JPH10309313A - 形状記憶生体内分解吸収性材料 - Google Patents

形状記憶生体内分解吸収性材料

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JPH10309313A
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    • A61B2017/00867Material properties shape memory effect

Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体組織を火傷させることなく、その縫合、
吻合、結紮、接合、再建、補綴などの処置を簡単に行う
ことができ、MRIやCTのハレーション現象を生じる
ことがなく、生体内に残ることもない、形状記憶生体内
分解吸収性材料を提供する。 【解決手段】 乳酸系ポリマーの成形体からなり、所定
温度以上に加熱するとその形状が外力を加えなくても記
憶した形状に復元される材料であって、乳酸系ポリマー
の所定形状の成形体(一次成形体)を、そのガラス転移
温度より高く結晶化温度(結晶化温度がない場合は10
0℃)より低い温度で別の形状の成形体(二次成形体)
に変形処理し、そのままガラス転移温度より低い温度に
冷却してその形状を固定したものである。この材料は上
記の変形処理温度以上に再加熱すると、瞬時に元の所定
形状の成形体に形状が復元され、生体内で乳酸系ポリマ
ーが加水分解されて吸収される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、再加熱により元の
形状に復元し生体内で分解吸収される、形状を記憶した
生体内分解吸収性材料に関する。
【0002】
【従来の技術】生体に埋入して使う材料(インプラント
材料)には金属、バイオセラミック、高分子材料および
生体由来材料と、そのハイブリット材料などがある。
【0003】これらは、また、生体内で機能を果たした
後に徐々に分解して体内に吸収され体外に排出される所
謂吸収性材料と、本質的に体内で分解されずにそのまま
残留する非吸収性材料に別けることができる。
【0004】非吸収性の人工材料(合成材料)は、長期
間体内に残存すると、生体との物理的、化学的(生理
的)性質の相違から、あるいは腐蝕による毒性の発現か
ら、好ましくない異物反応を起こす危惧があるために、
時として摘出手術可能な部位では再手術による排除がな
される。これは患者に対し二度の手術の苦痛を与え、ま
た更なる経済面の負担を荷すので、出来るならばこれに
代わる再手術が不要な生体材料の開発が望まれている。
【0005】これに応えるものが生体内分解吸収性の生
体材料であるが、非吸収性である金属、セラミック、ポ
リマ−などの全てのインプラント材料を代替するほど
に、それらの物性を全て兼ね備えた種々の吸収性材料が
あるわけではないので、一つずつ、これらを代替するた
めの研究開発がなされている。
【0006】手術用の縫合糸や生体の破損、切断された
部位を止め合わせるための金属材料(ステンレス、チタ
ン、銀、白金)は、手術後に生体内に残される生体材料
である。縫合糸の選択は、組織障害、組織抗張力、縫合
合併症などの恐れ、体液の縫合糸に与える影響、感染の
存在などを配慮して決められる。
【0007】絹糸は筋膜や腹膜、ナイロン糸は皮膚や神
経、ポリエステル糸は心臓や腱、ポリプロピレン糸は神
経や血管などの吻合に用いられるのが一般的である。合
成吸収性縫合糸(ポリグリコ−ル酸系)は、これらの部
位のみならず消化管などにもよく使われる。
【0008】しかし、高い強度を要する部位に対しては
ステンレス鋼やチタンなどのワイヤ−(金属線)などが
用いられている。ところが、この金属材料は手術の状態
や術後の患部の治癒状態を見るための手段として、最
近、急激にその利用の頻度が増しているMRI(Magnet
ic Resonance Images) あるいはCT(Conputer Tomog
raphy) に対して、反射する光線が原因で写真のぼやけ
(halation)現象が生ずるので、これによる画像診断に
支障をきたしている。この事実は、金属線を代替する縫
合、吻合あるいは結紮のための新しい材料の開発を要求
するものである。
【0009】また、上述した各種の縫合糸は、手術の場
で多様に使い分けられているが、多くの場合、手術の中
枢とは別の止血や切開部位の縫合、吻合のための作業に
用いられる。しかし、場合によってはこの作業に要する
時間が手術時間の大半を占めることがよくあるので、よ
り簡易な方法で処置できる縫合、吻合、結紮材料の開発
が要求されている。
【0010】例えば、切断された腱を接合するのに縫合
糸を用いて縫い合わす方法が採られているが、方式はま
すます複雑化する傾向にあるので、これに代わる接合材
と簡易な方式が望まれている。また、胸腔、腹腔などの
部位の手術では50本以上の血管が切断されることも多
々あり、止血のためや、術後にこれを結紮するために少
なくとも100回以上の縫合、結紮が必要となるので、
より簡易に処置できる方法と材料の開発が望まれてい
る。しかも、従来の非吸収性材料は、血管を結んだ後も
血管が自然に別の経路に再生出来ることと、金属のクリ
ップやステ−プルあるいは各種の縫合糸を取り除くため
に生体を再び切開することの煩雑さと危険性のために、
また、切開すれば再び縫合しなければならないというジ
レンマのために、生体内にそのまま放置されることが常
である。そこで、この目的に使われる材料が生体内で分
解吸収されて体外に排出される生体材料であるならば、
これらの問題を回避できるので理想的である。
【0011】斯かる目的のために、生体内分解吸収性ポ
リマ−であるポリグリコ−ル酸、ポリ乳酸、グリコ−ル
酸−乳酸共重合体、ポリジオキサノンからできたステ−
プルやクリップが、ポリマ−の物理強度を考慮した特殊
な形状につくられ、特殊な治具を用いて物理的にコ−キ
ングできるように工夫されて、手術の現場で使用されて
いる。しかし、これらは取扱いが煩雑であるという問題
と物理的な強度が金属におよばないので、金属製のもの
よりもかなりサイズが大きなものとならざるを得ず、ま
た、金属のように延性がないので、しっかりとかしめる
ことができないという欠点を残している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記の実情に
応えるために創意工夫されたもので、医療用の補綴材、
充填材、或は足場(scaffold)用の材料はもとより、切
断された血管の結紮(止血)や吻合、切開部位の縫合、
切断された腱の接合、折損した骨の固定、接合など、生
体組織の結紮、吻合、縫合、固定、接合その他の処置を
極めて簡単且つ確実に行うことができ、MRIやCTに
おけるハレーション現象が生ずることもなく、さらには
コントロールされた薬物の放出や組織工学(tissue eng
ineering)の基材としても有効であり、生体内に放置し
ても加水分解されて生体内に吸収されてしまう、新規な
生体内分解吸収性材料でつくられた形状記憶性をもつイ
ンプラント材料を開発することを課題とする。
【0013】尚、形状記憶材料としては、ノルボルネン
系、トランス−ポリイソプレン系、スチレンブタジエン
共重合体系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリ
ウレタン系、ポリアクリル系などの合成ポリマーや、セ
ルローズ繊維、タンパク繊維などの天然ポリマーが開発
されているが、これらはいずれも生体内で分解され吸収
される材料ではなく、本発明のように生体適合性をもつ
材料として認知されている生体内分解吸収性材料を形状
記憶材料として仕上げ、これを生体に埋入して用いるよ
うにした実用レベルの例は未だ存在しない。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記課題を達成する本発
明の基本的な形状記憶生体内分解吸収性材料は、乳酸系
ポリマーの成形体からなり、所定温度以上に加熱すると
その形状が外力を加えなくても記憶した形状に復元され
ることを特徴とするものである。即ち、乳酸系ポリマー
からなる所定形状の成形体を、そのガラス転移温度(T
g)よりも高く結晶化温度(Tc)(結晶化温度がない
場合は100℃)より低い温度(Tf)で別の形状の成
形体に変形処理し、そのままガラス転移温度(Tg)よ
り低い温度に冷却してその形状を固定した生体内分解吸
収性材料であって、上記の変形処理温度(Tf)以上に
再び加熱すると元の所定形状の成形体に形状が復元され
るものである。
【0015】ここに、「変形処理」とは、拡張変形、延
伸変形、圧縮変形、曲げ変形、捻り変形、あるいはこれ
らの複合変形など、成形体の形状を変える全ての処理、
操作を意味する。
【0016】一般に形状記憶性能を有するポリマーの分
子集合体の構造形態は、ポリマー分子の流動性を抑制し
て成形体の形状を固定する作用をする固定相と、ある温
度を境にして温度を上下することに伴いポリマー分子が
流動・固化することによって軟化と硬化の現象を繰り返
すことのできる可逆相の部分からできている。
【0017】固定相の形成を決定する化学的要因は、個
々の直鎖状ポリマー分子鎖間の相互作用の形式や相互作
用の密度の大小と形態、あるいは分子鎖の絡みなどに依
存するものである。
【0018】ポリマーの分子鎖間相互作用は共有結合、
配位結合、イオン結合などの強い一次結合によるもの
と、クーロン力、水素結合、ファンデルワールス力など
の比較的弱い二次結合力によるものに別けられる。拘束
相(固定相)と流動相(可逆相)がこれらのうちのどの
分子間相互作用の形式によって成り立つものであるか
は、ポリマーを形成するモノマーの化学構造と配列ある
いはその立体的特異性などの固有の性質によって決ま
る。このポリマー分子鎖間の相互作用(結合力)の違い
によって、高分子集合体はゴム相、ガラス相、結晶相を
形成する。そして、これらの相が単独で存在するポリマ
ーもあれば、複数に存在するポリマーもある。
【0019】形状記憶性能をもつポリマーは、ガラス転
移温度(Tg)の上下で弾性率が大きく変化する性質を
もつので、これを利用して形状が記憶される。即ち、一
般的なプラスチックの成形法によって、ある形状(原
形)を賦与された成形物(一次成形物)を、そのポリマ
ーのTgより高く溶融温度(Tm)より低い温度(T
f)に加熱して軟化させ、原形とは別の形状に変形させ
る。この形を保持しながらTgより低い温度に冷却して
形状を固定する(二次成形物)。その後、再び二次成形
した温度(Tf)以上、Tm以下の温度に加熱すること
で二次成形時の形状を消却して、一次成形物である原形
に形状を回復させる。斯かる過程によって一時的に二次
形状を賦され、また再び原形に戻る性能がポリマーの形
状記憶である。
【0020】このとき、Tgを境にした温度の上下で大
きな弾性率の変化を示すガラス質のポリマーが、別の形
状の固定と消却、および、ある形状への回復に最も有効
なものの一つである。つまり、形状の消却と完全に近い
原形への回復が効率的に行われるポリマーの一つであ
る。本発明に用いる乳酸系ポリマーには、弾性率
(E′)がTgを境にして150倍以上変化するものが
多々あるので、形状記憶材料として好適である。
【0021】可逆相がガラス相よりも流動的であるゴム
相のみの場合のように、流動相のみからなるポリマーで
は上記の性質は得られない。しかし、分子間に架橋部分
を有するゴム相単独あるいはガラス相や結晶相がこれに
混在した複数の混合相で構成された場合には、形状記憶
・回復性能を示すポリマーが存在する。但し、正確に二
次賦形を固定できて、完全に原形に回復できるかという
賦形と記憶回復の機能と回復の温度が、医療用途に使え
る実用の範囲であるかどうかという点で、幾分かの不満
が残されるかも知れない。
【0022】逆に結晶相は固定相となるものであり、こ
の相のみで構成されたポリマーに形状記憶性能を求める
ことはできない。常温にて結晶相とゴム相(殊に部分的
に架橋されたゴム相)からなるポリマーの分子集合体、
あるいは結晶相とガラス相が混在したポリマーの分子集
合体の場合にも形状記憶性能を発現するものは存在す
る。
【0023】さて、生体内分解吸収性ポリマーのうち
で、生体適合性に優れ、安全性があって、生体内での使
用が認知されており、インプラント材料としての実用経
験のあるポリマーの代表的なものに、いくつかのポリ
(α−オキシ酸)がある。ポリグリコール酸は、Tm
(溶融温度)が230℃(225〜235℃)、Tgが
36℃(45〜50℃)、ポリ−L−乳酸はTmが18
