JPH10306827A - 動圧型多孔質含油軸受およびその製造方法 - Google Patents

動圧型多孔質含油軸受およびその製造方法

Info

Publication number
JPH10306827A
JPH10306827A JP4797398A JP4797398A JPH10306827A JP H10306827 A JPH10306827 A JP H10306827A JP 4797398 A JP4797398 A JP 4797398A JP 4797398 A JP4797398 A JP 4797398A JP H10306827 A JPH10306827 A JP H10306827A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bearing
dynamic pressure
pressure groove
oil
region
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP4797398A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3607492B2 (ja
Inventor
Kazuo Okamura
一男 岡村
Yasuhiro Yamamoto
康裕 山本
Isao Komori
功 古森
Natsuhiko Mori
夏比古 森
Makoto Shiranami
誠 白波
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp, NTN Toyo Bearing Co Ltd filed Critical NTN Corp
Priority to JP04797398A priority Critical patent/JP3607492B2/ja
Publication of JPH10306827A publication Critical patent/JPH10306827A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3607492B2 publication Critical patent/JP3607492B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 傾斜状の動圧溝を有する軸受面の成形加工を
簡易な設備で、少ない工数で、かつ、精度良く行う。 【解決手段】 焼結金属素材1’をダイ20の上面に位
置合わせして配置した後、上パンチ22およびコアロッ
ド21を降下させ、焼結金属素材1’をダイ20に圧入
し、さらに下パンチ23に押し付けて上下方向から加圧
する。焼結金属素材1’はダイ20と上下パンチ22・
23から圧迫力を受けて変形を起こし、内周面がコアロ
ッド21の成形型21aに加圧され、塑性流動を起こし
て成形型21aに食い付く。これにより、成形型21a
の形状が焼結金属素材1’の内周面に転写され、傾斜状
の動圧溝を有する軸受面が成形される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼結金属等の多孔
質体からなる軸受本体に潤滑油あるいは潤滑グリースを
含浸させて自己潤滑機能を持たせると共に、動圧溝の動
圧作用によって形成される潤滑油膜で軸の摺動面を非接
触支持する動圧型多孔質含油軸受に関し、特にレーザビ
ームプリンタ(LBP)のポリゴンミラー用や磁気ディ
スクドライブ(HDD等)用のスピンドルモータなど、
高速下で高回転精度が要求される機器や、DVD−RO
M用のスピンドルモータのように、ディスクが載ること
によって大きなアンバランス荷重が作用し高速で駆動す
る機器などの軸受に好適である。
【0002】
【従来の技術】上記のような情報機器関連の小型スピン
ドルモータでは、回転性能のより一層の向上と低コスト
化が求められており、そのための手段として、スピンド
ルの軸受部を転がり軸受から多孔質含油軸受に置き換え
ることが検討されている。しかし、多孔質含油軸受は、
真円軸受の一種であるため、軸の偏心が小さいところで
は、不安定振動が発生しやすく、回転速度の1/2の速
度で振れ回るいわゆるホワールが発生しやすい欠点があ
る。そこで、軸受面にヘリングボーン形やスパイラル形
などの動圧溝を設け、軸の回転に伴う動圧溝の作用によ
って軸受隙間に潤滑油膜を形成させて軸を非接触支持す
ることが従来より試みられている(動圧型多孔質含油軸
受)。
【0003】多孔質含油軸受の軸受面に動圧溝を形成し
た従来技術としては、実用新案公告昭和63年1962
7号に記載のものがある。同号記載の技術は、軸受面に
おける動圧溝の形成領域に表面目つぶし加工を施して、
