JPH10306206A - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品

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JPH10306206A
JPH10306206A JP9114696A JP11469697A JPH10306206A JP H10306206 A JPH10306206 A JP H10306206A JP 9114696 A JP9114696 A JP 9114696A JP 11469697 A JP11469697 A JP 11469697A JP H10306206 A JPH10306206 A JP H10306206A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高い強度および剛性を有し、摺動性に優れ、
かつ良好な外観を有する芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物およびそれからの成形品。 【解決手段】 芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1成
分)60〜100重量%とジエンゴム成分に芳香族ビニ
ル化合物およびシアン化ビニル化合物をグラフトした熱
可塑性グラフト共重合体、芳香族ビニル化合物とシアン
化ビニル化合物との共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ
アリレート樹脂、ポリアミド樹脂から選択される少なく
とも一種以上の熱可塑性樹脂(A−2成分)40〜0重
量%からなる熱可塑性樹脂(A成分)、強化充填材(B
成分)、摺動性付与材(C成分)およびポリ(オキシア
ルキレン)グリコール成分を含有するポリエステルエラ
スマー(D成分)よりなりA成分が95〜40重量%、
B成分が3〜55重量%、C成分が0.1〜10重量%
およびD成分が1〜20重量%である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は芳香族ポリカーボネ
ート樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、高い強度お
よび剛性を有し、摺動性に優れ、かつ良好な外観を有す
る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および成形品に関
する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂は優れた機
械特性、耐熱性を有し、エンジニアリングプラスチック
として広く使用されている。さらに芳香族ポリカーボネ
ート樹脂にガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレーク等に
代表される強化材、およびフッ素樹脂、ポリエチレン樹
脂およびオレフィンワックス等に代表される摺動性付与
材を配合した樹脂組成物は高強度、高剛性および摺動特
性の必要な用途、例えばギアに代表される内部機構部材
の各種用途、に従来より広く使用されてきている。すな
わち従来かかる芳香族ポリカーボネート樹脂に強化材お
よび摺動性付与材を配合した組成物はほとんど人目に触
れることのない個所に使用され、よって成形品の外観に
対して特に要求されることはなかった。しかしながら近
年CD−ROMドライブにおけるCDトレイ、カーCD
またはMDチェンジャーのCDまたはMDチェンジャー
トレイ、カメラの鏡筒等に代表される、高強度、高剛性
および摺動性が必要でありながら、かつ人目に触れやす
いため良好な成形品の外観の要求される用途が数多く現
れている。しかしながら芳香族ポリカーボネート樹脂に
強化材および摺動性付与材を配合した組成物は外観がき
わめて悪化するという欠点があるため、かかる外観の要
求される用途での使用は困難であった。一般的に熱可塑
性樹脂組成物の成形品の外観を改良する手段として成形
時の金型温度を高める方法がある。また樹脂組成物に流
動改質剤を添加することが効果的であることも広く知ら
れており、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の場合に
は流動改質剤として脂肪族ポリエステルやリン酸エステ
ル化合物等が広く知られている。しかしながらかかる芳
香族ポリカーボネート樹脂に強化材および摺動性付与材
を配合した組成物に対しては、成形時の金型温度の高温
化や流動改質剤の添加を行っても、表面の平滑性は向上
するもの、表面に不均一な縞模様が発生し外観は十分に
改良されない。そのため現在は芳香族ポリカーボネート
に強化材を配合し、得られた成形品にグリースや摺動塗
料を塗布する方法、強化材として平均粒子径が6μm未
満のタルクに代表される粒径の小さな特定の強化材を使
用し外観の悪化を防止する方法、および外観の悪化が目
立ちにくい着色を施す方法等の対策により対応している
のが現状である。グリースや摺動塗料の塗布は製品の製
造工程の煩雑化やコストアップを招くという問題があ
る。タルク等の粒径の小さな特定の強化材の使用は補強
効果が不十分であったり成形品がつや消し調になり製品
デザインの幅を狭めるいう問題がある。さらに特にタル
ク等の鉱物系無機フィラーの場合、芳香族ポリカーボネ
ート樹脂の熱安定性がやや低下するため、ガラス繊維、
炭素繊維、ガラスフレークに代表される強化材と比較し
て成形管理に手間がかかるという問題がある。また目立
ちにくい着色を施す方法は製品デザインの幅を狭めた
り、多量の染顔料の添加により芳香族ポリカーボネート
樹脂の熱安定性を低下させ機械的特性の低下やシルバー
等の発生により外観がより悪化するという問題があっ
た。すなわち現在の対応はどれも十分なものではなく、
高強度、高剛性、良好な摺動特性および良好な外観を有
する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が求められてい
るものの、かかる特性を有した芳香族ポリカーボネート
樹脂組成物はこれまでなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高い
強度および剛性を有し、摺動性に優れ、かつ良好な外観
を有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供せん
とするものである。
【0004】本発明者は上記目的を達成せんとして鋭意
研究を重ねた結果、驚くべきことに芳香族ポリカーボネ
ート系樹脂、強化材および摺動性付与材からなる混合物
に、特定のポリエステルエラストマーを配合することに
より、高い強度および剛性を有し、摺動性に優れ、かつ
良好な外観を有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】芳香族ポリカーボネート樹脂にポリエステ
ルエラストマーを添加することが既に特開昭51−54
651号公報に提案されている。しかしながらかかる公
報においては芳香族ポリカーネート樹脂の衝撃強度の厚
み依存性を改良する効果のみが記述されており、さらに
強化剤および摺動性付与剤を添加した場合の効果につい
ては明示されていない。芳香族ポリカーボネート樹脂に
共役ジエン系ゴム強化スチレン系樹脂およびポリエステ
ルエラストマーを添加することが特開昭60−2192
50号公報に提案されている。しかしながらかかる公報
においては芳香族ポリカーボネート系樹脂の耐薬品性お
よびウエルド強度を改良する効果のみが記述されてお
り、さらに強化剤および摺動性付与剤を添加した場合の
効果については明示されていない。芳香族ポリカーボネ