9℃(195℃)、Tgが56℃(55〜65℃)の結
晶性(結晶化温度をもっている)のポリマーである。但
し、括弧内は異なる文献の値である。
【0024】これらのポリマーは基本的に結晶相と非晶
相(ガラス相)で構成されており、熱処理の仕方によっ
ては全くの非晶性にすることはできるが、加熱により成
形可能な流動性を与えて成形(変形)する過程で結晶性
(一部非晶性のガラス相が混在する)のポリマーに落ち
着くことは避けられない。これはポリマーの構成分子の
単位であるモノマーの化学構造(同一異性体からなる)
に起因するものであり、不可避な現象であるから、これ
らのポリマーは本質的に結晶性のポリマーに属するもの
である。
【0025】単一重合体(ホモポリマー)であるポリグ
リコール酸とポリ乳酸は本質的に結晶性のポリマーであ
るが、実体は結晶相とガラス相からなるポリマーであ
り、Tgが比較的高いけれども、Tgより高く結晶化温
度(Tc,Tc<Tm)より低い温度にて、先記した二
次賦形のための変形処理を行い冷却固化すると形状を記
憶することはできる。しかし、そのときの温度は結晶相
が混在しているために、例えば100℃以上の高温を要
し、また処理中に結晶化が進行して結晶化度が上昇する
ために形状の回復に100℃以上の高温を要したり、回
復が完全でないという欠点を有しているので、本質的に
は実用的な(特に医療用のインプラントとしての)形状
記憶ポリマーになり得るものとは言えないかも知れな
い。
【0026】乳酸には光学異性体であるS(L)体とR
(D)体がある。ポリ乳酸はこれらの乳酸からオリゴマ
ーをつくり、次いで環化された二量体(ラクチド)をつ
くり、更にこれを開環重合してポリ乳酸にする方法によ
って通常は合成されている。L体(又はD体)のみの乳
酸でつくられる上記のポリ−L−乳酸(又はポリ−D−
乳酸)は、その立体特異性に由来して本質的に結晶性の
ポリマーであり、分子鎖はα−ヘリックス構造をとって
いる。
【0027】乳酸の環化二量体にはL体とL体、D体と
D体、および実際に抽出分離は困難ではあるがL体とD
体(メソ体)からなる三種のラクチドが存在する。これ
らは各々L−ラクチド、D−ラクチド、DL(メソ)−
ラクチドと称される。L−ラクチドとD−ラクチドを所
定比率混合して開環重合すればポリ−D,L−ラクチド
(ポリ−D,L−乳酸)が合成できるが、その比率が5
0/50(モル比)のときのD体、L体混合のポリマー
をポリ−D,L−乳酸と通常は呼称している。しかし、
その比率が異なるものもまた広義のポリ−D,L−乳酸
である。
【0028】D体とL体の比率が異なる場合、その比率
の多い方のラクチドがブロック状に連結された部分であ
るセグメントを形成する要因となる。L−ラクチドとD
−ラクチドが等モル比で連結したポリ−D,L−ラクチ
ドの最も短いモノマーの連結単位は−(L−L−D−
D)−であり、かかる光学異性体の連結の最小単位はポ
リマー分子鎖間の相互作用を程良く乱すために、L体あ
るいはD体のみのポリマーのように結晶性のポリマーを
形成できず、本質的に非晶性である常温でガラス質のポ
リマーをつくる。これがゴム質のポリマーをつくらない
のは、モノマーである乳酸の化学構造の極性と非極性の
適当なバランスに起因している。このD体とL体の比率
が50/50(モル比)であるポリ−D,L−乳酸のT
gは57℃(55〜60℃)である。
【0029】本発明は斯かるポリ−D,L−乳酸の化学
構造と配列、相構造、Tgの値、物理的諸物性および生
体内での分解と全吸収の性状に着目、勘案して、生体内
分解吸収性の形状記憶材料としての有効性を見定め、生
体内に埋入可能なインプラント材料としての実用を目的
として完成されたものである。
【0030】本発明は以下の事実の認識、把握に基づい
ている。即ち、ポリ−D,L−ラクチドを基本成分とす
る乳酸系ポリマーからなる成形体は、流動性を防止して
成形体の形状を固定する構造部分(固定相)と、ポリマ
ーのガラス転移温度(Tg)を境にして温度を上下する
ことにより硬化と軟化を繰り返す構造部分(可逆相)を
有している。そのために原形物を溶融成形した後にTg
以下に冷却することによって、固定相と可逆相が固定化
されて一次成形体の形状(原形)が維持される。この一
次成形体をTgより高くTcより低い温度(Tf)に再
び加熱して変形すると、可逆相のみが流動して別の形状
の成形体に変えることができる。これをそのままTg以
下の常温に冷却すると、可逆相が固定化されて原形とは
別の形状物(二次成形体)が得られる。斯かる二次成形
体を更に再びTf以上(Tc以下)の温度に加熱する
と、可逆相が再び流動して、固定相によって記憶されて
いた元の形状(一次成形体の原形)に復元される。
【0031】この場合の乳酸系ポリマーは、形状回復温
度が45〜100℃の範囲にあるものが適している。つ
まり、Tgが45〜100℃である乳酸系ポリマーが、
生体内に埋植して使用する生体内分解吸収性のインプラ
ント材料として有用である。この温度範囲の制限は以下
の理由による。
【0032】一般にプラスチック製の滅菌を必要とする
医療材料は、耐熱性である小数のポリマー材料を除け
ば、一部γ線による滅菌もあるが、大概エチレンオキサ
イドガス(EOG)で滅菌される。EOG滅菌の下限温
度は40〜45℃であるから、滅菌時の温度で形状が回
復しない温度をもつ必要がある。また、製品が保管貯蔵
中に形状を回復してはいけないので、夏期の気温に出来
るだけ耐え得る温度の下限である45℃以上のTgを有
するポリマーを選択しなければならない。
【0033】一方、高温域は生体内で形状を回復する熱
処理をすることから上限が決められる。二次成形体を生
体に埋入して、熱処理によって原形に復元するときの加
熱には、レーザー、超音波、高周波、赤外線などの手段
や、熱風、温水などの熱媒による直接加温の方法が考え
られるが、生体組織がこのとき火傷しないことが必要で
あるから、出来るだけ低い温度で加熱しなければならな
い。数秒以内の短時間の加熱であれば100℃の熱媒の
接触でも火傷の危惧は少ないので、この温度を上限とし
て設定できる。但し、より安全には45〜70℃、好ま
しくは50〜65℃の加温により形状を回復できるのが
良い。それ故、形状記憶の回復温度の範囲を45〜10
0℃と設定した。
【0034】さて、乳酸系ポリマーのうちで極めて好適
なものは先記したポリ−D,L−乳酸である。このポリ
−D,L−乳酸は、D−ラクチドとL−ラクチドの混合
物を比率を変えて開環重合して得られた共重合体でもよ
く、DL−ラクチドを開環重合して得られた共重合体で
もよく、L−乳酸とD−乳酸の混合物を重合して得られ
た共重合体でもよく、これらの共重合体の混合物でもよ
い。
【0035】かかるポリ−D,L−乳酸は、基本的に非
結晶性のガラス質のポリマーであるため、ガラス転移温
度より高い温度で変形容易な弾性特性を示し、高倍率に
拡張変形、延伸変形、圧縮変形、捻り変形などが可能で
あって、しかも形状の復元の度合(形状回復率)が殆ど
100%に近く、主として分子量と若干の結晶相の介入
によって強度を調節することができ、また、非晶性であ
るがために結晶性のポリ−L−乳酸などに比較すると生
体内での加水分解が速いといった利点を有する。
【0036】その他、ガラス質の非晶性ポリ−D,L−
乳酸に対して結晶性のポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳
酸、ポリグリコール酸あるいは非晶性のポリジオキサノ
ン、ポリカプロラクトン、ポリトリメチレンカーボネー
トなどの生体内分解吸収性のポリマーを一部混合しても
よい。また、乳酸−グリコール酸共重合体、乳酸−ジオ
キサノン共重合体、乳酸−カプロラクトン共重合体、乳
酸−エチレングリコール共重合体、乳酸−プロピレン共
重合体、ラクチド−エチレンオキシド/プロピレンオキ
シド共重合体(但し、乳酸、ラクチドはL−、D−、D
L−、D,L−のいずれでもよい)などのラクチドに生
体内分解吸収性をもつモノマーを共重合して得た、本質
的に非晶質の形状記憶回復性能をもったポリマーを、単
独あるいは混合して好適に用いることができる。
【0037】このような結晶性のホモポリマーを混合し
て用いることの利点は、材料としての種々の物理的強度
が上がること、変形ならびに記憶形状の回復温度を上昇
できること、生体内での分解の速度、全吸収に要する期
間を調節できることなどである。また、分子内に吸収性
のモノマーを共重合させる利点は、分子鎖内モノマーの
化学配列の周期を乱すことと、分子鎖間の相互作用を乱
すことによって、結晶性のポリマーを非晶性に変えるこ
とが出来るので、それぞれに特徴をもった形状記憶回復
性能を付与でき、また分解・吸収の速度も調整できるこ
とである。
【0038】本発明の今一つの技術的裏付けは、二次賦
形の温度がこれらの生体内分解吸収性ポリマーを成形時
に劣化させない温度であることである。これらのポリマ
ーは通常の成形方法である射出成形、押出成形、圧縮成
形などでTm以上で成形すると容易に劣化する。例えば
初期に40万の分子量のポリマーが1/10の分子量に
低下することが常である。しかし、本発明のTfではほ
とんど劣化がない。そのため原形への形状回復率が非常
に高くなり、形状記憶の良好な材料が得られるわけであ
る。
【0039】以上の材料は、生体内で用いる部位や使用
目的に応じて、記憶させる形状、つまり元の成形体の形
状を、筒形状、リング状、糸状、棒状、プレート状、異
形状など種々決定し、これを使用しやすい別の形状に変
形処理することによって、例えば、後述する血管結紮用
材料、血管吻合用材料、腱接合用材料、骨接合用材料、
縫合用材料、血管再狭窄防止用材料、髄孔内でのボーン
セメント流出防止用材料、その他の生体組織処置材料と
して好適に使用することができる。しかも、この材料は
生体内分解吸収性の乳酸系ポリマーより成るものである
から、体内に放置しても経時的に加水分解されて体内に
吸収され、体外に排出されるので、異物として残ること
がない。また、非金属である乳酸系ポリマーはMRIや
CTのハレーション現象を生ずることもない。
【0040】上記の形状記憶生体内分解吸収性材料は、
乳酸系ポリマーからなる元の成形体の変形処理を一度だ
け行ったものであるが、変形処理を再度繰り返して行っ
てもよい。即ち、乳酸系ポリマーからなる所定形状の成
形体を、そのガラス転移温度より高く結晶化温度(結晶
化温度がない場合は100℃)より低い温度で別の形状
の成形体に変形処理し、そのままガラス転移温度より低
い温度に冷却してその形状を固定した後、この成形体を
ガラス転移温度より高く上記の変形処理温度より低い温
度で更に別の形状の成形体に変形処理し、そのままガラ
ス転移温度より低い温度に冷却してその形状を固定した
生体内分解吸収性材料としてもよい。
【0041】このような形状記憶生体内分解吸収性材料
は、再加熱の途中の段階において、該形状記憶材料の温
度が二度目の変形処理温度を越えた時点で、最初の変形
処理を行った後の成形体の形状に復元し、更に、該形状
記憶材料の温度が最初の変形処理温度以上になると、最
終的に元の所定形状の成形体に形状が復元する。従っ
て、この形状記憶材料は、中間段階における形状の復元
を有効に利用できる利点がある。
【0042】本発明の形状記憶生体内分解吸収性材料に
おいては、元の成形体として、溶融成形その他の種々の
成形手段で成形された乳酸系ポリマーのソリッド(緻密
体)の成形体が使用されるが、多孔質の発泡成形体も好
適に使用される。斯かる多孔質の成形体を、そのガラス
転移温度(Tg)より高く結晶化温度(Tc)(結晶化
温度がない場合は100℃)より低い温度(Tf)で別
の形状の実質的に無孔質の成形体に変形処理(例えば圧
縮変形処理)し、そのままガラス転移温度より低い温度
に冷却してその形状を固定した生体内分解吸収性材料
は、上記の変形処理温度(Tf)以上に再び加熱すると
元の所定形状の多孔質の成形体に形状が復元される。こ
のように生体内分解吸収性材料が元の多孔質の成形体に
復元して生体内に埋入されると、連続した気孔を通じて
体液が該材料内に浸透して速やかに該材料が加水分解さ
れる一方、体液と共に周囲組織の組織細胞が該気孔を通
じて該材料内に侵入して増殖するため、比較的短期間の
うちに該材料が組織細胞と置換して消失する。従って、
この材料は組織再建用の足場(scafflold)等として好
適に使用することができる。
【0043】元の多孔質の成形体は、発泡倍率が2〜3
倍程度で空隙率が略50〜70%のものが好適に使用さ
れる。2倍より低い発泡倍率の成形体を変形処理した形
状記憶材料は、これを復元させて生体内に埋入しても体