動圧溝の形成領域を封孔したものである。また、軸受面
における動圧溝の成形方法として、軸受素材よりも硬質
の複数個のボールを円周等間隔に配列保持した軸状の治
具を軸受素材の内周面に挿入し、治具の回転と送りによ
ってボールに螺旋運動を与えながら、ボールを素材内周
面に加圧して動圧溝の形成領域を塑性加工する方法が知
られている(特許2541208号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】実用新案公告昭和63
年19627号に記載された構成では、次のような問題
点が生じる。まず、動圧溝の形成領域が完全に封孔され
ているので、その領域では多孔質含油軸受の最大の特徴
である油の循環が阻害される。従って、一旦軸受隙間に
滲み出した油は動圧溝の作用によって軸受面の軸方向中
央部に押し込まれ、そこにとどまることになる。軸受隙
間内では大きな剪断作用が働いているので、その剪断力
と摩擦熱によって軸受隙間内にとどまった油は変性しや
すく、また、温度上昇によって酸化劣化が早まる傾向に
ある。従って、軸受寿命が短くなる。つぎに、表面目つ
ぶし加工を施す他の手段として塑性加工の他、コーティ
ング等を挙げているが、コーティング被膜の厚さは溝深
さよりも薄くする必要があり、数μmのコーティング被
膜を動圧溝の形成領域にのみ施すのは極めて困難であ
る。
【0005】また、特許2541208号に記載された
方法では、成形時に動圧溝に隣接する領域で素材隆起が
起こるので、これを旋盤やリーマで除去加工する必要が
ある(特許公開平成8年232958号)。そのため、
製造工数が多くなる。また、治具の回転駆動機構と送り
機構が必要であるため、製造設備が複雑になる。さら
に、軸受素材をチャックで固定する必要があるため、チ
ャック力によって軸受面が変形したり、外周面との同軸
度に狂いが生じたりする。
【0006】本発明の目的は、傾斜状の動圧溝を有する
軸受面の成形加工を簡易な設備で、少ない工数で、か
つ、精度良く行うことができる製造方法を提供すると共
に、軸受本体の内部と軸受隙間との間の適切な油の循環
を確保し、軸受隙間内の油の劣化を抑制して軸受寿命を
向上させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、軸受面における動圧溝の形成領域を成形
するための第1成形部と動圧溝の形成領域以外の領域を
成形するための第2成形部とを有する成形型を円筒状の
多孔質素材の内周面に挿入し、多孔質素材に圧迫力を加
え、多孔質素材の内周面を成形型に加圧することによ
り、多孔質素材の内周面に、軸受面における動圧溝の形
成領域とそれ以外の領域とを同時成形する構成とした。
あるいは、上記成形型を内型として、圧縮成形により粉
末材料から円筒状の圧縮成形体を成形すると同時に、成
形型により、圧縮成形体の内周面に、軸受面における動
圧溝の形成領域とそれ以外の領域とを同時成形する構成
とした。上記成形型の離型は、上記圧迫力を解除するこ
とによる多孔質素材のスプリングバックを利用して、あ
るいは、圧縮成形力を解除することによる圧縮成形体の
スプリングバックを利用して行うことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。
【0009】図1は、本発明の製造方法によって製造し
た動圧型多孔質含油軸受の一形態を例示している。この
多孔質含油軸受1は、例えば、図2に示すようなレーザ
ビームプリンタのスキャナモータにおいて、ロータ2と
ステータとの間の例磁力によって高速回転するスピンド
ル軸4をハウジング5に対して回転自在に非接触支持す
るものである。
【0010】多孔質含油軸受1は、多孔質の軸受本体1
aと、潤滑油又は潤滑グリースの含浸によって軸受本体
1aの細孔内に保有された油とで構成される。軸受本体
1aは、例えば銅又は鉄、あるいはその両者を主成分と
する焼結金属で形成され、望ましくは銅を20〜95重
量%含有し、密度が6.4〜7.2g/cm3 となるよ
うに形成される。軸受本体1aの材質として、鋳鉄、合
成樹脂、セラミックスなどを焼結または発泡成形し、多
数の細孔を有する多孔質体としたものを用いても良い。
【0011】軸受本体1aの内周面には、支持すべき軸
の外周面と軸受隙間を介して対向する軸受面1bが形成
され、その軸受面1bに傾斜状の動圧溝1cが形成され
ている。この実施形態における軸受面1bは、軸方向に
対して一方に傾斜した複数の動圧溝1cを円周方向に配
列した第1領域m1と、第1領域m1から軸方向に離隔
し、軸方向に対して他方に傾斜した複数の動圧溝1cを
円周方向に配列した第2領域m2と、第1領域m1と第
2領域m2との間に位置する環状の平滑領域nとで構成
される。第1領域m1の背(動圧溝1c間の領域)1d
と第2領域m2の背(動圧溝1c間の領域)1dは、そ
