JPH10305286A - イミダゾリジノン系化合物含有水の処理方法 - Google Patents

イミダゾリジノン系化合物含有水の処理方法

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JPH10305286A
JPH10305286A JP13030997A JP13030997A JPH10305286A JP H10305286 A JPH10305286 A JP H10305286A JP 13030997 A JP13030997 A JP 13030997A JP 13030997 A JP13030997 A JP 13030997A JP H10305286 A JPH10305286 A JP H10305286A
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imidazolidinone
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泰継 渡辺
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Abstract

(57)【要約】 【課題】イミダゾリジノン系化合物を含有する水を20
0℃以下の温度で処理して、イミダゾリジノン系化合物
を効果的に分解除去することができるイミダゾリジノン
系化合物含有水の処理方法を提供する。 【解決手段】イミダゾリジノン系化合物を含有する水
に、過酸化水素を添加し、加温条件下で貴金属担持触媒
と接触させてイミダゾリジノン系化合物を酸化分解する
ことを特徴とするイミダゾリジノン系化合物含有水の処
理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イミダゾリジノン
系化合物含有水の処理方法に関する。さらに詳しくは、
本発明は、イミダゾリジノン系化合物を含有する水を2
00℃以下の温度で処理して、イミダゾリジノン系化合
物を効果的に分解除去することができるイミダゾリジノ
ン系化合物含有水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】非プロトン性溶媒である1,3−ジメチ
ル−2−イミダゾリジノンが、発癌性を有するおそれが
あるヘキサメチルリン酸トリアミドに代わって、反応溶
媒として使用されるようになってきた。これに伴って、
化学工場などの排水中にイミダゾリジノン系化合物が含
まれる場合が生じてきた。一般に、窒素化合物を含む排
水の処理方法としては、活性炭吸着法や生物処理法が代
表的である。しかし、活性炭は窒素化合物を吸着するも
のの、その吸着量は概して小さく、大容量の活性炭を必
要とする。また、活性炭が吸着平衡に達したのちに再生
する必要があり、再生に伴って高濃度に濃縮された再生
廃液が発生し、その処理が必要になるという問題があ
る。また、生物処理法では、反応速度が遅いために、大
容量の生物反応槽を必要とし、さらに汚泥が発生すると
いう問題がある。これらの問題を解決するために、窒素
化合物を触媒を用いて酸化分解する方法が試みられてい
る。例えば、特公昭56−1132号公報には、窒素化
合物を鉄、ニッケル又はコバルト系触媒と接触させて、
窒素化合物中の窒素を窒素ガス化する方法が提案されて
いる。しかし、この窒素ガス化工程には、600℃以上
という高温を必要とする。また、特公昭57−4239
1号公報には、アンモニアを含む廃水を金属担持触媒の
存在下に、酸化剤として空気を用いて湿式酸化する方法
が提案されている。しかし、この方法では、反応温度が
200℃以上であることが必要であり、操作圧力も20
kg/cm2以上が必要である。このため、これらの方法で
は、装置の材質が特殊なものとなり、装置コストが高
く、実用的ではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、イミダゾリ
ジノン系化合物を含有する水を200℃以下の温度で処
理して、イミダゾリジノン系化合物を効果的に分解除去
することができるイミダゾリジノン系化合物含有水の処
理方法を提供することを目的としてなされたものであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、イミダゾリジノ
ン系化合物を含有する水に過酸化水素を添加し、貴金属
担持触媒と接触させることにより、比較的低い温度でイ
ミダゾリジノン系化合物を酸化分解することが可能であ
り、さらに、貴金属担持触媒との接触を多段とすること
により分解効率をいっそう高め得ることを見いだし、こ
の知見に基づいて本発明を完成するに至った。すなわ
ち、本発明は、(1)イミダゾリジノン系化合物を含有
する水に、過酸化水素を添加し、加温条件下で貴金属担
持触媒と接触させてイミダゾリジノン系化合物を酸化分
解することを特徴とするイミダゾリジノン系化合物含有
水の処理方法、及び、(2)貴金属担持触媒との接触酸
化分解工程を多段とする第(1)項記載のイミダゾリジノ
ン系化合物含有水の処理方法、を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、(3)加温条件
が、100〜180℃である第(1)項又は第(2)項記載
のイミダゾリジノン系化合物含有水の処理方法、を挙げ
ることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明方法は、イミダゾリジノン
系化合物を含有する水の処理に適用することができる。
対象とするイミダゾリジノン系化合物には特に制限はな
いが、本発明方法は、一般式[1]で表されるイミダゾ
リジノン又はアルキルイミダゾリジノンの処理に特に有