液や組織細胞の該材料内への侵入が不充分であり、逆
に、3倍より高い発泡倍率の成形体を変形処理した形状
記憶材料は、これを復元させて生体内の骨等の硬組織の
欠損部分に埋入すると強度が不足する懸念がある。但
し、軟組織に適用の場合には、その限りではない。
【0044】また、本発明の形状記憶生体内分解吸収性
材料には、生体活性なバイオセラミックス粉体や、各種
の薬物を含有させることもできる。
【0045】バイオセラミックス粉体としては、表面生
体活性なハイドロキシアパタイト、バイオガラス系もし
くは結晶化ガラス系の生体用ガラス、生体内吸収性の湿
式ハイドロキシアパタイト、ジカルシウムホスフェー
ト、トリカルシウムホスフェート、テトラカルシウムホ
スフェート、オクタカルシウムホスフェート、カルサイ
ト、ジオプサイトなどの粉体が好適であり、これらは単
独で又は二種以上混合して使用される。斯かるバイオセ
ラミックス粉体を含有させた形状記憶生体内分解吸収性
材料は、生体内の骨組織に埋入するとバイオセラミック
ス粉体によって骨組織が材料表面に誘導形成され、短期
間で骨組織と結合して固定あるいは置換されるので、骨
接合用材料として好適に使用でき、特に、上記の多孔質
成形体を圧縮変形処理した形状記憶材料にバイオセラミ
ックス粉体を含有させたものは、骨組織再建に極めて有
効である。
【0046】一方、薬物としては各種の治療薬のほか
に、抗菌剤、骨の増殖因子、各種ホルモン、生理活性物
質、各種サイトカインなどが使用される。斯かる薬物を
含有させた形状記憶生体内分解吸収性材料は、生体内に
埋入すると薬物がほぼ一定の速度で放出することも工夫
できるので、DDS(Drug Deliverly System) の基材
として好適に使用することができる。そして、上記の骨
の増殖因子やサイトカイン等の成長因子を含有させた形
状記憶材料は、殊に骨接合用あるいは骨組織再建用の材
料として極めて有効である。
【0047】次に、本発明の形状記憶生体内分解吸収性
材料の具体的な実施形態について、図面を参照しながら
詳述する。
【0048】
【発明の実施の形態】図1は血管吻合用の形状記憶生体
内分解吸収性材料(以下、血管吻合用形状記憶材料と記
す)の説明図である。
【0049】この血管吻合用形状記憶材料1は、前述し
た乳酸系ポリマーの円筒形状の成形体からなるもので、
所定温度(後述する変形処理温度(Tf))以上に加熱
すると、その形状が外力を加えなくても記憶した小径円
筒形状に復元される材料である。
【0050】即ち、この血管吻合用形状記憶材料1は、
乳酸系ポリマーからなる小径円筒形状の成形体1aを、
そのガラス転移温度(Tg)より高く結晶化温度(T
c)(結晶化温度がない場合は100℃)より低い温度
(Tf)で径方向に拡張変形処理して大径円筒形状とな
し、そのままガラス転移温度(Tg)より低い温度に冷
却して常温でその大径円筒形状を固定することによっ
て、元の成形体1aの小径円筒形状を記憶させたもので
ある。
【0051】元の小径円筒形状の成形体1aは、乳酸系
ポリマーを熱成形可能な温度(融点がないときは軟化温
度(Ts)、融点のあるときは溶融温度(Tm)以上の温
度)に加熱して押出成形機などの成形手段によって小径
円筒形状(チューブ形状)に成形し、常温で冷却固化さ
せることによって、その小径円筒形状を固定したもので
あり、固定相も可逆相も固化されている。この小径円筒
形状の成形体1aの内径は、血管の外径よりも小さく設
定する必要があり、吻合する血管の太さに応じて内径を
設定するのが適当である。また、この成形体1aの肉厚
は0.5〜3mm程度あれば強度的に充分である。
【0052】この成形体1aの拡張変形処理の手段とし
ては種々の手段を採用できるが、最も簡便な手段は、成
形体1aを上記の変形処理温度(Tf)に加熱しなが
ら、先端の尖った金属製や合成樹脂製の拡張用ロッド1
01を成形体1aに通して拡張させる方法である。成形
体1aの変形倍率(内径の拡張倍率)は最大15倍程度
まで可能であるが、倍率が高すぎると乳酸系ポリマーが
ポリマー組成によってはフィブリル化したり、不均質化
し、逆に、倍率が低すぎると形状復元の効果が不充分と
なるので、1.3〜10倍程度にするのが望ましい。更
に好ましい変形倍率の範囲は1.5〜6倍程度である。
【0053】元の成形体1aの小径円筒形状を記憶させ
るためには、ガラス転移温度(Tg)より高く結晶化温
度(Tc)より低い温度(Tf)で拡張変形処理を行う
ことが必要であるが、本発明に用いる乳酸系ポリマーの
大部分は、ガラス転移温度(Tg)が45〜70℃の範
囲内にあり、先述の理由により拡張変形処理のための温
度(Tf)は高くても100℃迄である。通常は50〜
75℃程度の比較的低い変形処理温度で拡張変形処理す
る。
【0054】上記のように小径円筒形状の成形体1aを
ガラス転移温度(Tg)より高く結晶化温度(Tc)よ
り低い変形処理温度(Tf)に加熱しながら拡張用ロッ
ド101を挿通すると、基本的に成形体1aの可逆相の
みが溶融してポリマー自体が見掛上成形可能な程度に軟
化するので、大径円筒形状に拡張変形できる。そして拡
張変形したままガラス転移温度(Tg)より低い常温で
冷却すると、可逆相が再び固化して大径円筒形状に強制
的に形状が固定された血管吻合用形状記憶材料1が得ら
れる。このような大径円筒形状の血管吻合用形状記憶材
料1を上記の変形処理温度(Tf)以上に再び加熱する
と、可逆相のみが溶融し、固定相によって元の小径円筒
形状の成形体1aに形状が速やかに復元される。但し、
固定相と可逆相は独立したブロック相を形成しているも
のに限らず、分子間の相互作用によって相構造をつくら
ずに同様の機能を示す構造形態であってもよい。
【0055】この血管吻合用形状記憶材料1は、最終的
にガス滅菌されて保管されるが、既述したようにガラス
転移温度が45〜70℃の範囲内にある乳酸系ポリマー
を用いているので、ガス滅菌時の温度(40〜45℃)
で形状が復元したり、保管中に形状が復元する恐れはな
い。
【0056】図2は、上記の血管吻合用形状記憶材料1
の使用方法の説明図である。
【0057】まず、切断された双方の血管102,10
2の端部を大径円筒形状の血管吻合用形状記憶材料1の
両端開口から挿入し、次いで、血管吻合用形状記憶材料
1を上記の変形処理温度(Tf)以上に再び加熱する。
再加熱の手段としては、上記の変形処理温度(Tf)以
上の温風や温水(滅菌した生理食塩水等)を血管吻合用
形状記憶材料1に吹きつけるなどして接触する手段が簡
便であるが、その他、レーザー加熱、高周波加熱、超音
波加熱、赤外線加熱などの手段も採用可能である。
【0058】このように再加熱すると、大径円筒形状の
血管吻合用形状記憶材料1は速やか(数秒以内)に元の
小径円筒形状の成形体1aに形状を復元し、双方の血管
102,102の端部を抱え込んで固定するため、極め
て簡単に血管102,102を吻合することができる。
従って、従来のように縫合糸で血管を縫いあわせる場合
に比べると、血管の吻合処置が極めて簡単且つ容易とな
り、手術の効率を大幅に向上させることが可能となる。
しかも、再加熱の温度が高くなく、加熱時間も数秒と極
めて短いので、血管や周囲組織を火傷させる恐れは皆無
であり、安全である。
【0059】尚、場合によっては、再加熱により血管吻
合用形状記憶材料1の形状を復元させた後、適宜のかし
め治具等で血管吻合用形状記憶材料1をやや偏平にかし
めて冷却固化させるようにしてもよい。このようにする
と、血管吻合用形状記憶材料1による血管の抱持固定力
が一層向上する利点がある。また、血管吻合用形状記憶
材料1を復元させる前に、該材料1の内面にフィブリン
糊などの接着剤を塗り、再加熱により復元した該材料1
と血管102、あるいは血管102同士を接着するよう
にしてもよい。
【0060】上記のように血管吻合用形状記憶材料1を
用いて血管102,102を吻合すると、自然治癒によ
って血管がつながる。その後、血管吻合用形状記憶材料
1は体液との接触により経時的に加水分解が進行し、や
がては体内に吸収されて完全に消滅する。その速さはポ
リマーの種類によって異なるが、ポリ−D,L−乳酸は
ポリ−L−乳酸よりはかなり分解が速いので、この用途
には好適である。
【0061】この実施形態の血管吻合用形状記憶材料1
は、溶融押出成形の手段で元の小径円筒形状の成形体1
aを作製しているが、射出成形などの他の溶融成形手段
で作製してもよい。また、揮発性溶媒に乳酸系ポリマー
を溶解したポリマー溶液を芯材の周囲に塗布又は吹付け
て厚肉の円筒膜を芯材の周囲に形成し、乾燥固化後に芯
材を抜き取って成形体1aを作製してもよい。このよう
にポリマー溶液の塗布又は吹付けによって成形体1aを
作製する場合は、薬物等を熱で変質させずにポリマー溶
液に配合できるので、薬物等を含んだ血管吻合用形状記
憶材料1を得たい場合には特に有効である。
【0062】また、上記の溶媒として、乳酸系ポリマー
を溶解できる溶剤と、この溶剤より高い沸点を有する非
溶剤との混合溶媒を使用し、これに乳酸系ポリマーを溶
解して調製したポリマー溶液を上記芯材に塗布又は吹付
けて乾燥させると、連続気泡を有する小径円筒形状の多
孔質の発泡成形体1aが得られる。このような発泡成形
体1aを拡張変形処理した血管吻合用形状記憶材料1
は、再加熱により元の発泡成形体1aに形状を復元させ
て血管を吻合したまま生体内に埋入すると、体液が連続
気泡を通じて該記憶材料1の内部まで浸透し、連続した
気孔をもたないものに比べて体液との接触面積が大幅に
増大するため、加水分解の進行が速くなって1〜3ケ月
程度で体内に吸収される利点を有する。
【0063】この実施形態では、元の成形体1aも、拡
張変形処理した形状記憶材料1も、断面が真円状の円筒
形状に形成されているが、これに限定されるものではな
く、例えば楕円状、三角形以上の多角形状、異形状など
種々の断面を有する筒形状に形成することが可能であ
る。
【0064】図3は本発明の他の実施形態に係る血管吻
合用形状記憶材料の説明図である。
【0065】この血管吻合用形状記憶材料2は、乳酸系
ポリマーからなる元の小径円筒形状の成形体2aが凸凹
のある内面21aを有しており、この成形体2aをガラ
ス転移温度(Tg)より高く結晶化温度(Tc)(結晶
化温度がない場合は100℃)より低い変形処理温度
(Tf)で大径円筒形状に拡張変形処理して、そのまま
ガラス転移温度(Tg)より低い温度に冷却することに
より、その大径円筒形状を固定したものである。
【0066】このような血管吻合用形状記憶材料2を用
いて、前記と同様に再加熱により形状を復元させて血管
を吻合すると、元の小径円筒形状の成形体2aが凸凹の
ある内面21aを有するため、この凸凹のある内面21
によって血管を周囲から強固に抱持固定することができ
る。従って、血管吻合用材料2から血管が抜け出す心配
はなくなる。
【0067】尚、この凸凹は小径円筒形状の成形体2a
の長軸方向に限らず、再加熱時に切断した血管の両端が
近づいて接触、密着しやすいように、該成形体2aの内
面の直角方向に襞状の凸凹をつけておくのもよい。
【0068】図4は本発明の更に他の実施形態に係る血
管吻合用形状記憶材料の説明図、図5は同形状記憶材料
の使用方法の説明図である。
【0069】この血管吻合用形状記憶材料3は、乳酸系
ポリマーからなる小径円筒形状の成形体3aを、そのガ
ラス転移温度(Tg)より高く結晶化温度(Tc)(結
晶化温度がない場合は100℃)より低い変形処理温度
(Tf1 )で、上記成形体3aより長い小径円筒形状の
成形体3bに延伸変形処理し、そのままガラス転移温度
より低い温度に冷却してその形状を固定した後、更に、
この成形体3bをガラス転移温度(Tg)より高く上記
の変形処理温度(Tf1 )より低い変形処理温度(Tf
2 )で大径円筒形状に拡張変形処理し、そのままガラス
転移温度より低い温度に冷却してその形状を固定したも
のである。
【0070】このような血管吻合用形状記憶材料3は、
最初の変形処理温度(Tf1 )以上の温度で再加熱する
と、再加熱の途中の段階において、該形状記憶材料3の
温度が二度目の変形処理温度(Tf2 )を越えた時点
で、長い小径円筒形状の成形体3bに形状が復元し、更
に該形状記憶材料3の温度が最初の変形処理温度(Tf
1 )以上になると、最終的に元の短い小径円筒形状の成
形体3aに形状が復元する。
【0071】従って、図5に示すように、この血管吻合
用形状記憶材料3の両端開口から血管102,102を
差し込んで再加熱すると、まず、該形状記憶材料3が径
方向に収縮することにより長い小径円筒形状の成形体3
