JPH10305768A - ブレーキ鳴き防止機能を有する車輌の制動力制御装置 - Google Patents

ブレーキ鳴き防止機能を有する車輌の制動力制御装置

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JPH10305768A
JPH10305768A JP33795697A JP33795697A JPH10305768A JP H10305768 A JPH10305768 A JP H10305768A JP 33795697 A JP33795697 A JP 33795697A JP 33795697 A JP33795697 A JP 33795697A JP H10305768 A JPH10305768 A JP H10305768A
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JP
Japan
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brake
braking
wheel
force
vehicle
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Application number
JP33795697A
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English (en)
Inventor
Hideyuki Inoue
英之 井上
Ryuichi Sakakibara
隆一 榊原
Kenji Shirai
健次 白井
Yasunari Yoshino
康徳 吉野
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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  • Hydraulic Control Valves For Brake Systems (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブレーキ系統の複雑化やコストアップを招来
することなくブレーキ鳴きを未然に防止する。 【解決手段】 ブレーキペダル(32)の踏み込み量A
b に応じて各輪のブレーキ装置(14)の目標制動摩擦
力Fpaf 、Fpar を演算し(S20)、各輪のブレーキ
装置をその制動摩擦力が目標制動摩擦力になるよう制御
する(S130)ことにより各輪の制動力を制御する制
動力制御装置。各輪のブレーキ装置の構成部材の振動に
基づきブレーキ鳴き発生の虞れを判定し(S30、8
0)、ブレーキ鳴き発生の虞れがあるときには当該車輪
を含む左右の車輪の目標制動摩擦力を所定の時間(Tf
c、Trc)に亘り補正量ΔFpf、ΔFprだけ低減補正す
る(S40〜70、90〜120)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車輌の
制動力制御装置に係り、更に詳細にはブレーキ鳴き防止
機能を有する制動力制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車輌のブレーキ装置は、一般
に、車輪と共に回転するブレーキロータやブレーキドラ
ムの如き回転部材と、ブレーキペダルの踏み込みに応じ
て駆動されるブレーキパッドやブレーキシューの如き可
動部材とを有し、回転部材に対し可動部材の摩擦材料が
押し付けられることによって制動摩擦力が発生され、こ
れにより車輪を制動するようになっている。
【0003】周知の如く、例えば制動摩擦力が比較的低
い実質的に一定の力に保持されるようブレーキ装置が作
動されると、可動部材の如きブレーキ装置の構成部材の
振動が自励的に拡大し、ブレーキ鳴きと呼ばれる比較的
高い周波数の不快なノイズが発生することがある。
【0004】かかるブレーキ鳴きを防止する制動力制御
装置の一つとして、例えば特開昭62−122856号
公報に記載されている如く、ブレーキペダルの踏み込み
量に応じて作動する通常のブレーキ系統である第一のブ
レーキと、該第一のブレーキと共働する第二のブレーキ
とを有し、ブレーキ鳴き発生の虞れがあるときには第一
のブレーキをブレーキ鳴きが発生しないパターンにて制
御し、制動力の不足分を第二のブレーキにより補うよう
構成された制動力制御装置が従来より知られている。
【0005】上述の如き制動力制御装置によれば、ブレ
ーキ鳴き発生の虞れが生じると、第一のブレーキがブレ
ーキ鳴きが発生しないパターンにて制御され、制動力の
不足分が第二のブレーキにより補足されるので、ブレー
キ鳴きの発生を防止することができると共に、制動力が
不足して車輌の制動が不十分になることを確実に防止す
ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし上述の如き従来
の制動力制御装置に於いては、運転者により操作される
通常のブレーキ系統である第一のブレーキに加えて第二
のブレーキが必要であり、第二のブレーキは第一のブレ
ーキとは独立に車輪を制動し得る構造を有していなけれ
ばならないため、車輌のブレーキ系統の複雑化やコスト
アップが避けれないという問題がある。
【0007】本発明は、通常のブレーキ系統である第一
のブレーキと該第一のブレーキと共働する第二のブレー
キとを有し、ブレーキ鳴き防止機能を発揮するよう構成
された従来の制動力制御装置に於ける上述の如き問題に
鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、ブ
レーキ鳴き発生の虞れがあるときには実質的に車輌の制
動に影響がないよう車輪の制動摩擦力を変化させること
により、ブレーキ系統の複雑化やコストアップを招来す
ることなくブレーキ鳴きの発生を未然に防止することで
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の如き主要な課題
は、本発明によれば、ブレーキペダルの踏み込み量に応
じて各輪のブレーキ装置により発生される制動摩擦力を
制御することにより各輪の制動力を制御する車輌の制動
力制御装置にして、各輪のブレーキ鳴き発生の虞れを検
出し、ブレーキ鳴き発生の虞れがあるときには少なくと
も当該車輪の制動摩擦力を変化させることを特徴とする