れぞれ平滑領域nに連続している。第1領域m1の動圧
溝1cと第2領域m2の動圧溝1cとは、軸受面1bの
軸方向中心線に対して左右対称になっている。軸受面1
bには、動圧溝1cの形成領域を含む全領域にわたって
表面開孔が分布しており、主に軸受面1bの表面開孔を
介して、軸受本体1aの内部と軸受隙間との間で油を循
環させて、軸の外周面を軸受面1bに対して非接触支持
する構成になっている。例えば、表面開孔率は、第1領
域m1および第2領域m2において5〜40%の範囲、
望ましくは5〜20%の範囲に設定し、平滑領域nにお
いて2〜30%の範囲、望ましくは2〜10%の範囲に
設定することができる。また、平滑領域nの表面開孔率
は、第1領域m1および第2領域m2の表面開孔率より
も小さくすることができる。ここで、「表面開孔」と
は、多孔質体組織の細孔が外表面に開口した部分をい
い、「表面開孔率」とは、外表面の単位面積内に占める
表面開孔の面積割合をいう。
【0012】軸受本体1aと軸との間に相対回転が生じ
ると、第1領域m1と第2領域m2にそれぞれ逆向きに
傾斜形成された動圧溝1cによって、軸受隙間内の油が
平滑領域nに向けて引き込まれ、油が平滑領域nに集め
られるため、平滑領域nにおける油膜圧力が高められ
る。そのため、潤滑油膜の形成効果が高い。しかも、背
1dに加え、平滑領域nも軸を支持する支持面になるの
で、支持面積が拡大し、軸受剛性が高められる。平滑領
域nの軸方向幅の比率rは、軸受幅を1とした場合、r
=0.1〜0.6の範囲、望ましくは、r=0.2〜
0.4の範囲に設定するのが良い。尚、動圧溝1cは軸
方向に対して傾斜した形状であれば良く、例えば図3に
示すような軸方向の連続形状でも良いし(この場合、環
状の平滑領域は有しない。)、あるいは、スパイラル形
状でも良い。
【0013】図4は、上記構成の多孔質含油軸受1で軸
4を支持する際における、軸方向断面での油Oの流れを
示している。軸4の回転に伴い、軸受本体1aの内部の
細孔内に保有された油Oが軸受面1bの軸方向両側及び
チャンファー部付近から軸受隙間に滲み出し、さらに動
圧溝によって軸受隙間の軸方向中央に向けて引き込まれ
る。その油Oの引き込み作用(動圧作用)によって軸受
隙間に介在する油膜の圧力が高められ、潤滑油膜が形成
される。この軸受隙間に形成される潤滑油膜(動圧溝の
動圧作用によって形成される潤滑油膜)によって、軸4
はホワール等の不安定振動を生じることなく、軸受面1
bに対して非接触支持される。軸受隙間に滲み出した油
Oは、軸4の回転に伴う発生圧力により、主に軸受面1
bの表面開孔から軸受本体1aの内部に戻り、軸受本体
1aの内部を循環して、再び軸受面1b及びチャンファ
ー部付近から軸受隙間に滲み出す。
【0014】図1に示す多孔質含油軸受1の軸受本体1
aは、例えば銅又は鉄、あるいはその両者を主成分とす
る金属粉末を圧縮成形し、さらに焼成して得られた図1
2に示すような円筒形状の焼結金属素材1’に対して、
例えばサイジング→回転サイジング→軸受面成形加工を
施して製造することができる。
【0015】サイジング工程は、焼結金属素材1’の外
周面と内周面のサイジングを行う工程で、焼結金属素材
1’の外周面を円筒状のダイに圧入すると共に、内周面
にサイジングピン(断面円形)を圧入する。回転サイジ
ング工程は、断面略多角形のサイジングピン(断面円形
のピンの外周面を部分的に平坦加工して、円周等配位置
に円弧部分を残したもの)を焼結金属素材1’の内周面
に圧入し、これを回転させながら内周面のサイジングを
行う工程である。軸受面成形工程は、上記のようなサイ
ジング加工を施した焼結金属素材1’の内周面に、完成
品1aの軸受面1bに対応した形状の成形型を加圧する
ことによって、軸受面1bの動圧溝1cの形成領域とそ
れ以外の領域(背1dおよび環状の平滑領域n)とを同
時成形する工程である。この工程は、例えば以下のよう
なものである。
【0016】図5は、軸受面成形工程で使用する成形装
置の概略構造を例示している。この装置は、焼結金属素
材1’の外周面を圧入する円筒状のダイ20、焼結金属
素材1’の内周面を成形するコアロッド21、焼結金属
素材1’の両端面を上下方向から押さえる上下のパンチ
22、23を主要な要素として構成される。図5(b)
に示すように、コアロッド21の外周面には、完成品の
軸受面1bの形状に対応した凹凸状の成形型21aが設
けられている。成形型21aの凸部分21a1は軸受面
1bにおける動圧溝1cの領域を成形し、凹部分21a
2は動圧溝1c以外の領域(背1dおよび環状の平滑領
域n)を成形するものである。成形型21aにおける凸
部分21a1と凹部分21a2との段差(深さH)は、
軸受面1bにおける動圧溝1cの深さと同程度(例えば