bに復元して血管102,102を強く抱持固定し、こ
のように血管102,102を強く抱持固定したまま更
に長さ方向に収縮して、元の短い小径円筒形状の成形体
3aに形状が復元し、双方の血管102,102を引き
寄せた状態で吻合することができる。
【0072】二度目の変形処理温度(Tf2 )は最初の
変形処理温度(Tf1 )よりも10℃以上低く設定する
ことが望ましく、双方の温度差が10℃より小さい場合
は、上記の血管吻合用形状記憶材料3を再加熱したとき
に、成形体3bへの復元と成形体3aへの復元とがほぼ
同時に進行するようになり、血管102,102を抱持
固定してから引き寄せることが困難となる。これに対
し、双方の温度差が10℃以上あると、再加熱の際、該
記憶材料3の温度が変形処理温度(Tf2 )を越えてか
ら変形処理温度(Tf1 )に到達するまでの時間内に成
形体3bへの復元が完了するので、成形体3bへの復元
と更に成形体3aへの復元が段階的に生じ、血管10
2,102を抱持固定したのち引き寄せて吻合すること
ができる。最初の変形処理温度(Tf1 )と二度目の変
形処理温度(Tf2 )のより好ましい温度差は20〜3
0℃である。この例に適する材料は、一部の結晶相をも
つ乳酸系ポリマーか、結晶性の乳酸系ポリマーを一部混
合したものである。
【0073】また、この血管吻合用形状記憶材料3にお
いても、元の小径円筒形状の成形体3aとして凸凹のあ
る内面を有する成形体を使用し、再加熱により形状が復
元したときに凸凹のある内面で血管をより強く抱持固定
できるようにすることが望ましい。
【0074】図6は本発明の更に他の実施形態に係る血
管結紮用の形状記憶生体内分解吸収性材料(以下、血管
結紮用形状記憶材料と記す)の説明図、図7はその使用
方法の説明図である。
【0075】この血管結紮用形状記憶材料4は、乳酸系
ポリマーのリング形状の成形体からなるもので、所定温
度(後述する変形処理温度(Tf))以上に加熱すると
その形状が外力を加えなくても記憶した小径リング形状
に復元される材料である。
【0076】即ち、この血管結紮用形状記憶材料4は、
乳酸系ポリマーからなる小径リング形状の成形体4a
を、そのガラス転移温度(Tg)より高く結晶化温度
(Tc)(結晶化温度がない場合は100℃)より低い
変形処理温度(Tf)で大径リング形状に拡張変形処理
し、そのままガラス転移温度(Tg)より低い温度に冷
却して常温でその大径リング形状を固定したものであ
る。
【0077】このような大径リング形状の血管結紮用形
状記憶材料4は、変形処理温度(Tf)以上の温度で再
加熱すると、速やかに元の小径リング形状の成形体4a
に形状が復元する。従って、図7に示すように、結紮す
べき血管102の端部にこの血管結紮用形状記憶材料4
を嵌挿し、変形処理温度(Tf)以上の温風や温水(滅
菌した生理食塩水)に接触させて再加熱すると、瞬時に
元の小径リング形状の成形体4aに形状が復元して血管
102の端部を周囲から締付けて結紮し、止血すること
ができる。その場合、同時に形状記憶材料をかしめ治具
等で偏平にかしめて冷却固化すると、血管102の端部
をより強く結紮することができるので安全である。ま
た、必要に応じて止血剤などを血管102の結紮端部に
塗り付けてもよい。
【0078】元の小径リング形状の成形体4aは、血管
102を充分に締付けて結紮できる小さな内径を有する
必要があり、具体的には、結紮すべき血管の太さを考慮
して0.1〜1.5mm程度の内径を有する成形体4a
に成形することが望ましい。その場合、この成形体4a
の内面を凸凹のある内面に形成すると、血管102を一
層強く結紮することができる。なお、この成形体4aの
幅寸法は、0.3〜5mm程度あれば充分である。
【0079】元の成形体4aの拡張変形処理は、前記と
同様に拡張用ロッド101を成形体4aに挿入する等の
簡便な手段によって、その内径が3〜10倍程度の大径
リング形状の血管結紮用形状記憶材料4となるように拡
張変形することが望ましい。内径の拡張倍率が3倍未満
の形状記憶材料4は血管への嵌挿が容易でなく、また1
0倍を越える拡張倍率の形状記憶材料4は不均質化現象
により強度低下を招く恐れがあるので、いずれも好まし
くない。
【0080】この実施形態では、元の成形体4aも、拡
張変形処理した形状記憶材料4も、真円状のリング形状
に形成されているが、真円状以外の例えば楕円状、多角
形状、異形状などのリング形状に形成しても勿論よい。
【0081】図8は本発明の更に他の実施形態に係る血
管結紮用形状記憶材料の説明図である。
【0082】この血管結紮用形状記憶材料5は、乳酸系
ポリマーからなる小径円筒形状の成形体5aを、そのガ
ラス転移温度(Tg)より高く結晶化温度(Tc)(結
晶化温度がない場合は100℃)より低い変形処理温度
(Tf)で大径円筒形状の成形体5bに拡張変形処理
し、そのままガラス転移温度より低い温度に冷却してそ
の大径円筒形状を固定した該成形体5bを、更に輪切り
にして大径リング形状としたものである。
【0083】このような大径リング形状の血管結紮用形
状記憶材料5は、変形処理温度(Tf)以上の温度で再
加熱すると、元の小径円筒形状の成形体5aを輪切りに
した小径リング形状に形状が復元される。従って、この
大径リング形状の形状記憶材料5を血管の端部に嵌挿
し、変形処理温度(Tf)以上の温風や温水(滅菌した
生理食塩水)と接触させて再加熱すると、瞬時に小径リ
ング形状に復元して血管の端部を結紮し、止血すること
ができる。
【0084】元の小径円筒形状の成形体5aの内径は、
結紮すべき血管の太さを考慮して、0.1〜1.5mm
程度に設定することが望ましく、また、血管の結紮性を
良くするために該成形体5aの内面を凸凹のある内面に
形成することが望ましい。そして、この成形体5aの拡
張変形処理は、前記と同様、その内径が3〜10倍程度
の大径円筒形状の成形体5bとなるように行うことが望
ましい。なお、成形体5bを輪切りにした大径リング形
状の形状記憶材料5の幅寸法は、0.3〜5mm程度あ
れば充分である。
【0085】図9は本発明の更に他の実施形態に係る腱
接合用の形状記憶生体内分解吸収性材料(以下、腱接合
用形状記憶材料と記す)の説明図、図10はその使用方
法の説明図である。
【0086】この腱接合用形状記憶材料6は、乳酸系ポ
リマーからなる開口面積の小さい偏平な略角筒形状の成
形体6aを、そのガラス転移温度(Tg)より高く結晶
化温度(Tc)(結晶化温度がない場合は100℃)よ
り低い変形処理温度(Tf1)で、上記の成形体6aよ
り長い開口面積の小さな略角筒形状の成形体6bに延伸
変形処理し、そのままガラス転移温度より低い温度に冷
却してその形状を固定した後、この成形体6bをガラス
転移温度(Tg)より高く上記の変形処理温度(Tf1
)より低い変形処理温度(Tf2 )で更に開口面積の
大きい略角筒形状に拡張変形処理し、そのままガラス転
移温度(Tg)より低い温度に冷却してその形状を固定
したものである。
【0087】このような腱接合用形状記憶材料6は、最
初の変形処理温度(Tf1 )以上の温度で再加熱する
と、再加熱の途中の段階において、該形状記憶材料6の
温度が二度目の変形処理温度(Tf2 )を越えた時点
で、中間の成形体6bに形状が復元し、更に該形状記憶
材料6の温度が最初の変形処理温度(Tf1 )以上にな
ると、最終的に元の成形体6aに形状が復元する。
【0088】従って、図10に示すように、この腱接合
用形状記憶材料6の両端開口から切断した帯状の腱10
3,103を差し込んで再加熱すると、まず、該形状記
憶材料6が縦横方向に収縮し、長い偏平な開口面積の小
さい略角筒形状の成形体6bに復元して腱103,10
3を強く抱持固定する。そして、腱103,103を強
く抱持固定したまま更に長さ方向に収縮し、元の短い偏
平な開口面積の小さい略角筒形状の成形体6aに形状が
復元して、双方の腱103,103を引き寄せた状態で
接合することができる。
【0089】元の成形体6aは、帯状の腱103をしっ
かりと抱持固定できるように、帯状の腱103の縦横の
寸法より小さい内寸法を有する偏平な略角筒形状とする
必要があり、具体的には、内寸法が縦2〜10mm、横
7〜30mm、肉厚が0.1〜3mm程度の偏平な略角
筒形状の成形体6aであることが望ましい。そして、抱
持固定性を更に向上させるために、この成形体6aの内
面を凸凹のある内面に形成することが望ましい。
【0090】また、この成形体6aの最初の延伸変形処
理は、その長さが1.5〜10倍、好ましくは2〜6倍
程度となるように行うのが良く、二度目の拡張変形処理
は、その縦横寸法が3〜10倍程度となるように行うの
が望ましい。尚、最初の変形処理温度(Tf1 )と二度
目の変形処理温度(Tf2 )との温度差は、前述した血
管吻合用形状記憶材料3の場合と同様に10℃以上とす
る必要があり、20〜30℃の温度差とするのが望まし
い。
【0091】この実施形態の腱接合用形状記憶材料6
は、上記のように二度の変形処理を行っているが、元の
偏平な開口面積の小さい略角筒形状の成形体6aを、そ
のガラス転移温度(Tg)より高く結晶化温度(Tc)
(結晶化温度がない場合は100℃)より低い変形処理
温度(Tf)で縦横方向に一度だけ拡張変形処理して冷
却することにより、元の成形体6aより開口面積の大き
い略角筒形状の記憶材料としてもよい。このように拡張
変形処理をしただけの腱接合用形状記憶材料も、ガラス
転移温度以上の温度に再加熱すると、縦横方向に収縮し
て元の偏平な開口面積の小さい略角筒形状の成形体6a
に形状が復元するので、切断した腱をしっかりと抱持固
定して接合することができる。
【0092】図11は本発明の更に他の実施形態に係る
腱接合用形状記憶材料の説明図である。
【0093】この腱接合用形状記憶材料は、上述した開
口面積の大きい略角筒形状の腱接合用形状記憶材料6の
上下両面に、内側に向かって多数のV字状の切り起こし
部61を形成し、各切り起こし部61をガラス転移温度
(Tg)以上に加熱してその形状を予め収縮、復元さ
せ、冷却固化したものである。
【0094】このような腱接合用形状記憶材料は、再加
熱により形状を復元させて腱を接合するとき、予め収
縮、固化した切り起こし部61が腱の上下両面に食い込
むため、接合後に腱が抜け出すのを確実に防止できる利
点がある。
【0095】尚、V字状の切り起こし部61は、図11
に示すように、その先端が形状記憶材料6の中央を向く
ように形成することが好ましく、このようにすると腱に
対する引掛かりが良くなるため、腱の抜止め防止効果が
更に向上する。
【0096】この腱接合用形状記憶材料の他の構成は、
前述した腱接合用形状記憶材料6と同様であるので、説
明を省略する。
【0097】図12は本発明の更に他の実施形態に係る
縫合用の形状記憶生体内分解吸収性材料(以下、縫合用
形状記憶材料と記す)の説明図、図13はその使用方法
の説明図である。
【0098】この縫合用形状記憶材料7は、切開された
リング形状の乳酸系ポリマーの成形体からなるもので、
所定温度(後述する変形処理温度(Tf))以上に加熱
すると、その形状が外力を加えなくても記憶した小径の
切開されたリング形状に復元される材料である。
【0099】即ち、この縫合用形状記憶材料7は、乳酸
系ポリマーからなる小径リング形状の成形体7aを、そ
のガラス転移温度(Tg)より高く結晶化温度(Tc)
(結晶化温度がない場合は100℃)より低い変形処理
温度(Tf)で、大径リング形状の成形体7bに拡張変
形処理し、これを切開した大径リング形状の成形体7c
の一端部を、縫合針と係合可能な形状に曲げ変形処理し
てフック部71を形成し、そのままガラス転移温度(T
g)より低い温度に冷却してその形状を固定したもので
ある。
【0100】このような縫合用形状記憶材料7は、変形
処理温度(Tf)以上の温度で再加熱すると、元の小径
リング形状の成形体7aを切開した形状に復元する。従
ってこの縫合用形状記憶材料7の一端のフック部71に
縫合針を係着し、図13に示すように生体の切開した部
位104を必要な針数だけ縫って、各形状記憶材料7を
切開した部位104の両側縁に通すことにより仮縫合
し、このように仮縫合した状態で各形状記憶材料7に変
形処理温度Tf以上の温水又は温風などの熱源を接触さ
せて再加熱すると、各形状記憶材料7が速やかに元の小
径リング形状の成形体7aを切開した形状に復元して生
体の切開部位104を閉じ、簡単且つ確実に縫合するこ
とができる。
【0101】切開部位104をしっかりと縫合するため
には、元の小径リング形状の成形体7aの内径を0.1
〜5mm程度、外径を0.3〜7mm程度、長さを0.