ート樹脂にABS樹脂、平均繊維径が2μm以下のガラ
ス繊維および各種の熱可塑性エラストマーを添加するこ
とが特開平04−65452号公報に提案されており、
かかる組成物の外観が良好であることが記述されてい
る。しかしながらかかる公報においては外観改良は特定
の繊維径のガラス繊維の効果によるものであり、通常使
用される平均繊維径のガラス繊維を使用した場合に特定
の熱可塑性エラストマーにおいて外観が特に改良される
ことについては記述されていない。さらに特表平08−
501328号公報においては各種ポリマーのブレンド
物に各種のエラストマーを添加することによりポリテト
ラフルオロエチレン樹脂などの一般の摺動性付与剤を添
加した場合と同等の耐摩耗性を有する組成物が安価に得
られることが提案されている。しかしながらかかる公報
においては芳香族ポリカーボネート樹脂にガラス繊維、
炭素繊維、ガラスフレークに代表される強化材を添加し
た場合の外観については全く記載されておらず、実際に
添加した場合外観は悪く実用には耐えないものである。
さらに芳香族ポリカーボネート樹脂とポリエステルエラ
ストマーとを組み合わせることにより外観を改良する効
果も記載されていない。すなわち芳香族ポリカーボネー
ト系樹脂、強化材および摺動性付与材からなる混合物
に、特定のポリエステルエラストマーを配合することに
より、高い強度および剛性を有し、摺動性に優れ、かつ
良好な外観を有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
が得られることは従来の技術からは容易に想像できるも
のではなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は芳香族ポリカー
ボネート樹脂(A−1成分)60〜100重量%とジエ
ンゴム成分に芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル
化合物をグラフトした熱可塑性グラフト共重合体、芳香
族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との共重合体、
ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹
脂から選択される少なくとも一種以上の熱可塑性樹脂
(A−2成分)40〜0重量%からなる熱可塑性樹脂
(A成分)、強化充填材(B成分)、摺動性付与材(C
成分)およびポリ(オキシアルキレン)グリコール成分
を含有するポリエステルエラスマー(D成分)よりなる
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物であって、(i)A
成分、B成分、C成分およびD成分の比率が、それらの
合計100重量%とした場合、A成分が95〜40重量
%、B成分が3〜55重量%、C成分が0.1〜10重
量%およびD成分が1〜20重量%であり、(ii)曲げ
弾性率が30,000kgf/cm2以上、かつ本文中
に定義される摩擦摩耗試験方法においてピン状試験片に
摩耗により生ずる断面の長径が1.50mm以下である
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および成形品に係る
ものである。
【0007】本発明においてA−1成分として使用され
る芳香族ポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカ
ーボネート前駆体を反応させて得られる芳香族ポリカー
ボネート樹脂である。ここで使用する二価フェノールの
代表例としては2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン(通称ビスフェノールA)、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフ
ェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
ーテル、4,4´−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)サルファイドおよびビス(4−
ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。好まし
い二価フェノールはビス(4−ヒドロキシフェニル)ア
ルカンであり、なかでもビスフェノールAが特に好まし
い。カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、
カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用さ
れ、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネート、二
価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
【0008】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を反応させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに
当り、二価フェノールは単独でまたは二種以上を併用し
てもよく、必要に応じて触媒、分子量調節剤、酸化防止
剤等を使用してもよい。また芳香族ポリカーボネート樹
脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分
岐芳香族ポリカーボネート樹脂であっても、二種以上の
芳香族ポリカーボネート樹脂の混合物であってもよい。
【0009】かかる芳香族ポリカーボネート樹脂の分子
量は、粘度平均分子量で14,000〜30,000で
あり、好ましくは15,000〜25,000である。
粘度平均分子量が14,000未満の芳香族ポリカーボ
ネート樹脂では、強度が十分でなく好ましくない。粘度
平均分子量が30,000を越える芳香族ポリカーボネ
ート樹脂では、成形時の流動性に劣るため、押出、成形
が困難となり良好な成形品が得られ難い。本発明でいう
粘度平均分子量は塩化メチレン100mlに芳香族ポリ
カーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から
求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものであ
る。 ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c (但し[η]は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0010】芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する基
本的な手段を簡単に説明する。カーボネート前駆体とし
てホスゲンを用いる溶液法では、通常酸結合剤および有
機溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては例えば
水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の
水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられ
る。有機溶媒としては例えば塩化メチレン、クロロベン
ゼン等のハロゲン化炭化水素が使用される。また反応促
進のため例えば第三級アミンや第四級アンモニウム塩等
の触媒を使用することができ、分子量調節剤として例え
ばフェノールやp−tert−ブチルフェノールのようなア