2〜5μm程度)で微小なものであるが、図面ではかな
り誇張して図示されている。
【0017】ダイ20への圧入前の状態において、焼結
金属素材1’の内周面とコアロッド21の成形型21a
(凸部分21a1を基準)との間には内径すきまTがあ
る。内径すきまT(直径量)の大きさは例えば50μm
である。焼結金属素材1’の外周面のダイ20に対する
圧入代(外径しめしろS:直径量)は例えば150μm
である。
【0018】焼結金属素材1’をダイ20の上面に位置
合わせして配置した後、図6に示すように、上パンチ2
2およびコアロッド21を降下させ、焼結金属素材1’
をダイ20に圧入し、さらに下パンチ23に押し付けて
上下方向から加圧する。
【0019】焼結金属素材1’はダイ20と上下パンチ
22・23から圧迫力を受けて変形を起こし、内周面が
コアロッド21の成形型21aに加圧される。内周面の
加圧量は、外径しめしろSと内径すきまTとの差に略等
しく、内周面から所定深さまでの表層部分がコアロッド
21の成形型21aに加圧され、塑性流動を起こして成
形型21aに食い付く。これにより、成形型21aの形
状が焼結金属素材1’の内周面に転写され、軸受面1b
が図1に示す形状および寸法に成形される(同時に焼結
金属素材1’の外周面もサイジングされる。)。
【0020】軸受面1bの成形が完了した後、図9に示
すように、焼結金属素材1’にコアロッド21を挿入し
たままの状態で下パンチ23とコアロッド21を連動し
て上昇させ(図9の状態)、焼結金属素材1’をダイ
20から抜く(図9の状態)。焼結金属素材1’をダ
イ20から抜くと、焼結金属素材1’にスプリングバッ
クが生じ、その内径寸法が拡大するので(図7参照)、
動圧溝1cを崩すことなく、焼結金属素材1’の内周面
からコアロッド21を抜き取ることができる(図9の
状態)。これにより、軸受本体1aが完成する。尚、通
常の真円軸受(軸受面に動圧溝を有しない焼結含油軸
受)の製造工程では、図8に示すように、軸受面(内周
面)のサイジングを行った後、焼結金属素材1”をダイ
20’に圧入したままの状態で、サイジングピン21’
{断面円形:図5(b)に示すような成形型21aは有
しない。)を上昇させて焼結金属素材1”の内周面から
抜き、その後、下パンチ23’で焼結金属素材1”を押
し上げてダイ20’から取出すようにしている。この手
順を、傾斜状の動圧溝を有する軸受面の成形に用いる
と、サイジングピン(コアロッド)を焼結金属素材の内
周面から抜き取る際に、動圧溝の形状を崩してしまう。
【0021】図10に、内径φ3、外径φ6、幅3mm
の焼結金属素材1’に対して、上述した軸受面成形工程
を行った時の、内径すきまTおよび外径しめしろSとス
プリングバック量との関係を示す。同図に示すように、
内径すきまTおよび外径しめしろSとスプリングバック
量との間には一定の相関関係があり、内径すきまTと外
径しめしろSを特定すれば、その時のスプリングバック
量も特定されることが理解できる。実験によれば、所定
の深さH(2μm〜3μm:成形される動圧溝1cの深
さと略等しい。)において、スプリングバック量を4〜
5μm(直径量)程度に設定すれば、動圧溝1cを崩す
ことなく焼結金属素材1’をコアロッド21から抜き取
ることができたので、この程度のスプリングバック量が
得られるよう内径すきまTと外径しめしろSとを設定す
るのが望ましい。尚、焼結金属素材1’のスプリングバ
ック量の半径量が深さHよりも大きい場合は、成形型2
1aを焼結金属素材1’の内周面に干渉させることなく
離型することができるが、焼結金属素材1’のスプリン
グバック量の半径量が深さHよりも小さく、成形型21
aが焼結金属素材1’の内周面に多少干渉する場合であ
っても、焼結金属素材1’の材料弾性による拡径量(半
径量)を付加して、動圧溝1cを崩すことなく成形型2
1aを焼結金属素材1’の内周面から離型できれば良
い。従って、上記の実験結果に基づく寸法設定は一例で
あり、これによって本発明が限定的に解釈されるもので
はない。
【0022】なお、軸受面1bの成形工程が完了した
後、軸受面1bを通常のサイジングピン(断面円形)を
用いてサイジングしてもよい。この場合、軸受面1bに
おける背1dおよび平滑領域nがサイジングピンによっ
てサイジングされることにより、それら領域の表面開孔
率は動圧溝1cの形成領域の表面開孔率よりも小さくな
る。また、軸受面の成形工程において、成形型によって
動圧溝の形成領域のみを成形し、その後、動圧溝の形成
領域以外の領域をサイジング(断面円形のサイジングピ
ンを使用)または回転サイジング(断面円形のピンの外
周面を部分的に平坦加工して、円周等配位置に円弧部分
を残したサイジングピンを使用)によって仕上げること
も可能である。
【0023】以上のような工程を経て軸受本体1aを製