3〜5mm程度に設定することが望ましく、また、この
成形体7aの拡張変形処理は、その内径が3〜10倍程
度の大径リング形状の成形体7bとなるように行うこと
が望ましい。尚、リング形状については、この実施形態
のような真円状のもののほか、楕円状、三角形以上の多
角形状、異形状など種々のリング形状となし得ることは
言うまでもない。また、元の成形体7aの形状を、切開
された小径リングの双方の切断端部をオーバーラップさ
せた形状にしておくと、再加熱により形状を復元させた
ときに切開部位104を一層しっかりと縫合できる利点
があるので望ましい。
【0102】この実施形態では、切開した大径リング形
状の成形体7cの一端部を更に曲げ変形処理してフック
部71を形成しているが、小径リング形状の成形体7a
を上記の変形処理温度(Tf)で大径リング形状の成形
体7bに拡張変形処理して、そのままガラス転移温度
(Tg)より低い温度に冷却してその形状を固定し、こ
れを成形体7cのように切開して縫合用形状記憶材料と
してもよい。
【0103】図14は本発明の更に他の実施形態に係る
縫合用形状記憶材料の説明図であって、この縫合用形状
記憶材料70は乳酸系ポリマーの糸形状の成形体より成
り、所定温度(後述する変形処理温度(Tf))以上に
加熱すると、外力を加えなくても短縮して記憶した太い
糸形状に復元されるものである。
【0104】即ち、この縫合用形状記憶材料70は、乳
酸系ポリマーを例えば溶融押出成形して太い糸形状の成
形体70aを造り、この成形体70aをガラス転移温度
(Tg)より高く結晶化温度(Tc)(結晶化温度がな
い場合は100℃)より低い温度(Tf)で、上記の糸
形状より細くて長い糸形状に延伸変形処理し、そのまま
ガラス転移温度(Tg)より低い温度に冷却してその細
い糸形状を固定したものである。
【0105】このような糸形状の縫合用形状記憶材料7
0は、従来の縫合糸と同様に生体の切開部分等の縫合に
使用されるが、従来の縫合糸のように強く縛る必要はな
く、ゆるく縛った状態で仮縫合し、ガラス転移温度(T
g)以上の温風や温水(滅菌した生理食塩水)などの熱
源を接触させて再加熱するだけで、該材料70が瞬時に
短縮して元の太い糸形状に復元し、強く縛った縫合状態
となるため、縫合に要する労力を大幅に軽減することが
できる。
【0106】元の糸形状の成形体70aの太さは0.2
〜1mm程度に設定するのが適当であり、この程度の太
さがあれば充分な引張り強度を有するので切断の心配は
解消される。また、この成形体70aの延伸変形処理
は、その延伸倍率が1.5〜10倍、好ましくは2〜6
倍程度となるように行うことが望ましい。
【0107】この実施形態では、元の成形体70aも縫
合用形状記憶材料70も、断面が真円状の糸形状とされ
ているが、楕円状や長方形の断面を有する糸形状にして
もよい。長方形断面を備えた糸形状の縫合用形状記憶材
料を得る場合は、元の長方形断面を有する成形体の厚み
を0.2〜0.4mm程度、幅を0.5〜1.5mm程
度に設定するのが適当である。
【0108】図15は本発明の更に他の実施形態に係る
骨接合用の形状記憶生体内分解吸収性材料(以下、骨接
合用形状記憶材料と記す)の説明図、図16は圧縮変形
処理の説明図、図17は同骨接合用形状記憶材料の使用
方法の説明図である。
【0109】この骨接合用形状記憶材料8は、乳酸系ポ
リマーの棒形状の成形体からなるもので、所定温度(後
述する変形処理温度(Tf))以上に加熱するとその形
状が外力を加えなくても上記の棒形状より太くて短い記
憶した棒形状に復元される材料である。
【0110】即ち、この骨接合用形状記憶材料8は、乳
酸系ポリマーからなる太い丸棒形状の成形体8aを、そ
のガラス転移温度(Tg)より高く結晶化温度(Tc)
(結晶化温度がない場合は100℃)より低い変形処理
温度(Tf)で、上記の成形体より長くて細い丸棒形状
の成形体に圧縮変形処理し、そのままガラス転移温度
(Tg)より低い温度に冷却してその細い丸棒形状を固
定したものである。
【0111】このような骨接合用形状記憶材料8は、変
形処理温度(Tf)以上の温度に再加熱すると、瞬時に
元の太い丸棒形状の成形体8aに形状が復元される。従
って、図17に示すように、この骨接合用形状記憶材料
8を従来の髄内釘の代替品として使用し、骨折又は切断
した骨106の髄腔106a,106aに該形状記憶材
料8を半分づつ挿入して、その部分に変形処理温度(T
f)以上の温水(滅菌した生理食塩水)等を接触させて
再加熱すると、骨接合用形状記憶材料8が元の太い丸棒
形状の成形体8aに形状が復元して髄腔106a,10
6aの内面に密着し、抜出し不能に固定されるため、骨
106,106を簡単且つ確実に接合することができ
る。
【0112】また、この骨接合用形状記憶材料8を従来
の骨接合ピンの代替品として使用し、接合すべき骨片に
ドリル等で少し大きい直径の孔をあけて、上記の骨接合
用形状記憶材料8を該孔に挿入し、同様に再加熱により
形状を復元させて骨片を接合することもできる。
【0113】元の太い丸棒形状の成形体8aは、溶融押
出成形、射出成形、加圧(プレス)成形など種々の成形
手段で成形すればよく、その寸法は従来の髄内釘や骨接
合ピンとほぼ同様とすればよい。
【0114】元の成形体8aの圧縮変形手段としては、
例えば図16に示すような手段が好適に採用される。即
ち、この圧縮変形手段は、横断面の開口面積が大きい大
径円筒形の収容キャビティ105aと、横断面の開口面
積が小さい小径円筒形の有底の成形キャビティ105c
との間に、内周面が下窄まりのテーパー面とされた絞り
部105bを同軸的に設けた成形形105を使用し、そ
の収容キャビティ105aに上記の成形体8aを収容し
て、加圧用の雄形105dにより成形体8aを上記の変
形処理温度(Tf)で成形キャビティ105cに連続的
又は断続的に圧入充填し、そのまま冷却して形状を固定
することにより、細い丸棒形状の形状記憶材料8を得る
ものである。
【0115】その場合、収容キャビティ105aと成形
キャビティ105cの開口面積の比を1.5〜6.0の
範囲内に設定し、変形比(成形体8aの断面積/形状記
憶材料8の断面積)が実質的に1.5〜6.0の範囲と
なるように調節することが望ましい。変形比が1.5未
満では、形状復元の効果が不充分な形状記憶材料とな
り、6.0を越えると多孔化またはフィブリル化などの
材料の不均質化を招くといった不都合を生じるからであ
る。
【0116】この骨接合用形状記憶材料8には、生体活
性なバイオセラミックス粉体を10〜60重量%、好ま
しくは20〜50重量%の範囲内で含有させることも有
用な方法である。このようにバイオセラミックス粉体を
含有させた骨接合用形状記憶材料8を、上記のように髄
孔やドリルであけた孔に挿入すると、形状復元によって
周囲組織とよく密着するので、該材料8の表面に露出し
ているバイオセラミックス粉体や、該材料8の乳酸系ポ
リマーの表面からの加水分解によって露出してくるバイ
オセラミックス粉体によって、骨組織が該材料8の表層
部に確実に再現性をもって誘導形成され、短期間で該材
料8が生体骨と結合して固定される利点がある。
【0117】バイオセラミックス粉体としては前述のも
のが使用されるが、そのなかでも、骨組織の誘導形成能
が高く使用実績の多い湿式ハイドロキシアパタイト、ト
リカルシウムホスフェートの粉体などは特に有用であ
る。
【0118】なお、この実施形態では、元の成形体8a
も骨接合用形状記憶材料8も丸棒形状であるが、例えば
髄内釘の代替品とする場合には角棒形状にしてもよく、
また適当に湾曲した形状を持つ異形体でもよい。要する
に、中実で長い棒形状であれば、どのような断面形状を
有するものでもよく、また曲がっていてもよいものであ
る。
【0119】図18は本発明の更に他の実施形態に係る
骨接合プレート固定用の形状記憶生体内分解吸収性材料
(以下、骨接合プレート固定用形状記憶材料と記す)の
説明図、図19はその使用方法の説明図である。
【0120】この骨接合プレート固定用形状記憶材料9
は、前述の丸棒形状の骨接合用形状記憶材料8を切削し
て、一端面の直径が他端面の直径より小さいテーパー付
きピンに加工したものである。このものは、前記の変形
処理温度(Tf)以上の温度に再加熱すると、一点鎖線
で示すように、長さ方向に収縮しながら径方向に拡張
し、直径が大きく長さが短いテーパー付きピンに形状が
復元する。
【0121】このテーパー付きピン形状の形状記憶材料
9は、そのままで骨接合用のピンとして使用できるもの
であるが、更に、図19に示すように骨接合プレート1
07の固定に好適に使用されるものである。
【0122】即ち、この形状記憶材料9の直径より少し
大きい口径を有する複数の孔106bを骨106にあ
け、各孔106bにテーパー付きピン形状の形状記憶材
料9を、直径が大きい他端面の方から挿入する。そし
て、上記の孔106bと同数の孔107aをあけた骨接
合プレート107を載置し、骨106の表面から突き出
した形状記憶材料9の上端部を骨接合プレート107の
各孔107aに通して、骨接合プレート107をセット
する。次いで、変形処理温度(Tf)以上の温水(生理
食塩水)などの熱源を各形状記憶材料9に接触させ、そ
の形状を復元させて、骨106と骨接合プレート107
のそれぞれの孔106b,107aに形状記憶材料9を
密着させることにより、骨接合プレート107を骨10
6の表面に固定する。そして、予め加熱していたコテ1
08を、骨接合プレート107の表面から出ている各形
状記憶材料9の上端面に接触させ、該上端面が骨接合プ
レート107の表面と面一になるように圧着して、骨接
合プレート107を強固に固定する。なお、熱コテによ
るピン上端部の処理に代えて、予めプレート107を固
定できる形状にピン上端部を形状記憶させておく方法
も、一つの有効な方法である。
【0123】このような骨接合プレート固定用形状記憶
材料9には、前述したバイオセラミックス粉体を含有さ
せて、短期間で骨106と結合できるようにすると、よ
り有効である。
【0124】図20は本発明の更に他の実施形態に係る
骨接合用形状記憶材料の説明図、図21はその使用方法
の説明図である。
【0125】この骨接合用形状記憶材料10は、乳酸系
ポリマーからなる円柱状成形ブロック10dを切削加工
することにより、円柱部10aの両端面の周縁から2本
以上(この実施形態では8本)のアーム部10bが外側
へ傾斜して突き出した形状の成形体10cを作製し、こ
の成形体10cを、ガラス転移温度(Tg)より高く結
晶化温度(Tc)(結晶化温度がない場合は100℃)
より低い変形処理温度(Tf)で、各アーム部10bが
円柱部10aの軸線方向と平行になるように各アーム部
10bの付け根部分で内側へ曲げ変形処理し、そのまま
ガラス転移温度より低い温度に冷却してその形状を固定
したものである。
【0126】このような骨接合用形状記憶材料10は、
上記の変形処理温度(Tf)以上に再加熱すると、各ア
ーム部10bが外側へ傾斜して開いた元の成形体10c
に形状が復元される。
【0127】従って、この骨接合用形状記憶材料10を
従来のハーバートスクリューの代替品などの類似の用途
に使用し、図21に示すように、ドリル等で骨106,
106の接合すべき面にあけた孔106c,106cへ
該形状記憶材料10を挿入して、上記の変形処理温度
(Tf)以上の温水(生理食塩水)等で加熱すると、該
形状記憶材料10は元の成形体10cに形状が復元して
アーム部10bが外側へ傾斜するように開き、各アーム
部10bの先端が双方の孔106c,106cの内面に
圧接して固定されるため、双方の骨106,106を簡
単に接合することができる。
【0128】かかる骨接合用形状記憶材料10は、図2
0に示すように、各アーム部10bの先端に爪片を外側
へ突出させて形成することが望ましい。このような爪片
が形成されていると、形状が復元したとき、上記の孔1
06cの内面と爪片との引掛かりが良くなり、より強固
に骨106,106を接合できる利点がある。
【0129】尚、この骨接合用形状記憶材料10におい
ても、前述したバイオセラミックス粉体を含有させて、
短期間で骨106と結合できるようにすることが望まし
い。
【0130】図22は本発明の更に他の実施形態に係
る、髄腔内でのボーンセメント或は骨の細片の流出防止
用の形状記憶生体内分解吸収性材料(以下、ボーンセメ
ント流出防止用形状記憶材料と記す)の説明図、図23
はその使用方法の説明図である。
【0131】このボーンセメント流出防止用形状記憶材
料11は、乳酸系ポリマーからなる円柱状成形ブロック
11dを切削加工することにより、半球面状の下面を有
する円柱状プラグ部11aの上面の周縁から2以上(こ
の実施形態では4つ)の花弁状突起部11bが外側へ傾
斜して突き出した形状の成形体11cを作製し、この成