ルキル置換フェノール等の末端停止剤を使用することが
望ましい。反応温度は通常0〜40℃、反応温度は数分
〜5時間、反応中のpHは10以上に保つのが好まし
い。
【0011】カーボネート前駆体として炭酸ジエステル
を使用するエステル交換反応(溶融法)では、不活性ガ
スの存在下に所定割合の二価フェノールを炭酸ジエステ
ルと加熱しながら撹拌し、生成するアルコールまたはフ
ェノール類を留出させる方法により行う。反応温度は生
成するアルコールまたはフェノール類の沸点等によりこ
となるが、通常120〜300℃の範囲である。反応は
その初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェ
ノール類を留出させながら反応を完結させる。また反応
を促進するために通常エステル交換反応に用いられる触
媒を使用することができる。このエステル交換反応に使
用する炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカー
ボネート、ジナフチルカーボネート、ジメチルカーボネ
ート、ジエチルカーボネート。ジブチルカーボネート等
が挙げられる。これらのうち特にジフェニルカーボネー
トが好ましい。
【0012】本発明においてB成分として使用される強
化充填材は通常樹脂に使用される強化充填材が広く使用
できるが、より好ましくは平均直径が6μm以上の繊維
状強化充填材、平均粒径が6μm以上の板状充填材およ
び粒状充填材から選択される少なくとも1種以上の強化
充填材をいう。かかる強化充填材の具体例としてはガラ
ス繊維、ガラス短繊維、ガラスフレーク、ガラスビー
ズ、マイカ、ワラストナイト、炭素繊維、金属被覆炭素
繊維、炭素短繊維、耐熱有機繊維、および金属繊維が挙
げられる。かかる強化充填材は通常樹脂に使用される強
化充填材として極めて一般的なものである。平均直径が
6μm未満の繊維状強化充填材においては、芳香族ポリ
カーボネート樹脂に強化材および摺動性付与材を配合し
た組成物の外観を改良する効果はある程度認められるも
のの十分でなく、また靭性の低下を招いたりさらに極め
て細い径の繊維状物は衛生上も好ましくない。かかる繊
維状強化充填材の繊維径については光学顕微鏡観察より
樹脂中の各繊維の任意の径を1000本測定した平均値
として求められる。平均粒径が6μm未満の板状充填材
においては強度および剛性の向上が十分でなくなる。ま
た平均粒径が6μm未満の粒状充填材においては表面積
の増大により芳香族ポリカーボネート樹脂の熱安定性を
低下させたり、熱安定性改良のためには過剰の表面処理
剤を添加する必要があるため物性を低下させる等の問題
がある。本発明の強化充填材に該当しない例としては平
均粒径が6μm未満のタルク、シリカ粉末、炭酸カルシ
ウム等が挙げられる。本発明に使用される強化充填材は
その目的に応じて使い分けられ、また2種以上を適当な
割合で配合することも可能である。
【0013】本発明におけるガラス繊維としては通常樹
脂の強化充填材として広く使用されているものが使用さ
れる。製造方法や成分を特に限定するものではないが、
Eガラス繊維であることが好ましい。また断面の形状は
一般的な真円状の他に、真円状の繊維を平行に重ね合わ
せた異形断面形状のものを使用してもよい。さらに真円
状と異形断面形状の混合したガラス繊維であってもよ
い。ガラス繊維の平均直径は6〜25μmが好ましい。
6μm未満では靭性の低下が大きくなり、25μmを越
えるとガラス繊維の配合により期待される強度、剛性の
向上効果が十分でなくなる。
【0014】本発明におけるガラス短繊維としてはガラ
ス繊維を切断または粉砕したものであり、一般に樹脂用
強化材として使用されるものである。該ガラス短繊維は
L/D≦10を満足するガラス繊維であり、ここでいう
Lはガラス短繊維の平均長さ、Dは平均直径である。L
/Dの値が10より大きいとガラス短繊維に期待される
配向による異方性の抑制効果が十分でなくなる。さらに
Dは6〜25μmであることが好ましい。6μ未満では
靭性の低下が大きくなり、25μmを越えると強度の向
上効果が十分でなくなる。該ガラス短繊維としてはガラ
ス種を特に限定するものではないが、Eガラスであるも
のがより好ましい。さらに該ガラス短繊維はいかなる製
造方法で得られたものでも使用可能であり、一般にボー
ルミル法、ヘンシルミル法で得られたものが使用でき
る。
【0015】本発明におけるガラスフレークとしては板
状のものが好ましい。さらにその平均粒径は6〜100
0μmのものが好ましく、より好ましくは10〜900
μm、さらに好ましくは15〜800μmのものであ
る。かつその平均粒径を(a)、厚さを(c)とした
時、(a)/(c)比が5〜500のものが好ましく、
6〜450のものがより好ましく、7〜400のものが
さらに好ましい。平均粒径が6μm未満もしくは(a)
/(c)比が5未満であると剛性が十分でなく、平均粒
径が1000μmを越えるかもしくは(a)/(c)比
が500を越えると成形品の外観が悪くなり好ましくな
い。ここでいうガラスフレークの平均粒径とは、標準ふ
るい法により求められる粒度の重量分布のメジアン径と
して算出されるものである。該ガラスフレークも特にガ
ラス種を限定するものではないが、Eガラスであること
が好ましい。さらにその製造方法も限定するものではな
い。
【0016】本発明におけるガラスビーズとしてはほぼ
真球のものであり、平均直径が6〜50μmであるもの
が好ましく、特に好ましくは6〜30μmのものであ
る。50μm以上では該ガラスビーズに期待される高い
寸法精度が安定して得られにくい。該ガラスビーズは樹
脂成分の劣化を抑制する目的でEガラスビーズの使用が
好ましい。さらに製造方法を特に限定するものではな
く、ガラス微粉末を高温火炎中に投入し球状になったと
ころで急速に冷却する方法、ガラス溶融体をスプレーす
る方法等が使用できる。また該ガラスビーズの粒径分布
を特に限定するものではない。
【0017】本発明におけるマイカとしては、アルミニ
ウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、鉄等を含
んだケイ酸塩鉱物の粉砕物である。マイカには白雲母、
金雲母、黒雲母、人造雲母等があり、いずれのマイカも
使用できるが金雲母、黒雲母は白雲母に比べて柔軟であ
るため剛性確保の面から白雲母の使用が好ましい。さら
に剛性確保の面から平均粒径が6〜80μmの粉末状の
ものが好ましい。ここでいうマイカの平均粒径とはレー
ザー回折法により測定された値をいう。マイカの場合に
は、平均粒径がこの範囲より小さくなると剛性が不十分
となり、この範囲を越えると成形品の外観が悪くなり好
ましくない。また該マイカの製造に際しての粉砕法とし
ては、マイカ原石を乾式粉砕機にて粉砕する乾式粉砕法
とマイカ原石を乾式粉砕機にて粗粉砕した後、水を加え
てスラリー状態にて湿式粉砕機で本粉砕し、その後脱
水、乾燥を行う湿式粉砕法があり、本発明に使用される
マイカにおいてはいずれの方法も使用できるが、マイカ
をより薄く細かく粉砕しより高い剛性確保できることか
ら、湿式粉砕したものがより好ましい。
【0018】本発明におけるワラストナイトとしては、
ワラストナイト原石を粉砕および分級したものをいい、
一般的に樹脂強化材として使用されるものであって、レ
ーザー回折法により測定された繊維径が6μm以上のも
のが好ましく使用される。
【0019】本発明における炭素繊維としては通常樹脂
の強化充填材として広く使用されるものが使用でき、ア
クリロニトリル系、ピッチ系のいずれも使用できる。ま
た炭素繊維の製造方法や表面の酸化処理方法等を特に限
定するものではない。さらに得られた炭素繊維の強度を
限定するものでもなく高強度タイプ、汎用タイプのいず
