JPH10303457A - 発光素子アレイ - Google Patents

発光素子アレイ

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JPH10303457A
JPH10303457A JP10977597A JP10977597A JPH10303457A JP H10303457 A JPH10303457 A JP H10303457A JP 10977597 A JP10977597 A JP 10977597A JP 10977597 A JP10977597 A JP 10977597A JP H10303457 A JPH10303457 A JP H10303457A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】シャープな発光出力が得られにくく、また発光
素子を高密度実装するのが極めて困難であった。 【解決手段】上面に帯状の多孔質シリコン層1aを有す
るシリコン基板1と、該シリコン基板1の上面に形成さ
れ、一端が前記多孔質シリコン層1a上まで延在する複
数個の透明電極3と、前記シリコン基板1の下面に形成
された共通電極4とから成り、各透明電極3と共通電極
4との間に電圧を印加し、両電極3,4間に位置する多
孔質シリコン層1aより光が発光するようになした発光
素子アレイであって、前記多孔質シリコン層上面に断面
V字型の溝部1bを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は発光素子アレイに関
し、特にページプリンタ用感光ドラムの露光源等に用い
られる発光素子アレイに関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】従来より、ページプリンタ
用感光ドラム等の露光源として発光素子アレイが用いら
れている。
【0003】かかる従来の発光素子アレイとしては、例
えば、複数の発光ダイオード素子を直線状に配列させて
なるLEDアレイ等が知られており、該LEDアレイの
各発光ダイオード素子は、シリコン(Si)やガリウム
砒素(GaAs)から成る半導体基板の表面に、n型半
導体の単結晶とp型半導体の単結晶とをpn接合させて
成る化合物半導体層を形成した構造を有している。尚、
このような発光ダイオード素子の化合物半導体層はガリ
ウム−砒素−リン(GaAsP)等によって形成され
る。
【0004】そして前記発光ダイオード素子は、化合物
半導体層上に形成される個別電極と半導体基板の下面に
被着される共通電極との間に所定の電流を流し、p型半
導体の単結晶に電子を注入するとともにn型半導体の単
結晶に正孔を注入し、少数キャリアの一部を多数キャリ
アと発光再結合させることによって光を生じるようにな
っている。
【0005】尚、前記LEDアレイの化合物半導体層
は、従来周知のMOCVD法やメサエッチング等によっ
て発光ダイオード素子毎に半導体基板の上面に島状に形
成されていた。
【0006】しかしながら、このような従来の発光素子
アレイにおいては、前述したガリウム−砒素−リンの単
結晶が発光ダイオード素子毎に独立して形成されてお
り、これらを前述のMOCVD法等によって形成する
と、その内部に多数の格子欠陥がランダムに形成された
り、或いは不純物が混入される等して各単結晶の特性が
異なったものとなってしまう。そのため、前述のような
発光素子アレイをプリンタ用の露光源として用いた場
合、発光ダイオード素子間で発光ばらつきが生じ、印画
に濃度むらが形成される欠点を有していた。
【0007】また上述した従来の発光素子アレイにおい
ては、半導体基板や化合物半導体層が砒素を含んで構成
されており、その製造時にアルシン(AsH3 )等のガ
スが大量に使用されることから、有害な砒素の分離,回
収処理のために多額のコストと手間が発生し、また有害
ガスの使用は環境上、望ましくなかった。
【0008】しかも、ガリウム砒素等の単結晶から成る
発光ダイオード素子は、その使用時等に熱や電界による
転位の影響を受けやすく、そのため、発光特性が比較的
短時間のうちに変化し、使用に供しなくなる欠点も有し
ていた。
【0009】一方、上述のような発光ばらつきの問題や
発光特性の変化等を有効に防止するために、砒素やガリ
ウム砒素等を一切用いずに発光素子を形成することが検
討されている。かかる発光素子は、図4に示す如く、単
結晶シリコンから成るシリコン基板11の上面に窒化シ
リコン等から成る窓付きの絶縁膜12を被着させるとと
もに、この窓部12a内に位置するシリコン基板11の
上面近傍を従来周知の陽極化成によって多孔質化し、更
にシリコン基板11の上面及び下面に一対の電極13,
14を被着させた構造を有しており、この一対の電極1
3,14間に電圧を印加して両電極13,14間の多孔
質シリコン層11aを量子効果によって発光させるよう
にしたものである。
【0010】しかしながら、このような図5の発光素子
は、シリコン基板11の上面がほぼ平坦であるため、こ