形体11cを、ガラス転移温度(Tg)より高く結晶化
温度(Tc)(結晶化温度がない場合は100℃)より
低い変形処理温度(Tf)で、各花弁状突起部11bが
円柱状プラグ部11aの軸線方向と平行になるように各
花弁状突起部11bの付け根部分で内側へ曲げ変形処理
し、そのままガラス転移温度より低い温度に冷却してそ
の形状を固定したものである。
【0132】かかる形状記憶材料11は、変形処理温度
(Tf)以上に再加熱すると、各花弁状突起部11bが
外側へ傾斜して開いた元の成形体11cに形状が速やか
に復元される。従って、図23に示すようにこのボーン
セメント流出防止用形状記憶材料11を骨106の髄腔
106aへ挿入し、変形処理温度(Tf)以上の温水
(生理食塩水)等を接触させて再加熱すると、該形状記
憶材料11は元の成形体10cに形状が復元して、各花
弁状突起部11bが外側へ傾斜するように開き、各花弁
状突起部11bの先端が髄腔106aの内面に圧接して
固定される。
【0133】このように形状記憶材料11を復元させて
髄腔106a内に固定し、ボーンセメント108を髄腔
106aの一端(上端)から充填すると、ボーンセメン
ト108は各花弁状突起部11bによって髄腔106a
の下部へ流出することが防止される。従って、このボー
ンセメント108を充填した髄腔106aに人工関節の
ステム(不図示)を挿入すると、ボーンセメント108
によって該ステムを確実に固定することができる。
【0134】このボーンセメント流出防止用形状記憶材
料11も、前述したバイオセラミックス粉体を含有させ
て、短期間で骨106と結合できるようにすることが望
ましく、また、各花弁状突起部11bの先端に外側へ突
出する爪片を形成して、髄腔106aの内面との引掛か
りを良くすることが望ましい。
【0135】尚、元の成形体11cの各部の寸法は、挿
入する髄腔の大きさに応じて適宜設定すればよい。
【0136】図24は本発明の更に他の実施形態に係る
血管再狭窄防止用の形状記憶生体内分解吸収性材料(以
下、血管再狭窄防止用形状記憶材料と記す)の説明図、
図25はその使用方法の説明図である。この血管再狭窄
防止用形状記憶材料12は、多数の孔12bを形成した
孔開き円筒形状の乳酸系ポリマーからなる成形体12a
を、そのガラス転移温度(Tg)より高く結晶化温度
(Tc)(結晶化温度がない場合は100℃)より低い
変形処理温度(Tf)で、偏平に折り畳んで丸く巻いて
褶曲させた筒形状に曲げ変形処理し、そのままガラス転
移温度より低い温度に冷却してその形状を固定したもの
である。
【0137】かかる形状記憶材料12は、上記の変形処
理温度(Tf)以上に再加熱すると、元の孔開き円筒形
状の成形体12aに形状が復元される。従って、この血
管再狭窄防止用形状記憶材料12を従来の再狭窄防止用
のステントの代替品として使用し、図25に示すように
冠動脈などの血管110に該形状記憶材料12を挿入し
て、変形処理温度(Tf)以上の温水(生理食塩水)等
を接触させて再加熱すると、該形状記憶材料12が元の
円筒形状の成形体12aに復元し、血管110を内側か
ら押拡げて再狭窄を防止することができる。
【0138】この血管再狭窄防止用形状記憶材料12に
は再狭窄防止薬を含有させ、上記のように血管110内
に固定したときに再狭窄防止薬が該形状記憶材料12か
ら一定速度で放出されるように工夫することができる。
このように薬剤を含有させる場合には、元の孔開き円筒
形状の成形体12aを溶融押出成形等の手段で作製する
と、高い成形温度によって薬剤が変質する恐れが多分に
あるため、薬剤が変質しないように次の方法で元の孔開
き円筒形状の成形体12aを作製することが望ましい。
【0139】即ち、乳酸系ポリマーと薬剤を溶剤に溶解
してポリマー溶液を調製し、これを芯棒109に吹きつ
けて溶剤を揮散させることにより、芯棒109の回りに
厚肉の円筒膜を形成し、この円筒膜に多数の孔12bを
開けてから芯棒109を抜き取って、孔開き円筒形状の
成形体12aを得るようにする。
【0140】その場合、乳酸系ポリマーを溶解できる溶
剤と、この溶剤より高い沸点を有する非溶剤との混合溶
媒を用いて、これに乳酸系ポリマーと薬剤を溶解してポ
リマー溶液を調製し、上記と同様にすると、連続気泡を
有する孔開き円筒形状の発泡成形体が得られる。このよ
うな孔開き円筒形状の発泡成形体を曲げ変形処理した血
管再狭窄用形状記憶材料は、形状を復元させて血管内に
固定すると、無発泡のものに比べて表面積が遥かに大き
いため加水分解の進行が速く、薬剤の放出量も多くなる
利点がある。
【0141】この実施形態の血管再狭窄防止用形状記憶
材料12は、孔開き円筒形状の元の成形体12aを褶曲
した筒形状に曲げ変形処理したものであるが、例えば、
網目を備えたメッシュ状円筒形状の元の成形体を作製し
て同様に曲げ変形処理してもよい。また、大径コイル
(ラセン)形状の元の成形体を作製し、これを小径コイ
ル(ラセン)形状に縮小(引張り)変形処理して血管再
狭窄防止用形状記憶材料としてもよい。
【0142】以上、用途を具体的に幾つか挙げて説明し
たが、これら以外にも多くの用途があり、それらが本発
明の内容を逸脱しない限り全て本発明に包含されること
は言うもまでもない。
【0143】次に、本発明の更に具体的な実施例を挙げ
る。
【0144】[実施例1]DL−ラクチドの開環重合よ
り得た粘度平均分子量40万、25万、15万、10
万、および7万のポリ−D,L−乳酸(PDLLA)を
160℃、100kg/cm2 でそれぞれ加圧成形し
て、直径10.0mm、長さ20mmの丸棒形状の夫々
のPDLLAからなる5本の成形体を得た。これらの成
形体のガラス転移温度は、いずれも50〜56℃の範囲
であった。
【0145】次いで、これらの成形体を60℃に加熱
し、直径5.8mm、長さ60mmの細長い丸棒形状の
成形体となるようにそれぞれ圧縮塑性変形処理した後、
冷却して常温で形状を固定し、元の丸棒形状を記憶した
5本の形状記憶生体内分解吸収性材料を得た。これらの
形状記憶材料の断面積をS1 、長さをL1 とし、塑性変
形前の元の成形体の断面積をS0 、長さをL0 とする
と、いずれの形状記憶材料も、断面積の変形度RS =S
0 /S1 =3.0、長さの変形度RL =L0 /L1
3.0である。
【0146】次いで、これらの形状記憶材料を65℃の
生理食塩水中に浸漬して形状を回復させ、回復後の断面
積S2 と長さL2 を測定して、断面積の回復率[(S2
/S0 )×100](%)と、長さの回復率[(L2
0 )×100](%)を求めた。その結果を表1に示
す。
【表1】
【0147】それぞれの形状記憶材料の形状は、65℃
の生理食塩水中に浸漬後、瞬時に回復した。そして、い
ずれの分子量の形状記憶材料も、その断面積の回復率お
よび長さの回復率が96.7%以上と高く、変形前の元
の丸棒形状にほぼ完全に回復することが確認できた。
【0148】また、形状の回復率は形状記憶材料の分子
量に幾分依存した。このことは、分子量が高くなるほ
ど、PDLLAの流動性が悪くなるために、元の成形体
の塑性変形時に内部歪みが生じて形状が記憶されたため
であると考えられる。しかし、本質的には元の丸棒形状
に完全に回復するものであると思われる。
【0149】DL−ラクチドの開環重合より得たPDL
LAは、一般にアモルファスポリマーであるため、結晶
性ポリマーであるポリ−L−乳酸(PLLA)と比較し
て生体に埋入後の加水分解が速いことはよく知られてい
る。また、その成形体の強度は、PLLAを配向等の処
理によって分子鎖(結晶軸)を配向させた高い強度のも
のより低い。PDLLAは配向などの処理によってアモ
ルファス相と部分的な結晶相の配向を生じる場合があ
り、それによって幾分かの強度の向上がある。それは、
D−体とL−体のラクチドの比率の違い(どちらかを高
くする)、共重合体の種類の選択とそのときのモノマー
の比率の変換、分子量の大小によって左右される。
【0150】形状記憶材料の必要な強度、その維持期
間、あるいは吸収の速さなどは、これらの要因を変換す
ることで調節することができる。また、ポリマーに含ま
れるラクチドモノマーの含有量を調整することによって
も、分解速度を調節することができる。
【0151】[実施例2]D−ラクチドとL−ラクチド
を25:75、40:60、50:50の重量比で重合
して得た3種類の粘度平均分子量15万のPDLLA
を、160℃、100kg/cm2 でそれぞれ加圧成形
して、直径10mm、長さ10mmの丸棒形状の三本の
成形体を得た。これらの成形体のガラス転移温度は、い
ずれも50〜60℃の範囲であった。
【0152】次いで、これらの成形体を65℃に加熱
し、直径5mm、長さ40mmの細長い丸棒形状の成形
体となるようにそれぞれ圧縮塑性変形処理した後、冷却
して常温で形状を固定し、元の丸棒形状を記憶した変形
度RS =RL =4.0の3本の形状記憶材料を得た。
【0153】これらの形状記憶材料を実施例1より温度
が高い70℃の生理食塩水中に浸漬して、それぞれの形
状回復率(断面積の回復率と長さの回復率)を測定し
た。その測定結果を表2に示す。
【表2】
【0154】それぞれの形状記憶材料の形状は、70℃
の生理食塩水中に浸漬後、瞬時に回復した。形状回復率
の大きさは、D−ラクチドとL−ラクチドの重合時の比
率に依存し、等しい比率の方が形状回復率の値が増加
し、塑性変形前の状態に回復しやすい傾向が明らかにな
った。D−ラクチドかL−ラクチドのどちらかの割合が
多いPDLLAは、ポリマーの構成分子鎖内にL−乳酸
あるいはD−乳酸が連続している鎖の部分が存在するの
で、分子鎖内で水素結合が生じ易いのでわずかに結晶化
するため、70℃での回復率がやや小さくなったことが
一因であると考えられる。
【0155】[実施例3]粘度平均分子量20万のD,
L−乳酸−グリコール酸共重合体(D,L−乳酸:グリ
コール酸=97.5:2.5)を180℃、100kg
/cm2 で加圧成形して、直径13.0mm、長さ30
mmの丸棒形状の成形体を得た。この成形体のガラス転
移温度は51℃であった。
【0156】次いで、この成形体を65℃に加熱し、直
径7.5mm、長さ90mmの細長い丸棒形状の成形体
となるように圧縮塑性変形処理した後、冷却してその形
状を固定し、元の丸棒形状を記憶した変形度RS =RL
=3.0の形状記憶材料を得た。
【0157】そして、この形状記憶材料を67℃の生理
食塩水に浸漬して、その形状回復率(断面積の回復率と
長さの回復率)を測定した。その結果を表3に示す。
【表3】
【0158】この形状記憶材料の形状は、67℃の生理
食塩水に浸漬後、瞬時に回復した。その断面積の回復率
および長さの回復率は98%以上であり、塑性変形前の
元の丸棒形状にほぼ完全に復元することができた。
【0159】[実施例4]粘度平均分子量10万のPL
LAと、D,L−ラクチドの開環重合により得た粘度平
均分子量10万のPDLLAを重量比で70:30とな
るように混合した顆粒を、185℃、100kg/cm
2 で加圧成形して、直径10mm、長さ20mmの丸棒
形状の成形体を得た。この成形体の見掛け上のガラス転
移温度は60℃付近であった。
【0160】次いで、この成形体を85℃に加熱し、直
径6.3mm、長さ50mmの細長い丸棒形状の成形体
となるように圧縮塑性変形処理した後、冷却して形状を
固定し、元の丸棒形状を記憶した変形度RS =RL
2.5の形状記憶材料を得た。
【0161】この形状記憶材料を85℃の生理食塩水中
に浸漬して、その形状回復率(断面積の回復率と長さの
回復率)を測定した。その測定結果を表4に示す。
【表4】
【0162】この形状記憶材料の形状は、85℃の生理
食塩水中に浸漬後、瞬時に回復した。形状回復率は、実
施例1の粘度平均分子量10万のPDLLAの形状記憶
材料と比較してやや下回ったが、ほぼ塑性変形前の丸棒
形状に復元した。下回った理由は、形状記憶材料のPL
LAの部分が二次賦形の塑性変形による配向によって、
わずかに結晶化したためであると考えられる。
【0163】[実施例5]D−ラクチドとL−ラクチド
を50:50の重量比で重合して得た粘度平均分子量1
5万のPDLLA(実施例2で使用のもの)をジクロロ
メタンに溶解し、この溶液に未焼成のハイドロキシアパ
タイト(u−HA)を加えた後、撹拌しながらエチルア
ルコールを加えてPDLLAとu−HAを共沈させた。
次いで、これを濾過し、完全に乾燥して、u−HAが4
0重量%と50重量%の割合で均一に分散している2種
類のPDLLAの顆粒を得た。
【0164】これらの顆粒をそれぞれ実施例2と同様の
条件で加圧成形して、直径10mm、長さ10mmの丸
棒形状の2種類の成形体を得た。次いで、これらの成形
体を70℃に加熱して、直径6.0mm、長さ28mm
の細長い丸棒形状の成形体(変形度RS =RL =2.