れについても使用できる。炭素繊維の平均直径は6〜2
0μmが好ましい。6μm未満では靭性の低下が大きく
なり、20μmを越えると炭素繊維の配合により期待さ
れる強度、剛性の向上効果が十分でなくなる。さらにか
かる炭素繊維にメッキ、蒸着等通常知られている方法に
よりニッケル、銅、コバルト、銀、アルミニウム、鉄等
およびこれらの合金等の金属をコーティングした金属被
覆炭素繊維も使用可能である。かかる金属被覆炭素繊維
は本発明の組成物の導電性を高める目的で好ましく使用
できる。
【0020】また本発明においては該炭素繊維を切断ま
たは粉砕することにより得られる炭素短繊維を配合する
ことも可能である。該炭素短繊維を配合することにより
剛性を確保しながら、異方性の抑制、外観の向上の効果
が得られる。
【0021】本発明の組成物における耐熱有機繊維とし
ては、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、ポリ
アリレート繊維等が挙げられ特に融点が少なくとも26
0℃以上のものが挙げられる。かかる耐熱有機繊維の繊
維長としては0.1mm以上6mm以下が好ましく、
0.5mm以上3mm以下がより好ましい。0.1mm
以下では補強効果が十分でなく、耐衝撃性の向上が不十
分であり、6mm以上では製造時の取り扱いが困難にな
ると共に組成物の流動性が劣り、成形性が不良となる。
【0022】またかかる耐熱有機繊維は集束の有無に関
係なく効果を発揮するが、集束されているものは取り扱
い易く好ましい。集束のための結合剤としては芳香族ポ
リエステル、ポリエーテルスルホン樹脂等があげられ
る。本発明においてかかる耐熱有機繊維は単独あるいは
2種以上の混合物として使用できる。
【0023】耐熱有機繊維は帝人(株)よりコーネック
ス、テクノーラとして、また米国デュポン社よりケブラ
ーとして、また(株)クラレよりベクトランとして市販
されており容易に入手可能である。
【0024】本発明における金属繊維としては、ステン
レス繊維、アルミニウム繊維、銅繊維、黄銅繊維等が挙
げられる。かかる金属繊維は本発明の樹脂組成物の導電
性を高める目的で使用できる。
【0025】かかるガラス繊維、ガラス短繊維、ガラス
フレーク、ガラスビーズ、マイカ、ワラストナイト、炭
素繊維、金属被覆炭素繊維、炭素短繊維、耐熱有機繊
維、金属繊維等の強化充填材はシランカップリング剤等
で表面処理されているものが使用でき、特にガラス繊
維、ガラス短繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、マ
イカ、ワラストナイトにおいては好ましい。この表面処
理により、芳香族ポリカーボネート樹脂の分解の抑制、
密着性の向上が図れる。ここでいうシランカップリング
剤とは下記式
【0026】
【化1】
【0027】[ここでYはアミノ基、エポキシ基、カル
ボン酸基、ピニル基、メルカプト基、ハロゲン原子等の
樹脂マトリックスと反応性または親和性を有する基、R
1〜R4は夫々単結合または炭素数1〜7のアルキレン基
を表し、そのアルキレン分子鎖の中にアミド結合、エス
テル結合、エーテル結合またはイミノ結合が介在しても
よい。X1〜X3は各々水素原子、ハロゲン原子およびア
ルコキシ基であり、炭素数1〜4のアルコキシ基より選
択される基が好ましい。X1〜X3の少なくとも2つはハ
ロゲン原子またはアルコキシ基である。]で表されるシ
ラン化合物をいい、具体的にはビニルトリクロルシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシ
ラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキ
シシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピル
トリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミ
ノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリ
メトキシシランおよびγ−クロロプロピルトリメトキシ
シラン等が挙げられる。更にかかる強化充填剤はアクリ
ル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエス
テル樹脂等の結合剤で造粒または集束したものが取扱い
易いので好ましい。またマイカにおいては造粒方法の1
つとして脱気圧縮方法が挙げられる。但し、かかる造粒
または集束により得られる顆粒状物または集束物に対し
ては、上述したガラスフレーク、およびマイカの平均粒
径範囲、およびガラス繊維、炭素繊維、金属被覆炭素繊
維、耐熱有機繊維および金属繊維の繊維径は適用される
ものではない。
【0028】本発明のB成分としては、高強度、高剛性
の点から、ガラス繊維、ガラスフレーク、炭素繊維、金
属被覆炭素繊維から選ばれる少なくとも1種以上をB成
分100重量%中、30重量%以上含有することが好ま
しく、50重量%以上を含有することがより好ましい。
【0029】本発明のC成分として使用される摺動性付
与材は通常樹脂に使用される摺動性付与材が広く使用で
きる。具体的にはオレフィン系ワックス、フッ素樹脂、
フッ素オイル、シリコンオイル、シリコンパウダー、ポ
リエチレン樹脂、鉱物油,合成油、高級脂肪酸エステ
ル、高級脂肪酸アミドおよび二硫化モリブデンから選択
される少なくとも1種以上の摺動性付与材が挙げられ、
摺動性の点からオレフィン系ワックス、フッ素樹脂、フ
ッ素オイル、シリコンオイル、シリコンパウダー、ポリ
エチレン樹脂から選択される少なくとも1種以上の摺動
性付与材がより好ましく使用できる。さらに好ましくは
オレフィン系ワックス、フッ素樹脂、フッ素オイル、シ
リコンオイルであり、もっとも好ましくはオレフィン系
ワックス、フッ素オイル、シリコンオイルである。
【0030】本発明におけるオレフィン系ワックスとし
ては、特にポリエチレンワックスおよび/または1−ア
ルケン重合体の使用が好ましくきわめて良好な摺動特性
が得られる。ポリエチレンワックスとしては現在一般に
広く知られているものが使用でき、エチレンを高温高圧
下で重合したもの、ポリエチレンを熱分解したもの、ポ
リエチレン重合物より低分子量成分を分離精製したもの
等が挙げられる。また分子量、分岐度等は特に制限され
るものではないが、分子量としては数平均分子量で1,
000以上が好ましい。更にポリエチレンワックスをマ
レイン酸および/または無水マレイン酸で変性したタイ
プも使用できる。1−アルケン重合体としては炭素数5
〜40の1−アルケンを重合したものが使用でき、更に
マレイン酸および/または無水マレイン酸を同時に共重
合したタイプも使用できる。マレイン酸および/または
無水マレイン酸を同時に共重合したタイプでは摺動性向
上効果と共に、衝撃強度が向上する特徴がある。1−ア
ルケン重合体の分子量としては数平均分子量で1,00
0以上が好ましい。ポリエチレンワックスおよび1−ア
ルケンの分子量が1,000より小さいと強度に対して
悪影響を及ぼすようになる。
【0031】本発明におけるフッ素樹脂としては、低分
子量ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフル
オライド、テトラフルオロエチレン・パーフルオロメチ
ルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・
ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエ
チレン・エチレン共重合体等が挙げられいずれの使用も
可能であるが、中でも摺動性の面から低分子量ポリテト
