JPH1030783A - 継手用保護カバー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 管継手部材に合成樹脂製流体導管の端部を内
嵌接合させる接合技術において、被接合外周面を切削す
る際には、ポリエチレンの削り屑によって作業用ピット
の底部から土砂等がはね上げられて、被接合外周面が汚
染されることが防止され、切削工程終了後は、作業用ピ
ットの側壁から土砂等がこぼれ落ちて、被接合外周面が
汚染されることが防止される継手用保護カバーを提供す
る。 【解決手段】 管継手部材３００に内嵌接合自在な合成
樹脂製流体導管２００の端部の被接合外周面２１０を覆
い、且つ、被接合外周面２１０との間に、外周面切削工
具２０の切削部２４、或いは管継手部材３００の端部３
１０が侵入可能な作業空間３０を形成するカバー部４を
設け、カバー部４を流体導管２００に着脱自在に固定す
る取付け部６を設けることとした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、管継手部材に合成
樹脂製流体導管の端部を内嵌接合させる接合技術に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の接合を行う場合には、周
辺の環境に曝された状態の被接合外周面を外周面切削工
具で切削し（切削を行う主な目的は、紫外線の吸収によ
り管表面の伸び、衝撃強度などの物性が低下するため新
鮮な組織を表面に露出させることによって、より確実で
信頼性の高い接合状態を得るためである）、切削終了時
や切削終了後などに被接合外周面が周辺の土砂などで汚
染された場合にはこれをアセトンなどで洗浄後、管継手
部材に内嵌させ、次に、管継手部材がＥＦ継手の場合に
は、管継手部材の内部に設置されている発熱体によって
両者を融着接合していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、一般にこの
種の接合は、地中に埋設されている合成樹脂製流体導管
の周辺の土をほぼ必要最小限の範囲で掘削して比較的小
さな作業用ピットを作り、合成樹脂製流体導管の端部が
前記作業用ピット内に露出している状態で行われること
が多く、したがって、合成樹脂製流体導管の端部は、そ
の径方向の下側は掘削された土の断面と近接している
（通常、合成樹脂製流体導管の端部と作業用ピットの底
部側の断面との間の隙間は１５ｃｍ未満と非常に狭
い）、また横方向でも、合成樹脂製流体導管の端部は、
掘削された作業用ピットの側壁の断面と近接している。
このために、上述した従来の方法では、被接合外周面を
外周面切削工具で切削する際に、切削されたポリエチレ
ンの螺旋糸状の削り屑が、被接合外周面の回りに次第に
束状に累積されて、被接合外周面の径方向外側に広がっ
て、ついに作業用ピットの底部側の断面と接触して、同
箇所の土砂の一部や泥水をはね上げたりして、切削済み
の被接合外周面の表面をこれらの土砂や泥水で汚してし
まう場合があり、その場合、これらの土砂や泥水が外周
面切削工具によって被接合外周面の組織内にめり込ん
で、融着強度が低下することの無いように、切削工程の
途中で何度も切削を中断してはアセトンで洗浄するとい
う面倒な作業を強いられ、接合作業が捗らないという欠
点が見られ、改善の余地があった。また、切削工程自体
が終了した後では、被接合外周面を管継手部材に内嵌さ
せる迄の間に、今度は主に掘削された作業用ピットの側
壁の断面から、同作業に基づく振動を含めた種々の振動
によってやはり土砂などがこぼれ落ちては、折角清浄に
仕上げられた被接合外周面の表面に付着してここを汚し
てしまう場合があり、その場合も、再びアセトンで洗浄
するという面倒な作業を強いられ、同様に、接合作業が
捗らない一因となるという欠点が見られ、改善の余地が
あった。本発明の目的は、上に例示した従来方法に見ら
れる上記欠点に鑑み、被接合外周面を切削する際には、
ポリエチレンの削り屑によって作業用ピットの底部側の
断面から土砂や泥水がはね上げられて、被接合外周面が
汚染されることが防止され、また、切削工程が終了後
の、被接合外周面を管継手部材に内嵌させる迄の期間に
おいては、作業用ピットの側壁の断面から土砂などがこ
ぼれ落ちて、被接合外周面が汚染されることが防止され
る継手用保護カバーを提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る継手用保護カバーでは、管継手部材３
００に内嵌接合自在な合成樹脂製流体導管２００の端部
の被接合外周面２１０を覆い、且つ、前記被接合外周面
２１０との間に、外周面切削工具の切削部２４、或いは
前記管継手部材３００の端部３１０が侵入可能な作業空
間３０を形成するカバー部４，４’を設け、そのカバー
部４，４’を前記合成樹脂製流体導管２００に着脱自在
に固定する取付け部６，６’を設けてある点を特徴構成
としている。尚、上記特徴構成の記載において、図面と
の対照を便利にするために符号を記すが、該記入により
本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。