車輌の制動力制御装置(請求項1の構成)、又はブレー
キペダルの踏み込み量に応じて各輪のブレーキ装置によ
り発生される制動摩擦力を制御することにより各輪の制
動力を制御する車輌の制動力制御装置にして、各輪のブ
レーキ鳴き発生の虞れを検出し、何れかの車輪にブレー
キ鳴き発生の虞れがあるときには全輪の制動力の総和が
実質的に変化しないよう各輪の制動摩擦力の配分を変化
させることを特徴とする車輌の制動力制御装置(請求項
2の構成)によって達成される。
【0009】ブレーキ鳴きは、一般に、制動摩擦力が比
較的低い実質的に一定の力に保持されるようブレーキ装
置が作動されることにより、ブレーキ装置の構成部材の
振動が自励的に拡大する現象であり、振動が拡大する途
中に於いて制動摩擦力が変化されると、振動の拡大が止
まり、これによりブレーキ鳴きを停止し或いはブレーキ
鳴きの発生を防止することができる。
【0010】上記請求項1の構成によれば、ブレーキ鳴
き発生の虞れがあるときには少なくとも当該車輪により
発生される制動摩擦力が自動的に変化されるので、運転
者によるブレーキペダルの踏み込み量の調節を要するこ
となくブレーキ鳴きの発生が未然に防止される。
【0011】また上記請求項2の構成によれば、何れか
の車輪にブレーキ鳴き発生の虞れがあるときには全輪の
制動力の総和が実質的に変化しないよう各輪の制動摩擦
力の配分が変化されるので、運転者によるブレーキペダ
ルの踏み込み量の調節を要することなくブレーキ鳴きの
発生が未然に防止されると共に、車輌全体としての制動
力が変化することが回避される。
【0012】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、上記請求項2の構成に於て、前記
踏み込み量に基づく前記ブレーキペダルの踏み込み速度
が低く且つ制動が緩制動であるときにブレーキ鳴き発生
の虞れがあると判定するよう構成される(請求項3の構
成)。
【0013】一般に、車輪のブレーキ鳴きはブレーキペ
ダルがゆっくりと踏み込まれると共に制動も穏やかであ
る場合に発生し易い。上記請求項3の構成によれば、ブ
レーキペダルの踏み込み速度が低く且つ制動が緩制動で
あるときにブレーキ鳴き発生の虞れがあると判定される
ので、ブレーキ鳴きの発生が確実に防止される。
【0014】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、上記請求項2の構成に於て、前記
制動摩擦力の配分の変化は後輪寄りの変化であり、何れ
かの車輪にフェードの虞れがあるときには前記制動摩擦
力の配分の変化が禁止されるよう構成される(請求項4
の構成)。
【0015】一般に、例えば緩制動が繰り返し行われる
ことにより車輪にフェードが発生すると、車輌の制動性
能が低下するが、上記請求項4の構成によれば、何れか
の車輪にフェードの虞れがあるときには制動摩擦力の配
分の後輪寄りの変化が禁止されるので、車輌の制動によ
る荷重移動により効果的な制動力を発揮する前輪の制動
力により車輌の確実な制動が確保される。
【0016】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、上記請求項2の構成に於て、前記
制動摩擦力の配分の変化は後輪寄りの変化であり、車輌
が旋回走行中であるときには前記制動摩擦力の配分の変
化が禁止されるよう構成される(請求項5の構成)。
【0017】一般に、車輌の旋回走行中に制動力の配分
が後輪寄りに変化されると、後輪の横力が低下して車輌
の安定性が低下し易いが、上記請求項5の構成によれ
ば、車輌が旋回走行中であるときには制動摩擦力の配分
の後輪寄りの変化が禁止されるので、後輪の横力低下に
起因する車輌の安定性の低下が確実に防止される。
【0018】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、上記請求項2の構成に於て、前記
制動摩擦力の配分の変化は後輪寄りの変化であり、路面
の摩擦係数が低いときには前記制動摩擦力の配分の変化
が禁止されるよう構成される(請求項6の構成)。
【0019】一般に、車輌の制動時には荷重移動により
後輪の摩擦円が小さくなるので、制動摩擦力の配分が後
輪寄りに変化されると、後輪の制動摩擦力が過剰になり
車輌の安定性が低下し易いが、上記請求項6の構成によ
れば、路面の摩擦係数が低いときには制動摩擦力の配分
の後輪寄りの変化が禁止されるので、後輪の制動摩擦力
の過剰に起因する車輌の安定性の低下が確実に防止され
る。
【0020】
【課題解決手段の好ましい態様】本発明の一つの好まし
い態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、ブレー
キ鳴き発生の虞れが生じたときには少なくとも当該車輪
の制動摩擦力を所定の時間変化させるよう構成される
(好ましい態様1)。
【0021】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項1の構成に於いて、左右の車輪の少なく
とも一方にブレーキ鳴き発生の虞れが生じたときには、
当該左右の車輪両方の制動摩擦力を所定の時間変化させ
るよう構成される(好ましい態様2)。
【0022】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項2の構成に於いて、何れかの車輪にブレ
ーキ鳴き発生の虞れがあるときには、全輪の制動力の総
和が実質的に変化しないよう左右前輪の制動摩擦力及び
左右後輪の制動摩擦力の一方を増大し他方を低減するよ
う構成される(好ましい態様3)。
【0023】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項2の構成に於いて、左前輪及び左後輪の
一方にブレーキ鳴き発生の虞れがあるときには、左前輪
及び左後輪の一方の制動摩擦力を低減すると共に他方の
制動摩擦力を増大し、右前輪及び右後輪の一方にブレー
キ鳴き発生の虞れがあるときには、右前輪及び右後輪の
一方の制動摩擦力を低減すると共に他方の制動摩擦力を
増大するよう構成される(好ましい態様4)。
【0024】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項3の構成に於いて、制動が緩制動である
か否かの判定は車輌の前後加速度に基づく車輌の減速度
が基準値以下である否かにより行われるよう構成される