ラフルオロエチレンの使用が好ましい。該低分子量ポリ
テトラフルオロエチレンには少量の共重合成分を含んで
いるものも含まれる。低分子量ポリテトラフルオロエチ
レンとしては、通常乾性潤滑剤として使用されるものが
使用でき、好ましくは、微粉末状である。微粉末の粒子
径は、パークロルエチレン中に分散させた分散液を光透
過法により測定する方法で平均0.1〜100μmのも
のである。またポリテトラフルオロエチレン微粉末の融
点は、DSC法測定で320℃以上のものが好ましい。
ポリテトラフルオロエチレン微粉末は再凝集しやすいの
で再凝集し難くするために焼成処理等の処理を施したも
のもあり、これらも好ましく使用できる。ポリテトラフ
ルオロエチレン樹脂はダイキン工業(株)よりルブロン
L−5,L−2,L−7として、また旭アイシーアイフ
ロロポリマーズ(株)よりフルオンL−150J,L−
169J,L−170J,L−172Jとして、また三
井・デュポンフロロケミカル(株)よりTLP−10F
−1として、またヘキストジャパン(株)よりホスタフ
ロンTF9202,TF9205として市販されてお
り、容易に入手可能である。
【0032】本発明におけるフッ素オイルとしてはポリ
トリフルオロクロロエチレン、ポリヘキサフルオロプロ
ピレングリコール等が挙げられ、特に20℃における動
粘度が10000cst以下であるものが取り扱いの点
から好ましい。フッ素オイルは本発明の樹脂組成物に更
に難燃性が要求される場合には特に好適である。
【0033】本発明におけるシリコンオイルとしては、
ジメチルシリコンオイル、メチルフェニルシリコンオイ
ル、メチルハイドロジェンシリコンオイル、環状ジメチ
ルシリコンオイル、芳香族ポリカーボネートと反応する
官能基を有するジメチルシリコーオイルおよびメチルフ
ェニルシリコンオイル、ポリエーテル変性シリコンオイ
ル、高級脂肪酸エステル変性シリコンオイル等が挙げら
れる。かかるシリコンオイルとしては、20℃における
動粘度が10000cst以下であるものが取り扱いの
点から好ましい。
【0034】本発明におけるシリコンパウダーとして
は、シリコンオイルを無機担持材にシリコンオイルを担
持させたもの、シリコンレジン、およびシリコンゴムの
粒状のものが挙げられる。
【0035】本発明におけるポリエチレン樹脂として
は、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹
脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂等が挙げられ、分岐
度や共重合成分であるα−オレフィン成分を特に限定す
るものではない。さらに製造方法に対しても特に限定す
るものではなく高圧ラジカル法、チーグラー触媒を使用
する方法、塩化マグネシウム担持チーグラー触媒を使用
する方法、メタロセン触媒を使用する方法等いずれの方
法により得られたポリエチレン樹脂であっても使用でき
る。さらに分子量やタクティシティー等の特性を特に限
定するものではない。
【0036】本発明でD成分として使用されるポリエス
テルエラストマーはポリ(オキシアルキレン)グリコー
ル成分を含有するものが好ましく使用される。さらに好
ましくはテレフタル酸を70モル%以上含有するジカル
ボン酸、ブチレン−1,4−グリコールを70モル%以
上含有するグリコール成分、および平均分子量が500
〜5,000のポリ(オキシアルキレン)グリコールの
3成分を共重合させた共重合体である。
【0037】テレフタル酸以外のジカルボン酸として
は、主にイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳
香族ジカルボン酸が挙げられるが、それ以外にも本発明
の効果を損なわない範囲内で、例えばシュウ酸、マロン
酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸および
脂環式ジカルボン酸が挙げられる。ブチレン−1,4−
グリコール成分以外のグリコール成分としては、例えば
エチレングリコール、プロピレン−1,2−グリコー
ル、プロピレン−1,3−グリコール、ブチレン−1,
4−グリコール、ブチレン−2,3−グリコール、ヘキ
サン−1,6−ジオール、オクタン−1,8−ジオー
ル、ネオペンチルグリコール、デカン−1,10−ジオ
ール等の単素数2〜15の脂肪族ジオールが挙げられ
る。
【0038】ポリ(オキシアルキレン)グリコールとし
ては、平均分子量が500〜5,000でありこのグリ
コール中に含有される炭素原子と酸素原子との数の比が
2.0〜4.3であることが好ましく、例えばポリ(テ
トラメチレンオキサイド)グリコール、ポリ(エチレン
オキサイド)グリコール、ポリ(プロピレンオキサイ
ド)グリコールおよびこれらの共重合体等が挙げられ、
特にポリ(テトラメチレンオキサイド)グリコールが好
ましい。ポリエステルエラストマー中のポリ(オキシア
ルキレン)グリコール量は20〜80重量%であり、好
ましくは30〜80重量%であり、特に好ましくは50
〜80重量%である。ポリエステルエラストマーの重合
度は、35℃オルソクロロフェノール中1.2g/10
0mlの濃度で測定した還元粘度が0.5〜5.0のも
のが好ましく、特に0.7〜4.0のものが好ましい。
【0039】本発明の組成物においてA−2成分として
は、ジエンゴム成分に芳香族ビニル化合物およびシアン
化ビニル化合物をグラフトした熱可塑性グラフト共重合
体、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との熱
可塑性共重合体、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹
脂、ポリアミド樹脂から選択される1種以上の熱可塑性
樹脂が芳香族ポリカーカーボネート樹脂との相溶性の点
から好ましく使用できる。
【0040】本発明で使用されるジエンゴム成分に芳香
族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物をグラフト
した熱可塑性グラフト共重合体のジエンゴム成分として
は、例えばポリブタジエン、ポリイプレン、およびスチ
レン−フダジエン共重合体等が挙げられ、かかる熱可塑
性グラフト共重合体および芳香族ビニル化合物とシアン
化ビニル化合物との熱可塑性共重合体における芳香族ビ
ニル化合物成分としては、例えばスチレン、α−メチル
スチレン、p−メチルスチレン、アルコキシスチレンお
よびハロゲン化スチレン等が挙げられ、スチレンが好ま
しく用いられる。さらにその他の共重合可能なアクリル
酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アク
リル酸オクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エ
チル、メタクリル酸ブチルおよびメタクリル酸オクチル
等を使用することができる。かかる熱可塑性グラフト共
重合体および熱可塑性共重合体の中でABS樹脂および
AS樹脂が好ましく用いられる。かかる熱可塑性グラフ
ト共重合体および熱可塑性共重合体は、塊状重合、溶液
重合、懸濁重合、乳化重合のいずれかの重合法で製造し
てよく、またグラフトの方式としては1段グラフトでも
多段グラフトでもよい。さらにかかる熱可塑性グラフト
共重合体および熱可塑性共重合体は1種のみならず2種
以上を混合して使用することができる。
【0041】本発明で使用されるポリエステル樹脂とし
てはポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレ
ンテレフタレート樹脂が好ましく使用できる。ポリエチ