造し、これに潤滑油又は潤滑グリースを含浸させて油を
保有させると、図1に示す形態の動圧型多孔質含油軸受
1が完成する。
【0024】真円軸受(軸受面に動圧溝を有しない焼結
含油軸受)と上記方法によって製造した動圧型多孔質含
油軸受(焼結含油軸受)を用いて軸振れ性能の比較実験
を行った。実験は、図13に示すようなCD−ROM実
機モータに試験軸受を組み込み、市販のCDを実装し
て、回転数に対する軸振れを測定したものである。その
結果を図11に示す。同図からも真円軸受に比べ、実施
形態の動圧型多孔質含油軸受が軸振れの抑制に有効であ
ることが理解できる。
【0025】上記の実施形態は、焼結金属素材1’に対
して軸受面成形を行うものであるが、この他にフォーミ
ング工程において軸受面成形を行うこともできる。フォ
ーミングは、外型の内側に内型となるフォーミングピン
を挿入し、内型と外型の間に粉末材料を充填した後、軸
方向に加圧圧縮して円筒状に成形する工程である。この
フォーミング工程において、フォーミングピンの外周面
に図5(b)に示すような成形型を形成しておくことに
よって、フォーミングと同時に成形品(圧縮成形体)の
内周面に図1に示すような形状の軸受面を成形すること
ができる。また、加圧圧縮後、圧縮成形力を除去すれば
成形品(圧縮成形体)のスプリングバックを利用して成
形品(圧縮成形体)をフォーミングピンから抜くことが
でき、この時に軸受面の形状が崩れることもない。粉末
材料は金属粉末材料で、例えば銅又は鉄、あるいはその
両者を主成分とするものである。フォーミング後の成形
品は、焼成した後、サイジング工程、油の含浸工程等を
経て製品化される。
【0026】以上の説明では、多孔質素材又は圧縮成形
体のスプリングバックを利用して軸受面の成形型を離型
する場合を例示しているが、その他に、成形型を弾性的
に縮拡径可能な構造とし(例えば成形型をスリットによ
る分割構造とする。)、軸受面の成形後、成形型を弾性
的に縮径させて離型するようにしても良い。また、軸受
面の形状(動圧溝の形状)に応じて、成形型の形状を変
えることによって、種々の形状の軸受面を同様にして成
形することができる。さらに、1つの軸受本体の内周面
に複数の軸受面を軸方向に離隔して形成する場合も、外
周面に複数の成形型を軸方向に離隔して形成したコアロ
ッドやフォーミングピンを用いることによって、複数の
軸受面を同時成形することができる。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、動圧溝の形成領域を成
形するための第1成形部と動圧溝の形成領域以外の領域
を成形するための第2成形部とを有する成形型を用い
て、軸受面の全領域を同時成形するので、傾斜状の動圧
溝を有する軸受面の成形加工を簡易な設備で、少ない工
数で、かつ、精度良く行うことができる。また、軸受本
体のフォーミングと軸受面成形とを同時に行うことも可
能であるので、生産性の向上とコスト低減の点でも有利
である。
【0028】本発明の製造方法によって製造された動圧
型多孔質含油軸受は、軸受面の成形精度が高く、しか
も、動圧溝の形成領域を含む軸受面の全領域に表面開孔
が分布し、軸受本体の内部と軸受隙間との間の適切な油
の循環が確保されるので、潤滑油膜の形成効果が高く、
良好かつ安定した軸受機能を有すると同時に、高い耐久
寿命を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の製造方法によって製造された動圧型
多孔質含油軸受の一形態を示す縦断面図である。
【図2】多孔質含油軸受を組み込んだモータを概念的に
示す縦断面図である。
【図3】動圧型多孔質含油軸受の他の実施形態を示す縦
断面図である。
【図4】動圧型多孔質含油軸受で軸を非接触支持する際
の、軸方向断面での油の流れを模式的に示す図である。
【図5】図5(a)は軸受面の成形加工に使用する成形
装置の概略を示す縦断面図、図5(b)は軸受面を成形
する成形型を示す側面図である。
【図6】軸受面の成形工程を示す図である。
【図7】軸受面の成形工程を示す図である。
【図8】従来の真円軸受における軸受面の成形工程を示
す図である。
【図9】実施形態の軸受面の成形工程を示す図である。
【図10】内径すきま及び外径すきまとスプリングバッ
ク量との関係を示す図である。
【図11】従来の真円軸受と実施形態の動圧型多孔質含
油軸受を使用した場合の、軸振れを比較試験した結果を
示す図である。
【図12】焼結金属素材を示す縦断面図である。
【図13】軸振れの比較試験に使用した実験装置を概念
的に示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 動圧型多孔質含油軸受 1a 軸受本体 1b 軸受面 1c 動圧溝 21a 成形型