(好ましい態様5)。
【0025】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項3の構成に於いて、各輪の制動加圧力を
検出する手段を有し、制動が緩制動であるか否かの判定
は各輪の制動加圧力が基準値以下である否かにより行わ
れるよう構成される(好ましい態様6)。
【0026】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項3の構成に於いて、各輪の車輪速度を検
出する手段を有し、制動が緩制動であるか否かの判定は
各輪の車輪速度に基づく車輌の減速度が基準値以下であ
る否かにより行われるよう構成される(好ましい態様
7)。
【0027】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項6の構成に於いて、車体速度を検出若し
くは推定する手段と各輪の車輪速度を検出する手段とを
有し、路面の摩擦係数が低いか否かの判定は車体速度と
各輪の車輪速度との偏差が基準値以上である否かにより
行われるよう構成される(好ましい態様8)。
【0028】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記好ましい態様8の構成に於いて、車体速度は各
輪の車輪速度に基づき推定されるよう構成される(好ま
しい態様9)。
【0029】
【発明の実施の形態】以下に添付の図を参照しつつ、本
発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明す
る。
【0030】図1は本発明による車輌の制動力制御装置
の第一の実施形態を示す概略構成図である。
【0031】図1に於いて、10fl及び10frはそれぞ
れ車輌12の左右の前輪を示し、10rl及び10rrはそ
れぞれ車輌の左右の後輪を示している。これらの車輪に
はそれぞれ電気ブレーキ装置14fl、14fr、14rl、
14rrが設けられている。図2に示されている如く、各
電気ブレーキ装置14は車輪10と共に回転するディス
クロータ16と、ディスクロータの両側に配設されたブ
レーキパッド18a及び18bと、ブレーキパッドを支
持するキャリパボディ20と、ブレーキパッドを駆動す
るアクチュエータ22とを有している。
【0032】図示の実施形態に於いては、アクチュエー
タ22は超音波モータ24と、超音波モータのシャフト
の回転運動をブレーキパッド18aに連結された図には
示されていないピストンの往復運動に変換する運動変換
機構26とを有し、ブレーキパッド18a及び18bを
互いに近付く方向へ駆動してディスクロータ16に摩擦
係合させ、これにより車輪10に対する制動摩擦力を発
生させるようになっている。
【0033】運動変換機構26のピストンとブレーキパ
ッド18aとの間にはブレーキパッドによる加圧力Fp
、換言すればディスクロータ16とブレーキパッド1
8a及び18bとの間に発生する制動摩擦力に対応する
状態量を検出する荷重センサ28が設けられている。ま
たキャリパボディ20には実質的にブレーキパッド18
a及び18bによる加圧方向の加速度Gc を検出する加
速度センサ30が設けられている。
【0034】電気ブレーキ装置14fl、14fr、14r
l、14rrは運転者により操作されるブレーキペダル3
2の踏み込み量Ab に基づき、マイクロコンピュータ3
4と駆動回路36とを有する電気式制御装置38により
制御される。尚図には詳細に示されていないが、マイク
ロコンピュータは例えばCPUとROMとRAMと入出
力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバス
により互いに接続された一般的な構成のものであってよ
い。
【0035】マイクロコンピュータ34には踏み込み量
センサ40よりブレーキペダル32の踏み込み量Ab を
示す信号、各輪の荷重センサ28fl、28fr、28rl、
28rrより対応する電気ブレーキ装置に於けるブレーキ
パッドによる加圧力Fpfl 、Fpfr 、Fprl 、Fprr を
示す信号、各輪の加速度センサ30fl、30fr、30r
l、30rrより対応するキャリパボディの加速度Gcfl
、Gcfr 、Gcrl 、Gcrr を示す信号が入力される。
【0036】尚図1には示されていないが、各加速度セ
ンサ30fl〜30rrとマイクロコンピュータ34との間
には、車輌の旋回等に起因するノイズを除去しブレーキ
鳴きを惹起する振動を効果的に取り出し得るよう、例え
ば数百Hz をカットオフ周波数とするハイパスフルタ又
は数百Hz 〜数十kHz を通過帯域とするバンドパスフ
ルタが設けられている。また踏み込み量センサ40、各
荷重センサ28fl〜28rr、各加速度センサ30fl〜3
0rrとマイクロコンピュータ34との間にはA/D変換
器が設けられている。
【0037】また後述の如く、電気式制御装置38は通
常時にはブレーキペダル32の踏み込み量Ab に基づき
各輪のアクチュエータ22を制御することにより、踏み
込み量Ab に応じてブレーキパッドによる加圧力Fp を
制御する。また電気式制御装置38はブレーキ鳴き発生
の虞れがあるか否かを判定し、何れかの車輪にブレーキ
鳴き発生の虞れがあるときには当該車輪を含む左右前輪
若しくは左右後輪に於けるブレーキパッドによる加圧力
Fp を所定の時間低減することにより、ブレーキ鳴きの
発生を防止する。
【0038】次に図3に示されたフローチャートを参照
して第一の実施形態に於ける制動力制御ルーチンについ
て説明する。尚図3に示されたフローチャートによる制
御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉
成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
このことは後述の第二及び第三の実施形態についても同
様である。
【0039】まずステップ10に於いては各信号の読み
込みが行われ、ステップ20に於いてはブレーキペダル
32の踏み込み量Ab に基づき図4に示されたグラフに
対応するマップより、左右の前輪10fl及び10frのブ
レーキパッドによる目標加圧力Fpaf 及び左右の後輪1
0rl及び10rrのブレーキパッドによる目標加圧力Fpa
r が演算される。
【0040】ステップ30に於いてはそれぞれ加速度セ