レンテレフタレート樹脂としてはテレフタル酸またはそ
のエステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたは
そのエステル形成性誘導体わ主原料として縮合反応させ
て得られる重合体でありテレフタル酸の一部およびエチ
レングリコール成分の一部、通常30モル%以下を他の
ジカルボン酸、オキシカルボン酸ジオール等で置き換え
た共重合体であってもよい。かかる共重合体に用いられ
る第3成分としては例えばイソフタル酸、アルキル置換
テレフタル酸、スルホン酸塩置換テレフタル酸、アジピ
ン酸、オキシ安息香酸、ポリメチレン−α,ω−ジオー
ル類、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール
等が挙げられる。
【0042】ポリブチレンテレフタレート樹脂はテレフ
タル酸またはそのエステル形成性誘導体とテトラメチレ
ングリコールまたはそのエステル形成性誘導体を主原料
として縮合反応させて得られる重合体であり、テレフタ
ル酸成分の一部およびテトラメチレングリコール成分の
一部、通常30モル%以下を他のジカルボン酸、オキシ
カルボン酸、ジオール等で置き換えた共重合体であって
もよい。かかる共重合体の第3成分としてはイソフタル
酸、アルキル置換テレフタル酸、スルホン酸塩置換テレ
フタル酸、アジピン酸、オキシ安息香酸、ネオペンチル
グリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。
【0043】本発明で使用されるポリアリレート樹脂と
しては、イソフタル酸を酸成分としジオール成分として
2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン単
独、または2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパンおよびハイドロキノンからなる全芳香族ポリエ
ステルが挙げられる。
【0044】本発明で使用されるポリアミド樹脂として
は、例えば環状ラクタムの開環重合体、アミノカルボン
酸の重縮合体、2塩基酸とジアミンとの重縮合体等が挙
げられ、具体的にはナイロン6、ナイロン66、ナイロ
ン46、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン1
1、ナイロン12等の脂肪族ポリアミド、ポリ(メタキ
シレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタル
アミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、
ポリ(テトラメチレンイソフタルアミド)等の脂肪族−
芳香族ポリアミドおよびこれらの共重合体および混合物
を挙げることができる。
【0045】かかる熱可塑性樹脂の中でも熱安定性の点
からジエンゴム成分に芳香族ビニル化合物およびシアン
化ビニル化合物をグラフトした熱可塑性グラフト共重合
体、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との熱
可塑性共重合体、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹
脂から選択される1種以上の熱可塑性樹脂がより好まし
く使用できる。かかるA−2成分の配合割合は、A−1
成分およびA−2成分の合計100重量%当り40〜0
重量%であり、20〜0重量%が好ましい。
【0046】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物におけるA成分、B成分、C成分およびD成分の比率
はA成分、B成分、C成分およびD成分の合計100重
量%当たりA成分が95〜40重量%、B成分が3〜5
5重量%、C成分が0.1〜10重量%およびD成分が
1〜20重量%であり、好ましくはA成分が95〜50
重量%、B成分が5〜45重量%、C成分が0.5〜5
重量%およびD成分が1〜15重量%であり、さらに好
ましくはA成分が95〜60重量%、B成分が5〜35
重量%、C成分が0.5〜3重量%およびD成分が1〜
10重量%である。
【0047】強化充填材(B成分)の含有量は、A成
分、B成分、C成分およびD成分の合計100重量部当
り、3〜55重量%であり、好ましくは5〜45重量%
であり、さらに好ましくは5〜35重量%である。3重
量%より少なくなると剛性向上の効果が十分でなく、5
5重量%より多くなると成形時の流動性に劣るため、押
出、成形が困難となり外観の良好な成形品が得られ難
い。
【0048】本発明における摺動性付与材(C成分)の
含有量はA成分、B成分、C成分およびD成分の合計1
00重量部当り0.1〜10重量%であり、好ましくは
0.5〜5重量部であり、さらに好ましくは0.5〜3
重量%である。0.1重量部より少なくなると摺動性の
向上が十分でなく、10重量部より多くなると摺動性の
向上効果以上に外観の悪化および強度の低下が大きくな
り好ましくない。
【0049】本発明におけるポリエステルエラストマー
(D成分)の含有量はA成分、B成分、C成分およびD
成分の合計100重量部当り、1〜20重量%であり、
好ましくは1〜15重量%であり、、さらに好ましくは
1〜10重量%である。1重量部より少ないと摺動性の
向上が十分でなく、30重量部より多くなると剛性およ
び強度の低下が大きくなるため好ましくない。
【0050】ここで本発明における摺動性の評価方法に
ついて説明する。評価機器として(株)オリエンテック
製往復動摩擦摩耗試験機AFT−15Mを使用した。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとカ
ーボネート前駆体から実質的になる芳香族ポリカーボネ
ート(帝人化成(株)パンライトL−1225粘度平均
分子量22,500)より、直径5mmΦの半球と直径
5mmΦ長さ30mmΦの円柱とを円断面部分で結合し
た先端に球面を有するピン状試験片を射出成形により作
成し、固定試験片ホルダーに装着した。一方本発明の樹
脂組成物および参考例とする樹脂組成物より長さ90m
m×幅50mm×厚さ2mmの平板状試験片を射出成形
により作成し、往復動作する台座上に固定した。かかる
平板上試験片は摺動性評価前に(株)東京精密製表面粗
さ計サーフコム3BE−MD−S10Aを使用し、測定
前の平板状試験片の表面粗さ(Ra値)が1.5μm以
下であることを確認した。かかるピン状試験片の先端の
球面部分をかかる平板状試験片の平面部分に、ピン状試
験片の円柱軸方向と平板状試験片の平面法線方向が平行
となる状態で500gの荷重をかけた状態で接触させ、
23℃、相対湿度50%RHの雰囲気中で平面内の1直
線上を1往復2秒の割合で片道25mmの距離を200
0回往復動作させた。さらにピン状試験片側に接続した
容量2kgfのロードセルにより摩擦力の測定を行っ
た。かかる試験後ピン状試験片の摩耗断面を顕微鏡によ
り観察し摩耗により生じた断面の長径を測定し摩耗量の
指標とした。また平板状試験片においては(株)東京精
密製表面粗さ計サーフコム3BE−MD−S10Aを使
用し、摩耗により表面に生じた溝深さを測定した。かか
る表面の溝深さが5μm以下の場合にはNDと表記し
た。またこの溝深さが5μmを超えた場合には実質的な
摩耗が起こったと判定した。
【0051】本発明において上記の摺動性評価方法を取
り上げた理由を以下に説明する。一般に材料が凝着作用
により摩耗する場合の摺動性を評価する方法として、2
つの円筒状試験片の端面を重ねあわせ一方の円筒状試験
片を回転させる方法、ピン状試験片の端面を回転する平
板状試験片上に押し付ける方法、およびピン状試験片の