8)に圧縮塑性変形処理し、冷却して形状を固定した
後、更にこの成形体を切削加工して、一端面の直径が
1.2mm、他端面の直径が1.5mm、長さが25m
mの2種類のテーパー付き形状記憶ピン(記憶形状材
料)を作製した。そして、これらのテーパー付き形状記
憶ピンを70℃の生理食塩水に浸漬して、その形状回復
率(一端面の断面積の回復率、他端面の断面積の回復
率、長さの回復率)を測定した。その結果を表5に示
す。
【表5】
【0165】それぞれのテーパー付き形状記憶ピンの形
状は、70℃の生理食塩水中に浸漬後、瞬時に太くて短
いテーパー付きピン形状に回復し、該ピンの一端面の断
面積の回復率、他端面の断面積の回復率、長さの回復率
はいずれも約93%以上と高かった。本実施例から、バ
イオセラミックス粉粒体とPDLLAとの複合体の形状
記憶材料が得られることが判る。
【0166】次に、上記のテーパー付き形状記憶ピンの
うち、u−HA/PDLLA=50/50(重量%)の
複合体からなるピンを、骨接合用のプレート固定ピンと
して使用することを試みた。
【0167】図19に示すように、まず家兎の大腿骨1
06に直径2.0mmの孔106bをドリルで5mm間
隔で直線上に4箇所あけ、u−HA/PDLLA=50
/50(重量%)の複合体からなるテーパー付き形状記
憶ピン9を、直径が大きい他端面の方から各孔106b
に挿入した。次いで、直径2.2mmの孔を5mm間隔
で直線上に4箇所穿孔したHA/PDLLA=50/5
0(重量%)の複合体からなる骨接合用のプレート10
7を大腿骨106に重ね、大腿骨106の表面から突き
出したテーパー付き形状記憶ピン9の他端部(上端部)
をプレート107の各孔107aに通してプレート10
7を設置した。そして、70℃の生理食塩水をテーパー
付き形状記憶ピン9に流しかけ、該ピン9の形状を回復
させることによって、プレート107を大腿骨106の
表面に固定した。更に、予め150℃に加熱していたコ
テ108を、プレート107の表面から出ている該ピン
9の上端に接触させ、ピンの上端がプレート107の表
面と面一になるように圧着して、プレート107を強固
に固定した。
【0168】次ぎに、大腿骨に固定したプレートの引き
抜き試験を行った。まず、プレートを固定した大腿骨を
万能試験機に設置し、固定したプレートを特殊な治具で
挟んでプレートを引き抜く方向に応力を加えた。その結
果、プレートはピンと離脱することなく、プレートが折
損した。
【0169】以上のことから、このテーパー付き形状記
憶ピンは、骨接合用のプレートを生体骨に簡単且つ確実
に固定できるものであることが実証されたので、従来の
スクリューでプレートを骨折部分に固定する骨接合法に
比べると、遥かに容易な骨接合法が可能となった。
【0170】[実施例6]実施例1で用いた粘度平均分
子量25万のPDLLAを160℃、100kg/cm
2 で加圧成形して、直径15mm、長さ50mmの丸棒
形状の成形体を得た。そして、この成形体を切削加工し
て、図22に示すような、円柱状プラグ部11aの上面
周縁から4つの花弁状突起部11bが外側へ傾斜して突
き出した形状の成形体11cを作製した。
【0171】この成形体11cを60℃の生理食塩水中
に浸漬し、各花弁状突起部11bがプラグ部11aの軸
線方向と平行になるように、各花弁状突起部11bの付
根部分を内側に曲げ変形処理して花弁状突起部11bが
閉じた形状となし、そのまま冷却して形状を固定するこ
とによって、元の成形体11cの形状を記憶したボーン
セメント流出防止用形状記憶材料11を得た。
【0172】この形状記憶材料11を家兎大腿骨の髄腔
内に挿入し、60℃の生理食塩水を形状記憶材料11に
流しかけると、形状記憶材料11の各花弁状突起部11
bが元の開いた形状に回復して、形状記憶材料11が髄
腔内に固定された。
【0173】次いで、プラグが下に、セメントが上にな
るように縦にして髄腔内にボーンセメントを注入し、硬
化させてから大腿骨を縦に割って、髄腔内のボーンセメ
ントの洩出しの有無を確認した。その結果、ボーンセメ
ントは形状記憶材料11より上の髄腔内で硬化してお
り、下側の髄腔内へは漏れていないことが確認された。
また、挿入したボーンセメント流出防止用形状記憶材料
11は髄腔内で強固に固定されていた。
【0174】[実施例7]L−ラクチドとD,L−ラク
チドを95:5の重量比で重合して得た粘度平均分子量
15万の共重合体を、実施例6と同じ方法でハイドロキ
シアパタイト(HA)と共沈させて乾燥し、u−HAが
40重量%の割合で均一に分散している共重合体の顆粒
を得た。
【0175】これを、185℃、100kg/cm2
加圧成形して、直径10mm、長さ40mmの丸棒状の
成形体を得た。この成形体の見掛け上のガラス転移温度
は62℃であった。
【0176】次いで、この成形体を切削加工して、図2
0に示す形状の成形体10c(L:35mm、d:3m
m、D:5mm)を作製した。そして、この成形体10
cを85℃に加熱して、各アーム部10bが円柱部10
aの軸線方向と平行になるように、各アーム部10bの
付根部分で内側に曲げ変形処理し、元の成形体10cの
形状を記憶した骨接合用形状記憶材料10を得た。
【0177】次ぎに、家兎頸骨を中間で骨切りして、二
つの骨片を得た。そして、これらの骨片の切断面にそれ
ぞれ直径4mm、深さ18mmの孔を開け、そこへ骨接
合用形状記憶材料10を挿入して二つの骨片を接合した
後、85℃の生理食塩水を流しかけて、骨接合用形状記
憶材料10の形状を復元させ、双方の骨片を強固に接合
固定した。この接合固定した骨片に引抜き方向の応力を
加えたが、骨片は強固に接合されており、骨接合用形状
記憶材料10が骨片の孔から抜けることはなかった。
【0178】このことから、上記の骨接合用形状記憶材
料10は、骨片を充分固定できることが実証された。
【0179】[実施例8]DL−ラクチドの開環重合で
得た粘度平均分子量10万のポリ−DL−乳酸(ガラス
転移温度:51℃)を180℃で内径1mm、外径5m
mの小径円筒形状に押出成形し、冷却したのち切断して
内径1mm、外径5mm、長さ(幅)2mmの小径リン
グ形状の成形体を得た。そして、この小径リング形状の
成形体を60℃の雰囲気下で内径10mm、外径11.
5mm、長さ(幅)1.5mmの大径リング形状に拡張
変形した後、冷却して形状を固定し、元の小径リング形
状を記憶した形状記憶材料を作製した。
【0180】この形状記憶材料を70℃の温水に浸漬す
ると、内径、外径、長さ(幅)ともに瞬時に元の小径リ
ングと殆ど同じ形状に復元した。
【0181】[実施例9]DL−ラクチドの開環重合で
得た粘度平均分子量7万のポリ−DL−乳酸(ガラス転
移温度:50℃)を180℃で内径0.5mm、外径
3.2mmの小径円筒形状に押出成形し、冷却したのち
切断して内径0.5mm、外径3.2mm、長さ(幅)
1.0mmの小径リング形状の成形体を得た。この小径
リング形状の成形体を55℃の雰囲気下で内径5.0m
m、外径6.1mm、長さ(幅)0.8mmの大径リン
グ形状に拡張変形した後、冷却して形状を固定し、元の
小径リング形状を記憶した血管結紮用リング(形状記憶
材料)を作製した。
【0182】この血管結紮用リングを、家兎の腹部の切
断された血管(太さ約1mm)の端部に嵌挿した後、6
0℃の生理食塩水を吹きかけた。すると、血管結紮用リ
ングは瞬時に元の小径リング形状に形状が回復して血管
を結紮し、完全に止血することができた。念のために、
形状が回復したリングを、80℃に加熱したペンチで偏
平にかしめて完全に血管を封止した。そして、12週
後、家兎を屠殺し、その血管を調べた結果、リングはほ
とんど消失していたが、血管は閉塞され止血が継続され
ていた。
【0183】[実施例10]D−ラクチドとL−ラクチ
ドを50:50の重量比で重合して得た粘度平均分子量
15万のポリ−D,L−乳酸(ガラス転移温度:52
℃)を、180℃で内径3mm、外径5mmの小径円筒
形状に押出成形し、冷却したのち切断して内径3mm、
外径5mm、長さ(幅)1mmの小径リング形状の成形
体を得た。この小径リング形状の成形体を60℃の雰囲
気下で内径15mm、外径15.7mm、長さ(幅)
0.7mmの大径リング形状に拡張変形して切開し、そ
の一端部を縫合針と係合し得るフック形状に曲げ加工し
て冷却することにより、その形状を固定し、図12に示
すようなフック部71を有する縫合用形状記憶材料7を
作製した。
【0184】この縫合用形状記憶材料7の一端のフック
部71に縫合針を係合させ、家兎腹部の切開した部位を
数針縫って、図13に示すように縫合用形状記憶材料7
で切開部位104を数箇所縫合した。そして、それぞれ
の縫合用形状記憶材料7に65℃の生理食塩水を吹きか
けると、各縫合用形状記憶材料7は瞬時に元の小径リン
グ形状の成形体を切開した形状に復元し、切開部位10
4をしっかりと縫合することができた。
【0185】[実施例11]DL−ラクチドの開環重合
で得た粘度平均分子量25万のポリ−D,L−乳酸(ガ
ラス転移温度:54℃)をジクロロメタンに溶解した溶
液を、縦0.5mm、横2mm、長さ50mmのポリエ
チレン製の角棒の周囲に塗布して、ジクロロメタンを揮
散させ、長さ20mm、肉厚0.75mm、内寸法が縦
0.5mm、横2mmである偏平な角筒形状の成形体を
得た。
【0186】この成形体を80℃の雰囲気下で長さ40
mmの偏平な角筒形状に延伸し、冷却して形状を固定し
た後、更に、60℃の雰囲気下で長さ40mm、肉厚
0.1mm、内寸法が縦5mm、横10mmである開口
面積の大きい偏平な角筒形状の成形体に拡張変形し、冷
却してその形状を固定することにより、元の角筒形状を
記憶した腱接合用の形状記憶材料を作製した。
【0187】この形状記憶材料の両端開口に、切断した
家兎の足の腱の切断端を両側から挿入して、60℃の生
理食塩水を吹きかけると、該形状記憶材料は瞬時に内寸
法が縦0.5mm、横2mmの偏平な開口面積の小さい
角筒形状に収縮して腱の切断端を周囲から強固に抱持固
定し、更に、80℃の生理食塩水を吹きかけると、長さ
が20mmの元の短い角筒形状に復元して、腱の切断端
を引き寄せた状態で接合することができた。
【0188】[実施例12]DL−ラクチドの開環重合
で得た粘度平均分子量7万のポリ−D,L−乳酸(ガラ
ス転移温度:50℃)100重量部と、血管の再狭窄防
止薬トラニラスト150重量部をクロロホルムに溶解し
て、固形分が3重量%の溶液を調製し、これを直径5.
0mmのポリエチレン製の丸棒に8.0kgf/cm2
の吐出圧で吹きつけてクロロホルムを揮散させ、厚さ
0.3mmの円筒膜を作製した。そしてこの円筒膜を1
5mmの長さに切断し、該円筒膜の周囲に直径1.5m
mの孔を多数あけてから丸棒を抜き取って、図24に示
すような孔開き円筒形状の成形体12aを得た。このも
のは総重量が36mg、封入された薬剤の重量が21.