ンサ30fl及び30frにより検出されたキャリパボディ
の加速度Gcfl 及びGcfr に基づき、左右前輪の何れか
にブレーキ鳴き発生の虞れがあるか否かの判別が行わ
れ、肯定判別が行われたときにはステップ70へ進み、
否定判別が行われたときにはステップ40へ進む。尚ブ
レーキ鳴き発生の虞れがあるか否かの判別は、例えば所
定の時間内のGcfl 又はGcfr の振動振幅の最大値が予
め設定された基準値Gco(正の定数)以上であるか否か
の判別により行われてよい。
【0041】ステップ40に於いては前輪のタイマのカ
ウント値Tf が0よりも大きく且つTfc(正の定数)よ
りも小さいか否かの判別、即ち左右前輪のブレーキパッ
ドによる加圧力Fpfl 及びFpfr の低減補正制御中であ
るか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときには
ステップ50に於いてタイマのカウント値Tf が0にリ
セットされ、肯定判別が行われたときにはステップ60
に於いてタイマのカウント値Tf に基づき図5の実線に
て示されたグラフに対応するマップより、左右前輪の目
標加圧力Fpaf に対する補正量ΔFpfが演算され、ステ
ップ70に於いて下記の数1に従って左右前輪の目標加
圧力Fpaf が補正量ΔFpfにて低減補正されると共に、
タイマのカウント値Tf がΔTf (正の定数)インクリ
メントされる。
【数1】Fpaf =Fpaf −ΔFpf
【0042】ステップ80〜130は左右の後輪につい
てそれぞれ上述のステップ30〜70と同様に実行され
る。即ちステップ80に於いてはそれぞれ加速度センサ
30rl及び30rrにより検出されたキャリパボディの加
速度Gcrl 及びGcrr に基づき、左右後輪の何れかにブ
レーキ鳴き発生の虞れがあるか否かの判別が行われ、肯
定判別が行われたときにはステップ120へ進み、否定
判別が行われたときにはステップ90へ進む。尚この場
合にもブレーキ鳴き発生の虞れがあるか否かの判別は、
例えば所定の時間内のGcrl 又はGcrr の振動振幅の最
大値が予め設定された基準値Gco(正の定数)以上であ
るか否かの判別により行われてよい。
【0043】ステップ90に於いては後輪のタイマのカ
ウント値Tr が0よりも大きく且つTrc(正の定数)よ
りも小さいか否かの判別、即ち左右後輪のブレーキパッ
ドによる加圧力Fprl 及びFprr の低減補正制御中であ
るか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときには
ステップ100に於いてタイマのカウント値Tr が0に
リセットされ、肯定判別が行われたときにはステップ1
10に於いてタイマのカウント値Tr に基づき図5の破
線にて示されたグラフに対応するマップより、左右後輪
の目標加圧力Fpar に対する補正量ΔFprが演算され、
ステップ120に於いて下記の数2に従って左右後輪の
目標加圧力Fpar が補正量ΔFprにて低減補正されると
共に、タイマのカウント値Tr がΔTr (正の定数)イ
ンクリメントされる。
【数2】Fpar =Fpar −ΔFpr
【0044】ステップ130に於いては左右前輪のブレ
ーキパッドによる加圧力Fpfl 及びFpfr が荷重センサ
28fl、28fr、28rl、28rrにより検出される加圧
力Fpfl 及びFpfr に基づき、左右前輪の目標加圧力F
paf になるようフィードバック制御されると共に、左右
後輪のブレーキパッドによる加圧力Fprl 及びFprrが
荷重センサ28rl及び28rrにより検出される加圧力F
prl 及びFprr に基づき、左右後輪の目標加圧力Fpar
になるようフィードバック制御される。
【0045】尚目標加圧力Fpaf 若しくはFpar が0又
は負の値であるときには、対応する車輪のブレーキ装置
14はブレーキパッド18a及び18bが制動摩擦力を
発生しない非作動位置に設定される。
【0046】かくして図示の第一の実施形態によれば、
左右前輪の何れかにブレーキ鳴き発生の虞れが生じる
と、ステップ30に於いて肯定判別が行われ、ステップ
70に於いてTfc時間に亘り左右前輪の目標加圧力Fpa
f が図5に於いて実線にて示されたパターンにて低減補
正される。同様に、左右後輪の何れかにブレーキ鳴き発
生の虞れが生じると、ステップ80に於いて肯定判別が
行われ、ステップ120に於いてTrc時間に亘り左右後
輪の目標加圧力Fpar が図5に於いて破線にて示された
パターンにて低減補正される。
【0047】従って左右前輪若しくは左右後輪にブレー
キ鳴き発生の虞れが生じると、左右前輪若しくは左右後
輪のブレーキ装置14の制動摩擦力を低減してディスク
ロータ16に対するブレーキパッド18a及び18bの
面圧分布を変化させ、これによりブレーキ装置の構成部
材の振動を停止させてブレーキ鳴きを防止することがで
きる。
【0048】例えば図6に示されている如く、運転者に
よるブレーキペダル32の踏み込み操作により踏み込み
量Ab が図示の如く変化し、左右前輪のキャリパボディ
の加速度の振動が漸次拡大し、時点t1 に於いて左前輪
のキャリパボディの加速度Gcfl の振動振幅が基準値G
co以上になったとすると、時点t1 よりTfc時間が経過
する時点t2 まで左右前輪のブレーキパッドによる目標
加圧力Fpaf が台形波形状に低減され、これにより左右
前輪のブレーキ装置14fl及び14frの制動摩擦力が低
減されるので、左右前輪のキャリパボディ等の振動を実
質的に停止させ、これによりブレーキ鳴きの発生を未然
に防止することができる。
【0049】特に図示の実施形態によれば、ブレーキ鳴
き発生の虞れが生じたときには、ブレーキパッドによる
目標加圧力が台形波形状に低減されるので、例えば目標
加圧力が矩形波状に低減される場合に比して、車速の急
激な変化及びこれに起因して乗員が異和感を覚える虞れ
を低減することができる。
【0050】またブレーキ鳴き発生の虞れが生じた左右
一方の車輪についてのみ目標加圧力が低減され、これに
より左右の車輪の制動力に差が生じる場合には、左右の
制動力の差に起因して車輌の挙動が不安定になる虞れが
ある。これに対し図示の実施形態によれば、左右の車輪
の何れかにブレーキ鳴き発生の虞れが生じると、左右両
輪のブレーキ装置の制動摩擦力が同時に同量所定の時間
に亘り低減されるので、ブレーキ鳴き防止制御に起因し