端面を往復運動する平板状試験片上に押し付ける方法等
が挙げられる。この中で本発明の対象としては特にスラ
イド動作に伴う摺動性が問題となるため、ピン状試験片
の端面を往復運動する平板状試験片上に押し付ける方法
を採用した。かかる摺動性評価方法においてはピン状試
験片の摩耗がわずかであり、かつ平板状試験片が実質的
な摩耗が起こらない場合にのみ摺動性が良好と判定す
る。さらに摩擦係数が低い場合がより好ましい。どちら
か一方の試験片の摩耗がわずかであっても他方の試験片
の摩耗が大きい場合には摺動性が十分とはいえない。
【0052】かかる摺動性評価方法において、本発明の
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の摺動性を評価する
ためには、一方の試験片の材料を同一とし他方を本発明
の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物とすればよい。本
発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の主たる用途
としては樹脂成形品同士の摺動性が必要となるため、か
かる同一とする試験片の材料としては樹脂が好ましく熱
可塑性樹脂がより好ましい。さらに本発明においては芳
香族ポリカーボネート樹脂の使用が適切である。かかる
使用の理由としては、凝着作用により摩耗が生ずる場合
同種材料間での摩耗はより悪い傾向を示すが、本発明の
組成物は芳香族ポリカーネート樹脂組成物であるため摺
動性の改良効果がより明確になるとの理由が挙げられ
る。すなわち芳香族ポリカーボネート樹脂との摺動が十
分に良好であれば、芳香族ポリカーボネート樹脂以外の
樹脂、金属、木材および無機材等との摺動においてはよ
り良好であるとの理由による。さらにかかる樹脂試験片
の組み合わせとしてはより摩耗しやすい材料をピン状試
験片とすることが好ましい。これはピン状試験片の摩耗
量がより正確に測定できるとの理由による。本発明にお
いては本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が強
化充填材を配合しているため強化充填材を配合しない芳
香族ポリカーボネート樹脂に比較して摩耗しにくい。か
かる理由により本発明においてはピン状試験片を芳香族
ポリカーボネート樹脂とし、平板状試験片を本発明の芳
香族ポリカーボネート樹脂組成物とする評価方法が好ま
しく、かかる理由によりピン状試験片として芳香族ポリ
カーボネート樹脂を使用し、平板状試験片を本発明の芳
香族ポリカーボネート樹脂組成物とした。
【0053】本発明の摺動性評価に用いるピン状試験片
として端面が球面形状のものを使用した理由としては、
かかる球面形状は接触部分の面圧をより高めることによ
り材料の摺動性をより判断しやすくなる特徴を有するこ
とが挙げられる。他方平板状試験片においては平面部分
の表面は均一かつ良好であるものが好ましい。平板状試
験片の表面粗さによってピン状試験片の摩耗量はある程
度影響を受けること、および本発明の目的の1つに成形
品の高外観の達成があり実用において本発明の組成物が
十分に高外観な状態で成形品に作成されることを考慮す
ると、かかる状態に出来るだけ近い状態で摺動性を評価
することが望ましい。ここで良好な表面状態の目安とし
ては表面粗さ(Ra値)が1.5μm以下であることが
挙げられ、かかる理由により平板状試験片の表面粗さを
摺動性評価試験前に確認した。
【0054】本発明において摺動性評価に使用されるピ
ン状試験片はいかなる方法によっても作成されるが、特
に射出成形により作られることが好ましい。さらにかか
る摺動性評価方法において使用される本発明の組成物よ
り作成される平板状試験片においてもいかなる方法によ
っても作成されるが、特に射出成形により作られること
が好ましい。
【0055】本発明の摺動性評価方法における摩耗量の
指標として、ピン状試験片においては摩耗により生じた
実質的な円断面の長径を使用した。円柱の軸方向(長さ
方向)とかかる円断面がの法線が平行になることから、
かかる長径を測定することによりピン状試験片の球面頂
点からの長さ方向の摩耗量も幾何学的な関係を計算する
ことにより求めることが可能である。また若干の偏摩耗
や摩耗粉の影響などにより円断面が円形をわずかに逸脱
することがあっても長径を測定することにより長さ方向
の摩耗量を過小評価することを避けることが可能とな
る。
【0056】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、本発明の目的および効果を損なわない範囲で任
意の添加剤、例えば臭素化ビスフェノール、臭素化エポ
キシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネー
ト、トリフェニルホスフェート、ホスホン酸アミドおよ
び赤燐等のような難燃剤、三酸化アンチモンおよびアン
チモン酸ナトリウム等のような難燃助剤、燐酸エステル
および亜燐酸エステル等の熱安定剤、ヒンダードフェノ
ール等の酸化防止剤、シランカップリング剤等の充填材
への表面処理剤、光安定剤、離型剤、流動改質剤、着色
剤、滑剤および発泡剤等を必要に応じてその有効発現量
配合してもよい。
【0057】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物を製造するには、任意の方法で行うことができる。例
えばタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、
バンバリーミキサー、混練ロール、押出機で混合する方
法が適宜採用される。このようにして得られたポリカー
ボネート樹脂組成物は既知の種々の方法、例えば射出成
形、押出成形および圧縮成形等により成形され、一般に
は射出成形により成形される。
【0058】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明する。な
お評価は以下の(1)〜(5)の方法により行った。
【0059】(1)曲げ弾性率[kgf/cm2]:A
STM D−790により23℃相対湿度50%RHの
雰囲気中で測定した。
【0060】(2)外観:幅50mm×長さ90mm×
厚み2mmの平板角板を同一の条件で射出成形により成
形し目視にて外観状態の観察を実施した。外観の良好な
ものを○、良好でないものを×と判定した。×の判定の
ものについてはその状態を区別するため×1:外観の均
一感に劣るもの、×2:シルバーの発生のあるもの、と
判定した。
【0061】(3)摩耗量(mm):本文中に記載の摺
動性評価方法に基づいて摩耗量を測定した。なお平板状
試験片の表面粗さはすべてのサンプルにおいてRa=
0.3〜0.5μmであり評価を行うに適当であること
を確認した。
【0062】摩擦係数:本文中に記載の摺動性評価方法
に基づいて最大摩擦力の往復回数1〜30回までの平均
値を求め、それより摩擦係数を算出した。摩擦係数は
0.30以下が好ましい。本文中に記載の摺動性評価方
法に基づいて、試験後の平板状試験片の摺動部分の溝深
さを測定した。溝深さが十分でなく測定できないものを
NDとして記載した。
【0063】[実施例1〜8、比較例1〜10]表1お
よび表2に示す樹脂、摺動性付与剤およびポリエステル
エラストマーを表1および表2に示す割合でドライブレ
ンドした後、スクリュー径30mmのベント付き同方向
2軸押出機[日本製鋼(株)製TEX 30XSST]
の第1シュートに供給し、シリンダ温度温度260℃で
溶融混練し、更に表1および表2に示す強化材を表1お
よび表2に示す割合で第2シュートに供給し全体の組成
物を均一に混練した後ストランドカットによりペレット
