加成分
の一部とを反応させる工程と、(3)前記添加成分の残
部を混合する工程と、を備えていることを特徴とする誘
電体セラミック原料粉末の製造方法。 - 【請求項2】 前記(1)の主成分はBaTiO3であ
ることを特徴とする請求項1に記載の誘電体セラミック
原料粉末の製造方法。 - 【請求項3】 前記(1)の添加成分の組成は、Bi2
O3、TiO2であることを特徴とする請求項1または請
求項2に記載の誘電体セラミック原料粉末の製造方法。 - 【請求項4】 結晶粒がコア・シェル構造を有する誘電
体セラミック組成物であって、前記誘電体セラミック組
成物中の添加成分は、コア・シェル境界からコア部に至
るまで濃度勾配を有することを特徴とする誘電体セラミ
ック組成物。
Priority Applications (1)
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JP11725097A JP4730796B2 (ja) | 1997-05-07 | 1997-05-07 | 誘電体セラミック原料粉末の製造方法および誘電体セラミック組成物 |
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