て左右の車輪の制動力に差が生じることを確実に防止す
ることができる。
【0051】尚図示の実施形態に於いては、前輪及び後
輪の何れにもブレーキ鳴き発生の虞れがあるときには、
前輪及び後輪の両方のブレーキパッドによる目標加圧力
が低減されるようになっているが、前輪及び後輪のうち
ブレーキ鳴き発生の虞れの高い側の車輪についての目標
加圧力の低減が優先され、その制御の終了後に他方の二
輪について目標加圧力の低減が行われるよう構成されて
もよい。
【0052】またステップ30〜70に先立ちステップ
08〜120が実行され、ステップ60の次に後輪の目
標加圧力が低減制御されているか否かが判定され、否定
判別が行われたときにはステップ70へ進み、肯定判別
が行われたときには目標加圧力Fpaf がΔFpf増大補正
されると共にタイマのカウント値Tf がΔTf インクリ
メントされ、これにより前輪及び後輪の目標加圧力が補
正される場合に車輌全体としての制動力の変化ができる
だけ低減されるよう構成されてもよい。
【0053】また図示の実施形態に於いては、目標加圧
力の補正量は台形波状に演算されるようになっている
が、例えば矩形波状に演算されてもよく、また前輪の補
正量ΔFpf及び後輪の補正量ΔFprは同一の大きさ及び
同一の時間的長さに設定されてもよい。
【0054】図7は本発明による制動力制御装置の第二
の実施形態に於ける制動力制御ルーチンを示すフローチ
ャートである。
【0055】図には示されていないが、この実施形態に
於いてもブレーキ装置や電気式制御装置は第一の実施形
態と同様に構成されており、特に電気式制御装置は通常
時にはブレーキペダルの踏み込み量Ab に基づきアクチ
ュエータを制御することにより、踏み込み量Ab に応じ
てブレーキパッドによる加圧力Fp を制御し、また何れ
かの車輪にブレーキ鳴き発生の虞れがあるときには、左
右前輪に於けるブレーキパッドによる加圧力Fpf及び左
右後輪に於けるブレーキパッドによる加圧力Fprの一方
を所定の時間低減し他方を所定の時間増大することによ
り、ブレーキ鳴きの発生を防止する。
【0056】図7に示されている如く、ステップ210
及び220はそれぞれ上述の第一の実施形態に於けるス
テップ10及び20と同様に実行され、ステップ230
に於いてはタイマのカウント値Tが0よりも大きく且つ
Tc (正の定数)よりも小さいか否かの判別、即ちブレ
ーキパッドによる加圧力Fprl 及びFprr の増減補正制
御中であるか否かの判別判別が行われ、肯定判別が行わ
れたときにはステップ290へ進み、否定判別が行われ
たときにはステップ240へ進む。
【0057】ステップ240に於いてはそれぞれ加速度
センサ30fl、30fr、30rl、30rrにより検出され
たキャリパボディの加速度Gcfl 、Gcfr 、Gcrl 、G
crrに基づき、例えば所定の時間内のGcfl 〜Gcrr の
何れかの振動振幅の最大値が基準値Gco以上であるか否
かの判別により、何れかの車輪にブレーキ鳴き発生の虞
れがあるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたと
きにはステップ300へ進み、肯定判別が行われたとき
にはステップ250へ進む。
【0058】ステップ250に於いてはブレーキパッド
による目標加圧力に対する補正量ΔFp が0であるか否
かの判別、即ちそれまでブレーキパッドによる加圧力が
補正されない通常の制御が行われていたか否かの判別が
行われ、否定判別が行われたときにはステップ260に
於いて補正量ΔFp が0にリセットされ、肯定判別が行
われたときにはステップ270に於いてステップ240
に於いて求められた所定の時間内のGcfl 、Gcfr 、G
crl 、Gcrr の振動振幅の最大値のうちの最も大きい値
Gcmaxに基づき図8に示されたグラフに対応するマップ
より、左右前輪の目標加圧力Fpaf 及び左右後輪の目標
加圧力Fpar に対する補正量ΔFp が演算される。
【0059】ステップ280に於いては下記の数3に従
って左右前輪の目標加圧力Fpaf が補正量ΔFp にて増
大補正されると共に、左右後輪の目標加圧力Fpar が補
正量ΔFp にて低減補正される。ステップ290に於い
てはタイマのカウント値TがΔT(正の定数)インクリ
メントされ、ステップ300に於いてはタイマのカウン
ト値Tが0にリセットされる。
【数3】 Fpaf =Fpaf +ΔFp Fpar =Fpar −ΔFp
【0060】ステップ310に於いてはステップ130
と同様、左右前輪のブレーキパッドによる加圧力Fpfl
及びFpfr が左右前輪の目標加圧力Fpaf になるようフ
ィードバック制御されると共に、左右後輪のブレーキパ
ッドによる加圧力Fprl 及びFprr が左右後輪の目標加
圧力Fpar になるようフィードバック制御される。尚こ
の実施形態に於いても、目標加圧力Fpaf 若しくはFpa
r が0又は負の値であるときには、対応する車輪のブレ
ーキ装置14はブレーキパッド18a及び18bが制動
摩擦力を発生しない非作動位置に設定される。
【0061】かくして図示の第二の実施形態によれば、
何れかの車輪にブレーキ鳴き発生の虞れが生じると、ス
テップ240に於いて肯定判別が行われ、それまで通常
の制御が行われていたときにはステップ250に於いて
肯定判別が行われることにより、Tc 時間に亘り左右前
輪の目標加圧力Fpaf がΔFp 増大補正されると共に左
右後輪の目標加圧力Fpar がΔFp 低減補正され、また
それまで目標加圧力が増減補正されていたときにはステ
ップ250に於いて否定判別が行われ、通常の制御に戻
されることにより、結果的にTc 時間に亘り左右前輪の
目標加圧力Fpaf がΔFp 低減補正されると共に左右後
輪の目標加圧力Fpar がΔFp 増大補正される。
【0062】従って何れかの車輪にブレーキ鳴き発生の
虞れが生じると、左右前輪及び左右後輪のブレーキ装置
の制動摩擦力を増減し、これによりブレーキ装置の構成
部材の振動を停止させてブレーキ鳴きを防止することが
できると共に、前輪及び後輪の一方の制動力が低減され
他方が増大されるので、車輌全体としての制動力が変化
することを回避することができる。
【0063】例えば図9に示されている如く、運転者に
よるブレーキペダル32の踏み込み操作により踏み込み
量Ab が図示の如く変化し、左右前輪のキャリパボディ
の加速度の振動が漸次拡大し、時点t1 に於いて左前輪