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内周面に傾斜状の動圧溝を有する軸受面
    が形成された多孔質の軸受本体と、潤滑油又は潤滑グリ
    ースの含浸によって上記軸受本体の内部の細孔内に保有
    された油とを備えた動圧型多孔質含油軸受を製造するた
    めの方法であって、 上記軸受面における動圧溝の形成領域を成形するための
    第1成形部と動圧溝の形成領域以外の領域を成形するた
    めの第2成形部とを有する成形型を円筒状の多孔質素材
    の内周面に挿入し、上記多孔質素材に圧迫力を加え、上
    記多孔質素材の内周面を上記成形型に加圧することによ
    り、上記多孔質素材の内周面に、上記軸受面における動
    圧溝の形成領域とそれ以外の領域とを同時成形する工程
    を含むことを特徴とする動圧型多孔質含油軸受の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 上記多孔質素材が焼結金属で形成されて
    いる請求項1記載の動圧型多孔質含油軸受の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記焼結金属が銅または鉄、あるいは、
    その両者を主成分とする請求項2記載の動圧型多孔質含
    油軸受の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記軸受面を成形した後、上記圧迫力を
    解除することによる上記多孔質素材のスプリングバック
    を利用して、上記成形型を上記多孔質素材の内周面から
    離型する請求項1、2又は3記載の動圧型多孔質含油軸
    受の製造方法。
  5. 【請求項5】 内周面に傾斜状の動圧溝を有する軸受面
    が形成された多孔質の軸受本体と、潤滑油又は潤滑グリ
    ースの含浸によって上記軸受本体の内部の細孔内に保有
    された油とを備えた動圧型多孔質含油軸受を製造するた
    めの方法であって、 上記軸受面における動圧溝の形成領域を成形するための
    第1成形部と動圧溝の形成領域以外の領域を成形するた
    めの第2成形部とを有する成形型を内型として、圧縮成
    形により粉末材料から円筒状の圧縮成形体を成形すると
    同時に、上記成形型により、上記圧縮成形体の内周面
    に、上記軸受面における動圧溝の形成領域とそれ以外の
    領域とを同時成形する工程を含むことを特徴とする動圧
    型多孔質含油軸受の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記粉末材料が粉末金属材料である請求
    項5記載の動圧型多孔質含油軸受の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記粉末金属材料が銅または鉄、あるい
    は、その両者を主成分とする請求項6記載の動圧型多孔
    質含油軸受の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記圧縮成形体を成形した後、圧縮成形
    力を解除することによる上記圧縮成形体のスプリングバ
    ックを利用して、上記成形型を上記圧縮成形体の内周面
    から離型する請求項5、6又は7記載の動圧型多孔質含
    油軸受の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜請求項8の何れかに記載の製
    造方法によって製造された動圧型多孔質含油軸受。
JP04797398A 1997-03-06 1998-02-27 動圧型多孔質含油軸受およびその製造方法 Expired - Lifetime JP3607492B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04797398A JP3607492B2 (ja) 1997-03-06 1998-02-27 動圧型多孔質含油軸受およびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5185797 1997-03-06
JP9-51857 1997-03-06
JP04797398A JP3607492B2 (ja) 1997-03-06 1998-02-27 動圧型多孔質含油軸受およびその製造方法