の平坦面に前述の陽極化成処理を施して多孔質シリコン
層11aを形成しようとすると、多孔質シリコン層11
aは半円状を描きながら形成されることとなる。このよ
うな発光素子の発光強度は一般に多孔質シリコン層11
aの体積に比例するため、所定の発光強度を得るために
陽極化成の処理時間を長くする等して多孔質シリコン層
11aの体積を増やそうとすると、発光部がシリコン基
板11の面方向に大きく広がり、シャープな発光出力が
得られなくなる欠点を有している。またこの場合、発光
部がシリコン基板11の面方向に大きく広がってしまう
ため、複数の発光素子を高密度に配列させてプリンタ用
の露光源を構成することは困難であった。
【0011】
【問題点を解決するための手段】本発明は上記欠点に鑑
み案出されたもので、本発明の発光素子アレイは、上面
に帯状の多孔質シリコン層を有するシリコン基板と、該
シリコン基板の上面に形成され、一端が前記多孔質シリ
コン層上まで延在する複数個の透明電極と、前記シリコ
ン基板の下面に形成された共通電極とから成り、各透明
電極と共通電極との間に電圧を印加し、両電極間に位置
する多孔質シリコン層より光が発光するようになした発
光素子アレイであって、前記多孔質シリコン層上面に断
面V字型の溝部を形成したことを特徴とするものであ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面に基づい
て詳細に説明する。図1は本発明の発光素子アレイの一
形態を示す平面図、図2は図1のX−X線断面図であ
り、1はシリコン基板、1aは多孔質シリコン層、1b
は溝部、3は透明電極、4は共通電極である。
【0013】前記シリコン基板1は、厚み方向に(10
0)方位を配した単結晶シリコンから成り、従来周知の
CZ法等によって製作される単結晶シリコンを250〜
350μmの厚みでスライスし板状に加工することによ
り形成される。
【0014】また前記シリコン基板1の上面には帯状の
多孔質シリコン層1aと窓付きの絶縁膜2とが設けられ
ている。前記多孔質シリコン層1aは、例えば、気孔率
50〜65%、平均気孔径1×10-7〜1×10-4μm
で形成されているため、間接遷移型よりも直接遷移型に
近い状態となっており、後述する透明電極3及び共通電
極4間に5〜50mAの電流を流すと、多孔質シリコン
の量子効果によって波長600〜780nm程度の光を
発する。
【0015】また一方、前記絶縁膜2は窒化シリコン
(Six y )等の絶縁材料によって0.1〜0.3μ
mの厚みに形成されており、前述の多孔質シリコン層1
aを陽極化成処理等によって形成する際にその形成領域
を規制するためのマスクとしての作用を為す。
【0016】尚、前記絶縁膜2は従来周知のスパッタリ
ング法やフォトリソグラフィー技術を採用することによ
って形成され、多孔質シリコン層1aは従来周知の陽極
化成によって形成される。この陽極化成は、単結晶シリ
コンから成る基板の上面に窓付き絶縁膜2を被着させて
これをフッ酸溶液中に浸漬するとともに、該浸漬したシ
リコン基板1の両側に一対の電極を配置させ、これら電
極間に所定の電力を印加し、絶縁膜2の窓部2a内に位
置するシリコン基板1の表面を30mA・cm程度の電
流密度にて所定時間(約5分間)保持することで行われ
る。
【0017】またこのような多孔質シリコン層1a及び
絶縁膜2を有したシリコン基板1の上面には複数個の透
明電極3が、また下面には共通電極4が形成されてお
り、この両電極3,4間に位置する多孔質シリコン層1
aによって発光部Aを構成している。
【0018】前記複数の透明電極3は、例えば、ITO
等の透明な導電材料により0.05〜0.2μmの厚み
をもって形成されており、各一端を前記窓部2a内の多
孔質シリコン層1a上まで延在させ多孔質シリコン層1
aと電気的に接続させておくことにより発光部Aに電流
を流すための一方の電極として機能する。
【0019】また前記共通電極4は、例えば、金や銀,
銅等の導電材料により0.05〜0.2μmの厚みに形
成されており、後述する発光部Aに電流を流すための他
方の電極として機能する。
【0020】尚、前述した絶縁膜2や透明電極3,共通
電極4は、従来周知の薄膜手法、例えば、スパッタリン
グやフォトリソグラフィー技術等を採用することによっ
て所定厚み、所定パターンに被着・形成される。
【0021】そして、このような発光素子アレイの多孔
質シリコン層上面には、断面V字型の溝部1bが形成さ
れている。前記溝部1bは、シリコン基板1の上面に該
基板1を形成する単結晶シリコンの(110)方位に沿
って例えば幅w1:2〜5μm、深さh1:2〜6μm、角
度θ:54〜55°の大きさで形成されており、多孔質
シリコン層1aを前述の陽極化成処理によって形成する
際、シリコン基板1の厚み方向にかかる電流の流れを溝
部1bの底部に集中させて多孔質シリコン層1aを縦長
に、例えば幅w2:3〜5μm、深さh2:5〜10μmの
半楕円状に形成する作用を為す。