のキャリパボディの加速度Gcfl の振動振幅が基準値G
co以上になったとすると、時点t1 よりTc 時間が経過
する時点t2 まで左右前輪のブレーキパッドによる目標
加圧力Fpaf が増大され、これにより左右前輪のブレー
キ装置14fl及び14frの制動摩擦力が増大され、また
左右後輪のブレーキパッドによる目標加圧力Fpar が低
減され、これにより左右後輪のブレーキ装置14rl及び
14rrの制動摩擦力が低減されるので、車輪のキャリパ
ボディ等の振動を停止させ、これによりブレーキ鳴きの
発生を未然に防止することができ、しかもブレーキ鳴き
防止制御に起因して前輪及び後輪の合計の制動力が変化
することを防止することができる。
【0064】特に図示の実施形態によれば、目標加圧力
に対する補正量ΔFp は所定時間内のキャリパボディの
加速度Gcfl 、Gcfr 、Gcrl 、Gcrr の振動振幅の最
大値のうちの最も大きい値Gcmaxに基づき演算されるの
で、この補正量が一定である場合に比して、車輪の制動
力を過剰に増減することなくブレーキ鳴きの発生を適切
に防止することができる。
【0065】また図示の実施形態によれば、何れかの車
輪にブレーキ鳴き発生の虞れが生じたときには四輪全て
の車輪の目標加圧力が増大又は低減されるので、複数の
車輪に於いて実質的に同時にブレーキ鳴き発生の虞れが
生じた場合にも、それらの車輪にブレーキ鳴きが発生す
ることを防止することができる。
【0066】尚上述の第一及び第二の実施形態に於いて
は、目標加圧力に対する補正量ΔFp はキャリパボディ
の加速度の振動振幅の最大値のうちの最も大きい値Gcm
axに基づき可変設定されるようになっているが、この補
正量は予め定められた一定の値であってもよく、また第
一の実施形態の場合の如く実質的に台形波状に増減され
てもよい。
【0067】また上述の第一及び第二の実施形態に於い
ては、左右前輪を一組とし左右後輪を他の一組として一
方の組の目標加圧力が低減され他方の組の目標加圧力が
増大されるようになっているが、左前輪及び左後輪の一
方にブレーキ鳴き発生の虞れが生じたときには、左前輪
及び左後輪の一方の目標加圧力が低減されると共に他方
の目標加圧力が増大され、右前輪及び右後輪の一方にブ
レーキ鳴き発生の虞れが生じたときには、右前輪及び右
後輪の一方の目標加圧力が低減されると共に他方の目標
加圧力が増大されるよう構成されてもよい。
【0068】図10は本発明による車輌の制動力制御装
置の第三の実施形態を示す概略構成図である。尚図10
に於いて、図1に示された部材と同一の部材には図1に
於いて付された符号と同一の符号が付されている。
【0069】この実施形態に於いては、各輪の電気ブレ
ーキ装置に加速度センサ30fl、30fr、30rl、30
rrは設けられていないが、各輪10fl、10fr、10r
l、10rrにはそれぞれ対応する車輪の車輪速度Vwfl
、Vwfr 、Vwrl 、Vwrr を検出する車輪速度センサ
42fl、42fr、42rl、42rrが設けられている。ま
たこの実施形態に於いては、車輌の加速方向を正として
車輌の前後加速度を検出する前後加速度センサ44と、
操舵角θを検出する操舵角センサ46と、車速Vを検出
する車速センサ48とが設けられている。
【0070】また、この実施形態の電気式制御装置38
は第一及び第二の実施形態の場合と同様に通常時にはブ
レーキペダル32の踏み込み量Ab に基づき各輪のアク
チュエータ22を制御することにより、踏み込み量Ab
に応じてブレーキパッドによる加圧力Fp を制御する
が、ブレーキペダルの踏み込み速度が低く且つ制動が緩
制動であるときにブレーキ鳴き発生の虞れがあると判定
し、左右後輪のみを制動することによりブレーキ鳴きの
発生を防止する。
【0071】更に電気式制御装置38はブレーキ鳴き発
生の虞れがある状況であっても、何れかの車輪にフェー
ドの虞れがある場合、車輌が旋回走行中である場合、又
は路面の摩擦係数が低い場合には、車輌の安定性の低下
や制動性能の低下を防止すべく、左右後輪のみの制動で
はなく、通常時と同様四輪全てが制動される。
【0072】次に図11に示されたフローチャートを参
照して第三の実施形態に於ける制動力制御ルーチンにつ
いて説明する。
【0073】まずステップ410に於いては各信号の読
み込みが行われ、ステップ420に於いては例えばブレ
ーキペダル32の踏み込み量Ab の時間微分値としてブ
レーキペダルの踏み込み速度Vbpが演算される。ステッ
プ430に於いては踏み込み速度Vbpが0以上で基準値
Vbpo (正の定数)以下であるか否かの判別が行われ、
否定判別が行われたときにはステップ500へ進み、肯
定判別が行われたときにはステップ440へ進む。
【0074】ステップ440に於いては車輌の前後加速
度Gx に基づく車輌の減速度Gxb=−Gx が0以上で基
準値Gxbo (正の定数)以下であるか否かの判別、即ち
制動が緩制動であるか否かの判別が行われ、否定判別が
行われたときにはステップ500へ進み、肯定判別が行
われたときにはステップ450へ進む。
【0075】ステップ450に於いては例えば所定の時
間内に於ける制動の頻度が基準値以上であるか否かの判
別により、何れかの車輪にフェードの虞れがあるか否か
の判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ
500へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ4
60へ進む。
【0076】ステップ460に於いては例えば操舵角θ
の絶対値が基準値θo (正の定数)以上であり且つ車速
Vが基準値Vo (正の定数)以上であるか否かの判別に
より、車輌が旋回中であるか否かの判別が行われ、否定
判別が行われたときにはステップ500へ進み、肯定判
別が行われたときにはステップ470へ進む。
【0077】ステップ470に於いては例えば四輪の車
輪速度Vwfl 、Vwfr 、Vwrl 、Vwrr のうちの最大値
及び最小値をそれぞれVwmax、Vwminとして、車輪速度
の偏差ΔVw =Vwmax−Vwminが基準値(正の定数)以
上であるか否かの判別により、路面の摩擦係数が通常の
路面に比して低いか否かの判別が行われ、肯定判別が行
われたときにはステップ500へ進み、否定判別が行わ
れたときにはステップ480へ進む。