Related Child Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001329558A Division JP3784690B2 (ja) 1997-03-06 2001-10-26 動圧型多孔質含油軸受およびその製造方法
JP2001329571A Division JP3607661B2 (ja) 1997-03-06 2001-10-26 動圧型多孔質含油軸受およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10306827A true JPH10306827A (ja) 1998-11-17
JP3607492B2 JP3607492B2 (ja) 2005-01-05

Family

ID=26388189

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04797398A Expired - Lifetime JP3607492B2 (ja) 1997-03-06 1998-02-27 動圧型多孔質含油軸受およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3607492B2 (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006234161A (ja) * 2005-01-28 2006-09-07 Victor Co Of Japan Ltd 焼結合金動圧軸受及びそれを備えたモータ
US7147376B2 (en) 2003-06-10 2006-12-12 Ntn Corporation Dynamic bearing device
US7215508B2 (en) 2001-03-08 2007-05-08 Ngk Spark Plug Co., Ltd. Ceramic dynamic-pressure bearing and hard disk drive using the same
WO2009035010A1 (ja) * 2007-09-11 2009-03-19 Mitsubishi Materials Pmg Corporation 圧粉体と焼結軸受及びその製造方法
US7857516B2 (en) 2006-12-29 2010-12-28 Foxconn Technology Co., Ltd. Hydrodynamic bearing with bearing surface having branched grooves
US7866046B2 (en) 2006-12-08 2011-01-11 Foxconn Technology Co., Ltd. Method for manufacturing hydrodynamic bearing and shaft
US7866047B2 (en) 2005-03-18 2011-01-11 Nidec Corporation Sleeve-unit manufacturing method
US7988810B2 (en) 2006-09-20 2011-08-02 Nidec Corporation Sleeve unit, method of manufacturing thereof, and motor using the sleeve unit
US8001691B2 (en) 2006-12-22 2011-08-23 Foxconn Technology Co., Ltd. Method for manufacturing hydrodynamic bearing and shaft
US10753395B2 (en) 2016-02-25 2020-08-25 Ntn Corporation Oil-impregnated sintered bearing and method for manufacturing same
WO2022190836A1 (ja) * 2021-03-12 2022-09-15 Ntn株式会社 焼結含油軸受とこの軸受を備えた流体動圧軸受装置