効である。
【化1】 一般式[1]において、R1及びR2は、水素、メチル基
又はエチル基である。一般式[1]で表される化合物と
しては、2−イミダゾリジノン、1−メチル−2−イミ
ダゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノ
ン、1−エチル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−
3−エチル−2−イミダゾリジノン及び1,3−ジエチ
ル−2−イミダゾリジノンを挙げることができる。
【0006】本発明方法においては、イミダゾリジノン
系化合物を含有する水に、過酸化水素を添加する。過酸
化水素は、例えば、ジメチルイミダゾリジノンとは、式
[1]にしたがって反応し、ジメチルイミダゾリジノン
を窒素ガスと二酸化炭素と水に分解する。 C5102O+14H22 → N2+5CO2+19H2O …[1] 本発明方法において、イミダゾリジノン系化合物を含有
する水に添加する過酸化水素の量は、反応式より計算で
求められる反応当量の1〜10倍であることが好まし
く、1〜5倍であることがより好ましい。添加する過酸
化水素の量が反応当量の1倍未満であると、イミダゾリ
ジノン系化合物の酸化分解が十分に進行しないおそれが
ある。添加する過酸化水素の量が反応当量の10倍を超
えると、イミダゾリジノン系化合物の酸化分解は、過酸
化水素の添加量の増加に見合っては進行せず、過酸化水
素がいたずらに失われるおそれがある。本発明方法にお
いては、過酸化水素を添加したイミダゾリジノン系化合
物を含有する水を、貴金属担持触媒と接触させる。使用
する貴金属触媒には特に制限はなく、例えば、白金、パ
ラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、金、
銀、オスミウムなどを使用することができる。これらの
触媒は、1種を単独で使用することができ、2種以上を
組み合わせて使用することもできる。触媒を担持する担
体には特に制限はなく、例えば、チタニア、シリカ、ア
ルミナ、シリカアルミナ、ゼオライト、活性炭、ポリテ
トラフルオロエチレンのような耐薬品性樹脂などを使用
することができる。触媒を担持する担体は、多孔質担体
であることが好ましい。多孔質担体としては、比表面積
が10〜100m2/gであるチタニア粒状物を特に好
適に使用することができる。比表面積が10m2/g未
満であると、反応面積が少なくなるおそれがある。比表
面積が100m2/gを超えると、担体の細孔径が小さ
くなり、イミダゾリジノン系化合物が入りこみにくくな
るおそれがある。貴金属触媒の担持量は、担体に対し
0.05〜10重量%であることが好ましく、0.1〜2
重量%であることがより好ましい。
【0007】本発明方法において、過酸化水素を添加し
たイミダゾリジノン系化合物を含有する水を貴金属担持
触媒と接触させる際の加温条件は、100〜180℃で
あることが好ましく、120〜180℃であることがよ
り好ましい。加温条件が100℃未満であると、イミダ
ゾリジノン系化合物の分解速度が遅く、分解率が十分に
向上しないおそれがある。加温条件が180℃を超えて
も、分解反応の進行には悪影響はないが、熱的効率が低
下し、かつ、設備に要求される耐熱性と耐圧性がきびし
くなるので、経済的に不利となるおそれがある。本発明
方法において、過酸化水素を添加したイミダゾリジノン
系化合物を含有する水を貴金属担持触媒と接触させる
際、SVは0.5〜10h-1であることが好ましく、0.
5〜5h-1であることがより好ましい。必要な反応時間
は、イミダゾリジノン系化合物を含有する水の水質や、
加温条件などにより影響されるので、これらの条件を考
慮してSVを適切に選択することができる。本発明方法
において、貴金属担持触媒と接触させる過酸化水素を添
加したイミダゾリジノン系化合物を含有する水のpHには
特に制限はなく、pH1〜13の広い範囲とすることがで
きる。
【0008】本発明方法においては、貴金属担持触媒を
充填した反応塔を2基以上設けて直列につなぎ、接触酸
化分解工程を多段とすることができる。接触酸化分解工
程を多段とするとき、過酸化水素は、各段ごとに添加す
ることが好ましい。過酸化水素は触媒により活性な酸素
となり、イミダゾリジノン系化合物を酸化分解するが、
一方では触媒表面では過酸化水素は酸素ガスにもなり、
イミダゾリジノン系化合物の分解に効果的に働かなくな
る。しかし、接触酸化分解工程を多段にして、各段ごと
に過酸化水素を添加することにより、活性な酸素が常に
存在する状態となり、イミダゾリジノン系化合物の分解
を効果的に進めることができる。また、本発明におい
て、貴金属担持触媒は長期間使用できるが、劣化した場
合は酸で賦活処理して再使用したり、貴金属を回収して
触媒製造の原料として再利用できる。図1は、本発明方
法の実施の一態様の工程系統図である。本態様において
は、直列に連結した3基の反応塔を用いて、イミダゾリ
ジノン系化合物を含有する水を処理する。イミダゾリジ
ノン系化合物を含有する水を調整槽1に入れ、過酸化水
素を添加して混合する。過酸化水素を添加したイミダゾ
リジノンを含有する水は、ポンプ2により貴金属担持触
媒を充填した第1反応塔3に送り、第1反応塔より流出
した水に過酸化水素を添加して貴金属担持触媒を充填し
た第2反応塔4に送り、さらに、第2反応塔より流出し
た水に過酸化水素を添加して貴金属担持触媒を充填した
第3反応塔5に送り、第3反応塔より流出する水を最終
処理水とする。本発明方法によれば、温度180℃以
下、操作圧力10kg/cm2以下の比較的穏和な条件でイ
ミダゾリジノン系化合物を分解除去することができる。
また、本発明方法によれば、イミダゾリジノン系化合物