【0078】ステップ480に於いてはブレーキペダル
32の踏み込み量Ab に基づき図12に示されたグラフ
に対応するマップより、左右の後輪10rl及び10rrの
ブレーキパッドによる目標加圧力Fpar が演算される。
尚この場合目標加圧力Fparは踏み込み量Ab に基づき
図4に示されたグラフに対応するマップより演算される
左右の前輪10fl及び10frの目標加圧力Fpaf と左右
の後輪10rl及び10rrの目標加圧力Fpar との和に実
質的に等しい値に演算される。
【0079】ステップ490に於いては左右後輪のブレ
ーキパッドによる加圧力Fprl 及びFprr が荷重センサ
28rl及び28rrにより検出される加圧力Fprl 及びF
prrに基づき、左右後輪の目標加圧力Fpar になるよう
フィードバック制御され、これにより左右後輪のみが制
動される。
【0080】ステップ500に於いては第一の実施形態
のステップ20及び第二の実施形態のステップ220と
同様、ブレーキペダル32の踏み込み量Ab に基づき図
4に示されたグラフに対応するマップより、左右の前輪
10fl及び10frのブレーキパッドによる目標加圧力F
paf 及び左右の後輪10rl及び10rrのブレーキパッド
による目標加圧力Fpar が演算される。
【0081】ステップ510に於いては第一の実施形態
のステップ130及び第二の実施形態のステップ310
と同様、左右前輪のブレーキパッドによる加圧力Fpfl
及びFpfr が荷重センサ28fl、28fr、28rl、28
rrにより検出される加圧力Fpfl 及びFpfr に基づき、
左右前輪の目標加圧力Fpaf になるようフィードバック
制御されると共に、左右後輪のブレーキパッドによる加
圧力Fprl 及びFprrが荷重センサ28rl及び28rrに
より検出される加圧力Fprl 及びFprr に基づき、左右
後輪の目標加圧力Fpar になるようフィードバック制御
される。
【0082】かくして図示の第三の実施形態によれば、
ブレーキペダルの踏み込み速度Vbpが小さく且つ車輌の
減速度Gxbも小さく制動が緩制動であるときには、ブレ
ーキ鳴き発生の虞れが高く、しかも運転者や他の乗員は
心理的に余裕がありブレーキ鳴きを敏感に感じ易く、か
かる状況に於いてはステップ430及び440に於いて
肯定判別が行われ、ステップ480及び490に於いて
車輌全体としての制動力が変化しないよう左右後輪のみ
が制動されることにより、左右後輪の加圧力Fpfl 及び
Fpfr が0に制御されると共に左右後輪の加圧力Fprl
及びFprr がブレーキ鳴き発生範囲よりも高い値に制御
されるので、ブレーキ鳴きの発生を確実に防止し、車輌
の乗員が不快感を覚えることを確実に防止することがで
きる。
【0083】また第三の実施形態によれば、何れかの車
輪にフェードの虞れがある場合にはステップ450に於
いて肯定判別が行われ、車輌が旋回走行中である場合に
はステップ460に於いて肯定判別が行われ、路面の摩
擦係数が低い場合にはステップ470に於いて肯定判別
が行われ、これによりステップ480及び490が実行
されることなくステップ500及び510が実行される
ので、後輪のみが制動される場合に比して車輌を確実に
制動することができ、また車輌の安定性の低下を確実に
防止することができる。
【0084】また第三の実施形態によれば、ブレーキ鳴
き発生の虞れがあるときには左右後輪のみが制動される
ので、運転者に近い前輪にブレーキ鳴きが発生し運転者
に不快感を与えることを確実に防止することができ、ま
た制動時のノーズダイブを防止して制動時のフィーリン
グを向上させることができる。
【0085】以上に於ては本発明を特定の実施形態につ
いて詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定
されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実
施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろ
う。
【0086】例えば上述の各実施形態に於いては、何れ
かの車輪にブレーキ鳴き発生の虞れが生じたときには、
制動摩擦力が自動的に変化されることによってブレーキ
鳴きの発生が未然に防止されるようになっているが、運
転者により操作されるスイッチが設けられ、該スイッチ
がオン状態にあるときにのみブレーキ鳴き防止制御が実
行されるよう構成されてもよい。
【0087】また上述の第一及び第二の実施形態に於い
ては、ブレーキ鳴き発生の虞れを判定するためのパラメ
ータを検出する手段は加速度センサであるが、この手段
は振動センサ、音波や超音波を検出する手段等であって
もよい。
【0088】また上述の第三の実施形態のステップ44
0に於ける制動が緩制動であるか否かの判別は、車輌の
前後加速度Gx に基づく車輌の減速度Gxb=−Gx が0
以上で基準値Gxbo (正の定数)以下であるか否かによ
り行われるようになっているが、車輌の減速度Gxbは各
輪の車輪速度Vwfr 〜Vwrr に基づき推定されてもよ
く、制動が緩制動であるか否かの判別は例えば各輪のブ
レーキパッドによる加圧力Fpfr 〜Fprr の平均値が基
準値以下であるか否かにより行われてもよい。
【0089】また上述の第三の実施形態のステップ47
0に於ける路面の摩擦係数が通常の路面に比して低いか
否かの判別は、四輪の車輪速度のうちの最大値Vwmax
(基準速度)と最小値Vwminとの間の偏差ΔVw が基準
値以上であるか否かにより行われるようになっている
が、路面の摩擦係数が通常の路面に比して低いか否かの
判別は当技術分野に於いて公知の任意の方法や手段によ
り行われてよく、例えば車輪速度の偏差を演算するため
の基準速度は車体速度の検出値又は各輪の車輪速度より
推定される値であってよい。
【0090】更に上述の各実施形態に於いては、ブレー
キ装置は電気式のディスクブレーキ装置であるが、制動
摩擦力を増減し得る限り他の型式の電気ブレーキ装置で
あってもよく、また例えばアンチロックブレーキシステ
ムが組み込まれた油圧式のブレーキ装置の如く、必要に
応じてブレーキペダルの踏み込み量とは独立に制動摩擦
力を増減し得る限り油圧式のブレーキ装置であってもよ
い。
【0091】
【発明の効果】以上の説明より明らかである如く、本発
明によれば、何れかの車輪にブレーキ鳴き発生の虞れが