6mgであった。
【0189】この孔開き円筒形状の成形体を55℃の雰
囲気下で、図24に示すように偏平に折り畳んで丸く巻
いて褶曲させた筒形状(外径略1.0mm)に曲げ変形
処理し、急冷してその形状を固定させることにより、元
の孔開き円筒形状を記憶した細い巻物状の血管再狭窄防
止用のステント(形状記憶材料)12を得た。
【0190】このステントが元の形状を記憶しているこ
との確認と、薬剤放出速度の測定を行うために、in
vitroで次の試験を行った。
【0191】内径4.0mmのシリコンチューブにステ
ントを挿入し、60℃の温水を流入した。すると、ステ
ントは温度の上昇に伴い元の円筒形状まで拡張、復元
し、チューブの内壁を圧迫する力によってチューブ内面
をライニングした状態で固定することができた。これを
37℃に調整したpH7.4、0.2モルのリン酸緩衝
液中に浸し、ポリ−D,L−乳酸の分解とともに緩衝液
中に放出されるトラニラストの量を定期的に測定した。
その結果、図26に示すように、12週間にわたり一定
速度で薬剤の放出が見られ、初めに封入したトラニラス
トの68%がこの間に放出されていることが確認でき
た。ポリ−D,L−乳酸はまだわずかに残存しているの
が確認できた。
【0192】以上より、この形状記憶生体内分解吸収性
のステントがDDSの基材として優れた性能を発揮する
ことが判った。
【0193】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の形状記憶生体内分解吸収性材料は、変形処理温度以上
の温度で再加熱することによって、切断された血管の結
紮(止血)や吻合、切開部位の縫合、切断された腱の接
合、骨の接合、血管再狭窄の防止など、生体組織の結
紮、吻合、縫合、接合、再狭窄防止、その他の処置を極
めて簡単且つ確実に行うことができ、再加熱のとき形状
回復の温度が低温であるために生体組織を火傷させる心
配がなく、また、MRIやCTのハレーション現象を生
ぜず、生体内で分解吸収されて生体内に残らないといっ
た顕著な効果を奏する。
【0194】そして、バイオセラミックス粉体を含有さ
せたものは、生体骨と結合して強固に固定させることが
でき、薬剤を含有させたものは一定速度で薬剤を徐放す
るように工夫できるのでDDSの基材としての役目を果
たすことができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る血管吻合用形状記憶
材料の説明図である。
【図2】同形状記憶材料の使用方法の説明図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る血管吻合用形状記
憶材料の説明図である。
【図4】本発明の更に他の実施形態に係る血管吻合用形
状記憶材料の説明図である。
【図5】同形状記憶料の使用方法の説明図である。
【図6】本発明の更に他の実施形態に係る血管結紮用形
状記憶材料の説明図である。
【図7】同形状記憶材料の使用方法の説明図である。
【図8】本発明の更に他の実施形態に係る血管結紮用形
状記憶材料の説明図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態に係る腱接合用形状
記憶材料の説明図である。
【図10】同形状記憶材料の使用方法の説明図である。
【図11】本発明の更に他の実施形態に係る腱接合用形
状記憶材料の説明図である。
【図12】本発明の更に他の実施形態に係る縫合用形状
記憶材料の説明図である。
【図13】同形状記憶材料の使用方法の説明図である。
【図14】本発明の更に他の実施形態に斯かる縫合用形
状記憶材料の説明図である。
【図15】本発明の更に他の実施形態に係る骨接合用形
状記憶材料の説明図である。
【図16】同形状記憶材料の圧縮変形処理の説明図であ
る。
【図17】同形状記憶材料の使用方法の説明図である。
【図18】本発明の更に他の実施形態に係る骨接合プレ
ート固定用形状記憶材料の説明図である。
【図19】同形状記憶材料の使用方法の説明図である。
【図20】本発明の更に他の実施形態に係る骨接合用形
状記憶材料の説明図である。
【図21】同形状記憶材料の使用方法の説明図である。
【図22】本発明の更に他の実施形態に係るボーンセメ
ント塞止め用形状記憶材料の説明図である。
【図23】同形状記憶材料の使用方法の説明図である。
【図24】本発明の更に他の実施形態に係る血管再狭窄
防止用形状記憶材料の説明図である。
【図25】同形状記憶材料の使用方法の説明図である。
【図26】トラニラストを含有した血管再狭窄防止用形
状記憶材料のトラニラスト放出量と経過時間との関係を
示すグラフである。
【符号の説明】
1,2,3 血管吻合用形状記憶材料 21a 凸凹のある内面 4,5 血管結紮用形状記憶材料 6 腱接合用形状記憶材料 61 切り起こし部 7,70 縫合用形状記憶材料 71 フック部 8,10 骨接合用形状記憶材料 9 骨接合プレート固定用形状記憶材料 10a 円柱部 10b アーム部 11 ボーンセメント流出防止用形状記憶材料 11a 円柱状プラグ部 11b 花弁状突起部 12 血管再狭窄防止用形状記憶材料 12b 孔 1a,2a,3a,4a,5a,6a,7a,8a,1
0c,11c,12a,70a 元の成形体

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】乳酸系ポリマーの成形体からなり、所定温
    度以上に加熱するとその形状が外力を加えなくても記憶
    した形状に復元されることを特徴とする形状記憶生体内
    分解吸収性材料。
  2. 【請求項2】乳酸系ポリマーからなる所定形状の成形体
    を、そのガラス転移温度より高く結晶化温度(結晶化温
    度がない場合は100℃)より低い温度で別の形状の成
    形体に変形処理し、そのままガラス転移温度より低い温
    度に冷却してその形状を固定した生体内分解吸収性材料
    であって、上記の変形処理温度以上に再び加熱すると元
    の所定形状の成形体に形状が復元されることを特徴とす
    る形状記憶生体内分解吸収性材料。
  3. 【請求項3】乳酸系ポリマーからなる所定形状の成形体
    を、そのガラス転移温度より高く結晶化温度(結晶化温
    度がない場合は100℃)より低い温度で別の形状の成
    形体に変形処理し、そのままガラス転移温度より低い温
    度に冷却してその形状を固定した後、この成形体をガラ
    ス転移温度より高く上記の変形処理温度より低い温度で
    更に別の形状の成形体に変形処理し、そのままガラス転
    移温度より低い温度に冷却してその形状を固定した生体
    内分解吸収性材料であって、最初の変形処理温度以上に
    再び加熱すると元の所定形状の成形体に形状が復元され
    ることを特徴とする形状記憶生体内分解吸収性材料。
  4. 【請求項4】乳酸系ポリマーからなる所定形状の多孔質
    の成形体を、そのガラス転移温度より高く結晶化温度
    (結晶化温度がない場合は100℃)より低い温度で別
    の形状の実質的に無孔質の成形体に変形処理し、そのま
    まガラス転移温度より低い温度に冷却してその形状を固
    定した生体内分解吸収性材料であって、上記の変形処理
    温度以上に再び加熱すると元の所定形状の多孔質の成形
    体に形状が復元されることを特徴とする形状記憶生体内
    分解吸収性材料。
  5. 【請求項5】乳酸系ポリマーの筒形状の成形体からな
    り、所定温度以上に加熱するとその形状が外力を加えな
    くても記憶した小径筒形状に復元されることを特徴とす
    る血管吻合用の形状記憶生体内分解吸収性材料。
  6. 【請求項6】乳酸系ポリマーからなる小径筒形状の成形
    体を、そのガラス転移温度より高く結晶化温度(結晶化
    温度がない場合は100℃)より低い温度で大径筒形状
    の成形体に拡張変形処理し、そのままガラス転移温度よ
    り低い温度に冷却してその大径筒形状を固定した生体内
    分解吸収性材料であって、上記の変形処理温度以上に再
    び加熱すると元の小径筒形状の成形体に形状が復元され
    ることを特徴とする血管吻合用の形状記憶生体内分解吸
    収性材料。
  7. 【請求項7】乳酸系ポリマーのリング形状の成形体から
    なり、所定温度以上に加熱するとその形状が外力を加え
    なくても記憶した小径リング形状に復元されることを特
    徴とする血管結紮用の形状記憶生体内分解吸収性材料。
  8. 【請求項8】乳酸系ポリマーからなる小径筒形状の成形
    体を、そのガラス転移温度より高く結晶化温度(結晶化
    温度がない場合は100℃)より低い温度で大径筒形状
    の成形体に拡張変形処理し、そのままガラス転移温度よ
    り低い温度に冷却してその大径筒形状を固定したものを
    輪切りにした大径リング形状の生体内分解吸収性材料で
    あって、上記の変形処理温度以上に再び加熱すると元の
    小径筒形状の成形体を輪切りにした小径リング形状に形
    状が復元されることを特徴とする血管結紮用の形状記憶
    生体内分解吸収性材料。
  9. 【請求項9】乳酸系ポリマーからなる小径リング形状の
    成形体を、そのガラス転移温度より高く結晶化温度(結
    晶化温度がない場合は100℃)より低い温度で大径リ
    ング形状の成形体に拡張変形処理し、そのままガラス転
    移温度より低い温度に冷却してその大径リング形状を固
    定した生体内分解吸収性材料であって、上記の変形処理
    温度以上に再び加熱すると元の小径リング形状の成形体
    に形状が復元されることを特徴とする血管結紮用の形状
    記憶生体内分解吸収性材料。
  10. 【請求項10】乳酸系ポリマーからなる偏平な開口面積
    の小さい略角筒形状の成形体を、そのガラス転移温度よ
    り高く結晶化温度(結晶化温度がない場合は100℃)
    より低い温度で開口面積の大きい略角筒形状の成形体に
    拡張変形処理し、そのままガラス転移温度より低い温度
    に冷却してその開口面積の大きい略角筒形状を固定した
    生体内分解吸収性材料であって、上記の変形処理温度以
    上に再び加熱すると元の偏平な開口面積の小さい略角筒
    形状の成形体に形状が復元されることを特徴とする腱接
    合用の形状記憶生体内分解吸収性材料。
  11. 【請求項11】切開されたリング形状の乳酸系ポリマー
    の成形体からなり、所定温度以上に加熱するとその形状
    が外力を加えなくても記憶した小径の切開されたリング
    形状に復元されることを特徴とする縫合用の形状記憶生
    体内分解吸収性材料。
  12. 【請求項12】乳酸系ポリマーからなる小径リング形状
    の成形体を、そのガラス転移温度より高く結晶化温度
    (結晶化温度がない場合は100℃)より低い温度で大
    径リング形状の成形体に拡張変形処理し、そのままガラ
    ス転移温度より低い温度に冷却してその大径リング形状
    を固定し、この大径リング形状の成形体を切開した生体
    内分解吸収性材料であって、上記の変形処理温度以上に
    再び加熱すると元の小径リング形状の成形体を切開した
    形状に復元されることを特徴とする縫合用の形状記憶生
    体内分解吸収性材料。
  13. 【請求項13】乳酸系ポリマーからなる小径リング形状
    の成形体を、そのガラス転移温度より高く結晶化温度
    (結晶化温度がない場合は100℃)より低い温度で大
    径リング形状の成形体に拡張変形処理し、この大径リン
    グ形状の成形体を切開してその一端部を縫合針と係合可
    能な形状に曲げ変形処理して、そのままガラス転移温度
    より低い温度に冷却してその形状を固定した生体内分解
    吸収性材料であって、上記の変形処理温度以上に再び加
    熱すると元の小径リング形状の成形体を切開した形状に
    復元されることを特徴とする縫合用の形状記憶生体内分
    解吸収性材料。
  14. 【請求項14】乳酸系ポリマーの糸形状の成形体からな
    り、所定温度以上に加熱すると外力を加えなくても短縮
    して記憶した太い糸形状に復元されることを特徴とする
    縫合用の形状記憶生体内分解吸収性材料。
  15. 【請求項15】乳酸系ポリマーからなる太い糸形状の成
    形体を、そのガラス転移温度より高く結晶化温度(結晶
    化温度がない場合は100℃)より低い温度で上記の成
    形体より長くて細い糸形状の成形体に延伸変形処理し、
    そのままガラス転移温度より低い温度に冷却してその細
    い糸形状を固定した生体内分解吸収性材料であって、上
    記の変形処理温度以上に再び加熱すると短縮して元の太
    い糸形状の成形体に形状が復元されることを特徴とする
    縫合用の形状記憶生体内分解吸収性材料。
  16. 【請求項16】乳酸系ポリマーの棒形状の成形体からな
    り、所定温度以上に加熱するとその形状が外力を加えな
    くても上記棒形状より太くて短い記憶した棒形状に復元
    されることを特徴とする骨接合用の形状記憶生体内分解
    吸収性材料。
  17. 【請求項17】乳酸系ポリマーからなる太い棒形状の成
    形体を、そのガラス転移温度より高く結晶化温度(結晶
    化温度がない場合は100℃)より低い温度で上記の成
    形体より長くて細い棒形状の成形体に変形処理し、その
    ままガラス転移温度より低い温度に冷却してその細い棒
    形状を固定した生体内分解吸収性材料であって、上記の
    変形処理温度以上に再び加熱すると元の太い棒形状の成
    形体に形状が復元されることを特徴とする骨接合用の形
    状記憶生体内分解吸収性材料。
  18. 【請求項18】長くて細い棒形状に変形処理した成形体
    を冷却してその形状を固定し、更に切削して所定のピン
    形状にしたことを特徴とする請求項17に記載の形状記
    憶生体内分解吸収性材料。
  19. 【請求項19】円柱部の両端面の周縁から2以上のアー
    ム部が外側へ傾斜して突き出した形状の乳酸系ポリマー
    からなる成形体を、そのガラス転移温度より高く結晶化
    温度(結晶化温度がない場合は100℃)より低い温度
    で、各アーム部が円柱部の軸線方向と平行になるように
    各アーム部の付け根部分で内側へ曲げ変形処理し、その
    ままガラス転移温度より低い温度に冷却してその形状を
    固定した生体内分解吸収性材料であって、上記の変形処
    理温度以上に再び加熱すると元の成形体に形状が復元さ
    れることを特徴とする骨接合用の形状記憶生体内分解吸
    収性材料。
  20. 【請求項20】半球面状の下面を有する円柱状プラグ部
    の上面の周縁から2以上の花弁状突起部が外側へ傾斜し
    て突き出した形状の乳酸系ポリマーからなる成形体を、
    そのガラス転移温度より高く結晶化温度(結晶化温度が
    ない場合は100℃)より低い温度で、各花弁状突起部
    が円柱状プラグ部の軸線方向と平行になるように各花弁
    状突起部の付け根部分で内側へ曲げ変形処理し、そのま
    まガラス転移温度より低い温度に冷却してその形状を固
    定した生体内分解吸収性材料であって、上記の変形処理
    温度以上に再び加熱すると元の成形体に形状が復元され
    ることを特徴とする、髄腔内でのボーンセメント流出防
    止用の形状記憶生体内分解吸収性材料。
  21. 【請求項21】多数の孔を形成した孔開き円筒形状又は
    網目を備えたメッシュ状円筒形状の乳酸系ポリマーから
    なる成形体を、そのガラス転移温度より高く結晶化温度
    (結晶化温度がない場合は100℃)より低い温度で、
    褶曲した筒形状の成形体に曲げ変形処理し、そのままガ
    ラス転移温度より低い温度に冷却してその形状を固定し
    た生体内分解吸収性材料であって、上記の変形処理温度
    以上に再び加熱すると元の成形体に形状が復元されるこ
    とを特徴とする血管再狭窄防止用の形状記憶生体内分解
    吸収性材料。
  22. 【請求項22】乳酸系ポリマーが45〜100℃の範囲
    内でガラス転移温度を有するものであることを特徴とす
    る請求項1ないし請求項21のいずれかに記載の形状記
    憶生体内分解吸収性材料。
  23. 【請求項23】乳酸系ポリマーがポリ−D,L−乳酸で
    あることを特徴とする請求項22に記載の形状記憶生体
    内分解吸収性材料。
  24. 【請求項24】ポリ−D,L−乳酸が、D−ラクチドと
    L−ラクチドの混合物を開環重合して得られた共重合
    体、DL(メソ)−ラクチドを開環重合して得られた共
    重合体、L−乳酸とD−乳酸の混合物を重合して得られ
    た共重合体のいずれか単独、又は、これらの混合物であ
    ることを特徴とする請求項23に記載の形状記憶生体内
    分解吸収性材料。
  25. 【請求項25】乳酸系ポリマーが、D−ラクチド、L−
    ラクチド、DL(メソ)−ラクチドのいずれかのラクチ
    ドと、グリコリドによる共重合体、カプロラクトンによ
    る共重合体、ジオキサノンによる共重合体、エチレンオ
    キシドによる共重合体、プロピレンオキシドによる共重
    合体、エチレンオキシド/プロピレンオキシドによる共
    重合体のいずれか単独、又はこれらの共重合体の複数の
    混合物であることを特徴とする請求項22に記載の形状
    記憶生体内分解吸収性材料。
  26. 【請求項26】バイオセラミックス粉体が含有されてい
    ることを特徴とする請求項1ないし請求項25のいずれ
    かに記載の形状記憶生体内分解吸収性材料。
  27. 【請求項27】薬物が含有されていることを特徴とする
    請求項1ないし請求項26のいずれかに記載の形状記憶
    生体内分解吸収性材料。
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