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6199675B2 (ja) 2013-09-24 2017-09-20 Ntn株式会社 焼結金属軸受、及びこの軸受を備えた流体動圧軸受装置
JP6347929B2 (ja) 2013-09-24 2018-06-27 Ntn株式会社 焼結金属軸受

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7215508B2 (en) 2001-03-08 2007-05-08 Ngk Spark Plug Co., Ltd. Ceramic dynamic-pressure bearing and hard disk drive using the same
US7147376B2 (en) 2003-06-10 2006-12-12 Ntn Corporation Dynamic bearing device
JP2006234161A (ja) * 2005-01-28 2006-09-07 Victor Co Of Japan Ltd 焼結合金動圧軸受及びそれを備えたモータ
US7866047B2 (en) 2005-03-18 2011-01-11 Nidec Corporation Sleeve-unit manufacturing method
US7988810B2 (en) 2006-09-20 2011-08-02 Nidec Corporation Sleeve unit, method of manufacturing thereof, and motor using the sleeve unit
US7866046B2 (en) 2006-12-08 2011-01-11 Foxconn Technology Co., Ltd. Method for manufacturing hydrodynamic bearing and shaft
US8001691B2 (en) 2006-12-22 2011-08-23 Foxconn Technology Co., Ltd. Method for manufacturing hydrodynamic bearing and shaft
US7857516B2 (en) 2006-12-29 2010-12-28 Foxconn Technology Co., Ltd. Hydrodynamic bearing with bearing surface having branched grooves
WO2009035010A1 (ja) * 2007-09-11 2009-03-19 Mitsubishi Materials Pmg Corporation 圧粉体と焼結軸受及びその製造方法
JP2009068558A (ja) * 2007-09-11 2009-04-02 Mitsubishi Materials Pmg Corp 圧粉体と焼結軸受及びその製造方法
US10753395B2 (en) 2016-02-25 2020-08-25 Ntn Corporation Oil-impregnated sintered bearing and method for manufacturing same
WO2022190836A1 (ja) * 2021-03-12 2022-09-15 Ntn株式会社 焼結含油軸受とこの軸受を備えた流体動圧軸受装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP3607492B2 (ja) 2005-01-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100619164B1 (ko) 동압형 베어링 및 동압형 베어링 유닛
US6299356B1 (en) Hydrodynamic type porous oil-impregnated bearing
JP3607492B2 (ja) 動圧型多孔質含油軸受およびその製造方法
JP3954695B2 (ja) 動圧型多孔質含油軸受の製造方法
JP3607661B2 (ja) 動圧型多孔質含油軸受およびその製造方法
JP3607478B2 (ja) 動圧型多孔質含油軸受
JP3784690B2 (ja) 動圧型多孔質含油軸受およびその製造方法
JP3602320B2 (ja) 動圧型焼結含油軸受の製造方法
JP2000087953A (ja) 動圧型焼結含油軸受ユニット
JP4188288B2 (ja) 動圧型多孔質含油軸受の製造方法
JP3602330B2 (ja) 動圧型滑り軸受およびその製造方法
JP4327038B2 (ja) スピンドルモータ
JP3602318B2 (ja) 動圧型多孔質含油軸受の製造方法
JP3782900B2 (ja) 動圧型軸受および動圧型軸受ユニット
JP2004340385A (ja) 動圧型軸受ユニット
JP4459669B2 (ja) 動圧軸受装置
JP2005180707A (ja) 動圧型焼結含油軸受ユニット
JP2004316924A (ja) 動圧型焼結含油軸受ユニット
JP4451409B2 (ja) 動圧型焼結含油軸受ユニットの製造方法
JP4509922B2 (ja) 情報機器スピンドルモータ用の動圧型焼結含油軸受
JP3842415B2 (ja) 動圧型多孔質含油軸受の軸受面成形用コアロッド
JP2004308921A (ja) 動圧型軸受ユニット
JP2001056028A (ja) 軸受の製造方法
JPH11195267A (ja) 情報機器のスピンドルモータ
JP2004316925A (ja) 動圧型焼結含油軸受ユニット

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040526

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040726

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040907

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20041007

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071015

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081015

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091015

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101015

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111015

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121015

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121015

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131015

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term