【０００５】〔発明の効果〕上記の特徴構成のために、
本発明に係る継手用保護カバーでは、合成樹脂製流体導
管の端部の被接合外周面を覆うカバー部が設けられてい
るので、被接合外周面を切削する際に発生するポリエチ
レンの削り屑は、このカバー部と被接合外周面の間の空
間に収納された状態に維持されて、作業用ピットの底部
側の断面と接触することが防止されるので、作業用ピッ
トの底部から土砂や泥水がはね上げられて、被接合外周
面が汚染されることが防止され、また、切削工程が終了
後の、被接合外周面を管継手部材に内嵌させる迄の期間
においても、作業用ピットの側壁の断面からこぼれ落ち
た土砂などは、やはりこのカバー部に衝突してカバー部
の外側にこぼれ落ちるため、カバー部内に収納された状
態の被接合外周面は汚染から防止されるという特有の効
果が生じる。しかも、同カバー部は前記被接合外周面と
の間に、外周面切削工具、或いは管継手部材の端部が侵
入可能な作業空間を形成しているので、外周面切削工具
が被接合外周面の周囲を回転しながら切削することの障
害にならず、また前記被接合外周面を前記管継手部材の
端部に内嵌させる際の障害にもならないという特有の効
果が生じる。さらに、同カバー部を前記流体導管に着脱
自在に固定する取付け部を設けてあるので、同カバー部
を、被接合外周面を全周で覆う円筒形でなく、被接合外
周面を約半周で覆う半円筒形としておいても、被接合外
周面を切削する際と、切削工程が終了後の、被接合外周
面を管継手部材に内嵌させる迄の期間の双方で、被接合
外周面を保護し、汚染から防止することが出来るという
特有の効果が生じる。すなわち、取付け部の前記流体導
管に対する着脱操作によってカバー部の被接合外周面に
対する角度位置を変えることができるので、例えば、被
接合外周面を切削する際には、カバー部を被接合外周面
の下側に配置させることによって、ポリエチレンの削り
屑が作業用ピットの底部側の断面と接触することを防止
でき、一方、切削工程の終了後は、カバー部を被接合外
周面の上側に位置変更することによって、作業用ピット
の側壁の断面からこぼれ落ちた土砂などが被接合外周面
に衝突することを防止できるのである。また、上記の特
徴構成に加えて、前記カバー部に透明な材質を用いると
いう新たな特徴構成を付け加えると、特に、切削工程が
終了後の、被接合外周面を管継手部材に内嵌させる際
に、土砂などによる汚染から保護するために、被接合外
周面の上側面がカバー部で覆われていてもカバー部を通
して被接合外周面、及び管継手部材が透視できて、これ
ら両部材を突き合わせて接合する作業等が行い易く、更
に都合が良い。

【０００６】

【発明の実施の形態】図１は、本発明に係る継手用保護
カバーの概略斜視図である。この継手用保護カバー１
は、概して半円筒状のカバー部４と、カバー部４よりも
小径の半円筒状をした取付け部６を備えている。カバー
部４と取付け部６とは、例えば２ｍｍ厚のアクリル板
等、ある程度剛性のある材質からなり、両部材同士は同
様の材料でできた扇状の部材５で連結されている。ま
た、取付け部６にはベルト部材８が固定されている。ベ
ルト部材８の固定端１０は接着剤などによって取付け部
６に取り付けられており、固定端１０の外側と遊端１２
の内側の間には、互いに繰り返し着脱が可能な一対の面
テープ機構が設けられているので、遊端１２を固定端１
０に対して押し付けることによって、両部材同士を一時
的に固着自在となっている。また、特にカバー部４につ
いては、後述する作業上の便宜を考慮して透明な材質が
採用されている。図２と図３は、継手用保護カバー１を
用いて行う、ポリエチレン製管継手部材３００（管継手
部材の一例）とポリエチレン製導管２００（合成樹脂製
導管の一例）との接合方法（これらの導管はいずれも呼
び径２００Ａである）の各工程を示す概略断面図であ
り、前記接合方法は例えば次のような工程で実施するこ
とができる。