の分解速度が速く、イミダゾリジノン系化合物を1,0
00mg/リットル含有する排水を、接触時間約1時間で
処理することができる。さらに、本発明方法によれば、
吸着剤の再生廃液や、汚泥のような廃棄物が発生するこ
とがない。
【0009】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。なお、実施例及び比較例におい
ては、原水及び処理水の有機体炭素(TOC)を測定
し、TOCの減少率を1,3−ジメチル−2−イミダゾ
リジノンの分解除去率とした。 実施例1 1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン1,000mg/
リットルを含有する人工排水を調製し、原水として用い
た。この原水のTOCは、526mgC/リットルであっ
た。この原水に、過酸化水素水を、過酸化水素の濃度が
4,200mg/リットルになるよう添加した。過酸化水
素を添加した原水を、チタニア球に白金0.5重量%を
担持した触媒を充填したカラムに、温度160℃、操作
圧力8kg/cm2、通水速度SV=3h-1の条件で通水し
た。カラムより流出する処理水のTOCは315mgC/
リットルであり、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジ
ノンの分解除去率は40%であった。 比較例1 白金を担持した触媒の代わりに、チタニア球を充填した
以外は、実施例1と同じ操作を繰り返した。カラムより
流出する処理水のTOCは483mgC/リットルであ
り、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの分解除
去率は8%であった。 比較例2 実施例1において調製した原水1リットルあたり空気1
0リットルを加えて、実施例1で用いたチタニア球に白
金0.5重量%を担持した触媒を充填したカラムに、温
度160℃、操作圧力8kg/cm2、通水速度SV=3h
-1の条件で通水した。カラムより流出する処理水のTO
Cは510mgC/リットルであり、1,3−ジメチル−
2−イミダゾリジノンの分解除去率は3%であった。 実施例2 触媒を充填したカラムへの通水速度をSV=1h-1とし
た以外は、実施例1と同じ操作を繰り返した。カラムよ
り流出する処理水のTOCは210mgC/リットルであ
り、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの分解除
去率は60%であった。 実施例3 実施例1で用いたものと同じチタニア球に白金0.5重
量%を担持した触媒を充填したカラム3本を直列につな
ぎ、第1のカラムと第2のカラムをつなぐ配管及び第2
のカラムと第3のカラムをつなぐ配管に、それぞれ過酸
化水素水を圧入するバルブを設けた。実施例1で調製し
た1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン1,000mg
/リットルを含有する原水に、過酸化水素水を、過酸化
水素の濃度が4,200mg/リットルになるよう添加
し、カラムに通水した。3本のカラムはすべて温度16
0℃、操作圧力8kg/cm2とし、通水速度SV=3h-1
の条件で通水した。また、第1のカラムと第2のカラム
の間のバルブより、過酸化水素水を過酸化水素の濃度が
2,500mg/リットルになるよう、第2のカラムと第
3のカラムの間のバルブより、過酸化水素水を過酸化水
素の濃度が1,000mg/リットルとなるよう処理水に
圧入した。第1のカラムより流出する処理水のTOCは
315mgC/リットルであり、1,3−ジメチル−2−
イミダゾリジノンの分解除去率は40%、第2のカラム
より流出する処理水のTOCは130mgC/リットルで
あり、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの分解
除去率は75%、最終の第3のカラムより流出する処理
水のTOCは65mgC/リットル、1,3−ジメチル−
2−イミダゾリジノンの分解除去率は88%であった。
【0010】
【発明の効果】本発明方法によれば、イミダゾリジノン
系化合物を含有する水を、温度180℃以下、操作圧力
10kg/cm2以下の穏和な条件で処理して、イミダゾリ
ジノン系化合物を分解除去することができ、イミダゾリ
ジノン系化合物は、窒素ガス、二酸化炭素及び水に分解
され、貴金属触媒も賦活又は回収して再使用が可能であ
るので、処理にともなう廃棄物が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明方法の実施の一態様の工程系統
図である。
【符号の説明】
1 調整槽 2 ポンプ 3 第1反応塔 4 第2反応塔 5 第3反応塔

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イミダゾリジノン系化合物を含有する水
    に、過酸化水素を添加し、加温条件下で貴金属担持触媒
    と接触させてイミダゾリジノン系化合物を酸化分解する
    ことを特徴とするイミダゾリジノン系化合物含有水の処
    理方法。
  2. 【請求項2】貴金属担持触媒との接触酸化分解工程を多
    段とする請求項1記載のイミダゾリジノン系化合物含有
    水の処理方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008093539A (ja) * 2006-10-10 2008-04-24 Nippon Shokubai Co Ltd 排水の処理方法
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