生じても、それに応答して車輪の制動摩擦力が自動的に
変化されるので、運転者によるブレーキペダルの踏み込
み量の調節を要することなくブレーキ鳴きの発生を未然
に防止することができ、特に上記請求項2の構成によれ
ば、全輪の制動力の総和が実質的に変化しないよう各輪
の制動摩擦力の配分が変化されるので、車輌全体として
の制動力が変化することを確実に回避することができ
る。
【0092】また上記請求項1及び2の構成によれば、
前述の特開昭62−122856号公報に記載された制
動力制御装置の如く通常のブレーキ系統に加えて他のブ
レーキ系統を設ける必要がないので、上記公開公報に記
載された制動力制御装置の場合に比して、制動力制御装
置の構造を簡略化すると共にそのコストを低減すること
ができる。
【0093】また上記請求項3の構成によれば、ブレー
キペダルの踏み込み速度が低く且つ制動が緩制動である
ときにブレーキ鳴き発生の虞れがあると判定されるの
で、ブレーキ鳴きの発生を確実に防止することができ
る。
【0094】また上記請求項4乃至6の構成によれば、
何れかの車輪にフェードの虞れがある場合、車輌が旋回
走行中である場合、路面の摩擦係数が低い場合には制動
摩擦力の配分の後輪寄りの変化が禁止されるので、車輌
の制動による荷重移動により効果的な制動力を発揮する
前輪も制動されることにより車輌を確実に制動すること
ができ、また後輪の横力低下や後輪の過剰な制動摩擦力
に起因する車輌の安定性の低下を確実に防止することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による制動力制御装置の第一の実施形態
を示す概略構成図である。
【図2】電気ブレーキ装置を示す解図的拡大断面図であ
る。
【図3】第一の実施形態に於ける制動力制御ルーチンを
示すフローチャートである。
【図4】ブレーキペダルの踏み込み量Ab と目標加圧力
Fpaf 及びFpar との間の関係を示すグラフである。
【図5】タイマのカウント値Tf 及びTr と目標加圧力
に対する補正量ΔFpf及びΔFprとの間の関係を示すグ
ラフである。
【図6】ブレーキペダルの踏み込み量Ab の変化
(A)、第一の実施形態による制動摩擦力の制御が行わ
れる場合の左前輪の目標加圧力の変化(B)及びキャリ
パボディの加速度の変化(C)、第一の実施形態による
制動摩擦力の制御が行われない場合の左前輪の目標加圧
力の変化(D)及びキャリパボディの加速度の変化
(E)の例を示すグラフである。
【図7】本発明による制動力制御装置の第二の実施形態
に於ける制動力制御ルーチンを示すフローチャートであ
る。
【図8】キャリパボディの加速度の振動振幅の最大値G
cmaxと目標加圧力に対する補正量ΔFp との間の関係を
示すグラフである。
【図9】第二の実施形態に於けるブレーキペダルの踏み
込み量Ab の変化(A)、左前輪の目標加圧力の変化
(B)及びキャリパボディの加速度の変化(C)、左後
輪の目標加圧力の変化(D)及びキャリパボディの加速
度の変化(E)の例を示すグラフである。
【図10】本発明による制動力制御装置の第三の実施形
態を示す概略構成図である。
【図11】第三の実施形態に於ける制動力制御ルーチン
を示すフローチャートである。
【図12】左右の後輪のみが制動される場合に於けるブ
レーキペダルの踏み込み量Ab と左右後輪の目標加圧力
Fpar との間の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
14fl〜14rr…電気ブレーキ装置 22…アクチュエータ 28fl〜28rr…荷重センサ 30fl〜30rr…加速度センサ 32…ブレーキペダル 38…電気式制御装置 40…踏み込み量センサ 42fl〜42rr…車輪速度センサ 44…前後加速度センサ 46…操舵角センサ 48…車速センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉野 康徳 愛知県豊田市トヨタ町1番地トヨタ自動車 株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ブレーキペダルの踏み込み量に応じて各輪
    のブレーキ装置により発生される制動摩擦力を制御する
    ことにより各輪の制動力を制御する車輌の制動力制御装
    置にして、各輪のブレーキ鳴き発生の虞れを検出し、ブ
    レーキ鳴き発生の虞れがあるときには少なくとも当該車
    輪の制動摩擦力を変化させることを特徴とする車輌の制
    動力制御装置。
  2. 【請求項2】ブレーキペダルの踏み込み量に応じて各輪
    のブレーキ装置により発生される制動摩擦力を制御する
    ことにより各輪の制動力を制御する車輌の制動力制御装
    置にして、各輪のブレーキ鳴き発生の虞れを検出し、何
    れかの車輪にブレーキ鳴き発生の虞れがあるときには全
    輪の制動力の総和が実質的に変化しないよう各輪の制動
    摩擦力の配分を変化させることを特徴とする車輌の制動
    力制御装置。
  3. 【請求項3】前記踏み込み量に基づく前記ブレーキペダ
    ルの踏み込み速度が低く且つ制動が緩制動であるときに
    ブレーキ鳴き発生の虞れがあると判定することを特徴と
    する請求項2に記載の車輌の制動力制御装置。
  4. 【請求項4】前記制動摩擦力の配分の変化は後輪寄りの
    変化であり、何れかの車輪にフェードの虞れがあるとき
    には前記制動摩擦力の配分の変化が禁止されることを特
    徴とする請求項2に記載の車輌の制動力制御装置。
  5. 【請求項5】前記制動摩擦力の配分の変化は後輪寄りの
    変化であり、車輌が旋回走行中であるときには前記制動
    摩擦力の配分の変化が禁止されることを特徴とする請求
    項2に記載の車輌の制動力制御装置。
  6. 【請求項6】前記制動摩擦力の配分の変化は後輪寄りの
    変化であり、路面の摩擦係数が低いときには前記制動摩
    擦力の配分の変化が禁止されることを特徴とする請求項
    2に記載の車輌の制動力制御装置。
JP33795697A 1997-03-07 1997-11-21 ブレーキ鳴き防止機能を有する車輌の制動力制御装置 Pending JPH10305768A (ja)

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