を得た。第1シュートおよび第2シュートのそれぞれの
原材料の供給は計量器[(株)クボタ製CWF]により
所定の配合量になるように調整した。選られたペレット
を120℃で5時間熱風循環乾燥機により乾燥した後射
出成形機[住友重機械工業(株)製SG150U]によ
りシリンダ温度280℃、金型温度90℃で曲げ試験片
および外観評価用および摺動性評価用の平板状試験片を
得た。
【0064】表1および表2におけるA成分、B成分、
C成分、D成分およびその他の記号は下記のものを示
す。 PC−1:芳香族ポリカーボネート樹脂[帝人化成
(株)製パンライトL−1225L;粘度平均分子量1
9,500] PC−2:芳香族ポリカーボネート樹脂[帝人化成
(株)製パンライトL−1225LL;粘度平均分子量
15,500] ABS:ABS樹脂[三井東圧化学(株)製サンタック
UT−61] CS:ガラス繊維[日本電気硝子(株)製ECS03T
−511/P、繊維径13μm] MF:ガラス短繊維[日東紡績(株)製PFE301
S、繊維径9μm] CF:炭素繊維[東邦レーヨン(株)製ベスファイトH
TA−C6−U、直径7μm] GFL:ガラスフレーク[日本板硝子(株)製REFG
−101、平均厚さ5μm、平均粒径600μm] マイカ:マイカ粉[(株)山口雲母工業所製A−41、
レーザー回折法により測定された平均粒径40μm] タルク:タルク[林化成(株)製HST−0.8、レー
ザー回折法により測定された平均粒径5μm] ワックス:ポリエチレンワックス[三井石油化学(株)
製ハイワックスHW405MP] PTFE:ポリテトラフルオロエチレン樹脂[ダイキン
工業(株)製ルブロンL−5] Fオイル:フッ素オイル[ダイキン工業(株)製デムナ
ムS−100] Siオイル:シリコンオイル[東レ・ダウ・コーニング
シリコーン(株)製SH−556] TPEE:ポリエステルエラストマー[東洋紡績(株)
製ペルプレンP−40B、ポリ(テトラメチレンオキサ
イド)グリコール含有量約70重量%] PCL:ポリカプロラクトン[ダイセル化学工業(株)
製プラクセルH1P] PBT:PBT樹脂[帝人(株)製TRB−J] MBS:MBS樹脂[呉羽化学工業(株)製パラロイド
EXL−2602] SEPS:水添スチレン−イソプレン−スチレンブロッ
クコポリマー[(株)クラレ製セプトン2005] TPP:トリフェニルホスフェート[大八化学工業
(株)製S−4] 安定剤:燐酸エステル[大八化学工業(株)製トリメチ
ルホスフェート] 表面処理剤:エポキシ系シランカップリング剤[信越化
学工業(株)製KBM−403] CB:カーボンブラック
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】この表から明らかなように、例えば実施例
1と比較例1を比較した場合、D成分のポリエステルエ
ラストマーがない場合には外観良好なレベルまでC成分
の摺動性付与剤を低減すると摺動性を満足しなくなる。
さらに比較例2と比較した場合摺動性を満足するレベル
まで摺動性付与剤を添加すると良好な外観を得ることは
できず、さらに比較例3と比較した場合摺動性付与剤が
ない場合には摺動性を満足せず、また比較例4と比較し
た場合ポリエステルエラストマーを多量に配合した場合
には外観および摺動性を満足するものの曲げ弾性率が大
幅に低下し好ましくないことがわかる。さらに実施例2
と比較例5を比較した場合通常の熱可塑性ポリエステル
では摺動性の改良効果が得られないことがわかる。また
比較例6と比較した場合も同様に摺動性の改良効果は得
られずさらに比較例7と比較した場合には摺動性はやや
向上しているもののポリエステルエラストマーには及ば
ずさらに外観が悪化し好ましくないことがわかる。すな
わちポリエステルエラストマーを使用したときのみ良好
な外観と良好な摺動性の両立ができることがわかる。さ
らに実施例2と比較例8を比較した場合、摺動性付与剤
とポリエステルエラストマーの併用ではポリテトラフル
オロエチレン樹脂単独の高充填を上回る摺動性を示して
いることがわかる。また実施例8と比較例9および比較
例10を比較した場合、小粒径の強化充填材であるタル
ク単独の添加では良好な摺動性を満足するが不均一な外
観になったり、またシルバーの発生があり外観は良好で
なくなる。またタルクと本発明の強化充填材を組み合わ
せただけでは、外観の改良を行うことはできない。この
場合にもポリエステルエラストマーの添加により良好な
外観と摺動性を両立できることがわかる。
【0068】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物は、強化充填材および摺動性付与剤を配合した芳香
族ポリカーボネート樹脂の持つ優れた剛性、機械的特性
および摺動性を維持しつつ外観に優れるため、高い寸法
精度、高い剛性、摺動性かつ高外観の要求されるCDト
レイ、CDまたはMDチェンジャートレイを始めとする
幅広い産業分野で好適であり、その奏する工業的効果は
格別のものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 55:02 25:12 67:00 77:00 23:02 27:12 83:04)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1成
    分)60〜100重量%とジエンゴム成分に芳香族ビニ
    ル化合物およびシアン化ビニル化合物をグラフトした熱
    可塑性グラフト共重合体、芳香族ビニル化合物とシアン
    化ビニル化合物との共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ
    アリレート樹脂、ポリアミド樹脂から選択される少なく
    とも一種以上の熱可塑性樹脂(A−2成分)40〜0重
    量%からなる熱可塑性樹脂(A成分)、強化充填材(B
    成分)、摺動性付与材(C成分)およびポリ(オキシア
    ルキレン)グリコール成分を含有するポリエステルエラ
    スマー(D成分)よりなる芳香族ポリカーボネート樹脂
    組成物であって、(i)A成分、B成分、C成分および
    D成分の比率が、それらの合計100重量%とした場
    合、A成分が95〜40重量%、B成分が3〜55重量
    %、C成分が0.1〜10重量%およびD成分が1〜2
    0重量%であり、(ii)曲げ弾性率が30,000kg
    f/cm2以上、かつ本文中に定義される摩擦摩耗試験
    方法においてピン状試験片に摩耗により生ずる断面の長
    径が1.50mm以下である芳香族ポリカーボネート樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】 強化充填材(B成分)が平均直径が6μ
    m以上の繊維状強化充填材、平均粒径が6μm以上の板
    状充填材および粒状充填材から選択される少なくとも1
    種以上の強化充填材である請求項1記載の芳香族ポリカ
    ーボネート樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 摺動性付与材(C成分)が、オレフィン
    系ワックス、フッ素樹脂、フッ素オイル、シリコンオイ
    ル、シリコンパウダー、ポリエチレン樹脂から選択され
    る少なくとも1種以上の摺動性付与材である請求項1又
    は2記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項記載の芳香
    族ポリカーボネート樹脂組成物から成形された成形品。
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