【０００７】（外周面切削工具の固定）図２には、掘削
によって形成された作業用ピット１００と、前記掘削に
よって露出されたポリエチレン製導管２００とが示され
ている。そして、ポリエチレン製導管２００の直管状端
部２１０（被接合外周面の一例）の外周を切削するため
に、直管状端部２１０付近にはスクレーパ２０（外周面
切削工具の一例）が固定されている。スクレーパ２０
は、クランプ部材２８と、回転部材２２と、回転部材２
２をクランプ部材２８に対して回転可能に支持するため
のロッド部材２６からなり、スクレーパ２０は、クラン
プ部材２８をポリエチレン製導管２００の内面にて拡径
されることによって同内周面内に対してクランプ固定さ
れている。

【０００８】（継手用保護カバーの固定）また、図２に
示されるように、ポリエチレン製導管２００の直管状端
部２１０付近に継手用保護カバー１が取り付けられてい
る。ここでは、継手用保護カバー１のカバ−部４が特に
直管状端部２１０の下側を覆うように配置しておいて、
ベルト部材８をポリエチレン製導管２００の外周に巻き
付け、良く引き締めた状態で遊端１２を固定端１０上に
押し付け固着する。この時、直管状端部２１０の外周と
カバ−部４の間には、次の工程で設置されるスクレーパ
２０が侵入し、且つ、その中で回転することを許す作業
空間３０が形成されている。

【０００９】（切削）図３−イに示されるように、スク
レーパ２０の回転部材２２をロッド部材２６回りに回転
させる。前記回転操作により回転部材２２の先端付近に
備えられた切削部２４が直管端部２１０の外周面を薄く
切削し、端部２１０の外周にポリエチレンの新鮮な面が
表れる。そして、前記切削の際にポリエチレンの螺旋糸
状の切りカスが連続的に発生し、被接合外周面の回りに
次第に束状に累積されて、被接合外周面の径方向外側に
広がろうとしても、図に示されたように、継手用保護カ
バー１のカバ−部４が特に直管状端部２１０の下側を覆
うように配置されているので、前記切りカスは少なくと
も下半分の領域ではカバ−部４より径方向外側には広が
ることが出来ず、したがって、切りカスが作業用ピット
の底部側の断面と接触し、同箇所の土砂の一部や泥水を
はね上げ、切削済みの直管状端部２１０の表面が汚染さ
れることが防止される。

【００１０】（管継手部材への内嵌）直管端部２１０の
外周面の切削が終了したら、先ず、継手用保護カバー１
のベルト部材８をポリエチレン製導管２００から一旦除
去して、継手用保護カバー１の全体をポリエチレン製導
管２００の外周面に沿って約１８０°回転させ、今度
は、図３−ロに示されるように、継手用保護カバー１の
カバ−部４が特に直管状端部２１０を上側から覆うよう
に配置した上で、ベルト部材８によってポリエチレン製
導管２００上に固定する。次に、クランプ部材２８を緩
めてスクレーパ２０をポリエチレン製導管２００から取
り去り、スクレーパ２０の代わりに、ポリエチレン製管
継手部材３００のソケット状端部３１０をポリエチレン
製導管２００に近接させ、ポリエチレン製導管２００の
直管状端部２１０をポリエチレン製管継手部材３００の
ソケット状端部３１０内に内嵌させる（図３−ロの矢印
Ａ、及び図３−ハを参照）。上記内嵌操作時、ポリエチ
レン製導管２００の直管状端部２１０は一貫してカバ−
部４の下方に位置し、上方の空間から保護されているの
で、直管状端部２１０が、ピット１００の側壁面から振
動などでこぼれ落ちる土砂や泥水によって汚染されるこ
とが防止される。この時、直管状端部２１０の外周とカ
バ−部４の間には、ポリエチレン製管継手部材３００の
ソケット状端部３１０が侵入することを許す作業空間３
０が確保されている。また、カバ−部４は透明な材質で
構成されていて、その外側から内部がポリエチレン製導
管２００の直管状端部２１０等が透視できるので、直管
状端部２１０外周面の清浄度の確認や、ポリエチレン製
管継手部材３００のソケット状端部３１０の突き合わせ
操作などが確実、且つ、容易に実施できる。