【0022】これにより、必要な発光出力を確保するの
に多孔質シリコン層1aの体積を増やすような場合であ
っても、多孔質シリコン層1aの形成領域がシリコン基
板1の面方向に大きく広がることはなく、個々の発光部
Aを小さくして高密度に配列させることが可能となる。
【0023】また前記多孔質シリコン層1aはその各々
が縦長状に形成されているため、図3に示すような極め
てシャープな発光出力が得られるようになり、これによ
ってプリンタ用の露光源として適した発光素子アレイを
得ることができる。
【0024】更にこの場合、発光部Aを構成する多孔質
シリコン層1aやシリコン基板1には、格子欠陥が形成
されたり、或いは製造工程中に不都合な不純物が混入し
たりすることはなく、従来例として示した発光ダイオー
ド素子のように、発光部A間で発光ばらつきを生じるこ
ともない。よってプリンタ用の露光源として用いる場合
であっても濃度むらの無い良好な印画が得られる。
【0025】また更に前述の多孔質シリコン層1aは、
その製造時に砒素を含んた化学物質等を用いることがな
く、有害物質の分離,回収処理等が一切不要となる。こ
れにより、発光素子アレイを比較的低コストで製作する
ことができる。
【0026】更にまた前記シリコン基板1や多孔質シリ
コン層1aは、単結晶シリコンにより形成されており、
化学的に安定であることから、発光素子アレイとして使
用する際に熱や電界による転位の影響を受けにくく、発
光特性を長期間にわたって良好に維持することができ
る。
【0027】尚、前述のような溝部1aの形成は、ま
ず、上面に窓部2aを有する絶縁膜2が被着されたシリ
コン基板1を準備し、これを所定濃度の水酸化カリウム
溶液中に一定時間浸漬してエッチングすることにより行
われる。このとき、シリコン基板1を形成する単結晶シ
リコンの(100)方位はシリコン基板1の厚み方向
に、(111)方位は溝部1aの向きと直交する方向に
それぞれ合致させてあり、シリコン基板1の厚み方向に
かかるエッチングレートは溝部1aの向きと直交する方
向にかかるエッチングレートの約10倍となっているた
め、このエッチングにて形成される溝の断面形状を略V
字形状になすことができる。
【0028】かくして上述した発光素子アレイは、プリ
ンタ用の露光源として用いる場合、各透明電極3及び共
通電極4間に外部からの印画データに基づいて所定の電
圧を印加し、両電極3,4間の多孔質シリコン層1aよ
り選択的に光を発光させ、これを感光ドラム等に照射さ
せることによって発光素子アレイとして機能する。
【0029】尚、本発明は上述の形態に限定されるもの
ではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々
の変更、改良が可能であり、例えば、シリコン基板上面
に設けられる溝部の形状は必ずしも図2のような鋭いV
字型でなくても良く、深さ方向に向かって先細り状に形
成されていれば上述の形態と同様の効果を奏する。例え
ば、溝部の側面に少し丸みをつけたり、或いは溝部を四
角錐状になしてこれを発光部A毎に形成するようにして
も良く、このように溝部を四角錐状になしておけば、発
光部Aからの光をよりシャープになすことができる。
【0030】
【発明の効果】本発明の発光素子アレイによれば、多孔
質シリコン層上面に断面V字型の溝部を形成したことか
ら、必要な発光出力を確保するのに多孔質シリコン層の
体積を増やすような場合であっても、多孔質シリコン層
の形成領域がシリコン基板の面方向に大きく広がること
はなく、個々の発光部を小さくして高密度に配列させる
ことができる。
【0031】また本発明の発光素子アレイによれば、多
孔質シリコン層が縦長状に形成されることから、極めて
シャープな発光出力を得ることができ、プリンタ用の露
光源として適した発光素子アレイを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発光素子アレイの一形態を示す平面図
である。
【図2】図1のX−X線断面図である。
【図3】発光部の発光特性を示す線図である。
【図4】従来の発光素子の断面図である。
【符号の説明】
1・・・・シリコン基板 1a・・・多孔質シリコン層 1b・・・溝部 3・・・・透明電極 4・・・・共通電極

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上面に帯状の多孔質シリコン層を有するシ
    リコン基板と、 該シリコン基板の上面に形成され、一端が前記多孔質シ
    リコン層上まで延在する複数個の透明電極と、 前記シリコン基板の下面に形成された共通電極とから成
    り、 各透明電極と共通電極との間に電圧を印加し、両電極間
    に位置する多孔質シリコン層より光が発光するようにな
    した発光素子アレイであって、 前記多孔質シリコン層上面に断面V字型の溝部を形成し
    たことを特徴とする発光素子アレイ。
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