【００１１】（融着）ポリエチレン製管継手部材３００
のソケット状端部３１０の内周面付近には管の長手方向
の所定範囲に螺旋状に電熱線が埋設されており、同電熱
線の両端子がソケット状端部３１０の外周面上に突出形
成されている。したがって、ここでは、図３−ハに示さ
れるように、ポリエチレン製導管２００とポリエチレン
製管継手部材３００とを突き合わせた状態のまま、ポリ
エチレン製管継手部材３００のソケット状端部３１０上
の前記両端子間に、外部電源５０からの電流をコントロ
ールボックス６０を介して一定時間だけ流す。これによ
って、ソケット状端部３１０の内部の前記電熱線が発熱
してソケット状端部３１０の内周面付近が先ず加熱さ
れ、これによって同部分のポリエチレン樹脂の組織が軟
化膨張してポリエチレン製導管２００側の直管状端部２
１０と接触するので、ポリエチレン製導管２００側の直
管状端部２１０の外周面付近のポリエチレン樹脂も加熱
されて軟化膨張し、最終的に両部材の樹脂組織同士が一
体的に軟化融合され、結果として、ポリエチレン製導管
２００がポリエチレン製管継手部材３００に気密状に内
嵌接合される。通電は一定時間の経過後に停止され、自
然冷却を待って融着工程が終了する。

【００１２】〔別実施形態〕図４に示された継手用保護
カバー２は、取付け部６’とカバ−部４からなり、取付
け部６’は一対の概して半円筒形部材３０，３０’で構
成されている。使用する際には、先ず取付け部６’のみ
を単独でポリエチレン製導管２００の外周上に外嵌固定
するが、この外嵌固定された状態で概して円筒状を呈し
ている取付け部６’の軸芯方向の一端側はポリエチレン
製導管２００の外周面に対して略密接するが、他端側で
は、取付け部６’の全長の約三分の一の長さにわたっ
て、取付け部６’の内周面とポリエチレン製導管２００
の外周面との間に環状間隙Ｓが形成される。環状間隙Ｓ
の断面形状は、カバ−部４’の半円形状をした小径側端
部４２に対応しているので、カバ−部４’を、環状間隙
Ｓ内に挿入することによって一時的に固定することがで
きる。しかも、前記挿入する際、カバ−部４’はポリエ
チレン製導管２００に対して任意の角度姿勢で挿入する
ことができるので、切削工程におけるカバ−部４’が直
管状端部２１０を下側から被覆した状態から、取付け部
６’をポリエチレン製導管２００上に固定したままで、
カバ−部４’が直管状端部２１０を上側から被覆した状
態に変えて、管継手部材への内嵌させ、融着する工程へ
と容易に移行できる。特に、カバ−部４’が直管状端部
２１０を下側から被覆した状態と、直管状端部２１０を
上側から被覆した状態におけるカバー部４’の姿勢の安
定を向上させ、連結を確実にするために、取付け部６’
とカバ−部４’の、両部材の重複箇所には両部材同士を
固定するためのネジ手段Ｂが設けられている。取付け部
６’をポリエチレン製導管２００上に外嵌させた状態で
の半円筒形部材３０，３０’両部材同士の締結のために
は、ヒンジ３２，３２の対峙点付近で半円筒形部材３
０，３０’両部材の間にスナップ機構３４，３４等を設
けておけば良い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る継手用保護カバーの斜視図

【図２】図１の継手用保護カバーを用いた接合方法を示
す工程図

【図３】図２と同様の工程図

【図４】図１の別実施形態の斜視図

【図５】図４の継手用保護カバーを導管に設置した状態
の断面図

【符号の説明】

４ カバー部 ６ 取付け部 ２０ 外周面切削工具 ２４ 切削部 ３０ 作業空間 ２００ 合成樹脂製流体導管 ２１０ 被接合外周面 ３００ 管継手部材 ３１０ 端部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 管継手部材に内嵌接合自在な合成樹脂製
   流体導管の端部の被接合外周面を覆い、且つ、前記被接
   合外周面との間に、外周面切削工具、或いは前記管継手
   部材の端部が侵入可能な作業空間を形成するカバー部を
   設け、そのカバー部を前記合成樹脂製流体導管に着脱自
   在に固定する取付け部を設けてある継手用保護カバー。
2. 【請求項２】 前記カバー部が透明な材質からなる請求
   項１に記載の継手用保護カバー。